【カオ転三次】幼女ネキの謎を解明するため、黒札調査隊は宮城県の奥地〇〇町出張所へと向かった――。 作:貧弱一般メガテンプレイヤー
なので何時もより更にアレな感じな勢いまかせな内容なのでご了承下さい。
あと作者様ごめんなさい。
また何時も通りのアンソロジー時空という事で時系列についてはスルーをお願いいたします。
「んー……今日はどうする? どっか遠出するか? それとも誰かのとこいくか?」
「そーだなー、他所行くのも悪くねーが、山梨で新規開拓もアリじゃねーか?」
「いっそ逆張りで異界に突撃するのは? 出会いや幸運があるかもしれませんよ」
今日も平和な山梨支部の昼下がり、のんびりと散歩する三馬鹿ラス。
これといった予定もないのでどっかに遊びに行くか、誰か知り合いを冷やかしにいこうかと話し合っていた三人の視界にあるものが映る。
「おい、あれ。あの人だかり見ろよ」
「んー? ありゃ支部のガキ連中だな」
「何かありましたかね? 行ってみます?」
「そうすっか」
山梨支部に居る色んな子供達、子供の黒札に子供のシキガミ、黒札が親の子供や黒札の家族の子供、そして黒札から紹介された現地人の子供等。
様々な理由、事情で支部で暮らす彼らは、黒札の為の組織であるガイア連合においては環境や境遇に差が付けられる事を避けられない。
しかしそんな中でも子供は子供なりに状況に適応し、子供同士で集まり、遊び、日々を過ごしている。
子供達は大人が思う程に賢くはないが、大人が思う程愚かでもなかった。
「ドーモ、サスケニキです。チビ共が集まって何やってんだ。落とし穴なら教えてやるぞ」
「ケンカか? なら正々堂々タイマンでやれよ、じゃなきゃ一人の側にオレが加勢するからな」
「また何か変な物が落ちてましたか? 黒札製の危ない物かもしれないから触れちゃ駄目ですよ」
少し開けた子供達の遊び場になっている場所で、何かを囲む様に集まっている子供達に声を掛ける三人。
「あ、三バカラスのにーちゃんたちだ。みんなーおかし、じゃなくてにーちゃんたち来たぞー」
「誰が三馬鹿ラスだ、このおガキ様共め! ったくすっかり太々しくなりやがってからに、実際ずぶとい」
「おかしちょーだい! たまにはアルフォートとかうまい棒じゃないもの食べたいぞにーちゃん」
「ぜいたく言ってんじゃねーぞ、コラ。うまい棒の何が悪い、飽きる心配いらずのヒット商品じゃねーか」
「にーちゃんたちお金もちなんだろ、親分は子分に気まえよくないとダメだってウチの神さまが言ってたらしーよ」
「こんな可愛くない子分は間に合ってます。余所を当たりなさい余所を」
わらわらと集まり好き勝手言う元気な悪ガキ達相手にしつつ、アガシオンをお使いに向かわせる。
その間にも裾やマントをぐいぐい引っ張る手を引っぺがし、土足で足跡つけながら背中を登ろうとするのを抱え上げ、キーックと言いながら蹴ってくる足を掴んでジャイアントスイングの様にぐるぐる軽く振り回してキャーキャー言わせる三馬鹿ラス。
「なんだよー、芸人っていったら怒るから変えたのに、わがままだなあにーちゃんたち」
「バカと呼ばれるのに文句を言うのが我ままってどういう事だ!? 俺達がバカと呼ばれるのは最早社会のルールになっちゃったの!?」
「でもほかの人やえらい人もみんなそうよんでるでしょ? いいじゃんべつに」
「ええい、悪ガキのくせに上に習いやがって! そこはロックに反抗してもいいんだぞ! むしろしろよ! ロックンロール!」
「えー、でもじーちゃんもとーちゃんもえらい人や黒ふださんにしつれいなことすんなって言ってたしー」
「ちょっと待った! その範囲に私達は含まれてないんですかねえ!? 既に黒札のカテゴリー内ですらないと!?」
ぎゃあぎゃあ元気な悪ガキ、またはガキ大将なポジの子供達と戯れる三馬鹿ラスをコントやパフォーマンスを見る目の他の子供達に、戻ってきたアガシオンが命令されなくとも駄菓子やジュースを配る。
そんな中、集団を掻き分ける様にして前に出た二人が三馬鹿ラスに話しかけた。
「「こんにちは、ちょっといいですか?」」
そのユニゾンした声にほっぺを伸ばす制裁を悪ガキに与えていた手を止めて、視線を向けるサスケニキ。
「ありゃ、誰かと思えば人魚ネキのとこの双子の嬢ちゃん達」
「えーと、確か睡蓮と文目*1、で合ってたよな? どしたいこんなとこで」
「人魚ネキとはご一緒じゃないんですか? 珍しいですね」
有名人のシキガミで、且つ主にべったりな事でも有名な二人に目を丸くする三人。
「ちょっと前にいっつも二人でうろうろしてるから声かけたんだ」
「それで時々お仕事ないときにいっしょに遊ぶようになったの!」
「いつもすげーおっぱいでかいねえちゃんが迎えに来るけどにーちゃんの友だち?」
「んなわけねーじゃん、きっとまたにーちゃんたちが何かしておこられたんだよ」
「せくはらはだめだよ? あとがたいへんだってお父さんも言ってたもん」
「「「どやかましいわ!」」」
好き放題言うおチビ達を怒鳴って生意気言うと没収すんぞとお菓子を取り上げようとする三人から子供達がキャーキャー騒いで散らばっていく。
なお子供達の言い分はあながち間違ってはいない。*2
そんなやり取りを面白そうに眺めていた双子だが、落ち着いたのを見計らって三馬鹿ラスの手を引く。
「「こっち」」
「わっと、何だ、何だ。何かあったのか?」
「おっとと、分かってたけどスゲー力だなこの子ら!」
「そりゃ高レベル黒札のシキガミですからねえ」
お子様二人に手を引かれて先程子供達が集まっていた場所に到着する。
そこには――
「こいつは、卵か。何の卵だ?」
「ニワトリのよりはちっせえな」
「でも随分大きなヒビが入ってますね」
――鶏の卵より一回り小さな大きくひび割れた卵が、何枚ものハンカチの上に乗せられていた。
「木の下に、おちてて、なんとかしようとしたけど、どうしていいかわかんなくて」
発見者の少年が悲しそうな顔で説明する。
さっきの人だかりはこれだったかと納得する三人。
「「なんとか出来ませんか?」」
そう尋ねてくる双子にキョトンとした顔になったヨロイニキ。
「へ? こんなのオレ達に言わなくても高レベルの二人なら回復魔法一発で終わり! 閉廷! 以上! みんな解散! なんじゃねーの?」
「このおバカ! もう忘れたんですか、魔法の類は未覚醒の相手に使うと効き過ぎて酷い事になるんですよ!」
「あだっ!」
何処からか取り出したスリッパでスパーンと景気よく音を響かせて引っ叩くクロマニキ。
ナイススマッシュ、いつも持ち歩いてんだ、やっぱ芸人さんだー、と子供達から歓声があがる。
「それにこんだけデカく割れてるんじゃ、もう回復じゃなくて蘇生魔法の出番な気もするが」
うーん、と腕組みして考えるサスケニキ。
蘇生魔法使える?の問いにぷるぷる首を振る双子にだよなあと返して悩む。
「どーする? 手っ取り早く人魚ネキ探して頼むか? この子達と一緒ならいけんじゃね?」
「まあいけるだろうが……ちと面倒臭い事になるかもしれん」
「でしょうねえ、こっちに飛び火はしないでしょうが。うーん」
「あん? なんだそりゃ?」
不思議そうなヨロイニキを引っ張って子供達と双子から距離を取ってひそひそ話すサスケニキとクロマニキ。
「言い出しっぺが双子や子供の黒札なら良かったんだが……最初に卵見つけたあの坊主、金札でもない他所から黒札の紹介で来た家の子なんだよ」
「ん? それがどうかし――あ、もしかしてそういう事か?」
何かに気付いたヨロイニキに、クロマニキが深刻げに頷き返した。
「ええ、知っての通り人魚ネキはあっちこっちから人、神問わず多数の依頼が舞い込む人です。そんな人に横入りでねじ込んだとなると」
「ああ、そっからはオレでも分かる。ウチもやってくれてもいいじゃんって連中がクソ程わいてくるって訳か」
「ついでに自分達を差し置いてけしからんとキレるのが現地人どころか黒札や神連中にも出てくるオマケ付きだ、笑えよベジータ」
「Oh……」
クロマニキの説明とサスケニキの追撃にヨロイニキが思わず顔を覆って呻く。
「んじゃー誰か別の黒札に頼むか? やってくれそうな人誰か知らね?」
「そっちもなあ、回復だけならまだしも未覚醒相手に蘇生出来る使い手は大分貴重だぞ? しかも対象が卵で頼むのが現地人のガキんちょだ」
「コネや伝手なしじゃ無理でしょうねえ。ノリ次第でやってくれる人は割と居るかもしれませんけど、結局あの子が反感買うのは避けられないのでは?」
「んー……ならあの双子が言い出しっぺって事にすんのは? 娘の頼みを母親が叶えたってんなら文句つけてくるバカはいねーだろ」
「この場の全員に秘密とした上で、どうしても必要な手順なんだと双子に下座って頼めば……いけるか?」
「いけるとは思いますが、秘密って必ず漏れるものですからね。しかも全員子供とあっては隠し通すのは不可能なのでは?」
「「「……うーん……」」」
揃って腕を組んで唸る三馬鹿ラス。
もう諦めて埋めてお墓作ってあげようと言いたいが、子供達の中に人魚ネキのシキガミ双子が居るのがそれを躊躇わせる。
脛に傷を持つ身としては、その相手の娘の頼みを断るのは些か勇気がいる内容であった。
もし昔の一件がバレた時の為にも、出来れば彼女達の好感度を上げておきたいという事情もある。*3
なんとかこの場の面子のみでどうにかする方法はないか?
頭の中のドラゴン・ゲンドーソーは教えてくれず、心の中のゼロは何も言ってはくれない中、あーでもないこーでもないと悩むサスケニキ。
が、その時、サスケニキに天啓が降り、ピコーンという音と主に頭の上に電球が浮かぶ。
「私にいい考えがある!」
突如そう叫んだサスケニキを、ヨロイニキとクロマニキは胡散臭そうに見つめ、何かまた悪い予感がしてきたのうと呟いたのだった。
◇
「それなら食べ歩きやホビーはどうだ? 行きつけの店を案内するし、ホビー部にも紹介するぞ」
「そうですね、あの子達も食べられたり一緒に出来るものがあればいいんですけど」
「そうか、人魚ネキの子達はひっ付き虫な事以外は素直な良い子だから、時々我がままを言って欲しいとか思ったりするのか?」
「どうでしょうか、確かに我がままを言われた覚えはあまりありませんが。幼女ネキはそうなんですか?」
「うーん、イズナに我がまま言っても良いと言ったらどうなるかというとなあ」
「ああ、きっとお嫁さんにして欲しいと必ず言うでしょうね」
そんな会話をしながら歩く、幼女ネキと人魚ネキ。
仲良く手を繋いで歩くその姿は母娘にしか見えない――それで話す内容が互いに自分の娘について、というのは何かちょっと脳がバグりそうな光景であるが。
睡蓮と文目のお迎えに向かう人魚ネキに出会って、最近始めた人魚ネキの彼方此方への顔出しとその目的へのアドバイスをしつつ同行していた幼女ネキ。
その時二人の耳に何かが届く。
「~♪」
「ん? 今何か聞こえたか?」
「はい。これは、歌? それにこの声は……」
揃って小首を傾げつつも足を止めない二人。
そうすると聞こえる何かは大きくなっていく。
「~♪ ~♪」
「何だ? これ、歌なのか?」
「みたいですね。それに睡蓮と文目の声です」
顔を見合わせた二人は頷くと、小走りに走り出す。
高レベル覚醒者による小走りとは思えないスピードの小走りであっという間に歌声の元へと辿り着く。
そして、そこで二人を待っていたものとは!
『ほんだららった へんだららった どんがらがった ふん♪ ふん♪ ほんだららった へんだららった どんがらがった ふん♪ ふん♪』
そんな歌?を歌いながらぐるぐると輪になって踊る、睡蓮と文目を含む子供達の姿であった!
「「……」」
そんな予想出来ない、出来る訳もない光景に流石の
そして、子供達の先頭で何時もの格好でデカいカボチャ頭を被って御幣を振る三馬鹿ラスを見つけた幼女ネキは、取り合えず助走つけて飛び膝蹴りを入れた、割と強めに。
◇
「何があったかは分かった――じゃあさっきのアレは一体何だ?」
並んで正座させられたカボチャのままの三馬鹿ラスの前で腕組み仁王立ちで詰問する幼女ネキ。
隣には人魚ネキが立っており、さらに幼女ネキと人魚ネキの間に入る様にして双子がむぎゅーと抱き着いている。
発見者の少年と子供達、睡蓮と文目に事情は聞いたが、そこからのあの踊り?儀式?に何故繋がるのか幼女ネキには理解出来なかった。
「最初に普通に魔法使うと効き過ぎる、なら直じゃない、弱くなるやり方でやればと思いついて」
「高レベルの嬢ちゃん達がやりゃあそんなんでも効果はあるし、効き過ぎるって事もないかなと」
「双子と私達だけでも問題ないでしょうが、他の子もやる気だったので一緒にやってた次第です」
直接魔法等を使うと過剰すぎるので、そうならないようぶ厚いフィルター越しならイケるのでは?
風が吹けば桶屋が儲かるぐらいの遠回りなら上手くいくのでは?そう考えた三馬鹿ラスの作戦であった。
「成程、理屈は理解した。的外れという程間違った考えではないとも思う――――だが、何でそれでやるのが半熟英雄*6のたまごダンスなんだ?」
そんな幼女ネキの問いに正座のまま顔を見合わせる三馬鹿ラス。
「やっぱり半熟英雄なら『ほんだら へんだら どがびが ふんだ』より俺達的にはこっちの方だと」
「そりゃシリーズだとSFCとスマホでしか使われてないからマイナーな方かもしんねーけどさー」
「それにあっちのダンスだと生尻さらしますから、それは幾ら何でもマズイだろうと思いますし」
「……いやまあもしも双子や子供達にそんな事させてたら巻藁程度では済まさなかったが、そうじゃなくてだな」
何でその動機で半熟英雄のたまごダンスを選ぶんだと聞いたら、FCやPS2で使われてたもう一つのたまごダンスを選ばなかった理由を真面目な顔*7で返されて、眉間を揉みながら呆れ半分諦め半分といった顔になる幼女ネキ。
今更だがこいつらホントにバカなんだなと黒死ネキ曰く、『100人中99.5人が「正直ここまでとは思わなかった」と言うレベルのバカ*8』を幼女ネキは
あと自分がネタや趣味に走った行動した時の周囲の反応が、今の自分と同じものだと思い至り、少し周りの人達の気持ちが分かったリンちゃんなのでした。
「それで、実際どうなりました? 上手くいったんですか?」
「多分? 一応最初の時よりヒビが減ってるのは間違いないんで」
双子の頭を撫でながら尋ねてきた人魚ネキにサスケニキが答える。
儀式と呼んでよいかも怪しいイロモノなシロモノとはいえ、実行するのは下手な主神級の分霊を超える高レベルの睡蓮と文目である。
間違いなく効果は出ていた。
その時、抱き着いていた双子が人魚ネキの両袖を引っ張りながら言った。
「「おかあさん、いっしょにやろう」」
「「「「えっ」」」」
思わず異口同音になる幼女ネキと三馬鹿ラス。
そんな四人を余所に人魚ネキが尋ねる。
「私も参加してもいいですか?」
「え、は、はい、どうぞ?」
「大丈夫みたいなので、一緒に踊りましょうか」
「「わぁい!」」
ぽかんとしたままサスケニキが返すと、抱き着いたままの双子を連れて子供達の方へと向かう人魚ネキ。
「私も仲間に入れて下さいね? そして何時もこの子達と遊んでくれてありがとうございます」
「「「どういたしましてー」」」
「すいちゃんとあやちゃんのお母さんきれいー」
「おうたの先生なんだっけ、ねーねーうたってー」
「かみながーい、さわってもいいですか?」
「うわー、おっぱいちょうでっけえ!」
「「だめ!」」
自分も参加する旨を他の子供達に伝えつつ、双子と遊んでくれた事にお礼を言う人魚ネキ。
わちゃわちゃ騒いで子供達が群がり、歌をせがんだり、髪を引っ張っられたり、更にマセた子が胸を触ろうとするのを双子がふくれっ面でインターセプトに入る。
そんな双子の頭を撫でながら他の子供達の相手を笑顔でする人魚ネキを見て、固まっていた三馬鹿ラスも再起動する。
「普段からああいうトコ見せてりゃあ、人間味が無いとか言われねえと思うんだけどなあ、尊さ重点」
「だなー、保育所の保母さんや孤児院やったら意外と向いてんじゃねーかな、変身悪魔的にもさあ」
「いえ、孤児院は兎も角、保育所の保母さんは少々危険が危ないです」
「「? 何で?」」
そんな光景にほっこりしつつ所感を述べるサスケニキ、ヨロイニキに、真剣な顔でクロマニキが異を唱え、二人が首を傾げる。
「あんな保母さんが居る保育所なんか出来たら子供のお迎えに彼是理由をつけて父親ばかり来るようになるのは確定! そして薬指の指輪を外した上でのディナーのお誘いが多発した上に『この泥棒猫!』と母親が殴り込んでくるという地獄絵図が――」
「キエーッ!」
「だらっしゃあッ!」
「ぱべぼあっ!?」
延髄斬りとケツへのタイキックをかましてダウンさせたクロマニキに容赦なく追撃のストンピングを加えるサスケニキとヨロイニキ。
「カテイイタは用法用量を守って摂取しろと言っただろうが! 井戸の中の闇を覗きすぎると落ちるとミヤモト・マサシも言っている!」
「ドスケベ脳に家庭板脳を合成とか超サイヤ人ゴッド並みの変身だぞ! 地球上に生きてていい生物じゃあなくなるつもりかテメーは!」
「ちょ、待った、ぐえっ、タンマ、痛った! 脇腹にトゥーキックは勘弁して下さい!」
「「だが断る!」」
人魚ネキの所とは真逆の見苦しい光景とバカっぷりに呆れた顔した幼女ネキだが、人魚ネキ達を見て暫し考えた後幼女ネキがふむ、と腕を組む。
「よし、私もやるぞ。問題ないな?」
「「「えっ」」」
再び異口同音になる三馬鹿ラス。
元より強い方の三馬鹿と呼ばれ、戦場でバグパイプ吹いてパンジャンドラムばら撒くぐらいにはネタと趣味に走るようじょである。*9
人魚ネキが参加して、己以外の皆がやるなか一人だけ見学するようなタイプではなかった。
踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損損というやつである。
同じく子供達の方に参加する事を伝えにいく幼女ネキを止める事も出来ず見送るしかない三馬鹿ラス。
予想外の事態に、弱い方の三バカは顔を寄せてひそひそ声で話し合う。
「なあ、これヤベーよな? もうオレらでどうにか出来る状況じゃねーよな? 今から入れる保険ってどっかねえかな?」
「ある訳無いですし、あってもそんな保険会社とっくに経営破綻してますよ。でも今更止めるのも、参加を断るのも無理ですよ」
「だったら続けるしかない! 為せば成る 為さねば成らぬ 何事も、だ。退く道がない以上、進むしか道は残されてねえんだ!」
こうなった以上、三馬鹿ラス達も、最早続ける以外に道はなく。
『ほんだららった へんだららった どんがらがった ふん♪ ふん♪ ほんだららった へんだららった どんがらがった ふん♪ ふん♪』
こうして人魚ネキ、幼女ネキという超特別ゲストを加えて踊り?儀式?は再開された。
三馬鹿ラスを先頭に、後ろに卵を見つけた少年、幼女ネキ、人魚ネキの順で、双子は人魚ネキの両脇を固め、後ろは他の子供達が続く。
「すげえな、まさかこの歌聞いて感動する日がくるなんて夢にも思わなかったぞ」
「だな。踊りもくるくる回って両腕上げ下げするぐらいなのにめっちゃ綺麗でかっけえ」
「レストランでメニュー読むだけで周囲を感動させた女優が居たそうですが、こんな感じだったんですかね」
後ろから聞こえる人魚ネキの歌声?と回る時に見えるそのダンスにうおーすげーとなる三馬鹿ラス。
そして踊りながらも顔を寄せ合い――カボチャ頭のせいで苦労しながら――ひそひそ声で話始める。
「……出来ればじっくりと見て、聞きたいなあ、こんなチャンスもう多分ないぞ」
「だよなあ、ふつーにこんなん頼んだら周り360°からフルボッコ不可避だもんな」
「でも今回の責任者の立ち位置の私達が抜けて見学に回るのは不味いでしょう」
クロマニキの言い分に苦い顔で溜息をついたサスケニキが語る。
「仕方ない、今は我慢して儀式に集中するぞ。この面子なら失敗はないだろうが、それでも俺らが手を抜く訳にはいかんしな、アリが穴を開ければダムも崩れる、だ」
「だなー」
「ですね」
無論、連中のひそひそ声は後ろの幼女ネキには丸聞こえであったが。
話の内容にこいつらバカだがこいつらなりに筋は通すのかとほんのちょっとプラス評価を出し――
「で、終わったら一回フルでお願いしますと頼もう。双子とセットでなら通るかもしれんし」
「だなー!」
「ですね!」
――即、元に戻した。
連中の目に胸、尻、太もも、鼠径部、その他とはっきりと浮かんでいるのを見た幼女ネキは、今ヤると子供達にも迷惑なので、終わるまでの執行猶予、終わった時こいつらが忘れてたら*10無罪放免とそれぞれ決定したのであった。
そしてネタ以外の何ものでもない儀式?でも黒札屈指の強者兼日本神からの要注意人物*11の二人とそのシキガミが参加していれば、結果が出るのは必然である。
「「おかあさん、皆、卵が」」
双子の声に従う様に卵が揺れ動き、罅割れが全体に広がり、そして――
「――カァー、カァー、カァー」
――鳴き声と共に卵から飛び出した小さな黒い姿がパタパタ羽音を鳴らしながら宙へと舞い上がった。
『産まれたーー!!』
子供達が歓声を上げ、双子も顔を綻ばせ、幼女ネキは当然と頷いた。
「烏の卵だったのか。まあ産まれたてで飛べる以上普通の烏ではないだろうが」
「私達のMAGの影響で霊鳥として産まれたみたいですね。異常は無いようです」
腕組みして烏を観察する幼女ネキの横で人魚ネキが静かに答える。
「いやー、良かった良かった。ラドン*12でも産まれんじゃないかと正直不安だったんだ、実際コワイ」
「? なんでそこでゴマすりクソバード二代目*13が出てくんだ? 幼女ネキがゴジラの着ぐるみパジャマでも着たのか?」
心底不思議そうな首を傾げた間抜け面でそんな台詞を吐くヨロイニキ。
「怪獣じゃなくてギリシャ神話に普通にラドンは居るんですよ! メガテン世界なんだから少しは神話ぐらい学びなさいこのおたんちん!」
「そしてお前はベビーゴジラの為に命を懸けたラドン*14を侮辱した。ブッダも怒る、俺も怒る! ゴートゥー・アノヨ!」
「がああああ!!」
二人掛かりでアキレス腱固めと腕ひしぎ十字固めをキめられて絶叫するヨロイニキを尻目に、赤ちゃん烏はまるでお礼を言う様に鳴きながら子供達や双子、幼女ネキ、人魚ネキの頭上を何度か旋回した後、卵を見つけた少年の肩へと留まる。
甘える様に、感謝する様に少年の頬に頭を擦り付けながらゴロゴロと鳴く赤ちゃん烏に、少し照れ臭そうに笑う少年。
何時の間にかツープラトンを止めていたサスケニキ、クロマニキとまだ彼方此方を押さえて呻いているヨロイニキが少年の傍に居り、そっと少年の背を双子や子供達の方へ押した。
振り返る少年に頷いてみせる三馬鹿ラスに、少年も頷き返すと赤ちゃん烏をそっと掌に乗せ、皆に見せる様に手を伸ばす。
「たまごをなおすのに、この子を助けるのに、手つだってくれて、ありがとうございました!!」
そう言って、深々と頭を下げる少年。
「俺達の作戦への援軍、本当にありがとうございました。オツカレサマドスエ」
「オッス! ごっつあんです! 先輩方!」
「えー、本日はご多忙のところ、貴重なお時間をとって頂き、誠にありがとうございました」
続いて少年の横に並んだ三馬鹿ラスも、それぞれ奥ゆかしい七五度のオジギ、十字礼、ボウ・アンド・スクレープを行い頭を下げた。
子供達がどーいたしましてと声を揃えて返し、幼女ネキは満足気に笑い、双子も微笑み、人魚ネキはそんな双子の頭を優しく撫でた。
昔話のラスト、めでたしめでたしが聞こえてきそうな雰囲気が漂う。
しかし、その時である!
「ガァガァガァガァガァガァーッ!!」
「ワッザ!? ちょ、何だ、おい、何だよおい!」
「あだっ! まてよコラ、どーしたってんだ!?」
「やめなさい! 何ですか、何が不満なんです!」
赤ちゃん烏が怒りの雄叫びと共に三馬鹿ラスへと襲い掛かった!
突然の奇襲に混乱する三バカに構う事なく全力で小さな嘴で三馬鹿ラスのあっちゃこっちゃを突っつく赤ちゃん烏。
如何な霊鳥といえど産まれたての赤ん坊とあっては下手に手を出せば死なせかねず、それでは今迄の全部が無駄になるとあって守りに徹するしかない三馬鹿ラス。
「ダメだよ! 兄ちゃんたちが助けてくれたんだよ!」
「クワァー! カー! カカカカカッ! クァックァックァッ!」
少年の必死に制止する声も届かず、不退転の決意を持って攻撃を繰り返す赤ちゃん烏。
そんな元気ヤル気100%な赤ちゃん烏に人魚ネキと双子は不思議そうに首を傾げ、子供達もどうしよう?と互いに顔を見合わせる。
「――ぷっ、成程、くくっ、それはまあ、仕方ないよなあ」
そんな中、幼女ネキが吹きだして笑いを堪えながら呟く。
「ああ、幼女ネキはあの子の言葉が分かるんですね。*15一体何をあんなに怒ってるんですか?」
「ああ、それがだな?」
「『この身を助ける為動いてくれた事も、恩人の上役である事も理解している――だが!』」
「『――ガイア連合という超人が集い、神魔の耳目を集める組織において賢鳥たる烏の賢いというイメージを損ない続けている者達を烏として見過ごす訳にはいかないのだ!!』」
「――だそうだ。自分を助けた相手に攻撃をするというのは筋が通らんが、向こうの言い分も至極真っ当なものだからな」
「……ああ、そういう」
「「おかあさん、どうしよう?」」
真面目な顔をしようとしつつも笑みが消えない幼女ネキ、何とも言えない顔で納得する人魚ネキ、止めた方がいいのか問う睡蓮と文目。
「やっぱまたなんかやったんだな。ねえにーちゃんたち、次はパンダさんでお願いな!」
「お兄ちゃんたち、ちゃんとあやまろう? わたしたちもいっしょにあやまってあげるから」
「にーちゃんたちのそーゆーさいごにオチがつくところ、オレけっこーすきだぜ」
そして幼女ネキの説明内容をちゃんと理解出来ずとも、何となく大まかに状況を察した子供達が遊んでくれるがとても残念な兄ちゃん達へ慰める様に声を掛ける。
必死に止める少年と、産まれたてで体力がないので疲労困憊ながらも攻撃を続行する赤ちゃん烏、下手に掴んだり押さえたりすると殺しかねないので他二人を盾にしようとする三馬鹿ラス。
そんな昔話のエンディングからコントのオチへと変わった一連の件は、アガシオンが赤ちゃん烏の前へと立ちはだかるまで続き。
アガシオンと赤ちゃん烏は互いに無言のまま見つめ合った後、赤ちゃん烏は少年の元へと戻り、力尽きた様に眠った。
言葉を発さぬままの彼らの間に何があったのか、どんなやり取りを交わしたのかを、知る者はいない。
なお三馬鹿ラスは人魚ネキに忘れる事無くフルでのたまごダンスをお願いし、連中の純粋に凄く綺麗なたまごダンスが見たいと書いてある左目と胸・尻・太ももと書いてある右目を見た幼女ネキの某世紀王の様なエッグチョップ、エッグキックのコンボを叩き込まれ『とどいたりよけられないエッグチョップやエッグキックは反則ー!』と叫んで吹っ飛んでいくバカ達を双子と子供達が面白そうに眺めていた。
◇
その後の事であるが、赤ちゃん烏は少年の家で面倒をみる事になる。
十数年後、これといった霊能も所以もないとある家の少年が、霊鳥を相棒にデビルサマナーの道を歩むのは別の話。
また、何でもない烏を霊鳥にした事で、人間もいけるのでは?と話が広がった結果家の子に、ウチの氏子にお願いしますと人魚ネキに依頼が殺到。
無論人魚ネキは断ったが、人魚ネキに迷惑をかけるなと技術部他多くの黒札から原因となった三馬鹿ラスへの苦情が、飼い主ならリード付けとけとちひろネキの元へ届き、『飼った覚えはないですぅ!!』との叫び声が事務所に響いた後、カボチャ頭のままで正座して説教される三馬鹿ラスとそれを少し遠くから観察する双子の姿があったという。
そしてネタ全振りとはいえ、人魚ネキが歌っているのに他の黒札達が気付かない筈もなく、多くの黒札達がたまごダンスを踊る一同を様々な方法で観察していた。
カボチャ被ったバカ共の姿で凡その状況を理解した黒札達はある者は笑い、ある者は呆れ、ある者は微笑ましく見守り、ある者は巻き込まれなくて良かったと安堵した。
が、後に三馬鹿ラスが各地に遊びに行った際、同じ様に卵を見つけた子供、または母親が、飼っているペットが妊娠している等のシチュにバカ共が遭遇。
結果各地で子供達とたまごダンスを踊る三馬鹿ラスに、現地の黒札他が多数巻き込まれる事態が発生。
その結果、ある者は苦笑しつつ、ある者はノリノリで、ある者は戸惑いながら、ある者は死んだカニの目でたまごダンスを踊る事になるのだが、それはまた、別の話である。
おまけ 福島支部にて
「思ったんだけどさ、豆柴ニキってエッグモンスターでも違和感ないと思わねえ?」
「あー、確かに。ベビーモスとかコロコロムシみてーな枠のタイプだわ」
「二足歩行で木刀持ったふわもこ豆柴……ピンクエッグで出てきそうですね」
「「「……」」」×たくさん
「あれ、何。この空気」
「……あー、三人共、ちょっといい?」
「おー、クロアネキどしたん?」
「えー、この場の全員を代表して、ボクが言わせてもらうね」
「え、何ですか急に」
「――お前らが言うな。というかキミらこそまんまエッグモンスターで出れるでしょ、三馬鹿ラスって名前すらそのまんまで」
「「「え」」」
思わず周囲を見回す三馬鹿ラスだが、皆顔を逸らして目を合わせてくれなかったという。
おまけ2 人魚ネキ・幼女ネキが来る前の出来事
「その卵を何とかする方法はある。が、そいつは黒札への依頼って事になる以上、タダで受ける訳にはいかねーんだ。俺だけじゃなく他の黒札にも迷惑掛けちまうからな」
「お金が、いるの?」
「そうだ。しかも大金だ、お前の親でも無理なぐらいにな。出世払いにはしてやるが、大人になったお前が払えるか?」
「……は、はらう! 大きくなったらぜったいにはらうから!」
「それを聞きたか――」
「「じゃあ私達が払う」」
「え」
「「おかあさんからおこづかい貰ってるから。足りるよね?」」
「……リテイクお願いします!」
「「お前の人生リテイクしろやボケぇ!!」」
「アバーッ!?」
「ダセェ! あまりにもダサすぎんだろ! テメーは今世界で上から五番目ぐらいの超ダサダサ野郎だ!」
「今すぐ風下に移動しなさい! 今の貴方は間違いなく万物神羅万象の風上に居てはならない存在です!」
「い、言いたかったんだ、間違いなく人生で言ってみたい台詞ベストテンに入るあの台詞、言ってみたかったんだよー!」
「そーかそーか、それならもう人生に悔いはねーだろ。カイシャクしてやるから潔く腹ぁ切れや」
「なお、タイパ優先で辞世の句と腹を切る部分は省略させてもらいます。さ、首出しなさい」
「もうそれセプクじゃなくて只のクビキリ、キリステ・ゴーメンじゃないですかヤダー!」
「じゃかあしゃあ! 人魚ネキんとこの娘にタカろうとした様な状況にしやがって! 責任とれや!」
「一死大罪を謝す、死して屍拾う者なしです! ニンジャでしょうが! 潔くしなさい!」
「ヤメロー! ヤメテ! ここまでされる謂れは無い! シニタクナーイ! シニタクナーイ!」
「やっぱげーにんだよな兄ちゃんたち、いつデビューすんのかな?」
「でも赤はおわらいではげんきんだって父さん言ってたよ?」
「さいきんテレビのコント見てももの足りない気がするの。はくりょく足りないなって」
「兄ちゃんたちほど体はってるげい人、テレビで見たことないもんなあ」
「「……」」
日本刀振り回すヨロイニキ、クロマニキから逃げ回るサスケニキ。
そしてそんな三馬鹿ラスを子供達と双子が面白そうに眺めていた。
結局バカ共のコント?はどうすればいいの?と困った顔の少年に気付いた双子がバカ共を取り押さえるまで続いたのでした、だめだこりゃ。
―以下どうでもいいバカ共の設定―
ガイ連参加前にストリップ動画探しまくった件と過去スレで流出後のアレコレ見たのもあり人魚ネキにはビビり気味。
しかしいざ会ったり関わったりする際にはこんな感じになるのがこいつらである。
行動原理の9割以上がその場のノリと勢いで生きてるのは伊達ではない。
・アガシオン
赤ちゃん烏と何を通じ合わせたのか知る者はいない。
しかしこの後赤ちゃん烏と何か話してるのが度々目撃されている、なお傍から見るとアガシオンの横で烏がカァカア鳴いてるだけにしか見えない。
突如『半熟英雄のたまごダンスを踊る人魚ネキ』というネタが降りてきて、頭の中の柴千春が『人魚ネキを赤面させるのは無理かも知れねェッッ無理かも知れねェが人魚ネキの一回くらいッッ1回くらいはッッッ人間味のあるとこ見せてやる!』と叫んだのでこんな感じに。
黒焦げ氏、人魚ネキとシキガミ双子を使わせて頂き、ありがとうございます。
解釈違いあったら申し訳ございません。
本当は双子だけでなく分身3姉妹も参加させたかったけどその場合絶対夢嬢によるインターセプトで始まらないorツッコみ乱舞で夢嬢ツッコみ過労死な未来しか想像出来ませんでした。
それでは最後まで読んで頂き、誠にありがとうございました。