代星-我らが母国はいかにして勝利したか、あるいは我らの祖国はいかにして滅びたか-   作:ライト鯖

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第四十四話 ノビジェーロ

 

第十二星系総督府 ニュー・サンフランシスコ

統一暦243年(西暦2693年)6月20日

 

青木祐輔少尉は上官より一つの命を受けていた。

呼び出された際には身構えていたが、どうも今回は反乱勢力の鎮圧任務だとかではなさそうだ、と気付いてから楽に構えて話を聞いていたが、ある意味普段のモノよりも重大な責任が自身にも伸し掛かり、困難な任務であることを理解すると、背筋を伸ばさざるを得なかった。

 

「私が、でありますか」

「ああ。これはまだ一般には公表していない。口外は禁止だ。ルーカス大臣が来られる式典にて、君も護衛に参加せよ」

 

ルイス・プラネット、第十二星系総督府における"平等派"の領袖とも言えるフレデリック・デ・バッケル駐留軍司令官中将は青木祐輔に名誉であることを強調し、親しげに笑いかける。

しかし、その虚飾に塗れたフレデリック少将の笑顔には儀礼的な微笑みで返しつつも内心ではげんなりするのであった。

 

「…はあ」

「祐輔、どうしたの?」

「…いつの間に」

 

聞かせるつもりはなかったが、いつの間にやら背後に来ていた樱花(インファ)に尋ねられた祐輔はどう答えたものかと数秒思案した後、当たり障りのない言い回しを選ぶこととした。

 

「いや…面倒な任務を命じられてね…。今までのとはベクトルが全然違う感じの」

「ああ、護衛ね。まあ大変だろうけど、誰かを積極的に撃つ必要はないのだし、良かったじゃない?」

「それはそうなんだけど………何で知ってるんだ?」

「私もちょっと関わってるからね。それに、貴方の護衛だから、当然よ」

 

そういえばそうだった、と樱花のここでの役割を思い出し、祐輔はそれで納得した。

 

「確かに、弾圧よりはよっぽど良いけどね。…それはそれとして胃が痛いよ」

「大臣だものね。しかも、実質政権No.2とも言える存在だし」

 

樱花も同情を含んだ苦笑を向ける。

祐輔も樱花もルーカス宇宙大臣が執政官から切り捨てられようとしていることなど知る由もない。

そして、その結果として生じる因果も当然、彼等は何も知らない。

ただ、与えられた任務の重責に神経を尖らせるのみであった。

 

 

ハヤブサ星系から数十光年の宙域。

統一暦243年(西暦2693年)6月23日

 

「第二星系へは後2日もかからない。皆、気を引き締めていこう」

 

基之率いる銀河連盟艦隊は、敵の鎮圧軍に一先ず大損害を与え、退けたことを以て、ハヤブサ星系の外へと出ていた。

背後を突かれる危険を少しでも減らすべく、即応戦力を叩き、復帰に時間を要する状態にする必要があったが、先の勝利でその問題が解決した為に、元々計画されていた通り、他の星系総督府を解放し、銀河連盟の勢力を強化するべく広大な宇宙へと飛び出したのだ。

 

「さあ、"ハルマキス"宇宙の彼方へ、俺達を連れて行ってくれ」

 

船の名を呼び、基之はそう小さく願をかける。

名前、船の名前。

元々この船は起源軍のモノであった。

そして"チュニス"という名称で登録されていたが、他の船も勿論のこと、わざわざ彼等起源国の名前そのままを使う理由もなく、士気を上げるためにはそうした工作も必要と考えた基之と勝敏によって、少し前に"改名式"が行われた。

 

改名式において、"チュニス"は"ハルマキス"つまり、水平線上のホルス、夜明けや日の出を意味する名称へと変更された。

他にも、第一分艦隊旗艦であり艦隊全体の副旗艦である"カイロ"は、"アルテミス"へと名を変えた。

 

日本や朝鮮と関わりのない神話体系から名を取っている理由は単純にして明快。

余計な対立を生み出しかねない事柄は可能な限り避ける必要があるからだ。

 

民族対立は数百年の時を経て殆ど全く消え去ったが、何をきっかけに噴出し、再燃するかなど分からない。

問題なく共存しているように見えていた者達が外から見ていると殆ど突然に対立を始めた、という例は歴史上幾つもある。

無論、当事者にとっては理由なきことではなかっただろう。

だからこそ、避けられるモノは避けるのだ。

 

そして、その改名式は成立したばかりのハヤブサ新政府への支持を広げる宣伝としても機能し、国威発揚の場として充分に活用された。

勝敏や車 泰(チャ テオ)(烏)が主導した計画によって式典は華やかに彩られ、同時に映像として国民に届けるにあたって計算され尽くしたカメラワークで基之や勝敏を捉えていた。

そして艦を整備する技師の映像や、威容を誇る戦艦の姿を撮った映像もタイミング良く差し込まれ、人々に熱を生み出すことに成功したのであった。

 

そして、プロパガンダの任を終えてから基之は再び宇宙へと、そして、星系の外へと飛び出したのである。

 

ハルマキスは順調に船旅を続け、後少しで第二星系、つまり地球へと向かう旅路における最初の関門へと迫っていた。

 

「ここ突っ切ればルイス・プラネットに行けるのに何でわざわざリオグランデに寄るんだ?」

「坂堂さん、また持ち場を離れて何をしてるんです…」

 

3Dホログラム星図を眺めながら航路を示す線を指差し疑問を口にする坂堂に基之はまたサボってる。と苦笑混じりに呆れた視線を向けた。

 

「休憩だよ!きゅーけい!」

「結構事務処理溜まってたでしょう?間に合うんですか?」

「一度も遅れたことないだろ!」

「ええ。そうですね。いつも期限の日まであと二分だとかですものね?」

「わーった!やるよ!戻ったらちゃんとやるからよ!」

 

先の戦いでは艦長を一度任せていたが、殆どオペレーターや幕僚が動き、彼自身はほぼ何も出来ていなかったことから、元の位置に戻していたが、そちらもそちらで、といった状況であり、基之としても遊んでいる所をやすやすと見逃す訳には行かなかったのだ。

 

「はあ。…まあ、ちゃんとやるなら良いですが。

その航路、もし真っ直ぐルイス・プラネットへ行く場合、妙なマークが付いてる宙域を通るでしょう?そこを避けてるんですよ」

 

言質も取ったし仕方がない、と坂堂の疑問に答えてやることにした基之は、自身も小休憩とし、指揮台を降りて星図へと近寄った。

 

「これなんなんだ?」

「航行不能宙域、と表示されています。

それが真実かは分かりませんが、何らかの偽装ならそんな所に情報なく突っ込むのは危険ですし、本当ならここを通ることは出来ません」

「だからリオグランデへ先に行くってことか」

 

彼は得心した、とばかりに星図を睨みつけていた体勢から上体を起こし、少し高い声を挙げた。

 

「もう一つの理由としては、結構近いですからね。ハヤブサ、リオグランデ、ルイス・プラネットは。だからここを無視してハヤブサを狙われたりしても不味いので、何方にせよ攻略せねばならない、というわけです」

「ほーん。じゃあリオグランデ陥として、ルイス・プラネットにも行って、その後地球に直行するって感じか?」

 

板堂の読みは間違ってはいなかった。

実際、最短距離で行くならばルイス・プラネットの先に地球への障害足り得るのはティーガーデン、第一星系総督府のみであり、ゴールは近いように思える。

 

「いいえ。確かにそうしたいのは山々ですけどね。敵戦力や国力差を考えると、少し離れた先にある紅星も制圧したいところです。

可能ならマプングブエかフィリブス・ウニティスも解放したいですね」

 

板堂はそんなにか?と驚愕をその顔に浮かべてみせ、基之は前に言った気がしますが、と肩を竦めた。

 

「敵戦力に余裕がある状態だと地球に向かっても背後から撃たれて終わりですから。ある程度は削る必要があるんですよ。

それと、起源国には直ぐに地球を狙っては来ない、と思って貰ったほうが都合が良いですから。

戦力を総督府の反乱対策に固定させられますからね」

「覚えてられる気がしねえ」

「まあ、忘れてましたもんね」

 

基之と板堂はかなり気軽に、冗談を飛ばし合うことの出来る関係となっていた。

板堂は元々、人懐こい所もあったが、基之は彼の楽天的で、少々短絡的なところはあるものの、仲間想いで、忘れることはあっても基之の行動理由を聞き、理解することを諦めない点を気に入っており、気さくに話す間柄となったのである。

 

そして。

統一暦243年(西暦2693年)6月22日

 

第二星系総督府外縁部、エッジワース・カイパーベルトへと銀河連盟の艦隊は到着していた。

 

第二星系はかつてリオグランデ連合共和国と名乗っていた南米系が主軸となっていた星系国家であった。

ここは惑星ハヤブサと第十二星系への中間地点、補給基地となすにも良い座標に存在している。

基之達は勝利条件を満たす為にも、今後の補給の為にも絶対に制圧する必要がある。

 

「そろそろ敵が来るだろう。全員、警戒を怠らないように」

 

総員が戦闘配置に付き、起源国軍艦隊の出現を待つ。

慎重に艦隊は進んで行き、何事もなくエッジワース・カイパーベルトを越える。

 

基之は意外な思いを抱いていた。

戦闘になるとすれば、星系の外であるエッジワース・カイパーベルト付近か、星系へ突入した場所に待ち構えているか、の二択である可能性が高いと考えていた為だ。

 

そのまま最外縁の惑星を越え、本星へと順調に接近していく。

 

「……」

 

基之は最悪の可能性を警戒していた。

つまり、起源国軍が第二星系の制宙権を完全に放棄し、本星に大量の地上戦力を配備、第十二星系へ銀河連盟が到達するまでの時間を大幅に遅滞させられ、戦力の集中された第十二星系の艦隊と戦わねばならいという可能性だ。

そうなれば勝ち目は相当薄くなってしまう。

 

ひっそりと背に汗を流す基之であったが、どうやら杞憂に終わるようだ。

オペレーターの声がそれを告げる。 

 

「レーダーに反応!敵艦隊と思われます!……!凄まじい速度です!」

 

レーダーの示す点が超高速で基之らの艦隊へと近づいてくる。

通常の航行速度からは考えられない短時間で、艦隊周辺を映すホログラム星図にもその姿を現した。

 

「我々の艦とは少し違うな」

 

通常の宇宙艦船よりも武装が少し削られており、その分小さな補助エンジンが幾つか装着されているようだ。

つまり、単純な話で、普通の艦では考えられない速度。

これはエンジンの噴出口を増設することによって成し遂げた、という訳だ。

 

 

起源国軍第二星系駐留艦隊 旗艦 ベルリン

 

第二星系駐留艦隊は現在、第三星系、ハヤブサでの戦闘で敗北し逃げおおせた鎮圧軍の残存艦隊が合流し、通常の1.5倍の戦力でもって銀河連盟軍と対峙していた。

 

その艦隊司令官を務める男の名は、"エドワード・ロドリゲス"少将。

彼は"猛将"として知られ、起源国が人類統合を目指して行った統一戦争において、ルーシ・ミール宙域戦において活躍した司令官である。

突進、突貫、そう表現するべき彼の"ドクトリン"はルーシ・ミールの小型─起源国の基準では─宇宙戦艦を薙ぎ払い、全く損害を出さずに勝利したのだ。

 

その功績故に彼は第二星系駐留艦隊司令官の地位を受けた。

 

そして彼は部下に命令する。

彼の信ずる教義を成功するために。

 

「全艦!最高速度で突撃せよ!!」

 

"ドクトリン"とは言っても教義と呼べる程のモノではない。

ただの猪突である。

しかして彼には実績があり、部下達は彼を疑ってはいなかった──。

 

 

「猪かナニカか?」

 

基之は呆れながらもしかし、僅かでも判断を誤ったり、迷ったりすれば直ちに壊滅的な被害が待つことも明らかであり、即座の指示を飛ばす。

 

「全艦、前進せよ!」

 

オペレーターの何人かがギョッとしたように基之へと目を向けた。

 

「アレに突っ込むんですか?!」

「考えがある…全員、正確に動いてくれ」

 

オペレーターは不承不承であったが、基之の指示なしで妙案でもって代わる自信もなかった為、操縦卓へと向き直るのだった。

 

 

起源国軍第二星系駐留艦隊 旗艦 ベルリン

 

エドワード・ロドリゲス少将は逃げることなく自らの艦隊と向かい合う形となった銀河連盟艦隊を見、好戦的に口角を上げた。

 

「奇策を弄する連中と聞いていたが、中々どうして勇将でもあるらしいな!」

 

バッと片手を振り、楽しげに叫ぶ。

 

「良いだろう!正面から正々堂々、食い破ってやる!全艦、突撃!!」

 

超高速で艦隊は銀河連盟艦隊へと向かい、そして射程範囲に入ると共に両艦隊のレーザーやミサイルが宙域に飛び交い始める。

ロドリゲスは単座戦闘機も出撃させず、その速度を落とす要素を排除し、砲火を放ちながら前進を止めない。

 

銀河連盟艦隊はその勢いに押されたのか、二十隻近い艦艇は、それぞれ大きく二つに分かたれたかのようにして割れていく。

しかもその二つの集団は整然としたものではなくバラバラと散らばっている有様であった。

その間を突き破るようにしてロドリゲスの艦隊が進み、やがて銀河連盟の艦列を越えた。

 

「はっはっは!正面から俺に勝てるはずがないだろう!」

 

豪快に笑いながら、ロドリゲスは次の指示を出す。

 

「反転して残敵掃討だ!」

 

はっ。と返礼し、オペレーターが画面に視線を戻す。

そして数瞬の後、その内の一人が首を傾げ、幾つかのデータを参照し始めた。

 

「どうした?」

 

隣りにいる別なオペレーターが尋ねると、数分前までの敵艦隊の動きを詳細に記録したデータを睨んでいた彼はおかしい、と呟いた。

 

「おかしい?」

「ああ、どうも敵の数が…」

 

「どうしたお前ら!」

 

ロドリゲスの声にビクリと肩を震わせたオペレーターだったが、しかし報告しないわけにもいかず、彼にありのままを伝えることとした。

 

「それが、敵の数が減っていないようなのです」

「何?俺達は今、敵の艦列を食い破ったのだぞ?そんなことがあり得るわけないだろう!」

「しかしデータでは…」

 

レーダーを睨んでいた兵がそこに割り込み、叫んだ。

 

「て、敵艦隊に動きあり!」

「何?」

「わ、我が艦隊の背後を狙っています!」

 

レーダーと星図の情報から銀河連盟艦隊は二つに分かれていた所から合流し、そのまま背中を向けるロドリゲス艦隊を後背から狙っていることが分かる。

 

そして直ぐにそれは肉眼でも確認出来るようになる。

メインスクリーンに写る艦外の景色。

艦の後部を映すウィンドウ、そこに銀河連盟の艦隊が映り込み始めたのだ。

 

「なっ…!」

「此方は反転中であり攻撃が…!」

「ひ、卑怯な!!」

 

ロドリゲスは最も愚かな悲鳴を上げた。

そう、彼は"猛将"等ではない。

ただ猪突するしか能のない人間だ。

 

これまでに上げた戦果は彼の勇猛さや優秀さによるモノなどではなかった。

単純なことである起源国の艦隊と辛うじて宇宙戦力を持っていた国々とでは技術力に差がありすぎたのだ。

大きさから、兵装から速度、ありとあらゆる分野が起源国に有利であった。

それ故、猪突でも簡単に勝てたのだ。

 

むしろ、策を弄する、慎重さを持つ司令官は成果を上げる速度がロドリゲスのような者より遅く、結果として彼が艦隊の、それも大艦隊の司令官に昇進することに繋がった。

 

しかし、同レベルの艦隊決戦においてはただの無謀かつ無策の突撃に過ぎず、当然こうして少しの策で崩されてしまう。

 

分艦隊や艦長クラスであれば、彼の如き士気に溢れた人間は適任なのだろうが、今の地位は彼には不釣り合いであった。

 

彼に同情する所があるとするならその一点だろう。

これまでの戦いが余りに簡単過ぎたが故に能力に見合わない地位を手に入れることが出来てしまった不運。

その一点、ということだ。

 

「ぐうっ!単座戦闘機(コリネウス)を出せ!」

 

単座戦闘機が艦から出撃し、宇宙空間へと飛び出す。

しかし、銀河連盟側はロドリゲス艦隊が回頭中であり、遊兵率が極端に高まっている状況を利用し、至近距離、と艦艇の巨体から考えるなら言っても良い程に近付き、集中砲火を浴びせている為、単座戦闘機達は次々と流れ弾や雨あられの如く飛び交うミサイルに探知され撃ち落とされていく。

既にロドリゲス艦隊は回頭こそ殆ど終えてはいたものの、その間に銀河連盟の艦隊は半包囲を形成しており、三方向から猛烈な砲火を浴びているのだ、襲撃が困難なことは分かりきっていたことである。

 

そんな中で辛うじて飛行状態となることに成功した機体も、今度は銀河連盟側の戦闘機が複数機で小編隊を組み一機を狙う形を取られ、直ぐ様機銃の餌食となっていった。

 

「バカな!バカな!!こんなことでええ…!!」

 

いつの間にか旗艦の周囲を飛ぶ味方はいなくなり、メインスクリーンには起源国の記章が塗りつぶされた艦がロドリゲスを威圧するかのように映し出されていた。

 

カッとスクリーンは輝き、その数秒後、エドワード・ロドリゲスは虚空へと虚しく散るのであった。

 

 

銀河連盟艦隊 総旗艦 ハルマキス

 

「勝った…?勝てたのか…」

 

基之の指示に懐疑を向けていたオペレーターは漆黒の宇宙をほんの僅かな時間照らす爆炎を呆然と見つめながら脱力していた。

 

「敵の動きを見て気付いたんだ。ただ真っすぐ突進してきているだけだ、ってね。

だから、通り道を出来る限りやられているように見せながら。

そして油断して掃討をしようとしたところを狙う」

 

なおも明滅する敵残存艦隊の最期を見届けながら基之は言う。

 

「上手くいってよかったよ。心労をかけたね。ありがとう。お疲れ様」

 

オペレーターの肩を叩き、基之は指揮台へと戻った。

彼に懐疑を向けていたオペレーターは、彼の正しさと、しかし、それを誇ることはなくただ彼を労った。

彼はその後、基之の指示を疑うことはなくなったという。

 

第二星系駐留艦隊、そして、惑星ハヤブサを襲った鎮圧軍の残存艦隊は哀れにも指揮官の不適格によって壊滅した。

一部はどうにか逃れたが、今更纏まって再戦を挑んだ所で勝ち目などあるはずも無い。

 

それ故、残存艦隊は第二星系本星へと撤退することを選ぶのだった。

そして、基之達の次なる進路も正にそこである。

 

第二星系本星、リオ・グランデ。

パンゲアを東西に縦断する巨大河川からそう名付けられた惑星を解放し、次の星系への橋頭堡とするべく、上陸作戦、いや、降下作戦を行う必要がある。

 

起源国軍もそれは理解している。

それ故に僅かでも遅滞させ、降下作戦を妨害する為にも宇宙戦力は必須。

その点からも残存艦隊の判断は正しかったと言えるだろう。

 

だが、星系内の大部分は既に銀河連盟に落ちたも同然であり、彼等は惑星リオ・グランデ周辺に追い込まれたことも事実である。

 

降下作戦という未知の作戦を控える銀河連盟はこの艦隊決戦の勝利に浮かれる暇はない。

彼等は粛々と惑星リオ・グランデへと進路を向けるのであった。

 

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