東方キャラとオリキャラでイナズマイレブンする話   作:みかづき椛

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フォーメーション

 クリアナイト(黒幕子のチーム)
        衣玖
  玉兎 玉兎 玉兎 玉兎
  玉兎 玉兎 玉兎 玉兎
     天子 玉兎

      魔理沙
  文   早苗     萃香 妖夢
シラウオ   フナ   リード キクラゲ アキス
      ラック
 コチヤーズ(早苗のチーム)


  二十二話 ディフェンダー覚醒

 後半開始から1分経過した頃、右サイドをボールをキープしながら駆け上がる妖夢は視線を四人の玉兎に囲まれた魔理沙に移した。

「魔理沙に四人……? どうすれば……私はシュート技を覚えてないし……」

 その瞬間、左サイドを疾走するシラウオの姿が視界に飛び込む。妖夢は横の長いパスを送る。

「シラウオ!」

「ボールを受けたシラウオ選手! 魔理沙選手が四人に囲まれているため、完全にフリーだ!」

 シラウオは無表情のまま、ボールを軽く前に転がした。

「土だるま」

 ボールは人工芝を滑り、地面の土を巻き上げながら巨大な土団子へと変貌した。そしてキーパーの衣玖は無表情で右手を掲げた。

「ドリルスマッシャー!」

 衣玖の右手から銀色に輝く巨大なドリルが現れ、回転しながら土団子の表面を削り始めた。掘削音がスタジアムに響き、土の破片が付近に飛んでいった。

「無印版のドリルスマッシャー対、漫画版の土だるま! 掘削かゴールか、はたして勝つのはどっちだ!?」

 やがて土団子が砕け、いくつもの土の塊が衣玖の前に落ちる。露わになったボールを、衣玖は力強く前へ蹴り上げ、前線を走る天子がボールを受け取った。

「土だるまを止めた衣玖選手! ボールは天子選手へと渡ったー!」

 早苗の猛烈なプレスが天子に迫ると、天子は両足でボールを踏みつけ、地面に吸い込むように押し込んだ。

「モグラフェイント!」

 天子は前にジャンプして早苗をかわし、前方の地面からボールが噴き出した。

「天子選手、モんグラフェイントで早苗選手をかわした! お……おや!?」

 ボールが宙に舞うと、玉兎二人が天子を挟むように並んだ。地面から無数の岩の破片が浮かび上がり、ボールに吸い寄せられる。天子と二人の玉兎は一斉にジャンプし、天子はオーバーヘッド、二人の玉兎は横から蹴り、岩の塊を砕いた。

「ガイアブレイク!」

 三人の叫びが重なり、岩の塊が砕け散る。ボールは凄まじい勢いでゴールへ突き進んだ。その時、リードシクティスがゴール前に立ちはだかった。

「私が……守ります!」

 瞳には強い意志が宿るリードシクティスの決死の叫びに、異世界出身の者全員の表情が揺らいだ。

「ううう……!」

 右足の甲でボールを受けたリードシクティスはうめき声を上げた。だが、数秒でガイアブレイクの威力に耐えきれず、ボールは後ろに逸れる。ラックのジャンプも間に合わず、ゴールネットが揺れた。

「あっと……不運にもゴール隅にギリギリ入ってしまった! 0−8です……!」

 右サイドのアキスは姉のキクラゲに視線を向けた。

「今、リードさん、すごい魔力感じなかった?」

「うん、してたね〜」

「もしかして、今までやる気がなかった?」

「さぁ〜……試合を続けてたら分かるんじゃな〜い?」

 後半三分頃、右サイドでボールを受けたアキスは、右足のつま先から黄色の刀を出現させた。

「伝来宝刀!」

 アキスは変化した刀でボールを蹴ると、鋭い斬撃が紅葉の葉を舞う中でゴールを襲い始め、衣玖は技名を呟く。

「エレキトラップ」

 衣玖は両手で連続チョップを繰り出し、前方に雷を帯びたレーザートラップが網のように張り巡らされる。黄色い斬撃がトラップに触れると、激しい放電が起こり、ボールは高く弾き飛ばされ、アキスはムスッと唇を尖らせた。

「う〜ん……」

 地面に落ちたボールを衣玖が左足裏で止め、前線へ蹴り出す。天子がボールを受け取ると、フナが気迫の表情で胸でトラップしてボールを奪い返した。

「もうさっきと同じパターンはさせない!」

 その瞬間、天子の背中から青と黒のオーラが噴き出した。白とラムネ色の鎧をまとい、赤い軍旗を握る女型の化身――戦旗士ブリュンヒルデが現れる。

「け……化身!」

 ブリュンヒルデは軍旗を横に振り、地面に突き刺した。

「ヴァルキリーフラッグ!」

 地面がせり上がり、フナは転ぶ。そこを突くように、別の玉兎がボールを奪い、すかさず無回転のロングシュートを放つ。ラックが一瞬怯むが、リードシクティスが素早く右足でシュートを弾き返し、ラックは謝罪する。

「すまん!」

 その時、ラックはフィールドを見回してリードシクティスが四人の玉兎に囲まれているのを確認した。

「必殺タクティクス……ローリングサンダー!」

 玉兎のシュートをリードシクティスが弾く。弾かれたボールを別の玉兎が受け、再びシュート。ラックがパンチングで弾くも、玉兎たちは執拗に攻め続ける。

「リードシクティス一人を囲んだローリングサンダー! 他のDF陣はワンツーマンでマークされ、助けに行けません!」

 無表情のシラウオはリードシクティスの動きを突っ立って眺めていた。

(リードさんの動き……迷いがない。さっきまでとはまるで別人……)

「お姉ちゃん……助けに行った方が……」

 姉のシラウオに近付いたフナが不安気にそう言うと、シラウオは首を横に振った。

「今は様子見。お願い」

「なんで?」

「アキスが止まっている。お姉さんに止められているか、自己判断で止まっているのか……」

 フナは突っ立っているアキスの方を見た。

「確かにじっとしてる……速攻で勝負を仕掛けるタイプなのに……」

「あの姉妹も気付いたのかもしれない……リードさんがつくべきポジションに」

 コチヤーズのベンチではカサゴがリードシクティスの動きに釘付けになっていた。沈黙を残無が破る。

「異世界の創造神……守備に配置して正解じゃったのう」

「ど……どうりで攻撃が全然駄目だったわけです……最初の異世界の神様は破壊神と創造神で攻撃と守備を分けたのでしょうか……」

「ともかく、リードシクティスはディフェンダーをやらせるのが正解じゃな……」

 残無はフィールドで何かに気付き、鋭い目線をフィールドに向けた。

「どうかしましたか!? 残無様!?」

 日狭美が勢いよく振り返り、残無に質問した。

「キーパーが上がっている」

 フィールドではキーパーの衣玖がペナルティエリアを越え、ディフェンスラインの前を走っていた。

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