東方キャラとオリキャラでイナズマイレブンする話   作:みかづき椛

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  四十二話 お手伝いさん

 サッカースタジアム内にあるエリィの部屋にいる橙はスフィンクス座りでじっと見つめるレッド・マッカレルタビーに向け、固形の猫エサを数粒差し出す。エリィがその様子をわくわくしながら橙を見守っていた。

「名前を呼んでください! オレンジって!」

「……オレンジ! エサだにゃあ!」

 橙に呼ばれたオレンジと名付けられた猫が立ち上がり、橙の掌のエサを嗅いで食べ始める。

「猫が猫のお世話……鼻血出そう……」

 八雲紫がエリィの顔を覗き込むと、エリィの鼻の下で鼻血が伝っていた。

「鼻血出てるけど大丈夫……?」

「え?」

 エリィが腕で人中を擦り、鼻血がついた腕を見て驚く。

「うわー! ちー!!」

 数分後、落ち着きを取り戻したエリィの二つの鼻の穴には細長く丸めたティッシュが詰まっていた。

「じゃあ次は紫さんがエサをあげてみてください!」

 エリィが笑顔で言うと紫が内心呟く。

(切り替え早いわね……)

 紫が右手の掌にエサを乗せ、恐る恐る横座りのキジトラに近付ける。

「はい」

「フシャー!」

 キジトラが威嚇し、鋭い目で紫を睨む。

「ブラウンくんは……ちょっと警戒心が強くて……すぐ懐く人もいるんですけど……」

「あ……あら〜……」

「ブラウン、おいで!」

 橙が両手を広げて呼びかけると、ブラウンがジャンプして橙に優しく抱きしめられる。

「よしよし〜! エサあげるわよ〜!」

 橙がブラウンを床に降ろし、掌のエサを差し出した。

「手強そうねブラウンは……」

「紫さん、ブラウンとも仲良くしなきゃ駄目ですよ!」

「エリィだけじゃなくて猫ちゃん達とも仲良くならなきゃいけないの?」

 八雲紫の問いかけにエリィが力強く頷く。

「それはもちろん!」

「私とブラウンとは無理じゃないかしら……?」

「大丈夫です! 時間をかければ仲良くなれるはずです!」

 その時、部屋のドアノブが動いて扉が開く。

「あっ! トイレからお手伝いさんが戻ってきたみたいですね!」

「お手伝いさん?」

 紫が首を傾げると、身長170センチほどの女性が無表情で部屋に入ってきた。胸のサイズはDカップで猫耳がある黒髪のツインテールで黒いマフラーを首に巻いていた。ブラウンが連続でジャンプし、その女性に抱きかかえられる。

「この人はお手伝いさん! 私がサッカーの練習でいない間、ちゃんと面倒を見てくれる人です!」

「初めまして。私は幻想郷の賢者で少女、八雲紫ですわ」

 紫が目を合わせて挨拶するが、お手伝いさんは返事をしなかった。

「このお手伝いさんは無口で……すみません……」

「あらそう」

「お手伝いさんが来たところで、サッカーの練習をしたいと思うんですが、見に行きます?」

 エリィが尋ねるも八雲紫が首を振る。

「眠たいからもういいわ〜」

 ドアの前にスキマが現れ、八雲紫がゆっくり入っていく。

「あの……もう帰っちゃうんですか!?」

「そう。橙も帰るわよ〜」

「私は帰らない!」

「あらそう……じゃあ橙は置いていくから、眠りから覚めたらまた会いましょう」

 スキマが閉じ、紫の姿が消える。

「紫さんちなくなっちゃった……」

「紫様はすぐ寝ちゃうんだから……」

 数十分後、エリィと橙がディフェンダーの特訓フィールドに到着する。サバミが二人を迎える。

「エリィ来たか……もう一人は猫のコスプレ……?」

 橙が駆け寄ってサバミの前に立つ。

「私の名前は橙! よろしくにゃあ!」

「おっ新メンバーか! よろしく中国猫!」

「サバミさん……名前は橙です。あと橙はただの見学ですよ……」

 エリィが説明するも、橙が首を振る。

「やりたい!」

「ちぇ……橙」

 エリィが心配そうに橙を見つめていると、サバミが橙の両肩に手を置いた。

「よし! もし霊夢が来なくても良いように練習するか!」

「え……」

「本人が出たいって言ったんだから良いだろ?」

 サバミの言葉でエリィは不満気な顔に変わる。

「エリィ、リベロは紫さんの能力を使えるようになってからが重要だから、とりあえず守りに専念な!」

「はい……」

 数十分後、真剣な表情のエリィがドリブル中の埴輪から足を伸ばしてボールを奪った。その時、リードシクティスが心配そうに橙を見つめていた。

(まだ一回も橙さんが埴輪さんからボールを奪えていない……)

 リードシクティスは内心呟くと、橙が勢い良く転んだ。

「大丈夫!?」

 周りの三人が橙に駆け寄る。

「うぅ……藍様……」

「らんさま?」

 リードシクティスが首を傾げる。顔を上げない橙にエリィがサバミに訴える。

「あの……橙はやっぱり……怪我とかしても危ないですし……」

 サバミはエリィの言葉を無視し、橙の前でしゃがむ。

「私が扱う冥王の魔力でもぶつけるか? そうすればスムーズに上手くなれるぜ」

 エリィとリードシクティスの表情が一瞬凍りついた。

「まさか橙を操るんですか!?」

「操るって言うか……マインドコントロールに近いな」

「今の黒幕子と同じ状態になるってことですか?」

 リードシクティスが尋ねると、サバミは頷く。

「場合によっちゃ強くなるか、弱るか、どっちかだ」

「いやいや、だめですよ! 橙、サバミの魔法を受けたら心が壊れちゃうかもしれないんだよ!」

 エリィが心配そうに橙に訴える。だが、橙が首を振る。

「強くなりたい! 藍様がいなくても!」

「あぁ……私の魔法を使うならキーパーやらせるけど……それでいいか?」

「キーパー?」

 リードシクティスが驚いてサバミに迫る。

「ちょっと待ってください! キーパーを勧めるんですか!?」

「シクティスさん、そもそもコチヤーズにはちゃんとしたキーパーがいない。最優先事項はキーパー育成だろ?」

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