東方キャラとオリキャラでイナズマイレブンする話 作:みかづき椛
リードシクティス達が注目するスキマから優雅に現れたのは、長い金髪と扇と日傘を持つ八雲紫だった。
「集まった所で……異世界の住人九名、幻想郷へようこそ」
リードシクティスが八雲紫を警戒するように睨んだ。
「……あなたは?」
「私のことはさておいて、霊夢にかけられた毒は蔓延する恐れはないのね?」
「はい……」
「なら、博麗神社に連れて休ませてあげて。場所が分からないのなら案内してあげるわ」
「すみません……博麗神社の場所が分からなくて……案内を頼んでも良いですか?」
リードシクティスは八雲紫に向かって頭を下げた。
「ついてきなさい」
◆
博麗神社にある和風の寝室にいる霊夢が、顔色悪く布団で横たわっていた。八雲紫と異世界から来た九人の住人たちは鳥居の前に集まり、話し合いを始めていた。
「その冥王の魔法を霊夢に向けたら、毒の魂と一緒に霊夢の魂まで抜けてしまう恐れがある……そういうことね」
八雲紫は話をまとめると、サバミは真顔で返す。
「そうっすね……だからといって、姐さんの煙を吸いまくるわけにもいかないでしょうし……」
「でも……他に方法は無いのでしょう?」
「ふっ……紫さん。異世界の現・冥王を舐めてもらっちゃ困るぜ」
八雲紫は扇をパタリと閉じ、鋭い目つきでサバミを見た。
「舐めてなんていないわ。やっぱりあるのね……」
「私が繊細に霊夢の中の毒の魂だけを削り取る! これでどうだ!?」
「お姉ちゃん! そんなことできるの!?」
サバミは妹カサゴの問いかけに一瞬言葉に詰まり、首をかしげた。
「……さぁ!?」
(お姉ちゃん……絶対今思いついただけだよね……)
「もし霊夢が死んじゃったら……責任取ってくれるのかしら? 重い責任よ」
「まかせろ! 針に糸を万回通す作業だと思うがな! その間、禁酒してやるよ!」
サバミは自信満々に胸を叩き、タバコを咥えて火をつけた。
「タバコは吸うのかよ!」
サバミにツッコミを入れたラックは30センチ身長高いサバミの背中をジャンプして叩いた。
「おう! 任せろって!」
シラウオは冷静な表情をサバミに向けた。
(相変わらずサバミさん適当……)
「その前にサバミ。超次元サッカーって何なのか、みんなに説明したらどうかしら?」
八雲紫の言葉に、サバミはハッとした。周囲がキョトンとする中、その場に浮かぶ黒幕子が出現した。黒幕子の両手にはサッカーボールが抱えられていた。
「え……! あなたは……!」
リードシクティスは叫び、黒幕子は無表情のままサバミに向かって口を開く。
「十日後、試合をお願いします」
黒幕子は軽くボールを蹴り、サバミへと放った。サバミはそれを胸でトラップし、左足の裏で押さえた。次の瞬間、黒幕子はワープ魔法で姿を消した。
「ボール蹴って消えた……」
呆然と黒幕子がいた場所を見つめるアキスは両手に握る刀を下げた。
「どういうことだ、サバミ!」
ラックが詰め寄ると、サバミは少し照れ臭そうに笑った。
「実は……私が奴に青い炎をぶつけた時、超次元サッカーにハマるように魂をいじってやったんだ。そんで、十日後に試合することになったらしいな!」
「なるほど……いや、超次元サッカーってなんなんだ!?」
「イナズマイレブンだが?」
「知るかー!」
ラックの叫びが夜空に響き渡った。八雲紫は扇で口元を隠し、小さくため息をついた。
「せめて弾幕ごっこにして欲しかったわ……」
「……それだと幻想郷の住人に迷惑がかかるだろう?」
サバミはそう指摘すると、ラックが苛立って叫んだ。
「おい、超次元サッカーとやらが我達の世界で育った者皆できる前提になっているぞ!」
「わ……私だってアニメを数話見ただけだし……」
「とにかくみなさん……やってみませんか?」
一同の視線がリードシクティスに集中した。
「仮にやるとしても、サッカーは十一人でやるものだろ? ここには九人しかいない……最低あと二人が必要だ」
ラックが現実的な問題を突きつけると、サバミはリードシクティスに頭を下げた。
「何とか……あと二人説得頼む!」
「えっと……はい……」
「おい神! 流されるな!」
ラックの鋭いツッコミの後、八雲紫は扇をサバミに向けた。
「十日後に試合が行われることになったみたいだけど……絶対に勝ってくれるのでしょうね?」
八雲紫の質問に、サバミは自信満々に答えた。
「もちろん! この巫女の毒を消してから……あ……十日以内に治せっかな〜……」
サバミはそう言って後頭部を左手で搔いた。
「『治せっかな〜』ではない!」
ラックはサバミを蹴って勢いよく転ばせると、その背中を何度も踏みつけた。
「うぐっ! うぐっ!」
内心で八雲紫はかなりの不安がよぎる。
(だ……大丈夫かしらこの調子で……)
◆
黒幕子が超次元サッカーに目覚めてから数時間後、博麗神社内の霊夢が寝ている寝室に魔理沙が足を踏み入れる。扉を開けた瞬間、魔理沙の目に飛び込んできたのは、顔色悪く布団に横たわる霊夢の姿だった。
「霊夢……! どうした……!?」
魔理沙は一瞬焦り、周りを見渡すと、サバミが膝をつき、両手を霊夢の体にかざして冥王の魔力を注ぎ込んでいる光景と、その様子を監視するように鋭い目線を向ける八雲紫がいた。
「誰だおま――」
サバミと魔理沙が目を合わせ、魔理沙の言葉をサバミの言葉で遮った。
「あんたが魔理沙か!!」
(サバミ……魔理沙の『誰だお前』をキャンセルするなんて……)