お前がブリュンヒルデになるんだよ!   作:シシカバブP

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どうしよう、前書きで書くことがない。


第22話 最後にπは勝つ

「あああぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 ボーデヴィッヒが身を裂かんばかりの絶叫を発すると同時に、シュヴァルツェア・レーゲンの装甲がぐにゃりと溶け、どす黒い粘土のようなものに飲み込まれていく。

 

「何だありゃ……」

 

 俺が手を止めると、一夏も雪片弐型を構えるのを止めてボーデヴィッヒの方を凝視する。

 

『簪』

 

『うん』

 

 簪にプライベート・チャネルで話しかけたら、向こうも俺が言いたいことを察したようだ。

 

『『VTSのこと忘れてたぁ!!』』 

 

 クソがぁ! ロキとの通話の後、何か忘れてると思ったらこれかよ!

 いや待て、ここでボーデヴィッヒがVTSに飲み込まれたってことは……

 

 ボーデヴィッヒを飲み込んだ泥人形が急速に変形し、見覚えのある姿に変わっていく。

 全身装甲のISのような見た目、そして右手に持った刀型の武器――

 

「ふざけやがって! ぶっ飛ばしてやる!」

 

「やっぱりかぁぁ!」

 

 一夏のやつ、やっぱり黒いISに向かって突撃しやがったぁ!

 

――ガキィィィンッ!

 

「ぐうっ!」

 

 ブチギレ一夏の突撃をあっさり防ぎ、黒いISは雪片弐型を一夏ごと弾き返した。

 

「おいバカ、何無策で突っ込んでんだよ」

 

「うるせぇ! 許さねぇ、許さねぇ!」

 

 吹っ飛ばされて地面を転がったものの、すぐに立ち上がって再度突撃をかまそうとする一夏を止め――

 

「ストップ」

 

――ガンッ!

 

「おがっ!?」

 

 簪の夢現が、奴の脳天を直撃した。み、峰打ちだからセーフ、か?

 

「うん、この手に限る」

 

 その手以外には無かったんですかねぇ?(前外史でぶん殴ったことは棚に上げておく)

 一夏も簪にぶん殴られて怒りのボルテージが下がったようだが、SEも削れた件については目を瞑っておこう。

 

「見た目、織斑先生っぽいな」

 

「ああそうだ、あれは千冬姉のデータだ。千冬姉のものなんだ! それを……!」

 

『緊急事態発生、緊急事態発生。トーナメントは一時中断します。また、状況をレベルDと認定。鎮圧のため教師部隊を送り込みます。来賓、生徒は───』

 

 また一夏の頭に血が上りそうになったところで、アナウンスが流れ始める。

 さて、今回はどうしたもんか。また一夏にやらせるか、それとも今度こそ鎮圧用の教師部隊が来るまで待ちか。

 

「織斑君、今アナウンスされた通り――」

 

「無理に危ない場所へ飛び込む必要はない? ダメなんだ更識さん。『やる必要はない』じゃない。俺が『やりたい』んだ。千冬姉を侮辱するあの黒いのも、そのわけわかんねぇもんに振り回されるラウラも、気に食わねぇんだ」

 

「「……はぁ」」

 

「えっ、そこでクソデカ溜め息?」

 

「どうあっても、一夏は一夏か」

 

「手の施しようがない」

 

「えっ、ええっ?」

 

 うろ覚えだが、前外史で言ってることほぼ同じじゃねぇか。まあ、これが織斑一夏のデフォなんだろう。

 

「それで?」

 

「へ?」

 

「だから、あの黒いISモドキを倒す策だよ。あれだけ大口叩いたんだから、当然あるんだろうな?」

 

「え……あっ、その……」

 

「「……はぁ」」

 

「またクソデカ溜め息ぃ!?」

 

 溜め息だって出るっての。

 

「仕方ねぇから、俺と簪で奴の注意を引き付ける。そしたらお前の零落白夜を叩き込め」

 

「わ、分かった!」

 

 結局前回と同じように、俺と簪が陽動、一夏が本命の一撃を入れる作戦になった。今回は篠ノ之が不在だが、何とかなるだろ。

 

 

 

 

「そんじゃ行くか、簪」

 

「うん」

 

 俺と簪で、左右から黒いISに近付く。

 

「うらぁぁぁ!」

 

「はぁぁぁ!」

 

 長船と夢現の斬撃が、黒いISに襲い掛かる。相手の武器は刀1本のみ、ならどちらかの攻撃は――

 

――ガキンッ! ガキィィンッ!

 

「なっ!」

 

「うそ!?」

 

 俺の長船は想定通り、雪片モドキに受け止められた。だが、簪の夢現が……

 

「小太刀だと!?」

 

 突然左手のひらから"生えてきた"雪片モドキよりは短い武装に、夢現が受け止められた。

 おまっ、前回はそんな武装出してこなかっただろ! チートやチート!

 

「だ、だがこれで両腕は塞がった! 行けぇ! 一夏ぁぁぁ!!」

 

「うぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」

 

 俺の合図で、一夏が雄叫びを上げながら突撃をかます。残りのSEを全て吐き出し、零落白夜の刃が日本刀の形に集約していく。

 そして俺と簪によってがら空きになった懐に潜り込み、刃を頭上に構えると

 

 

――ビュンッ!

 

 

 縦に真っ直ぐ、黒いISを断ち切った。

 

「ぎ……ぎ、ガ……」

 

 剣筋に沿って紫電が走り、黒いISが真っ二つに割れて倒れた。その割れ目から、気を失っているであろうボーデヴィッヒがドロリと一夏の方へ落ちてくる。

 

「おっと」

 

 一夏はボーデヴィッヒを受け止めると、

 

「……まぁ、ぶっ飛ばすのは勘弁してやるよ」

 

 あの時も見た、苦笑したような顔でそう呟いていた。

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

「で? なんであんな無茶な真似をした! 言え!」

 

 今回も一見落着とはいかず、事情聴取の名目で生徒指導室に強制連行、織斑先生に睨まれてるナウ。

 

「織斑君に脅されて仕方なく……」

 

「ええっ!?」

 

 パイプ椅子に座って俯く簪の告発に、一夏がガタンと音を立てて立ち上がる。

 完全な虚偽です、本当に……いや、放っておいたら一人で突撃してやられてただろうから、ある意味自身を人質にして脅してたと言えるのか?

 

「織斑、説明しろ。あと更識妹、下手な嘘はやめろ」

 

「はい(スンッ」

 

「ええ~……」

 

 簪の変わり身の早さに、一夏ドン引き。

 

「織斑、いいから説明しろ」

 

「は、はい!」

 

 カルシウムが足りなそうな織斑先生に促され、一夏が説明という名の自己弁護を始める。議題は『なぜ教師部隊の到着を待たなかったか』だ。

 

「……つまり、私の姿に似たあの黒いのが気に食わなかったから、だと?」

 

「は、はい……」

 

「……」

 

 無言でギロリと一夏を一睨みすると、織斑先生はおもむろにスーツの内ポケットから何かを取り出した。

 

「……千冬姉?」

 

「いいから待て。それと織斑先生だ」

 

 市販ではなさそうな紙包装を破き、中の錠剤を用意していた水で流し込んだ。あれ、もしかして胃薬か……?

 

「ん……はぁ。織斑、夕食後寮監室に来い。お前とは一度じっくり話し合う必要がありそうだ」

 

「うぇ!?」

 

 アリーナの時とは打って変わって、情けない声を上げる一夏。織斑先生が言った通り、一度家族会議して来い。

 

「それと宮下と更識妹、今回の件は箝口令が敷かれることとなった」

 

「VTSのこととかですか?」

 

「VT……なんだって?」

 

 一夏が首を傾げる中、織斑先生が驚いたように立ち上がった。

 

「更識おまっ! ……どうして知ってる?」

 

「如月重工に所属しているので、概要程度は」

 

「……ああ、そうだったな。だが、他の連中の前では言うなよ?」

 

「はい」

 

 素直に頷いた簪を見て、ホッとしつつも『それが分かっていて、どうして一夏の前で口を滑らせたこのぉ……』とこぼしたのは、ちゃ~んと聞こえてますからね。

 

「なあ千冬姉、VTなんたらって(ゴンッ!)おごっ!」

 

「織斑先生だ」

 

「ひゃ、ひゃい……」

 

 ゲンコツで一夏の質問をシャットアウトした織斑先生に促され、俺と簪は生徒指導室から出て行ったのだった。

 一夏? 追加でOHANASHIがあるんだってさ。ご愁傷さん。

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

 そんで、晩飯を食おうと食堂に行くと

 

「……(どす黒いオーラ)」

 

「うわぁ……」

 

 一番奥のテーブル席で、デュノアがどす黒いオーラを周辺にまき散らしながらイジけていた。

 更衣室で一夏にビンタかましてから見てなかったが、まさか今までずっとここでイジけてたわけじゃねぇよな?

 

「どしたん話聞こうか?」

 

 とネタで言ったら、腕をガッシリ掴まれた。うわ怖っ!

 ついでに簪も腕を掴まれていて、半泣き状態になりながら2人仲良く同じテーブル席へ。

 

「一夏とはペアになれなかったし、そもそもトーナメント自体中止になるし……はぁ……」

 

 く、黒いなぁ……おい簪、かき揚げうどん食うのに集中すんな。一人だけ逃げんなよ。

 

「ずるるる……デュノアさん、織斑君に惚れたの?」

 

「ひゃひっ!? いいい、いきなり何を言ってるのかなぁ!?」

 

「安心しろ、簪はお前のことを知ってるから」

 

「し、知ってるって……あっ、如月重工」

 

 なんでそこで如月の名前が?

 

「うん、ウチでデュノア社のことを探って、手を打った。近いうちに、男装の必要もなくなる」

 

「あ、ああ……!」

 

 簪の説明を聞いて、デュノアの目尻に涙が溜まる。ああなるほど、簪が言ったことまで推測してたのか。

 

「ありがとう……ありがとう……!」

 

 俯いて涙を溢しながらも、しきりに感謝を口にされた。

 

「(こういうことされると、やり切った感があるな)」

 

「(感謝されるのはいいこと)」

 

 そうして簪とほっこりしてると、山田先生がこちらにやってきた。

 

「デュノア君、宮下君、朗報ですよ……って更識さん、デュノア君を泣かせるなんて!」

 

「えっ、いや違います!?」

 

「だってデュノア君泣いてるじゃないですか!」

 

「い、いや山田先生、これは違うんです!」

 

 あ~あ、山田先生の勘違いで感動の場面が台無しですわ~

 

 

 

「う、嬉し泣きだったんですか!? あ、あはは……」

 

「山田先生が私をどんな人間だと思っているか、よく分かりました」

 

「ご、ごめんなさい!」

 

 ジト目の簪に、山田先生は頭を下げるしかない。それで、俺とデュノアに何の用があったんです?

 

「そ、そうでした! なんとですね! ついに今日から、男子の大浴場使用がOKになりました!」

 

「はぁ」

 

「へぇ」

 

「あ、あれ? 反応薄くないですかぁ!?」

 

「俺、そこまで風呂好きでもないですし」

 

「僕も、シャワーで事足りてるんで……」

 

 風呂好き一夏ならともかく、なぁ。

 

「そ、そうですかぁ……」

 

「ちなみにその話、一夏には?」

 

「それは大丈夫ですよ。織斑先生に伝えてもらうようお願いしましたから」

 

 そうかそうか。それなら……あっ(悪いことを思い付いた音)

 

「山田先生」

 

「はい?」

 

 デュノアに聞こえないよう、山田先生の耳元に近付いて

 

「(何だったら、一夏と混浴したらどうです?)」

 

「はひぃ!?」

 

 顔を真っ赤にして跳ね上がる。ついでに双丘も跳ね上がる。

 

――ドスッ

 

「おぶっ!」

 

「陸」

 

「た、他意はないって……」

 

 思わず凝視してたのがバレて、簪の指が肋骨の間に食い込んだ。マジゴメンて。

 

「そういうのは、お姉ちゃんで発散して」

 

「色々問題発言だろそれ」

 

 自分じゃ勝てないと認めるのは悪いことじゃねぇけど、どうしてそこで刀奈を引き合いに出す。否定はしねぇけどさ、刀奈のが好きなのは。

 

「宮下君のエッチ」

 

 ほら見ろ、本来なら一夏が言われるべきセリフ、俺が言われちまったじゃねぇか。

 

「と、とにかく、一応検討はして損は無いと思いますよ?」

 

「えとっ、えとえとえと……っ!」

 

「そんじゃ簪、俺達は部屋に戻るか」

 

「うん」

 

「えっ、宮下君? 更識さん? この山田先生どうするの!?」

 

 混乱中の山田先生と慌てるデュノア。2人を放置して、俺達は食堂を出て行った。

 

「これでどうなるか楽しみ」

 

「なんだよ、お前だって気になってるじゃねぇか」

 

「もちろん。あとあのオッパイは織斑君のもの、取ったらダメ」

 

「あの~、簪さん?」

 

 そんなに俺、オッパイ目当てで山田先生を一夏から寝取ろうとしてるように見えたのか? 解せぬ。

 

 

 

「おかえり~、2人とも今日は大変あひゃぁぁ!?」

 

「お姉ちゃん、陸が浮気しないように協力して」

 

「何がどういう話になったら、陸君が私のおっぱいを鷲掴みに!? 別に嫌じゃないけどぉぉんっ❤」

 

 うん、俺刀奈の方がいいや。

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

「あ゛~~……」

 

 デカい湯船に体を沈めたら、思わず声が出た。

 

 山田先生の伝言を千冬姉から聞いた時、俺は居ても立っても居られずに大浴場に直行していた。

 いやだって、今までシャワーだけだったからさぁ。

 俺ルールに従って一度体を洗って、今は1度目の入浴タイムだ。そして一度上がったらまた洗って、2回目の入浴を楽しむのだ。

 

「あ~……生き返る~……」

 

 こうして時間を忘れて湯船に浸かってると、だんだん眠気が押し寄せてきた。

 トーナメントで陸と戦って、そのまま黒いISを倒してラウラを救出。疲労困憊っていうのも、眠気の原因だろう。

 

(VTS……千冬姉から説明されたけど、違法なものってこと以外イマイチ分からなかったな)

 

 なんか千冬姉の動きを真似するシステムで、それがシュヴァルツェア・レーゲンに密かに組み込まれていたらしい。

 どうして違法なのかもよく分からなかったけど、とにかくヤバいものらしくて、ドイツに対して問い合わせているそうだ。

 

『だから一夏、この件は口外するな。いいな?』

 

 それもあって、千冬姉からガッツリ釘を刺された。俺だって、そんな口が軽い男じゃねぇよ。ふぁぁ……

 

――カラカラカラ……

 

「んぁ……?」

 

(気のせいか? 今、脱衣場の扉が開く音がした気が……)

 

「お、お邪魔します……」

 

「へ?」

 

 幻聴が聞こえたのかと思って振り向いたら、湯気の向こうから、から……

 

「ややや、山田先生!?」

 

「えっと……い、一緒にどうですか?///」

 

 薄手のタオルを当ててはいるが、薄っすら肌色が透けて……!

 

「隣、失礼しますね」

 

「なな、なぁ!?」

 

 チャポンッという音とともに、山田先生が湯船に入り、俺の隣に腰かけた。

 

「一夏君……」

 

「な、何ですか、山田先せ「真耶です」ま、真耶さん」

 

 えちょっ、せ、背中に柔らかいのが当たってるんですけどぉ!

 

「最近一夏君の周り、可愛い子達が集まってますよね」

 

「可愛い子? えっと、それは箒達のことですか?」

 

「そうですよ。一夏君は篠ノ之さん達と一緒にいてどうなんですか?」

 

「どうって……」

 

 いきなりそんなこと聞かれてもなぁ……なんて答えたらいいんだ?

 

『箒の竹刀や鈴の青龍刀(ISの部分展開)が怖いです。あとセシリアのレーザーライフル(部分展開)も』

 

 うん、事実だけどダメだな。真耶さんに余計な不安をさせてどうする。

 

『別に何とも』

 

 これはこれで薄情だな。次。

 

『仲良くやれてますよ』

 

 無難にこれだな。

 

「仲良くやれてますよ」

 

「そうですか……」

 

 あれ? 心なしか声のトーンが下がったような……

 

「一夏君……」

 

「なんでんんっ!?」

 

 真耶さんの方を振り向いたら、キスされれれっ!

 

「んふぅ……ぷはっ、今日この時だけは、私だけを見てくださいね❤」

 

「ま、真耶さん……」

 

 お、俺、何かやっちゃった?

 

 

 

 その後は……まあ、うん。




今回の一夏はオリ主を相手にしていたので、SEがそこそこ残ってます。なので、シャルからのSE供給は無し。

やっぱりちーちゃんはポンポンペイン。
大丈夫、錠剤を水なしで飲み込めるようになってからが本番だから(ナニガ?

まーやんセクシー回。
一夏とナニがあったかは、ご想像にお任せします。
「こいつらうまぴょいしたんだ!! あ゛ーっ!」


次回から臨海学校編が始まる予定です。
「私の水着回まだ~?」
「あれ? 僕の『女の子宣言』は!?」
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