代星-我らが母国はいかにして勝利したか、あるいは我らの祖国はいかにして滅びたか- 作:ライト鯖
第二星系総督府の起源国駐留軍総司令は、どうやら自分の策が見破られたらしいことを知り、苛立ちを表に出さぬよう努めていた。
「総司令、連中が攻勢を始めたようです」
「やはりか…」
陽動として戦力を集結しているかのように見せかけていた地域、そして、本命の突出部を包囲するべく用意されていた主力。
銀河連盟軍は突出部からそそくさと撤収し、同時に河川の強行突破を開始した。
本来、この様な力技は無意味な被害を生むだけであるが、制宙権、引いては制空権をも獲得している銀河連盟軍にとっては大きな問題たり得なかった。
宇宙からの艦隊による支援で、むしろ河川の防衛戦力は容易に破壊され、銀河連盟軍の渡河を阻止することは能わず、起源国軍はただ撤退するのみであった。
寡兵である銀河連盟軍の地上戦を支えているのは宇宙艦隊の存在であり、宙からの支援攻撃を仕掛けることで、時に前線を支え、時に攻勢前の助攻を行うのだ。
最終的に惑星を占領する必要がある故に、地上軍が必要となるが、実質的な戦闘は最早終わっているも同然である。
宙を支配されている以上、如何なる攻勢計画も妨害されることが確定している。
とはいっても、宇宙艦隊のリソースも無限ではない。
地上起源国軍の全てを焼き払うことは出来ないし、占領地が広がれば広がるほど、サポートも処理能力の問題から遅れるようになるだろう。
だが、リオ・グランデの反乱勢力が、銀河連盟軍上陸、正確には降下、の直後から蜂起し、各地で起源国軍駐留軍を釘付けとしている。
これによって銀河連盟軍の負担は大幅に軽減されているのだ。
無論、反乱勢力は銀河連盟軍を支援するためだけに絶望的な戦いに身を投じたわけではない。
これを好機と捉えたのだ。
何せ起源国軍は制空も制宙も失っている。
核兵器による焦土戦術を恐れる必要がなくなっているのだ。
その一事だけでこれ以上ない好機と言える。
銀河連盟との合流と協力を考えている勢力にとってだけでなく、独力で首府を落とし、独力で政府を樹立せんとする勢力にとっても好機となったのだ。
こうして各地の反乱と銀河連盟軍の前に総督府は殆ど無ずすべを持たなかった。
最早、陥落は時間の問題である。
しかし、時間は銀河連盟にとっての敵であり、起源国にとって頼れる味方だ。
粘れば粘るだけ、ハヤブサ、そしてリオ・グランデ星系会戦で減少した宇宙戦力の立て直しが可能となるし、増援が送られていれば、それが到着するまでの時間ともなる。
故に総督府は安易な降伏だけはしないと駐留軍総司令も保安隊司令も腹に決めていた。
だが、問題がある。
総督、リューベン・ストヤノフの存在である。
彼は腹を括る事が出来ず、いつでも降伏に傾きかねない保身の男である。
現状、地球にいる家族の存在が人質の機能を働かせ、彼も"敗北主義"を口にする事は出来ずにいるのだろう。
だが、更に追い詰められればどうなるかは分からない。
故に、二人は計画を立てていた。
徹底抗戦を可能とする策を。
「とにかく、連中の攻勢を押し留めねばならない。あそこに集結させていたのはハリボテの部隊だ。時間稼ぎも怪しいだろう。後背の戦力を抽出しろ」
「よ、よろしいのですか?それでは…」
「何方にせよ宇宙からの攻撃に侵されるリスクはあり続ける。それならさっさと戦力として使える内に使うしかない」
「承知しました。直ちに伝令致します」
とにかく、目前の攻勢にまずは対処を、と駐留軍総司令は部下に指示を飛ばす。
それから保安隊司令に連絡を入れた。
『やるのか?』
「ああ。ハリネズミ捕獲作戦の開始だ」
こうして惑星ハヤブサで起こったことと似た事象が発生するのであった。
ただし、結果は真逆となる。
「な、なんのつもりだお前達!」
「総督閣下、申し訳ありませんが、閣下には暫く"療養"をして頂きます」
総督府内のクーデター。
出勤してきたばかりの総督はエントランスで保安隊に囲まれてしまっていた。
クーデターは成功を収める。
総督の護衛を務める警護隊も、本来は抵抗してしかるべきであったが、彼等は執政官の親衛隊であり、その延長で総督を護衛しているに過ぎない。
つまるところ、より執政官の為になる選択肢があるのであれば、それを排してまで総督を守ることはないのだ。
こうして、余りに呆気なくストヤノフ総督は総督府の病棟に軟禁され、事実上失脚した。
「さて、後は何処まで戦えるかね?アンドレア総司令」
「それを聞くのは此方だろうな。カナック保安隊司令。首府の防衛準備は整ったか?」
「勿論だ。さあ、ここを1秒でも我等が領土と為し続けるぞ」
駐留軍総司令"アンドレア"と、保安隊司令"カナック"の二人は、互いに歩を合わせ、総督府の執務室へと入るのだった。
第二星系において遅滞戦闘が続く頃、惑星ハヤブサにおいて発生した大火は徐々に鎮火されつつあった。
勝敏率いるハヤブサの守備部隊は首都において包囲されていたが、起源国残党の数は大したものではなく、首都包囲や、起源国の復活かの如き事態にパニックが一般兵らに広がった事で混乱こそあったが、戦力的には銀河連盟の圧倒である。
故に、一度落ち着いてしまえばどうということはなかった。
首都を包囲していた残党は、より広い領域において銀河連盟軍の逆包囲を受ける格好となり、首都の包囲網を民間船舶や民間宇宙船を利用し無理矢理食い破ることで、起源国軍残党を挟撃する形態を取った。
これによりどうにか軍事組織としての体をなしていた起源国軍残党は分断され、単なる武装集団として各個撃破されていくこととなったのである。
「どうにか終わりそうだな…」
「しかし、皮肉というべきか。何の因果だろうな。我々の出発地点が一つのゴールになるとはね」
かつて自分達が押し込められ、そして抵抗活動の起源となった突貫工事による、あえてみすぼらしく作られた非合理の極みであるゲットーを思い起こしつつ、準備砲撃の終わった事を音からも、端末に送られてきた通知からも確認した勝敏は無線で前線に命を下す。
「最後の突撃だ!
『おお!!』
部隊の士気は最高潮。
首都に閉じ込められていたフラストレーション。
そして、彼等大部分にとって、良い思い等ある筈もないゲットーが攻略目標であること。
種々の要素が噛み合い、兵士達は、命脈をかけた起源国軍に負けず劣らずの形相でもって突撃を敢行する。
ゲットーは既に廃墟同然であり、元々のみすぼらしさも相まり、最早、人の住める場所には思えない有り様となっていた。
起源国軍の残党も早々に地下へ居を移しており、地上は砲弾とミサイルのみが降り注ぐ、生を否定する空間と化していた。
そして、それらが収まるや否や次にやってきたのは銃弾の雨と、この空間そのものもを否定する兵士達であった。
起源国軍残党は抵抗力を殆ど持たず、ビルの残骸、或いは骨組み。
建物とはとても呼べない場所場所からの狙撃であったり、ゲリラ的な抵抗こそあったものの、大規模な市街戦となることはなかった。
僅かに起源国軍が司令部を置く、旧保安隊司令部周辺には一応の戦力があり、軍と呼べる戦力が銀河連盟側と衝突する。
しかし、彼我の戦力差は、ほんの数ヶ月前とは全くの逆転状態であり、起源国軍残党は壊滅。
最後に残った地下司令部へ、部隊が突入するのだった。
「こちら川辺。地上部分の制圧は完了。これより地下へ突入する」
川辺雪菜の部隊がその先鋒を担っており、彼女と部下達は慎重に地面の下に隠れる土竜を探しに入る。
「突入!突入!!」
地下階層は余り大きいものではなく、元々は倉庫や書庫、避難経路の一つでしかなかった為、直ちに接敵することとなり、最早作戦は関係無い乱戦へと相成った。
川辺もライフルを操り突撃する部下らを叱咤しつつ、彼女自身、奥へ奥へと突貫する。
「いたぞ!敵の司令だ!」
地下司令部で彼女は事前に頭に叩き込んでいた要注意人物のリスト、その最上位に位置していた男と合致する風貌を発見し、駆け寄る。
だが、男は川辺らが彼のテリトリーへと入る直前、自らの頭蓋に銃口を押し当て、指を動かすのだった。
「チッ!敵に降伏を呼びかけろ!もう司令官は死んだぞ!とな」
だが、起源国軍残党は最後まで降伏することはなかった。
彼等は恐れていたのだ。
彼等がこれまでハヤブサの市民に行ってきた行為。
それらを思えば、降伏後の自分達に如何なる運命がふりかかるか。
どうせ死ぬならここで、とばかりの抵抗。
これに川辺も、応援に入った部隊も手を焼いたが、徐々にその命を諦めた哀れな抵抗も散発となり、周囲には静寂が浸透していく。
「終わりね」
銃声の途絶えた地下空間は赤く染まり、火薬と、汚物の匂いが静寂と共に充満し、銀河連盟の者達を辟易させる。
ここを今から捜索するのか、と勝利によって取り戻された冷静さによって生理的な忌避感が押し寄せてきたのだ。
一旦休息を取ろうと部隊が地上へ出て、川辺も地上にて勝敏に報告を入れるべく、階段を上がる。
そして、彼女が地上の空気を吸った途端、背後から彼女の身体を吹き飛ばす強烈な衝撃が襲った。
同時に轟音が発せられ、吹き飛ばされた先の地面に頭を打ち付けた川辺のチカチカと瞬き、霞む視界は崩れた地下への入口を捉えていた。
後に起源国軍残党司令部には時限爆弾が仕掛けられていた、と明らかになる。
そして最早壊滅が確定した段階で起源国軍の誰かがスイッチをオンにしていたのだろう。
偶然、爆発のタイミングよりも先に起源国軍を掃討しきり、全員が一度外に出ていたことで犠牲は最小限に抑えられたが、危うく川辺のともう一つの隊が壊滅する寸前であった、というわけだ。
最終的に川辺雪菜の全治2週間の頭部負傷、瓦礫の衝突による1名の死亡。他何名かの軽傷者という損傷を負いこそしたが、幸運であった、と組織としてはそう認識せざるを得ない結果で終わった。
しかし、起源国軍は銀河連盟軍の部隊を殆ど巻き添えに出来なかったが、目的自体は達している。
司令部に残っていた何者も"名誉起源民"の手に委ねず、自らの手で全てを終わらせる、という、なけなしのプライドか、捨てきれなかった差別なのかは不明だが、その目的は最後の最後で達して終えたのであった。
「とはいえ、我々の勝利ではある。最後の下らない抵抗によってケチが付いたが、君らはよくやってくれた。
一時は首都が危険にさらされたが、我々の独力で連中を排せたこと、喜ばしく思うよ」
勝敏は、油断を悔いる川辺をそう慰めてから、首都へと戻る。
そして、部下に命じるのだった。
「基之らに通信を飛ばせ。暗号化の必要はない。起源国に分からせてやるんだ。
残党共が本星や他総督府と連絡を取っていた可能性もあるからな。我々の勝利を堂々と宣言するべきだろう」
これは結果的に功を奏したと言える。
起源国残党の発した通信によって動いた総督府はなかった。
彼等の無謀とも言える挑戦を支援してやれるほど、何処にも余裕がなかったからだ。
下手に戦力を動かせば反乱の隙を与えることになる総督府は慎重になり、地球本土は同時に起こっていたルーカスの失脚に伴う彼の同志らの追放や逮捕、左遷等により一時騒然としていた故に。
では、どう功をもたらしたか。
それは、第二星系においてであった。
一週間弱の後、彼等へ齎されたその報には大きな意味が生まれたのだ。
「基之!勝敏さんらが勝ったって!?」
意外と耳の早い坂堂が息せき切って基之の下へと飛んできたことに、基之は苦笑しつつ頷いてみせた。
「ほらな!やっぱ俺達は要らなかったんだよ!さすがだぜ勝敏さんは」
何故か自慢げに言う坂堂に、基之は「そうですね」と半笑いの同意を送る。
「でもこれで、気兼ねなくやれるな」
「ええ。皆にも伝えなくてはいけません」
勝敏らの勝利。
それは安堵がまず連盟軍に送られる報告であった。
一先ず故郷は、家族は、恋人は安全である、と。
そして次に、彼等を奮起させる。
ハヤブサの奴等は凄いことをやってのけたのだ、と考えた彼等は自分達も誇れる結果を、と熱を迸らせたのだ。
基之にとっては嬉しい誤算である。
士気の高まりは悪いことではない。
それまでの消極的積極攻勢とでも言うべき状態は改善された。
つまり、ハヤブサへ支援に向かう為に、とりあえず目の前の敵を無力化せねばならない、というロジックに支えられた積極性は、熱意によって上書きされた、という訳だ。
これは、目覚ましい、と言うには少々過大だが、しかし、局所的な戦闘報告の結果は目立って改善し、進軍速度も平均で僅かながら上昇するといった効果をもたらした。
第二星系総督府起源国駐留軍部隊はよく戦ったが、宇宙からの支援攻撃や更に激化する反乱によってどんどんと追い詰められていく。
反乱軍はハヤブサにおける勝利の報を知り、こちらも僅かながら士気を挙げる理由となっていた。
内実はともかくとして、伝わっている事実のみで言えば宇宙で2度、地上でも2度起源国軍を撃破した銀河連盟軍。
その"解放軍"を名乗る軍勢が駐留起源国軍の大部分を相手取っていることになるのだから。
こうして、二カ月以上の時間はかかったものの、ついに、統一暦243年(西暦2693年)8月14日。
第二星系総督府首府 グランティア・シティを残すのみとなった起源国軍は決死の抵抗を行う。
最早これまでとばかりに惑星リオ・グランデに種々の理由(整備、修理や新造中であった等)から停泊していた艦を捨て身で発艦させ、僅かでも銀河連盟宇宙戦力の砲火を逸らさせる等、総力を挙げた戦いを実行して見せた。
これには銀河連盟軍も手を焼き、苦戦を強いられたが、各地から続々と現地起源国軍を破った、或いは銀河連盟軍対処のために起源国軍が撤退したことで手の空いた反乱勢力が集結し、共通目的の為に共同戦線を張ったことでついに彼我の純粋な兵力も伯仲することとなった。
これをもって、駐留起源国軍側に勝機はなくなった。
後は死を待つのみであったが、彼等は市街戦に持ち込む構えすら見せ、抵抗を続けるのだった。
『何故これ程までにしつこいのだろうな連中は』
「そりゃあ、国の為なのでしょうね。奴等が粘れば粘るほど、此方としては次の一手が絞られてくる」
『…それはもう聞いたよ。それでも、だと思わないか?一般兵まで徹底した抵抗をしてくるんだぞ。いくらなんでも意志統一がされすぎだ。
全員が全員、時間稼ぎのロジックに納得してるとは思えんだろ』
「分かっているんじゃないですかね。彼らも。
自分達の行いが非人道的であったことくらいは。
戦争犯罪人と裁かれることを恐れているのやも知れませんね」
基之はそう通信相手の疑問に答えつつ、こうも言う。
「それに、そんな理由に最早意味はありません。私達が考えるべきは、1秒でも速く、理由は何にせよ決死の抵抗を行う連中を、この惑星をどう制圧するか、です」
『尤もだね』
「ええ。理由も気にはなりますがね。それは後から考察するとしましょう。…どうです?準備は」
『それは問題ない。やるんだな』
確認に基之は頷く。
「ええ。勿論。頼みますね」
通信を終えた基之は彼の直接隷下に置く部隊へ指示を出す。
「作戦パターンσ!我々が囮となって連中の防衛線突破を試みるかのように動く!」
機甲部隊と"機装歩兵"(装甲戦闘服、要するにパワードスーツのようなモノを着用した兵士)の混成旅団が基之直接隷下の最精鋭である。
この戦力が起源国軍の強固な防衛陣地へ突貫し、偽装攻撃を仕掛ける。
そしてそれに起源国軍は反応を見せる。
反応をするだけでなく、当然増援を送ることになるだろう。
『こ、このままでは突破されてしまいます!至急来援を乞う!来援を乞う!』
恐慌状態となっているのだろう現場指揮官からの要請を眉一つ動かさずに聞き終えたアンドレアは顎に手を置き、熟考の様子を見せた。
「…機装歩兵?何故今になって戦場へ投入を…?これが虎の子か?」
アンドレア総司令兼総督代行は銀河連盟軍の積極的な攻勢に対して分析を試みるが、カナック保安隊司令から指摘を受ける。
「熟考したくなるのはわかるが、早急に手を打たねば考えている間に突破されるぞ」
「それはその通りだ。だが、しかし、これが本当に主攻勢なのか…」
「これが囮でも何でも放置してたら防衛陣地が突破されちまう。どうにしろ増援を送るしかないんじゃないか」
「そうだな…突破されてしまっては意味がない。仕方ないか…」
こうして増援が送られることとなったが、首府の中心部の戦力はやや薄くなってしまう。
これこそが基之の狙いであった。
敵もこのタイミングでの正面から来る攻勢には警戒するであろうし、囮と考えてもおかしくはない。
しかし、だからといって最早彼我の兵力は伯仲し、戦力の面では銀河連盟軍側に軍配が上がる状況下においては起源国軍としては意図如何に関わらず援護するしかないのだ。
放置すれば強力な攻勢によって、確かに防衛陣地の存在によって銀河連盟にも損害は与えられだろうが、最終的に突破されることは確実である。
だが、最終防衛線一歩手前の防衛ラインをそう簡単に見捨てる訳には行かない。
故に、多少疑わしくとも、最早選択肢は無いのだ。
こうして、基之に選択肢を絞られた総督府は増援を送り、その間隙に、次なる一手が撃ち込まれる。
降下部隊。
今まで、最初の惑星降下作戦以来、宇宙艦隊へ戻り待機していた空挺部隊としての役割を持つ彼等が首府へと一斉降下したのだ。
これにより、最終防衛線の更に奥に突如として前線を作らてしまった起源国軍部隊は、アンドレアらがどれだけ叫ぼうと指揮系統の混乱から逃れることは出来ず、幾つかの小部隊は即座に打ち払われてしまった。
「敵陣地壊滅!やりましたね!隊長!」
「ああ!次だ!味方が来るまで暴れるのが俺達の仕事だ!」
降下部隊が縦横無尽に暴れ回るその隙を持って、基之の部隊以外の戦力が一斉に攻勢を開始し、起源国軍の処理能力を超えさせる。
ただでさえ少なからぬ混乱を引き起こされた状況下では部隊同士の連携に小さくない問題をもたらし、こうなると同数の敵に勝利することは難しい。
基之の部隊も、増援として来た新手を他に向かわせないよう積極的に攻撃をかけ、足を絡め取る。
こうして、理解しながらも引きずり込まれた沼によってアンドレアとカヤックは足を絡め取られ、沈むのだった。
それからは早いもので、2日で総督府が降伏を発表。
最早、抵抗に意味はないとアンドレアはカヤックに代行を依頼し、責任を取るとして自害。
カヤックは白旗と共に銀河連盟軍に投降した。
徹底抗戦の構えを取っていただけにこの措置は銀河連盟を驚かせたが、アンドレア、カヤック両名にとっては自明であった。
これ以上抵抗しても数日引き伸ばすのが精一杯であるだけでなく、首府以外のほぼ全土が陥ちた以上、宇宙艦隊をこの惑星の制空権維持に留める必要性が無くなる為、事実上銀河連盟軍はフリーとなった。
それ故、これ以上はただの無意味な暴走にすぎない、と降伏したのである。
こうして銀河連盟軍は惑星リオ・グランデの解放、その立役者となり、大多数の市民から歓迎され、一部の強硬な民族主義的な勢力を除いた殆どの反乱組織からも支持を受ける形で首府、いや、リオ・グランデ連邦共和国首都 グランティア・シティへの入城を果たしたのであった。