代星-我らが母国はいかにして勝利したか、あるいは我らの祖国はいかにして滅びたか-   作:ライト鯖

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第十二話 会議、捜査

基之が、"鷹鸇(ようせん)"へと来てからおよそ1ヶ月が経っていた。

彼はこの一月の間、主に力仕事や、単純な雑務を割り振られ、一心に、気を紛らわすように、それらの業務に取り組んできた。

少しでも立ち止まれば、良くない想像ばかりが過るため、そうやって誤魔化すしかなかったのだ。

 

だが、その結果として、彼は、意欲的であると事情を詳しくは知らないメンバーからは評価されるに至り、ある程度の信頼を勝ち得てもいた。

今の彼にそんなものを気にしている余裕などなかったが。

 

「おはようございます」

「おう、おはよう。今日は特に搬入される荷物はないし、自由にしてていいぞ」

 

雅緂ゲットーの外、隣の行政区画へ入るギリギリの位置にまで離れた荒野のど真ん中に打ち捨てられている、ハヤブサ連邦の調査基地を再利用しているこの基地には、秘密裏に運ばれて来る物資が基本的には隔日に一度、届く。しかし、どうやら今日は何もないようで、担当の者にそう言われた基之は、持ち場を離れることとなった。

最初の頃であれば特に仕事のない時は待機であったが、今や自由に動くことを許されている。

幾ら責任者の勝敏が事情を知っていて信用していても、基地全員が直ぐに警戒を解くわけではないし、勝敏もその点で特別扱いはしなかったのだ。

だが、彼は自身の働きで勝ち得た信頼で基地の大半に出入り出来るようになっていた。

 

基之は、仕事のない時は気を紛らわす為、最近は図書室へ行き、読書にふけることとしている。

鷹鸇は、明子曰く、特に勝敏が熱心に、起源国政府によって発禁処分を受けた書籍を収集しているそうで、様々の書籍が図書室には集っていた。

起源国が"フェイク"と断じた歴史本や、一部の娯楽小説に、ワープ技術に関する書籍、兵法や軍事に関わる書物が主に発禁処分を受けており、それに合わせたラインナップがこの図書室には多く並んでいる。

 

基之はジャンル問わず種々の書籍を手に取り、読んできた。

特に、姉を助け出すことに役立ちそうなモノを中心に。

例えば心理学や、精神医学に関わるモノ。

例えば日常のケアに関わるモノ。

そして、役に立つかは不明瞭ながら、救出の際に作戦に参加するかもしれないと、兵法や武器兵器、戦闘に関わるモノ。

そういった、何かしら関係してくるだろう書籍を読み漁り、少しでも役に立てるようにと、彼は考えていたのだ。

 

「ああ、いたいた。基之」

 

基之が読書を始めてから小一時間程が経過した頃、明子が図書室にやって来て、彼を呼んだ。

 

「どうしたの?明子(ミョンジャ)さん」

「隊長が呼んでるわ」

「!...分かった。直ぐ行く」

 

隊長、つまり勝敏(スンミン)に呼ばれる理由となると、基之には一つしか可能性が思い付かなかった。

浅菜が見つかったのでは、という可能性だ。

緊張に身を固くしながら、素早く本を戻した基之は、明子と共に隊長室へと向かうのだった。

 

「悪いね。突然呼び出して」

「いえ。しかし、何用でしょうか」

「察しの通りだと思うよ」

「では..?!」

 

本当に浅菜が、と思わず、勝敏と向かい合っていた間にある机から身を乗り出すようにして尋ねていた。

 

「うん。浅菜さんが見つかった。第八指定居住区、つまり琥珀市(こはくし)近辺だな、の職業訓練所だそうだ」

「琥珀市...」

 

基之はかつて学校で習った地理の知識を動員し、雅緂ゲットーとの位置関係を計ろうとしたが、勝敏が先んじてその位置を伝える。

 

「第三群州 琥珀市、琥珀湖の近辺だ」

「第三群州って...そんな遠くにですか?!」

 

旧ハヤブサ連邦、及び、その地方制度を流用している起源国第三星系総督府はこの惑星ハヤブサに、七つの州を設定している。

その内、第一群州は首都の島と、その海を半包囲するようにして存在する大陸の内海沿岸地域、第二群州は、首都島の浮かぶ内海の緯度、その中央値を起点にした沿岸を除く大陸南部。

そして、第三群州は、内海を起点とした同じく大陸北部を統括している。

雅緂ゲットーは基之の暮らしていた街、雅緂市から更に南にあり、感覚としても実際上としてもかなりの距離があるのだ。

 

「しかも、琥珀市って、最北部ですよね..?」

「ああ、そうだな」

「どうしてそんな..」

「分からん。たらい回しにされたのかもな」

「隊長!」

 

若干不用意な勝敏の発言に、明子が注意の目を向けた。

 

「ああ、すまん。しかし、現実としてそこまで送られたのは事実だ」

「ええ、大丈夫です。でも、そうなると..」

 

名誉起源民の長距離移動は極めて難しい。

種々の手続き、書類、それらを全て用意したとしても、許可されるかは殆ど運次第といった有り様である。

基之は、その故に、焦燥を顔に浮かべていた。

 

「安心しろ。我々も協力するのだからな。今日はその作戦を詰める会議に参加して貰おうと思って呼んだんだ」

「はっ...はい。ありがとうございます」

 

勝敏の言葉で、普段は振り払っている悪い想像に呑まれかけていた基之は、我を取り戻した。

 

「では、付いてきたまえ」

 

基之を安心させるように軽い調子で言い、勝敏は立ち上がり、部屋を出る。

明子は反対方向へと別れ、基之は勝敏の後に付いて、会議の場へと向かうのだった。

 

「諸君。お待たせした」

 

そう快活に挨拶する勝敏の後ろに付いて入った基之は、居並ぶ面々に、ここに来てから始めて見る顔もいることに気が付いていた。

 

「彼は、日野基之。今次作戦にてデビューを果たす新人だ。彼にも大いに関わることなので会議に参加して貰う」

「デビュー...?」

 

寝耳に水、と基之はバッと勝敏に目を向けた。

 

「当然だろう。君の姉を助けに行くんだからな」

「それはその通りですが..」

 

ぐうの音も出ない正論ではあるが、初対面の、恐らく幹部級もいるだろう面々のいる場でいきなり言われれば驚きもするというものだ。

とはいえ、もっともな話であるので、基之はとりあえず目線を、会議の参加者らへと戻した。

 

「何だ。また言っとらんかったのか勝敏(かつとし)。お前の悪いところだ」

 

参加者の中で最も高齢だろう男が、慣れたようにそう笑った。

 

「今でも問題なかったから言ってなかっただけですよ」

 

勝敏は言いつつ着席し、基之には参加者らが居並ぶ机から少し離れた位置にある椅子を指差した。

どうやら、傍聴しておけ、ということらしい。

基之はその指示に従い、部屋の隅にストンと着席した。

 

「さて、それでは始めましょうか。皆様お集まり下さりありがとうございます。今作戦は、琥珀ゲットー支部と、星京支部、そして我々の合同で行います。琥珀ゲットーの方遠方にあり、不用意に呼び出すことも出来ないので、今回は参加していませんが、逐次連絡は取っているのでご安心ください」

 

コホン、と勝敏は咳をし、先を続ける。

 

「今作戦は、"職業訓練所"に収容されている人々の解放と回収が任務となります。かの施設はご存知の通り、劣悪極まりない環境での暴行等が横行している実質的な強制収容所に他ならない。捕らわれている人々を解放することは、我々組織の方針とも合致するものと確信しています」

「いいですか?」 

 

基之にとっては初見の女性が挙手し、発言を求めた。

 

 

「何です?」

「支部の独断でやっていい規模の作戦ではないかと思うのですが、本部に許可は取っているんですか?」

「“問題ない”。"ボス"の方針だからね。この基地なら回収した人々も一時的に隠すことは可能だし、ほとぼりが冷めた頃に、我々と提携している軍人連中が支配しているゲットーに送れば良い」

 

起源国そのものに不満を持つ軍人や"平等派"の中でも過激な勢力の中には抵抗勢力と結託、連携している者もいるのだ。

惑星ハヤブサの三ヶ所のゲットー責任者や幹部達にはそうした協力者がその座に着いている。

 

「まあ確かに、ゲットー外のここなら匿えるだろうけど、軍の施設や政庁を直接狙うわけじゃないのは何故だ?」 

「さすがにそれは、奴等を本気にさせてしまうからね」

 

勝敏は、肩を竦めながらそう言った。

実際、軍を直接襲ったり、政庁を攻撃したとあっては、大規模かつ徹底的な弾圧は免れないだろう。

勿論、公的な施設というだけで警戒は強まるだろうが、支配の根幹たる軍や中枢が狙われれば必然、反応は苛烈なものとなる。

勝敏の一言で、質問した男は言わんとしていることを諒解し、頷いた。

 

「丁度、平和的なデモにおいて虐殺が行われた所だ。我々が実力行使を行う大義名分も充分にある。喜ばしくはないことだがね」

 

勝敏は言いながら、壁面のスイッチを押し、スライドを起動した空中ディスプレイに浮かび上がらせる。

 

「そろそろ作戦の説明に入りたいと思うのですが、よろしいですかな?」

 

議場を見渡す勝敏は一人、手をヒラヒラと挙げていることに気が付いた。

 

(からす)さん、どうかされましたか?」

 

烏と呼ばれたのは、先程、勝敏にまたか、と笑った高齢の男である。

 

「そこの傍聴している日野くんのことだが、姉を助けに行くと言っていたね?まさか、私情でこの作戦を始めたわけではあるまいな?」

 

烏は、見透かしたような視線を勝敏に向けた。

 

「まさか...と言いたいところですが、全く何の私情もないかと言われれば嘘にはなりますね。理由が無いわけではないですが、琥珀市を選んだのは殆ど此方の都合です。ですが、"職業訓練所"は、正式な強制収容所や軍施設より警備も薄く、狙い目であることと、収容されていた人々が我々の協力者になりうる可能性が高いことからターゲットとして選定した次第です。元々前から計画はしていたことを実行に移すだけですしね」

「...そうか。まあ、なら良い」

「ありがとうございます。それでは、作戦を詰めていきますね」

 

そうして作戦会議が始まり、議論はその後、数時間に渡って続けられるのであった。

 

会議が終わると、"烏"が基之の方へと歩いてきた。

 

「頑張りたまえよ。私とて、かような非道な真似を見逃したいわけではないのだ」

「!...はい。ありがとうございます」

「じゃあ、また数日後に会うだろう。よろしくな」

「よろしくお願いします」

 

ペコリと下げた基之の頭に、掌の感触がもたらされる。

 

「無事を祈っているよ」

 

そして、彼は退出し、それを皮切りに他の面々も会議室を後にしていった。

 

「隊長」

 

二人だけとなった会議室で、訪れた静寂を破ったのは基之だった。

 

「どうした?」

「何で、俺と、姉さんのためにここまでしてくれるんですか?」

「他にも理由は色々あると説明したろ。琥珀市の隣にある北海市で警戒が強まっているから、其方の目を琥珀市にも分散させるって目的があるのさ」

「でも、場所の選定は殆ど私情と...」

「ああ。それは極めて個人的な理由だよ。話すことじゃあない」

「教えてください。知りたいんです。どうして、母さんの遺体を丁寧に埋葬してくれたり、姉さんを助けようとしてくれていたのか、理由を。ただの慈善とは思えないんです。事の重大さからしても。だから...」

 

喰い下がる基之に、勝敏はチラリと視線を向け、息を一つ吐いてから、こう、小さく応えた。

 

「似ているんだ」

「...?」

「息子によく似ている。君は。...ただ、それだけだよ」

 

声色から基之にも察せられた。

その息子の現在を。

 

「起源国に..?」

「ああ。...だから、つい肩入れしたくなったんだ」

「...そう、だったんですね」

「この事は秘密だぞ」

「はい...すみません。ありがとうございました」

「気にするな。まあ、理由も分からず怪しい連中が手助けしてくれるってのも、不気味だろうしな」

 

基之が口に出し辛かったことをあっけらかんと勝敏は言い、見透かされていたのかと、彼は少しばつの悪さを感じた。

 

「さあ、一週間も猶予はないんだ。君には必要なことを突貫工事で身に付けてもらうからな」

「はい!お願いします!」

 

基之の返事に、勝敏は微笑を湛えた優しい表情で頷くのだった。

 

 

同日。

第三星系総督府 第5指定居住区

 

雅緂ゲットーと通称されるこの居住区には幾つかの名誉起源民による自警団が存在している。

それらは全て、保安隊がマークしているのだが、彼らの活動場が基本的に、保安隊が近付かず、あえてカメラ等を設置していない路地裏であるため、その全貌を知る者は保安隊にいない。

 

グエン・バン・ライン保安隊兵長は、彼らに勘づかれない範囲で慎重に、住民への聞き込み調査を行っていた。

 

「そこの。少しよろしいか?」

「...はい..私でしょうか..」

 

起源国軍人に呼び止められた住民は、大抵縮み上がり、震えた声で、こうして振り返る。

 

「お前だ。幾つか聞きたいことがある」

「は、はい...何なりと..」

「"(はいたか)"若しくは、"孔雀(クジャク)"という組織を知っているか?」

「はい...自警団ですよね..」

「うむ。その自警団に関してだが、君は世話になったりしたことがあるか?」

「...えと..」

「安心しろ。関わったからといって逮捕する訳じゃあない。彼らの活動について把握するのも我等の職務なのだ」

「はあ...私は関わりありませんが、自警団に助けられたと話している人なら..」

 

逮捕するわけではない、という言葉に多少安堵したのか、住民から、声の上擦りは取れていた。

 

「ほう?その者の名は?」

「山上 登、です」

「住所は分かるか?」

「えと...」

「先も言ったが、ただの活動調査だ。恐れず答えろ」

「四番通りの...A-5番アパート...201です」

「よろしい。もういって良いぞ」

 

質問から解放された住民は、安堵の溜め息と共に足早に人混みの中へと去っていった。

グエンは、その背を見送りながら、言われた住所への近道を腕時計型端末に検索させる。

彼は、アーノルド・マーカス大尉、彼の直接の上司、が起源軍人の不審死に関わる映像証拠を握り潰したことに不満を感じ、独自に捜査を行っているのだ。

マーカスに勘付かれないように、業務の合間を縫っているため、殆ど進展はなかったが。

 

確かに、女性をレイプした兵士らが悪い。

だが、だからといって政治的思惑の為に真実を見なかったことにするなど、したくはない、そういうある種、無垢な想いで彼は動いていた。

 

先程の住民から聞いた住所へとたどり着いたグエンは、ドアをドンドンとノックする。

 

「保安隊だ。少し話を聞きたい」

 

ここも、例に漏れず恐る恐るといった様子で扉が開けられ、女性住人がそうっと顔を覗かせた。

 

「"鷂"、"孔雀"どちらかに世話になったことがあるそうだね」

「...誰が..」

「誰でも良い。それより...」

 

胸ポケットから印刷した写真を束で取り出し、それを女性住人の眼前に突き付ける。

 

「この中に、見覚えのある顔はないかね?」

 

女性住人はそれを受け取り、一枚一枚確認を始める。

それら十数枚の写真に写っているのは全て女性であった。

件の路地から出られる通りに設置されたカメラが捉えた、兵士らから性被害を受けたと思わしき女と共に歩いていた女性をAIの判定にかけた結果出された候補である。

上手く人に隠れて移動していたことと、髪型等が恐らく登録されているものと異なっていたこと、そして、数ヶ月前に大規模なハッキングにあい、学習が初期化されていたことなど様々な要因が重なり、ピンポイントで絞り混むことが出来なかったのだ。

 

しかし、候補に挙げられた女性は全員、念のため印刷し持参こそしているが、大部分が一般住民であり、数名のみが自警団関係者である。

その数名が所属している自警団組織こそが"鷂"と"孔雀"なのだ。

 

「うーん。...この人、が一番雰囲気が近い..です..」

 

正直に応えるべきか迷う様子も見せながら、女性はそう押し出すようにして言った。

 

「確実ではないのか?」

「..少し、違う気がします...髪型とか..?」

「ほう?なるほど。名前を聞いたりはしたかね?」

「いいえ...すみません。助けて貰ってから直ぐに家に送ってもらって、その後のことは..,」

「そうか。では以上だ。邪魔したな」

 

グエンは、また大した情報は得られなかったと僅かに肩を落としながら、さっさとアパートを去り、本部へと戻るのだった。

 

グエンは、本部に戻ると、マーカスにいきなり呼び出され、彼のオフィスに通された。

 

「止めろ、と言ったよな?」

 

グエンは何のことかは直ぐに察することが出来た。

だが。

 

「ご存知だったのですね...」

「下っ端刑事が秘密など持てると思わないことだな」

 

呆れたようにマーカスは息を吐き、どかり、と椅子に腰掛けた。

 

「いいか?前にも言ったが、"平等派"に餌を与えかねない本件は、ウチのボスの逆鱗に触れる。見なかったことにするんだ」

「マーカス大尉にはご迷惑をおかけしません」

「お前が一人で責任取るつもりでも、俺に飛び火するんだよ。直属の上司なんだから」

 

言われ、返答に一瞬窮したグエンだったが、諦めはしなかった。

 

「ですが、軍人二人の殺害はいかなる理由があれ重大な反逆行為です!こんな真似をするのは抵抗勢力である可能性が高いはずです」

「そうだな。だが、見逃せ。そういうモノなんだよ。この組織は」

 

マーカスはそう手で振り払うような動作をしながら自嘲気味に言い放った。

 

「.....」

 

しかし、グエンのそれでも折れない、真剣な目付をしている。

それを見たマーカスは、深く息を吐き、突き放すように、しかし、若干の妥協も籠めて、こう言った。

 

「これから退職するまで私と一日中チェスを打ちたいと言うならば考えてやらんこともない」

「は...」

「お前さんはそれで良いのか?」

 

グエンは押し黙り、目を僅かに游がせる。

何と答えるべきか、分からなかったからだ。

数秒経ち、彼は捻り出すように言った。

 

「熟慮致します...」

 

それを聞き、マーカスは話は終わりだ、と書類に目を落とし、最後に、悔しげに部屋を退出しようとしていたグエンへ、こう忠告をするのだった。

 

「理想に燃え上がるのは結構だが、殉じるには覚悟が必要だぞ。それ相応のな」

 

 





Tips
ゲットーにおける起源国の基本政策
起源国は名誉起源民を意図的貧困状態に置くことを基本としている。
これは"復讐派"が強い影響力を持っているためだ。
経済合理的には無駄なことだが、彼らのイデオロギー的満足を満たしている。

一部、あえて監視の行き届かない場所を作ることもこの一環である。
単純に貧困に置くだけでは餓死者が出たり等、面倒な事態になりかねない。
餓死者まで出ては死体の対処だったり、種々の雑務が増えるのだ。
経済成長に寄与しない所までは許容出来ても、無意味な職務を大量に増やすことはさすがに許されない。
故に、ブラックマーケット、要は闇市が成立するようにし、そして失業率の高いゲットーで仕事に就くために裏社会の"仕事"をする余地をあえて作っているのだ。
勿論、適度に摘発も行うし、下っ端など大して稼げない。
これによって貧困を維持しつつ餓死者であったり、は出さない程度の生活をつくりだしているのだ。
ついでに、起源軍人のストレス発散に使える場という意味も持つようになっている。
その為、多少の治安悪化は、許容範囲として見過ごされている。
鷹鸇含むレジスタンス組織が活動出来ているのは皮肉にも"復讐派"がそうしたイデオロギーにのみ基づくバカげた政策を推し進めている故、というわけだ。
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