代星-我らが母国はいかにして勝利したか、あるいは我らの祖国はいかにして滅びたか-   作:ライト鯖

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第十八話 来光、或いは

 

雅緂ゲットーの保安隊によってパブ"イーグル"店主として情報提供や密談の場を提供してきた鶴田実が拘束されたその翌日。

 

青木祐輔は、軍の研究施設兼訓練施設へと来ていた。

現在彼は、特殊教育隊を離れ、正式な配属先へと配置され、分隊長を勤めている。

その配属先である第三星系軍第十一師団第二大隊を通して、彼を取り立てた"平等派"から指示が出た為、足を運んだというわけだ。

 

「君が青木祐輔准尉ですね?ようこそ。"第三宇宙軍研究所"へ」

 

彼を出迎えたのはくたびれた様子を感じさせる初老の男と、まだまだ熱意に満ち溢れているといった様相の若い女性である。

 

「私は、チャンドラ・ラース・シャーストリ、起源軍の戦術研究用のシステム構築をしています。こっちは助手のカリーヌ・カルデモンド」

 

初老の男がそう自己紹介と女性を紹介する。

そして、手を差しのべ、祐輔に握手を求めた。

 

「よろしくお願いします。Dr.チャンドラ。Dr.カリーヌ」

 

祐輔は形式的な挨拶をし、義務的に握手に応じる。

何をするべきか、いや、何が成されるのか知っているだけに、乗り気にはなれないでいたのだ。

 

「では、参りましょうか」

「はい」

 

チャンドラに先導され、祐輔はいかにも、といった白い壁に囲まれた廊下を歩いていく。

幾つかの扉を通りすぎ、幾つかの内部を見渡せるよう作られている窓も通過し、なおも廊下を歩く中で、はたと視線を、再び現れた窓の向こうへと向けた祐輔は、白衣や軍服ではない服を着ている若い集団が、研究者から何やら説明を受けているらしい光景を目に止めた。

 

「丁度、士官学校の生徒さん達も見学に来ていましてね」

 

祐輔の視線に目敏く気付いたチャンドラがそう説明する。

 

「お忙しい時にすみません」

「いえいえ。エリックさんからの頼みですから。無理にでも捩じ込みますよ」

 

祐輔の恐縮を、チャンドラはそうやって笑い飛ばす。

そして、丁度、廊下の突き当たりへと来たところで、彼は立ち止まった。

 

「着きました。この部屋です」

 

廊下の角に付けられた扉を開け、チャンドラとカリーヌ、祐輔は部屋へと入った。

 

「そういえば、ジェフ大佐も来られると聞いていましたが」

 

部屋の照明を付けたチャンドラは思い出したようにそう祐輔に尋ねた。

 

「急用が入ったそうです。30分程遅れるから先に始めておくように言われています」

「ああ、今日やることは聞いているんですね」

「ええ。問題ありません」

「そうですか。では、カリーヌくん」

 

言われたカリーヌは、彼らのいる場所に取り付けられた窓から見える奥へ通じる扉を開け、そちらでも照明をつける。

窓の奥は明るくなり、中央の天井から吊り下げられた立体映像投影機と、祐輔達のいる場所からは両者の見渡せる位置、それぞれ部屋の端に二つの操作盤らしきモノが設置されている様子が見られるようになった。

 

「では、改めて。君にはこれからシュミレーションをしてもらう。戦略シュミレーションという奴だ。

とはいっても、これは士官学校生も受ける実戦的なもので、宇宙艦隊同士の対決を想定している。

まあ、実際に艦隊戦など起きたことは殆どないが。だが、宇宙海賊の問題もあるし、訓練しておくに越したことはない」

 

そう、宇宙空間での戦闘を想定したシュミレーションを受けることが祐輔に与えられた今回の任務。

しかし、彼が気乗りしない理由は、そこにはない。

結果が如何様になろうとも、専門的な教育を受けたことがないにも関わらず、高得点を記録した。と、そう喧伝されることが決まっているのだ。

単純にアリバイ作りとして実際に受験するだけで、真実の結果に意味はない。

故に、気乗りしていないのだ。

 

「準備出来ました」

 

操作盤の一つへ移動した祐輔が、カリーヌにそう伝えると、彼女は部屋の照明を再び落とす。

それと相前後し、天井から吊り下げられた立体映像投影機が起動。

祐輔の目の前に、十数隻の宇宙艦隊を模したホログラムが出現した。

 

「難易度は大まかにE~Aの五段階に分けられる。一応、敗北するまで全部受けてもらいますぞ。まあ、気乗りはせんだろうが、しっかりな。"名誉出"の軍人がこういうものに触れる機会などそうそうないのですから」

「はい...」

 

彼としては、わざと手を抜いたとして、それが"平等派"、ひいては李強に伝わって家族に不利益をもたらす可能性がある以上、真面目にやらざるを得ない。

それが更に、彼の憂鬱さを加速させてもいるのだが。

 

祐輔は操作盤にあるパネルをタップし、艦隊を動かし始めた。

既に、反対側の操作盤には誰も立っていないが、その位置にもう一つのホログラム艦隊が出現していた。

 

「...」

 

敵コンピュータ艦隊は、一番難易度の低い、ランクE、ストラテジーゲームを齧った程度であれば問題なく勝利可能、といった程度の設定であるため、単調な動きで祐輔の艦隊に向かってくる。

故に、彼は少し迂回し、敵側面からの攻撃を行うという極めて単調な、実戦ではほぼ使えないだろう程度の動きで対応した。

当然、一番難易度が低い為、それで勝利を掴む。

 

「ま、これは遊びみたいなもの。次から少し難しくなりますよ」

 

そうして、祐輔はランクD、通常の講義や起源人に公開されているゲームの最高難易度に使われているレベル、も難なく突破し、士官学校や軍学校で学期試験等に利用されている、生徒であっても敗北することがあるCランクへと移っていた。

 

コンピュータ艦隊はただ整列しているだけの陣形から、立体的な動きでもって十数隻の艦船が互いに密集し、y座標が重なりあわないよう移動。

遊兵率の少ない球形の陣形、球陣へとなる。

艦船数は同数。

このまま衝突すれば、祐輔の艦隊の敗北は必至である。

 

だが。

特段何か反応を示すでもなく祐輔は、単調にパネルを操作し、艦隊を二つに割った。

 

「戦力の分散は愚策、と聞いたことがありますが」

 

奥の廊下と繋がる部屋で見ているカリーヌが、そう呟いた。

チャンドラも頷く。

 

「どうするつもりだろうね」

 

答えは、直ぐに明らかとなる。

二つに割られた艦隊の内一方は、球陣の下部、y座標のシステム上の下限へと下降していき、もう一方はy座標を上昇させコンピュータ艦隊の上部へと向かわせた。

艦隊は下降しきると、次は敵艦隊を目指して移動。

同時に艦首を上げ、上昇しつつ、角度を敵艦に対して直角となるよう調整する。

上方の艦は艦首を下げ、同じく直角となる。

そして、射程圏内に入ると同時、底面の艦隊からは艦正面からレーザーが撃たれ、コンピュータ艦隊は、上昇の為に噴射口が多数取り付けられ、武装の少ない艦船の弱点である下腹部を狙われる格好となる。

天上方面も同じだ。

下降用のエンジンや、360°カメラが故障、破損した際に、目視で戦場を確認するための艦橋等が存在するため、直接狙える兵装は少ない。

しかも、艦艇の形状は棒状に近い細長い形であるため、正面からよりも被弾面積が高まるのだ。

艦艇の弱点を的確につく形で、なおかつ自艦隊は、直角に向かい合う、つまり正面を敵艦隊に対して向けているため、被弾面積は小さくなる。

これによって祐輔の艦隊はコンピュータ艦隊を一方的に攻撃し続けることとなり、危なげなく勝利を収めるのだった。

 

「祐輔准尉。艦艇の弱点を知っていたのか?」

「一度実際に艦艇を見学したことがありまして。その時に受けた構造の説明から考えるともしかしたら、って。本当に弱点だとは...」

 

驚くチャンドラに、祐輔はそう小さく答える。

発言や行動には細心の注意を払わねばならない彼は、迂闊に何かを喋る、ということを警戒するようになっているのだ。

 

「ふむ...しかし、次は士官学校生でも宇宙艦隊勤務志願者が卒業試験等で使うBランク。そう簡単にはいきませんよ」

 

結局、祐輔はランクBに敗北。

点数としてはギリギリ不合格、といったモノであった。

しかし、即席の教育しか受けていないにも関わらず、それだけの結果を残した事実は驚くべきものであった。

しかも。

 

「...いやはや。素晴らしいモノを見させて頂きました。祐輔准尉。さすがに現役の提督とも互角になるランクBであると対処は出来たようですが、素晴らしい戦術でした」

「はあ...ありがとうございます」

「いえ、これは本当に素晴らしい。AIもランクBですら少々行動に遅れがありましたし」

「...はあ..」

 

チャンドラの興奮とは真逆に、祐輔は何のことか、という様子であった。

 

「ああ。あの艦艇を敵に対して直角に向け、天底と天宙方向から攻撃を加えた戦術ですよ。我々起源軍や戦略研究に関わる者にはなかった発想なんだ」

 

チャンドラが説明を加えたが、なお、祐輔には理解出来なかった。

 

「しかし、誰かが思い付きそうなものですが..」

 

彼の困惑にも無理はない。

実際、無重力空間を想定した戦闘である以上、自身に有利な体勢を自在に取れる筈なのだ。

 

「実際に見て私も気付いたよ。だが、我々起源軍はね、まともな宇宙空間での実戦経験がない。

それ故に、恐らく重力圏内での戦闘の常識をそのまま宇宙にも引っ張って来てしまっていたのだろう。

艦隊決戦など想像の範疇、シュミレーションでしか起き得ないものなんだ。少なくとも現在のところはね。

だから、AIに読み込ませているデータも、その常識に縛られたモノになってしまっている。さすがに、ベテラン提督らのデータを利用しているランクBともなれば初見の事態にもある程度の演算が働いたようだが」

 

とにもかくにも、と興奮した様子のチャンドラ。

 

「これは凄いことだよ祐輔君。君が、起源軍の戦術を君が変えるかもしれない。カリーヌくん」

「はい」

「悪いが直ぐに先程のデータを纏めてくれ。後で来られるジェフ大佐にお渡しする」

「承知しました」

 

そう返事をしたカリーヌはコンピュータに向かい、パネルを操作し始める。

そこから暫くすると、突然、部屋全体が大きな揺れに見舞われた。

 

「何だ?!」

 

祐輔達は驚き、辺りを見渡した。

そこに、けたたましい警報音が鳴り響く。

 

『緊急!緊急!侵入者です!所内に正体不明の武装集団が侵入!警備部隊は直ちにA棟に向かってください!重要設備等の保護担当者は防衛システム起動後、持ち場で待機!』

「侵入者だって?!」

「今のは、爆発、でしょうか?」

「この部屋は防音なので、恐らく..」

 

チャンドラはとりあえず取れる対策として部屋の鍵を閉めたが、大して意味はないだろう。

 

「ここって棟は何ですか?」

「Aです..」

「つまり..!」

「ここにいますね。侵入者」

 

祐輔は平時の武器携行が許可されていないため、丸腰である。

研究員であるチャンドラらも同様。

三人は、ただ息を沈めることしか出来なかった。

だが、そこに今度は、爆音が轟く。

 

「なっ?!」

 

上階で爆弾が炸裂したようで、シュミレーションルームの天井がガラガラと音を立てて崩れていった。

 

「避難しましょう」

「ですが、私も武器は持っていませんよ」

 

チャンドラの提案に、祐輔は難色を示した。

一切の武器もなく行動することは危険過ぎるからだ。

 

「ここにいても同じです。いつこっちも崩れるか..」

「分かりました..」

 

確かに、シュミレーションルームの崩れた天井から伸びるヒビは、彼らのいる待機部屋にも進出していた。

扉を小さく開け、周囲に何もいないことを確認してから、三人は廊下へと飛び出した。

 

「避難ルートは?!」

「あっちです!」

 

祐輔は後方、前方を交互に警戒しながら、先頭に立ち、走っていく。

 

「!」

 

照明が落ち、暗くなった廊下を駆ける中で、彼ははたと気付いた。

人影が、廊下から室内を見渡せるよう造られた窓の一つ、その向こうに見えたのだ。

 

「....」

 

ゆっくりと窓から奥を除くと、そこにはシュミレーションを受ける前に見かけた学生数名が隅で固まっているようだった。

 

「君たち!」

 

祐輔は、学生らの表情がとても不安そうで、恐怖に染まっていることに気付いた瞬間、思わず駆け出していた。

 

「ひっ?!」

「大丈夫!私は起源国軍准尉 青木祐輔だ」

「はっ...良かった...軍人さん..」

 

部屋に入り、よく見ると七人の生徒が一塊となっていた。

祐輔の名乗りに生徒の一人は力が抜けたのか、ヘタヘタと崩れる。

だが、その場にいた七人の内一人は、こう声を挙げた。

 

「まって!こいつ名誉だよ!聞いたことがある!」

 

瞬間、残る六人の内、四人は緊張を顔に走らせた。

だが。

 

「だから何なの?」

 

二人いる女生徒の内一人の言葉に、緊張が破られる。

 

「いや、名誉なんだよ?!何されるか..!」

「我が軍がそんな怪しい人間を准尉にする程度の無能だと、貴方は言いたいわけ?」

「!....いや、それは..」

「すみません。助けに来ていただいたのに」

 

その女生徒は祐輔にそう頭を下げ、もう一人の女生徒がそれに続いた。

 

「いえ、お気になさらず」

 

祐輔はこうした反応には慣れており、表情一つ変えず、全員を見渡した。

 

「皆さんは逃げ遅れですか?」

「皆と離れちゃったんです」

「なるほど。では共に避難しましょう。どなたか武器になりそうなモノは持っていませんか?」

 

まだ不安を感じているのか、五人は目をキョロキョロさせるばかりであった。

だが、抗議の声を挙げた女生徒は違う。

 

「私のでよければ。実弾ではなくテーザー銃みたいなモノですが」

「無いよりは余程良いよ。ありがとう」

「待って」

 

受け取ろうとした祐輔の手を、もう一人の女生徒が止めた。

 

「私は事情があって実弾入りのを持ってます。使ってください」

樱花(インファ)

 

銃を差し出す女生徒を、最初にテーザー銃を出した女生徒がその名を呼び、咎めるように押し止める。

 

「ルーシーさんは護身用、私のも同じ。そして今はプロに任せるべき時。そうでしょ?」

「...そうね」

 

ルーシーと呼ばれた女生徒が掴んでいた樱花

の腕を放し、それにより祐輔は銃を手に取ることが出来た。

 

「では行きましょう。すみません。チャンドラさん、カリーヌさん」

「いえ。彼らを放置するわけにもいきませんからな」

「ええ」

 

そうして、合計10人の大所帯は再び廊下を駆けるのだった。

 

そうして、警報音も既に止み、静寂の訪れている広間。

祐輔が入ってきた場所とは別の、に、彼らは到着した。

 

「ここから奥の廊下を真っ直ぐ行った先が非常口です!」

 

チャンドラの指示に従い、前方のクリアリングを祐輔が行っていく。

行き当たった十字路でも、祐輔は同じようにし、先に十字路を横切った先に行ってから全員を手招きで誘導した。

しかし、全員が渡りきる前にハヤブサ語でこう話す声が、祐輔の耳に届く。

 

「おい!あそこに誰かいるぞ!」

「軍人ですかね?」

「服装的に多分そうだ。やるぞ!」

 

祐輔が確認を終えたのと入れ違いにもう一つ奥の分岐路から侵入者がやって来たのだろう。

不味い、と瞬時に判断した祐輔は殆ど反射的に飛び出し、最後尾を走っていたチャンドラと、ルーシーと呼ばれた女生徒を守るように後方を走っていた樱花の腕を掴み、力任せに引き寄せた。

 

「すまみません。二人共無事ですか?!」

「はい。私はなんとか」

「は、はい...わ、私も..」

 

祐輔は力任せに引っ張ったことで自身も倒れ、樱花を抱き抱えるような体勢となっていたことに気付く。

 

「すみません。直ぐに放しますね。立てますか?」

 

スルリと抜け出し、立ち上がるサポートに回る祐輔。

奥からは、足音と共に話し声がなおも聞こえてきていた。

 

「白衣の人もいませんでした?軍人以外は狙うなって言われてますよ..」

「一人や二人構うもんか。奴等、軍の研究者だぞ?同じようなもんだ。そもそもこの星にいる地球人は全員侵略に加担してんだ。どうだって良いだろ」

「ですが..」

 

どうやら、チャンドラの姿を視認したことで、ちょっとした揉め事になっているようだ。

祐輔は、この隙に、とチャンドラに向き直る。

 

「チャンドラさん。皆さんを連れて先に行ってください。ここで私が時間を稼ぎます」

「ですが...!」

 

チャンドラは、それは不味い、と顔を青ざめさせる。

 

「すみません。でもこれが今取るべき最善です。ありのままを報告すれば、彼らも下手なことはしないでしょう。充分宣伝に利用出来る筈だ。だから、早く!」

 

それを聞き、チャンドラは少しの間逡巡する様子を見せたが、最終的には頷き、全員を先導、廊下の奥へと駆けていくのだった。

 

「さて...」

 

祐輔は直ぐ近くにあった消火器を手に取り、銃を床に置いた。

 

「俺は知りませんからね?」

「いいから行くぞ!」

 

話が纏まった、というより恐らく一方が強引に押しきった侵入者らは、駆け足で祐輔のいる場所へと近付き始めたようだ。

充分に接近した頃合いを見計らい、祐輔は消火器のホースだけを十字路の曲がった先、侵入者のいる方向に向け、放った。

 

「なっ!?煙?!」

「消火剤だ!っそ見えねえ!」

 

充分に視界を奪ってから、消火器本体をも投げつけ、同時にかがみこんでから床に置いていた銃を素早く手に取り、構えた。

撤退すれば良いものを、消火剤を浴びせられたことで頭に血が上ったのか、人影が一つ、一気に祐輔の眼前へと飛び出してくる。

しかし、侵入者の射線上に人影はない。

祐輔は屈んで待ち構えていたからだ。

パンという乾燥した金属音と共に、飛び出してきた侵入者の一人は倒れる。

間髪入れず、祐輔は十字路に体勢を低くしたまま飛び出し、残る一人に向けても発砲した。

もう一人の方は、逃げるべきか戦うべきか判断しかねていたようで、足踏みしているところをあっさりと狙われる形となった。

 

「ふう」

 

倒れた二人の侵入者を交互に見、腰にぶら下げていたハンドガン二丁を回収する。

手に持っていたマシンガンでも良かったのだが、複数持ち運び出来るハンドガンの方が使い勝手が現状では良い、と判断したのだ。

そうしてからチャンドラ達を追おうと踵を返した祐輔だったが、もう一つの足音が近付いていることに気が付く。

 

先程の二人より圧倒的に速いスピードで、彼らの来た方とは反対側から、一人分の足音が。

その足音は先の二人と同じ靴音であることに違いはなかった。だが、何か祐輔に嫌な、いや、妙な、予感を覚えさせるものであった。

 

「!...発砲音がしたから来てみれば...」

 

どうやら先方は死体を発見したらしい。

祐輔は銃をしっかりと構え直した。

バッと十字路から飛び出してきた人影に、しっかりと銃口を向ける。

飛び出してきた方も、その銃口を祐輔の方へと向けていた。

 

「っ!?」

 

お互い、引き金に指を置いており、後ほんの少しで発砲するところであった。

だが、二人は互いにその脳髄が全力で抑制を働かせてもいた。

 

「基之か?!」

 

祐輔は、頓狂な、困惑と発砲を止めれたことへの安堵とが混じった声で、友の名を叫ぶ。

呼ばれた基之の側は、安堵と逡巡とが入り交じった色合いで、絞り出すようにこう言うのだった。

 

「本当にいたのか...でも、良かった...祐輔」

 

 





今回はTipsお休みです。

体調不良につき投稿遅れました。申し訳ありません。
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