東方キャラとオリキャラでイナズマイレブンする話   作:みかづき椛

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  四十三話 橙の覚悟

 リードシクティス、サバミ、エリィ、橙の四人が、ラックがいるキーパー練習用のフィールドに移動していた。ゴール前に立つ橙が、三体の埴輪の連続シュートに立ち向かうが、ほとんどのシュートを止めることができず、苦戦していた。

「埴輪達、ストップストップ!」

 サバミが叫ぶと、埴輪の動きが止まる。橙がうずくまり、エリィが心配そうに駆け寄る。

「橙! 大丈夫!?」

「お願い!! 私をサバミさんの冥王の魔力で強くなれるようにして!」

「正気かお前!」

 ラックが橙に詰め寄るが、サバミが橙の頭に左手を置いた。

「大丈夫。心を強く保ってれば、すんなり元の状態にしてやる!」

 数十分後、キーパー練習場には、埴輪のシュートを連続で止める橙の姿があった。

「よし、なんとか上手くいったな。埴輪達、止めー!」

 サバミの呼びかけで埴輪三体が停止し、橙の周りに四人が集まる。

「ラックに匹敵するセーブ率を身につけたな。後は必殺技だ!」

「キャットハンドでもするのか?」

 ラックが尋ねると、サバミが首を振る。

「それはお楽しみだな」

「とにかく……これで我はキーパーをしなくて良くなったな!」

(ラックさんは執念深い性格なのに……あっさり譲っただなんて……キーパーはどれだけ辛いの?)

「あっそうだ、橙は正式にコチヤーズのメンバー入りしたので、背番号を決めなきゃな……」

 サバミはそう言うと、エリィはわくわくした表情で提案する。

「橙の背番号はにゃんにゃんで22にしましょう! 私も背番号2のにゃんで頑張りますから!」

「なるほどな。よし! それでいこう!」

 エリィが気合を入れるように両拳を胸の前で握る。

「はい! 私も超次元サッカーのお勉強、頑張ります!」

 一方、フォワードの特訓場から出てきた魔理沙がスタジアムの通路を歩いていると、服がボロボロのアキスと射命丸文が肩を組み、疲れ果てた様子で歩いてくるのに気付いた。

「お前ら……派手にやりあったな。異世界の妖精のところに行って回復魔法をかけてもらおう」

 その場に通路を歩くラックとイヨカが合流する。

「あれ……? ラックさん、キーパーの練習は?」

「ああ……橙って化猫がキーパーになったらしい。我はミッドフィルダーになった」

 ラックは穏やかにアキスの質問に答えた。

「ちぇん?」

「と……とにかく……早く回復魔法をお願いします……」

 元気のない射命丸文が言うと、イヨカが涙目で両手から温かい光を放ち、アキスと射命丸文に浴させた。二人の傷がみるみる消えていく。

「あっ、そうだ。いちいちこのスタジアムに帰ってくるのが面倒だから、イヨカを連れて行ってもいいですか?」

 アキスがラックに尋ねると、ラックが怒りの表情に変わる。

「ちょっと待て! イヨカが剣と剣の殴り合いに耐えられるわけがない!」

「え〜駄目なんですか!?」

「イヨカ頑張る!」

「……イヨカがそう言うなら連れて行け。気絶したら普通に起こせばいいからな」

「ありがとうございます!」

 アキスがラックとイヨカに向けて二回頭を下げ、後ろを指差す。

「続きやろう、文!」

「すみません……休憩してから……イヨカさんの回復魔法は傷を治しますが、疲労感は消えませんからね……」

「じゃあ休んだらすぐ行くよ!」

「あっ……は〜い……」

 射命丸文はかなりだるそうであった。

 エリィがコチヤーズのメンバー入りしてから数時間後の夜、エリィの部屋に紫色のスキマが静かに現れた。八雲紫がひっそりと姿を現すと、ミヌエットのブルーが警戒心むき出しで鳴き始めた。

「ニャー」

「電気はどこかしら……」

 周囲を見渡す八雲紫は天井中央に吊るされた照明の紐を見つけ、軽く引っ張ると部屋が明るくなり、猫達が鳴き始める。

「ニャーニャー!」

「待っている間に部屋を漁ってみようかしら」

 紫はエリィの机近くの五段の本棚に目をむける。一番下の段の本棚には日記帳が並んでいた。紫が一番左の一冊を手に取り、ページを開く。

(今日もホワイトがかわいい……ホワイト?)

 首を傾げ、閉じた日記帳を元に戻す。部屋にいる五匹の猫を確認する。

(飼っている猫は五匹だったわよね……一匹亡くなってしまったのかしら?)

 八雲紫は本棚の上の空いたスペースに気付き、中央の日記帳を取りだした。

(ちょうど真ん中の内容は何かしら……)

 黙読すると、クリーム・ブルー・グレーが登場せず、ホワイトもいないことに気付く。続けて中央の一つ左隣の日記帳を手に取り、読み進める。

「この日記帳……登場する猫はブラウンだけのようね……」

 もう一度一番左の日記帳を手に取り、黙読を始める。

(ホワイト一頭のことばかりね……そう言えばあのお手伝いさんのことが書かれていないわね……)

 八雲紫は読み進めると『何回告白に振ってもしつこい男子がいる』という内容があった。

「しつこい男子……? ストーカーかしら」

 さらに数分後、紫は空白が続く日記帳を手にしていた。

「この日記帳……序盤だけ書いてあって、あとはただの空白だわ……」

 日記帳を元に戻し、隣の日記帳を取り出す瞬間、外からエリィの明るい話し声が漏れていく。

「エリィが帰ってきたようね……」

 日記帳をそっと戻し、振り返る。エリィが部屋の扉を開け、無口なお手伝いさんと共に入室した。

「あっ! 紫さん! 部屋にいたんですね! 猫ちゃんたちとは仲良くしてました?」

「いいえ……全然懐いてくれないわ〜……あ、もし良かったらブラウンのことを教えてくれない?」

「ブラウンですか……ブラウンは元々お手伝いさんが飼っていた猫だったんです……お手伝いに聞けば分かるんじゃないですか……口では無理ですけど……」

「めんどくさいからいいわ」

 八雲紫は軽く流すと、お手伝いさんに目を向ける。無口なお手伝いさんは本棚に視線を向けていた。

(お手伝いさん……日記帳がある本棚を見ているわね……)

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