場内の喧騒が一瞬止まる。
「第166回天皇賞・春、発走です!」
号砲が鳴り響き、17頭の馬がゲートから飛び出した。京都競馬場外回りの3200メートル、1周半の長い旅路が始まった。
「好発進はビーンドール!続いてボンドマティーニ、プラトンと続きます!ワールドキングは内側の中団、ブルーダイヤモンドは外側の中団からのスタートです!その他の各馬も順調に飛び出しました!」
解説者の声が入る。「まずは各馬、位置取りをしていきます。天皇賞・春は3コーナーまでの距離が長いですから、先行争いにはゆとりがありますね」
「先頭を行くのはビーンドール、2番手にボンドマティーニ、3番手にプラトン。そこから少し離れて中団内側に位置取るワールドキング。中団外目にはブルーダイヤモンド、そして後方に各馬が続いています」
「最初の3コーナーに差し掛かります!ビーンドールが2馬身ほどのリードを保っています!ボンドマティーニとプラトンがそれを追い、グランドファルコンが4番手に上がってきました。ワールドキングは中団内、ブルーダイヤモンドは中団の外側でじっくりと構えています!」
「3コーナーの坂を上っていきます!この上り下りを2回走ることになりますから、馬のスタミナが問われますね!」
解説者が続ける。「そうですね。この3コーナー付近の起伏が天皇賞・春の難しさです。馬の体力配分がとても重要になります。三上騎手、中団の外目という絶好の位置からレースを進めていますね」
「4コーナーに入ります!ビーンドールが先頭をキープ。ペースはややスローになってきました。このまま各馬1回目の直線へ!」
「1回目の直線に入りました。ビーンドールが先頭、ボンドマティーニ、プラトンと続きます。ワールドキングは中団内、ブルーダイヤモンドは中団外目で脚をためています。このままの態勢で1周目を進んでいきます」
解説者が指摘する。「やはり長距離戦ですので、序盤は各馬とも無理をしませんね。特に中団の三上騎手、絶好の位置取りでじっくりと馬のリズムを作っています」
「各馬1回目のホームストレッチを通過。そのまま1コーナーを回り、2コーナーへと向かいます。ビーンドールを先頭に、列が少し縦長になってきました」
「2コーナーを回って向こう正面へ!1周目が終わりに近づいてきました。ペースは落ち着いていますが、そろそろ動きが出てきそうです」
解説者が付け加える。「ここからが見どころですね。長距離戦ではどこでペースが上がるか、どの馬が動き出すかが勝敗の分かれ目になります」
「再び3コーナー手前にさしかかりました。ビーンドールがなおも先頭をキープしていますが、後続との差は縮まってきました。ワールドキングが徐々に前へと位置を上げてきています」
解説者が指摘する。「このペースでも先行馬が残るとの判断ですね。後方の位置では差し届かないと考えて、前目に上がってきました」
「2回目の3コーナーの坂を上っていきます!ビーンドールを先頭に、ボンドマティーニ、プラトンが続きます。そしてワールドキングがさらに前へ!中団外目ではブルーダイヤモンドがじっと我慢の競馬を続けています。三上騎手、まだまだ中団の位置で脚をためています!」
解説者の声が続く。「三上騎手は中団外目の戦術を変えていませんね。この長丁場、どこで動くかが鍵を握るでしょう」
「3コーナーの下りに差し掛かります!ここからラストスパートの攻防が始まります!各馬がじわじわとペースを上げ始めました!」
「ビーンドールはなおも先頭、しかしリードは縮まってきました!ボンドマティーニが迫り、外からはワールドキングが伸びてきています!ブルーダイヤモンドはなおも中団外目、三上騎手はまだ動きません!」
「残り800メートル、各馬が一斉に動き始めました!ビーンドールが先頭を維持していますが、明らかに疲れが見えてきました!ワールドキングが外から強烈な脚を使って追い上げてきます!そして…動きました!ブルーダイヤモンドが外から上がり始めました!三上騎手、ついに仕掛け始めます!」
解説者の声が高まる。「ここからが勝負の時間帯です!ワールドキングの動きが鋭いですが、ブルーダイヤモンドも一気に上がってきました。三上騎手、タイミングを見事に計っています!」
「4コーナーに差し掛かります!ワールドキングが先頭に立ちました!しかし外からブルーダイヤモンドが猛然と追い上げてきます!三上騎手、馬群の外から一気に加速させています!」
スタンドから歓声が上がる。レースは大詰めに差し掛かっていた。
「直線に入りました!ワールドキングが先頭、しかしブルーダイヤモンドが外から襲いかかります!残り300メートル、ブルーダイヤモンドとワールドキングの一騎打ちです!」
観衆の声が一段と大きくなる。歓声が京都の空に響き渡る。
「残り200メートル!ブルーダイヤモンドがワールドキングに並びました!三上騎手、ここぞとばかりに手綱を使い始めます!ワールドキングも懸命に応えています!両馬、競り合って残り100メートル!」
解説者の声も高揚する。「これはもう気迫の勝負です!どちらも譲りません!切れ味を競う最後の勝負、どちらが残るか…!」
「残り50メートル!まだ並んでいます!しかし、わずかにリードしているのはブルーダイヤモンド!このまま押し切れるか!?」
スタンドの観客は総立ちになり、声援を送る。
「ゴール前!ブルーダイヤモンド、ワールドキング…ブルーダイヤモンドがわずかに前に出た!」
ゴールラインを通過する瞬間、実況席も観客も息を呑む。
「ゴールイン!勝ったのはブルーダイヤモンド!三上光輝騎手、天皇賞・春を制しました!3200メートルという未知の距離を、見事に乗り切りました!」
観衆から割れんばかりの拍手が送られる。
「2着はワールドキング、3着にボンドマティーニ、4着にプラトンが入りました!ブルーダイヤモンド、ディープインパクト産駒の底力を見せつけました!」
解説者が感嘆の声を上げる。「素晴らしいレースでした。三上騎手の絶妙なタイミングの判断が光りましたね。最後の800メートルを待って仕掛け、直線では力強い末脚を見せた。京都の長距離戦では切れ味も問われますが、ブルーダイヤモンド号はそれも兼ね備えていました。騎手と馬の完璧な息の合った走りでした」
レース映像はゴール後の三上を映し出す。彼はいつも通り静かにブルーダイヤモンド号の首を撫でていた。その表情には、わずかに微笑みが浮かんでいるように見えた。
「ブルーダイヤモンド、三上光輝騎手。大阪杯に続く二つ目のG1制覇です。しかも3200メートルという未経験の距離で、見事な適応力を見せました」
解説者は締めくくる。「もはや疑う余地はありませんね。三上光輝は、日本の競馬界に新たな風を吹き込む存在となりました」