東方キャラとオリキャラでイナズマイレブンする話   作:みかづき椛

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  四十五話 化ける

 エリィの部屋にいるお手伝いさんのオレンジ髪が露わになり、エリィがパニックに陥り、両手で頬を抑えて部屋をうろうろと動き始めた。

「えっと……あのオレンジ髪……もしかして……」

「エリィ……実はあなたをつきまとっていた男子がお手伝いさんとして猫に化けていたのよ!」

「そ……そんな……うそだ……! お手伝いさん……なんとか言って……いや! 何も言わないでー!」

 エリィは叫び、気を失って倒れた。

 いつかの夕暮れ、エリィが暗い表情でとぼとぼ歩いていた。

「ホワイト……どうしたら死なずにすんだのかな……ぐすん……」

 エリィは気配を感じ、目線を上げると黒髪ツインテールに猫耳をつけた人物がキジトラを抱いて立っていた。

「誰……?」

 その人物がゆっくり近付き、キジトラをエリィに差し出す。キジトラがつぶらな瞳でエリィを見つめ始めた。

「もしかして、抱っこしていいんですか……?」

 エリィの問いに、相手が優しく微笑んで無言で頷く。エリィがキジトラを優しく抱きかかえると、瞳が涙で滲み始めた。

「う……う……猫ちゃん……かわいいよ〜!! うわ〜ん!!」

 エリィがお手伝いさんの正体を知って気絶してから一時間後、部屋のベッドで目を覚ます。そばには心配そうに見つめる八雲紫がいた。

「目を覚ましたのねエリィ……」

「あいつは……?」

「とりあえず、お手伝いさんは自分の部屋に戻っているわ」

「さっき……私に聞きましたよね……お手伝いさんがつきまといの男だったらって……」

 エリィは身体を起こし始めた。

「えぇ……つきまといまでは言ってなかったような気がするけど……」

「つきまとっていたことは許そうと思います。だって、猫ちゃんたちのお世話をちゃんとやってくれてたので……」

「え……許すの!?」

 数分後、黒髪ツインテールに猫耳のお手伝いさんが部屋に入ってきた。

「あなた……なんか許されたらしいわ。これからもエリィの猫の世話をしていいそうよ」

 八雲紫はそう告げると、お手伝いさんは両手でガッツポーズをした

「マジ!? よっしゃー!」

「……なんか嫌だ。喋るの」

「え!?」

 エリィが口元で両人差し指を交差させ、バツ印を作る。

「喋るとあいつになるので、一生喋らないで下さい!」

 こうして、お手伝いさんは男としての尊厳を失う代わりに、エリィのそばにいられるようになった。

(まぁ……エリィが良いならめでたしってことなのかしら……)

 そして時は流れてクリアナイトとの第四試合前日、サッカースタジアムの室内フィールドにコチヤーズのメンバーが集結していた。エリィと八雲紫が並び、少し離れた位置には赤いリュックのような装置を背負ったサバミが、白と赤のマイナス記号がある銃と赤いプラス記号がある銃――ミキシマックス・ガン――を構える。

「行くぜ!」

 マイナスの銃から黄色い光線が紫を、プラスの銃からエリィを撃つ。

「うっ……うわー!」

 エリィが光線に弾かれ、倒れる。

「また駄目か……最初はまだ猫と仲良くないからかと思ったが……紫さんはだいぶ猫ちゃん達と仲良くなったから……エリィの力不足の可能性はあるな」

(判断基準が猫なのはなぜなんだ……)

 ラックが内心ツッコむと、エリィが立ち上がった。

「私の力不足……?」

「まぁ……そりゃあ幻想郷の賢者だからな」

 魔理沙が軽く返すと、サバミが背負っているミキシマックス・ガンをベンチの横に置いた。

「本当は……エリィとアキスのミキシマックスが成功してから最後の埴輪との練習試合をしようと思ったんだが……二人ともまだだしな……」

(アキスは……ミキシマックス成功したら剣でやり合えなくなるから、ギリギリまで拒否している可能性が大きい……)

 シラウオが内心そう呟いた。

 数十分後、室内フィールドにコチヤーズが4−4−2のフォーメーションで配置についていた。FWはフナ・魔理沙。MFはシラウオ・妖夢・早苗・ラック。DFはサバミ・リードシクティス・エリィ・カサゴ。GKは橙。対するチーム埴輪はゲームでデスゾーンと呼ばれる5−3−2だった。

「ただの埴輪とのいつもの練習試合で、なんでセカンドユニフォームになるんだ?」

 水色のユニフォームを着たラックが不満を口にする。早苗が首をかしげて返事する。埴輪はキーパーは橙色のユニフォーム、キーパー以外は濃い緑色のユニフォームを着用していた。

「さぁ? 濃い緑色が駄目になる理由でもできたんですかね?」

「橙! 今日も頑張って!」

 エリィが灰色のキーパーユニフォームの橙に優しく声をかける。

「エリィも頑張って!」

「うん!」

 二人が笑顔を交わすと、ベンチ間にいる右手に棒マイクを持つ兎耳の異世界出身のカナが息を大きく息を吸った。

「さぁ、やってまいりました! コチヤーズ対チーム埴輪の練習試合の時間です!」

 カナは笑顔からムスッとした表情に変わった。

(ただの埴輪しかいない練習試合に、なんで私が呼ばれたのかなぁ〜……)

 内心で不満を呟くその瞬間、一体の埴輪が薄茶色の太いドレッドヘアを後ろに束ね、ゴーグルと赤いマントを身に着けたイナズマイレブンのキャラ――鬼道有人に化けた。

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