代星-我らが母国はいかにして勝利したか、あるいは我らの祖国はいかにして滅びたか-   作:ライト鯖

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第三十一話 利己的合理主義者

 

 

アナスタシア・クセナキス第三星系総督府保安局長は、頭を悩ませていた。

現下の惑星ハヤブサの情勢。

それは勿論のことだ。

何せ、奪還政府鎮圧以降、落ち着くばかりか鷹鸇という有力組織が急成長し、惑星全土の治安を悪化させているこの事実は頭を悩ませるものだろう。

だが、それだけではないのだ。今の彼女を悩ませているモノは。

 

「…"復讐派"からは青木祐輔始め、名誉出の軍人に関する密告。"平等派"からは青木祐輔らの功績を主張する報告書」

 

はあー。と心底面倒くさそうなため息を吐き出し、頬杖をつく。

 

「他所でやって欲しいわね」

 

アナスタシアは思想の面で言えば"復讐派"と軌を一ににしていると言えるだろう。

しかし、派閥争いに興味がなく、執政官が仮に"平等派"の意見を全面的に取り入れると発表した場合、一切の不満をこぼすことなく従うことが出来る。

そういう人間である為、自分の所管する保安隊でワイワイと騒がれていることは腹立たしいだけであり、"復讐派"のことも毛嫌いしているのだ。

 

特に最近の"復讐派"は青木祐輔が功績を挙げ続けていることが気に食わないのか、こうした根も葉もない噂やデマを用いた告発等という幼稚な手法すら使ってくるようになっており、アナスタシアはより辟易するはめになっていた。

 

"平等派"も平等派で様々な作戦に青木祐輔を、ダメなら他の名誉出が所属する部隊を捩じ込もうと暗躍しており、目障りであった。

 

「ただでさえ忙しいってのに…」

 

とりあえず、下らない密告達を片付けてしまおう、と渋々ファイルを開く。

 

「……はあ」

 

大半が取り上げるのもバカらしい内容である。

青木祐輔は裏でレジスタンスと繋がっている、と根拠なく喚くように主張しているモノやら、自身の実績を傘に、一般市民に対して越権行為を働いているだの、である。

 

「越権行為働いてるのはあんたらでしょうが…」

 

保安隊に蔓延している"規則違反"、そうボカされているが実態は略奪や強姦。

それらの犯人は殆ど全てが起源民であり"復讐派"かそれに近い者達だ。

誰に聞かせるでもないツッコミを呟きつつ、アナスタシアは一つ一つの告発を処理していくのだが、山程、目に見える形で書類があるわけではないものの、彼女の貴重な時間が削られていくことを実感させられながら下らない告発を読み続けている内に、彼女の思考はぐるぐると回り始めていた。

 

告発を局長が直接受け取るシステムは、揉み消しを防ぐにあたってある程度有効。

それ故、こうして処理せざるを得ないわけだが、だからこそそれはまあ仕方ない。

 

だが、これ程までに大量のバカバカしい告発が流れ込んで来る原因。

そもそもの問題は一体何処にあるのだろう。

 

気付かない間に、アナスタシアの脳はそんな事を考えるに至っていた。

 

平等派、そうだ。平等派が下らないプロパガンダを企むから。

青木祐輔等という、多少能力のあるだけの人間がいるせいで、奴等が増長し、つけあがり"復讐派"に嫉妬と憎悪の炎を付けさせた。

原因、私の時間を潰す原因。

 

「…やっぱり奴が派閥争いを激化させているのね」

 

実際面はともかく、思想という点では"復讐派"と同じであるアナスタシアは、事の根本原因、起源国の主流たる"復讐派"が名誉起源民の扱いを余りに酷い状況にしていること、については一切顧慮しない。

それは彼女にとっても自明のモノであったからだ。

故に憤りは"平等派"とその駒たる青木祐輔に向かうのだった。

 

天暦148年(西暦2687年)2月末

 

 

アウグスト・バルテル文化局長は、次なる作戦を提案するべく、"平等派"会議を参集しようと考えていたが、丁度その日に別の、彼の本業に関わる会議が設定され、その場に面倒な気持ちを覆い隠しながら列席していた。

 

この会議を参集したのは、バルテルの上司。

派閥の、ではなく肩書に応じた上司、つまり、この第三星系総督府の総督である。

第三星系総督 サミュエル・デュシャンは、彼を補佐する局長らから何の尊敬も受けていない男である。

バルテルにとっては"復讐派"に媚びを売る哀れな小役人であり、バルテルの対面に座る形となっているアナスタシアにとっては決断力に欠ける優柔不断な小心者だ。

 

実際、サミュエル総督は保身に走りやすく、リーダーとしての行動が求められる事態を可能な限り避けようとするのである。

何故こんな男が執政官の代理人として総督の椅子にいるのか。

執政官への忠誠厚いアナスタシアにとっては理解も容認もしがたい事実だ。

バルテルにとっては有能でないだけ助かっているため、その点多少温度差はある。

 

さて、では実際何故彼が総督という重要な地位に就けているのか。

その理由は、簡単なようでいて、少々複雑だ。

まず、サミュエルはずっとこのような無能であった訳では無い。

もしそうなら、新任総督に相応しい肩書を持ってはいなかっただろう。

若い頃のサミュエルは実務で確かな実績を積み、一時期起源人民代表議会(国会のようなもの)議員を勤めていた頃に当時の執政官の方針に合わせた見事な法案を取りまとめたこともある等、能力の高さを伺わせていた。

 

しかし、ある時政争に巻き込まれ、一時期失脚した頃、彼は変わってしまった。

余程ショックだったのか、主流派や影響力ある派閥から敵視されない為だけに彼の能力は使われるようになってしまったのだ。

 

やがて、おべっかを使い続けることにも疲れたのか、今も"復讐派"にこそ媚は多少売るが、かつて程の力は入れていないし、差し出す果実も大して美味くなくなっていき、無気力さが目立つようになっていく。

 

しかし、だからこそ、と言うべきか、自身に残された肩書を後生大事に抱えてもいた。

彼自身理解しているのだろう。

それを失えば、今の自分では到底這い上がることも出来ず、ただ落ちていくだけだろうということは。

だからこそ、保身には念が入っている。

 

そうして昨年。

惑星ハヤブサの総督が交代する、となった時、誰一人として手を挙げる者はいなかった中で、彼に白羽の矢が立ったのである。

大規模反乱が勃発し、なおも不安定で紛争絶えない惑星等に、自らのキャリアを賭けようという無謀なギャンブラーはいなかったのだ。

結果として、"復讐派"に都合の良い、かつ代わりの効く駒と認知され、"平等派"からはいなくなれば面倒が一つ消える、と認識されていたサミュエルが推薦され、執政官に総督として任命されてしまったのである。

 

そうして星系総督というそれ以前の肩書にこそ見合っているどころか形式的には出世であるが、実際上全く相応しくない椅子に座ることとなった彼は、問題の起きることを嫌っている。

もし、自分に対処できない事態が起き、前任者のように交代させられることとなれば、折角ここまで抱えてきた彼のなけなしの地位すら失われかねないからだ。

 

こうして、保身にばかり気を配る決断力のない総督が生まれたのであった。

 

「…は、叛徒の様子はどうだ?」

 

アナスタシアは、どうせ問題なく対処できている、という答え以外望んでいない彼に、しかし当然、そんな御為ごかしをする必要性もない為、正直に告げる。

 

「どうにも怪しい動きがあります。大規模な作戦準備をしている可能性が高いです。

各局の皆様にもその職能の範囲でご協力頂ければ幸いと考えています」

「そ、それ程深刻なのかい…?」

「ええ。少なくとも保安隊のみでの対処は、場合によって難しくなるでしょう。…勿論、奴等が何を企んでいるか次第ですが」

「……"星城(ピョルソング)大騒乱"のような事態が起きるということか?」

 

かつての能力の片鱗とも言うべきか、話の先を察する能力はあるようで、アナスタシアにとっては会話それ自体にストレスの少ないことは救いだった。

 

「かもしれませんし、全く異なるナニかを企んでいるのやもしれません。…連中の情報隠蔽は見事と言わざるを得ず、曖昧な影しか掴めないのです」

「…そうか」

 

不安そうに黙り込むサミュエル総督に、バルテルは皮肉の一つでも飛ばしてやりたいな、などと考えながら2人の会話を退屈そうに見守っていた。

 

保安局長も相変わらずだ。

奴は察しても決して自分から命令したりはしたがらない。

恐らくアナスタシアの求める処置はもう彼の頭にも浮かんでいるだろう。

だが、それを自らは絶対口には出さない。

それにしても、「…そうか」とは、余りに気の抜けた返事だな。

 

バルテルは肩を竦めつつ、毎度のごとく行われている、保安局長が折れるまでの時間を計測する。

 

「…はあ。閣下。私としては状況次第で駐屯軍の手を借りたいと考えているのですが」

 

珍しい。3分と経たずに諦めるとは。

余り虫の居所はよくなさそうだ。

 

完全に他人事モードのバルテルは、尚も口にすることを躊躇うサミュエルを見、苦笑した。

 

「あ、あー…駐屯軍司令閣下は保安局長の提案、どのようにお考えでしょう?」

「構いませんよ。起源国を支える者同士、必要とあらば何時でも、何度でも手を携えるべきでしょう」

「そうですか!…では、叛徒の件は保安局と駐屯軍に任せよう。うん。他の議題に入ろうじゃあないか」

 

露骨に、責任が降りかかりそうな話題から逃げるサミュエル。

アナスタシアは、そんな彼に軽蔑の眼差しを半ば堂々と向けながら着席した。

保安局長は総督の直接の部下では無いため、多少の無礼に小心者であるサミュエルは口出し出来ないのだ。

 

「バルテル文化局長」

 

ああ、次は俺か、と他人事で眺めていた態度を少し改め、上司に向き直る。

此方は直接の上司、部下である為、表向きは爽やかな表情を向ける必要があった。

幾ら無能者でも、余りに嫌われてしまえば降格や移動の目に合わせることは簡単だ。

何せ、一応サミュエルは総督であり、第三星系総督府の王であるのだから。

 

「何でしょう。閣下」

「先の総督が名誉の慰撫政策として認可していたと言う、"日本列島自治政府"における"祭り"を模したイベントのことだが、進んでいるか?」

「ええ。勿論で御座います。閣下からの継続許可を頂けたことで、我が局一同胸を撫で下ろし、粉骨砕身、実現に向けて動いているところです」

「それは結構だね。…ただ」

「何かご懸念が?」

「この惑星には朝鮮系も多くいる。

彼らにも馴染みある催しがあった方が良いんじゃないか?下手に不公平感を植え付けて妙な問題が起きてはことだ」

 

この男は妙な所でかつての輝きの残滓を見せる。

バルテルは面倒なことになるかもな、と内心頭をかくのであった。

 

数時間後、会議を終えた局長達が三々五々、総督オフィスと会議室のある最上フロアのエレベーターホールへ向かっていく中、バルテルは途上で呼び止められた。

 

「クセナキス保安局長。珍しいですな」

「少し話せますか?バルテル文化局長。…いえ、バルテル惑星ハヤブサ議長」

 

バルテルは一瞬背筋を凍らせた。

保安局長に、"平等派"のハヤブサにおける首魁として付与されている肩書で呼ばれるなど、何か不味い事があったとしか彼には思えなかったのだ。

 

「…分かりました。では、私のオフィスに移動しましょう。保安局とは違ってこのビルに文化局はありますから」

「ええ。そうしましょうか」

 

そうしてバルテルのオフィスに到着するなり、アナスタシアが切り出した。

 

「青木祐輔を手放しては頂けないかしら?」

「…は?」

 

いきなりなんだこの女は。

駆け引きだの迂遠な言い回しだのそんなものもなしに。突然?

 

少々混乱しつつも、バルテルは咳払いで誤魔化し、切り返す。

 

「保安局長殿が何を仰っているのか分かりかねますな」

「そういうのは無しで行きましょう。貴方達の宝物なのは知っているわ」

「………はあ。それで?何です藪から棒に。

それを知ってて手放せと仰るのは何か深い理由があるのでしょうな?」

「理解が早くて助かるわ」

 

アナスタシアの言い方にも、そして無遠慮な要求にも苛立っていたが、公人としての立場は彼女の方が上であるため、黙って続きをバルテルは待つしかなかった。

 

「青木祐輔に関する告発が山程届いているの」

「全て事実無根です」

「そうかもしれないわね」

 

言いながらアナスタシアは空中ディスプレイを端末から起動し、告発状の幾つかを映し出した。

 

「"青木祐輔は叛徒に通じている"、"青木祐輔は軍人としての特権を振りかざしている"、"青木祐輔は他者の功績を奪い去って出世を狙う軍人にあるまじき人間だ"」

 

下らない。

そう吐き捨てつつ、バルテルはしかし、これ程までに"復讐派"側が不満を溜めていたことに意外な思いも抱いていた。

 

「幼稚ですな」

「ええ。そうね。でもこれを事実にしてしまうのは簡単よ?」

「……それは脅迫ですかな?」

「いいえ。それこそ事実を言ったまでよ」

 

こいつは何を企んでいるんだ。

バルテルはアナスタシアの真意を読み取ろうと脳をフル回転させていた。

 

「我々は名誉出身である彼が不当に扱われることのないように力を貸しているだけです。

貴方が保安局長だろうと、駐屯軍司令だろうと口を挟む理由が見当たりません」

「そう。じゃあ幾つかを事実にすることとしましょう」

 

拒絶に意味はなかった。

ダメだろうなとは思ったが、引き下がってくれるならそれが一番と試してみたが、案の定であり、バルテルは小さく息を吐いた。

 

「何がお望みです?」

「望みではないわ。一つ提案があるの」

「提案。…断れないそいつは提案と呼ぶのですかね」

「あら、青木祐輔を失うだけで選択の余地はありますよ」

 

嫌味。いや、これはまさか、本気で言っているのか?

まさか、と想いつつも、皮肉な調子を微塵も感じさせずにそう放ったアナスタシアに、バルテルは嫌な予感を覚えていた。

 

「こうなれば呑むしかないのでしょうが、であるなら、一つ伺っておきたい」

「答えられることなら答えてあげるわ」

「何故、いきなり青木祐輔に関わってきたのです?"復讐派"に入られたのですか?」

 

まさか。とアナスタシアは迷惑そうな顔をする。

 

「あんな暇人連中と一緒にしないで。…でも、そうね。暇人共のせいで私の貴重な時間が奪われたくはないのよ」

「では、連中に注意なされば良いのでは?」

「敵に回したくもないわ。貴方もそれはよく知ってるでしょ?」

 

だから、とアナスタシアは一つの書類データをバルテルに見せた。

 

「青木祐輔にはこの惑星から出てって貰おうと思ってね」

「……正気ですか?」

「至って。あのね?名誉如きがどうこうして結果的に私の時間を奪ってるのよ?迷惑極まりないわ。だから、この総督府から出ていって貰いたいの」

「それを我々が呑むメリットは?」

 

正気じゃない。

バルテルは内心で叫びたい衝動を必死に抑えていた。

ああ、そうか。これがそうなのか。

バルテルは、人道を理由に"平等派"として活動する一部の同僚や部下達の懸念が、言葉の意味が漸く理解出来ていた。

彼自身は経済合理性の観点から差別政策に反対しており、決して名誉起源民を平等に見ているわけではない。

しかし、長い時間、彼等を平等に見るべきと主張する仲間と過ごす内、知らない間にそうした視点に近付いていたようだ。

 

原因は明らかに"復讐派"の政策に、そして下らない嫉妬や、それを許す風潮にあるにも関わらず、青木祐輔に全てを押し付けようとしているアナスタシアに、軽蔑の念を向けた時になって、バルテルも自分の内心をやっと理解した。

 

いつの間にか私も彼等に多少染められていたか。

しかし、彼女の言い分は幾らなんでも身勝手ではないか。

いや、彼を、青木祐輔を広告塔として利用している私が言えたことではないのかもしれんが。

 

「これをただの嫌がらせと処理して上げるわ」

 

根も葉も無い告発を無かったことにしてやる。

そんな、条件などあってないような交渉を仕掛けられ、そしてそれを呑まざるを得ない状況に、バルテルは忸怩たる想いであった。

 

「とはいっても、さすがにこれだけじゃあ、貴方達に悪いものね」

 

一応、他の対価もあるようで、アナスタシアは切り出した。

 

「起源国初の、名誉出身者が恒星間飛行をする、というニュースバリューは如何?」

「…星系外に追い出したいのですね?」

「まあ最後まで聞いてちょうだい。名誉出身者が宇宙戦艦に乗るなんて、このハヤブサでも充分宣伝に使えるわよね?それでもって青木祐輔の名前を一挙に広めれば、移動した後の彼の動向を貴方達で広めることも出来るでしょ?」

 

ほら、これで問題なし!とアナスタシアは手を叩いて見せた。

 

「要するに、貴方のもとにバカみたいな告発状が届かなくなれば何でも良いわけですか」

「ええ。彼が宇宙戦艦に乗ればここの"復讐派"連中は怒るでしょうけど、私には関係がなくなるもの」

 

青木祐輔のその功績に、"復讐派"は更に憎悪を燃え上がらせるだろうが、しかし、他の星系に移ったのではアナスタシアに告発をしても意味はなくなる。

他星系にまで告発状を届けようにも、はるばる数カ月かけて届いた証明しようのない告発についてわざわざ問い合わせてくる暇な他総督府の保安局長もいないだろう。

故に彼女は煩わしい問題から解放される、というわけだ。

 

彼女はそれをのみ望んでいるのだろう。

バルテルは、余りの身勝手に、しかし、彼女の能力の高さ故、撥ねつける選択肢は絶たれていることに、今直ぐ何かを殴りつけたい衝動にかられながら、頷くしかなかった。

 

「ですが、行き先は我々が指定しますよ。

それと、幹部陣に共有するので、少し時間を貰います」

「ええ、勿論。良い結果を期待しているわ」

 

アウグスト・バルテルは、これまで抱いたことのなかった感情を青木祐輔に対して抱いていた。

虚像の英雄に仕立て上げると決めた時も、彼の私生活を監視させるよう命じた時も感じたことのなかった、申し訳なさ、である。

同情、の方が適切かもしれない。

しかし、いずれにせよ、バルテルは人道を主張する仲間の影響でか、青木祐輔を前よりは人間として見るようになっていたのであった。

あくまで、以前よりは、であるが。

 

そんな裏の策謀露知らず、青木祐輔はこの日も近辺の都市で発生したデモ活動を"鎮圧"、もとい弾圧する任務に参加し、副リーダーを捕らえる功績を挙げていた。

リーダーの方は射殺された為、事実上最高位にある者を捕縛した功績となっていた。

 

「さすがだ!君の熱心さは部下に見習わせたいよ!」

 

"平等派"と近しい部隊の隊長に褒められながら帰還した祐輔だが、やはり未だに"同胞"を殺すことには慣れず、一人、人気のない場所で猛烈な吐き気と嫌悪感と戦っている。

 

「大丈夫ですか?」

 

しかし、最近は何処にいても樱花に見つけられるようになってもいた。

いや、正確には当然だが男子トイレにまでは来ない。

つまり、トイレに逃げ込まない祐輔は無意識下では樱花の来ることを受け入れているのだろう。

 

「飽きないね…」

「心配なんですよ」

 

言いながら、飲み物を彼の側に置き、彼女も座る。

こうして樱花は、あえて何かするでもなく、祐輔が落ち着くまで側にい続けているのだ。

まるで、彼の感じる罪悪感を、苦しみを少しでも分かち合おうとするかのように。

 

 

それから2週間後。

青木祐輔は、初めて彼を英雄にすると決めた、その張本人と顔を合わせることとなる。

今まで書面でのみやり取りをしてきたそのフィクサーに呼び出された祐輔は、大きな不安を抱えながら樱花の見送りを受け、首府、星京へ向かうのであった。

 






補足のネタが尽きかけな為、今後は必要なタイミングでのみ後書きにTipsを入れることにします。
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