東方キャラとオリキャラでイナズマイレブンする話 作:みかづき椛
四十 話 幻想郷最速と秋が好きな二刀流剣士
コチヤーズ対クリアナイトの第三試合の翌日の朝ごろ、幻想郷の人里近くに浮かぶサッカースタジアムのミーティングルームではサバミがホワイトボードの前に立ってコチヤーズのメンバーに熱く語りかけていた。
「とにかく、攻めと守りの両方を強くしなきゃ勝てない! 稲妻のように素早く切り込む速さ、電光石火のスピードストライカーが必要なんだ!」
「確かに、ストライカーは欲しいですよね!」
早苗はそう言うと、サバミは席に座るアキスを指差した。
「私達の中で可能性があるのはアキス! お前だ!」
指を差されたアキスが席から立ち上がって驚く。
「私?」
「どうだ? ストライカーにならないか?」
「う〜ん。候補が私しかいないならやるけど?」
「背番号10番を背負ってくれるのか!」
アキスが数秒黙り込み、覚悟を決めたようサバミと目を合わせる。
「本当は二刀流っぽい背番号11が良かったけど、ジャンケンで妖夢に負けたし、もう何でも良いよ」
「よーし、決まりだ! 次は……オーラを渡す側だ!」
サバミは歩き出し、射命丸文の前に立つ。
「あんた……情報屋だったか……」
「そうですけど?」
「あんたなら分かるんじゃないのか? 幻想郷で最速の人が誰か……教えてくれ! 候補でもいいから!」
サバミは頭を下げると、射命丸文はドヤ顔で立ち上がった。
「幻想郷最速と言ったらここにいます! 清く正しい私がね!」
「え!? まじ!? なまら動きが速い!?」
「えぇ…………つまり、私の能力をアキスさんにプラスし、ストライカーを作ると」
「よし決まりだ! 次のクリアナイト戦までミキシマックス成功させるぞー!」
サバミが満面の笑みで左手を天井に突き上げる。
「なんか知らないですけど、成功すればこれで点がたくさん入るってことですね!」
「そうだぜキャプテン!」
リードシクティスが立ち上がり、サバミの前に歩み寄る。
「それじゃあ早速、ミキシマックスしますか?」
「だが、せっかくミキシマックスするんだ! ベストマッチを目指そう!」
「ベストマッチ?」
「私がミキシトランス・ガンをシクティスさんと作った時、なまら仲良い状態だと髪色が変わるだけじゃなく、髪型も変わるように設定したんだ!」
「なるほど……私とアキスさんが仲良しになればミキシマックスした時に通常より強くなると……」
「私達、いっとき同じポジションだったたけど。まさか合体するなんてね」
アキスはそう言って笑顔を射命丸文に向けた。
「ミキシマックスする前に仲良くすることはとても大事だと思います。私のことを深く知れば、私の能力をうまく扱えるでしょうし」
「よし決まりだ! どう仲良くするか二人で決めてくれ!
射命丸文とアキスが真顔で間近で見つめ合った。
「仲良くするって言ったって、剣で戦うぐらいしか思いつかないけど」
「なるほど、なら剣で良いですよ。ただし、戦いの舞台は空中です」
射命丸文の提案でアキスが少し困惑する。
「空中? 私飛べないよ?」
「良い案があります。リードさんの魔法でアキスに翼を付けてもらうんです。これでフェアじゃないですか?」
「それいいね! やってみよう!」
◆
空中に浮かぶサッカースタジアムから少し離れた空で、アキスと射命丸文が至近距離で向き合っていた。アキスはリードシクティスの魔法で濡羽色の羽根を生やし、射命丸文と共に両手に木刀を両手で握り、翼を羽ばたかせていた。アキスが内心呟く。
(なるほどね、私は剣が得意だけど空を飛ぶのは苦手、文はその逆……確かにこれは平等だ)
「お互い、得意な能力を使って良いこととしましょう。私は風、アキスさんは……」
「私が今できるのは雷! よろしくね!」
アキスが笑顔で挨拶すると文が勢いよくアキスに迫り、木刀を振るう。
「うわ〜! っとう!」
空中でフラフラとバランスを崩すアキスが木刀を構えるが、文の攻撃が脇腹を捉える。
「いたた〜! やるね! じゃあ反撃行くよ!」
アキスが勢いよく太刀を振るが、文が軽やかにかわし、背中を木刀で叩く。
「うっ……! さすが文……!」
「楽しそうですけど早く空を飛ぶのに慣れないと、やられるだけですよ」
◆
数分間、アキスが一方的に攻撃を受けるが、文が内心気付く。
(だんだんとアキスの速度が上がっている……もしかして空を飛ぶのに慣れ始めた……?)
アキスの移動速度と攻撃速度が上がり、文が苦戦し始める。
「うっ……!」
脇腹に攻撃を受けた射命丸文はよろめいて血反吐を吐いた。アキスが少し距離を取る。
「やりますねぇ〜……アキスさん……」
「……ねぇ文、乱れている気がする。あんたの心が」
「こ……心が!?」
「悩みがあるなら全部ぶちまけちゃえば!」
数秒の沈黙の後、射命丸文が口を開く。
「本当は剣よりペンを握りたいんです。でも……状況が……」
「ペン……そう言えば新聞記者だったね」
「ペンを握っている場合ではなくなったのです……私も……大切な存在を攫われたんですよ」
「ふぅ〜ん」
「攫われた大天狗……飯綱丸様を……私が助け出さなくては。あと、はたてとか椛とか……他の天狗仲間も……」
「大変だねぇ」
射命丸文が真剣な表情でアキスに襲いかかる。二人は戦いながら会話し始める。
「だから……飯綱丸様とはたて、あと椛や天狗仲間を……必ず助けなければならないのですよ!」
「いいねぇ! 悩みをぶちまけたら腕の振りが良くなったよ!」
「……そう言うアキスは悩み事とかないんですか?」
「ないよ! それに私は……自身の弱い姿を他人に見せたくないし!」
「他人に見せたくない……アキスさんには姉がいると聞きましたが……姉には弱音を吐いたことあるのですか?」
射命丸文の言葉にアキスが一瞬うめく。
「うっ……姉にはある……でも今は悩みもないし弱ってないから! 本当だよ!」
「えぇ、アキスさんはストライカーを目指すと決められてもあまり動揺していませんでした。本当に今、悩みはないのでしょう」
「えへへ! どうも!」
「……それじゃあお互いぶちまけた所でお喋りは止めにしましょうか」