東方キャラとオリキャラでイナズマイレブンする話   作:みかづき椛

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  二十六話 歯に優しいケーキ

 落ち着きを取り戻したミーティングルームではサバミが二試合の内容を聞き終えた。

「そうか……私がいれば、シクティスさんはDFが相応しいってすぐに言えたのだがな……」

 サバミの言葉にラックは悔しそうに呟く。

「くっ……! こいつなら言い当てられそうなのがイラッとするな……!」

 魔理沙はサバミに近付く。

「サバミ、お前は人の心を読むことが出来るらしいな。さとり妖怪ではなさそうだが」

「出来るっちゃ出来るが……こっそり心を覗いたり、人を傷付けようとはしないから安心してくれ!」

 早苗は息を大きく吸って声を張り上げる。

「とにかく! 皆さん! まじめな話をしましょう! リードさんみたいに、ポジションを変えたいって人はいませんか?」

 勢いよく立ち上がったアキスが右手を挙げた。

「はいはーい! 私、FWが良い!」

「じゃあ……リードさんと入れ替えで、アキスさんはFWになりましょうか」

 早苗はアキスにそう言うと、サバミが左手を挙げた。

「提案なんだが……シクティスさんにポジションの適正審査する機械とか作るってのはどうだ? また誰かが『本当はあそこのポジションが良かった……』ってならないようにさ」

 サバミの提案に周りは静まり返った。

 数時間後、コチヤーズのミーティングルームに、青いロングヘアに緑色の頭巾を被り、黄色いワンピースに緑色のエプロンをまとった埴安神袿姫が現れた。妖夢は袿姫を見て、驚きの声を上げた。

「あ……あなたは……!」

 フナは妖夢の驚いた表情にそっと近付く。

「妖夢さん、知っているんですか?」

「あの人は……埴輪を作る人です。杖刀偶磨弓という埴輪兵団の長とも会ったことがあります」

「上等だぜっ! 杖刀偶だけに、ってか!」

 サバミが突然ダジャレを放ち、隣に座るカサゴが呆れた顔で呟く。

「お姉ちゃん……つまらない冗談は止めて……」

 早苗が袿姫に向き合い、穏やかに尋ねた。

「あの……ここへ一体何しに?」

「お前たちの特訓相手を造形してやろう」

 サバミがハッと目を見開いた。

「造形って……まさか埴輪!?」

「その通り……偶像《アイドル》がユニフォームを着てサッカーなんて面白そうだと思ってね……」

「埴輪がユニフォーム着てサッカーとか、アニメであったな……」

「お姉ちゃん……そんなシーンあったんだ……」

 二十分後、室内のサッカーコートのセンターサークルにサッカーボールの前に黄色いユニフォームを着た無表情の埴輪が一体立っていた。コート内にはサバミ一人が立ち、コートの外ではコチヤーズのメンバーと袿姫がにこやかに見守っていた。

「脚、結構短くないからラボーナとかできるな」

 サバミが埴輪の脚を見ながら呟いた瞬間、埴輪が突然動き出し、サバミに向かってドリブルを始めた。ボールの奪い合いが発生、結果は埴輪がサバミを鮮やかに抜き去り、シュートを撃ってゴールネットを揺らした。

「うわっ! すげぇ!」

 サバミが驚きの声を上げると、コチヤーズのメンバーが埴輪の周りに集まった。決勝ゴールを決めた英雄を迎えるような熱気だった。

「お前、凄いな!」

 ラックが埴輪を褒めるが、埴輪は無言で真顔のまま、口を開いたままで表情を崩さずにいた。

「お姉ちゃん……普通に抜かれちゃったね。お姉ちゃんも埴輪作りに協力したのに」

「結構じっとしてたから腕がなまって……いや、脚がなまってたからな……」

 数分後、コートの上空に、10cm角のカメラ付き立方体が浮かんだ。リードシクティスが説明を始める。

「今、上空にカメラを出現させました。これから全員一人ずつ、オフェンス、ディフェンス、キーパーをやってもらいます」

 キクラゲがからかうように笑った。

「なるほど〜これでリードちゃんみたいに隠している人も炙り出されるってわけね〜」

 リードシクティスは頬を赤らめ、声を上げた。

「うぅ……皆さん、やってください!! それでやるべきポジションが決まるはずですから!!」

 一時間後、埴輪との様々なシチュエーションでの一対一を終えた結果、カメラが空中にモニターを映し出した。アキスと魔理沙がFW、シラウオ、フナ、キクラゲ、ラック、早苗、妖夢がMF、リードシクティス、サバミ、カサゴ、射命丸文がDFと表示された。

「これは……いったい基準はなんだ?」

 ラックがモニターを指差し、疑問を投げかけ、リードシクティスが答える。

「プレーの内容、表情、性格などを参考にしています」

 サバミが悲しげに下を向いた。

「なんだ……私、ディフェンダーか……」

「お姉ちゃんは最近サッカーしてなかったからね」

「あぁ……できても一人ドリブルだしな」

「ちょっと待て! 我がMFでキーパーがいないぞ!」

 ラックは叫び、コチヤーズメンバーはキーパーの素質がある者が一人もいないことを確認した。

「ラックは底なしのスタミナがあるからな……」

 サバミがラックの特徴を静かに説明すると、早苗がハッとした。

「本当ですね……じゃあ誰がキーパーをやるんでしょう……?」

「それじゃあ私がやりましょうか?」

 リードシクティスが提案すると、サバミが首を振って否定した。

「ダメだシクティスさん。あんたは反射神経が微妙なドジっ子だからな」

「え……!?」

「反射神経も弟にいってるし、シクティスさんもパワーはあるが、そのパワーは攻撃にいかないって感じなんだ」

 サバミの言葉に、リードシクティスはうつむいた。

「なるほど……って自分のことなのに納得しちゃいました……ほんとに駄目ですね私は……」

 早苗が馴れ馴れしくリードシクティスの肩を組んだ。

「大丈夫ですよ! リードちゃんは強いですから!」

 リードシクティスの目が潤んだ。

「うぅ……キャプテン……ありがとうございます……」

(あとは早いとこキーパー技を覚えるメンバーを加えなければな……キーパーが一番辛いから、募集しても来るだろうか……不安だな)

 真顔な表情のサバミは内心そう呟いた。

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