東方キャラとオリキャラでイナズマイレブンする話   作:みかづき椛

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   十三話 見えない毒

 数十分が経過した頃、サバミの空中での戦いは激しさを増し、サバミの呼吸は荒くなっていた。

(なんだ……苦しい……これはまさか……毒……!?)

「苦しいでしょう?」

 黒幕子の口元には薄い笑みが浮かんでいた。

「キクラゲの毒に比べたらなぁ……へでもねぇ!」

 サバミは強がって笑ったが、その直後に黒幕子の剣がサバミの肩に切り傷を負わせた。

「うっ……!」

 サバミがうめき声をあげた瞬間、黒幕子の右手から黒い光線をサバミにぶつけて転ばせた。

(やべぇ……! なまらやべぇ……!!)

 サバミの心臓が激しく鼓動して、ゆっくりと降下して地面に着地した。

「ハァ……ハァ……」

 サバミは立っていられなくなり、前向きに倒れた。その時に黒幕子がサバミの前に静かに降り立った。

「正体は気体の毒魔法か……くそ……」

 サバミは意識が朦朧とし始めていた。その時、黒幕子は振り返った。

「あれは……」

 黒幕子は前方50メートルほど離れた場所から、真剣な表情のカサゴが矢に冥王の魔力を込め、弓を引き絞る姿が視界に映った。カサゴは矢を放ち、黒幕子はその矢を頭で受け止めた。矢は刺さることなく地面に落ちた。

「……うっ」

 突然黒幕子が冥王の魔法に振れたことによってよろめき始めた。

「あんた今……よけなくてもいいと思っただろう?」

 近くの木に寄りかかって顔を青ざめながらも立っている山如がクールに煙を吐いた。

「ありがとう……姐さん……カサゴ……!」

 サバミは地面に膝をついたまま、左手を拳銃の形に構えた。気迫の表情を黒幕子に向けたサバミは人差し指の先から濃い青色の炎が勢いよく噴射し、黒幕子にぶつけた。しかし、青い炎は一瞬にして消え去った。サバミは地面に膝をついたまま激しい呼吸をしていた。

「どうだい……今の気分は……?」

 サバミの問いかけに対しては黒幕子は無言のまま飛び去っていった。フラフラとサバミに近付いてきた顔色の悪い山如が、龍の形をした煙管を手に持ったままサバミの元に歩み寄った。

「ひとまず……追っ払ったってことかい……?」

 サバミは申し訳なさそうに頭を下げた。

「すみません……姐さんに毒の魔法を……」

 山如同様、顔色が悪いカサゴはゆっくりと姉のサバミに歩み寄った。

「お姉ちゃん……これはやっぱり毒魔法……?」

「あぁ……これは……気体の毒魔法だろうな……しかもなまら強力な……」

 その場に天から霊夢がフラフラと降り立った。霊夢の顔も悪く、青ざめていた。

「霊夢さん……!」

「勝ったのは良いけど……凄く気分が悪い……なにこれ……」

(確かに……霊夢と戦っていた奴の魔力を感じない……凄いなこの巫女……)

 その場に息を切らせているリードシクティスが飛んで地面に着地した。

「すみません! 助けに来るのが遅れました……!」

「リード様……!!」

「シクティスさん……ナイスタイミング……早く毒の分析を……」

 サバミは力尽きたように地面に倒れた。さらに霊夢・山如・カサゴも倒れた。

「皆さん! しっかりしてください! とりあえずこの毒が蔓延しないように封印します……!」

 リードシクティスは両手を高く掲げた。リードシクティスの両手から柔らかな光が放たれ、辺り一帯を照らした。

(これであの者の毒はこの四人の中だけに……後はどう消すか……封印魔法を使ったら本人も封印されちゃうし……)

 一方その頃、腰に剣を下げているシラウオとフナの姉妹は幻想郷の暗い夜道を静かに歩いていた。フナは怯えた表情でシラウオの腰にしがみつきながら歩いていた。

「お姉ちゃん……絶対に離れないでね……!」

(離れたくても離れられないけど……)

「……あっ! ごめんお姉ちゃん! 歩きづらかった!?」

 フナは慌てて手を離し、申し訳なさそうに無表情のシラウオに頭を下げた。

「まあ……」

「お詫びに、お姉ちゃんがピンチの時に私の居合斬りで助けるから!」

 フナは元気を取り戻し、腰の剣を抜いて素振りを披露した。金属の音が夜道に響いた。

「フナ、私達が持つ剣は神剣で危ないから控えめに。あと出来るだけ静かにね」

「……ごめん」

 突然、二人の目の前に赤髪ショートヘアで青いリボンを後頭部に付けた首が、地面にコロリと落ちて少し転がった。

「NOーー!!」

 フナは叫び、シラウオの後ろから腰に再びしがみついた。

「フナが無駄に素振りするから……」

 シラウオは冷静に落ちた首に近付いてしゃがむと、落ちた首の口が開いた。

「うるさいわね」

「ぎゃーー!! 喋ったーー!」

 フナが再び叫び、シラウオはすかさず右手でフナの口を塞いだ。そして首がふわりと浮き上がり、赤いマントをまとった胴体と繋がった。そこに立っていたのはろくろ首の妖怪の赤蛮奇だった。

「あなたは何者ですか?」

「バレちゃしょうがないわね。私はろくろ首なのよ」

「ふぇ! ふにゃひにゃへにゃ!?」

 フナは口を塞がれたまま喋ろうとするも、言葉にならなかった。

「とにかく生きているなら良かったです。妹が声を荒げてすみませんでした」

 フナはシラウオの手を振りほどき、口を開いた。

「あー不死なのにびっくりした!」

「え? あなた不死?」

 フナは目を輝かせて赤蛮奇と接近した。

「私達姉妹は不死なんです! 不老ではないけどね! 首でも腕でも切り落とされたとしてもすぐ再生できるんです! それより、さっきお姉ちゃん驚いていた!?」

「え!? 別に無表情だったけど……」

 フナはがっかりしたように肩を落とした。

「そんな……首が喋ったらお姉ちゃんが驚くと思ったのに……」

「もし、私が驚くようなことがあればフナは気絶すると思うけど」

 シラウオが静かにツッコミを入れた直後、その場にリードシクティスが飛んできた。リードシクティスの表情は緊迫しており、息も乱れていた。

「リード様……!」

「シラウオさん! フナさん! サバミさん達に会いに来てください! サバミさん達が危ないです! 力を貸してください! 姉妹の無属性の魔法が必要かもしれません! お願い致します!!」

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