東方キャラとオリキャラでイナズマイレブンする話   作:みかづき椛

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  二十九話 落とし穴

 数日後のクリアナイトとの第三試合の朝、サッカースタジアムのミーティングルームの引き戸が勢いよく開き、霊夢が勢いよく引き戸をガラッと開けて入ってきた。

「おっ! 霊夢! 試合出る気になったか?」

 サバミが立ち上がり、笑顔で声をかける。

「……お祓い棒は持てない、スペルカードも使えない……もうほんとうんざり! サバミ! いつになったら治るの!?」

 そう言う霊夢の表情は本気で怒り狂っていた。射命丸文が内心冷静に呟く。

(霊夢さんかなり怒ってますねぇ……試合に出るつもりなのでしょうか……非常に気になります……)

「霊夢さん! 大変申し訳ございません! もしよろしければこれを着けてください……!」

 リードシクティスが深々と頭を下げ、黒い手袋を両手に持って霊夢に差し出した。

「これはなに?」

「痺れに強くなる手袋です……」

「もう意味ないんじゃないの……? 一応つけるけど」

 霊夢はリードシクティスに手袋を装着してもらい、ため息をついた。

「さて、霊夢が来た所で永遠亭に向かうとするかのう」

 ミーティングルームに座っている残無が静かにそう言い、隣には日狭美もいる。フナが後ろに座る残無を見て、内心呟く。

(総帥……その口ぶりはまさかあの巫女さんを待っていた……? そんなに頼りになるってこと……?)

「異世界の神と、サバミ、ちょっとだけ話いい?」

 霊夢はそう言うと、サバミとリードシクティスが霊夢に近付いた。

「あぁ……なんだ話って……」

「一応、ミーティングルームを出て三人だけで話しましょう」

 霊夢の提案で、三人はミーティングルームを後にした。早苗が後ろに座る魔理沙に尋ねる。

「そういえば魔理沙さん、最近帽子被った姿を見せませんね」

「前に霊夢の所に寄った時に忘れてしまってな〜……! ははは……!」

 魔理沙は視線を逸らし、薄ら笑いを浮かべた。

(霊夢……まだ手の痺れが治らないのか……)

 コチヤーズのミーティングルームから離れた廊下で、霊夢・サバミ・リードシクティスの三人が真剣な表情で向き合っていた。

「それで突然なんだけど……その黒幕子って、前に幻想郷に来てたりしてない?」

「前にですか……?」

 霊夢の質問にリードシクティスは考え込んだ。

「百年前は私、生まれてないけど……なんかどっかで会ったことあるような気がしてね……」

「記録では百年もの間、一度も封印が解けていなかったらしいのですが……」

 サバミはとぼけた笑みを浮かべた。

「一回対決した時に何かを感じたってことか。それで、何か根拠はあるのか?」

「勘だけど」

「勘かい! なぁ霊夢、メタ発言風に言うと、あいつは完全オリジナルキャラだからな」

「黒幕子は出身である北海道で亡くなってから異世界に転生しました。その後、第二の異世界の神になるため、異世界を創った神に力を注がれ暴走し、宇宙に封印された。それで百年経ち……」

 リードシクティスの説明途中で霊夢は右手を振った。

「もういいわ」

「勘なんて不確かなものを当てにしないほうがいいぜ」

「……別に、もうこのことは気にしないから大丈夫よ」

「そうか! 切り替え早いな!」

 数十分後、コチヤーズ一行は、迷いの竹林の薄暗い小道を進みながら数人が大声で叫んでいた。

「もこー!」

「てゐー!」

「……ねぇ。本当に大丈夫?」

 霊夢が不安げにリードシクティスに尋ねる。

「まぁ……一旦迷ったら、私たちの魔法でなんとか戻ってこれるので……」

 数十分後、シラウオが突然足を止め、鋭い視線を前方の地面に送った。

(穴がある……)

 その瞬間、前を歩いていたリードシクティス・フナ・アキス・キクラゲ・サバミ・カサゴが突然現れた2メートルの落とし穴に落ちた。穴からは悲鳴などが響く。妖夢が穴を覗き込み、真顔で呟く。

「前を歩いていた異世界の住人が落ちましたね……妖精のイヨカは後ろにいたから無事でしたが」

 アキスが素早く壁を二回蹴り、軽やかに地上へ飛び出した。

「うわっ! すごい身体能力ですね!」

 妖夢が驚きの声を上げ、霊夢が冷静に呟く。

「……よりによって飛べない異世界の住人が落ちたわね」

「私たち姉妹は飛べるぜ!」

 サバミがドヤ顔で背中に天使の白い翼と悪魔の黒い翼を生やして飛び上がった。カサゴも黒い悪魔の翼を広げ、穴から脱出した。

「や……やるなサバミ……」

 魔理沙が少し動揺してそう呟くと、イヨカが泣きべそをかきなぎら穴に向かって走る。

「お姉ちゃーーん!」

 叫んだイヨカは穴の底のラックに駆け寄り、地べたに寝そべって右手を差し出した。

「つかまってーー!」

「イヨカじゃ無理だ。止めとけ」

 ラックが冷静に返し、一回のジャンプで地上に戻る。イヨカの顔がパッと明るくなった。

「やっぱりすごいジャンプですね。それでもキーパーに向いてないんですか?」

 射命丸文が尋ねると、ラックはうつむき、首を傾げた。

「う〜む……そうらしいな。早くゴールキーパー向いてる人が出てきて欲しいものだ」

「お姉ちゃーーん! 助けてーー!」

 フナの悲鳴が響くと、シラウオが仰向けになり、右手を穴に差し出した。

「ジャンプしてつかんで」

「お姉ちゃん……気付いていたならすぐ教えてよ……」

「……ごめん」

 僅かに表情を崩したシラウオが謝ると、フナは姉の手をつかんで引き上げられた。

「もう……お姉ちゃんはこういう所が抜けてるんだから……」

(ぬけぬけのフナが何を言っている……)

 ラックが横目でフナを見ながら内心ツッコんだ。リードシクティスはゆっくりと上昇すると、心配そうに穴の下にいるキクラゲを見た。

「私は飛べるのですが……キクラゲさんは……」

 魔理沙がうつ伏せになり、キクラゲに手を差し出した。

「ほらキクラゲ。キノコを抜くみたいに引き上げてやる」

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