グルメウマチューバー:ライスシャワー   作:ちいさな魔女

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海鮮料理ってある意味お肉より美味しいですよね。

今回の話には、今皆さんがウマ娘でプレイしてるシナリオに登場するレジェンドのウマ娘が出る事になります。特にハイセイコーの声優には驚かされましたよ。小さい頃好きだったアニメの主人公と同じ声優さんだったのですから。

部活の設定は私のオリジナルです。足りない頭で考えました。

海鮮料理の作る過程は今回は飛ばします。なにせメインは、サンジがナヴァロン要塞で海兵に作った料理ですから。まあ参考動画は一通り見ましたが、今回は参考程度です。長くなりそうなので、サンジのやり方の方を描写したいと思います。


ラ・キュイジーヌ・ア・ラ・カルト

ライスが通う学校は、都内でも有数の名門校であり、お淑やかなお嬢様が多く通うお嬢様学校だ。所謂女学院である。

 

その女学院はトレセン学園のようにウマ娘の為のトレーニング施設もあるが、レース目的ではなく自己を高める為に使うトレーニング施設であり、ヒトミミ達もウマ娘達と一緒に使っている。更に最新の施設や部活動、SNSサイトやウマチューブといった動画配信業、和洋折衷含めてあらゆる国の食文化も積極的に部活動として取り入れる融通の効いた面もあり、ライスのウマチューブ活動も難なく行えた。並の大学よりも整った施設や部活動、学園の広さも相まって入学希望者も多い。しかし、試験や面接も厳しいものであり、特に面接ではある事が重要なテーマである。『将来自分が何をしたいか。その為に何をすべきか。そして何があっても夢を叶える覚悟はあるか』である。

 

ライスは試験も受かり、面接でも自分の気持ちを正直に打ち明けた。レースに出る勇気も無く、レースに勝つバッシングが怖くて出られなかった弱さも打ち明けたのだ。しかし、皆を幸せにする為にウマチューブで美味しい料理を皆に届け、幸せをプレゼントしたいと、心を込めて面接官に訴えた。

 

それが面接官の心を射止め、ライスは合格。現在、この女学院の生徒として、偶に走りながら日々を過ごしている。

 

因みに、生徒は必ず部活動に所属する事になっている。学園の方針により、部活動を通じて社会でも活躍出来る人材を育成し、それと同時に生徒同士の交流も兼ねているのだ。

 

ライスは所属しているのは、料理部だ。料理研究を主に行っており、調理師や料理人を目指す生徒達が主に所属している。中には将来結婚して家族の為に美味しい料理を作れるように学びに来ている生徒も居る。そしてこの料理部で一定以上の成績を収めた生徒は、特別に学園の厨房で料理人から直接料理の心得を教えてもらえるのだ。調理師免許取得に一番近い為、ライスもこうして部活に所属している。

 

現在の部員はライスを含めたウマ娘8名、ヒトミミ女性10名の、合計18名だ。

 

ライス「皆お待たせ。今度の配信で作るのは海鮮料理だから、海鮮丼を練習で作ってみたよ」

 

部員達『『おおっ♡』』

 

ライスは部員に料理を出す。今回ライスが作ったのは、マグロのたたき身やサーモン、イクラにホタテを盛り合わせて作った海鮮丼だ。初めて挑んだ海鮮料理だが、案外上手く行くものだ。転生能力としてありとあらゆる料理を作れるが、海鮮丼は初めてだ。

 

部員『『いただきまーす!』』

 

部員で海鮮丼を食べ始める。

 

部長「モグモグ………ん〜美味しい♡流石はライスちゃんね♡」

 

部員「海鮮丼って食べたくなっちゃうよね〜」

 

部員「分かります!特にライス様のお料理は、学院でも随一ですから!」

 

ライス「えへへ。今度の配信で海鮮料理を作るつもりだったから、皆に美味しいって言ってもらえて良かったよ」

 

顧問「それは良かったわ。ライスちゃんならきっと、素敵な料理人になれるわよ。もし調理師免許の取得を目指すなら言って頂戴。何時でも協力するし、厨房の料理人にも教えてもらうよう取り計らうわ」

 

ライス「うん。ありがとう先生」

 

ライスも箸で青葉とマグロを挟むように摘み、白米と共に食べる。これこそが海鮮丼の醍醐味である。

 

ライス「ムニュ………ミュポ………ん〜美味しい♡」

 

ライスも海鮮丼の味に酔いしれる。食べる事が好きだったライスにとっても、今回の海鮮料理が成功したと確信した。

 

―――――――――――――――――――――――

 

それから暫く経過した日。後一ヶ月でミホノブルボンが出バする菊花賞が始まる。

 

ライスは海鮮料理に使う材料を市場で買い込み、運転手の運転するワゴン車に詰め込んだ。

 

ビンチョウマグロを丸ごと買い、その他の様々な海鮮料理の材料を買い込んだライスは、助手席に座る。

 

運転手「じゃあライス。施設に行こうぜ」

 

運転手もライスの為に雇われたウマ娘で、運転歴10年のベテランだった。彼女は元トレセン学園の生徒であったが、G3レース1勝を成し得て引退したウマ娘だ。とはいえ重賞を勝てたのは事実であり、それ以降は車に惹かれて自動車に関わる仕事に就く。しかし上司との折り合いが悪くなって仕事を辞めてしまい、行く宛が無い所をライスの母に拾ってもらい、こうしてライスの荷物運びとして車を運転していた。

 

呼び捨ての理由は、ライスが好きなように呼んだり話しても良いと許可したからである。

 

ライス「ありがとう。今回マグロが丸々一つあって良かったよ」

 

運転手「見た時は驚いたぜ。なんせワゴン車の後部座席全部畳まなきゃ行けなかったんだからな」

 

ライス「でもマグロは欲しかったから、作りたかった料理にマグロが必要だったからね」

 

運転手「まっ、ライスの料理美味いしな!期待してるぜ!」

 

ライス「うん!」

 

こうして、ワゴン車はライスの使う施設に向かって行く。2分程で到着した後に施設の扉が開く。因みに両開きである。

 

メイド「お嬢様!」

 

メイドがライスの座る助手席の隣にやって来た。ライスは窓を開けると、メイドに尋ねる。

 

ライス「どうしたの?」

 

メイド「大変なお客様が来られておりまして、お嬢様にお会いしたいとの事です!」

 

ライスは荷物をメイドや運転手に運んでもらうよう頼み、我先にと施設の中へ入る。

 

???「やあ、君がライスシャワーだね?」

 

???「突然お邪魔して申し訳御座いません。ご両親にお会いして挨拶を済ませてからこちらへ参りましたが、卿が丁度来て頂いて感謝します」

 

???「よろしく!ライスシャワーちゃん!」

 

ホールでソファーに座って待っていたのは、三人のウマ娘であった。一人は緑のスーツが似合う威厳のあるウマ娘で、二人目は優雅な雰囲気の似合うウマ娘、三人目はウマドル(ウマ娘のアイドル)としてのオーラが強い明るいウマ娘であった。

 

ライスシャワー「あ、あの、ライスシャワーです。ところで、どちら様ですか?」

 

???「おや、その反応は久々に見たね」

 

ライスシャワー「ライスはあまり、ニュースとか新聞は見ないので」

 

???「そうか。なら、自己紹介をしてくれたお礼に、私達も名乗ろう。私はスピードシンボリだ」

 

???「セントライトですわ。どうぞよしなに」

 

???「よろしくライスシャワーちゃん!ハイセイコーです!」

 

ライス「えっ?ええええええええっ!?」

 

ライスは驚愕した。何故ならその3名は、ウマ娘達やレースを愛する者達にとっては伝説の存在だからだ。特にハイセイコーは、現役でウマドルを続けており、特に『カード◯◯プターさ◯ら』の主人公声優も務めた伝説のウマドルでもあった。

 

ライスはウマドルに詳しくないが、ハイセイコーが主人公声優を務めたアニメは小さい頃によく見てたので、ハイセイコーの事は知っていた。姿を見たのは初めてであるが、まさか生で出会えるとは思わなかったのだ。

 

ライスシャワー「そ、そんな方々が何故ライスの元へ?ライス、アポを取った覚えが無くて………」

 

スピードシンボリ「おや?ああっ、コメント越しだから分からなかったか。実は私達も君の動画を見ていてな。なんちゃってローストポーク、凄く美味しそうだったな」

 

ハイセイコー「それに、超巨大飯も!あれ程大盛りの料理を作るライスシャワーちゃんのご飯、食べてみたいと思ったんです!」

 

ライス「そうだったんですね!ありがとうございます!今日作るのは海鮮料理なので、皆さんに満足していただけるよう全力でお作りします!」

 

ライスのやる気が上がった。

 

ライス「精一杯作ります!どうせなら、料理する所も見てもらいましょう!その為にお父様がオープンキッチンを作ってくださいましたから、皆さんも移動しましょう!」

 

ライスの気迫に三人は身体が後ろに傾きそうになる。

 

スピードシンボリ「あ、ああっ。君の料理する姿か…配信や動画で見た料理する姿を見られるとは、光栄だ」

 

セントライト「夕食は海鮮物で決まりですわ」

 

ハイセイコー「ゴチになりまーす!」

 

こうして、レジェンドウマ娘達に料理を振る舞う事になったライス。この出会いが何を齎すのか、今のライスには知る由も無かった。

 

―――――――――――――――――――――――

 

18:10

 

ー皆、待っててね…ー

 

(ささやかな祈り:オルゴールバージョン)

 

帝王:待ってるよライスー!

 

変幻自在:前に海鮮料理を作るって言ってたよね〜

 

気ままなお姫様:楽しみだね〜

 

破天荒:なあなあ!アタシも行って良いか?マックイーン連れて行きてぇよ!

 

名優:何故ですの!?

 

4分経過………。

 

ライスは大量の海鮮食材や野菜と共に、配信を開始した。

 

ライス『皆さん!こんライスだよ!グルメウマチューバーのライスシャワーでしゅ!』

 

ブロンズコレクター:こんライス〜

 

ターボエンジン:こんライスー!

 

大器晩成:こんライスですぞ〜

 

鉄の女:こんライスです

 

ライス『はーい、こんライス。今日はゲストが来てるよ。今回はオープンキッチンで料理するから、完成したら出来たてをすぐに振る舞えるんだ。さあ、本日のゲストの皆さんです!』

 

ライスはボタンを押す。すると、配信画面が切り替わり、オープンキッチンの食事場に切り替わる。

 

スピードシンボリ『おや、これはこれは、粋のあるサプライズだな』

 

皇帝:っ!!!!!!!!!!!!!!????

 

赫々たる天狼:っ!!!!!!!!!!!????

 

セントライト『おや、私達も映るようですね』

 

金色の暴君:ほう

 

剛毅(ごうき)なる貴婦人:まあ

 

魔性の麗人:あらあら

 

ハイセイコー『ヤッホー!皆見てる〜?』

 

砂のハヤブサ:ええええええええええっ!?

 

アイドルウマ娘:なん、だと……!?

 

ライス『コメント欄が大荒れしてる!?嘘、炎上しちゃったかな!?』

 

スピードシンボリ『大丈夫だ。仮にそうなっても君に危害は加えさせない。おっと、自己紹介が遅れたな。私はURA海外事業部統括スピードシンボリだ』

 

セントライト『Hello, everyone.Oh, it's kon-rice。日本初の『三栄冠』を達成したセントライトですわ』

 

ハイセイコー『皆ー!ハイセイコーでーす!今日はライスシャワーちゃんのお料理を食べに来ましたー!』

 

コメント欄は騒然となった。挨拶を済ませた後、ライスの元に画面が切り替わる。

 

ライス『皆も見ての通り、伝説と呼ばれたウマ娘の方々が来てくださいました。テイオーさんから始まり、メジロ家と来て、今度はレース界の伝説が来てくださるなんて……ライス明日死ぬのかな………』

 

ライスの顔が若干青ざめていた。

 

ライス『そ、それはそうと!今日は海鮮料理を沢山使った料理をいっぱい作るからね!先ずは前菜から作っちゃうよ!』

 

ライスはそう言うと、材料を掴んで手慣れた手付きで調理を始めていく。

 

やがて料理が完成した。

 

女帝:おっ?それはテリーヌかい?

 

大器の英雄:まあ、美味しそうです!

 

ハルウララがんばる:てりーぬって何?

 

世代のキング:フランス語で『容器』を意味して、陶器などの蓋付き容器や、その容器で作った料理を示すわ。それにしても、このテリーヌは色々な魚介類を使ってるのね。野菜も合わさってもっと綺麗になってるわ

 

ライス『ありがとう『世代のキング』さん。皆様、お待たせしました。前菜は『魚介と野菜のテリーヌ』です』

 

ライスは料理を運び、スピードシンボリ達の前に置いた。

 

セントライト『Amazing!綺麗なテリーヌですわ』

 

ライス『野菜を一度ゼリー液に浸ける事で、野菜間の隙間が無くなって綺麗に固まるんです。さあ、ご賞味ください』

 

ライスに促される形で、三人はテリーヌを口にする。フォークで刺し、ナイフで食べる分を切った後に口へ運ぶ。

 

ハイセイコー『モグモグ……ん〜♡美味しい♡ブロッコリーやアスパラ、カリフラワーに人参、それから卵がアクセントになって、サーモンや海老の美味しさを引き立ててる♡美味しいよライスちゃん!』

 

スピードシンボリ『ああっ、こんなに美味いテリーヌは久し振りだ。高級レストランで食べた事はあるが、君の作るテリーヌがもっと美味しいよ』

 

ライス『高級な食べ物って、食べると美味しいのは分かるんですけど、ライスは馴染みある味の方がよっぽど美味しいと思います。こんな言葉があります。『10万もするフグの懐石だの、100g一万する松阪牛だの何だの、高いものはあらかた食べたけど、小さな屋台の80円の大根が一番美味しい』って』

 

セントライト『まあ』

 

ハイセイコー『あーそれ分かるかも!屋台は見当たらないけど、入ってみたら安いおでんが一番美味しいんだよ!』

 

スピードシンボリ『そうだな。私も家庭料理の味が好きだ。どんな高級料理よりも美味しかった』

 

白い稲妻:せやなぁ!やっぱ家の味が一番や!

 

閃光乙女:うんうん!カレンちゃんも家庭の味、大好きだよ!

 

ライス『じゃあ次は、お寿司でも如何ですか?プリモピアットでお寿司は如何ですか?』

 

スピードシンボリ『ああっ、頼む』

 

ライスは初めてとは思えない動きで寿司を握って行く。

 

船橋の英雄:良い動きですね……寿司が次々と出来ていく

 

トリックスター:良いなぁ。私もフラワーにお寿司を握ろっかな〜

 

漆黒の帝王:私も寿司を握れるだろうか?食べてもらいたいウマ娘が居るのだが……

 

ライス『大好きな人が居るんだね。是非参考にしてくれたら、嬉しいな』

 

そして、ライスは寿司用の盛台に寿司を乗せていき、三人にそれぞれ配っていく。

 

ライス『はいどうぞ。プリモピアットのお寿司スペシャルだよ』

 

ハイセイコー『凄い!お店で見るように綺麗!ライスちゃん本当にお料理上手なんだね!』

 

ライス『あ、ありがとう……練習したし、ネットとか本で色々学んでからやったから、上手く出来て良かった』

 

いくら料理の作り方を覚えてると言っても、やはり初手でなんでも出来るわけではない。動画や本、ネット知識等で勉強してやっと寿司の握り方を学べたのだ。

 

セントライト『それに、一口で食べやすい……それに、It tastes great.』

 

セントライトは箸で寿司を摘み、口にした。握り方だけでなく、シャリも一口サイズで食べやすいのだ。

 

ハルウララがんばる:お寿司おいしそー!

 

ワガママ魔法少女:アタシも食べに行こうかしら?

 

スーパーカー:お寿司を握る姿、本物の職人みたいでチョベリグーよ!ライスちゃん!

 

ライス『皆ありがとう!』

 

そして、三人が寿司を食べ終わり、お茶を飲んだ所で、ライスは盛台を下げた。そして、いよいよメインの料理に入る。

 

ライス『さあ皆さん。いよいよメインディッシュの出番です。使うのは、コチラの余った使わなかった食材の部分です』

 

それは、ライスが寿司やテリーヌを作る時に使わなかった食材の余り物の山だった。マグロを含めた魚類の頭や身が僅かに残った骨と尻尾、そして魚のワタ、野菜の腹部、肉の脂身、ホタテやしじみ、アサリ等を含めた貝殻、ブロッコリーの芯、ゴボウやジャガイモ、人参等の皮を剥いた野菜の皮を含めた食材の余り物であった。

 

セントライト『えっ!?し、しかしそれは使えない部分なのでは?』

 

ハイセイコー『作れても賄い料理にしかならないよ!?』

 

スピードシンボリ『君の腕が良いのは知っているが、さすがにそれは……』

 

レジェンド達も無理だと思っているようだ。しかし、分かりきった反応なので、ライスは無視する。

 

ライス『では、ライスが見せてみましょう。配信を見てる皆も、見ててね』

 

帝王:何をするの?

 

コメントも見ないライス。大きな出刃包丁を二つ持つと、初めに取り出したマグロの骨に向かって、振り下ろし始めた。

 

タタタタタタタタタタタタタタッ!!

 

素早く包丁を振り下ろし、マグロの骨をあっという間にすり身に変えていく。

 

ブロンズコレクター:ええええっ!?

 

ターボエンジン:なにやってんの!?

 

大器晩成:マグロの骨が!?

 

鉄の女:なんという包丁捌き……お見事です!

 

ライス『魚の骨と頭は出刃包丁で潰します。でもマグロとかサメの頭って、ライスがウマ娘だから叩き潰せるんだけど、素人がやっても刃を通す事も難しいから、どうしてもやりたい時は専用の道具や機械を買うか、無理して頭や骨を使わない事。使わなくても出来る料理だから、オススメだよ』

 

一通り魚類の頭や骨を叩き潰したライス。

 

ライス『次は葉物野菜をすり潰して、ワタと一緒に擦り砕きます』

 

すり鉢に葉物野菜を一通り投げ込み、鉢ですり潰した後にワタを混ぜる。

 

女傑:成る程ねぇ。葉物野菜と合わせる事で魚の臭みを消すんだね

 

ライス『そしてすり身にした魚と一緒に練り上げて団子状にしたら、小麦粉でマブして、高温の油で揚げます』

 

パチパチパチパチパチッ!

 

いつの間にか煮ていた寸胴鍋の油に、団子状に纏めた魚団子を放り込む。油が跳ねる音が響く。

 

ハイセイコー『凄い!なんだか食欲が湧いてきちゃう!』

 

ライス『その間に肉の脂身をトロ〜リと溶けるまで煮込み、貝殻と魚の骨や頭でたっぷり出汁を取った汁と絡めて、特製ソースを作ります。その間に、ブロッコリーの芯を中心にしたドレッシングを作りましょう』

 

ライスは肉の脂身を軽く炒めた後に白ワインを入れた寸胴鍋で煮込み、ある程度煮詰めると水を入れて更に煮込んでいく。アクを取り除いたらトマト缶の中身を入れた。そして、別の鍋で貝殻と食べられない魚の頭や骨を白ワインと共に煮込んで出汁を取り、肉の脂身を溶かした鍋の中へ入れて更に煮込む。コーンスターチで濃度を加えて、更に艶のある奥深いソースにする。

 

ライス『それじゃあ、ブロッコリーの芯を中心としたドレッシングを作っちゃうね』

 

その間にブロッコリーの芯をまな板の上で細かく切り、細かく刻んだ玉ねぎと共に鍋で炒めていく。軽く煮詰めたら白ワインを入れて、アルコールが飛んだら水を加えて、アクを抜きながら煮詰めて溶かしていく。煮詰めて柔らかくなったらミキサーに掛けて、トロトロのドレッシングへ変えていく。ザルに移した後、軽く塩を振り掛けて味付けをする。そして、ドレッシングの入ったザルを氷の山に乗せて冷やすライス。そして、冷えたドレッシングに生クリームと牛乳を加えて伸ばし、ドレッシングの完成である。

 

夢追う踊り子:ワオ!美味そうじゃねえか!仲間達にも教えてやりたいな!

 

ライス『うん。なら、張り切って作っちゃうよ。さあ、揚げた団子にソースを掛けちゃうよ』

 

ライスは小皿にソースを乗せて味見をする。

 

ライス『うん。いい味』

 

ライスはお玉に乗せたソースを、皿に乗せた魚団子に掛けていく。濃厚なソースの香りが魚の残った臭みを消し、食欲を湧かせた。

 

スピードシンボリ『す、凄いな……ボリュームある品を食べたと思っていたが……』

 

セントライト『I'm hungry again………』

 

ライス『食べたら分かると思いますが、ワタの苦味も重要なんです。苦味が他の味を引き立てて、より食欲を刺激します。そして濃厚な味が疲れた身体に精気を吹き込みます。アスリートやウマ娘にはピッタリな味でしょう』

 

ハイセイコー『美味しそう!』

 

ハイセイコー達もライスの魚団子に目が釘付けとなっていた。どんな味か想像が付かないのだ。

 

ライス『そうなれば、さっぱりとした和え物も必要です。使うのはゴボウやジャガイモ、人参といった“皮”のある野菜です。今回使うのはその“皮”を使った和え物です』

 

ライスはそう言うと、ジャガイモの皮を千切りにし始めた。皿にゴボウの皮や人参の皮等、野菜の皮を千切りにして細かく食べられるように切っていく。

 

ライス『野菜の皮は、中身よりも重要な栄養素が詰まってます。アスリートには必要な栄養がたっぷり入ってますから』

 

千切りにした野菜の皮を水に暫く漬けた後、網に入れて塩茹でにする。ある程度茹で上がると、今度は氷水で冷やして整えた。そして、皿に盛り付けて塩コショウを振り掛けて味付けをする。

 

ライス『さあ、パセリを乗せたら、ドレッシングで味付けだよ』

 

ライスはパセリを乗せた魚団子にドレッシングを掛ける。更に、野菜の皮の和え物にもドレッシングを掛けて味を調える。

 

ライス『余ったソースやドレッシングの側には、ナンの盛り合わせを置きます。お好みで漬けて召し上がってください』

 

そして、料理が完成した。

 

ライス『完成しました!名付けて、『ラ・キュイジーヌ・ア・ラ・カルト』!』

 

ライスがテーブルに並べた皿には、ドレッシングとソースで味付けされた魚団子と和え物の野菜の皮が、良い香りと共に並んでいた。四人分それぞれに用意されており、メインディッシュとしても申し分ない量である。更に、余ったドレッシングやソースはそれぞれの皿にスープのように乗せており、側にはナンが置いてあった。ボリュームのあるメインディッシュの完成である。

 

皇帝:素晴らしいな………まさか余った食材でこれほどの物を作るとは……

 

アイドルウマ娘:凄いな!私にも作ってもらえないだろうか!?

 

高速ステイヤー:ライスちゃんの腕前、感動しました〜!託児所の子供達にも作ってみたいと思います!

 

耽美系破壊神:ハーッハッハッハッ!深淵より響き渡る嘆きが浄化され、麗しき歌声を奏でているぞ!

 

ライス『そ、それは良かったね………さあ皆さん、お召し上がりください』

 

ハイセイコー『はーい!いただきまーす!』

 

ハイセイコーが先に魚団子を箸で摘み、食べ始める。

 

ハイセイコー『ッ!?ンムンムンム〜ゴクッ…………わあ……美味しい〜!!こんな味、今まで食べた事が無い!コロッケに近いサクサク感と、マグロの旨味が舌で感じる♡こんな味がこの世にあるなんて……幸せすぎる♡』

 

セントライト『ムニュ…………まあ、野菜の皮がこんなにシャキシャキとして、まるで野菜のようですわ!ブロッコリーの甘酸っぱいドレッシングと絡み合い、土の香りも味を引き立ててますわ!ライスシャワーさん。卿の料理、お見事ですわ』

 

スピードシンボリ『パリ……ナポッ………おおっ!ソースやドレッシングも、パンを漬けて食べたら極上の味になる……♡君の料理は、実に素晴らしいよ♡ソースの肉と魚の旨味が、よりパンの味を引き立てる♡』

 

ライス『んん〜♡美味しい♡』

 

ライスも野菜の皮の和え物を食べる。そして魚団子やソース又はドレッシング漬けのパンも食べ始めた。

 

聖剣:美味しそう……ぐっ!わ、私は騎士!騎士たるもの、誘惑には屈しない!

 

偉大なウマ娘:美味しそう……♡

 

小悪魔系ウマ娘:良いなぁ〜♡ライスちゃんの料理、食べてみた〜い♡

 

頂点だけは譲れない:妹達にも作ってみようかしら?

 

ライス『うんうん。頑張って作ってみてね。アーカイブや動画に作り方が載ってるから、是非参考にしてみてね』

 

こうして、ライス達は料理を食べ終わった。

 

ハイセイコー『ふう……ご馳走様でした!』

 

ブロンズコレクター:お粗末様でした〜

 

ターボエンジン:お粗末様ー!

 

大器晩成:お粗末様ですぞ〜

 

鉄の女:お粗末様です

 

セントライト『卿のお料理、お見事でした』

 

スピードシンボリ『ああっ、もし良ければ私達の家に遊びに来ないか?何時でも歓迎するよ』

 

ライス『ありがとうございます。でもライスは、此処で配信していく方が良いよ。それに、配信や動画を待ってる皆に、もっと沢山の料理をお届けしたいからね』

 

セントライト『では、私からのオススメ料理も今度ご紹介しますわ』

 

ハイセイコー『あっ!私も!オススメの料理が分かったら、ライスちゃんに紹介するね!』

 

スピードシンボリ『私も、君にオススメの料理をご紹介しよう。君の腕前なら、一流の料理人にも負けないだろう』

 

ライス『ありがとうございます。じゃあ、皆。今日の料理は海鮮料理スペシャルでした』

 

ライスは画面に向き直る。

 

砂のハヤブサ:ハイセイコーさーん!

 

ハイセイコー『はーい!』

 

ハイセイコーはカメラの方を向いて、独自のポーズを取る。

 

ライス『えへへっ。今度は何を作ろっかな……今度はスイーツとかも良いかもね。色々あるけど、ライスも頑張って作るからね。それじゃあ皆、おちゅライス〜。ハッ!』

 

ライスはレジェンド達を見る。

 

スピードシンボリ『フフッ』

 

セントライト『あらあら』

 

ハイセイコー『ライスちゃん可愛い!』

 

噛んだライスに向けて、蕩けたような満面の笑みを向けるレジェンド達を見て、ライスの顔が真っ赤に染まる。

 

ライス『うわあああああああああっ!!も、もうおしまい!!』

 

ライスは咄嗟に配信を切った。

 

ーありがとうございます……ー

 

(BGM:ささやかな祈り・オルゴールバージョン)

 

ブロンズコレクター:おちゅライス〜、いや〜ライスは今日も可愛かったな♡

 

ターボエンジン:おちゅライス〜!ターボも料理したーい!

 

大器晩成:おちゅライスですぞ〜ライスさんはやっぱり可愛い♡

 

鉄の女:おちゅライスです。ライスさん可愛いです……ハッ!いえ、勿論マックイーンさんが一番です!

 

――――――――――――――――――――――

 

あれから一ヶ月の時が経過した。レジェンド達の配信は伝説となり、ライスは世間で更に有名なウマチューバーとして名を売り始めていた。

 

しかし、ライスはバラエティ含めたテレビ番組への出演は拒否し続けている。寧ろウマチューブに出てるにも関わらず、わざわざテレビに出る必要が無いと思っているからだ。

 

それに何より、今日はライスにとって特別な日だからだ。

 

ミホノブルボンが三冠達成なるか。それとも他のウマ娘による下剋上か。

 

ライス(出来ればブルボンさんに勝って欲しい。でも、タンホイザさんも頑張ってほしい!)

 

レースの状況は、ミホノブルボンが先頭で最終コーナーに向かう状況だ。

 

しかし、背後からマチカネタンホイザが迫っている。

 

ミホノブルボンは本来長距離に向かないウマ娘だが、激しい坂道トレーニングの末に強いスタミナを身に着けている。

 

ライス「ブルボンさーん!!頑張れー!!」

 

ライスもありったけの声を振り絞り、ミホノブルボンを応援する。

 

すると、ミホノブルボンの足に力が入ったのか、マチカネタンホイザに迫られたかと思いきや、突然突き放し始めたのだ。

 

実況『おおっと!?ミホノブルボン、マチカネタンホイザを突き放す!!その差は2バ身!!更に突き放す!!』

 

ブルボン「ハアアアアアアアアアッ!!」

 

そして、ミホノブルボンはゴール板を駆け抜けた。

 

ライス「やっ…………」

 

観客『やっ……………』

 

会場『『『やったあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!』』』

 

会場が大歓声に包みこまれた。

 

実況『な、なんと………歴史的瞬間に立ち会いました!!シンボリルドルフ!!トウカイテイオー!!歴史上で無敗でクラシック三冠を達成したのは、この二人だけでした!!しかし、我々は今正に!!三人目の誕生を目撃する事になりました!!三人目の無敗クラシック三冠達成者の名は、ミホノブルボンだぁー!!!!!』

 

会場『『『『ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!』』』』

 

会場が大歓声に包まれる。

 

観客「ブルボーン!!最高だったぞ!!」

 

観客「タンホイザもカッコよかったよ!!」

 

観客もブルボンやタンホイザ達を称える。

 

ライス「良かったねブルボンさん………ライスが居なくてホントに良かった……ずっと願ってた夢も叶ったよ……」

 

ライスも涙を流しながら、ブルボンのクラシック三冠達成を静かに祝う。

 

ライス「………ブルボンさん?」

 

ライスは泣いていてよく見えなかったが、涙が枯れ始めた頃にブルボンの顔を見て、違和感に気付く。

 

ライス「ブルボンさん……なんで?そんな、寂しそうな顔をしてるの?」

 

ライスは見たのだ。汗に塗れて、息を荒くしているブルボンの顔は嬉しさではなく、何処か満たされていないような、親に置いてけぼりにされて孤独に苦しむ子供のような、寂し気な表情を浮かべていた。

 

その後の記者会見でも、ミホノブルボンは泣きながら記者に答えていく。

 

ブルボン「何故か分からないんです!漸く夢が叶って嬉しい筈なのに……!マスターにもクラシック三冠を取れた事を誇れたというのに……!どうしてこんなに……心が満たされないのか……!?こんなにも心が空っぽなんですか!?隣に誰かが足りない………誰かが分からない………もう、何がなんだか分からないんです!」

 

記者「だ、大丈夫ですか?」

 

ブルボン「……でも、僅かな間ですが、満たされた時があったんです。あの時、マチカネタンホイザさんに追いつかれそうになった時に聞こえてきた、何処か儚さを感じる声が、私に力を与えてくれました。その時に不思議と、力が湧いてきたんです!そして、トゥインクルシリーズ中にずっと感じた寂しさが、一瞬にして消えたんです!私を応援してくれた方の中に、私に一番の思いを注いでくれた方が居るなら、私は会いたい!名前も顔もよく分からない方へ………もし貴方に会えるなら………精一杯の感謝を送りたい!ありがとうって!」

 

―――――――――――――――――――――――

 

ライス「………はぁ」

 

ライスは施設に戻って、自室のベッドで横になって休んでいた。施設は使用人達を含めたライスの専用施設兼自宅となり、今は其処から学園に通っている。夕食と風呂を済ませた後、今日の出来事でブルボンが言った事に若干ショックを受けていた。

 

自分のせいで、ブルボンに寂しい思いをさせてしまった。

 

ライスの身体に憑依し、トレセン学園に通う未来を奪った。そのせいでブルボンやマックイーンの未来を変えてしまった。夢を叶えさせたつもりが、逆に寂しい思いをさせてしまったかもしれない。

 

ライス「………それはそれ、これはこれで割り切ろうと思ってたのに………ライスは思ってたよりも弱いんだね」

 

ライスは頭に手を添える。

 

ライス「もう引き返せないよね………誰かに伝えても、信じられるはずもないか………」

 

自分が転生者で、この身体の本来の持ち主の未来を奪ってしまったかもしれない。それを誰に相談しようか、悩んでいた。

 

ライス「もう〜!もう、寝よっか。折角だし……ASMR聴きながら寝よ………」

 

ライスはスマホを取り出し、ウマ娘用のイヤホンを耳に着けて、ASMRの音声を聴き始める。明日は休日なので、今夜はゆっくりと長く眠る事にした。

 

音声『はぁ〜い。ゴシゴシ……お疲れ様。日々の疲れを癒やしてあげるね………』

 

ライス「ん…………んぅ………」

 

ライスは微睡みの中に囚われていき、軈て深く眠り始めた。

 

ライス「……スゥ」

 

やがて、ライスはゆっくりと微睡みの中に身を委ねた、その時だった。

 

ライス?『お疲れ様………ライスの身体で美味しい料理を作って、貴女は偉いね』

 

ライス『ん………えっ?』

 

ライスは夢を見ると、突然自分の声が聴こえてきた事に違和感を感じる。

 

微睡みの中で目を覚ます。勿論其処は夢の中だ。

 

夢の中でライスが見たのは、自分を見下ろす自分の姿だった。それも、慈悲深い女神様のように優しい微笑みを自分に向ける、ライスシャワーの姿だった。

 

ライス『えっ?な、なんで?』

 

ライス?『今晩は。初めましてだね。もう一人のライスさん』

 

ライスは、もう一人のライスによって膝枕をされながら、頭を撫でられていた。夢の中とはいえ、ライスはこの身体の本来の持ち主と邂逅を果たしたのだった。




料理名

・魚介と野菜のテリーヌ
作者がネットで見つけた魚介と野菜のテリーヌを採用。鮮やかな野菜、サーモンやホタテなどの魚介類が美しいテリーヌらしい。中央に穴があいているので、お好きなソースで彩りよく出来そうです。また、季節の野菜や魚介類を、天然水のコンソメゼリーで固める事で、クリスマスやパーティーに使える素敵な前菜になるそうです。

無頭海老 6尾
ホタテ貝柱 4個
スモークサーモン 30g
茹で卵 2個
グリーンアスパラ 1束
ブロッコリー 1/6株
カリフラワー 1/8株
人参 30g
キャベツ 3枚
ゼリー液
コスモウォーターの天然水 300cc
ブイヨンの素 1個
ゼラチン 4g
塩 胡椒 各少々
ベビーリーフ 適量
レモン 適量
マヨネーズ 適量

ライスのお寿司セット
作者の適当な組み合わせ。今回のメニューはマグロ、サーモン、玉子、イクラの軍艦巻き、炙り寿司、ウニ、ブリ、海老、ホタテ、鯨にサメ等、他にも色々あるのでオードブルレベル。後は読者の想像次第。それからしじみやアサリといった貝の味噌汁を添えている。

ラ・キュイジーヌ・ア・ラ・カルト 
ONEPIECEのオリジナルエピソード『ナヴァロンの要塞』でサンジが、海軍の料理人達が使わなかった食材の余り物で作った料理。オリジナルエピソードとは思えない完成度であり、YouTubeの再現料理を参考にしているが、今回はサンジの作り方をほぼ基準にした上で、素人な作者の独自解釈を加えている。とはいえ、マグロの頭やワタはウマ娘でないと叩き潰せない部分は、専用の道具を使うべきだと思っている私。現にマグロの頭をライスに叩き潰させたものの、普通なら出来ないとライスに言わせた。

最後のライスとの邂逅は、何処かでやりたいと思ってた事でした。次回は料理無しの、ライスとの話し合いになります。
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