グルメウマチューバー:ライスシャワー   作:ちいさな魔女

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ミスター味っ子って有名なグルメ漫画ですけど、私は内容自体知らないんですよね。美味しんぼもそうですし、孤独のグルメもドラマを少し覗いた程度です。

しかし、あのかつ澤にも匹敵する極厚なカツ丼がある事だけは覚えていました。

今回のお客様であるミラ子には、味っ子の極厚なカツ丼を食べて貰いたいと思います。殆どのウマ娘にとっては少し多い程度の量だと思いますよ。あのかつ澤のカツ丼って、味っ子を意識したのかな……?


超極厚カツ丼

ライスは下校帰りに商店街に立ち寄り、次の配信に使う食材の買い出しに来ていた。今回使うお肉は、商店街の精肉店で手に入れる予定なのだ。

 

ライス「おじさん。お肉ありがとう」

 

精肉店の店長「おう!いつもありがとね!ライスちゃんの動画、楽しみにしてるよ」

 

ライス「うん!」

 

ライスはいつの間にか商店街の人気者になり、子供達もライスに手を振り、ライスも子供達の手振りに応じた。

 

子供達『『ライスおねーちゃーん!』』

 

ライス「はーい!」

 

子供達からの声援に、ライスも微笑んだ。

 

八百屋の女将「いつもありがとね。これ、人参だよ。ライスちゃん好きでしょ?」

 

ライス「ありがとう!」

 

八百屋の女将からサービスしてもらう。

 

ミラ子「ん?あれは………やっと見つけたぁ〜!」

 

すると、ライスの元に一人のウマ娘が早歩きで近付いてきた。

 

ライス「あれ?貴女はこの前の交流会でステーキ丼を作ってた……えっと、ヒシミラクルさんで良いかな?」

 

ミラ子「はい。ヒシミラクルですぅ。交流会以来だねライスちゃん。ミラ子って呼んでください。私の友達にも同じミラクルって名前の子も居るからね」

 

ヒシミラクル。元の世界だと菊花賞、天皇賞・春、宝塚記念を制したG1ウマ娘だ。しかし、ライスは彼女の名前をレース世界で一度も見ていない。

 

走ってない訳では無いだろうが、少なくともレース界において名前は出てない。デビューすらもしていないのだろう。

 

ミラ子「いや〜ライスちゃんに相談したい事があって、今回外泊届けを出してまで探してたんだよぉ」

 

ライス「ライスに相談したい事?」

 

ミラ子「うん。私って……本当の事を言うと、レースに興味なんて無いんだ。でもトレーナーさんが私の走りに目を付けたみたいで、どうしてもレースに出したいそうなんだよぉ。でも私は、レースに関わりたくないし、スポーツ系の大学に進学するか企業就職する為の足掛かりとしてトレセン学園に来たんだよねぇ。でも、トレーナーさんの意見に従うか、私のやりたいようにするか、どうすれば良いか分からなくて……」

 

ライス「そうなんだ……でも、どうしてライスに?」

 

ミラ子「周りに聞いても、多分レースで走る事を促されちゃうかもしれなかったし、トレーナーさんにも相談したら多分流されやすい私なんてすぐにレースに出ようっていう雰囲気に飲まれちゃいそうだったから。ライスちゃんに聞いた方が良い答えが見つかると思ったんだよ。レースとかにあまり興味無さそうで、ブルボンちゃんにも勝てる程強いのに、それでも料理配信者の道を進んでるんだから」

 

ライス「そっか。じゃあミラ子さん。ライスのお客様として、ご馳走して良いかな?」

 

ミラ子「えっ?良いの?」

 

ライス「食べながら相談する方が、お互いに言いにくい事も言えるかもしれないよ」

 

ミラ子「ホントに?ありがとう!」

 

ライス「ライスで良ければ、ミラ子さんの相談に乗るよ。良いアドバイスとか出来ないかもしれないけど」

 

ミラ子「大丈夫だよぉ。本音を打ち明けたいだけだしね」

 

ライス「よし。じゃあ決まり!ようこそ、本日のお客様」

 

ライスはミラ子に手を差し伸べる。ミラ子はライスの手を握る。

 

そして、二人は必要な食材の買い出しを終える。殆どはライスの持ち物だが、ミラ子が同じ量を持ってくれた。

 

施設に向かう途中で、ミラ子がライスに尋ねる。

 

ミラ子「所でホームページを見たけど、これから作る料理ってカツ丼だよね?」

 

ライス「うん。それも、デッカイカツ丼だよ。はみ出るカツ丼、食べたくない?」

 

ミラ子「かつ澤かな?」

 

ライス「あれでも良いけど、今回は味っ子だよ」

 

ミラ子「お父さんが持ってる漫画だよね?私も読んだよ。特にカツ丼は食べてみたかったんだよねぇ〜」

 

ライス「うん!でも、良いの?食べてる様子が配信で流れるけど」

 

ミラ子「大丈夫だよぉ。私、レースに興味無いからねぇ。食べ過ぎたり、遊んだり、でも勉強したりと、平穏な日常を送れたらそれで良いんだよぉ」

 

ライス「そうなんだ」

 

ライスはウマ娘は走るだけの存在ではないと考えている。グランドライブを開催した『ライトハロー』、アスリート系のウマチューバー『ソノンエルフィー』、走れなくなったウマ娘の為に最新の開発をウマチューブで発表した『シュガーライツ』等、レース以外で成功を収めたウマ娘も数多く居るのだ。

 

ライスもまた、料理系ウマチューバーとして成功を収めている。しかし、向上心はある。この前のジュエルミートの動画も、数日で百万回再生を突破した。ライスの知る漫画『トリコ』に出てくる肉であったため、完璧な再現は不可能だった。しかし、宝石のように輝き、味わいもある程度再現出来た。

 

これからも色々な料理に挑戦して、色んな人達に作り方を知ってもらいたいのだ。

 

ライス「着いたよ」

 

ミラ子「わあ………やっぱりお金持ちだねぇ」

 

ミラ子が見ても施設は大きい。歩く途中で話したのだが、どうやら施設の大半は食堂や調理場が多く、あらゆる料理に見合った調理場が存在している。此処に住みこみで働くスタッフや、通う形で働いているスタッフは、全員ウマ娘だ。しかもそれぞれが整備や料理、掃除等、多種多様な特技を持つプロフェッショナルだ。動画編集も、その内のスタッフ達の手で行われており、ライスの動画撮影にも協力してくれる。マネージャーやアシスタント、編集者に撮影スタッフ等の面々は、元々勤めていたテレビ局の陰湿なやり方に嫌気が差した所で辞めた後、ライスの父が彼女達を採用。テレビでしか出来ないような演出を生配信でも行えるように出来た。彼女達も仕事にやり甲斐を感じており、ライスも助かってるとの事。

 

編集者「ライスお帰りー!あれ?お友達?」

 

ライス「うん。そして、今日の配信のお客様の、ヒシミラクルさんだよ。超極厚カツ丼、作るからね」

 

料理人「おおっ!本当ですか!」

 

整備士「カツ丼は好きだから、極厚なカツ丼は大歓迎だよ!」

 

マネージャー「その前に、お風呂も済ませておきなさい。ヒシミラクルさんも、ゆっくりしていってね」

 

そして、当然この者も居る。

 

税理士「ライスさんのお料理は楽しみだわ〜。お金も入るしお料理も食べられて、ホントに此処に来て良かったわ〜」

 

会計士「ホントっすね。ボクもライスさんの料理が楽しみなんすから」

 

ミラ子「えっ?税理士に会計士まで居るの?」

 

ライス「勿論居るよ。お父様とお母様の紹介で雇って貰ったんだよ。二人は住み込みだし、腕前も優秀だよ。アラサーで彼氏も彼女も居ないけど」

 

税理士&会計士「「グハッ!」」

 

ライスのトゲが二人を襲う。言葉のトゲが二人を仰向けに倒した。

 

ミラ子「ライスちゃん……酷すぎない?それに、ライスちゃんだって………まあ、私もだけど」

 

ライス「ライス?結婚する気はないよ」

 

ライスはアッサリと言い切った。

 

ミラ子「まあ、それぞれで良いけど」

 

ライス「じゃあ、お風呂に入ってくるね。ミラ子さんもどう?」

 

ミラ子「あっ、ありがとね」

 

こうして、お風呂に入る二人。いよいよ始まる配信に備えて、お風呂で身体を清める二人であった。

 

――――――――――――――――――――――

 

19:43

 

ー皆、待っててね……ー

 

(ささやかな祈り:歌唱バージョン)

 

坂路の申し子:始まりましたね

 

名優:ライスさん……今回はカツ丼を作るそうですが、概要欄にはお客様が居る事を示唆されておりましたが、今回は誰でしょうか

 

ハルウララがんばる:私もカツ丼は大好き!

 

世代のキング:超極厚って聞いたけど、カツが大きいカツ丼なのかしら?

 

アイドルウマ娘:それは興味あるな。ライスのカツ丼を食べてみたい

 

日本総大将:ミスター味っ子みたいなカツ丼かな?

 

コメント欄には待機コメントが数多く投稿されており、誰もがライスの作るカツ丼を期待して待っていた。

 

カツ丼とあって、多くのリスナーが待っていた。

 

そして、配信が始まる。

 

ライス『はい。皆しゃん、こんライス〜。グルメウマチューバーのライスシャワーでしゅ!あっ、また噛んじゃった〜!』

 

ブロンズコレクター:こんライス〜。気にしてないよ〜

 

ターボエンジン:こんライスー!ライス可愛いぞー!

 

大器晩成:こんライスですぞ〜。ライスさん可愛いですー!

 

鉄の女:こんライスです。はい。ライスさんの魅力です

 

ライス『は、はい、こんライスです〜!ブロンズコレクターさん、ターボエンジンさん、大器晩成さん、鉄の女さん、いつも観に来てくれてありがとね。ある意味4人ともライスの常連さんだね』

 

ライスは画面に手を振る。

 

ライス『ホームページから来た人達も、この動画が初めての人達も、今回作るカツ丼の作り方をぜひ知ってほしいんだ。でも食べ過ぎはダメ!血糖値も上がりやすくなるからね!』

 

双国の女王:勿論です。しかし、参考にさせて頂きます

 

白い稲妻:せやな!食い過ぎはアカン!

 

ライス『走るウマ娘には、トレーニング後やレース後に食べるのなら良いと思うよ。食事は車に例えると燃料補給みたいなものだし。でも、食べた後に激しすぎる運動をするのもNG!少し身体を動かすだけなら良いけど、激しいと消化不良を起こすし、良い事は一つも無いよ』

 

影をも恐れぬ怪物:そうだな。私もそれで注意を受けた

 

皇帝:私もだ。不本意ではあったがな

 

ターフの演出家:確かに食べた後に激しく動いたら、お腹が痛くなっちゃうよね

 

ライス『まあね。さて、本日もお客様がいらっしゃいます。今回は向こうからライスの所へ来て、カツ丼を食べながら話したい事があるみたいです。本日のお客様は、この方です』

 

ライスがそう言った瞬間、ライスの画面が端に移動し、代わりにあるウマ娘が画面に映る。

 

ミラ子『はぁ〜い皆さん。ヒシミラクルですぅ。トレセン学園に通う普通のウマ娘ですよぉ』

 

麗しのステイヤー:ミラ子ちゃん!?

 

煌めく一等星:ミラ子さん……まさか貴女まで出るなんて……

 

幼馴染系ウマ娘:先輩がお客様……あっ!カツ丼目当てですね!!

 

漆黒の帝王:ヒシミラクル……食べ過ぎは、良くない

 

気ままなお姫様:ライスちゃんに相談って何かな?

 

ライス『なんかコメント欄にミラ子さんの知り合いらしい人達が居るよ?』

 

ミラ子『あっ、そう言えば生配信だったね。皆も見に来てるのかな。友達も沢山来てるみたい。でも大丈夫かな?トレーナーさんも観てないよね?』

 

ライス『もしかして、トレーナーさんと何かあったの?』

 

ミラ子『いや〜、トレーナーさんは私に目を付けたらしくて、私を褒めまくってトップロードちゃんと競わせたんだよね〜。というかあの時の併走だって、私は出るつもりは無かったのにトレーナーさんに押されちゃいまして〜』

 

ライス『断らなかったの?』

 

ミラ子『いや〜なんか断れない雰囲気だったし。やっぱりトレーナーさんの意見に従っていく方が楽かな〜。私に目を付けた以上、何を言っても褒めまくって私を引き留めようとするわけだし………身を任せた方が良いのかな?なんて〜……』

 

ライス『……ライスが言えた事じゃないけど、流されるがままは、一見楽に思えるけど……実はとても危険なんだよ。身勝手過ぎるのも良くないけど、流されるがままなのももっとダメ。それこそ、自分にとって不利になる状況でも断れなくなって、逃げる勇気すら無くなってしまう。それは次第に自分らしさも失うし、疲れても行使され続けてしまう。下手すれば取り返しのつかない所にまで発展してしまうかもしれない。だから………ミラ子さん……』

 

ライスは告げる。この世界には無い漫画に登場する、一人の男が放った言葉。

 

ライス『嫌と思ったらね、逃げたっていいんだよ』

 

ミラ子『ッ!』

 

名優:ライスさん……貴女にわたくしは…………

 

坂路の申し子:ライス………申し訳ありません……私は……

 

ライス『………』

 

ライスはコメント欄の二つの知り合いらしいコメントを見たが、すぐに無視した。今はミラ子の返事が最優先だ。

 

ミラ子『アハハ……嫌なら逃げて良い……かぁ。それが出来るなら苦労は………まだ明確にやりたい事も分からないし……でもありがとう。私、もうちょっと考えてみるね』

 

ライス『……うん。それじゃあ、カツ丼作っていくね』

 

ライスは材料を用意し始める。

 

肉、小麦粉、パン粉、卵といったカツ丼に必要な材料は沢山揃っている。しかし、肉の大きさは普通とは違う。

 

ライス『これ、肩ロースだよ』

 

ミラ子『肩ロースのカツ丼は美味しそうだね〜』

 

ライス『歯応えも良いからね。この生のお肉を使ったカツ丼。ライス用とお客様用、二つを作っていくよ』

 

ミラ子『サービス良いですねぇ』

 

ライス『ミスター味っ子と同じように、高温で10秒、低温で7分か8分位揚げてくよ。山芋もキーポイント。それから、今回はバッター液を使っていくね』

 

ミラ子『バッター液?』

 

ライス『パン粉をフライに使う液だよ。バッターはアメリカで小麦粉と水を使ったドロドロのものだよ。バッター液は卵と小麦粉、水を使って作れるからね。そして、其処にすり下ろした山芋を入れて使っていくね』

 

そして、いよいよ調理に入るライス。

 

ライス『先ずはバッター液からね。卵と水をボウルに入れて、其処にふるった小麦粉を入れます。すり下ろした山芋もボウルに入れて、泡立て器を使ってよくかき混ぜます。お肉は厚いから、昨日料理人さん達に頼んで塩コショウで下味を付けてもらいました』

 

ボウルに卵と水、ふるった小麦粉、すり下ろした山芋を入れてよくかき混ぜるライス。ウマ娘の力でかき混ぜているせいか、重さを感じさせずに速く混ぜている。

 

ライス『しっかりと混ぜてトロミが充分付いたら、お肉をバッター液全体に漬けます』

 

ライスは肉を掴み取ると、そのままバッター液に漬けて肉全体に馴染むように肉を手で回す。素手ではなく、きちんと手袋をしている。

 

ライス『これ、凄いよ。トロミだけでなく粘り強さもあるよ。例えるなら、足が中々抜けない田んぼみたい』

 

ミラ子『分かりやすい例えをありがとうございました』

 

世界制覇の大エース:田んぼみたいかぁ。そう言った割には軽々と回してんなぁ

 

ライス『ウマ娘だしね。でも、バッター液には欠点があるんだよ』

 

ミラ子『欠点?』

 

ライス『油を多く取ってしまうんだよ。油で揚げた後に、バッター液の中に多く油が含まれやすいの。そしたらカツは脂っこさが増すんだよね。お肉の美味しさが薄れちゃうの。ソレが好きな人はいるかも知れないけど。それだったら卵と小麦粉だけでも充分だからね』

 

ライスはパン粉にカツを移し、全体にパン粉を覆わせる。

 

ライス『パン粉にまぶしたら、油に移します。200℃位の高温の油で10秒揚げます。でも衣に色が付くまでやる方が良いかもね。だから10秒超えるかも知れないけど、其処はまあ、臨機応変に、だね』

 

ライスは油を大量に入れた鍋に網を敷くと、カツをその上に置いた。そして、カツは網と共に油の中へ沈んで行く。

 

ジュワアアアァァァッ!!

 

油の中で揚がっていくカツ。油で揚がる音が、食欲を刺激する。現場は美味しそうな香りが漂っているだろう。

 

ミラ子『わぁ♡美味しそう♡』

 

帝王:カツ丼食べたくなってきちゃった!

 

変幻自在:まだ早いよ!?

 

ライス『これを10秒で揚げてた味吉陽一君は凄いよね』

 

ブロンズコレクター:おっ?ミスター味っ子を読んだんだね。アタシも見てたよ〜

 

大器晩成:私も実家に持ってます!父から借りてよく読んでました〜!

 

ライス『そっかぁ。じゃあ、尚更頑張って作らないとね。衣に色が付いたら、カツを取り出します』

 

カツをトングで掴んで取り出すライス。網を付けたトレイに乗せた後に少し休ませた後に、別の鍋の前まで来たライス。

 

ライス『少し休ませたら、150℃の油で10分揚げて火を通します。二度揚げする事で一回よりも衣がサクッと揚がるんだよ。唐揚げと違うのは、唐揚げの二度揚げはより高温でやる事かな』

 

そして、鍋にカツを入れるライス。

 

ライスはその間、ミラ子やコメント欄との雑談に時間を掛けて、タイマーが鳴って10分が経過した事を確認。

 

ライス『カツを取り出し、余分な油を切ります。そしたら少し休ませて粗熱を取りましょう』

 

カツを網を張ったトレイに乗せる。因みに網の下にはキッチンペーパーを敷いているのだ。

 

ライス『休ませてる間に和風カツ丼用の汁を作りましょう。出汁4、みりん1、濃口醤油1、砂糖0.5を鍋に入れて合わせたら、火を入れます。その間に玉ねぎを薄めにスライスした後、フライパンで炒めます』

 

ライスは汁を温めている間に、玉ねぎを細かく刻んでいき、カツ丼用の玉ねぎを作っていく。そして、スライスした玉ねぎをフライパンに移して火を入れ始めた。

 

ライス『じゃあ、熱した汁を玉ねぎに掛けます』

 

ライスはお玉で汁を掬い取ると、フライパンの玉ねぎに掛けていく。スプーンで汁を掬い取り、味見をするライス。

 

ライス『あっ、甘めなんだ』

 

ミラ子『へぇ〜。辛めかと思ってました』

 

ライス『玉ねぎ入れても更に甘くなるんだね。まあ食べる分には問題ないよ。アシスタントさん、フライパン見ててね』

 

アシスタント『はい、お嬢様』

 

ライスはアシスタントに玉ねぎを炒めさせている間に、カツを素手で掴んでまな板に移す。ライスの素手でやっと掴める太いカツに、コメント欄は驚きの声を上げていく。

 

ライス『その間に、カツを切っていきます』

 

ライスはカツを包丁で切る。その時、倒れたカツの断面が画面にも映る。火の通ったカツらしい白い肉の身は、見るだけでも食欲を刺激する。

 

大器の英雄:わぁ♡美味しそうですライスさん!

 

九冠の女王:凄いわ……負けてられないわ!私も作るわ!極厚のカツ丼!!

 

ライス『ライスは何時でも受けて立つよ。九冠の女王さん。さあ、フライパンにカツを入れるよ』

 

ライスは切ったカツをフライパンに乗せる。

 

料理人『卵溶きましたー』

 

メイド『コチラも終わりました』

 

ライス『ありがとう。カツ丼を作る時のコツだけど、卵はカツの上じゃなくて、周りに掛けるんだよ。切った箇所から卵が入るから、上から掛けなくても充分中身にも通るんだよ』

 

ミラ子『成る程〜。参考になるね〜』

 

そして、料理人とメイドがフライパンに乗ったカツに被せないよう、カツの横に卵を掛けていく。玉ねぎが卵と絡み、肉と肉の間にも流れ込んでいく。

 

ライス『そしたらフライパンに蓋をして、火を止めます。余熱で温めて、カツと卵、玉ねぎに火を通します。その間に、ご飯をよそるね』

 

そして、ライスは大きめの丼を取り出すと、炊飯器の中の白米を丼によそっていく。カツ丼らしいご飯は、炊きたてなのか煙を出している。そして、見るだけでも食欲が沸き上がる。

 

ミラ子『美味しそう〜♡』

 

ライス『炊飯器のご飯を盛り付けたら、ご飯に三つ葉を乗せます』

 

三つ葉をご飯に掛けて、カツの入ったフライパンを丼の側に置いた。蓋を取ると、大きなカツが最初に目に入る。

 

女帝:中々ボリューミーだな

 

超大型ウマ娘:ボーノッ!ビッグなカツだね〜!

 

マーベラスの伝道師:マーベラス!!大きなカツだよー!!

 

ライス『ま、マーベラス?まあ、兎に角大きいでしょ?これを丼に盛り付けます。味っ子では主人公どうやって盛り付けてたんだろう?まあ、ライスのやり方でやるけどね』

 

ライスはそう言った後、フライパンに乗る卵や玉ねぎ、そしてカツを丼に移していく。フライパンを傾けて、フライ返しで倒れないよう押さえつつ、丼に上手く盛り付けるライス。玉ねぎ一つ漏らさない腕前に、ミラ子は興味津々で見ていた。

 

ライス『はい!超極厚カツ丼の、完成です!!』

 

ミラ子『おおーっ!!美味しそう!!』

 

巨大なカツが乗る丼。カツの下には卵と玉ねぎ、そしてご飯。シンプルながらもボリュームのある一品。

 

そして、自分用も同時に作っていたライス。

 

ライス『お待たせしました。超極厚カツ丼です』

 

ライスは二つの丼を持って、食堂までやって来た。カメラが切り替わって、ライスが丼を運ぶ様子が映し出される。

 

そして、ミラ子のテーブルまで来た後、ミラ子の前にカツ丼を置いた。

 

いつの間にか添えてある大根の漬物と、豆腐とわかめの味噌汁。超極厚カツ丼の定食が、ミラ子の目の前に置かれている。

 

ミラ子『待ってました!』

 

ライスも自分の元にカツ丼を置いて、向かい合うように座る。

 

因みに、二人は円形のテーブルで向かい合うように座っている。

 

ライス『それじゃあ食べましょう!せーの……』

 

ライス&ミラ子『『頂きます!』』

 

二人は合掌をして、ご飯を食べる前の挨拶を済ませる。そして、箸を手にした後、カツを玉ねぎと共に箸で摘む。箸で摘むと、摘みきれなかった玉ねぎや卵が零れ落ちて、ご飯に掛かる。

 

ライス『やっぱり凄い肉厚だね』

 

ミラ子『衣も硬すぎず、柔らかすぎずで美味しそう♡』

 

ダンスギャル:マジで美味そうじゃん♡

 

最強マイラー:美味そうデース!

 

ライス『じゃあ、食べまーす♡』

 

二人は肉の厚さとカツのサクサク感を箸伝いで感じ、涎を飲む。

 

そして、二人はカツに齧り付く。齧り付いた後に先ず来るのは、舌先に感じる衣の味。そして、噛みちぎった後に肉が口の中へ入り、肉の厚さと歯応えが咀嚼と共に感じられる。僅かに聴こえる咀嚼音が、肉汁の染み出る音と肉の潰れる音、そして衣のサクサクとした音が、カツ丼の美味しさをより伝え、観るだけでも食欲を刺激する。

 

爆アゲパリピウマ娘:マジヤベ……腹減ってきたわ…

 

女傑:ハハハッ!こりゃ参っちまうねぇ!

 

ミラ子『お肉の厚みが良い♡歯応えも抜群だよ!衣もサクサクで、卵も衣と絡み合って濃い味をより引き立ててる!』

 

ライス『卵だけじゃない!三つ葉やご飯もカツと一緒に食べる事でお互いの味を引き立ててる!肉だけじゃ濃いし米だけでも薄い!やっぱりカツ丼はこうでないと!』

 

ライスは米や卵、三つ葉をカツに乗せてから齧り付く。それぞれの良さが引き出され、食欲を刺激する。

 

ミラ子『ガブジュッ!シャクシャク……プチュリ……タレの掛かったご飯も美味しいよこれはぁ!』

 

ライス『シャクシャク……モニュッ……アーッ……』

 

二人はいつの間にか、舌を出してカツを舐めつつ齧り付くようになる。

 

坂路の申し子:ガフッ!?は、鼻血が………

 

小さな天才少女:ブルボンさん!?

 

麗しのステイヤー:食べるミラ子ちゃんは可愛いですけど、なんか凄く、凄い色っぽいです……

 

ハルウララがんばる:なんだろう?ライスちゃん見てると、胸の奥がムズムズしちゃう…………何か、忘れてるような……何か………えっと………

 

世紀末覇王:ミラ子さん……食べる姿は、なんと妖艶であろうか……

 

不屈の挑戦者:お二人共、なんだか美味しそうに食べてますねぇ

 

そして、カツ丼を食べ終えた二人。漬物を食べた後に味噌汁を飲み、軈て味噌汁と漬物も全て食べ終えた。

 

ミラ子『ふぅ……御馳走でした〜』

 

ライス『うん、ご馳走様でした』

 

皇帝:お粗末様

 

のんびりステイヤー:お粗末様ですわ〜

 

破天荒:お粗末様ー

 

コメント欄もお粗末様のコメントで溢れる。

 

ミラ子『ねぇライスさん。私、食べながら決めた事があるの。さっき、ライスさん言ってたよね?嫌なら逃げても良いって』

 

ライス『うん』

 

ミラ子『私、やりたい事が一つ見つけられたんだ。トレーナーさんとレースでも良いけど、私やっぱり普通の女子高生生活が良いんだよ。でもやりたい事が出来たよ』

 

ライス『うん』

 

ライスはミラ子の話に耳を傾ける。

 

ミラ子『私、料理屋をやりたい。お好み焼き屋をやりたいんだ』

 

ライス『そっか。ミラ子さんのお好み焼き屋、行ってみたいね』

 

ミラ子『ふふ〜ん。私、お好み焼き作りには自信があるよ!夢を叶えるのは大変かもしれないけど、やってみせるよ!』

 

ミラ子の顔は自信に満ちあふれていた。

 

ライス『うん。ミラ子さんの料理屋、楽しみにしてるね。今夜は泊まって行ってよ。鉄板でも出来る料理を、いっぱい教えて上げる』

 

ミラ子『ありがとうライスちゃん!』

 

ライス『それじゃあ、本日の配信はここまで。皆も観てくれてありがとう!次回はキャンプ料理の配信をやりたいと思います!では皆さん!おちゅライス!』

 

ミラ子『は〜い。おちゅライス〜』

 

ライス『はぅ』

 

ーありがとうございます……ー

 

(舞台に立って(YOASOBI):歌唱バージョン)

 

ブロンズコレクター:おっ!新しい曲?

 

ターボエンジン:すごーい!元気が出るもん!

 

大器晩成:ウマ娘の為にあるような曲ですなぁ!

 

鉄の女:ええっ。勇気が出ます!

 

スポーツラブ:うおおおおおっ!!燃えてきましたー!!

 

熱き大和撫子:ライスさんの配信をエルフィーと観ていたけど、私もエルフィーにカツ丼作ろうかしら

 

新たな曲の早い公開にコメント欄が良い意味で燃え上がり、多くのコメント欄が『いいね』系で溢れていった。

 

――――――――――――――――――――――

 

トレセン学園にて、ミラ子はトレーナーと話をしていた。

 

ミラ子「あれから暫く考えました。私、やっぱりデビューはしません。私は私の考える普通の人生を歩みたいと思います」

 

ミラトレ『そんな!君の才能は、腐らせるには勿体ない!トゥインクルシリーズで勝てる才能が君にはある!ホントにそれでいいの?』

 

ミラ子「心配してくれてありがとうございます。声を掛けてくれてありがとうございます。ですが、私はやりたい事を見つけたんです。申し訳ありませんが、どんな褒め言葉を貰っても、私はトレーナーさんとは契約しません。そしてレースにも出ません。元々レース自体に興味は無いですし、走るのも健康の為だけで充分です。この前の話、お断りさせて頂きます」

 

ミラトレ『……そっか。君が其処まで言うなら……でも俺は、君の走りを腐らせたくは………』

 

ミラ子「まあ、この前みたいに私の意志に関係なく併走させた件、忘れてませんからね。無理矢理でないなら、併走は別に構いませんよ。そもそもトレセン学園って、レースに出る事は義務ではありませんからね」

 

ミラトレ『………あっ、そう言えばそうか』

 

意外に思われているかもしれないが、実はトレセン学園は入学するとレースに必ず出なくてはいけないというルールは存在しないのだ。そういう風潮があるというだけで、公式のルールには存在しない。その風潮に流されるがままデビューして、何の成果も残せずに学園を去るウマ娘も少なくない。もしそうなら、レースを引退した時点で退学或いは卒業しなくてはならないというルールがある筈なのだ。

 

ミラ子はライスとの配信後、改めてトレセン学園のレースに関するルールを自分て調べられる範囲で調べ、更に理事長の秘書である駿川たづなさんからも聞いた。

 

ミラトレ自身も、どうやらレースは義務ではないことを改めて思い出したのだ。

 

ミラ子「それじゃあ、私は失礼します。今からやりたい事をやって来ますので!それでは!」

 

ミラトレ『あっ、ミラ子………!』

 

ミラトレが止める間もなく、ミラ子は走り去ってしまった。

 

それから数日後。トレセン学園のカフェテリアに訪れたミラトレ。

 

ミラトレ『あれは……』

 

彼が其処で見たのは……。

 

ミラ子「さあさあ皆〜!ミラ子の鉄板料理、鉄板で焼ける料理なら何でも焼いちゃいますよ〜!」

 

其処には頭に鉢巻きを巻いて、エプロンに身を包んだミラ子が、多数の鉄板に囲まれながら、鉄板の上の食材を焼きながらヘラで捌いて調理していた。

 

タップダンスシチー「ワオ!熱いぜミラ子!アタシ、鉄板で焼くビーフステーキを頼む!」

 

ファインモーション「ミラ子ちゃん!焼きそば焼いてー!」

 

ダンツフレーム「ミラ子先輩!お好み焼きをお願いします!」

 

タキオン「悪いが豆腐ステーキを焼けないかね?今、トレーナー君に肉や魚を禁じられてねぇ」

 

ジャングルポケット「おーい!クレープのフルーツミックス頼むわ!」

 

ミラ子「はいはーい。ビーフステーキ、焼きそば、お好み焼き、豆腐ステーキ、クレープのフルーツミックス、焼きまーす!」

 

ミラ子は鉄板で、お好み焼きや焼きそばを焼いていく。更にデザートや豆腐に至るまで、鉄板だけで料理していく。

 

タマモクロス「おう!たこ焼きでも何でも焼くでぇ!コミちゃんも食べてけやぁ!」

 

小宮山トレーナー「うん!タマちゃんのたこ焼き、楽しみにしてるよ!」

 

いつの間にかタマモクロスも参加し、担当トレーナーや食べに来た生徒達の為に料理していく。

 

ゴールドシップ「おっしゃあ!ゴルシちゃん特製焼きそば!食いねぇ!食いねぇ!」

 

ゴールドシップもいつの間にか参加し、ミラ子よりも速く焼きそばを作り上げていく。

 

タマ「よおしミラ子!ウチも焼いたるで!ミラ子もじゃんじゃん焼きぃや!」

 

ゴルシ「焼きそばは任せな!!」

 

ミラ子「はぁい。勿論ですよぉ〜」

 

三人の料理人によって、カフェテリアはかつてない熱気に包まれていく。

 

ミラトレ『俺も、何か頼めないかな?』

 

ミラ子「あっ、トレーナーさん。はい、どうぞ。鉄板で焼けるのなら、大抵は作れると思いますよ〜」

 

ミラ子はこうして、鉄板料理を週一のペースで披露する。

 

後の世で鉄板料理の店を出し、そして鉄板で作れるあらゆる料理の鉄人ウマ娘として世間を賑わせる事となり、鉄板料理の頂点となるヒシミラクル。しかしそれはまだ、先の話である。




料理名

・超極厚カツ丼
原作『ミスター味っ子』にて登場する、主人公・味吉陽一君が初対面の味皇こと村田源二郎に作った“味吉陽一特製超極厚カツ丼”。多くの料理人が再現した。1話を少しだけ読んだけど、二度揚げして焦げ付かないようにしていたらしい。超高温で揚げた後に低温の油で揚げる。二度揚げする唐揚げとは逆のやり方みたいですね。

『カツ丼』
小麦粉
バッター液
パン粉
肉:450〜500g
塩コショウ
揚げ油
三つ葉
卵:2個
ご飯:650g

出汁:4
みりん:1
濃口醤油:1
砂糖:0.5

バッター液
小麦粉:60g
卵:1個
水:30ml
山芋おろし:50g

ダンダダダンツ:ダンツフレーム→幼馴染系ウマ娘:ダンツフレームに変更しました。

スポーツラブ:ソノンエルフィー

熱き大和撫子:都留岐涼花(つるぎ りょうか)
 
次回のお客様は、キャンプ飯という事でデアリングタクトになります。ミラトレの口調は、アプリ寄りで敢えて男性にしてます。

トレ✕ウマ娘?無い訳ではありませんが、この作品では基本ありません。
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