回原のドリルは天を貫く   作:のりしー

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なんてモノを見せてくれたのかしら……これに比べたら回原ちゃんのはカスね

sideミリオ

 

「ねえねえ旋くん旋くん夜のインターン活動って楽しかった?楽しんじゃったの?楽し〜い?楽しくな〜い?一体どっち?不思議不思議!!」

 

「デニムナイトねぇ……?夜遅くに帰って来た時とかも回原インターン頑張ってるんだなぁ〜流石だなぁカッコいいなぁやっぱ……って感心してたけど、まさかそんな風に夜のお店で楽しんでただなんて……イヤらしい!!」

 

「ん!!」

 

「ぎゃあああ!!これ絶対に轟だな!!轟だろぉ!!アイツいつか絶対やらかすと思ってたんだよ!!わかってたんだよクソォ!!」

 

立て籠もった異能解放軍を撃破し、俺達突入チームは胸を張り皆のもとに凱旋した。

当然なんだよね!!数的に圧倒的に不利な状況からのヒーロー側の大勝利!!そして最後の勝利のダメ押しを俺達が決めたのだから!!

 

敵を撃破し建物の外に出た俺達を、外で待っていたヒーロー達が歓声をあげ暖かく迎えてくれて……しかし……

 

(何かあの一角だけ明らかに雰囲気がおかしいんだよね!!!)

 

回原くんだけ開幕正座の巻何だよね!!

 

何故だ!!何故だい回原くん!!君またなんかやっちゃったの!?

 

波動さん、拳藤さん、小大さんというそれぞれタイプの違う麗しの女性ヒーローに囲まれ正座する回原くん。ある種の嗜好の持ち主にとってはご褒美の可能性もあるが、多分回原くん嗜好はどノーマルだと思うから普通に辛いと思うんだよね!!

 

「あらあら若いって良いわね……ねじれ、気持ちはわかるけどほどほどにしてあげなさいね」

 

「今からキャバクラくらいで目くじら立ててるとメンタルもたねーぞー。男には2種類いてな。行くって言ってからキャバクラ行く男と、内緒でキャバクラに行くってか行ってた男の2パターンだ。どっちにしろ多少は付き合いもあって行くんだから適当にそんなもんだと流しとけ」

 

「そーだぞー……蹴り殺すのはキャバ嬢にマジになってからでも遅くねえんだからな」

 

「「そうね(だな)」」」

 

上からリューキュウ、バーニン、ミルコのセリフである。

……何か前にあったんだろうかあの大人のレディ達にも……

 

そんな感じで4人の様子を遠巻きに大人となったヒーローたちは生暖かい目で見守っていた。

一部男性ヒーローが回原くんに対し「もげろ……もげろ……」「ああ……憎しみで人が殺せたら……」とか呪っていたけれど、まあ気持ちはわからないでもない。

 

(ははぁ……何となく事情はわかったんだよね……)

 

ヴィランとの戦闘は終わったにも関わらず、未だに厳しい表情を緩めない波動さん、拳藤さん、小大さん。

あの3人にとってはまだ戦闘継続中という事なのだろう。知らんけど。

 

「旋くん!!」「回原!!」「ん!!」

 

「ひぃぃぃ!!いや!その!!俺が行きたいって言った訳じゃなくて!!騙されたというか!!付き合いというか!!そんな感じなんですぅぅぅ!!!」

 

「「「言い訳無用(ん)!!!」」」

 

「ぎゃあああ!!師匠達の修行並みに理不尽だぁぁぁ!!!」

 

そしてどうにも怒りのおさまらない女性陣に回原くんが迂闊に言い訳(?)してしまったもんだから、更にヒートアップすることとなる。

 

「アーメンハレルヤピーナッツバターってところだなアホドリル……へっ!テメエも苦しめやボーケ」

 

「トンガリィ!!貴様ぁ!!貴様ぁ!!」

 

正座する回原くんに暖かい励まし(?)のような言葉をかけて、爆豪くんは塩崎さんと2人で去って行く。

 

「「「よそ見ダメ(ん!)!!」」」

 

「ぎゃあああ!!!」

 

助けて欲しい!!誰かここから俺を助けて!!その切実な想いが込められた回原くんの叫び。

 

どうしたものか……なんだよね……

 

(ヒーローとして俺は……回原くんがピンチの時には絶対に君を助けると誓った……誓ってしまったんだよね……)

 

それもついさっきである。

マジのマジでついさっきなのだ………

 

(……ふ……まさか……こんなにも早く、その誓いを果たす時が……しかもこんな形で来るだなんて思ってもみなかったんだよね……)

 

……だが、約束したのだ俺は。

ならば行かねばなるまい。

そう、俺はルミリオン。

全ての人は救えなくとも、百万人は救ってみせると誓ったヒーローなのだから!!

 

(さて……とはいえ、どうしたものかなんだよね!!)

 

ぶっちゃけ、三股してる後輩がその3人に内緒でキャバクラ的な夜のお店に行ってバレた時の仲裁方法なんて雄英で教わってないんだよね!!

冷静に考えたら回原くんが悪い気がするので、放置が正解な気もするけど……でも、そうも行かないんだよね!!

 

さてどうする?まあこれは結論痴話喧嘩だ。殴っておさめるなんて下策だろう。

少しだけ考え……そして俺は結論を下す。

 

 

 

 

 

【……ちなみに、このすぐ後にこの結論に至った事を滅茶苦茶後悔するんだけど……今の俺には知る由もなかったんだよね!!】

 

 

 

 

……うん、きっとこの4人には冷静になる時間が必要なんだよね!!

ならば俺に出来るのはこれだ!!

 

俺の大好きなギャグ!!サーに教えてもらったユーモアだ!!それでこの場を何とかおさめてみせるんだよね!!

 

俺は個性を使い地面に潜る!!

そして地面の中!!俺は弾かれるようにしてあの4人の間に!!正座する回原くんを庇うようにして、彼を囲む3人の少女達の前に飛び出る!!

そう!!俺は地面から飛び出るのだ!!

ケツ!!ケツから!!俺の桃のようなプリッとしたケツから飛び出るんだよね!!!

 

さあ見せてやるんだよね!!この通形ミリオ渾身の一発ギャグを!!

 

場合によっては世界を救う!!そんな世界線もあるかもしれない!!それくらい素晴らしい!!この俺の渾身のギャグなんだよね!!

 

 

 

「桃が!!生ってるよ!!!」

 

 

 

 

ケツから!!外にニョキッと出る!!

 

さあどうだ!!俺の渾身のギャグ!!

笑ってくれれば一番理想的。

もー何やってんの通形〜みたいに女性陣が呆れて、そして少し冷静になってくれれば儲けもの。

それを狙った俺渾身のギャグである!!

 

結果は……如何に!!

 

「あはは……うん……うんうん……不思議……不思議……通形は相変わらず面白いねぇ……」

 

「うん……うん、実は私も通形先輩のギャグ結構好きなんですよね」

 

「……ね……ね」

 

 

「ひぃぃぃぃい!!!!!!!!!!!」

 

 

 

 

そして結果!!こうなった!!

 

少しだけ……ほんの少しだけ、若干口元だけを緩めた波動さん拳藤さん小大さん!!

波動さん!!君こんな顔するキャラだったっけ!!付き合いソコソコ長いけど初めてみた顔なんだよね!!

 

それぞれ別種の見目麗しきヒーロー達は、その麗しさが凍りつく程の冷たい冷たい……本当にこちらの心が凍りつくような……そんな冷たい笑みを浮かべ、

 

「「「今真面目な話をしてるの(んで)。下がってくれる(ます)???」」」

 

 

「はい!下がります!!」

「先輩!!通形先輩ぃーーーー!!!!!」

 

速攻地面に潜って離脱したんだよね!!

波動さんのあんな顔初めて見たんだよね!!怖!!怖すぎるんだよね!!!!

 

瞬殺されたんだよね!!ユーモアで世界救えなかったんだよね!!

 

 

(怖!!キレた女の子怖いんだよね!!)

 

避難……うん、避難なんだよね。

正座を続ける回原くん達から少し離れた所に俺は飛び出る。

やっばぁ……女の子って怖……

 

そんな女の子が秘めた恐ろしさに触れた俺に、

 

「けろけろ……通形先輩、よく頑張ったわね」

「蛙吹さん」

「やぁ~お疲れ様です……はは!!災難でしたね!!」

「麗日さん」

 

そんな俺に、蛙吹さんと麗日さんが話かけてきた。

 

「私、思ったことは何でも言っちゃうの。先輩は頑張ったと思うわ。胸を張っていいと思うのよ」

「うんうん!!ですです!!」

 

「あはは……ありがとうなんだよね……」

 

俺を慰めてくれる後輩2人……その優しさに癒されるんだよね……ごめん俺ルミリオンなのに……

 

「かっちゃんがあれで許されて……回原くんがまだ許されてないということは、つまりベストジーニスト直伝のジャンピングデニム土下座がそれだけスゴイ謝罪力を秘めていたという事なんだろうか?いやでもただの土下座にそんな力があるんだろか?何かベストジーニストだけが持っている個性由来の極意のようなものがブツブツブツブツ……」

 

「はいはいデクくん……ちょっと落ち着こうか。誠意とかに極意とかないんよ。最後の最後に女の子に通じるのは、本当にごめんね、って思ってる男の子の真摯な気持ちだけなんやから」

 

 

なんか突然現れてブツブツ言い始めた緑谷くんを麗日さんがどうどうとなだめる。なんか物凄くいい話がスルー気味に消費された気がするんだよね。デクくんもったいないんだよね!!

 

 

「……そうか……そうか!!最後に通じるのは誠意なのか……よし!!」

そして、この会話を聞いていたらしい回原くんの……彼の次の動きによってまたこの話が次のステージに進む!!

 

「「「「「おおおおおおおおお!!!」」」」」

 

正座していた回原くんが宙を舞った。

何言ってるのかわけわからんとか思うかもしれないけど、マジで正座状態から回原くんは宙を舞ったのだ!!

本当に意味がわからない。

 

身体能力お化けにも程があるんだよね!!

 

 

そして!!宙を舞った回原くんが宙で一回転して再び地面に膝をつき!!頭を地面にぶつけるように下げ!!むしろぶつけてから叫ぶ!!

 

「俺が悪かったです!!すみませんでしたあぁぁぁ!!!」

 

土下座だ。

土下座である。

 

なんとも過激な土下座であった。

正座状態から突然宙を舞い一回転して再度土下座である。

もう訳がわからないんだよね!!

 

「ほう……ムーンサルトデニム土下座か……なるほど……私が教える前からそれを使いこなすとは……やはり、君にはデニムの才能がある……プラス100デニムポイントだ」

 

「ふっ……流石、見事ですね回原は。しかし……あの【僕本当は悪くないもん!!】という気持ちを隠せない表情は減点ではないでしょうか先輩?」

 

「私を見損なうな……そこを配慮した上での100デニムポイントだ」

 

「……そうでしたか……余計な口を挟みました、すみません袴田先輩」

 

「ふっ……」

 

しかし……何故かわかる人もいるんだよね!!

でもわかりたくはないんだよね!!

 

「はい聞きなさい皆……あれが諸悪の根源よ」

 

「あの5時までは真面目でアフター5クソな先輩ヒーローには絶対ついていくなよ〜変な沼にハマるからな」

 

「ハッハッハ!!信頼感マジで無いな弱虫ども!!」

 

「「ふっ」」

 

「「「いや頷くなよそこは反論しろよ」」」

 

リューキュウバーニンミルコという女性ヒーローからの酷評とかなんのその。

 

「ベストジーニストさん!!エッジショットさん!!」

 

回原くんの嬉しそうで嬉しくなさそうな声!!

 

それが全てを物語っていた。

 

どうも諸悪の根源らしきヒーロー2人が……ついにここに参戦し……

 

そして……

 

「ほう……俺の息子含め将来有望なヒーローの卵達をいかがわしい店に連れ回していた貴様らがここで来るか……」

 

「……エンデヴァーか」

 

そして!!更にエンデヴァーまで参戦!!

 

「さっきの決戦よりも!!よっぽど今の方がクライマックスみたいなんだよね!!!」

 

真面目にさっきまでの大決戦が前座になりそうなくらいの……そんな濃密な闘気が場に満ちあふれる。

 

「さあ……釈明があるなら聞こうかベストジーニスト……。俺の息子含め、未成年をいかがわしい夜の店に連れ回した合理的な理由……それがあるなら是非とも聞きたいものだな」

 

(((((エンデヴァー!!ブチギレてる!!)))))

 

コメカミ辺りに切れそうなくらい血管をピクピクさせるエンデヴァーの言葉。ほんと社会人の鑑なんだよね!!

 

「うむ……釈明はさせてもらうよエンデヴァー……」

 

それを真っ向から受けるベストジーニスト……おかしいな?さっきより空気が緊迫しているんだよね?ラストバトルかなこれが?

 

「……だが……だが、まずはエンデヴァー……私から、心からの謝罪させて頂う」

 

そしてベストジーニストは膝をつき、

 

「ぬう……」

 

……それを見て、思わずといった感じでエンデヴァーが唸る、

 

 

 

「「「「「「ぉぉぉぉぉぉぉぉぉ………」」」」」」

 

思わず……そんな感嘆の声が周囲からも漏れる。

それは、土下座だ。

土下座だった。

土下座であり土下座。

どげざでありDOGEZA。

 

 

 

何とも……何とも言葉として言い表せないような……そんな、とてもとても美しい土下座であった。

威風堂々としており、しかし真摯な謝罪の気持ちも伝わる……それは何とも……何とも美しい土下座であった。

気品があり、賎でなく、しかし謝意は伝わる……そんな美しい土下座。

 

「……けろけろ……私、思った事は何でも言っちゃうの」

 

 

その後光が差しているような美しい土下座……その美しい土下座を目にして、蛙吹さんがボソッと言った。

 

「なんてモノを……なんて土下座を見せてくれたのかしら……この土下座の前では……奇をてらった回原ちゃんの土下座はカスね」

 

「見る目があるなフロッピー……あれはオリジンにしてライジング……シンプルにして究極。アルファにしてオメガ。先輩が持つ数多い切り札の中においても至高……あれこそがラストワン。あれが真の土下座オブ土下座……デニム土下座だ……」

 

「けろけろ……この空間なんなのかしら……そろそろ帰りたいわ」

 

評論してしまった為に絡まれたんだよね!!どんまいなんだよね!!

 

しかしまあ思わず評したくなるくらい美しい土下座であった。

俺はこれまで生きてきてこんな美しい土下座は見たことがない。いや美しい土下座とはそもそもなんなんだろうか……

 

「頭を上げろベストジーニスト……謝罪は受け取った」

「ふっ……流石はエンデヴァー……」

 

「けろけろ……これ本当になんのラストバトルなのかしら……?」

 

謝罪を受け入れるエンデヴァーと、頭を上げるベストジーニスト……

何か壮大なバトルが始まっている気がする。知らんけど。

 

そして頭を上げたベストジーニストがこう言った。

 

「釈明すると言ったが、私からは謝罪するだけだ……釈明の言葉……というより彼の思いを彼から……貴方の息子さんから直接聞いてほしい」

 

「親父」

 

「焦凍……」

 

……そして、ここでベストジーニストに促され、一人の少年が前に出た。轟焦焦くんだ。

 

「ここで轟ちゃんの登場なのね……」

「ヤバいやん……絶対やらかすやん轟くん……」

「約束された爆弾なのよね轟ちゃんは……」

 

「親父……正直、俺の言葉に素直に賛同してもらうのは難しいと思ってる……でも、とりあえず俺の言葉を……思いを最後まで聞いて欲しいんだ親父……」

 

「……俺も、お前を含む子供達への接し方にはすまないと思っている事もある……言いたい事は正直あるが……とりあえず最後まで話してみろ、焦凍……」

 

「ありがとうよ……親父……」

 

「焦凍……」

 

感動的な……時と場合によっては実に感動的な親子の心通わせる1シーン。

……そして、爆弾が落ちた……

 

「俺は……俺は、親父を超えるヒーローになりてぇんだ」

 

「……焦凍?……うん?焦凍?」

 

戸惑うエンデヴァー……

 

しかし構わず轟くんが言葉を続ける、

 

「親父……俺は親父を超える為に……親父以上のヒーローになる為に、キャバクラに行きてえんだよ親父……」

 

「焦凍……ちょっと待ってくれないか焦凍……お父さんちょっと頭が追いつかない……」

 

しかし!!しかし構わず轟くんが言葉を続ける!!

 

「親父!!俺は!!俺はな!!親父に足りなかったものは!!それはたった一つだけ!!そう!!モテ力だと思うんだよ親父!!」

 

「焦凍……ちょっと待ってくれないか……本当に……本当に意味がわからないんだ焦凍……」

 

しかし構わず被せる轟くん……

 

(((((空気……読まないなぁ……この子……)))))

 

そんな皆の思いを胸に、轟くんが叫ぶ!!

 

「だから親父!!俺は親父を超えるヒーローになる為に!!そう!!親父に唯一足りなかったモテ力を身につけるために!!俺はキャバクラに通いたいんだよ親父!!!」

 

「……焦……凍……しょう……とお……しょ…う……とぉ……」

 

思わず……思わずといった様子で天を仰ぎこめかみを指で揉むエンデヴァー……

 

「けろけろ……人の親になるのって、大変なのね……」

 

そして蛙吹さんのそんな言葉が……不思議なくらいに周囲に響いた。

 

 

 

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