東方キャラとオリキャラでイナズマイレブンする話   作:みかづき椛

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二章 砂と永遠亭
  二十五話 落とし物


 コチヤーズとクリアナイトの第二試合の数日前、博麗神社の鳥居前に立つサバミは、左手で火のついたタバコを持って口に咥えて、幻想郷の青空を見上げていた。

「……誰か来た」

 サバミの視線の先の空から亜麻色の髪を真ん中分けにし、左右を髪飾りで二つ結びにして、白い半袖の赤い服に虹色の勾玉が首元につけている玉造魅須丸が降りてきた。

(なんだこの……おでこフェチ心をくすぐるレインボー勾玉女子……!)

 数分後、霊夢のお見舞いを終えた魅須丸は鳥居の前でサバミと明るく言葉を交わしていた。

「いや~、霊夢ってマジで愛されてるよな! みんな心配して来るし!」

「陰陽玉の継承者を失うわけにはいきませんから……サバミくん、治療はどれくらいで終わりそうです?」

「あと数日後かな……次の試合には間に合わなさそうだけど……」

「試合?」

「超次元サッカーの話だ!」

 サバミは足元に転がっていたサッカーボールを拾い上げ、魅須丸に差し出した。

「あんたも参戦してみないか?」

 魅須丸はボールをじっと見つめ、突然目を大きく見開いた。

「まんまるじゃない!」

(う〜ん……この人は参戦しねえな。なんか分かる)

「とにかく! 博麗霊夢くんのことは頼みましたよ!」

「任せとけ! 異世界の冥王、サバミがバッチリやってやる!」

 サバミは自身満々に胸を張るも、一瞬で凍りついた表情に変わった。

「あ……冥王の鎌」

「鎌?」

「忘れてた……! 冥王の鎌、持ち帰るの忘れたんだ! あれはなまら大事でなまら危険な武器なんだよ!」

 慌てる様にサバミは付近をウロウロと歩き始めた。

「どこに忘れたか心当たりは?」

「なんか……山の近くの何かの入り口があったような……」

「もしかして、虹龍洞?」

 魅須丸の言葉でサバミはハッとした。

「あ、確かそんな感じの!」

「案内してあげますよ。飛べますか?」

 サバミは背中に天使の翼と悪魔の翼を生やし、自信満々に答える。

「あぁ! 飛べるぜ!」

 虹龍洞の入り口付近、木々の間に異様な存在感を放つ大鎌が地面に突き刺さっていた。そこへ、灰色のロングヘアをなびかせ、手にはスコップとツルハシが握られ、濃い緑色の服に身を包む姫虫百々世が近付いてきた。

「ツルハシ……? いや、鎌か……」

 百々世は冥王の大鎌に触れようと右手を伸ばした。

「触るな!!」

 叫び声が響き、百々世の手が止まる。百々世は上を見ると、天使と悪魔の翼を広げ、宙に浮かぶサバミが睨みつけていた。

「誰だおめーは」

 サバミは素早く大鎌の柄を掴み、地面から引き抜いた。

「いや~、悪いな! これはなまら危険な鎌でな! 私しかまともに持てないんだ!」

 サバミは照れ笑いを浮かべ、右手を後頭部に当て、逃げるように飛び去った。

「なんだったんだ、あいつ……」

 百々世はサバミが一気に飛び去る背中を呆然と見送った。

 飛行中のサバミの背後から、魅須丸が追いついて並んだ。

「異世界の住人はまだ弾幕勝負ができないんですか?」

 サバミは前を向いたまま苦笑した。

「魅須丸さん……弾幕勝負はムズいっすよ……」

 サバミは視界の端で白い物体が地面に落ちているのに気付き、サバミは速度を落とした。

「今のなんだあれ……?」

 サバミはゆっくりと地面に降り立つと、魅須丸も軽やかに着地した。二人の視線の先には巫女のお祓いに使う白い紙垂が付いたお祓い棒が草むらに転がっていた。

「お祓い棒ですね。博麗霊夢くんが落としたのでしょうか?」

 サバミはしゃがみ込み、お祓い棒を拾い上げた。

「これは私が持ち主にちゃんと返しておこう」

「ちゃんと忘れずに返してくださいね。サバミくんは約束を忘れそうだから」

 サバミは穏やかにムスッとした。

「酷いな! 私は異世界の冥王だからちゃんとやるって!」

 コチヤーズとクリアナイトの第二回戦の翌朝、博麗神社の鳥居前に立つ巫女服姿の博麗霊夢は苛立ちの顔付きで幻想郷の青空を見上げていた。

「調子はどう? 霊夢」

 近くに立つ茨木華扇が心配そうに尋ねた。

「全然良くない! 後遺症か何かで手が痺れてお祓い棒が持てない! これじゃ異変解決に行けない!」

「治療終了時にサバミが言ってたじゃない。『手の痺れはそのうちなくなる』って」

「博麗の巫女としての勘が言ってる! あの言い方はだいぶ時間がかかるって!」

(確かに……細かい日数は言ってなかったけど……)

 一方その頃、空中に浮かぶサッカースタジアムのミーティングルームではコチヤーズのメンバー全員が集まり、真剣な表情だった。そこへ、満面の笑みを浮かべたサバミが入室した。

「おーっす!」

「『おーっす!』とはなんだくそサバ! この二試合で大変だったんだぞ!」

 ラックが怒りを込めて叫び、メンバーたちが一斉にサバミに詰め寄る。四方八方から押し寄せる状態になり、ミーティングルームが騒がしくなった。

「お姉ちゃん、ちゃんと治療は済ませた?」

 どこからかカサゴの声で質問し、サバミは苦しみながらも答える。

「あぁ! もう毒は消えた……! お前ら押すな! あとラック、足を噛みつくな……!」

「今から黒幕子のところに行って元に戻してこい!」

 ラックの提案に、サバミは首を振った。

「えー……まだ私が試合に出てないのにか……?」

「ラックさん、せめてあと一試合しましょう。そして負けたら全ての責任をサバミさんに押し付けましょう!」

 早苗が明るい笑顔で提案すると、ラックの表情が少し落ち着いた。

「そうだな! キャプテンの言う通り、負けたら全責任をサバミに押しつけよう!」

(お……あのラックが大人しくなった……こいつはなまら良いキャプテンになるな……いやもうなってるか)

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