東方キャラとオリキャラでイナズマイレブンする話   作:みかづき椛

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  二十四話 ブラコン

 コチヤーズとクリアナイトの二回戦は1−9でクリアナイトの圧勝に終わり、クリアナイトのメンバーはフィールドから一瞬にして姿を消していた。コチヤーズのメンバーはベンチ前に集まって立っていた。重い空気の中、ラックは声を出す。

「あんたの指示……最初は何だこの作戦かと思ったが……実はベストだったんだな」

「……ラックと言ったな。お主、なぜ必殺技を一つも覚えていない? 試合ではほとんど役に立たなかったぞ」

「うっ……」

 残無の鋭い目線はリードシクティスに向けた。

「そしてお主、リードシクティス。なぜ攻撃が苦手だと黙っていた?」

「そ、それは……」

「お主は異世界を管理する神として、情けない姿を見せたくなかったのじゃろう。だから十一人揃っての練習をメニューに組み込まなかった。そうではないか?」

「は、はい……仰る通りです……FWは魔理沙さんだけでしたから……世界が違うと魔力が感じられないので、必殺シュートの威力が弱くても責められないと……」

 残無は深い息をつき、厳しい口調で続ける。

「そのせいでチームに別の問題が起きた。異世界の住人に問う。正直、魔理沙のパワーを『そこそこ』だと思っていた者は挙手しろ」

 その言葉に、リードシクティス、フナ、シラウオ、キクラゲ、アキス、カサゴ、ラックの七人が手を挙げた。

「そこの妖精以外、全員か……」

「え、私のパワーがそこそこだと思われてたのか!?」

 リードシクティスが慌てて魔理沙に頭を下げた。

「すみませんでした!」

 射命丸文がハッとした表情で口を開いた。

「そういえばほとんど魔理沙さんにボールが来ていませんでしたねぇ」

「一生ボール来ないかと思ったな」

「私は情報屋なのに魔理沙さんのパワーが強いのは当たり前すぎてチームメイトにそのことを言いませんでしたね……」

 早苗の顔がパッと明るくなった。

「よーし! 皆さん、私にしっかりついてきてくださいねー!」

「キャプテンらしい明るさ、いいですね!」

 そう言ったフナは早苗につられるように明るい表情に変わっていた。

「みなさん! 次こそ勝ちますよー! せーの! えいえいおー!」

 キャプテン早苗の掛け声に誰も乗らなかった。魔理沙が苦笑しながら早苗に言い放つ。

「まさか『えいえいおー』とか言い出すとはな!」

 場は笑いに包まれた。残無はベンチの端で微笑み、その様子を静かに見守っていた。

 コチヤーズ対クリアナイトの第二試合が終了した日の夜、空中に浮かぶサッカースタジアム内に、リードシクティスの一人部屋に早苗が訪れた。水色のパジャマ姿のリードシクティスはベッドに座り、元気のない声で早苗を迎える。

「キャプテン……」

「ほんとに、まったくですよ! 攻撃が苦手なのに隠してたなんて!」

 早苗は軽い怒りを込めてそう言い、すぐに穏やかな表情へと変わった。早苗は椅子に座り、リードシクティスと目を合わせた。

「リードさん、めっちゃ親しみやすい神様ですよね。なんていうか……威厳がないっていうか! あ、いい意味でですよ!」

「分かっています……早苗さんは良い人に見えるので」

「私だって、はっちゃけて『変なTシャツヤロー』とか言ったんですけどね」

「え……そんなに変なTシャツだったんですか……?」

 リードシクティスはそう言うと、早苗は両頬を少し膨らませた。

「とにかく! これからは隠し事無しでお願いしますね!」

「もちろんです。今回の件で、キャプテンに隠し事をする人はいなくなると思います」

 リードシクティスのその言葉に、早苗の表情が一瞬曇った。

「誰も隠し事しないといいですよね……」

「神と言えば、早苗さんもすごいですよね。現人神なんですよね?」

「大変なんですよ。信仰を集めなきゃいけないし」

「超次元サッカーで信仰が集まると良いですね」

 リードシクティスはそう言うと、早苗は天井を見上げて数秒間黙り込んだ。

「集まるかな……超次元サッカーで信仰って……」

「キャプテンやってたら絶対集まりますよ! 信仰!」

「え!? 信仰が集まったら、すごいパワーで私でも得点出来ますかね!?」

「出来ますよ!」

「う〜ん……パワーと言えば……リードさん、一応すごい魔力は持ってるんですよね?」

「はい……でも、それを防御に使うのは得意だけど、攻撃に転換するのは苦手で……」

「やっぱり、残無さんが言ってた破壊神の弟さんと、好守で役割が分かれてるから……?」

 早苗の問いに、リードシクティスはうつむいた。

「それもありますけど……昔、純真無垢な弟に『僕が攻撃で、姉貴が防御だね!』って言われたことがあって……それが試合中、ずっと頭に引っかかってたんです……それもだいぶ影響してて……」

(うわぁ……ほんとにブラコンだ……)

 早苗は内心で呟き、遠くを見るような目つきになった。

「私は異世界を管理する神なんで、一時間後には異世界に戻らなければいけません」

「大変ですね……」

「他の異世界の神と会って話さなければいけませんし……大変と言えば大変です。なので、このベッドで寝ることはないかもしれません」

 早苗が突然身を乗り出し、ハッとした表情で言った。

「もしかして……弟さんと寝たいとか!?」

 リードシクティスの頬が真っ赤になり、慌てて早口で反論した。

「やめてください! そ、そりゃあ異世界に戻ったらすぐ弟を抱きしめますけど!」

「それもヤバいですよ……!」

「え!? ヤバくないですよね!? 弟を毎日ギュッと抱きしめることくらい!」

 リードシクティスは勢いよく立ち上がり、早苗の前で反論した。

(反論してきたけど逆効果のような……)

「私の弟がどんな人でどんな反応をするか、聞いてから私がヤバいかどうか判断してもらってもいいですか?」

「え……はい……」

 その後、早苗はリードシクティスの弟についての話を困惑しながら一時間聞き続けることになる。

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