東方キャラとオリキャラでイナズマイレブンする話   作:みかづき椛

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   十四話 誰かにやられた早苗

 ラックとイヨカは幻想郷のどこかの暗い夜道を歩いていた。低身長のイヨカは背中の妖精の羽根をプルプルと震わせ、同じ身長のラックの背後に密着していた。イヨカの小さな手はラックの服の裾をぎゅっと握って、怯えながら歩いていた。

「お姉ちゃん……」

 イヨカの声を聞いたラックは足を止め、振り返って妹イヨカの顔を見た。

「どうした、イヨカ?」

「怖い……」

「それは見れば分かる!」

 苛立ちのラックの返事に対してイヨカは怒り顔に変わった。

「イヨカ……こんなにもうるうるしてるのに!」

「分かったから……落ち着け」

 ラックは優しく妹イヨカの背中をさすった。

「あ〜〜〜〜〜」

 突然の唸り声に、ラックは振り返った。

「なんだ……? 酔っ払いか?」

 ラックとイヨカの前から両手を前に突き出し、膝を曲げずにぎこちなく歩く額にお札が貼られたキョンシーの宮古芳香だった。

「変な奴だな……」

「敵! 噛みつくぞ〜!」

「なに?」

 ラックが反応する間もなく、芳香がラックの右腕に噛みついた。しかし、ラックの硬い腕に歯が立たず、芳香はキョトンとした表情で立ち尽くした。

「どっかいけ!」

 苛立ちながらラックは跳び、足を振り上げて芳香のお腹を蹴って芳香が倒れた。

「お姉ちゃん……ゾンビ……」

「なに? 今のが……?」

「うん……」

 ラックはイヨカの潤んだ瞳を見つめながら内心で分析する。

(こう見えてイヨカは回復魔法の天才だ。戦場では無駄な魔力を一切使わず、的確に仲間を癒す。その能力がこんな場所でも発揮するとはな)

「取りあえずここから離れるぞ!」

「うん……」

 二人はその場から走り出した。しかし、数歩進んだところで、ラックが何かに足を取られて転倒した。

「なんだ!? また死体か!?」

 ラックが見下ろすと、そこには仰向けに倒れているロング緑髪のボロボロになった巫女服を着る東風谷早苗がいた。早苗の腹部には赤い蹴られたような跡があった。

「この女……腹を蹴られたのか? さっき我が蹴り飛ばした奴とは違うようだが……」

 天から息を切らせながらリードシクティスが降りてその場に降り立った。

「ラックさん! イヨカさん! ここにいたんですね!!」

「おっ、リードか」

 イヨカは涙をこぼしながらリードシクティスに駆け寄って抱きしめる。

「神様〜〜!!」

「あの! 今はとにかくサバミさん達の所に来てください! イヨカさんの回復魔法が必要かもしれません!」

「サバミがやられたのか!? なら今すぐワープ魔法で飛ぶぞ!」

 ラックが即座に提案したが、リードシクティスの表情が曇った。

「それが……幻想郷中で異世界のワープ魔法を封じる魔法がかけられているみたいで……飛ぶしかないんです」

「そうか……ならば飛ばしてくれ!」

 その時、イヨカがそっとラックの服の裾を引っ張った。

「この人……かわいそう……」

 イヨカは早苗を指さし、優しげに目を潤ませた。イヨカは膝をつき、両手を早苗の腹に当てた。柔らかな光がイヨカの手から溢れ、早苗の腹部の蹴られた跡が消えた。

 数十分後、リードシクティスはラックとイヨカを飛行させ、サバミたちが倒れている場所へと導いた。そこには既にシラウオとフナがおり、毒の魔法で苦しむ四人が地面に横たわっていた。

「生き物以外は何でも消すってあれも聞かないのか……よしイヨカ! 早速頼む!」

 イヨカは潤んだ瞳で頷き、両手を広げた。イヨカの手から光の粒が舞い上がり、四人を包み込むように降り注いだ。

「う……」

 しかし、回復魔法を受けたサバミ・カサゴ・霊夢・山如はさらに激しく苦しみ始めた。

「くそっ……! なぜ効かない……!? 毒……毒といえば……キクラゲ! あいつも連れてきてくれ!」

「分かりました!」

 ラックに指示されたリードシクティスは急ぐように飛び始める。

 一方その頃、幻想郷にある魔法の森の奥深くをキクラゲと刀を二本腰に下げているアキスがのんびりと歩いていた。アキスは大あくびをした。

「あ〜暇だねぇ……」

「あれってもしかして!」

 突然キクラゲが何かに気付き、目を輝かせて走り出した。

「お姉ちゃん! もしかして敵!?」

 アキスが慌てて後を追うと、キクラゲは地面に生えている小さなキノコを見つけて立ち止まった。

「キノコーー!」

「……あ、キノコね」

 好奇心が止まったアキスはキクラゲがそのキノコを勢いよく引っこ抜くのを眺めた。

「いっただきま〜す!」

 キクラゲは迷わずキノコを口に放り込んで、噛み砕いた。

「……お味はどー?」

 アキスが気だるげに尋ねると、キクラゲは少し考えてから答えた。

「幻覚作用があるね〜」

「へ〜そうなんだ〜。何か見えるの〜?」

「う〜ん……私は効かないみたいで何にも見えないね〜」

 アキスはがっかりしたようにため息をついた。

「つまんないね〜」

 その時、二人の前にショートカットの黄色い髪で青い服を着て、隣に宙を浮く一体の人形が付き添っているアリス・マーガトロイドが姿を見せた。

「あなたたち、魔法の森に迷い込んだの?」

 アキスは人形を指差して尋ねる。

「それ人形?」

「え……えぇ」

 アリスが応答した瞬間、キクラゲが突然アリスの隣に浮かぶ人形に向かって右手で持つキノコを投げつけた。

「危ない!」

 人形は素早く身をかわし、キノコは地面に落ちた。

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