今まで他人視点でのローゼフシルトの過去のチラ見せはあっても大胆な露出はなかったので、それをどうするか?というアンケートのつもりです。
③が今まで通りのチラ見せで、①と②が今までと違い、ローゼフシルトを深堀する話。
①がそれを前世までさか戻って書く。②が前世は書かず、転生以降の活動について書く。
と理解していただければ幸いです。
もし書く場合は①の場合は3話を予定していて、②の場合はそれよりも一話少ない予定です。増えてももう一話程度で済むと思います。
《統一暦1927年11月初旬 東部戦線後方 キーウ》
「……ああ、なんという至福。泥の味がしないコーヒーを、屋根のある部屋で飲める日が来るとは」
後方都市キーウに接収された高級ホテルのラウンジ。
ふかふかのソファに深く身を沈めながら、ターニャ・フォン・デグレチャフ大佐は、陶器のカップから立ち上る本物のコーヒーの香りに、心底からの感嘆の息を漏らしていた。
第二〇三航空魔導大隊を中核とするサラマンダー戦闘団が、ヨシフグラードの地獄から束の間の休暇を与えられ、このキーウへと後退してきてから三日が経過していた。
ターニャの記憶にあるこの数ヶ月は、文字通り泥と血とコンクリートの粉塵で構成された無限地獄であった。
(思い出すだけでも吐き気がする。あのヨシフグラードの市街戦は、近代戦の皮を被った中世の殺し合いだ)
ターニャは脳内で悪態をついた。
平原での華麗なる機動戦など、あの街の瓦礫の山では一切の無意味。航空魔導士としての最大の強みである高度と機動力は、崩れかけたトラクター工場の煙突や、地下水道から無限に湧き出してくる赤軍兵士の対空砲火によって完全に封殺された。
壁一枚を隔てて手榴弾を投げ合い、数メートル進むために中隊の半分が吹き飛ぶ。敵は死を恐れず、ヴォルガの対岸から次々と新たな「肉の盾」を送り込んでくる。圧倒的な補給線を敷いたはずの帝国軍ですら、あの底なしの肉挽き機の中では日々恐ろしい速度で削り取られていたのだ。
(あのような理不尽な戦場で死ぬ気はさらさらないが、部隊が損耗すると私の出世に響く。これからさらに酷いことになりそうなときに、抜け出せてよかったと言うべきか)
そんなことを考えていたターニャの元へ、副官のヴィーシャが小走りでやってきた。
「大佐殿。参謀本部より、お客様がお見えです。ラウンジの奥の個室でお待ちです」
「参謀本部から? ……まさか」
ターニャの背筋に、冷たいものが走った。
参謀本部からの直接の使者。しかも東部戦線。ターニャの脳裏には、先月レネングラード(現ペトロブルク)を陥落させた、あの男のニヤリと笑う顔が浮かんだ。
(ローゼフシルト中将か!?モスコーに続いて、また私に理不尽な死地への切符を押し付けに来たというのか……!)
極度の警戒態勢のまま、ターニャは軍服のシワを伸ばし、重い足取りで個室のドアを開けた。
「失礼いたします。サラマンダー戦闘団指揮官、ターニャ・フォン・デグレチャフ大佐、到着いたしました――」
身構えながら入室したターニャの目に飛び込んできたのは、予想していた黒幕の姿ではなく。
神経質そうに胃の辺りを押さえ、酷く疲れた顔をした見慣れた将校の姿であった。
「……やあ、デグレチャフ大佐。ヨシフグラードでの激戦、ご苦労だった」
帝国軍参謀本部、エーリッヒ・フォン・レルゲン大佐である。
その姿を見た瞬間、ターニャの心の中の警戒警報は鳴り止み、代わりに天使のラッパが鳴り響いた。
(おおっ! 今までの善行が報われたようだ! 私の前に、あの男ではなく、帝国軍における最後の良心、完全なる常識人が!)
ターニャの顔が、無意識のうちにパァッと明るくなった。狂人と戦争狂ばかりの帝国軍において、話が通じ、合理的な判断を下せるレルゲン大佐は、ターニャにとってオアシスのような存在であったのだ。
「レルゲン大佐! お久しぶりです。わざわざ東部のキーウまで足を運んでくださるとは!」
「う、うむ……」
ターニャが満面の笑みで出迎えたのとは対照的に、レルゲンの顔はひどく引き攣っていた。
レルゲンにとって、ターニャ・フォン・デグレチャフという存在は、いつの間にか自分と階級が並んでしまった恐怖の対象である。「幼女の皮を被った狂人」であり、彼が最も苦手とする相手なのだ。その彼女から向けられる純粋な好意(レルゲンには狂気の輝きに見える)の眼差しに、レルゲンの胃袋は悲鳴を上げていた。
(なぜ、この私は極北でローゼフシルト中将の狂気に当てられたあとに、今度はこの化け物と面会せねばならんのだ……! 参謀本部の作戦局は私の胃壁をどうしたいのか!)
レルゲンは胃薬を水なしで飲み込みたい衝動を必死に抑え、咳払いをした。
「……単刀直入に言おう。サラマンダー戦闘団の、大規模な増員と再編が決定した」
レルゲンはアタッシュケースを開き、分厚い編成表をターニャの前に提示した。
「現在のサラマンダー戦闘団は、その顕著な武勲と東部戦線における遊撃部隊としての重要性を鑑み、連隊規模の戦闘団(カンプフグルッペ)から、戦闘群(カンプフ・グルッペ・コマンド)へと正式に格上げされることとなった」
「はっ。身に余る光栄であります。して、その増員規模は?」
ターニャは「まあ、損耗分の補充と、一個大隊程度の追加だろう」と高を括りながら編成表に目を落とした。
そして、そこに記載されていた数字を見て、目が点になった。
「……えっと? レルゲン大佐。この書類、少し……いや、かなり桁が間違っていませんか?」
「間違っていない。それが、君の部隊の新たな編成だ」
レルゲンは胃を押さえながら、重々しく内訳を読み上げた。
「新たに編成される戦闘群の規模は、完全機械化された一個装甲擲弾兵旅団。一個戦車大隊。一個自走砲大隊。二個駆逐戦車中隊。一個突撃砲中隊。さらに、君の第二〇三航空魔導大隊に加え、余剰となっていた魔導中隊を中心とした新たな増強魔導大隊を一個追加する。……以上だ」
「…………は?」
ターニャの口から、間抜けな声が漏れた。
頭の中で、前世の軍事知識と現在の部隊規模の計算が猛烈な勢いで交錯する。
装甲擲弾兵旅団に、戦車大隊、自走砲大隊……さらに魔導大隊が二つだと?
それはもはや、「戦闘団」などという可愛らしい名前で呼んでいい規模ではない。戦力係数と圧倒的な機械化率を考慮すれば、歩兵主体の通常の「一個師団」など軽く凌駕し、下手をすれば連邦の「一個野戦軍」すら正面から薙ぎ倒せる、機甲師団と同等かそれ以上の規模である。
(おかしい! 絶対におかしい! なんだこの無駄に豪華な重装備の幕の内弁当は! これでは遊撃部隊というより、地獄の最前線(ヨシフグラード)のど真ん中に叩き込まれるための決戦兵器ではないか!)
ターニャは血の気が引くのを感じながら、必死に抗議の声を上げた。
「お、お待ちください、レルゲン大佐! 確かに我が部隊は精鋭を自負しておりますが……この規模の軍団を指揮するには、大佐である私では明らかに階級が不釣り合いです! これほどの規模ならば、少なくとも准将、いや少将クラスの将官が座乗すべき戦闘単位ではありませんか!」
ターニャの至極真っ当な(責任から逃れたい)指摘に、レルゲンの顔に滝のような冷や汗が浮かんだ。
「あー……その件に関しては、だな。デグレチャフ大佐、君の言う通りだ。だが……」
「だが?」
レルゲンが言いよどんだ、まさにその瞬間であった。
コンコン、と、個室の扉がノックされ、返事を待つこともなくガチャリと扉が開かれた。
「やあ、久しぶりだな、二人とも。息災であったかな?」
そこには、仕立ての良い軍用コートを羽織る端正な顔立ちの将官が立っていた。
ジーク・マイヤー・アンドシェル・フォン・ローゼフシルト中将。
「ッ――!?」
ターニャの脳内で、先程まで鳴り止んでいたはずのマキシマム・アラートが、鼓膜を破るような大音量で鳴り響いた。
(やはり来たか、この男! ここにこの男が現れるということは、間違いなくロクでもない企みが背後に隠されている!)
一方のレルゲンは、ローゼフシルトとターニャという、彼が苦手とする二人の狂人が同じ部屋に揃ってしまった光景を目の当たりにし、ついに胃薬の錠剤をポケットから取り出してバリバリと噛み砕き始めた。
「ロ、ローゼフシルト中将閣下……。なぜ、貴方がキーウに……」
ターニャが引き攣った笑みで尋ねると、ローゼフシルトは我が物顔で部屋のソファに腰を下ろし、葉巻を取り出しながら言った。
「なぜも何もあるまい。自分の部隊の指揮官と副指揮官の顔を見に来ただけだが?」
「……も、もしかして……」
「うむ」
ローゼフシルトは、葉巻に火を点け、紫煙を吐き出しながらニヤリと笑った。
「今日から私が、このサラマンダー戦闘群の新任指揮官、ジーク・マイヤー・アンドシェル・フォン・ローゼフシルト中将だ。よろしく頼むよ、デグレチャフ『副』指揮官」
「…………はぁ」
「…………は!?」
ターニャとレルゲンという、二人の常識人(と自認する者)の口から、全く別の意味で絶望の音が上がった。
レルゲンは(この二人が一緒になるとは……神はルーシーの南部を更地にする気か!)と慄き。
ターニャは(この男が上司!? 絶対に安全な後方勤務への道が完全に閉ざされた!)と絶望した。
「いやいやいや! お待ちください、閣下!」
ターニャは必死に食い下がった。
「確かに本官では、この巨大な戦闘群の指揮官の座は力不足であると進言したところです。ですが……中将閣下が、たかだか一個師団規模の戦闘単位の長に収まるなど、明らかに役不足ではありませんか!? 閣下は参謀本部の要職に就かれていたはずでは!?」
ターニャの必死の問いに対し、ローゼフシルトは葉巻の灰を落とし、事も無げに答えた。
「その通りだ。……いわゆる左遷というやつだよ」
「さ、左遷!?」
ターニャは目を丸くした。あのヴァルシャワの地獄を演出し、モスコーの陥落に大きく貢献した将校が、左遷だと?
ローゼフシルトは肩を竦め、どうして自分がこんなことになったのか、その政治的背景を語り始めた。
「元々私は、帝都で軍政改革や技術開発の調整を行う予定で、この一年間の東部での実戦に関わるつもりはなかったのだ。だが……北方のレネングラードでの、あのネープ将軍の陰惨で無策な包囲戦を見てな。親しい友人であるアレクセイロス三世からも『飢えている市民を助けてほしい』と要請され、私はネープ将軍に早期の奪取を要求した」
ローゼフシルトは皮肉っぽく鼻で笑った。
「だが、あの石頭の老将軍は『このような要求は帝国軍のしきたりを破る越権行為だ』と反発し、包囲の継続に固執した。その間にも市民はどんどん餓死していく。……我慢の限界に達した私は、ネープを強引に後方に送り、自らの手でレネングラードを奪取したのだよ」
「はぁ……」とターニャが内心で呆れる中、ローゼフシルトは話を続けた。
「ここまでは良かった。問題はその後だ。私はこの後、連邦の大反攻に備えて南部戦線へ派遣される予定だったのだが……北方の首をすげ替えた私のやり方が、南部の将校たちから『功績の横取り』と映り、大規模な反感を買ってしまったらしい。おまけに彼らが参謀本部の話も聞かなくなったから、参謀本部内部の旧弊な将校たちも、私のルール無用の無茶に溜まっていた不満を爆発させた」
「……つまり、参謀本部内部の政治闘争で、閣下は浮いてしまったと?」
「そういうことだ。流石のゼートゥーア上級大将やルーデルドルフ上級大将も、私を庇いきれなくなってね」
ローゼフシルトは苦笑した。
だが、連邦による大規模な大反攻は確実に起きるとゼートゥーアたちは判断しており、これに対処するためモスコーでの実績があるローゼフシルトをどうしても南部に介入させたかった。
「そこで、ゼートゥーア閣下が目をつけたのが、君のサラマンダー戦闘団だ」
「……は?」
「君の部隊は、参謀本部の直轄だろう? だから、南部の軍集団の指揮系統を無視できる。君の部隊にありったけの装甲戦力をつぎ込んで巨大化させ、中将が指揮してもギリギリおかしくない規模にまで格上げする。そうすれば、私はサラマンダー戦闘群の指揮官という名目で、堂々と南部に直接介入できるというわけだ」
「なんと……」
ターニャは、ゼートゥーアの恐るべき詭弁と、強引な戦力配置のロジックに戦慄した。
「ゼートゥーア閣下からは『少し頭を冷やしたまえ』と電報が来ているからな。体裁上は、明らかな左遷だ」
ローゼフシルトは葉巻を吹かしながら、ターニャに向かって極悪な笑みを向けた。
「だが安心したまえ、デグレチャフ大佐。私はサラマンダー戦闘群の指揮官という名目を手に入れたが、実際は南部戦線の司令部に入り浸って間接的な大局指揮を行うつもりだ。だから、現場の戦闘群の実質的な司令官は、これまで通り君のままだよ。……よろしく頼む」
「…………っ!!」
ターニャは、白目を剥きそうになった。
つまり、自分は参謀本部の政治闘争の「隠れ蓑」として利用された挙句、一個師団規模に膨れ上がった部隊の実質的な運用と責任を、全て丸投げされたということだ。
(ふざけるなああああっ! 上司の左遷の巻き添えで業務量が十倍に増えるなど、前世のブラック企業でも聞いたことがないぞ!! ゼートゥーア閣下は私を過労死させる気か!!)
ターニャの悲痛な叫びは、キーウのラウンジの天井に空しく吸い込まれていった。
◇
それから数時間後。
左遷された挙句に仕事を丸投げして去っていったローゼフシルトと、胃薬を飲み尽くして逃げるように帝都へ帰還したレルゲンを見送り、ターニャは疲労困憊のまま、キーウに新設されたサラマンダー戦闘群司令部のオフィスへと足を運んでいた。
規模が一個師団並みに拡大したことに伴い、戦闘群には立派な司令部が設置され、参謀本部から優秀な参謀長が派遣されたと聞いていた。
(せめて、実務を取り仕切る参謀長が話の通じる優秀な常識人であってくれ……。もう私のストレス値は限界なのだ)
祈るような気持ちで司令部オフィスのドアを開けたターニャの目に飛び込んできたのは。
壁の巨大な地図の前に立つ、何やらものすごく見覚えのある雰囲気を持った女将校の背中であった。
肩口で切り揃えられた艶やかな黒髪。
女性としては大柄と言える、百八十センチに迫るだろう長身。
そして、振り返ったその顔立ちは、透き通るような青い瞳と、どこか冷徹さを思わせる整った鼻梁を持っていた。
「おお! お待ちしておりました、デグレチャフ大佐殿!!」
女将校は、ターニャの姿を見るなり、軍靴の踵を鳴らしてビシッと完璧な敬礼を決めた。だが、その声には軍人らしからぬ、異様なまでの熱気と興奮が籠っていた。
「本日付でサラマンダー戦闘群の参謀長に拝命いたしました、エリザーベト・エドゥアルド・フォン・ローゼフシルト少佐であります!!」
「……ローゼ、フシルト?」
ターニャの表情が、ピシリと凍りついた。
目の前の長身の女将校の顔立ちが、先程まで悪魔のように笑っていたあの上司の顔と、見事に重なり合った。
「はい! いつも父が、大佐殿には大変お世話になっているそうで!!」
エリザーベトは、青い瞳をキラキラと輝かせながら、犬の尻尾が千切れんばかりに振られているような満面の笑顔で言い放った。
「あ……ああ。私も、よくお世話になっているよ……」
ターニャは、引き攣った笑みで本心にもないことを返すのが精一杯だった。
(嘘だろう。あの中将の娘だと? なぜ、こんな血みどろの最前線部隊の参謀長なんかに……!)
ターニャの困惑をよそに、エリザーベトは興奮気味に距離を詰めてきた。
「私、ずっと大佐殿にお会いしたかったんです!北方戦線での初陣から、ライン戦線とダキアでの英雄的活躍、そしてモスコーでの氷割りまで、大佐殿の武勲録は全て暗記しております! 同じ女性航空魔導士として、いえ、一人の軍人として、大佐殿は私の永遠の憧れなのです!!」
「お、おう……そうか。それは、光栄なことだ……」
ターニャは、思わず数歩後ずさった。
(なんだこの女。優秀な参謀かと思ったら、なんか様子がおかしいぞ!)
父親譲りの冷徹な頭脳と完璧な容姿を持ちながら、中身はターニャの武勇伝を語るただのファンガール。
エリザーベトは、熱っぽい眼差しでターニャを見下ろし、両手を組んで言った。
「大佐殿! 私のことは、ぜひ『エリザ』とお呼びください! 父もそう呼んでおりますので!」
「え、エリザ……少佐」
「はいっ!!」
ターニャが恐る恐るその名を呼ぶと、エリザーベトは感極まったように頬を赤らめ、嬉しそうに身悶えした。その光景は、端正な顔立ちと長身のせいで、何とも言えない強烈な違和感を放っていた。
(……もう嫌だ。この部隊には、まともな人間が一人もいないのか?)
ターニャは深い溜息をつき、話題を変えるために、ふと気になったことを尋ねた。
「ところで、エリザ少佐。君は……おいくつなのだ?」
「はい! 本年で二四歳になります!」
エリザーベトは胸を張って即答した。
その数字を聞いた瞬間。ターニャの前世の記憶を持つ論理的思考回路が、無意識のうちにある恐るべき計算を弾き出した。
(……待てよ。エリザーベト少佐が二四歳。ローゼフシルト中将は、確か現在四二歳のはずだ。
ということは、中将が……一八歳の時の子供?
そして、中将の奥方は、確か中将よりも二つ年下だと聞いたことがある。ということは、奥方が……一五歳、あるいは一六歳の時の子供……!?)
ターニャの頭の中で、パズルのピースが最悪の形で組み合わさった。
(アイツ……! 私と同じ、前世の現代文明の倫理観を共有する転生者だと思っていたのに! 十代半ばの少女に手を出すなんて、とんでもないロリコン野郎ではないかああああっ!!)
ターニャは、自らの直属の上司に対する最後の一欠片の尊敬の念が、音を立てて崩れ去るのを感じた。
後にこの質問をターニャから受けたローゼフシルトは呆れたように言うことになる。「酷い勘違いだ」と。
「大佐殿? いかがなさいましたか? お顔の色が優れないようですが……」
心配そうに覗き込んでくる、長身のエリザーベト。
背後には、ヨシフグラードの地獄と、これから始まる南部戦線での赤い津波。
「……いや。何でもない。ただ、胃薬が欲しいだけだ」
ターニャ・フォン・デグレチャフ大佐は、東部戦線の地図を力なく見つめながら、これから始まるさらなる地獄の泥沼に、静かに絶望するのであった。
ローゼフシルトの過去話いる?
-
前世まで赤裸々に見せろ!おら!!
-
転生してからの話あくしろ
-
男に興味ねぇからさっさと話進めろや!