そして、色々詰め込み回です。
7/2追記
時系列的におかしな(野崎さんがジェバンニ化してた)箇所をカット。
倉持クライシス(命名:簪)の翌日。ショッピングモール『レゾナンス』の前にある広場のベンチで、俺はのんびり空を見上げていた。
『同じ部屋にいるのに、どうして一緒に出ないのか?』って疑問はもっともだが、そこは譲れない何かがあるんだろう。だからこうして待ち合わせ時刻20分前には到着、考えごとをしてるんだが。
(前の外史とは、だいぶ流れが変わってるな)
初めて簪達と出会った前外史と、今回の世界。同じ世界から分岐した世界だからか、大筋の流れは変わらない。けれど、細かいところはだいぶ差異が出ていた。まあ、俺達が動いた分も大きいんだが。
まず手始めに、束についてだ。
前回は学年別トーナメントの前に姿を現したが、今回は全く音沙汰がなくて逆に不気味だ。てっきり、468番目のISコアの信号を辿ってひょっこり現れると思ってたんだが。
まあ出てきたところで、俺か簪のアームロックで一撃だから問題ないだろう。もし捕まえることが出来たら、如月重工に軟禁してやるか。
次が女権団なんだが……面倒な組織になっちまったな。
せっかく刀奈が……山崎だっけ? 女権団のトップを『自分探しの旅 in 東京湾(コンクリ製のハイヒール付き)』に招待したっていうのに、結局は倉持(レイモンド)とくっ付いて毒ガス発生器だ。
こいつらとも、また雌雄を決さないといけないのか。やれやれ……
あと面倒なのは倉持だな。というか、現状一番厄介と言うべきか。
如月重工を作ったこと自体に後悔は無いが、おかげで前回以上に嫌がらせされてる気がする。
最悪フランスにトンズラする用意はあるが、それをすると刀奈が日本の国家代表の座を捨てることになるから、またフランスで資格を取り直しになるんだよなぁ。○ねばいいのに。
「陸く~ん!」
「お待たせ」
アンハッピーなことを20分も考えてたのか、刀奈と簪が手を振りながらこっちにやってきた。
簪は前回と同じように、真紅のスカートにブラウスと薄手のケープ。刀奈はパフスリーブ(肩口の膨らんだやつ)のワンピースに、リボンがアクセントの帽を被っている。
「どうかしら? 似合ってる?」
「ああ、二人とも似合ってる」
「ふふっ、ありがと♪」
「でも、もう少し褒め方のバリエーションが欲しいかも」
「それは無理な注文だ」
一夏ほどじゃないが、俺もキザなセリフは専門外なもんでな。
「それじゃあさっそく、ショッピングと行きましょうか。タイムイズマネーってね♪」
「うん、レッツゴー」
そう言って刀奈は俺の右腕に、簪は左腕に腕を絡めてきた。
「歩きづらいは、もちろん無しよ?」
「分かってる」
2人と一緒の時点で、好奇や嫉妬の視線に刺されまくることは確定してるんだ。なら精々、両手に華を満喫させてもらおう。
ーーーーーーーーーーーーー
毎度のことだが、俺の水着は速攻で買い終わった。
拘りなんて持ってない俺が、わざわざ前回と違う水着を買うわけもない。だから今回も黒系のトランクスタイプを手に取って、そのままレジに直行だ。
そうなると、刀奈と簪の水着選びを待つという流れに……なるわけもなく。
「陸、どっちがいい?」
「陸君、これとこれ、どっちがそそるかしら?♪」
女性水着売り場という、男にとって天国であり鬼門でもある場所に立たされた俺は、凶悪な2択を、しかも2つも突き付けられていた。
まずは簪だが……
「なあ、本当にその2択なのか?」
「うん。今回はちょっぴり冒険してみたい」
そう言って簪が提示してきたのは、片方がオレンジ色に花柄が付いたワンピース型。これは前外史で着てたやつだ。そしてもう一つが……簪さんや、その三角ビキニ、布面積少なくない?
「陸になら、これくらい見せても平気」
「あらあら、簪ちゃんってば大胆ね」
「……男として、そう言われて何も思わんわけじゃないが……簪、お前は間違いを犯している」
「間違い?」
そう、これは大きな間違いだ。これを指摘しないと、大変なことになる。
「臨海学校、俺以外にも一夏って男がいるんだからな?」
いくら朴念仁代表の一夏とはいえ、こんな簪のあられもない姿を見せたくはない。これは俺のもんだ。(独占欲
「……やっぱりこっちにする」
俺の願いが届いたのか、簪はいそいそと黒の三角ビキニ(布面積当社比30%OFF)を返しにいった。
さて、お次は刀奈の番だが、
ライトグリーンの三角ビキニ(布面積は普通)と……刀奈、それはスリングショットっていうやつでは? もはや隠す気すら無いやつ。
「私は臨海学校に同行出来ないから、夏休みに陸君オンリーで見てもらう予定よ♪ だからこっちのエッチな水着でもい・い・わ・よ?❤」
❤を付けるな❤を。すげぇ靡きそうになるだろ。
「……こっちで」
通常のビキニを指さすと、刀奈が詰まらなそうな顔で指さした方を買い物かごに入れた。
「むーっ、陸君のためなら、これを着る覚悟もあったのにー」
「そういうのはいいから。そもそも刀奈なら、わざわざ水着でエロ要素出す必要ないだろ」
「……」
ん? 刀奈がフリーズしちまったんだが。
「……陸君の、人誑し///」
「いや待て、今のセリフのどこに人誑し要素がある」
そこにエロ水着を返してきた簪が戻ってきた。
「お待た……陸、お姉ちゃんに何かした?」
「いや、通常ビキニを選んだだけなんだが」
「ならどうしてお姉ちゃん、顔真っ赤にして俯いてるの?」
「俺もよく分からんが……」
簪がいない間のやり取りを説明したら
『陸が原因』
とのお墨付きをもらってしまった。解せぬ。
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刀奈の再起動を待って会計を済ませた後、俺達は(前外史で)いつものカフェに入って飲み物(俺:コーヒー、簪:オレンジジュース、刀奈:メロンソーダ)を飲んでるところに
「あれ、織斑君?」
「あらホント」
更識姉妹の視線の先には、私服姿の一夏と……山田先生だと!?
「デート、だね」
「デートね」
腕を組んで、お互い満面笑顔の一夏と山田先生。
いや、確かにあの2人がそういう関係なのは知ってるが……知ってるが、こんな公衆の面前で教師と生徒がデートとか、ヤバくね?
「これはもう、一夏ハーレムに勝ち目無し」
「そうねぇ、少なくとも正妻の座は確定ね」
「2人とも楽しそうに言うな」
「陸はどうなの?」
「そんなん……面白くなってまいりました」
3人揃ってニヤリと笑う。山田先生には悪いが、もし一夏に重婚が認められたら、篠ノ之達に媚薬を贈呈してやってもいいかもしれん。
「それにしてもあの2人、
「いいえ、山田先生は気付ているっぽいわよ」
「気付いてて放置してる。正妻の余裕」
一夏達の後方、屋内に設置された観葉植物に隠れる(つもりの)ハーレム5人は、やはり全員目のハイライトが消えていた。
これを放置してデートとか、山田先生は意外と強かなのかもしれん。これは、以前俺が嗾けた混浴も実行したんじゃないか?
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禁断のラブラブカップル(withハーレムストーカーズ)を見送りながら、俺達もカフェを出た。
その後水着以外の買い物も済ませた俺達は、帰りのモノレールの中で3人並んでクレープを食っていた。
「ん~! やっぱりこのクレープは最高ね!」
「うん。陸」
「はいよ」
持っていたブルーベリーのクレープを簪の方に向けると、顔だけを乗り出してパクついてきた。
「ん、美味しい」
「陸君、私も」
「はいはい。俺もそっちを食うか」
「いいわよ。はい、あ~ん♪」
左右の2人にブルーベリー味のクレープを差し出し、時々2人が持つストロベリー味のクレープを食べる。
「それにしても久しぶりね。『幸せのミックスベリー』のお店」
刀奈が言ってるのは、レゾナンスの近くにある公園で営業しているクレープ屋(キッチンカー)のことだ。
そのクレープ屋でミックスベリーを食べると幸せになるって噂を聞いた簪に連れて来られたのが最初だったな。
そんでこのクレープ屋、実はミックスベリーは置いてなくて、『ストロベリーとブルーベリーを、二人で分け合って食べることで『幸せのミックスベリー』になる』っていうのが真相だったわけだ。
で、俺達はその公園に寄り道してクレープを買って、そのままモノレールに乗ったわけだ。
「うん。お姉ちゃんがIS学園に入学して以来」
「そうなると、2年近くになるのか。店長も良く俺達のことを覚えてたな」
「もう常連だから」
確かに簪の言う通りか。注文する前に『ほら、いつもの』と言って俺達3人分のクレープ(ブルーブルー1にストロベリー2)を渡してきたし。
そうして3人でクレープを食べていると、ふと刀奈が思い出したように端末を取り出した。
「デート中に言うのもなんだけど、そろそろ"あれ"が完成間近よ」
「おっ、とうとう来たか」
俺と簪もクレープを食うのを止めて、刀奈の方を向く。
如月重工の機密情報ではあるんだが、モノレール内には俺達しかいないからセーフってことで。
「『デュノア社の第3世代機』もロールアウト目前って話よ」
「ああ、それは俺も聞いてる。夏休み中か明けにはデュノアに渡すらしい」
俺がデュノア社に設計図を売って1か月弱。やる気満々のアルベールさんに色々テコ入れした結果、フランスの第3世代機『リィン・カーネイション』完成はがっつり早まった。前回は学園祭後だったから、約2か月の前倒しってところか。
ちなみにその合弁企業設立も契約自体は締結済みで、今はデュノア社が手に入れたフランスの土地に、事務所兼工場を建ててる真っ最中だ。これも夏休み明けから稼働予定になっている。
「2人とも、休み明けから忙しくなるわよ」
刀奈の持つ端末に、リィン・カーネイションとは別のISが映し出される。
「簪ちゃんのレッド・スコルピオ、その超デチューン版。そして陽炎に続く如月重工の新商品……
"量産型"第3世代機、『不知火』のお披露目よ!」
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「更識楯無……こいつがゴー君を倒したやつか」
ラボ『吾輩は猫である(名前はまだ無い)』の中で、私は学園にハッキングして得た情報を眺めていた。うん、残されてた映像に映ってたやつに間違いないね。
情報によると、こいつはいっくんと箒ちゃんが在籍してるIS学園の生徒会長らしい。ふ~ん、学園最強で日本の国家代表ね~……ちーちゃんの後釜は荷が重いんじゃな~い?
「けど、こいつは
小癪にも束さんのハッキングに反撃して来た奴とは、おそらく別だろう。こいつのISには、間違いなく束さんが作ったコアが乗ってるし。
「う~ん……"箒ちゃんへのプレゼント"作るのに忙しくて後回しにしてたけど、そろそろ顔を拝みに行こうか」
来週箒ちゃんは臨海学校に行くらしいから、そこでプレゼントを渡す予定なんだけど、ついでに468個目の奴に会えそうなんだよね~。学年別トーナメントだかをやってた時、箒ちゃんと同じアリーナで反応があったし。
「まあ、当日箒ちゃんに会いに行けば、すぐに見つかるでしょ☆」
躍進していく如月重工! ノリノリのアルベール社長! そして現実味を帯び始めた日本脱出計画! 3人の明日はどっちだ!