お前がブリュンヒルデになるんだよ!   作:シシカバブP

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エキシビジョン編です。
5末の時点でこの暑さかいな……(本文とは無関係


第41話 マジかよ倉持、最低だな(今更

 エキシビジョンまでの間、俺は簪とのんびりしていようと考えてたんだが、

 

「私も面白いイベントに遭遇したいの~!!」

 

 と、駄々っ子な刀奈に負け、俺達は3人で再度出し物巡りをする羽目になっていた。

 とはいえ、出し物自体は前外史であったものと大きな違いはない。例えば美術部は爆弾解体ゲームをやっていて

 

「ふふんっ、この程度の爆弾、お姉さんがちょちょいのちょいで……くしゅんっ!」

 

 パチンッ

 

「あ」

 

――ドガァァァァンッ!

――GAME OVER

 

「やったな」

「やったね」

「やめてぇぇ! 2人ともそんな目で見ないでぇぇぇ!!」

 

 前回は俺がやらかしたネタを、今度は刀奈やらかして爆発したり。

 

「これ買おう」

 

「馬鹿おまっ、それは前(外史)ダメだって言っただルルォ!!?」

 

「簪ちゃんヤメテ!? 温まったメロン臭がぁぁ!!」

 

 "甘口メロンスパ"とかいう、トンデモスパゲティの悪夢が再来したり。今回は涙目刀奈もいて被害も倍プッシュだ……! 何も嬉しくねぇ。

 

 

 

 とか何とかやってたら、エキシビジョンの用意をしなきゃならん時間に。

 刀奈は実況をするとかで先ほど別れ、今はピット内で簪と最終点検中だ。

 

「ところで、今回はどうなるんだろう?」

 

「どうなるって、何がだ?」

 

「亡国機業」

 

「ああ、それがあったか」

 

 その単語で、簪が何を言いたいかすぐにわかった。

 前外史では学園祭、しかも生徒会主催の演劇『シンデレラ』の最中、一夏の白式を奪うために奇襲して来た。今回演劇からエキシビジョンに変わった影響がどう出るのか、簪はそのことを言ってるんだろう。

 

「エキシビジョンの最中に乱入してくるのか、それとも別のタイミングなのか」

 

「今回は襲撃を諦める……ってことはないか」

 

「うん。学園祭は外部の人達を入れるため、警備がどうしても薄くなる数少ない機会。それを見逃すとは思えない」

 

「だよなぁ」

 

 そうなると、エキシビジョンの最中かその後か、可能性が高いのはどっちだ?

 

「陸、あんまり悩む必要はない」

 

「ん? どうしてだ?」

 

 すると簪がポンポンと俺の肩を叩く。

 

「もし乱入してきても、お姉ちゃん(レイディ)のフォトン・トルピードと、(スコルピオ)の月光蝶があるから」

 

「……それもそうか」

 

 確かにエキシビジョン中なら、乱入してきた瞬間2人に蹴散らされて終わるな。で、試合後のピットにも俺の方には簪、一夏の方には織斑先生方がいると。うん、オータム達詰んでんな。

 

「というわけで、陸は織斑君をボコることだけに集中していればいい」

 

「おい待て。ボコるとか人聞きが悪ぃぞ。それに負ける気はねぇが、勝負に"絶対"はねぇ」

 

「……"この設定"で、そのセリフは無い」

 

 窘めたはずなのに、簪からジト目で見られた。解せぬ。

 

 

 

 陰流の調子を確かめながら決戦のバトルフィールド()に出ると、どうやら一夏の方はすでに準備万端のようだ。

 

「陸っ! 学年別トーナメントじゃ勝負が付かなかったけど、今回は勝ちに行かせてもらうぜ!」

 

「ほうほう、ずいぶんと勝算があるようで……ん?」

 

 なーんか白式の左腕に、見慣れないものが付いてるんだが?

 

「一夏、それは?」

 

「おうっ! 倉持技研がやっと俺の意見を聞いてくれてな!」

 

 俺が話を振ると、一夏のやつすげぇ上機嫌で説明を始めてくれたよ。チョロい。

 

「連射型荷電粒子砲『雪羅』。以前から倉持技研が研究・開発していたものらしい。まあ、試作らしくって外付けになっちまってるがな」

 

「ほう?」

 

 つまり、ようやく白式にも遠距離武装が付いたってことか。それは結構なことなんだが……

 

――チラッ

 

「……っ!#」

 

 うっわぁ……放送席の刀奈、めっちゃキレてるぅ!

 理由は言わずもがな、以前倉持から一方的に送られてきた『要求』が原因だ。

 

(『こちらの白式が雪片弐式だけなのだから、当然お前らもブレード1本で勝負しろよ?』とか言って、思いっきりブレード以外装備して来てんじゃねぇか)

 

 しかものほほんが何も言ってなかったところを見るに、直前まで秘密にしていたんだろう。見事に嵌められた。

 

(一夏……がそんな策謀を巡らせるオツムがあるわけないか。間違いなく倉持の独断だな)

 

 そして真っ先に思い付く倉持の腐れ外道(レイモンド)の顔を想像して、げんなりするとともにどうしたもんか思考を巡らせる。

 実際俺の陰流からアサルトライフルは降ろされ、長船(大太刀)しか入っていない。

 

(まあ、問題ないか)

 

 ついさっき簪に言われて、いい感じに楽観思考になったようだ。

 

「そんじゃ、その『雪羅』とやら力も含め、見せてもらおうか」

 

「おう! 今日までの特訓の成果、見せてやるよ!」

 

 お互いに得物を構え、試合開始の合図を待つ。

 

『それではエキシビジョン、織斑一夏vs宮下陸! 試合ぃぃ……開始ぃぃ!』

 

「いっくぜぇぇぇぇぇぇ!!」

 

 刀奈の合図とともに開幕吶喊してくる、一夏のイノシシ振りに苦笑しつつ

 

『ソフィアー、打ち合わせ通り頼むな』

 

『は、はいマスター』

 

 声に出さないようコア人格に指示を出すと、ソフィアーから返答が来る。そして

 

 

パッシブ・イナーシャル・キャンセラー(PIC)を一時的に、て、停止します』

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

『宮下君は新武装を警戒するでしょうから、いつもの一夏君の吶喊は逆に効果的かもしれません』

 

 と言ってた真耶さんのアドバイス通り、生徒会長の合図で俺は瞬時加速(イグニッション・ブースト)をかまして距離を詰める。

 

――ガクンッ

 

「なん、だ?」

 

 陸のやつ、どうして完全に足を地面に? いや……スラスターの出力がない? 故障か?

 

――ヒュッ

 

「なぁ!?」

 

 陸が、消え

 

――ドガァ!!

 

「ぐあぁっ!」

 

 右腕から衝撃、SE減少のアラームが鳴り響く中、何とか体勢を保ったまま停止する。

 そして目視とハイパーセンサーが、今さっきまで俺がいた場所に立つ陸の姿を認識していた。

 

「いま、のは……それより陸、お前スラスターが故障した状態で」

 

「故障? ああ、別に壊れちゃいねぇぞ」

 

「え?」

 

「ちょっとばっかPICをカットしてるだけだ」

 

「え、は……?」

 

 PICを、カット? PICってあれだろ、ISの基本システムで、これがあるからISは浮遊・加減速が出来るってやつ。それを切っただって!?

 

「いやぁ、ISの機能の中で、こいつがすげぇ邪魔でよ」

 

「じゃ、ま?」

 

「おう。おかげでこいつを切ると、こんなことも出来んだよ……なっ!」

 

――ヒュッ

――ドゴォ!

 

「ぐぉぉぉ!」

 

 まただっ! また、陸が消えたと思ったら今度は後ろから……!

 

『おっとぉ! 宮下君の攻撃に、織斑君はついていけないようだぁ!』

 

『あ、あのあの! 宮下君のあの動きは何ですか!? PICを切って戦うこと自体あり得ないすでよ!?』

 

 放送席には生徒会長の他に、真耶さんもいるのか。いや、マジで俺もそれが知りたい……!

 そしてその答えは、放送席ではなく目の前の陸自身から出て来た。

 

「そんな難しい話じゃねぇよ。PICがONだと、慣性が無くなったり変な浮遊感があったりするだろ?」

 

「それは、ISとして当然の機能じゃ……」

 

「だから、俺からしたらそれは"邪魔"なんだよ。あれがある所為で『縮地』の感覚がズレるし、長船を振る時のインパクトっていうのか?が微妙だし」

 

『えっと、宮下君が言ってることが理解出来ないですが……』

 

 俺も真耶さんと同様、陸が何言ってるのか理解出来ねぇ。

 

『まあ簡単に言うとですね……』

 

 

『宮下君は、"ISに乗ってない方が強い"ってことです』

 

 

「「「「……」」」」

 

 生徒会長の言葉に、俺も真耶さんも観客席も、何も言葉を発せなくなっていた。

 

(ISに乗ってない方が強い? なんだそれ……)

 

「まあ俺、パイロットじゃなくてエンジニアだからな」

 

「関係ねぇだろそれ!」

 

 それが通用するなら、のほほんさんとかも……のほほんさんは……うん、何でもない。

 

「くっそ、陸がその大太刀しか使ってこないのは、それだけ自信があったからか……!」

 

 学年別トーナメントの時には短刀を投げてきたり、俺も陽炎に搭乗した時お世話になったハンドガンを使ってきたはずだが、今回は完全に大太刀特化の作戦に

 

「ああそれか? だって今の陰流、こいつ以外積んでねぇもん」

 

「……は?」

 

 あっけらかんと言う陸に、一瞬頭の中が真っ白になった。そして怒りが込み上げてきた。

 

「その大太刀以外何も拡張領域に入れてねぇだって!? 陸てめぇ! そこまで俺が相手する必要もないって言うのか!?」

 

「怒るな怒るな、これには深……くもないな、くっそ浅いがそれなりの理由があんだよ」

 

「何だよその理由って!」

 

「今教えてやるから。楯無さーん、お願いしまーす!」

 

『分かったわ!』

 

『えっ? 今度は一体何ですかぁ!?』

 

 陸と生徒会長のやり取り(+真耶さんの混乱した声)がした後、俺のバイザーに何かが表示された。それと一緒に、アリーナの大型ディスプレイにも。

 

「これは……?」

 

「俺とお前のエキシビジョンが決まってすぐ、倉持技研から送られてきた『要求』だ」

 

「はぁ……はぁ!?」

 

 その中身を見て、俺はその内容に唖然としていた。俺だけじゃない。真耶さんも、大型ディスプレイを見ていた観客も。

 

「おい陸、何だよこれ! 俺はこんなの聞いてねぇぞ!?」

 

「そりゃあ、お前に話したらその荷電粒子砲、使わないだろ?」

 

「当たり前だ! お互いブレード1本で勝負するって書いてあるのに、新武装だからって使うわけ……しかも陽炎のほとんどの機能を使用不可って、あまりにも不公平すぎるだろ!」

 

「だから教えられないだろ。お前には倉持の機体(白式)に乗って、俺の如月の機体(陰流)を倒してもらわないと困るんだから」

 

「……」

 

 そのセリフを聞いて、俺の中の熱が勢いよく冷めた。最初にあった陸に手加減された怒りが。

 そこから、別の熱が燃え上がる。俺や真耶さん、おそらく千冬姉をも嵌めた倉持技研への怒りが。

 

「クソ……クソォォォォォォォォ!!」

 

 頭の中が纏まらない。ただ、気付けば『雪羅』を強制パージして、雪片弐型だけを手に陸へ再度吶喊していた。

 

 倉持技研が如月重工に勝つため?

 そんなくだらない理由で、俺は卑怯者にされかけたのか? 剣の試合に、自分だけ銃器を持ち出す卑怯者に?

 真耶さんとの特訓が、今日までの努力が、こんなくだらない理由のため?

 

 こんなことに、振り回されたのか? 陸達も、俺達も。

 

 ふざけるな

 

 ふざけるな

 

 ふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるな

 ふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるな

 ふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるな

 ふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるな

 ふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるな

 ふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるな

 

「あああああぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 今この瞬間、陸に刃を向けていること自体間違いなんだろう。けど、けど……この怒りの治め方が分かんねぇんだ……!!

 

「しゃーねぇなぁ。いいぜ、今日だけは好きなだけ突っかかってきな。返り討ちにしてやるけどな」

 

 短い溜め息を一つ付いて、陸が大太刀を持つ手を肩まで上げて構え直す。

 

――ガキィィンッ!

 

 さっきの瞬間移動のような真似はせず、大太刀を横にして俺の我武者羅な振り下ろしが受け止められる。

 

――ギャリリリィィィッ!

 

「う、あ」

 

 かと思えば、大太刀の刃先が落ち、振り下ろしの勢いそのままだった雪片弐型が地面に向かって突き進み、その雪片を握っていた俺の体勢が崩れる。

 

(くっそぉ……やっぱり……)

 

 陸には、勝てないのか……

 

 

――ズドォォォォンッ!!

 

 

 突然大きな衝撃がアリーナ全体に走った。

 

「ぐっ、ううっ!」

 

 体勢が崩れた所に衝撃を受け、思わず多田良を踏みそうになったが何とか耐えた。

 何とか立て直した体勢から頭だけを上げると

 

 

「おっ、ちょうどターゲットが両方いるじゃねぇか。これは運がいいな!」

 

「ガキ2人を捕獲する程度、私1人で十分だというのに」

 

「うるせぇ! お前はセカンドの方を捕まえろ!」

 

「ふんっ」

 

 

 クモのような8本脚のISと、バイザーを付けたISの姿があった。




たっちゃん、アウト~
もうちょっと絡ませたかったけど、後のイベントが閊えてるからね、仕方ないね。

エキシビジョン開始、そしてPICカット
「やっぱり素手(IS無し)の方が強いんじゃないですかぁぁ!!」
エンジニアだからね、仕方ないね(?)

>コレ便宜上、倉持所属になってる一夏の評判大丈夫か?
>うーん、コレ下手しないでも間接的に一夏の評判も下がりそうだよなぁ
一夏も嵌められただけだからヨシッ!(現場猫
まーやんもちーちゃんも、まとめて倉持に嵌められて失態だろうけど、同情票が圧倒的になる……よね?

亡国機業登場!
なお、次回刀奈にボコられる模様(ネタバレにもならないネタバレ

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