回原のドリルは天を貫く   作:のりしー

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ほのぼの!!だよね!?

side麗日

 

「……おいこらツタ女……とりあえず事情説明すっから一旦この拘束解けや」

 

「神はこうおっしゃいました『内緒でのキャバクラ通いがバレた男には、その後最低24時間は人権が無い』と……よってその要望は却下します。駄犬……いえ、人権か無い今の貴方を犬扱いするだなんて犬に申し訳無いですね……そんな訳でただの『駄』。質問はこちらからします その質問への回答のみ発言を許しますので、それまで口を閉ざしていなさい」

 

「アホかぁ!!神がんなこと言うかクソがぁ!!」

 

おおう……

塩崎さんブッチ切れやん……

 

轟くんの爆弾投下から即逮捕。

フイッシュの言葉とともに爆豪くんを速攻で拘束したのだ。その鬼気迫る気迫が凄まじいこと何のって。

 

気づくと物間くんは何処かに消えていた。凄まじい危機感知&逃げ足の速さである。骨抜くんは『俺が何とかしねえとダメなのかこれ……』と絶望していた。こんな彼の顔を見るのは文化祭の準備期間以来である。

 

そしてねじれ先輩、拳藤さん、小大さん!!

 

「「「………」」」

 

3人は、そして塩崎さんはじっと……うん、このヴィランとの大規模戦闘の最中にとんでもない爆弾を投下した轟くんを見ている。

うん。まあ気持ちはわかる。わかるのだ。

 

(ぶっちゃけデクくんが私に内緒でキャバクラとか行ってたら……多分、私も同じ事してると思うし)

 

とりあえず本人から言い訳を聞く前に、第三者からの客観的な意見を聞きたいと。まあ、それはそうだ。

 

やけど……しかし……

 

(……ヒアリングの相手が……轟くんというのは……何というか……)

 

良いのか?彼で?本当にいいのか?

 

ぶっちゃけそんな事を思ってしまう。

 

あの天然砲……今度は一体どんな暴発をしてしまうのだろうか……

 

「……轟さんにお聞きします」

「何だ塩崎?俺は爆豪と回原の2人と『お前絶対にこれクラスの奴らに言うなよ』って約束してる事がある。いくら聞かれても答えられない事もあるぞ」

 

(アカン!!アカンよ!!)

 

早速やらかしてる!!やらかしてないかこれ!!

 

塩崎さんの問いに、明らかに何かやましい秘密を隠してると言っちゃう轟くん!!違う!!違うんよ!!あの2人が多分お願いしてたのはそういうことじゃないんよ!!

 

そもそも!!そういう事を内緒にするんじゃなくて!!何も無かった事にしとけって!!多分そういう意味であの2人言ってたんじゃないかな!!

 

「へえ……不思議不思議……」

「ん」

「……ふーん、へー……」

 

「あわわわ………」

 

内緒にするのはいい。だがそもそも内緒にするような事があったと判明するだけでヤバいのだ。

つまり『俺はあの2人に頼まれて内緒にしてる事があるぞ』とそう言ってしまった時点で修羅場確定である。

 

轟くんの天然爆弾が大爆発していた!!

 

「……轟。参考までに、あの2人が何を内緒にするように頼んでいたか教えてくれないかい?」

 

拳藤さんの問いに、轟くんはゆっくりと首を振り、

 

「……ダメだ。あれは男の夜の友情の話だ……俺にはそれを言う事はできねぇ……俺は、友達を裏切れねぇ……」

 

(裏切ってはないんだけど死地には絶賛叩き落しとるけどな!!)

 

「轟さん……それなら問題ありません。先ほども言った通り、内緒でのキャバクラ通いがバレた男には、その後最低24時間人権がありません。よって、この期間内に友情を裏切ったとしてもそれはノーカンです。神もそうおっしゃっております。秘密を守るのは、24時間後からでお願いします」

 

「……そう、なのか?……塩崎がそこまで……神がそう言うなら問題ねぇのか?」

 

「ええ、問題ありません」

「うんうん!!私もそれ聞いたことあるよ!!問題ないよ轟くん!!」

「ん!!」

「ほら出雲大社が地元の唯もこう言ってるよ。日本の八百万の神様のお墨付きだ。とりあえず教えておくれ轟」

 

「けろけろ……神威の大安売りね」

 

むしろバーゲンセールではなかろうか?叩き売りとも言う。

 

「そうか……なら良いのか?」

 

「……良くねえよ……良くねぇよクソが……」

 

駄の人がボソッとそんな事を言ったが、当然スルーされた。

人権が無くなるとはかくも恐ろしいことなのであろうか、南無。

 

轟くんは「じゃあ言うけど……」と前置きをして、

 

「俺が回原と爆豪に内緒にするように言われたのは、ベストジーニストに誘われて行った『夜のインターン活動』……つまり『デニムナイト』の事だ」

 

「「「「………ほう(ん)」」」」

 

(……あ、これ死んだな)

 

詰みだ。詰んだやろこれ。

 

そして轟くんが教えてくれた六本木の夜の話。

 

(……売れないけど可愛い女性ヒーローが世間に内緒で働くBARとかあるんやなぁ……)

 

リアル過ぎて絶句。

 

「……爆豪、あの焼肉屋の話もしていいのか?」

「……もう聞くな……もう俺にそれ聞いた時点で終わりだクソが……」

「そうか?なら話すが」

「……クソが」

 

「けろけろ……ちょっと爆豪ちゃんが可哀想になってきたわねコレ……」

 

確かに!!

 

轟くんの話は、ベストジーニストさんに連れて行ってもらった都内にあるとある超高級焼肉店の話だ。

肉も超高級!!内装も超豪華で全部個室!!そしてやっばりお値段も超高級!!

極めつけは、お店のホールスタッフが全員水着姿のグラビアアイドルだったという所だろう!!いやぁ!!ビックリ!!

 

「……東京にはとんでもない店があるもんだね……で?そこで回原と爆豪は楽しんでいたのかな?」

 

「?楽しんでたんじゃねえか?『騙された……もうこうなったら肉食いまくるしかねえぞトンガリ』『クソが……肉は美味え……美味えぞクソが……』って言ってたし、楽しんでたんじゃねえのか?」

 

「……貴重なご意見、ありがとうございます轟さん」

 

「うんうん!!ありがとう轟くん!!ありがとうね!!ねえ!ねえ!ありがとうなのにあんまりありがとうな気分にならないね!!何でだろうね!!不思議不思議!!」

 

「ん」

 

「だねえ……何の『肉』を楽しんでたんだろうねぇ……全く」

 

うーん……

 

多分、好きな男の子があんまりよろしくないお店に行っていた……と知ったこの4人はちょっと平静を失っているけど……

 

(爆豪くんと回原くんは……これ、轟くんみたいに積極的には行きたいって感じでもないんじゃないかなぁ?)

 

……何となく轟くんの説明がセンシティブというか天然の所為で過激に聞こえているけど、実はあの2人そんな乗り気で行ってる感じでは無いのでは……

 

端から聞いていると、私なんかはそう思うんだけど?

 

そんな私の合っているのか間違っているのかよくわからない曖昧な考え。しかし、事態は私の意見など全く知らないとばかりに動き出す。

 

「……さて、第三者からの事情説明は終わりましたが……」

 

「………」

 

……ここからが、ここからが本題だ。

塩崎さんが、爆豪くんに問いを向ける。

 

「……で、何か申開きはありますか?」

 

「……けっ」

 

そして駄の人は不貞腐れた様子で、塩崎さんの茨で拘束された状態でそっぽを向き、

 

「んだよ……テメエに関係あっかよ……」

 

「……」

 

物凄く不貞腐れたような様子でそう言ってしまった。

 

「……俺が……俺がそういう店に行ったとして……テメエに何か関係あんのかよツタ女?」

 

「…………………………………………」

 

……誰も何も言えない。

言えなかった。

しかし……

(それは……それは、流石にアカンよ爆豪くん!!)

 

爆豪くんと塩崎さん……ちゃんと付き合っているという話はないが、雄英高校の誰もが『もうあれ付き合ってんだろ』とみなしている公認カップルである。

 

お互い憎からず思っているというかもう絶対好きあってるでしょはよ付き合え!!そう皆が思って見ている2人である。

なのに……これは……

 

「……言いたい事は……言いたい、事は……それで全部ですか?」

 

しゅるしゅると……爆豪くんを拘束してい塩崎さんの茨が……解けて戻っていく。

 

「……んだよ?」

 

気丈な……そんな、何処か泣きそうで……でも、皆の前では泣くまいと、必死に堪えているような塩崎さん……

 

「貴方の……貴方の、私に今言いたい言葉がそれだけならば……」

 

「……なら、何だってんだよ……」

 

その、塩崎さんが、

 

「私は、泣きますよ」

 

「………」

 

「……私は、多分みっともないくらいに取り乱して泣きますよ……今がヴィランとの大規模戦闘中の、ほんの僅かに許された休憩時間とか関係無く泣くでしょう。それでも……それでも本当に……本当に、貴方が私に言いたい言葉は先ほどのもので全てなんですか?」

 

 

(おおおおおおお!!!!)

 

不謹慎だが、思わず心の中で叫ぶ!!

 

(めっちゃ踏み込んだやん塩崎さん!!)

 

もうこれは実際告白みたいなものではないやろうか!!いや!!告白やん!!

 

そんな真剣な塩崎さんの言葉を聞き、真剣に塩崎さんを見る爆豪くん。

 

これに曖昧な言葉でお茶を濁すのはあり得ない。

そんな事をしたらナード爆豪と呼んでやろう。

今後貴様はナード爆豪だ。雄英高校の全ての女の子が貴様をナード爆豪と呼ぶだろう。

今後の学園生活の全てをナード爆豪として過ごすがよい。

文化祭では『雄英高校ナードコンテスト』をこれから開催する事とする。そしてナード爆豪のナードぶりを優勝という形で讃えるのだ。

デクくんをクソナードというが、これにまともに応えなければ真のクソナードとは今後ナード爆豪一択となる。

ちなみにナードには恋愛に奥手という意味もあるそうだ。グーグル先生が言うから間違いない。よって貴様はナード爆豪となる。

 

そんな皆の真剣な目が爆豪くんに突き刺さる。

「……ちっ」

 

それに戸惑う爆豪くんだが、逃げる事は流石に許さない。

 

一触即発の空気……今にも爆発しそうなそれ。それを……

 

「……爆豪。今こそベストジーニストから授かった秘技を見せる時じゃねえのか?」

 

「……お前……お前マジで……マジで少し黙ってろ半分野郎……」

 

轟天然爆弾が……この空気を破壊する!!

 

「今こそベストジーニスト直伝の最終奥義……ジャンピングデニム土下座を使うべき時だぞ爆豪……」

 

「……黙れ……黙れ……本当に……もう本当に黙ってくれ……頼む……」

 

「ベストジーニストが言っていた……しっかりと決まったジャンピングデニム土下座ならば、内緒でのキャバクラ通いは一度は許してくれる、と……今のデニムを履いているお前ならば……お前ならば、きっと出来る筈だ爆豪……」

 

「…………」

 

もういっそ今すぐ俺を殺してくれ。

そう死んだ目で轟くんを見る爆豪くん。

そんな爆豪くんをじっと見る塩崎さん。

 

 

それを見守る私達。

そんな私達に、

 

「……まあ、あれだな。俺達みたいな外野がいると2人も話し難い事もあるだろうしさ」

 

「骨抜」

 

……救世主が、舞い降りた。

 

「……爆豪……ちょい俺達席外すな……なんか色々悪いな。後はゆっくり2人で話してくれよ」

 

「………」

「………」

 

その場の視線を自分に集め、骨抜くんは「パン!!」と両手を叩き、

 

「よし!!じゃあ俺達あっち行くわ!!んじゃ!!また後でな塩崎!!爆豪!!」

 

「……おう」「……はい」

 

自ら率先して轟くんの背中を押し、この場を離れようとする骨抜くん。

 

そんな骨抜くんに。

 

「……そっか、そうだね……うん、確かにかっちゃんの性格だと皆がいたら自分が悪いとわかっていても素直に謝れないだろうし……確かにここは皆でこの場を離れて2人だけにしてあげた方がいいのかもね」

 

……そんな事をブツブツデクくんが言うやん。いたんやねデクくん……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………そうして、私達はその場に2人を残し、その場から離れた。

 

……そして、与えられた休憩時間が終わる頃、塩崎さんと爆豪くんが戻ってきた。

 

先ほどよりも、少しだけ距離が近くなった2人。

……でも、相変わらず言葉の刃で楽しそうにやりあう2人。

 

そんな爆豪くんの……そのデニムの膝……そこには、多分払ったんだろうが、払いきれない砂利が少しだけ残っていた。

 

(((((((あ、これジャンピングデニム土下座ったな)))))))

 

……しかし、私達はそんな無粋な指摘はしない。しないのだ。唯一しそうな轟くんの口はしっかりと骨抜くんが塞いでいた。

 

これは、そんな幕間の話。

激しいヴィランとの戦いの合間の、私達雄英高校生の、そんなお話。

 

後はそう……

 

「ふふふ……不思議不思議……」

「ん……」

「………」

この3人と回原くんだけど……こっちはどうなるのかなぁ……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

sideミリオ

 

 

「やあ回原くん!!」

「通形先輩!!」

 

異能解放軍の立て籠もった貸しホールのある建物。

それを包囲するヒーロー達。

 

その中に俺達の姿はあった。

未だ休憩も取れないが、ここが正念場だと周囲の士気は非常に高い。

そんなヒーローの中に俺たち二人はいた。

 

「作戦は聞いたかい?」

「少数精鋭での突入作戦するってやつですか?」

 

手に持っていた飲み物を渡しがてら、回原くんの横に並び話しかける。

 

「うん。おそらく俺と君の2人はその突入メンバーに選ばれるんだよね!」

「でしょうね」

 

俺たち二人は格闘能力に長けている。室内空間での戦闘ならば、まず間違いなく声はかかるだろう。

 

死地に飛び込むのはヒーローにとって誉れではある。しかし、

 

「……回原くん。俺はまだ君に借りを返せてないと思ってるんだよね」

「通形先輩?」

 

死穢八斎會との戦いの前の。あのサーとのやり取り。

あれは、回原くん本人がどう思っているかわからないが、俺にとっては明確な借りだと思っていた。

だから、

 

「……いつか、俺は必ず君に借りを返すよ。君のピンチには、俺は必ず君を助ける為に駆けつけるんだよね!!」

「……通形先輩」

 

……それが、この後の突入作戦での事になるか?それともそれ以外の事になるかはわからない。

でも、俺は彼に助けられたと思っているし、それを借りだと思っている。

 

……だからいつか!!いつかきっと彼にその借りを返すのだ!!

 

彼のピンチの時は、俺がまずその矢面に立って回原くんを助けよう。

絶対に助けるのだ!!

 

これは、そんな俺の誓いだ。

いつか果たされる俺の、そんな誓い。

 

……思ったよりも早く果たされる、そんな俺の誓い。

……思ってたのと違う形で果たされる俺の誓い。

 

……俺はまだ、この誓いの先に起きる出来事を、知る由もなかった……

 

……決戦の時が、迫っていた……




ほのぼの!!
やったねかっちゃん!!アニメでもこっちでも大金星だよ!!

……なお、ドリルとミリオの胃は考慮しないものとする
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