刀奈がIS日本代表になり、IS学園へ入学して早半年。
専用機持ちという肩書きも持っていたからか、入学初日でさっそく生徒会入りを打診されたらしい。で、それから数か月で生徒会長になってしまった。
『まあ、お姉さんにかかれば当然よね♪』
と、夏休み初日にこっちへ戻ってきた時ドヤ顔してたっていう。あと『陸君成分が……足りない……!』とか言いながら、ヤバい目でハグしてきたのが印象に残ってたな。ふふっ、怖いわ……
そして、気付けば今日が夏休み最終日、の前日。
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「これより、作戦会議を始めま~す」
「わ~」
「わ~」
……うん、知ってた。なにせ俺を除けばこの部屋、刀奈と簪しかいないから。
「はぁ、それにしても、明日で夏休みも終わりかぁ」
「うん。そして陸がウチに泊まるのも今日まで」
「俺としては
「それは全然。むしろお母さんと一緒に楽しんでた」
槍峻さんっていうのは、この更識家の当主で、あ~つまり……刀奈と簪の父親だ。
普通家に男がやって来たら、娘持ちの父親って色々あるだろう……と思ってたんだが。
「そうは言っても、10年近い仲だし」
「そもそもお父さん達、私達に『宮下君を離すんじゃないぞ。彼には絶対に更識家へ婿養子に来てもらうのだから』って」
「囲い込みされてる~……」
どうしてこうなった? 前の外史以上に好感度が高くて怖いんですけど。
「お母さんに至っては『孫の顔、思ったより早く見れそうね~♪』って言ってたし」
「だから陸、IS学園卒業後はよろしく」
「ちょっと待て、よろしくってなんだ」
「❤」
う~ん、嫁の愛が重い。俺だって二人のことは愛してるが、それにしたって恥ずかしいぐらいズズッと来るやん。
「あ~……それで、話を戻していいか?」
「「はーい」」
返事だけは良いなこの姉妹。っと、これ以上脱線しない内に話を進めるか。
「まずは刀奈、IS学園の状況を教えてくれ」
「ええ。とは言っても、前世で入学した時とさほど変わらないわ」
刀奈が懐――というよりは胸の谷間から折りたたまれた紙を抜き出すと、それをテーブルの上に広げて置いた。おまっ、またそんなところから……
広げられた紙には色々な項目が箇条書きされていて、前回と今回で異なる点だけが赤字になっていた。
「織斑先生や山田先生の存在も確認できたし、ダリルやフォルテちゃんも在籍してたわ。カリキュラムも覚えてる限り差異は無かった。ちょっと違う点としては、訓練機の配分かしらね」
「だな。俺の記憶違いでなければ、IS学園の機体は教員用も含めて、打鉄とラファールだったはずだ」
「けど、今回は少数だけど陽炎もある」
ある意味、唯一にして最大の差異だろうな。前回の世界、如月重工自体が無かったし。
記載を見る限り、訓練機は打鉄9、ラファール9、陽炎2か。
「性能的に、もう少し多いかと思ったんだが」
「性能は、ね。だけどIS学園は実質、日本政府が運営してるから」
「ああ、倉持の差し金か」
ISの開発レースで如月重工に何度も後塵を拝してるからか、倉持技研は殊更こちらを敵視してるんだよな。その影響ってことか。逆に、よくその状態で2機も配備されたもんだ。
「そこはそこ。織斑先生に陽炎でデモンストレーションしてもらったのよ」
「えっ?」「なぬっ?」
刀奈が生徒会長になってすぐ、織斑先生に3機種全部に乗ってもらい、感想を聞いたらしい。そして『この中では陽炎がいいな。近接戦が出来て機動性重視なところが、私のスタイルに合っている』との言葉をもらい、それをこっそり日本政府に流したんだとか。
結果、倉持側がごねにごねても配備自体は決定。しかし最後の足掻きで、打鉄と半々だったところから2機まで減らされたと。
「これだから倉持は……」
「こっちの世界でも変わらんな」
「ちなみに、生徒からの人気自体は上々よ。特に2年生以上、ある程度ISの操縦にも慣れてきて打鉄の動きに不満を感じ始めた子には、陽炎の機動力と操縦性が受けてるわ。あとは単純に『
それはあるだろうな。今年の1年生なんか、織斑先生目当てで受験した奴も多そうだし。
刀奈から学園の話を聞いたが、概ね俺達が通ってた頃と大差はないってことは分かった。
「なら次だ。俺と簪の、入学後の立ち位置だ」
「立ち位置?」
「ああ。まず前提として、今の簪は代表候補生じゃない」
「うん」
簪が当然とばかりに頷く。
「だからクラス代表にでもならなければ、各種イベントで専用機持ちと絡むことは無い」
そこで刀奈と目が合った。これは、俺の考えを察したな?
「もしかして陸君は、織斑君達とどれぐらい関わるかを決めたいのかしら?」
「そういうことだ。ただの一生徒として過ごすのか、それともある程度織斑一夏の物語に関わっていくのか」
「陸は、関わり合いたくないの?」
「簪、考えてみろ?」
「この世界の一夏が、クズレベルMAXじゃない保証は無いんだぞ?」
「うげっ」
「あ~……」
簪は露骨に顔を顰め、刀奈も思い出したのか遠い目になる。
この世界に来る前、ロキに見せられたあの分岐世界。もしこの世界の一夏が
「でも、実際に会ってみないとハズレかどうか分からない」
「簪ちゃん、ハズレって……」
「なら、実際に入学して一夏ガチャを引くまで保留か」
「そうしよう」
「陸君までガチャって……」
いやいや刀奈、実際そうだろ。
しっかし、最大の懸念が保留っていうのもなぁ。仕方ないとはいえ。
「そんじゃ次、刀奈改造計画について」
「陸君!?」
「おっと失礼。刀奈の専用機改造計画について」
「ちょっとちょっと! また
「ダメか?」
「却下よ却下! というか半年経ってまだ諦めてなかったの!?」
むむむ……装甲とISスーツだけが対象になってるから、人体には無害だって説明してるんだけどなぁ。
「陸」
「簪?」
「ISスーツも対象外にしなかったのが敗因」
「簪……ナイスだ!」
そりゃそうだ! 対戦相手をもれなくスッポンポンにしてたら、刀奈の外聞が悪くなるもんなっ!
「違う、そうじゃない……」
刀奈がまた遠い目に。スマン刀奈、俺が気付いてやれなかったばっかりに……
「
「ああうん、それでいいわ……」
結局、俺と簪の入学後は『出たとこ勝負』ってことしか決められなかった。
さてはて、実際入ってからどうなることやら……。
ーーーーーーーーー
「も~! 陸君ってば私を一体どうしたいのよぉ!」
作戦会議が終わると、私は部屋に戻って愚痴を吐いていた。
「あの~お嬢様? それを私に言われましても……」
「だって、虚にだって話せない内容なんだもん」
そう、今愚痴を吐いてる相手は虚じゃない。
「だから、貴女だけに愚痴ってるのよ。
「はぁ……」
金髪を後ろでまとめた執事服の似合う女性が、ため息とともに肩をすくめた。
元々ISには、操縦者と意思疎通が出来ると言われていた。ただ、条件が厳し過ぎる上、夢かどうかも分からない状況での話だから、誰もコアに人格があると証明出来なかった。
結論から言うわ。彼女こそ私のIS、ミステリアス・レイディのコア人格なの。
ちなみにここは、正確には私の部屋じゃない。仮想空間潜入用ゴーグル(陸くん作)を使って、ISコアにダイブした領域なのよ。……見慣れた生徒会室で、会長席に座ってるのはなぜかしら……?
「私個人としては、あの
「ホントやめてね?」
前の世界より勢いが無いって言っても、そこそこ影響力のある組織なんだから、小火じゃ済まなくなるわよ。
「ところでお嬢様、この後陸様と簪様のところへ行かれるのですよね?」
「ええそうよ」
最後の休日なんだもの。陸君達と一緒の布団で寝るラストチャンス、逃すわけにはいかないわ!
「エロガキですね」
「誰がエロガキよぉ!」
「お嬢様が」
「ちょっとぉぉぉ!?」
えっ? 私、コア人格にエロ認定されたの? 解せぬ。
「何度も陸様の上で喘ぐお嬢様はエロです」
「言い方ぁ!」
「それを言うと、簪様もそうですね。やーいエロ姉妹ー」
「貴女本当にイイ性格して来たわねぇ!」
最初に会った頃の、パーフェクト男装執事はどこ行ったのよぉ? 学園祭の出し物で執事姿だったシャルロットちゃんみたいな、可愛い執事、どこぉ?
「お嬢様も、いい加減弾けた方がよろしいかと。常識人で居続けると、余計な苦労を背負い込みますよ? 前の世界で周りを振り回してた貴女はどこに行ったんです?」
「うぐっ!」
わ、私、そんなに振り回してたかしら……? どちらかというと陸君に振り回されて、織斑先生と一緒に胃薬飲んでたような……
「どうせ飲むなら、胃薬じゃなくて陸様の○○の方がよいかと」
「やめぇぇい!!」
イヴに極大のツッコミを入れたと同時に、コア世界からログアウトした。まったくぅ……
「あ、あの、刀奈?」
「最終日だもの、陸君とイチャラブしたいな❤」
「お姉ちゃん、今日は積極的」
あれだけ煽られたんだもん、たっぷり陸君成分(意味深)を摂取しておくわ❤
ーーーーーーーーー
リク達が分岐世界に行って、あっちの時間で10年近くが経った。
そろそろ3人とも、IS学園に入学する頃合いかな~?
「状況はどうですか?」
「順調だね」
何もない空間で水球の中を観察していた僕の後ろから、
「ところで、一夏様のことですが」
「またかい……」
ウチの嫁、原作至上主義者というか……『織斑一夏が活躍しない世界絶対許さないウーマン』なんだよ。だから何度も分岐世界に介入して、織斑一夏にとって都合のいい世界に作り替えようとするんだ。
原作世界自体、一夏に都合がいいだろうって? それは言っちゃいけないお約束だ。元々ハーレムものの妄想から生まれた世界なんだし。
「一夏様は無条件で異性に愛され、同性から平伏される存在であるべきなのです!」
「平伏って……」
「女性は一夏様の寵愛を受けるべく、己の全てを捧げるのです! 身も心も、全てを!」
やべぇ、完全にカルト宗教のそれだよ。というか、思春期の中二病が書いたエロ小説レベルやん。
「シギュンは放っておいて」
「なぜ放置するのですか!」
「置いとくとして! この世界の織斑一夏は、どんな奴なのかな~?」
リク達も気になってるだろう事が僕も気になって、水球のより深いところを覗き込んだ――
1.原作世界と同じ。ちょっと正義感と思い込みが強い朴念仁。
2.クズレベルMAX。現実は非情である。
3.前の外史と同レベル。やったねリク、ダチが増えるよ。
4.聖人君主。誰だお前!?
5.紛うことなきシスコン。千冬しか愛せない。
6.普通に女性を好きになる一般男子。ただしアニメ1期ヒロイン、お前達はダメだ!
1D6=6 普通に女性を好きになる一般男子。ただしアニメ1期ヒロイン、お前達はダメだ!
「おぉっとぉ……」
これはまた、微妙に面白い展開になりそうだ。
今後の方針と、コア人格の回でした。
刀奈はコア人格にすら揶揄われてこそだと思ってます。
次回かその次辺りで、オリ主達がIS学園入学(原作開始)する予定です。
別作品でエロ要素マシマシ(ただしR-18ではない)なので、こっちは多少薄めに。