お前がブリュンヒルデになるんだよ!   作:シシカバブP

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第4話 (他人の)運命のダイスロール!

 刀奈がIS日本代表になり、IS学園へ入学して早半年。

 専用機持ちという肩書きも持っていたからか、入学初日でさっそく生徒会入りを打診されたらしい。で、それから数か月で生徒会長になってしまった。

 

『まあ、お姉さんにかかれば当然よね♪』

 

 と、夏休み初日にこっちへ戻ってきた時ドヤ顔してたっていう。あと『陸君成分が……足りない……!』とか言いながら、ヤバい目でハグしてきたのが印象に残ってたな。ふふっ、怖いわ……

 

 そして、気付けば今日が夏休み最終日、の前日。

 

ーーーーーーーーー

 

「これより、作戦会議を始めま~す」

 

「わ~」

 

「わ~」

 

 ……うん、知ってた。なにせ俺を除けばこの部屋、刀奈と簪しかいないから。

 

「はぁ、それにしても、明日で夏休みも終わりかぁ」

 

「うん。そして陸がウチに泊まるのも今日まで」

 

「俺としては槍峻(そうしゅん)さん達に迷惑じゃないか、気が気じゃなかったんだが」

 

「それは全然。むしろお母さんと一緒に楽しんでた」

 

 槍峻さんっていうのは、この更識家の当主で、あ~つまり……刀奈と簪の父親だ。

 普通家に男がやって来たら、娘持ちの父親って色々あるだろう……と思ってたんだが。

 

「そうは言っても、10年近い仲だし」

 

「そもそもお父さん達、私達に『宮下君を離すんじゃないぞ。彼には絶対に更識家へ婿養子に来てもらうのだから』って」

 

「囲い込みされてる~……」

 

 どうしてこうなった? 前の外史以上に好感度が高くて怖いんですけど。

 

「お母さんに至っては『孫の顔、思ったより早く見れそうね~♪』って言ってたし」

 

「だから陸、IS学園卒業後はよろしく」

 

「ちょっと待て、よろしくってなんだ」

 

「❤」

 

 う~ん、嫁の愛が重い。俺だって二人のことは愛してるが、それにしたって恥ずかしいぐらいズズッと来るやん。

 

「あ~……それで、話を戻していいか?」

 

「「はーい」」

 

 返事だけは良いなこの姉妹。っと、これ以上脱線しない内に話を進めるか。

 

「まずは刀奈、IS学園の状況を教えてくれ」

 

「ええ。とは言っても、前世で入学した時とさほど変わらないわ」

 

 刀奈が懐――というよりは胸の谷間から折りたたまれた紙を抜き出すと、それをテーブルの上に広げて置いた。おまっ、またそんなところから……

 広げられた紙には色々な項目が箇条書きされていて、前回と今回で異なる点だけが赤字になっていた。

 

「織斑先生や山田先生の存在も確認できたし、ダリルやフォルテちゃんも在籍してたわ。カリキュラムも覚えてる限り差異は無かった。ちょっと違う点としては、訓練機の配分かしらね」

 

「だな。俺の記憶違いでなければ、IS学園の機体は教員用も含めて、打鉄とラファールだったはずだ」

 

「けど、今回は少数だけど陽炎もある」

 

 ある意味、唯一にして最大の差異だろうな。前回の世界、如月重工自体が無かったし。

 記載を見る限り、訓練機は打鉄9、ラファール9、陽炎2か。

 

「性能的に、もう少し多いかと思ったんだが」

 

「性能は、ね。だけどIS学園は実質、日本政府が運営してるから」

 

「ああ、倉持の差し金か」

 

 ISの開発レースで如月重工に何度も後塵を拝してるからか、倉持技研は殊更こちらを敵視してるんだよな。その影響ってことか。逆に、よくその状態で2機も配備されたもんだ。

 

「そこはそこ。織斑先生に陽炎でデモンストレーションしてもらったのよ」

 

「えっ?」「なぬっ?」

 

 刀奈が生徒会長になってすぐ、織斑先生に3機種全部に乗ってもらい、感想を聞いたらしい。そして『この中では陽炎がいいな。近接戦が出来て機動性重視なところが、私のスタイルに合っている』との言葉をもらい、それをこっそり日本政府に流したんだとか。

 結果、倉持側がごねにごねても配備自体は決定。しかし最後の足掻きで、打鉄と半々だったところから2機まで減らされたと。

 

「これだから倉持は……」

 

「こっちの世界でも変わらんな」

 

「ちなみに、生徒からの人気自体は上々よ。特に2年生以上、ある程度ISの操縦にも慣れてきて打鉄の動きに不満を感じ始めた子には、陽炎の機動力と操縦性が受けてるわ。あとは単純に『初代ブリュンヒルデ(織斑先生)が褒めた機体』ってネームバリューかしらね」

 

 それはあるだろうな。今年の1年生なんか、織斑先生目当てで受験した奴も多そうだし。

 

 

 

 刀奈から学園の話を聞いたが、概ね俺達が通ってた頃と大差はないってことは分かった。

 

「なら次だ。俺と簪の、入学後の立ち位置だ」

 

「立ち位置?」

 

「ああ。まず前提として、今の簪は代表候補生じゃない」

 

「うん」

 

 簪が当然とばかりに頷く。

 

「だからクラス代表にでもならなければ、各種イベントで専用機持ちと絡むことは無い」

 

 そこで刀奈と目が合った。これは、俺の考えを察したな?

 

「もしかして陸君は、織斑君達とどれぐらい関わるかを決めたいのかしら?」

 

「そういうことだ。ただの一生徒として過ごすのか、それともある程度織斑一夏の物語に関わっていくのか」

 

「陸は、関わり合いたくないの?」

 

「簪、考えてみろ?」

 

 

 

「この世界の一夏が、クズレベルMAXじゃない保証は無いんだぞ?」

 

 

 

「うげっ」

「あ~……」

 

 簪は露骨に顔を顰め、刀奈も思い出したのか遠い目になる。

 この世界に来る前、ロキに見せられたあの分岐世界。もしこの世界の一夏が()()と同等だったら、どう考えてもダチにはなれない。

 

「でも、実際に会ってみないとハズレかどうか分からない」

 

「簪ちゃん、ハズレって……」

 

「なら、実際に入学して一夏ガチャを引くまで保留か」

 

「そうしよう」

 

「陸君までガチャって……」

 

 いやいや刀奈、実際そうだろ。

 しっかし、最大の懸念が保留っていうのもなぁ。仕方ないとはいえ。

 

「そんじゃ次、刀奈改造計画について」

 

「陸君!?」

 

「おっと失礼。刀奈の専用機改造計画について」

 

「ちょっとちょっと! また光子対消滅反応魚雷(フォトン・トルピード)を乗せようって話じゃないわよね!?」

 

「ダメか?」

 

「却下よ却下! というか半年経ってまだ諦めてなかったの!?」

 

 むむむ……装甲とISスーツだけが対象になってるから、人体には無害だって説明してるんだけどなぁ。

 

「陸」

 

「簪?」

 

「ISスーツも対象外にしなかったのが敗因」

 

「簪……ナイスだ!」

 

 そりゃそうだ! 対戦相手をもれなくスッポンポンにしてたら、刀奈の外聞が悪くなるもんなっ!

 

「違う、そうじゃない……」

 

 刀奈がまた遠い目に。スマン刀奈、俺が気付いてやれなかったばっかりに……

 

光子対消滅反応魚雷(フォトン・トルピード)の搭載は延期で」

 

「ああうん、それでいいわ……」

 

 

 結局、俺と簪の入学後は『出たとこ勝負』ってことしか決められなかった。

 さてはて、実際入ってからどうなることやら……。

 

ーーーーーーーーー

 

「も~! 陸君ってば私を一体どうしたいのよぉ!」

 

 作戦会議が終わると、私は部屋に戻って愚痴を吐いていた。

 

「あの~お嬢様? それを私に言われましても……」

 

「だって、虚にだって話せない内容なんだもん」

 

 そう、今愚痴を吐いてる相手は虚じゃない。

 

「だから、貴女だけに愚痴ってるのよ。()()

 

「はぁ……」

 

 金髪を後ろでまとめた執事服の似合う女性が、ため息とともに肩をすくめた。

 

 

 元々ISには、操縦者と意思疎通が出来ると言われていた。ただ、条件が厳し過ぎる上、夢かどうかも分からない状況での話だから、誰もコアに人格があると証明出来なかった。

 

 結論から言うわ。彼女こそ私のIS、ミステリアス・レイディのコア人格なの。

 ちなみにここは、正確には私の部屋じゃない。仮想空間潜入用ゴーグル(陸くん作)を使って、ISコアにダイブした領域なのよ。……見慣れた生徒会室で、会長席に座ってるのはなぜかしら……?

 

「私個人としては、あの光子対消滅反応魚雷(フォトン・トルピード)を一度使ってみたいです。博士の理想を汚す、女性権利団体とかいう連中に」

 

「ホントやめてね?」

 

 前の世界より勢いが無いって言っても、そこそこ影響力のある組織なんだから、小火じゃ済まなくなるわよ。

 

「ところでお嬢様、この後陸様と簪様のところへ行かれるのですよね?」

 

「ええそうよ」

 

 最後の休日なんだもの。陸君達と一緒の布団で寝るラストチャンス、逃すわけにはいかないわ!

 

「エロガキですね」

 

「誰がエロガキよぉ!」

 

「お嬢様が」

 

「ちょっとぉぉぉ!?」

 

 えっ? 私、コア人格にエロ認定されたの? 解せぬ。

 

「何度も陸様の上で喘ぐお嬢様はエロです」

 

「言い方ぁ!」

 

「それを言うと、簪様もそうですね。やーいエロ姉妹ー」

 

「貴女本当にイイ性格して来たわねぇ!」

 

 最初に会った頃の、パーフェクト男装執事はどこ行ったのよぉ? 学園祭の出し物で執事姿だったシャルロットちゃんみたいな、可愛い執事、どこぉ?

 

「お嬢様も、いい加減弾けた方がよろしいかと。常識人で居続けると、余計な苦労を背負い込みますよ? 前の世界で周りを振り回してた貴女はどこに行ったんです?」

 

「うぐっ!」

 

 わ、私、そんなに振り回してたかしら……? どちらかというと陸君に振り回されて、織斑先生と一緒に胃薬飲んでたような……

 

「どうせ飲むなら、胃薬じゃなくて陸様の○○の方がよいかと」

 

「やめぇぇい!!」

 

 イヴに極大のツッコミを入れたと同時に、コア世界からログアウトした。まったくぅ……

 

 

 

 

 

「あ、あの、刀奈?」

 

「最終日だもの、陸君とイチャラブしたいな❤」

 

「お姉ちゃん、今日は積極的」

 

 あれだけ煽られたんだもん、たっぷり陸君成分(意味深)を摂取しておくわ❤

 

ーーーーーーーーー

 

 リク達が分岐世界に行って、あっちの時間で10年近くが経った。

 そろそろ3人とも、IS学園に入学する頃合いかな~?

 

「状況はどうですか?」

 

「順調だね」

 

 何もない空間で水球の中を観察していた僕の後ろから、シギュン()が声をかけてきた。

 

「ところで、一夏様のことですが」

 

「またかい……」

 

 ウチの嫁、原作至上主義者というか……『織斑一夏が活躍しない世界絶対許さないウーマン』なんだよ。だから何度も分岐世界に介入して、織斑一夏にとって都合のいい世界に作り替えようとするんだ。

 原作世界自体、一夏に都合がいいだろうって? それは言っちゃいけないお約束だ。元々ハーレムものの妄想から生まれた世界なんだし。

 

「一夏様は無条件で異性に愛され、同性から平伏される存在であるべきなのです!」

 

「平伏って……」

 

「女性は一夏様の寵愛を受けるべく、己の全てを捧げるのです! 身も心も、全てを!」

 

 やべぇ、完全にカルト宗教のそれだよ。というか、思春期の中二病が書いたエロ小説レベルやん。

 

「シギュンは放っておいて」

 

「なぜ放置するのですか!」

 

「置いとくとして! この世界の織斑一夏は、どんな奴なのかな~?」

 

 リク達も気になってるだろう事が僕も気になって、水球のより深いところを覗き込んだ――

 

 

 

1.原作世界と同じ。ちょっと正義感と思い込みが強い朴念仁。

2.クズレベルMAX。現実は非情である。

3.前の外史と同レベル。やったねリク、ダチが増えるよ。

4.聖人君主。誰だお前!?

5.紛うことなきシスコン。千冬しか愛せない。

6.普通に女性を好きになる一般男子。ただしアニメ1期ヒロイン、お前達はダメだ!

 

運命のっ、ダイスロォォォォル!

 

1D6=6 普通に女性を好きになる一般男子。ただしアニメ1期ヒロイン、お前達はダメだ!

 

「おぉっとぉ……」

 

 これはまた、微妙に面白い展開になりそうだ。




今後の方針と、コア人格の回でした。
刀奈はコア人格にすら揶揄われてこそだと思ってます。

次回かその次辺りで、オリ主達がIS学園入学(原作開始)する予定です。
別作品でエロ要素マシマシ(ただしR-18ではない)なので、こっちは多少薄めに。
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