東方キャラとオリキャラでイナズマイレブンする話   作:みかづき椛

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   十二話 分裂

 霊夢は山如との戦いに勝利した。空中で繰り広げられた弾幕の応酬は、幻想郷らしい華やかさをまとっていた。サバミとカサゴは呆気にとられていた。

「見たか、カサゴ……」

「うん……ヤバかったね……」

 霊夢と山如は少し会話した後、地面へと降り立った。サバミとカサゴが二人の元に近付く。サバミとカサゴは緊張した表情で二人に近付いた。

「あんた達、外から来たのかい? どうりでただ逃げ回っていたわけだ」

 山如はサバミとカサゴの顔を見てそう言うと、カサゴは深いため息を一回ついた。

「なるほど……難しそう……ねぇお姉ちゃん」

 サバミの視線は別のところにあった。サバミは山如が手に持つ龍の形をした煙管に目を奪われていた。

「そ……それは煙管なんすか?」

 サバミは興味津々に山如が持つ煙管を指差した。

「そうだが、どうしたんだい?」

「なまらかっけー! っす! 私の持ってる煙管なんてめちゃくちゃ普通っすよ」

 サバミは服のポケットからありふれたデザインの煙管を取り出した。サバミは右手で煙管を持ち、ポケットから刻みタバコの入れ物を取り出した。

「お姉ちゃん……そんなことしてる場合じゃないよ……!」

 カサゴが慌てて注意したが、サバミは反応する様子はなく、サバミは右手の人差し指に小さな炎を灯し、左手で持つ火皿に火をつけた。

「おいおい、熱くないのかい?」

「ふっ……大丈夫です。火属性なんで」

 サバミは山如の質問に対して得意げに笑い、煙をゆっくりと吐き出した。

「お姉ちゃん……火属性ってだけでドヤらないで……」

 ムスッとサバミを見る霊夢が言葉を発する。

「ねぇ……のんびりしてていいの?」

「私は……信じてるからな」

 サバミは左を向いてから、煙管を勢いよく前方に投げつけた。

「え!? 急にどうしたの!? お姉ちゃん!」

 回転しながら飛んだ煙管は空中で突然、止まった。

「私はな……かくれんぼ鬼役で敵無しと言われてんだ……姿を見せろよ」

 サバミがそう言った時、右手で煙管を握る黒幕子の姿が現れた。

「あ……あぁ!!」

 カサゴが震える指で黒幕子を指差した。

「さすが……冥王の子孫なだけありますね」

「気配を消していたの……!? 分からなかった……!」

「察知する範囲はシクティスさんの方が広いが……狭い範囲なら私がダントツでビンビンだぜ」

 山如が霊夢の方を見て話しかける。

「さっきあんたが言っていた奴かい?」

「えぇ、そうね」

 山如が黒幕子に視線を向けた。

「……ところで、あんたは一体何者なんだい?」

「私の名は黒幕子」

 黒幕子は名乗ると、サバミは首を傾げた。

「……なんでそんな名を?」

「名乗っても私の名を知る者はいない……意味のないこと……」

 山如は黒幕子に鋭い視線を送った。

「ところで、あんた……幻想郷で何か悪巧みをしていないだろうね……」

「私の目的はこの世界の住人を集めて異世界を滅ぼすこと……」

「……え? ちょっと、それは聞き捨てならないわね。つまり幻想郷中の人達を捕まえるってこと? 捕まえるなら異世界の住人だけにしなさいよ」

 カサゴは少しショックを受けたような表情になった。

「霊夢さん……それはそ……そうなんですけど……」

「初めて幻想郷に来た時、何も感じないことに気付きました。そこで私は思いました。幻想郷の住人を操れば奇襲も容易いと。異世界を滅したら攫った幻想郷の住人は元に戻しますから」

「いやダメだろ!」

 サバミは黒幕子に向かって怒鳴ると、霊夢は右手に握るお祓い棒を黒幕子に突き出した。

「あんたの存在、博麗の巫女として見過ごせないわ」

 霊夢は一歩前に進み、黒幕子に歩み寄った。

「おい! 近付くな!」

 サバミが慌てて制止したが、霊夢は意に介さず歩を進めた。やがて、霊夢と黒幕子は3mほどの距離にまで近付いた。

「幻想郷を飛んでいたのなら弾幕ごっこくらい知ったはずよね。私と弾幕ごっこで勝負しない?」

「……霊夢さん。スペカなしで倒してあげますよ」

 霊夢の誘いに黒幕子が余裕の笑みで応じた。

「へぇ〜……いいわ……かかってきなさい……!」

 怒りを抑えながら口角を上げた霊夢は空を飛び始めた。冷静に霊夢を見ながら黒幕は少し距離を取りながら空を飛んだ。

「霊夢! そいつとサシはなまらヤベェって!」

「売られたケンカは買うまでよ! サバニ!」

「サバ煮じゃねぇ! サバミだ!!」

 サバミは一瞬で何かに察知したように表情が真剣に変わり、背中に背負っていた大鎌を両手で握って瞬時に後ろを振り返った。その時に鋭い太刀音が鳴り響いた。

「私はかくれんぼの鬼最強だって……言ったよな」

 サバミの大鎌の外側の峰に剣をぶつける黒幕子の姿が現れた。黒幕子の分裂体は両手に黒い剣を握り、少しだけ焦りが見えている。

「黒幕子がもう一人……!?」

「分裂して魔力を察知しにくくしていたんだろうが……それは力を半分にすることになる……」

 サバミは左側に純白の天使の翼、右側に漆黒の悪魔の翼が生えて飛んだ。

「なまらやる気が出たぜ!」

(……頑張って! お姉ちゃん!)

 サバミは翼を勢いよく羽ばたかせ、素早く黒幕子の背後に回り込んだ。黒幕子は一瞬で振り返り、サバミの大鎌の峰部分に剣をぶつけた。金属同士が激しくぶつかり合い、火花が何度も散った。

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