現実でも鍋が恋しいし、本作でも更識家で鍋を囲む話を書きたい。(当分先
『速報です! 昨日未明、ISの男性操縦者が見つかりました!』
「もうそんな時期か」
「陸君だって、昨日入試受けたばかりでしょ?」
「そうだったそうだった。ちなみに簪、IS学園入試の手応えは?」
「バッチリ。あれで落ちるなら、今年の入学者は主席であろうオルコットさんしかいない」
3月に入り、如月重工での作業も無く簪達とのんびりしていたある日。運命のニュースがお茶の間に流れてきた。
今日の昼飯は、簪のリクエストでかき揚げうどんだ。こいつ、いっつもうどん食ってるな。
そうして呑気に飯を食ってたら、ドタドタと慌ただしい足音が。
「かんちゃんかんちゃ~ん! ニュースだよぉ! あっ、りったんとたっちゃんもいたんだ」
「おう」
やって来たのは簪の従者であり幼馴染の布仏本音、通称のほほんだった。そしてこいつ、この世界でも俺の呼び名は"りったん"なのな。
「本音ちゃん、あんまり騒がしいと虚に怒られるわよ」
「は~い。じゃなくてぇ! ISに乗れる男の子が見つかったって~!」
「うん、今もニュースになってる」
簪が行儀悪く箸でテレビ画面を指すと、その先を見たのほほんが振り回していた腕をガクンと落とした。
「もうニュースになってる~、せっかく急いで教えてあげようと思ったのに~」
『男性操縦者の名前は織斑一夏! あのモンド・グロッソ優勝者、織斑千冬の弟だそうです!』
「それもバラされた~!」
「落ち着いて本音ちゃん。飴いる?」
「いる~」
刀奈が飴玉をのほほんの口に放り込むと、すぐ静かになった。チョロい。
『また各国政府は会見を開き、同世代の男性全員を対象に、IS適性検査を行うと発表しました』
「織斑君、十中八九IS学園行き」
「そうだろうね~。まさかあのブリュンヒルデが、自分の弟を研究所送りにするとは思えないし~」
口の中で飴玉を転がしてたのほほんが、そこで気付いたように俺の方を見た。
「そうなると、りったんもIS適性検査を受けるんだよね? そうしたら、IS学園に強制入学かもね~」
現状、俺がISに乗れることを知ってるのは、更識一家4人と布仏姉妹だけだ。
今まで他にバラさなかったのは、単純に一夏の登場まで待ってたのもあるが、『宮下陸は更識家の関係者』って事実を作りたかったからだ。ぶっちゃけ、後ろ盾なしで倉持辺りに囲われたくない。
「そうなるしかないわね。お父さんも『もしISに乗れることが世間にバレたら、何とか研究所行きは阻止する』って常々言ってたし」
「ああ、言ってたな。確かに」
というか、それなら俺、昨日の試験まともに受けなくてよかったのでは? どうせ調査からの軟禁のち強制入学なんだし。
「となると、来年はかんちゃんも含めて3人でIS学園に入学だね~♪」
「だろうな。よしのほほん、IS学園に入学したら刀奈と簪のISをガッツリ改造しまくるぞ」
「合点承知の助~」
「ちょっとぉぉぉぉぉぉ!?」
「私も!?」
何を驚く簪よ。あたり前田のクラッカーではないか。
「まだ積むの……?」
だから、そのジト目は止めなさいって。前世から言ってるだろ。
「刀奈には、延期していた『ISスーツが脱げない
「やっぱり載せる気だったのね……」
シナシナになる刀奈。当然、延期は中止では無いんでな。夏休みが終わってからずっと調整していたのだよ! きちんとISの装甲だけを消失させる、お利巧さん魚雷になってるぞ。
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お昼ご飯を食べ終えてから、なぜか私は如月重工の工場内にあるアリーナにいた。ISに乗った状態で。
「……で?」
「さっそくで悪いんだが、新武装のテストをする」
「ちょっと待って? 新武装?」
今私が乗ってるの、陽炎じゃないんだけど。
「おう。お前のレッド・スコルピオに載せてある」
「いつの間に!?」
「コア人格はノリノリだったぞ?」
「シャァァァリィィィィィ!!」
思わず、自分の専用機のコア人格、その内の片方に対して切れた。デュアルコアだから、いっそ片方取り除こうかな!?
『ええ~、すっごい面白そうな武装だよぉ?』
「そういう問題じゃない! ランディさん!?」
『すまねぇお嬢、止められなかった』
もう片方のコア人格、ランディさんが謝ってくれたけど、今度からせめて一声かけて欲しい。すごく心臓に悪い。
「はぁ……それで、一体どんな武装なの?」
「それはな……」
「月光蝶である!」
――スパァァァァン!
「おぶぁぁぁぁ!!」
特製ハリセン(手加減付き)を食らって、陸がアリーナの地面を転がっていった。
「いててて……」
「陸、さすがにそれはシャレにならない」
文明崩壊とか、本当にシャレにならない。具体的には、ニチアサの戦隊モノが放送できなくなって困る。
「大丈夫だ。試しに起動してみてくれよ」
「……」
「だからジト目はやめぃ」
こうなった陸は、梃子でも動かないって知ってる。だから私は自分の専用機――打鉄弐式時代より全体的に細身になった、真紅の機体――から武装を呼び出した。
「……あった」
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武装名:月光蝶(リミッター付き)
概要:シールドエネルギーを吸収するナノマシンを放出する(リミッターを解除すると、あらゆる物質を分解可能)
効果範囲:機体を中心に最大で半径100m(リミッター解除後は10km)
備考:吸収したエネルギーはナノマシン回収後、自機のシールドエネルギーに転換可能
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「うわぁ……」
ドン引きした。お姉ちゃんの
「そんじゃ、標的を出すぞ」
陸の合図とともに、アリーナの地面から的となる機体が現れた。
無人機? 違う、ただのカカシ。ちょっと有線でエネルギーシールドを展開できるだけの。
「月光蝶、起動」
陸みたいにギ○・ギ○ガ○ムのモノマネは出来ないから、淡々と武装名をコールした。
――ブワァァァァァ
効果はすぐに現れた。
レッド・スコルピオの背後から、虹色の膜状にナノマシンが大量に散布される。
『エネルギー、急激に低下。シールド、維持できません』
途端に標的から警告メッセージが流れ、薄緑色をしたシールドがナノマシンの浸食によってかき消されていった。
機体は……よかった、ちゃんと残ってる。
「成功だな」
「これ、ある意味『零落白夜』より凶悪だよ」
使い方……というか使ったが最後、絶対防御を確実に突破できちゃう。
「正直、クラス対抗戦で現れるであろう無人機ぐらいにしか使い道が無い」
「あ~……」
陸も納得したのか、視線が明後日の方向に。
「陸、どうしてこれを作ったの?」
「ロマン」
「……えい」
「ちょっ、おまっ! ISのマニピュレータで脇腹くすぐるとか、い、イヒヒヒヒッ!」
ロマンを追求するのもいいけど、それより私とのデートを増やしてほしかったなぁ。そーれコチョコチョ~。
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簪に笑い死に寸前まで追い込まれて数日後、俺は先日まで通っていた学校から呼び出しを受けていた。
この前ニュースでやってた通り、男子生徒を対象とした適性検査が行われることになった。で、今日がこの学校の番ってわけだ。
「IS適性検査ねぇ」
「2人目の男性操縦者なんて見つかりっこないって」
「でもでも、もし適性があったらIS学園行きだぞ? あの女の花園に!」
しょうもない馬鹿トークをしながら、そろぞろと会場となる体育館に入って行く男子生徒達。
で、体育館の中央に鎮座している打鉄に触っては、そのまま会場を後にしていく。
(前回は、孤児院の連中と一緒に施設に連れていかれたんだよなぁ)
そして屈強な黒服達に囲まれ、そのまま政府直轄施設まで強制連行、その後はIS学園入学まで軟禁と。嫌な事件だったね……
「次の人ー」
やる気の無さを隠していない係員(♀)に促され、打鉄の肩部装甲に手を触れた。
その瞬間、ブゥゥン……とIS起動時特有のノイズ音が聞こえてきた。
――皮膜装甲展開……完了
――推進機正常動作……確認
――近接ブレードおよび突撃銃……問題無し
――ハイパーセンサー最適化……完了
「え……」
係員の手から、ボールペンがポロッと床に落ちた。そして――
「「「う、動いたぁぁぁぁぁぁ!」」」
体育館中に大勢の絶叫が響き渡った。
それを後目に、俺はさっさと打鉄から手を離すと
「それじゃ、お先で~す!」
猛ダッシュで体育館から脱出しましたとも!!
「えっ、あ……」
「逃がすなぁ! 確保ぉ!」
その日、俺が如月重工の建屋に逃げ込むまで、黒服達との全力マラソンが開催されたのだった。
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『宮下さん、ぜひ取材を!』
『如月重工は大人しく、宮下陸を我々倉持技研に引き渡せ!』
『千冬様の弟君以外で男がISに乗るだなんて!』
「今日も今日とて、相変わらずだな」
「IS学園に入るまで、しばらくはこのまま」
「だね~」
如月重工に逃げ込んでからこっち、ずっとあたおかな奴等が連日ここを訪れていた。
不幸中の幸いなのは、ウチの両親が更識家に保護されてるところか。聞いた話、槍峻さんの手引きで静かな場所に匿われているらしい。
しばらくすると外が静かになり、刀奈が伸びをしながら休憩室に入ってきた。
「は~、毎日飽きもせずよく来るわね」
「お疲れさん。ほれ」
「ありがと♪」
俺から茶の入った紙コップを受け取ると、よほど喉が渇いていたのか、中身の8割方を一度に飲み切った。
「ぷはぁ、とりあえず外の連中は追い返したわ。記者とか女性権利団体とか、下手に武力鎮圧すると後がうるさいし」
「倉持も?」
「そっちは六角レンチで殴っておいた」
「わぁお」
「お姉ちゃん、グッジョブ」
ここにいる全員、倉持技研への殺意高ぇな~。俺もだけど。
「さて……陸君。今更だけど、貴方のIS学園行きが正式に決まったわ」
「ホント今更だな」
「まぁね。織斑君が学園行きな以上、陸君だけが別ってわけにもいかないし」
「これで今回も、織斑君にメメントモリを」
「簪ちゃん? 目的がすり替わってない?」
そうだぞ簪。それはサブミッションであって、メインミッションは別にあるからな。
「うん、大丈夫。ちゃんと当初の目的は覚えてる」
「そうよね。今回はあくまで実地研修――」
「私達の使命は、お姉ちゃんに歯向かおうなんて考える愚者を、その肉の最後の一片までも絶滅すること───」
「
「……簪、ちゃん?」
「ん、ちょっとしたジョーク」
「そっかぁ、ジョークかぁ」
簪のちょっとしたオチャメが強過ぎたのか、刀奈がアハハハと空笑いしながら白目を剥いてた。
2回目のIS学園かぁ。一度入学したら頻繁には
『マ、マスター、これ以上拡張領域にスペースは無いですよぉ……』
『うわぁぁぁぁん! ア、
ワンサマー、ニュースになる。
やっとです。
またしても何も知らない更識簪さん。
ドン引きしてるけど、フォトン・トルピードと大差ないからね?(おまいう
オリ主、IS学園に入る準備開始。
綺麗な庭園はその内、すごい汚部屋になるんだろうなぁ(遠い目
次回からIS学園入学編。箒やセシリアがオリ主とくっ付くことはないので、そこだけはご安心を。(一夏とゴールインするとは言ってない)