東方キャラとオリキャラでイナズマイレブンする話   作:みかづき椛

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  三十九話 力を放出

 フィールドやベンチにいるコチヤーズメンバー数名は叫び、八雲紫に向かって走り始めた。サバミが八雲紫近づく。

「紫さん! 最後のプレー! めちゃナイスでした!」

「ふふ、これくらい朝飯前よ」

「その前に大コケしたのはどこのどいつよ……危うく作戦が台無しになる所だったじゃない」

 霊夢が冷ややかな目で突っ込む。紫が言葉に詰まり、顔を赤らめる。

「……終わりよければってことよ霊夢」

 その時、黒幕子がゆっくりとリードシクティスの前まで近付いた。

「黒幕子さん。コチヤーズが勝てばどうするか、覚えていますよね」

「はい。私が異世界の神になるために与えられた力を封印する。それでいいですね」

 リードシクティスは恐る恐る両手を黒幕子に当て、魔法で込められた力を一分間放出させると、黒幕子が空を飛び始めた。

「……もういいでしょう」

「おい!」

「試合が終わったから握手しよーぜ!」

 黒幕子が数秒間、サバミの手を見つめ、遠い記憶が蘇る。

(お前……俺達のパーティーに入らないか?)

 苦い表情の黒幕子は姿を消した。

「おーーい!! 次はガチだからなーー!!」

 サバミは空に向かって叫び、左手の掌を広げ、大きく振った。

「サバミ、次の試合もハンデをねだったほうがいいのではないか?」

 ラックの言葉にサバミは首を横に振る。

「いや! あいつがくれるハンデに頼っちゃ駄目だ!」

 その瞬間、クリアナイトのメンバー十一人が一斉にフィールドに倒れ込む。

「ウドンゲ!」

 永琳が叫び、慌ててウドンゲの元に駆け寄る。意識を失った選手たちはうなされていた。

 上空に砂のフィールドが消えた永遠亭の和室にコチヤーズ一行と永琳、輝夜、妹紅が集まっていた。

「皆さんの容体は……?」

「……毒に侵されていたわ」

 リードシクティスの質問に永琳は答え、一同が驚きの表情に変わる。サバミの顔が青ざめていた。

「もしかして……霊夢が食らった毒か!?」

「ウイルスに似た毒ね」

「もしかして……また私が治療しなきゃ……」

「その心配はないわ。治療は私が治すから。あなたは超次元サッカーの特訓をしていて」

「え!? 異世界の毒なのに!?」

「さすが月の頭脳だぜ。よかったなサバミ」

 魔理沙がニヤリと笑ってサバミの肩をポンと叩いた。

「うぅ……良かったぜ……!」

 数分後、永遠亭の入口で永琳、輝夜、妹紅、依姫がコチヤーズを見送ろうとしていた。サバミは依姫の前に立った。

「ほんとに依姫は私達と共にサッカーをしないのか?」

「はい。レイセン達が回復したら一旦、月に帰ろうと思います」

「そうか……気が向いたらまたサッカーしようぜ!」

 サバミが笑顔で依姫に左手を差し出す。依姫が微笑み、握手に応じた。

「おいおい……それより宴はしないのか〜?」

 フラフラと体を揺らしながら萃香は早苗に尋ねるも早苗は

「宴はしません! 特殊ルールで勝ったので! 本来はボロ負けなんてすよ?」

「キャプテンがそう言うなら仕方がないですよ」

 カサゴは苦笑いしながら萃香に向かってそう言った。

「あっ……実況やってたカナいる?」

 永琳が呼びかけると、緊張気味で兎の耳をプルプルと震わせながらカナが前に出る。永琳が黒い丸薬の入ったビンを渡す。

「喉に効く薬よ。痛い時に飲んで」

「い……いいんですかぁ〜?」

「ウドンゲがいなくて寂しい思いをしていた私に寄り添ったお礼よ。実況、頑張ってね」

(寄り添ったって言うか……あれはサバミさんが無理矢理私を押し付けたと言うか……)

 カナは内心そう思いながら、笑顔を永琳に向けた。

「ありがとうございます〜!」

 カナがお礼を言ってお辞儀すると、永琳がカナの頭をわしゃわしゃと撫でる。

「ふ……ふえぇ〜ん……せっかく整えたのに〜……」

 カナが泣き顔になる。周囲がクスッと笑い、和やかな雰囲気に包まれた。

 その日の夕方、幻想郷に浮かぶサッカースタジアム内の早苗の部屋にサバミとカサゴの姉妹が穏やかな表情で入ってくる。早苗が立ち上がり、二人を迎える。

「キャプテン、私達姉妹を部屋に呼んでなんか話すのかい?」

「はい……何か話したくて……」

 不安気の早苗の肩にサバミが手を置く。

「キャプテンが暗い顔してたらチームの雰囲気も暗くなるぜ!」

「確かに……そうですね」

「辛かったらキャプテン止めても良いんですよ……?」

「いえ! それは譲るつもりはありませんよ! キャプテンが私でなくなったらチーム名を変えなければいけません! そうなれば信仰が……」

「分かった分かった。とにかくキャプテンを積極的にやってくれるのはありがたいぜ!」

「そうです! なにか明るい話をしましょう!」

「そうですね……姉妹のことについてお話したいです!」

 数時間後、部屋を出たサバミとカサゴがスタジアムの通路を歩いている。

(妹だから分かる……お姉ちゃんは何か隠している……それを絶対言わないのも知っている……暴いた方が良いのか気にしない方が良いのか……)

「なぁカサゴ……」

 考えごとをしているカサゴは姉から話しかけられて驚いて跳びはねた。

「ひゃー! どうしたのお姉ちゃん!?」

「話しかけただけで驚き過ぎだぞ……カサゴ、異世界の悪魔の力を使わない方が良いかもしれん……私がミキシトランスした時、あいつ睨んでた」

「黒幕子が……?」

「過去に異世界の悪魔と何かあったのか知らんが……とにかく、悪魔化は止めとけ」

「うん……」

(あいつと悪魔に何があったか……シクティスさんに聞かなければな……)

 数時間後、左手にお祓い棒を持ったサバミが山道を一人歩いている。

「ちゃんと一人で来て偉いだろ。これ渡すぜ」

 足を止めたサバミが目の前の人影に向かってお祓い棒を投げた。空中で縦に回転するお祓い棒をサバミの目線の先にいる者が素手でつかんだ。

「じゃあな」

 サバミは天使と悪魔の羽根を生やし、飛び去った。

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