代星-我らが母国はいかにして勝利したか、あるいは我らの祖国はいかにして滅びたか- 作:ライト鯖
‐宇宙概史‐
西暦2095年 太陽系外への初の有人飛行
~西暦2200年代 気候変動や飢餓による死者が大量発生し、人口減少が猛スピードで進行
地球の不安定化
西暦2238年 地球脱出、始まる
西暦2389年 ハヤブサ連邦成立
西暦2320年 銀河連盟設立。
西暦2439年 天歴一年。銀河連盟解散
西暦2689年 起源国、ハヤブサに出現
2100年地球人口は100億を越えていたが、2200年には80億まで減少。
脱出による減少がおよそ20億人加わり、60億前後となった人口は、その後紛争や飢餓で更に10億減少し、50億を切る程となった。
年表
注意
下記からは第一話以降の内容が含まれています。問題ないという方は引き続きそのままお読みください。
‐地球史‐
西暦2238年 地球脱出開始
西暦2248年 最後の脱出船。出る。
~西暦2270年 大混乱期。旧先進国秩序崩壊に伴うサプライチェーンの崩壊による混乱や紛争が多発。
この間に、餓死や虐殺が頻発した。
この期間後も混乱は収まったわけではないが、これ以前よりは徐々に改善傾向となる。
西暦2282年 国際連合会議開催。旧先進国や新興国に残された貧困層だった人々等がどうにかまとまって作った政府も参加。
形式上安全保障理事会も充足。
西暦2283年 安全保障理事会と総会による全会一致を持って、国際連合は地球連合共和国へ改組、発展。
地球連合憲章が制定される。
西暦2284年 起源連盟樹立。政治運動を開始する。
西暦2286年 主に起源連盟の活動により世界各地で復讐主義的論調が広まる。
西暦2290年 第一回地球連合評議会選挙が実施。経済復興を掲げる、地球連合結成の立役者らによる政党、地球市民党が第一党に。過半数を獲得。
第二党には起源連盟よりも穏当ではあるものの復讐主義的な思想を有する地球統一党。
第四党に起源連盟。
西暦2297年 第二回選挙。地球市民党が再び過半数確保。
ただ、起源連盟と統一党も議席を延ばした。
西暦2300年 地球市民党は、未だ各地自治政府の統治が及ばない地域が多くあるなか、軍備に金を使っている余裕はないと経済政策に注力。
これが、不安定な状況にある旧先進国地域住民の不支持を買うことになる。
また、経済政策も、運悪く地球規模の異常気象により頓挫。
同年10月 地球市民党の失敗を象徴するように、日本列島自治政府の首府 東京が陥落。
横浜に最後の拠点を移す事態となる。
西暦2304年 第三回選挙。この時期、起源連盟は統一党と合併。
主張はややマイルドになり、大衆人気が高まる。
主に、復讐に国家の全てを捧げるといった過激かつ私生活を軽視した主張を削除し、統一党の民力復旧と発展を重視し、後に軍備を整える、という主張に同調したことが大きい。
民衆も憎しみや怒りは抱いていた為、結果として起源統一党が大躍進した。
ただ、地球市民党並びに他政党が危機感から連合し、無所属4名の協力を含む超大連立を慣行。
起源統一党が第一党となったものの、二議席差で大連立側が過半数を獲得。
地球市民党政権がかろうじて三期目に突入。
西暦2306年 ヨーロッパ統括政府がパリを失陥。これが最後の引き金となる。高まっていた地球市民党への不信を利用し、起源統一党が議会に不信任決議を提出。無所属議員三名が、理由は未だ不明ながら造反。
大連立政権は崩壊する。
西暦2307年3月 第四回選挙が開始。起源統一党が第一党となり、かつ、大連立の崩壊を受け、起源統一側に回った右翼政党、地球国家人民党との連立で過半数を確保。
西暦2307年10月 イエナ・オクトールが地球連合主席となる。
彼は、起源連盟の支部役員であったが、統一党との合併を期に、その演説の才能とカリスマ性で頭角を現した。
合併にあたっての党首選別に際して、両党どちらかの高級幹部であると角が立つ、ということで、両党で人脈を築きつつあり、なおかつ下級幹部であった彼に白羽の矢が立った。
西暦2308年 イエナ・オクトール(当時40)。未だ旧国土を統一しきれていない、"先進国"等があった地域の政府を軍事的に支援し、軍閥やマフィアの討伐、平定を命じる。
西暦2309年6月 日本列島自治政府、列島制圧。
同8月 北米統括政府、大陸平定。
西暦2311年2月 中華自治政府、全土平定。
同11月 欧州動乱沈静化。
同12月 イエナ・オクトール。「人道」演説を行う。
要約すると、人道主義を掲げながら自分達だけ逃げたかつての国々と違い、真に誰一人取り残さない為に、地球平定を最優先とする、という軍事優先の方針を明らかにするものであった。
これは、彼の演説の才能と言葉巧みな言い回しによって地球市民の心を掴み、それまでの実績も踏まえて、圧倒的支持を集めることに成功する。
また、この際、地球連合結成初期以来となる経済成長率5%越えを達成したため、演説では私生活よりも地球全体をと主張している中でも経済政策に裏で力を入れている、と市民が好意的解釈を行ったことも手伝い、更なる支持を獲得した。
実際は軍需産業拡大による一時的なものであったが、政府はあえてそれを公表はしなかった。
西暦2312年4月 イラク、アラビア半島平定
西暦2313年2月 インドの首都デリー制圧。インド自治政府首府が移転。
同年10月 財務、経済産業分野の副大臣に最新AIを起用。正確な計算に基づく財政再建計画を提示。
西暦2314年3月 インド平定。
同8月 モスクワを軍閥政府から奪還。年明けにサンクトペテルブルクより自治政府が移転
同年9月 第五回選挙。開始。圧倒的軍事手腕による各地の平定によって、大きな支持を得ていた起源統一党の二期目獲得が確実となる。
同年12月 圧倒的得票により起源統一党が単独過半数を獲得。2/3に迫る勢いを見せる。
西暦2315年5月 南米統括政府発足。
同年11月 アフリカ全域平定終了
西暦2316年 AI大臣による管理と計画により、地下資源等の物資が安定化を見せ始める。また、異常気象も発生せず、農業生産の増大もあった。
同年11月 民政に力を入れることを演説にて公約。
西暦2318年 地球脱出期以降始めて、人口が増加を見せる。
西暦2319年 地球平定を宣言。最後まで残っていた軍閥であるオーストラリア国家政府及び、イルクーツク軍政府が降伏したことによる。
西暦2320年 軍備に使われていた予算全てを、7年間に渡って維持費を除いて民政に回すと公約。
西暦2321年 経済は世界的に回復、発展の傾向を示し始める。
同年9月 第六回選挙。起源統一党、圧勝。2/3を確保。
同一人物による政権は三期までと憲章で定められている為、これがイエナ・オクトール最後の任期となるはずであった。
西暦2322年 首都建設計画委員会発足。
西暦2325年 人口が54億に回復。犯罪率も減少し続けであり、市民からのイエナ・オクトール人気は加熱の一途を辿る。
西暦2326年 ワープ技術研究に対する予算を100倍に増額
西暦2327年2月 イエナ・オクトール。憲章改正を行い、自身が終生執政官となることを国民投票にかけると発表。
同年8月 投開票。71%の賛成により、イエナ・オクトールは執政官という新たな国家元首の地位に付き、終生のものとした。
同年9月 第七回選挙開始。地球連合共和国最後の選挙となる。
同年12月 起源統一党は独裁を警戒する一部からの票を失い議席を減らしはしたものの、2/3を依然として確保。
西暦2328年2月 最初の議会で「政党統一法」が可決される。
起源統一党と、それへの吸収合併に応じた政党以外は解散となる。
本来は国民投票が必要な事項だったが、それは先の国民投票で同時に改正されており、国民投票無しで執行された。
同年8月 連合憲章廃止決議が行われる。
既に、各地自治政府は起源統一党政権が大半であったため、自治政府代表らによる連合特別評議会にて圧倒的賛成を得て廃止された。
同年9月 地球連合共和国は起源国へと改称。起源憲法公布。
同年11月 各地で独裁反対の蜂起が発生。
西暦2330年 鎮圧。これ以降、反対の声は下火になる。既に言論統制はなされており、これ以上の抵抗運動は殆ど弱小でしかなくなる。
西暦2331年 イエナ・オクトールは自身でイエナ・アース・オクトールと名乗り始める。地球に婿入りした者、という意味。
これ以降、アースの名を歴代指導者は自身の名に加えるようになる。
西暦2350年 イエナ・アース・オクトール死去。
同年10月 国葬が行われ、地球全域が半年間の喪に服す。
西暦2351年 アリウス・アース・ガーナード(当時52)二代目執政官に就任。
西暦2352年 指導者交代による権力闘争の隙を付き、南米を中心に最後の大規模叛乱が発生。
西暦2354年 鎮圧。
西暦2355年 太陽系再探査計画。太陽系惑星に建設されていた幾つかの基地の復旧や、新たな基地の建設が始まる。
西暦2357年 首都アルワタン完成。国連本部を改装して使用されていた政庁、つまりNYから遷都される。
西暦2358年 ワープ技術の第一回実験が行われる。失敗。光速を越えるエンジン開発の実現性に疑問がなげかけられる。
西暦2365年 土星の衛星、後にムスペルヘイムと名付けられる小惑星にて、未知の鉱石が発見される。
西暦2368年 未知の鉱石の発見者でもあり、爆発事故の犠牲者となったクラウディオ・ベラルリオスの名から取り、鉱石をクラウディオ鉱と呼称することが決定。
西暦2375年 クラウディオ鉱の精製技術が完成。
西暦2377年 クラウディオ鉱軍事利用のための大量爆破実験にて、空間異常が確認される。
西暦2379年 クラウディオ鉱がワープ技術研究に用いられることが決定。
西暦2381年 アリウス・アース・ガーナード死去。起源国議会による後任選任システムを生前に構築していた為、混乱は起きず、三代目が選出される。
西暦2382年 カラレス・アース・リスト(当時39)が正式に三代目執政官となる。
西暦2382年 ワープ技術第三十回実験にて、実験船が信号消失。空間移動の失敗と見られる。
しかし、ワープ行程に入ることは出来たため、画期的な進歩となる。
乗員には三階級特進と勲章が与えられた。
西暦2390年 産地の限られるクラウディオ鉱のワープ目的以外での利用が禁止される。
西暦2395年 ワープ技術第四十回実験 4.5光年先のプロキシマ・ケンタウリにワープ。莫大なエネルギーを使ってではあるが、ついに成功を治める。
人類史上初のワープによる太陽系外航行となる。
技術者らに、勲章が授けられる。
西暦2400年 起源国議会選挙にて、独裁反対を訴える市民によるテロが発生。
演説に来ていたレオン・シュターデン軍務大臣が死亡。
西暦2401年 地球市民党残党の過激派の犯行と発覚し、弾圧が開始される。これによって地球市民党は完全にその命脈を断たれた。
西暦2403年 超光速通信技術を手に入れる。
西暦2410年 "逃亡者"達の惑星間の通信を傍受する技術を開発。以後、惑星間通信は全てが地球に筒抜けになる。
西暦2440年 経済成長率が五年連続20%を越え、大好況となる。
西暦2448年 カラレス・アース・リスト死去。後任にはカール・アース・スミス(当時50)が4代目執政官に就任。
西暦2450年 経済の発展を期に地球の安定化とし、新たな暦、統一暦が制定される。
西暦やイスラム暦等が並立していた状況であったので起源国としての統一的な暦を制定する必要があったためである。
西暦2453年(統一暦3) 太陽系各惑星基地を拡大し、コロニー建設を行うと決定される。
西暦2460年(統一暦10) ワープ技術が片道でならば50光年の距離まで延長。
西暦2470年(統一暦20) 起源国、将来的な人類統合を宣言。人類を正統に統治しうるのは地球人類による国家のみであり、地球の正統政府は起源国である、と憲法に明記。
西暦2500年(統一暦50) カール・アース・スミス死去。
西暦2501年(統一暦51) 派閥争いの激化による半年間の空位を得て、混乱の末、
西暦2575年(統一暦125) ワープ技術の完成を見る。通常の航行もかなりの距離可能であり、かつ、往復に必要なエネルギーも、初期は日本列島自治政府で消費される一年分のエネルギーが往復に必要であったが、それを約72%削減することに成功。
そしてワープ可能距離は100光年へと延びた。
同年12月 王・アース・芳死去。
西暦2576年(統一暦126)1月 山下・アース・翔(58)第六代執政官に就任。
西暦2600年(統一暦150) 人類再統合に向けた準備が指示される。
西暦2610年(統一暦160)8月 山下・アース・翔引退。半年後に死去。
同年10月 シータ・アース・フェルナンデス(当時45)第七代執政官に就任。保守的な起源統一党において初の女性元首となる。
西暦2640年(統一暦190) シータ・アース・フェルナンデス、太陽系各惑星コロニー訪問中、狙撃される。
一命は取り留めるが、腕に後遺症を負う。
西暦2659年(統一暦209年)11月 シータ・アース・フェルナンデス死去。
西暦2660年1月(統一暦210) ジョルジュ・アース・ンガングガ(当時30)が第八代の最年少執政官として就任。
西暦2670年(統一暦220) 軍備拡張計画が最終段階に入る。
西暦2675年(統一暦225) ワープ技術が現在と同等になり、艦隊行動が可能なまでに費用と燃料を抑えることに成功する。
西暦2685年年初(統一暦235) 第一次侵攻計画が発表。四年後に行動が開始されることになる。
西暦2688年年末(統一暦238) 艦隊がリオグランデ惑星共和国及びティーガーデン連合王国に進発。
西暦2689年年初(統一暦239)ハヤブサ連邦へも進発。
‐ワープ史概略‐
土星の衛星の一つ、人類脱出期後、起源国が太陽系を開拓する過程で探査され、後にムスペルヘイムと名付けられる衛星にて、未知の組成で構成される鉱石が発見された。
その鉱石は極めて不安定であり、地球やそれに近い大気の場所へ未精製のまま持ち込むと巨大な爆発を引き起こす。
この特性は、船員の全滅という大規模な事故と、直前に残された通信記録から発覚した。
ただ、指先程の大きさで大爆発を引き起こすエネルギーを秘めたそれは、科学者らの興味をひいた。
研究の為に衛星に基地が建設され、爆破の条件が調べられた。
結果として、酸素が原因であると解明された為、遠隔ロボットを用いた研究が主となる。
固体の場合、僅かな酸素や強い衝撃に反応して爆発を起こす固体としては極めて不安定な物質であるが、液体に精製した場合、地球の酸素濃度であれば強い衝撃を加えない限り問題ないことが発見。
気体の場合、最も安定する。
超高温以外での爆発は確認されなかった。
莫大なエネルギーを持つクラウディオ鉱のエネルギー資源化、並びに軍事利用を目的に、大量のクラウディオ鉱を液体とし、中心部で爆発を発生させることによる爆破実験が行われた。
その際、空間に異常が発生、磁気の乱れなどと共に、瞬間的に空間にワームホールのような穴が空いたとしか考えられない記録が残った。
これに伴い、ワープ技術研究にクラウディオ鉱が用いられることが決定。
更なる研究が行われることとなる。
結果として、クラウディオ鉱は、その特殊な組成と特性によって亜空間に繋がりうる物質であることが判明。
これ以降、採取可能地が限られているクラウディオ鉱の使用目的はワープ技術限定とされる。
その後、ワープ技術が完成。
起源国は星系を僅かな時間で行き来することが可能となったのだった。