ファデュイの執行官だよ   作:狼黒

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寝坊したぁぁぁぁぁぁぁ!!!

スネージナヤにあるとある建物の一角

その一角にあるのは牢屋であり、その中で一人の少女が椅子に座っている

 

「執行官を殺ったのはあいつか?」

 

「しーっ!」

 

『ファデュイ』の構成員達が、ヒソヒソと話しながら歩き去る

その話題の中心にいる少女は、両手に手錠を嵌められ、牢屋の中に備え付けられた椅子に座っていた

何をするわけでもなく只時が経つのを待つばかり

外を見れば、スネージナヤ特有の虹色のオーロラが掛かっているのが見える

皮肉にも、彼女との約束がその彼女の犠牲によって叶った事に皮肉を感じる少女

このまま時が経つのを待つばかりかと思っていたその矢先、外から足音が近づいてくる

そのまま通り過ぎるだろうと思っていると、牢屋の前で足音が止まり、次の瞬間には牢屋の鍵が開けられる音がした

誰だと思って視線を向ければ、一人の女性がこちらに向けて歩みを進めてくる

 

「やぁやぁ、君があのババ…じゃなかった、『召使』殺ったっていう子かな?」

 

青と赤が混じったロングの髪を靡かせながら、女性はこちらに話しかけてくる

 

「具合はどうだい?寒いから体調崩してないか心配でね」

 

そういう女性から視線をそらす彼女

特に話すこともないし、誰かも分からない相手に警戒心を抱いてのことだった

そんな彼女の様子に、困った様子で頭を掻く女性

 

「うーん、話したくないって感じかぁ…まぁしょうがないか」

 

そう言いながら彼女の目線に合わせるように屈む女性

 

「じゃあ早速本題に入るけど…はっきり言って今の君は犯罪者って扱いだ、何せファデュイの執行官殺っちゃたからね…話を聞いた時は耳を疑ったよホント」

 

女性の話を聞いて、それはそうだろうと思う彼女

そんな彼女の様子を見て、さらに話を続ける女性

 

「まだ処分は決定してないけど…まぁうちの半分…いやそれ以上か、それだけの人間は処刑するべきだって言ってる、君が危険すぎるって言う理由でね」

 

それもそうだろうと彼女は思う

自分でもこの力は異質な物だということは分かっている

危険分子は早めに取り除いておいたほうが、組織としても有益だろう

 

「んで、ここからなんだけど…今の君には3つの選択肢がある」

 

そう言って指を立てる女性

 

「1つ目はこのまま処分が下りるのを待つか、まぁ今のままの勢いだと十中八九処刑か一生牢屋暮らしのどちらかになるだろうね」

 

このまま君が楽になりたいならそれも一つの手かもね、と付け加えながら、もう一本指を立てる女性

 

「2つ目はここから脱獄して遠い別の土地で静かに過ごす、これを選ぶって言うなら私が手引きぐらいはしてあげるよ、これでもそこそこ偉いからね」

 

ただもう二度とスネージナヤの土地は踏めないだろうし、ファデュイの規模って意外と大きいから中々難しいだろうからあまりお勧めはしないけどね、と言いながら、更にもう一本指を立てる女性

 

「最後の選択肢だけど…今の名前を捨てて、君が殺っちゃった『召使』の称号と地位を引き継ぐ、まぁつまり殺っちゃった『召使』の後釜になれっていう選択肢、『隊長』とか『道化』はこっちの方が良いって主張してる、まぁ私としても1から探さなきゃいけないよりかは君が引き継いでくれたほうが助かるし、何より君が持ってるその力は是非とも欲しいし、有能な人材は取り込んでおきたいからね」

 

君にはなれる実力もあると思うしね、と付け加える女性

 

「以上が今の君が取れる選択肢、個人的には最後の方を選んでくれたら助かるけど…まぁそれは君が決めることだ、どんな選択肢であれ私はそれを尊重するよ、君の人生で何がしたいのかは君が決めることだし…あぁ後なるべく早く決めてくれると助かる、頭の硬い連中を抑えるのも限度があるからね」

 

そう言って屈んでいた姿勢から立ち上がると、少女に背を向けて牢屋の外へ歩き出す女性

その女性の背中に、少女は声を掛ける

 

「…何故、私にこんな話を?」

 

自分の意志など関係なしに決めれる事である筈なのに、何故か選択肢という形で聞きに来たことが不思議でならない

そんな少女の質問に、背を向けたまま首を傾げる女性

 

「うーん…強いて言うならまぁ…あの『召使』が個人的には嫌いだったからかな」

 

それと、と付け加えて

 

「さっきも言ったけどいちいち探すのが面倒くさいからね、後は…まぁ従者の頼みだからかな」

 

じゃあね、と言って牢屋から出ていく女性

牢屋の鍵が閉められる音と同時に、再び静寂が訪れる 

 

「私の…人生…」

 

その呟きが、静寂の中に響いた

 

 

 

 

 

「女皇陛下のお言葉を伝える」

 

スネージナヤの『ファデュイ』本部、その広間に『道化』の声が響き渡る

 

「その罪を赦し、新たな名を与えよう」

 

道化』の周りにいるメンバーからの視線を感じつつ、反響する声を聞きながら、ゆっくりと歩みを進める少女

 

「染血の称号を受け継ぎなさい、哀れで、狂気に満ちた、呪われた『召使』よ」

 

この瞬間少女…否、アルレッキーノは、新たな『召使』としての称号と、執行官としての地位を継承した

 

 

 

 

 

 

「そう言えば、あの女はまた遅刻かい?」

 

『召使』の称号を受け継ぐ儀式が終わったのちに、執行官第六位『散兵』…スカラマシュが口を開く

 

「寝坊だそうだ、先程彼女の部下が報告しに来た」

 

そう言葉を返すのは、同じく執行官第一位である『隊長』…カピターノ

 

「全く、彼女には『執行官』としての自覚が足りないんじゃないのかい?その辺の下っ端にでも任せてたほうがよっぽど…」

 

「女皇陛下がお決めになられたことに、異論があるとでも?」

 

スカラマシュの言葉にそう被せる声の主は、ファデュイ統括官『道化』…ピエロ

威圧感を放ちながら言葉を発するピエロに、口笛を吹きながら肩を竦めるスカラマシュ

 

「…先程から気になっていたのだが、『彼女』と言うのは?」

 

「そう言えば『召使』は会ったことがないのだったな、彼女というのは…」

 

 

 

 

「ごめーん!寝坊した!」

 

 

 

アルレッキーノの疑問に答えようとしたカピターノの言葉に被せるように、大きな音を立てて扉が開く

何事かと視線を向ければ、見覚えのある一人の女性が息を荒げながら立っていた

寝起きで急いできたのだろう、青と赤が混じったロングはボサボサ、執行官が纏っているコートは着ておらず、着ている服もボタンが所々掛けられていなかった

 

「全く、少しは執行官としての自覚を持ってください!」

 

「ごめんごめん!」

 

たが、アルレッキーノが驚いたのは彼女ではなく、その後ろから付いてきたのであろう従者であった

何故ならば

 

「…クリーヴ?」

 

かつて、自分が手に掛けた筈の少女が、見覚えのある女性のボタンを止めていたのだから

 

そんなアルレッキーノの様子を他所に、従者…クリーヴに手伝ってもらいながらコートなどを身に纏う彼女

 

「…遅刻だぞ、『伯爵』」

 

「ごめんごめん、昨日遅くまで『七星召喚』やってたからさぁ」

 

ピエロの言葉にそう返しながらこちらに向かってくる『伯爵』と呼ばれる女性だったが、アルレッキーノの姿を視界に収めると、そちらの方へ向かう

 

「やぁやぁ、始め…じゃなかった、久しぶりか、えーっと…」

 

「アルレッキーノだ」

 

「そうそうアルレッキーノ!」

 

顔には出さないものの唖然としているアルレッキーノに変わって、カピターノが名前を教える

 

「貴女は…執行官だったのか」

 

「あれ、言ってなかったっけ…あぁそうだ、言ってなかったね」

 

そう言うとアルレッキーノの前で、恭しく姿勢を整える『伯爵』

 

「改めてこんちには、執行官第0位『伯爵』…ツェペシュだよ、宜しくね、アルレッキーノ」

 

『伯爵』改めツェペシュは、そう言って笑顔を浮かべた




続きは書くかどうか知らない、というか分からない
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