東方キャラとオリキャラでイナズマイレブンする話 作:みかづき椛
数分後、博麗神社の上空に月の代わりに闇夜を照らす存在として猛スピードで飛行していた一人の和装の女の子が下にいる霊夢と異世界の住人の九人を見下ろしている。その場にいる異世界の住人全員が黒幕子の気迫に圧倒されていた。
「博麗さん! 危ないのでどこかに避難してください!」
リードシクティスが慌てて霊夢に叫んだが、霊夢はその場から離れる素振りを見せようとはしなかった。
「博麗神社に危機迫ってる感じなのに、離れるわけにはいかないでしょ?」
サバミは黒幕子を指差した。
「シクティスさん、あいつを異世界転移の魔法で私達が暮らす世界に飛ばしてくれ」
「そうですね……そうしましょう……!」
リードシクティスは決意を固め、右手を黒幕子に向けた。その瞬間、黒幕子もまた右手を十人に向けていた。
「……私達の世界に戻ってください!」
リードシクティスは叫びながら、水色の光線を黒幕子に向けて放った。同時に、黒幕子は黒い光線をリードシクティスに向けて発射した。二つの光線が空中で激しくぶつかり合い、衝突音が轟いた。
(この感覚まさか……ターゲットに込められた魔法はワープ魔法……!?)
二つのぶつかり合う光線の中心が異様に輝き始めた。周りの者が両のまぶたをギュッと閉じた瞬間、閃光は周囲の全員を飲み込み、博麗神社の境内から人の姿が全て消えた。
◆
「うぐっ……!」
サバミは木々に囲まれた地面に尻餅をついて着地し、うめき声を上げた。そのすぐ側にカサゴも尻餅をついた。
「いたた……あっ、お姉ちゃん! 大丈夫!?」
カサゴが慌てて姉のサバミに駆け寄った。
「あぁ、尻餅ついただけだ。ちょっと痛いけどな」
サバミは苦笑いを浮かべながら立ち上がった。その時、サバミの視界に洞窟のような穴が映った。
「何か洞窟が見えるな」
「あれは虹龍洞ね」
サバミとカサゴの背後から響いた声に、二人は一瞬驚いて振り返った。そこには霊夢が立っていた。
「あんたは……レイレイなんとか……」
サバミが曖昧に名前を口にすると、霊夢は呆れたように訂正する。
「博麗霊夢よ」
「すみません霊夢さん……虹龍洞って……?」
「あー……眠いし、説明するのも面倒ね」
「なるほどな。あんたが知ってる場所ってことは、ここはまだ幻想郷ってことか」
「そうね」
「そ、それじゃあ……みんなはどこに行ったんでしょうか?」
カサゴが不安げに呟くと、サバミは気楽に両手を首の後ろに回した。
「まぁ、ワープ魔法と察知魔法でシクティスさんが来てくれる大丈夫だろ」
「でも……封印されていたあの人が来たら……」
「心配すんなって。その気になれば私があいつの魂をいじってやるから」
自信満々にそう言ったサバミは火を付けたタバコを咥えた。
「魂をいじるって……恐ろしい魔法使うのね」
「ちなみに妹も使えるぜ。ただ、私の方がだんとつうまいけどな」
「私は悪魔の力を使うのが得意なんです」
「悪魔の力ねぇ……それにしても気弱だけど」
「まぁいいじゃん。ついでに天使の力も使えるぜ」
サバミはドヤ顔でタバコの煙を静かに吐いた。
「サラリと言ったけど、魂をいじれるし天使と悪魔の力を宿してるって……翼とかって生えないの?」
「あぁ、二人とも飛べるぜ」
「だったらここで待ってないで飛ぶわよ」
「いや、確かに私達姉妹は翼が生えるエンジェルでもありデビルでもあるが……迷子はジッとしてるのが一番なんだぜ」
「私は迷子じゃないけどね」
霊夢の表情は冷ややかだった。
「あぁ……確かにそうだな。あんたは危険な目に遭わなくていいんだ。気配が察知されないだろうから、一人で家に帰ってくれ」
サバミが申し訳なさそうに頭を下げてそう言うと、霊夢は大空へと飛び上がって姿を消した。
◆
霊夢が飛び去ってから数十分、サバミとカサゴはリードシクティスが来るのを待つため、地面に座り込んでいた。
「早く来ないかな、リード様……」
カサゴは膝を抱えて不安げだった。
「まさかやられたり――」
カサゴが喋っている途中、上空から無数の弾幕が降り注いできた。
「え!?」
「なんだー!?」
二人が慌てて立ち上がると、紫髪に黄色いリボンを付け、赤い着物を羽織った女性――駒草山如が現れた。
「胸騒ぎがして来てみれば……お前達、さっさと失せな。虹龍洞は危ないんだ」
山如の声は冷たく、弾幕がさらに勢いを増した。
「なんだあいつ……!?」
「お姉ちゃん、どうする!?」
「空を飛んで逃げるか……!? いや、危ねぇか……マジで何だこの状況……!
(あの二人……飛ばずに走って逃げるだけかい?)
山如は内心呆れていた。
その時、弾幕の隙間を縫うように霊夢が再び姿を現した。
「え……!?」
「戻ってきてくれたんですか……!?」
「さっき、あんた達に言い忘れてたことを思い出したのよ。幻想郷での戦い……弾幕ごっこをね。今から見せてあげるから、ちゃんと見ておくのよ」
「霊夢さん……か、かっこいい……」
「う……うおーい!! ツンデレだったのかよー!!」
サバミが大げさに叫んだ。山如の弾幕が飛び交う中、霊夢は冷静に動き、二人の前でその戦い方を示し始めた。