不動遊星の初体験を奪いたい   作:うおのめちゃん

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タイトルは原作132話『強襲!!機皇帝ワイゼル』のパロディ。
今回は誰得な描写があるので注意。タグのR-17はこのためにあります。


4話 凌辱!!三皇帝プラシド

 プラシドからのチーム・カタストロフへの勧誘。それを綴は―――

 

「え?普通に嫌だけど?」

 

 一蹴した。プラシドが苦々しげに綴を睨む。

 

「貴様……虫けらの分際でオレに歯向かう気か?」

「だって、初めて会った人からさらにどこぞの誰とも知らない連中の中に入れって言われてもねえ……ちょっとホセさんを呼んでちょうだい。意図が知りたいわ」

「誰に向かって命令している!……ホセの言うことなど知ったことか!この場で切り捨ててやる!」

 

 剣を腰から取り出すと刃先を生意気な男の娘に向ける。すると画面が中空に現れ、ややくぐもった声と共に、口元を覆う∞の仮面を装着した立派な髭の老人が映る。

 

「やめろプラシド。その男には利用価値があるといっただろう。我らの神より啓示があった。湯上綴……お前は全てを知っているな?」

「あなた達の正体と目的に関しては、そうね。けど、邪魔もするつもりはないわ。でも、未来がどうなるかについて保証はできない」

「お前がイレギュラーな存在であるがゆえに、か?」

「僕は推しに一生消えない思い出を残したいだけの決闘狂人。だいそれた力はありません。それに、未来は今を生きる人間全体の行動次第ですもの。僕一人が断言できるものはないわ」

「……しかし、覚醒していないとはいえあの不動遊星に余裕をもって勝利したのも事実。邪魔をする気がないのであれば、我らと共に未来を変える気はないか、湯上綴」

(なぜかホセからの勧誘の圧が強い!神の啓示ってことはZ-ONEが僕を認知しているということ。……これは利用できるかもしれないわね。目指せ『ブルーノ生存√』!遊星の永遠の思い出にはさせないわ!)

 

 思考を回すこと1秒。即断即決。

 

「いいわよ。破滅の未来を回避することについては賛成。けどカタストロフなんてチンピラ崩れの連中と組むのは反対。素の実力不足が懸念されるから僕にそいつらの底上げをさせようとしているんだろうけど、闇のカードなんて怪しいモノに簡単に惹かれる連中とは気が合わないし、そもそも犯罪者になるのはアウト。しかも《ヒドゥン・ナイト-フック》によるDホイールのクラッシュで出場停止に追い込もうとしてもシグナー達は間違いなく乗り越えてくる。彼らへの試練にするならもうちょっと欲望の強い相手を用意するべきだし、相手を再起不能にしたいならデュエルで正々堂々凌辱すべきよ」

「ようするにおまえの作戦は中途半端ってことだよプラシド!」

 

 画面が二つに増え、赤髪の少年がプラシドを煽る。

 

「黙れルチアーノ!クソッ!どいつもこいつもオレを誰だと思っていやがる……!」

「でも代案はあるわ。カタストロフの代わりに僕がチームを作って、シグナー達と戦うのはOK。より白熱した試合になることは約束するから、サーキットも余裕をもって完成できるんじゃないかしら?」

「ほう……お前のような実力者が他にもいるというのか?」

「同じような性癖を持つ決闘狂人がいるんだけどね。僕がカードを分けたら見る見るうちに才能を開花させちゃって!あ、僕のように全てを知るものじゃないから、そこは了承願えると助かるわ」

「いいんじゃないの?目的が達成されるってんなら僕は賛成!精々面白いものを見せてくれよ!」

「私にも反対する理由はない。プラシド、お前もそれでいいな?」

「いいや、気に食わん!オレを差し置いてこいつに好き勝手させるのか!」

 

 激昂する下っ端。若さとプライドが綴の欲望を許さない。

 

「じゃあ、カタストロフの連中にシグナー達を襲撃させるのはいいんじゃない?チームは組ませなくても成りあがるための報酬を与えれば釣られるわよあの手の連中は」

 

 綴が軽く提案。しかしそこには大きな意味があった。

 

(クロウが負傷しないとアキさんがチーム・ユニコーン戦に出場しないし、アキさんも負傷しないと、病院で幼女に会って医者を目指すこともなくなってしまう……この√だけは確定させないとダメ!僕の欲望は通す。この要望も通す。下っ端の提案は通さない!)

「貴様の指図など受けん!虫けらごときが図に乗るな!」

「ならデュエルしましょ?勝った方の作戦を採用するってことで、まさか神に選ばれし三皇帝の一人が虫けらからの挑戦に臆したりしないわよね?」

 

 安い挑発。だが当然―――

 

「言ったな?この俺に挑んだことを後悔させてやる!当然、ダメージは実体化するぜ!」

「構わないわ。だけど、この家だと機皇帝が収まらないからライディングデュエルにしましょう?思いっきり暴れられるわよ?」

「いちいち癪に障る奴だ。だが、いいだろう。捻りつぶしてやる。来い!」

「え?」

 

 プラシドが綴の腕を掴むと、剣を振るい空間に穴を空け、その中に綴諸共入り込む。

 

(わあ強引。こういうのは“わからせたく”なるわ……)

 

 気が付けば、人々の営みの光がいつまでも息づいている眠らない街、ネオドミノシティのデュエルレーンに到着していた。そこでは人工的な光に照らされて尚、漆黒の夜空に輝く星が大小さまざまに散らばっていた。

 

「ちょっと!僕のDホイール持ってきてないんだけど!」

「ちっ……おいホセ!」

「わかっている」

 

 一瞬レーンが光ると、綴とプラシド、両者のDホイールが綺麗に並び立つ。

 綴のDホイールは男の娘である彼に似合わず、捩り曲がった二本角をフロントに生やし、昏い青色をしていた。まるで悪魔を想起させるかのように。

 プラシドのDホイールはシンプルでありながら未来を感じさせるデザインだ。

 

「機皇帝の前では何人たりとも無力であることを教えてやる……!」

「屈服させたいのは僕も同じ。けど狂気は僕の方が勝っているわ」

「ほざいていろ」

 

 綴はDホイールのグリップを確かめ、コントロールパネルに手を伸ばした。モーメントを起動させ、ギアをローに蹴り入れるとがちん、と音がして、準備が整ったのが知れた。

 

「フィールド魔法《スピード・ワールド2》セット!」

『DUEL MODE ON. AUTO PILOT STAND BY』

 

 二機を中心に広がっていく、速さが力に変わる世界。その中で欲望と信念を賭けて、男達が声を張り上げた。

 

「「ライディングデュエル・アクセラレーション!!!」」

 

 互いのエンジンの嘶きが轟き、機体が爆音を立てて競争路をなぞっていく。闘いの始まりを告げるように夜の静寂は引き裂かれた。

 

「貴様に先攻は渡さん!」

 

 デュエル開始直後、全力の咆哮を上げる蒼のマシンを相手にしながらも、プラシドは余裕でDホイールを突き放していた。人知を超えた存在の力を示すように。

 顔色一つ変えることなく続ける前を走るプラシドに対し、綴は嗤っていた。

 

「第一コーナーを取った者が先攻だ!オレのターン、ドロー!」

 

プラシドSPC0→1

綴SPC0→1

 

「《ワイズ・コア》を攻撃表示で召喚!」

 

 卵のような外殻を上下に分け、その中心に青い光を宿した白い機械が現れる。その攻撃力は0。

 

「カードを4枚伏せ、ターンエンドだ!」

 

 攻撃の出来ない1ターン目、軽いプレイですぐにターンを譲渡する。プラシドの動きは静かだった。しかしそこには無駄がなく、むしろあるのはある種の風格だった。突き付けられるのは剝き出しの闘志。

 

(もう《コア》を出したわね。ならセットカードの中に《ワイゼル》を出すトリガーとなるカードはあるはず。残り3枚のカードは全部妨害と考えなくちゃ。下っ端だけど油断はしちゃいけないわ)

 

 綴は状況を細かく分析する。全てを知ったうえで己の欲望を貫き通すことこそ、彼のポリシーであるがゆえに。

 

「僕のターン、ドロー!」

 

プラシドSPC1→2

綴SPC1→2

 

「《カードガンナー》を召喚!」

 

 綴の初手。スピードの世界に戦車のような人型ロボットが入り込む。

 

(チッ!あのモンスターは破壊された時に効果を発動するカード……だが、もう一つの効果であるカードを墓地に送る能力は後々の展開に響くかもしれねえ。さっさと始末してやる!)

 

「そいつの召喚時に《ツイン・ボルテックス》を発動!オレのフィールドの機械族モンスターと相手フィールドのモンスター1体を破壊する!」

 

 フィールドに稲妻が走ると、卵と戦車をショートさせ、破壊する。

 

「破壊されたことで《カードガンナー》の効果発動!カードを1枚ドローするわ」

「知ったことか!その効果にチェーンする形で《ワイズ・コア》の効果発動!このカードがカードの効果によって破壊されたとき、自分フィールドのモンスター全てを破壊し、手札・墓地・デッキから《機皇帝ワイゼル∞》、《ワイゼルT》、《ワイゼルA》、《ワイゼルG》、《ワイゼルC》を特殊召喚する!」

 

《機皇帝ワイゼル∞》ATK0

《ワイゼルT》ATK500

《ワイゼルA》ATK1200

《ワイゼルG》ATK0

《ワイゼルC》ATK800

 

 プラシドのデッキから飛来する5つの機械。それは機皇帝を構成するパーツであり、合体することで真の力を発揮する。

 

「シンクロキラーの力、特と味わうがいい……合体せよ、《機皇帝ワイゼル∞》!」

 

 プラシドの指揮に合わせて《機皇帝ワイゼル∞》を中心にパーツ達が変形し、1体のモンスターとして組み上がってゆく。

 胸部の無限の穴の奥に蠢く青白い光。シンクロモンスターを吸収するという恐るべき能力を秘めた、破滅の未来からの使者にして、絶望の象徴。

 

「《機皇帝ワイゼル∞》の攻撃力と守備力は自分フィールドに存在する『ワイゼル』『スキエル』『グランエル』と名のついたカードの合計となる!」

 

《機皇帝ワイゼル∞》ATK0→2500

 

 本体を除く4つのパーツのステータスが中核となる《機皇帝ワイゼル∞》1体に集約される。

 

「お出ましね……実際見てみるとすごい……」

 

 壮大なスケールの機械に圧倒されたかのような綴。だがその裏で考えを張り巡らせていた。

 

(《ツイン・ボルテックス》がアニメでは攻撃宣言時に発動可能なものだったのに、《カードガンナー》の召喚時、つまりフリーのタイミングで発動できたってことは、あれはタッグフォース版のオリジナルカード。だったら【機皇帝】もタッグフォース版?でもアニメと整合性を合わせるなら本体以外攻撃できない仕様じゃないといけないけど……常に最悪の事態を想定してこそ真のデュエリスト。用意は周到にしておかないとね)

 

「なら僕は!カードを5枚伏せ、ターンエンド!さあ、超えられるかしら」

「ふん、いくらセットしようが、オレの前では無意味だ!」

「どうでしょうね?」

 

 青年は先を行く敵への鋭い視線を絶やさず、そのうえで余裕もかもしだしている。

 

「手札1枚残して全部セット?いや~な布陣敷いてきたな、おい。プラシドの奴突破できるのかよ?」

「奴とて多少の罠に対する対策は準備しているはずだ。だが……」

 

 天上の椅子に座しながら観戦するルチアーノとホセ。熾烈な争いが今始まる。

 

「オレのターン!ドロー!」

 

プラシドSPC2→3

綴SPC2→3

 

プラシド

LP:4000

Hand:2

Monster:《機皇帝ワイゼル∞》《ワイゼルT》《ワイゼルA》《ワイゼルG》《ワイゼルC》

FieldMagic: 《スピード・ワールド2》

Magic&Trap:Set3

 

LP:4000

Hand:1

Monster:

FieldMagic: 《スピード・ワールド2》

Magic&Trap:Set5

 

 プラシドはドローカードを一瞥。ふん、と満足そうに鼻を鳴らす。

 

「貴様は既に詰んでいる!《ワイゼルT》をリリースし、手札から《ワイゼルT3》を特殊召喚!」

 

 ワイゼルの頭部が、翡翠色の電撃を放つ角の生えたパーツへと換装される。

 

《ワイゼルT3》ATK600

 

「攻撃力の合計が変化したことにより、《ワイゼル∞》の攻撃力が上昇する」

 

《機皇帝ワイゼル∞》ATK2500→2600

 

「あっ、ちょっとやばいかも……」

「知っているようだがもう遅い!《ワイゼルT3》は1ターンに1度、相手の魔法・罠の発動を無効にして破壊する能力を持つ!バトルだ!《ワイゼル∞》でダイレクトアタック!」

 

 未来からの脅威が、綴に向けて剣を振るう。

 

「リバース、《つり天井》!フィールドにモンスターが4体以上存在する時、表側表示モンスターをすべて破壊する!」

「貴様が無差別殺戮を行うカードを使うことなど、最初から読めていた!その効果に《ワイゼルT3》の効果発動。その効果を無効にし、破壊する!」

「その効果にチェーン!《聖なるバリア-ミラーフォース》!相手フィールドの攻撃表示モンスターをすべて破壊する!」

「無駄だ!フィールドに「機皇帝」が存在することで、墓地に存在する機械族モンスター《ワイゼルT》を除外し、《ゴースト・コンバート》を発動!相手が発動した効果を無効にする!その後、このカードを墓地に送らずセットする!」

「それまであるの!?」

 

Chain4:《ゴースト・コンバート》

Chain3:《聖なるバリア-ミラーフォース》( 《ゴースト・コンバート》により無効化)

Chain2:《ワイゼルT3》

Chain1:《つり天井》(《ワイゼルT3》により無効化)

 

 綴が発動した全体除去を悉く封じるプラシド。彼は有頂天だった。

 

「全体除去カードには限りがある。その狼狽した様子を見た限り、残り3枚の伏せの中にはあるまい!直接攻撃を食らえ!」

「……僕はその攻撃を“デッキで受ける”!」

「デッキだと?」

「リバース!《パワー・ウォール》!受けるダメージが0になるように、500ポイントにつきカードを1枚墓地に送る!本来受けるダメージは2600。よって僕は6枚のカードを墓地に送る!」

 

 ばさっ、とデッキからカードを複数枚引き抜き、投げるようなモーションを綴がとると、6枚のカードが壁のように展開し、《ワイゼル∞》の剣を受け止めた。

 

「ふん、一撃を防いだ程度で調子に乗るなよ。メインフェイズ2、カードを1枚伏せ、ターンエンド―――」

「待ちなさい。そのエンドフェイズにリバース、《リビングデッドの呼び声》を発動!僕の墓地に存在するモンスターを復活させる!対象は《人造人間-サイコ・ショッカー》!」

「罠を多用するデッキで《サイコ・ショッカー》だと?チッ、ライフを半分払いカウンター罠《神の宣告》を発動!その効果の発動を無効にし、破壊する!」

 

プラシド:LP4000→2000

 

「僕もライフを半分払い《神の宣告》を発動!あなたの《神の宣告》を無効にし、《リビングデッドの呼び声》の効果を適用させる!おいで!僕のアンチトラップマスター!《人造人間-サイコ・ショッカー》!」

 

綴:LP4000→2000

 

 首元まで隠す重厚な緑の服を纏い、目元と口元を覆うマスクを被った、ピンク色の肌の人造人間が静かに登場。腕組みをしながらレーンを駆ける。

 

「このカードが場に存在する限り、お互いに罠は発動できず、フィールドの全ての罠の効果は無効化される」

「だがそいつの攻撃力は2400。2600の《ワイゼル∞》には届かん!今度こそターンエンドだ」

「僕のターン、ドロー!」

 

プラシドSPC3→4

綴SPC3→4

 

プラシド

LP:2000

Hand:0

Monster:《機皇帝ワイゼル∞》《ワイゼルT3》《ワイゼルA》《ワイゼルG》《ワイゼルC》

FieldMagic: 《スピード・ワールド2》

Magic&Trap:Set2(内1枚は《ゴースト・コンバート》

 

LP:2000

Hand:2

Monster:《人造人間-サイコ・ショッカー》

FieldMagic: 《スピード・ワールド2》

Magic&Trap:Set1 《リビングデッドの呼び声》

 

(《ワイゼル》単騎でしか攻撃しなかったってことは、あれはアニメ版とタッグフォース版の複合?《ゴースト・コンバート》もタッグフォース版だったし……でもそれも関係ないわ。このターンですべてが決まるんだから)

 

ドローカードを見て、綴は笑みを深めた。

 

「僕は表側表示の《リビングデッドの呼び声》を手札に戻し、墓地の《BF-精鋭のゼピュロス》の効果発動!このカードを特殊召喚し、僕は400ポイントのダメージを受ける。……くぅ!」

 

綴:LP2000→1600

 

 蒼い体毛に黒き翼の鳥人が颯爽と登場すると、ダメージの実体化により、胸を押さえる綴。だが、彼は嗤いを止めない。

 

「《リビングデッドの呼び声》がフィールドから離れると対象となっているモンスターは破壊されるけど、その効果は《サイコ・ショッカー》によって無効化されている。そして、僕は《ゼピュロス》をリリース!《サイバー・ドラゴン》をアドバンス召喚!」

 

 黒い機械龍が吼える。本来ならば白いボディのはずのそれは、欲望の黒に染まっていた。

 

「あ、やべ」

「むう……」

「ふざけるな!そいつは、そのカードは……!!」

 

 三者三様に驚愕を示す三皇帝。気付いているのだ。既に、詰んでしまっていることに。

 

(対策は万全だったはずだ!《神の宣告》に加え、伏せてある《奈落の落とし穴》であのカードの召喚は防げたはずだ!だが、現に今、奴の召喚を許してしまっている!どこで、なにを、間違えた―――?)

「僕は《サイバー・ドラゴン》と機械族である《ワイゼル》パーツ5体を墓地に送る!」

 

 機械龍の腹が開き、触手のように無数のコードがうねると、人を司る機皇帝の全身を捕らえ、体内に収める。すると、龍の身体が光り、妖しく膨張し、変形する!

 

「おいで、僕のマシンキラー!《キメラテック・フォートレス・ドラゴン》を特殊召喚!」

 

 それは機械の龍だった。それは要塞だった。龍の頭部から尾までを9つのホイール状のパーツを連ねて構成された要塞龍。一部のホイールからは、《サイバー・ドラゴン》に似た機械龍が首を出し、咆哮。傲然とレーンを揺さぶる。

 

「貴様!よくもオレの《ワイゼル》を!」

「吸収能力を持つモンスターが吸収される。皮肉なものね。《フォートレス・ドラゴン》の攻撃力は素材となったモンスターの数×1000ポイントになる。素材は6体。よって攻撃力は―――」

 

《キメラテック・フォートレス・ドラゴン》ATK6000

 

「攻撃力、6000……!!」

「ダメージが実体化するって言ってたわよね?6000のダメージを受けちゃったらどうなるのかしら?だけどサレンダーすれば、そのボディが破壊されることはない。あなたも僕に初めてを捧げなさい?」

「ふざけたことを!なぜオレが人間如きに屈服しなければならない!」

「きひひひひ!やめとけよプラシド。直せるって言っても手間がかかるんだしさ!素直に言うこと聞けよ!」

「その通りだ。敗北を受け入れ、その男の利用価値を認めるのだ」

「断る!頭を下げるくらいなら壊された方がマシだ!」

 

 あくまでもプライドを優先するプラシド。綴が笑みを深める。

 

「ふふ、なら気持ちよくなるのはどうかしら?通常、《キメラテック・フォートレス・ドラゴン》が攻撃する時は、龍の口内からレーザーを発射するものなんだけど、今回はダメージだけじゃなくてモンスターも実体化させちゃってるみたいね」

 

 コンコン、と綴はDホイールを走らせながら要塞龍のボディをノックするように叩いた。実体があることの証だ。

 

「あなたは機械。《フォートレス》は取り込んだ機械族を《サイバー・ドラゴン》に作り替えてその力としている……だったら『あなたを取り込んで作り替える』ことも可能なんじゃないかしら?」

「なに……?」

 

 悪魔の発想。プラシドはすぐに理解できなかった。

 

「いやまあ、《サイバー・ドラゴン》擬きに作り替えるのは、あなた達の神様の設計上無理だろうけど、触手責めはいけるでしょ。……サレンダーか凌辱されるかの二者択一。どうする?」

 

 ずるり、と要塞龍のホイールから様々な太さのコードが這い出てくる。プラシドは思わずDホイールのアクセルを踏みそうになって、とどまった。逃げることさえ己のプライドが許さない。

 

「うえ、どんだけ悪趣味なんだよあいつ。いくらプラシドでも、いや、“プラシドだからこそ”流石にそれは見たくねえ……!」

「大丈夫よルチアーノ。ホイールの中でヤッちゃうから外から観測できないわ」

「……無事は保証されるのであろうな」

「ホセ!?いいのかよあのままヤらせちゃって!あんたも見たかないだろ!」

「サレンダーを強制させれば、いずれプラシドはその鬱憤で暴走しかねん。ならば凌辱に耐えさせた方がマシだろう」

「マジかよ……わかったよ、僕自身には関係ないことだからな!」

「あら、まさかのOKサインが出ちゃったわ!6000ダメージ分の凌辱、始めちゃっていいのね?」

 

 コードの触手がプラシドに迫る。

 

「くっ……!オレは絶対に貴様には屈しない!」

「いつまでその虚勢が保つかしら。それでは神に選ばれし三皇帝が一人、プラシドさんのお仕置きターイム!」

 

 ビシッ、と綴が人差し指を振り下ろすと、触手はプラシドの身体を捕らえ、ホイールの中に収めた。

 

――※Caution! この先、凌辱の描写があります。苦手な方は飛ばしてください―――

 

 

 

 

 

「さあ、かかってこい!」

 

 昏い昏い穴の中で、プラシドはその中央に立たされていた。うすぼんやりとした視界。どこを見渡してもコード、コード、コード。その一部が四肢に巻き付き、X状に縛り付けている。その触手は、彼が暴れようとすると即座にきつく戒める。

 天井から白いコードが数本、ゆっくりと降りてくる。首でも絞めるつもりか、と身構えていると、それは背中に向かい緩慢にまさぐり始めた。

 

「なんだ……?」

 

 無機質なコードは、背中の各所に先端を当てると微弱な電気を流しはじめた。

 

「ふん、この程度でオレがどうにかなるとでも……!?」

 

しゅん、という音と共に、究極体に変形する際Dホイールと合体するために背中に備え付けられた、太いコードとの結合部分4つが露わになった。微弱な電気は秘所を暴くためのもの。

 

「なにをするつもりだ……!くそ、離せ!触るな!」

 

 苛立ち紛れに身を捩ろうと、なんの抵抗にもならない。そして―――

 

「―――ッ!?」

 

 小さく息を呑む。背中を這っていた触手が、結合部の穴の1つ、そのふちをなぞるように擦り、電流を流した。痛みはない。ただ合体するだけの機能しかない場所。だというのに、その刺激で頭の奥まで痺れが走った。

 “獲物”の動きが止まったことを理解したのか、残る3つの結合部にも触手が迫り、ふちを責めるように動きを変えた。

 

「……っ、ふ……う……ぐっ……」

 

 こらえられないほどではない。だが、唇をきつく噛みしめるだけでは声が抑えられない。

 発声機能を持つ喉が鳴ってしまう。甘く鼻から抜けてしまう。

 ゆるゆると暴き出された弱みへと様々なコードが集っていく。機械の身体だというのに、人間のように反応してしまう事実が腹立たしかった。なぜ神はオレに感覚などというものを与えたのだろうか。

 

「ひ、ッう、う……ぅ、く……!」

 

 背中の結合部分など意識したこともなかった。にゅるにゅると穴を前後する動きに、甘い声が漏れそうになる。こんな場所に触れられて、快楽として享受することなど、ありえない。ありえないはずだというのに。

 

「クソッ!……クソッ……!!」

 

 思わず毒づく。間違いなく与えられている快楽は、けれどももどかしいまでに柔らかく緩慢で、ずるずると積み重ねられていく。この身体には達する機能がない。だから、積み重ねられていくこの快楽を吐き出す術はない。それはつまり。この果てがない凌辱が終わって以降も、この毒は身体に残ってしまうのではないか。そんな絶望がプラシドの心に滲み始めていた。

 だが、絶望はこれだけに留まらない。コードの先端達が4つの結合部の窄まりに一気に、容赦なく入り込んできた。

 

「―――あっ……あ、ッお、ぉああ……!」

 

 柔らかい、なめらかな、けれど確かに形がある、なまあたたかい。結合部から肉体まで入り込み中をずるずると這いまわる質量。単調な動きだ。飽きることもなく単調にひたすら繰り返される。身体がエラーを吐き、くらくらとする。その場で座り込もうとするような虚脱感を、コードの集まりは許さない。

 じゅる、ずず、ず、ず、ちゅぽ。何もない空間で無機質な音が聞こえる。そして、声が。

 

「はお、あああ、あッお、ぉお……ッ」

 

 口から洩れる、間抜けな声。身体の、どこか、深い部分で、無慈悲に触手が這いずり回る。

 頭の先から、指の先まで。なにかが駆け巡った。

 恐怖心だろうか、あるいは。

 

「やめ、」

 

 つぷ、とぷ、くぷ、くぷ、とぷ。緩慢に、冷淡に、単調な動きを繰り返す。どろどろと理性が溶けていく。知りえるはずのないことを、身体がどんどんと記憶している。

 

「やめ、ろ……!」

 

 そして、単調な動きを止め、これまで柔らかだったコード達が硬さを帯びる。圧迫感を増す。なにかが、来る!

 

「ひっ、や、やめ、ッあぎ、いッ、やめ、く、うぁ―――~~~ッ!!」

 

 電流は一気に容赦なく身体の中を駆け巡った。それがもたらすのは、頭の奥まで真っ白になるような、思考の全てが吹き飛ぶような快楽だった。

 満足したのか、ずるり、と触手がぬけていく。そして、コードの束たちは、気絶したプラシドを、興味を失ったのか、ぺいっ、とホイールの外に放り投げた。

 

 

―――凌辱終了―――

 

 

 

 

 

「あ、終わったのね」

 

 はたから見れば傷一つついていないプラシドの身体を見て、綴はつまらなさそうに言った。

(やっぱり生意気な奴をわからせるよりは、希望を持った瑞々しい青年をオトす方が性に合ってるわ、僕)

 

プラシド:LP2000→0

 

「気絶しているだけか?内部構造をスキャンしてもエラーが多少でている程度だ」

「時間もあんまりかかってねえし、手心でも加えたのかよ?」

「そこはご想像にお任せするわ。とにかく、これで私の案が採用されるってわけね?」

「うむ。お前が組むチームで、サーキットを完成に近づけるのだ」

「御意。ところで、家に帰るにはDホイール使わないといけないの?」

「そこめんどくさがるのかよ!プラシドの奴が勝手に連れてきたとはいえさあ」

「構わん。プラシド共々後始末は私がやっておく。そこから帰るがいい」

 

 何もなかった空間から光が漏れ、穴が出来る。綴がそこに飛び込めば自宅の寝室だった。

 さっそくベッドに寝転ぶ。

 

「あぁ―――2回連続でデュエルしたから疲れちゃった。シャワーは明日起きてからにしましょ。ああ、けど、こんな僕でも舞台に上がれるのね。よかった。待っていて遊星、次もあなたの心に僕を刻み付けてあげるから……」

 

 ブランケットを頭まで被りながら、次の機会への期待を膨らませて、綴は健やかに眠りについた。

 

 




今回の描写がR-18相当であれば該当箇所は削除します。
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