お前がブリュンヒルデになるんだよ!   作:シシカバブP

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やってやったぜ(白目)
皆、昔過ぎて前作の内容を覚えてないかもなぁ……

追記:
サブタイのプロローグをやめました。


原作開始前
第1話 もう一度、外史・ISへ


一面真っ白で、見渡す限り何もない世界。

そんな世界の中心で――

 

 

「ねぇ」

 

「ん?」

 

「はい?」

 

「ずるずる~(かき揚げうどんをすする音)」

 

呆れた声を出す紺色スーツの短髪男に、3人の男女が視線を向けた。

中肉中背の男――つまり俺と、青髪の女と、同じく青髪の女(眼鏡着用)だ。

 

「まずリク、君そろそろ働かない?」

 

「えっ、やだ」

 

「この前までのやる気はどうしたのさ!? さっさと次の外史に行ってよっ!」

 

「えー」

 

 

 

外史、何かどこかのタイミングで説明したかもしれないが、端的に言えばパラレルワールドのようなものだ。

「もし~だったら」「この時~があったら」という想像から生まれた、一種の妄想世界。

今目の前で頭抱えてるのが、外史を管理してる神、ロキだ。

そんで(リク)、つまり俺は『現地作業員』って呼ばれる存在で、要は外史に転生してあれやこれややるのがお仕事だ。

 

 

 

「せっかくカタナやカンザシの研修も終わったっていうのに、まだ1回も仕事してないじゃん!」

 

「まぁ、それを言われると言い返せないんですけど」

 

「ずるずる~」

 

「カンザシ、まずは丼を置こうか」

 

 

 

次にロキが文句をぶつけてるのが、さっき青髪の女って説明した二人だ。

姉の刀奈(カタナ)と妹の(カンザシ)。二人はかつて俺が転生した外史・ISの住人で、更識家(対暗部用暗部とかいう、カウンタースパイの家)の人間だった。

それが色々あって、今は俺と同じ現地作業員、そこの馬鹿神の部下って扱いになっている。それでまあ、なんだ。二人は俺の女っていうか……これ以上はノーコメントで。

どうして外史の住人が神様の部下やってるかって? 色々あったんだよ、色々。

 

 

 

「ずるずる~……んっ、食べ終わった」

 

「君、ホントイイ性格になったよね……」

 

「そうでもないですよ。それで、どんな外史に行けばいいんです?」

 

「簪、ロキの言うこと聞く気か?」

 

「「えっ?」」

 

「えっ?」

 

簪だけでなく、刀奈にまで驚かれたんだが。

 

「陸君、本当にサボる気だったの?」

 

「いやまあ、どっかでお前らの実地研修を兼ねた仕事をしなきゃとは思ってたけど」

 

「あっ、そこはちゃんと考えてたのね」

 

問題は、この二人を連れてどんな外史に行くかだ。

俺もそうだが、剣と魔法のファンタジー世界とかじゃない、出来る限り元の世界、正史に近い世界をと思ってたところだ。

すると、ロキが思いついたかのように手を叩いた。

 

「それなら、ちょうどいい外史があるよ」

 

「どこだ?」

 

「外史・IS」

 

「は?」

 

「それって……」

 

「私達がいた世界」

 

そう、刀奈と簪が元いた世界だ。けどそれって……

 

「確か『現地作業員は元いた世界には派遣できない』って決まりじゃなかったか?」

 

「ふふふ……実はこの決まりには、抜け穴があるのだよ!」

 

そう言って、ロキがどこからか水球を取り出した。

宙に浮いた水球、それこそが外史そのものだ。そして水球から細い枝のようなものが伸びていて、その先端には別の水球がくっ付いていた。

 

「この先端の水球……もしかして、『分岐世界』ですか?」

 

「正解! ちゃんと勉強した内容を覚えているようで何よりだよ」

 

ロキに褒められて、刀奈が少し顔を赤くして照れる。うん、可愛い。

外史ってやつは、時々枝分かれすることがある。何せ元々が「もし~だったら」「この時~があったら」っていうIFで成り立ってる世界だからだ。

そうなると当然、話の大筋は同じでも細部が異なる物語ってやつがいくつも出てくる。それが刀奈の言った分岐世界ってものになるわけだ。

 

「そしてベースの世界が同じでも、分岐世界であれば派遣してもOKなんだよ。正確には白寄りのグレーだけど」

 

「へぇ、初めて聞いた」

 

「ちなみにカタナやカンザシがいた世界自体、分岐世界の一つなんだよ」

 

「そうなんですか?」

 

「そうそう。なんだったら、本来の外史・ISを見るかい? 今の君達なら、頭を抱えて悶絶する世界だよ」

 

「そ、そう言われると……」

 

「怖いもの見たさで……」

 

というわけで、ロキに唆されるまま、本来の外史・ISを(水球の中の動きを全部ではなくダイジェストで)見たわけなんだが……

 

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

「あがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

「あ~、やっぱりこうなったね」

 

「マジかよ……」

 

見せられた世界は、想像を絶するものだった。

俺がいないのは当然として、外史・ISの主人公たる織斑一夏がダメ人間過ぎる。

ヒロイン達の好意に気付かない、ラッキースケベを常時発動、同性の妬みも一切通用しない。鈍感とか唐変木とかを余裕で超えてるだろ。しかも……

 

「わ、私が織斑君と、あ、あんな関係に……!?」

 

「あり得ない……別世界の私、ちょろインすぎる……」

 

あの誘蛾灯たる一夏のハーレムに、刀奈と簪も含まれてたっていうな。俺がいない世界は、ああなってたのか。なんだろう、NTRってこんな気持ちなのか……?

 

「これが原作と呼べる世界。で、こっちがショウやミナミが行った分岐世界」

 

おいおい、また別の水球を出してきたぞこの馬鹿神。しかもショウとミナミ(俺の同僚)が行った世界って……

 

「この世界は特別製でね」

 

「特別?」

 

「そう! なんとこの世界、織斑一夏のクズレベルがMAX!」

 

「クズレベルって……」

 

「まあまあ、ちょっとだけでも見てよ」

 

ロキが俺達の前にズズッと水球を近付けてきた。仕方ねぇ、ちょっとだけ……

 

 

 

「「「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」」

 

 

 

「何あの織斑君! ニブチンとか女誑しってレベルじゃない! 本当に人間のクズじゃない!」

 

「一億歩譲……っても、観客席のシールド破壊して無人機のビームを直撃させるとかあり得ない。さらに銀の福音と戦うって時に、このショウって人を背後から斬るとか論外」

 

「これはひでぇ……」

 

当たり外れというか、プラス要素とマイナス要素の振れ幅がデカすぎねぇか?

 

「なあ、まさかこれに近い分岐世界に俺達を送り込もうなんてことは……」

 

「ああ、それは無いから安心していいよ。今回君達に行ってもらう世界は、さっき見た原作世界に限りなく近い世界だから」

 

「そ、それなら安心ですね……」

 

「今みたいな世界だったら、出向拒否してた」

 

さすがのロキも、そこまで酷いことは考えてなかったか。いや、あの朴念仁一夏もあれっちゃあれだけど……

 

「まあ元いた世界と近しい感じだし、実地研修としてはちょうどいいんじゃないかな?」

 

「かもな。ちなみに、今回向こうに持ち込んでいい物は?」

 

「同じIS世界だし、3人が持ってる機体は持ち込んでいいよ」

 

「マジでか」

 

 

 

IS、正式名称『インフィニット・ストラトス』と呼ばれる、世界最強の空飛ぶパワードスーツだ。

このIS、『女しか乗れない』という欠陥を抱えている。そのせいで、外史・ISは女尊男卑の風潮が広まった世界となっている。

そして本来女しか乗れないはずのISに、男の一夏が乗れちまったと。そこから、ほぼ女子校のIS学園に強制入学させられるって流れだ。

 

ここで問題なのは、ISは女しか乗れないってところじゃない。このIS、実は世界で467機しかないってことだ。正確にはISの中枢たるコアを、開発者である篠ノ之束しか作れないってところか。

おかげで外史・ISでは、この467個のISコアを世界各国に分配してやりくりしてるわけだ。

俺達は前の世界でそれぞれ専用の機体を持っていたんだが、この真っ白世界に戻って(刀奈と簪の場合は"渡って")来た時も、なぜか待機状態のまま持ち込んでいた。俺は左腕の腕輪、刀奈は持っている扇子に付けたアクセサリ、簪は右手中指に付けた指輪って形でな。

 

で、結局何が問題かというと

 

 

 

「そうなると私達3人分、員数外のISコアが流入するってことになりません?」

 

「うん、気付かれたらすごい面倒事になりそう」

 

そう、467個しかないはずのISコアが、470個になっちまう。1機でも軍事バランスが崩れると言われているISが、突然3機も増えるわけだ。簪じゃないが面倒事になるのが目に見える。

 

「そこは大丈夫! ちょこっと因果を弄って、中国に分配される分を3つ減らしておくから♪」

 

「……俺達が困らないからヨシッ!」

 

「陸君!?」

 

「久々に織斑君に顔面メメントモリを使えそうだからヨシ」

 

「簪ちゃんまで!? しかもセリフが物騒!」

 

いやだって、中国のコアが減ったところで困らんだろ。(ヒロインの一人)ならパイが減っても実力で専用機持ちになりそうだし。

それと簪、今から行く外史の一夏は、さっき見たクズ一夏とは別人だからな? 初対面でメメントモリは勘弁してやれ。

 

「とにかく、3人には分岐世界の外史・ISに行ってもらうよ」

 

ロキが指を鳴らすと、"外史への扉"って呼ばれる光の塊が出てきた。この光をくぐることで、さっきロキが言ってた分岐世界に転生されることになる。

俺としては見慣れた光景だが、刀奈と簪にとっては初めての体験だ。

 

「これが、外史への扉」

 

「なんというか、いよいよって感じね」

 

「二人ともやる気満々みたいだし、あっちで引率よろしく~」

 

「分かってる。そんじゃ行くか」

 

「ええ!」

 

「うん!」

 

刀奈と簪、二人を伴って光の中に入っていった――

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

 

ある意味2回目のIS世界。前回は中学3年生、血溜まりの中で転生というトラウマもののスタートだったわけだが、今回は無事(?)5歳の時点で記憶を思い出し、しかも自宅からのスタートとなった。

これがなかなかにしんどい。めっちゃ視界が低いし、身体能力もガクッと下がった感じだ。腕輪(待機状態のIS)はあるものの、正直ISを展開して乗れる自信が無い。というか、5歳ってことはまだIS発表されてなくね?

 

「とはいえ、前回は酷過ぎたからなぁ……」

 

IS絡みのテロで俺だけが生き残り、しかも他に親類もいないから施設行きってハードモードが過ぎるだろ。それに比べれば、両親が健在の一般家庭はイージーモードだ。……色々基準がおかしいが。

しかもこの世界での俺の名前、なんと『宮下陸(みやした りく)』だってよ。完全に前回と同じだろ! 新しく覚えなくていいから楽だけどよぉ!

 

――ピンポーン♪

 

そうしてあれこれ考えていたら、玄関のチャイムが鳴ったようだ。確か両親は仕事でいないんだったな……俺が出ないとダメか。

2階の自室から階段を降り玄関へ。

 

「どちらさま~?」

 

ここで、ドアスコープを確認せずに開けちまったのが失敗だった。

 

「陸ぅぅぅぅぅぅ!!」

 

――ドゴッ!

 

「げふっ!」

 

アメフトのようなタックルを食らい、フローリングに押し倒された。いってぇ……って、おまっ!

 

「簪!?」

 

「陸っ! やっと会えた! クンカクンカ」

 

「やめい!」

 

日大タックルして来た簪(俺と同じ小学生サイズ)を引き剥がす。可愛いのは認めるがクンカーはいらん! って待てよ、簪がいるってことは……

 

「り~くくん♪」

 

簪を引き剥がした先から、今度は別の柔らかいものが……

 

「刀奈か?」

 

「ええ。()()()()()、になるのかしら?」

 

小学生サイズになっても、刀奈の人懐っこそうな顔は変わらずだな。はいはい簪、むくれない。

 

 

 

こうして分岐世界に転生した俺達は、まずは合流に成功したのだった。

 

「小学生の陸君……可愛い!」

「お、おい、刀奈?」

「抱きしめたい! チューしたい!」

「お姉ちゃんずるい! 私も!」

「お前らぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

……合流早々、更識姉妹によってもみくちゃ(意味深)にされた……。嬉しくなかったのかって? ……黙秘権を行使する。

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