お前がブリュンヒルデになるんだよ!   作:シシカバブP

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>簪のレッド・スコルピオってデュアルだから4つの間違いじゃない?
……君のような勘のいいガキは嫌いだよ(慌ててプロットを書き直す音)


第11話 いつから俺が代表だと錯覚していた?

「アンタが2人目の男性操縦者?」

 

 そんなセリフが、学食で飯を食ってる最中に聞こえてきた。

 

「そうだが?」

 

「へぇ……」

 

 あ、今回もそういう態度なのか。なら……

 

――バッ! ギュッ!

 

 

「ぎゃぁぁぁぁぁ!」

 

 

お仕置きアームロックが、生意気な態度を取ってきたツインテール娘を襲う!

 

「り、りった~ん……」

 

「陸、もっともっと」

 

「かんちゃん!?」

 

「自分から名乗らないのに相手の事を確認しておいて、その態度はどうよ?」

 

「いだだだだだ! ふぁ、凰鈴音! 2組のクラス代表よぉ!」

 

「凰な。俺は宮下陸だ」

 

 涙目で自己紹介してきたところでアームロックを外した上で、俺も自己紹介しておいた。

 それにしても、この世界でも凰は凰なのか。ほれ見ろ、簪も『凰さんは所詮凰さんか……』みたいな目で見てる。

 

「それで、凰は俺に何か用なのか?」

 

「痛たた……はっ、そうだった!」

 

 アームロックされた左腕をさすっていた凰は、思い出したようにビシッと俺を指さすと

 

「もしクラス対抗戦であたしと当たっても、手加減なんてしてあげないんだから、覚悟しておくことね!」

 

 宣戦布告して、勝手に満足したのか去っていってしまった。

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

「「なんで()?」」

 

「リンリン、りったんを4組のクラス代表と勘違いしたみたいだね~」

 

「あ~、もしかして一夏が1組のクラス代表だから、4組も男の俺がっていう流れか?」

 

「たぶんそう」

 

 簪とのほほんと目を合わせ、は~……とため息が一つ。なんつー早とちりしてんだ……

 

「仕方ない、当日に開幕メメントモリで目を覚まさせてあげる」

 

「かんちゃ~ん、それ、リンリンが目を覚ますどころか永眠しかねないよ~」

 

「いやいや、ちゃんとリミッターはかけてるぞ?」

 

 逆にリミッター抜きだったら、エア本よろしく頭がパーンするだろうが。

 

 すると生意気ツインテールが去っていった方から、一際喧しい声が。もっと言えば、篠ノ之とオルコットの声が。

 

「おりむー達、またやってるね~」

 

「あいつらも、よくもまあ飽きずに」

 

「そして織斑君も、相変わらず」

 

 まったくだ。今も向こうから『セカンド幼馴染』とかいう単語が聞こえてくる。あっ、篠ノ之と凰がバチバチやってる。

 って、そんな2人を放置して、一夏とオルコットがこっちに来たんだが。お前、あの2人を放置すんなよ。

 

「陸! クラス対抗戦、楽しみにしてるからな!」

 

「は?」

 

 いや、お前が楽しみにするのは一向に構わんのだが、どうしてそれを俺に言う?

 

「もしかしておりむー、りったんが4組のクラス代表だと思ってる~?」

 

「え? だって男の俺が1組の代表になったんだから、同じ男の陸が4組の代表だろ?」

 

「……」

 

「……」

 

「「は~~~~~……」」

 

「なんでクソデカ溜め息!?」

 

 溜め息もつくわ馬鹿たれぇ! どいつもこいつも同じ思考回路しやがって!

 仕方ないとばかりに、一緒にため息をついていた簪が修正に入る。

 

「4組の代表は私」

 

「えぇっ、更識さんが?」

 

「一夏さん、他のクラスが皆男と言う理由で推薦するわけではありませんわ。っと、自己紹介がまだでしたわね。イギリス代表候補生のセシリア・オルコットですわ」

 

「のほほんから聞いてるよ。一夏と一緒に爆弾発言しまくって、学園長室に呼び出されたんだって?」

 

「うぐっ!」

 

「ぐはぁ!」

 

 ジャブに見せかけたストレートを食らって、オルコットと一夏がのけ反る。ホントお前ら、自分の立場ってもんを考えて発言しろよな。(自分棚上げ)

 

「そ、それにしても、陸が代表じゃないのか」

 

「おう。だって俺、エンジニア志望だし」

 

「あら、そうなんですの?」

 

「あれでエンジニア志望?」

 

 オルコット以上に、一夏の方が驚いていた。

 ああ、そうか。陽炎を貸した初日に手合わせしたから一夏の奴、『自分よりISの操縦が上手い=クラス代表』って思い込んでんのか。タワケ。

 

「更識さんがクラス代表と言うことですが、もしかして日本の代表候補生ですの?」

 

「ううん。でも企業のテストパイロットだから、対抗戦当日は試作機に乗る予定」

 

「企業ですの?」

 

「うん、如月重工」

 

「如月重工!?」

 

 簪の所属を聞いた途端、オルコットが大声を上げた。おいおい、周りも何かあったかと視線がこっちに集中してんだが。

 

「セシリア、知ってるのか?」

 

「知ってるも何も、IS関連ではトップクラスの企業で、世界シェア第2位の大手企業です!」

 

「それって倉持技研よりも?」

 

「当然ですわ!」

 

 オルコットの説明に、周りからも『そんな企業あったんだー』みたいな声が聞こえてくる。まあ、1年生はそんな認識だよな。逆に上級生(リボンの色で見分けが付く)からは『マジか』という視線。

 すると、俺達の話を聞いていた外野の一人がオルコットに近付いて聞いた。

 

「あの~オルコットさん? 私も含め、皆如月重工って聞いたことも無いんだけど、そんなに有名なの?」

 

「当たり前……え? 知らないんですの? 日本を代表するIS企業を?」

 

「え? 日本の代表企業って言ったら、織斑君の専用機を作った倉持技研じゃないの?」

 

「はい?」

 

 同じ1組のクラスメイトらしい生徒に指摘され、オルコットの目が点になる。

 

「え……あの、どうなってますの?」

 

「それ、俺達が説明すんのか?」

 

 金髪縦ロールの頭がカクンと縦に振られる。まあ、いいけどさぁ……

 

「倉持は半分国の直属企業なんだよ」

 

「直属企業?」

 

「そ。IS開発はとにかく金がかかるから、大体のIS開発企業は国の紐付きなんだよ。そんなわけで、日本政府との癒着……もとい、関わりが強い。だから国の代表企業は倉持じゃなきゃいけない。如月(ウチ)みたいな独立採算でやれてるところが代表だと、困る連中がいるってこと。なにせ、予算をちらつかせて言うこと聞かせられないからな」

 

 逆に倉持も、日本政府に対して融通と言うか、泣き落としが使えたりするんだよな。例えば、学園の訓練機に陽炎が採用された時とか。

 

「な、なんか黒い話だね……」

 

「金が絡むと、大体は黒くなるもんだ」

 

 そりゃ、税金注入した半官企業が完全民間企業に負けてたら、ただの税金泥棒だし。そんなの、倉持も政治家連中も認めるわけにはいかんって話だ。ホント死ねばいいのに。

 そして日本国外という、文字通り外野からの意見として、オルコットが私見を述べる。

 

「倉持技研は第2世代機開発でも、如月重工に後れを取っていました。一夏さんが乗っていた陽炎、本来であれば、あの機体が日本初の第2世代機になっていたはずです」

 

「ええっ!? 日本の第2世代機は打鉄じゃ……」

 

 完全に目が点になるギャラリーに、簪の追撃が入る。

 

「政府が私達の陽炎開発の申請を延々引き延ばした上、打鉄の申請はすぐに通した。だから書類上、打鉄が先に完成したことになった」

 

「「「うわ~……」」」

 

 裏事情を知って、一夏を始め食堂の連中は皆ドン引き。俺もあの当時を思い出して腹立ってきたな……やっぱあの参議官とかいうやつ、ラリアットの1発でもかましてやればよかった。

 その倉持から専用機を渡された一夏は、『いやいや!』と頭を振って声を上げた。

 

「だ、だけど! 俺の専用機を作った企業だし、第3世代だっけ? それだけの技術はあるってことだろ?」

 

「まあ、そう言えなくは無いが……」

 

 この世界ではまだ、紫兎()との接点は無い。だから『お前の専用機、倉持は関わってないぞ?』とは言えず、なんとも曖昧な返事しか出来なかった。そもそもきちんと倉持が開発してたんなら、お前の要望に対して『仕様です』とか返すわけないし。

 

「それに、白式には切り札があるからな!」

 

 自慢気に語る一夏に、一部の生徒から『そうだった!』と声が上がる。

 

「へぇ、切り札ねぇ」

 

「おう! 『零落白夜』っていう、千冬姉が使ってた……えっと」

 

単一仕様能力(ワンオフ・アビリティ)、ですわ」

 

「そうそれ! そのワンオフ・アビリディで、絶対優勝して見せる!」

 

「「「おお~~!!」」」

 

 パチパチと拍手をする生徒が出てきて、最後には演説みたいになっていた。

 それにしても一夏の奴、オルコットに勝って自信を持つのは結構だが、ちょっと調子になってないか? 今日初めて知った簪を置いておくにしても、2組代表の凰も専用機持ちだろ。『絶対優勝して見せる』って、勝てるビジョンあんのか?

 

「なんてことを忠告する必要もないか」

 

「うん」

 

「りったん残酷~」

 

 そっと席を立ち、俺達は一夏コールが続く食堂を脱出した。そろそろ……

 

 

「お前達! 食堂でギャアギャア騒ぐな! そんなに元気が有り余ってるなら、放課後校庭を100周させるぞ!」

 

 

 ほ~ら、織斑先生の雷が。

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

 気付いたのは偶然だった。

 

「ん~? どうして信号が4()6()8()()()出てるのかな~?」

 

 秘密ラボの一室に表示された空中投影ディスプレイ、そこに何故か、束さんが作った覚えのないISコアの信号を見つけたのは。

 

「ボンクラ共がコアの製造に成功したとは思えない。けど、ちゃんと信号はあるんだよね~。ん~~?」

 

 首を捻ってみるけど、思い付く心当たりがない。しかもその信号は、IS学園の敷地内から出てるじゃないか。

 あそこには箒ちゃんやちーちゃん、それに色々手を尽くして(IS学園の試験会場に誘導して)入学させた、いっくんもいる。不安要素は消しておこうか。

 

「『群咲(むらさき)』てんか~い、ハッキング開始~☆」

 

 情報を根こそぎブッコ抜くために束さんの専用機を展開、468番目のコアに強制コードを送り込んだ。さてさて、どうなるかな――

 

 

『警告! 攻性防壁を感知! 対象からのカウンターアタック――』

 

 

――バチンッ!

 

「うひぃ!?」

 

 気付いた時には、群咲に張り巡らせていた電子防壁が全て破壊されていた。アメ公が自慢してるスパコンが100台束になっても突破出来ない電子防壁が、10枚全部食われた? 今の一瞬で?

 しかも被害は、それだけに留まらなった。

 

「うあぁぁぁぁ!? 群咲の中に入れてたゴー君Ⅰ号(無人機)のデータが飛んだぁ! ひどいよぉぉぉぉぉ!」

 

 いっくんの成長度合いを確かめるために、せっかく束さんが用意した敵役なのにぃ! これじゃあ、クラス対抗戦とやらに乱入させる計画がー!!

 

「うぅ……い、いいもん! これから当日まで徹夜すれば、挽回出来るもんね! 束さんなら出来る、束さんは最高……」

 

 強気の発言を繰り返すことで自分を鼓舞しながら、私はPCに向かって高速タイピングを始めた。

 

「くっそー! 誰の仕業か知らないけど、絶対倍返しなんだからねー!!」

 

 

 

 

 

 

 

『ねーねーカンザシー』

 

『何? シャーリィ』

 

『さっき、シャーリィの中を覗き込もうとする奴がいたんだけど、カウンター仕掛けてデータぶっ壊してやったよ♪』

 

『何やってるの!?』




今回もお仕置きアームロック。
鈴だからね、仕方ないね。

・オリ主、クラス代表と勘違いされる。
・倉持技研のことを知ろう。
(逆)豪華2本立て。

【悲報】束に員数外コアがバレる。
第1話書いた頃の自分、馬鹿やろぉぉぉぉ!
というわけで、なんとか辻褄を合わせました。そのせいで、束にロックオンされたけど。


次回は皆さんお楽しみ、簪による公開処刑&刀奈のフォトン・トルピード実戦回です。
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