【カオ転三次】幼女ネキの謎を解明するため、黒札調査隊は宮城県の奥地〇〇町出張所へと向かった――。 作:貧弱一般メガテンプレイヤー
でもやりたくなった、出したくなって書きたくなったから仕方ないんだ。
また今回より新たなオリキャラとその仲間達が登場します。
あと勢い任せ何で後で変更になる部分もあるかもしれません。
多すぎるので名前はあげませんが、カオ転三次でシキガミやロボや技術、素材の設定考えて書ける人凄いと思い知らされました。
何時も通り時系列等は外伝・アンソロジー時空という事でお願いします。
「依頼が入っています。貴方達への指名依頼です」
ガイア連合山梨支部・事務所にて、ガイア連合幹部にして事務長のちひろネキが満面の笑顔で告げた。
そして告げられた三人組、通称三馬鹿ラスと呼ばれる者達。
美しい笑顔を向けられた彼らの胸中は――
「「「……」」」
――皆一様に沈痛であり、その表情は弔辞のそれであった。
「そこまで嫌がる事ないでしょう!? 塩漬け依頼の時よりすっごい嫌そう!」
「……だってさあ、そりゃ指名依頼って聞いて、最初はワクワクしたんよ? 実際ウレシイ」
「オレ達じゃなきゃダメって事だからなー、遂にそこまでになったかーって考えたさ」
「ええ、誇りに思いましたし、希望とやる気がムンムンわいてきましたよ――だけど」
「「「指名依頼が、ガキの相手ばっかって一体どゆ事?」」」
彼らの訴えに無言でそっと目を逸らすちひろネキ。
そんな反応に三馬鹿ラスも納得出来ないと言い募る。
「そりゃ覚醒者にする依頼なんだから、普通のガキ相手じゃないのは分かる、分かるけどなんでそればっかになるの? おかしいと思いませんか? あなた」
「報酬も悪くないし、代われるなら代わりたいという人も多い、良い仕事じゃないですか」
「そりゃ悪魔連中とドンパチやるよりゃ安全なのは分かるけどさー、代わりに色々削られるんだけど。なんつーか精神とかMPとかSP的なもんとかが」
「しっかりと仕事をやり遂げるから信頼が生まれ、それが次の仕事に繋がる、請負人として理想的な良い流れですよ?」
「それ、本当に信頼生まれてますか? 『良い子良い子、どうでもいい子』っていう感じのてきとーでいいさ、みたいのを感じるんですけど」
「ウフフ、まさかそんな事」
流石非覚醒でもガイア連合幹部、顔色一つ変えず、汗一筋流さず言ってのけるちひろネキ。
三馬鹿ラスがこんな風に思うのも理由はある。
例えば前回の依頼はある黒札同士の夫婦の子供で、まだ異能を制御出来ないその子の面倒をみるという内容。
夫婦が帰ってくるまでで、異能を制限する結界もある、万が一に備えてなだけの簡単な依頼。
の筈が、突如結界に異常発生。
結果大泣きした子供に火球を雨霰と撃たれる羽目になった三馬鹿ラス。
火達磨にされながら子供を泣き止ませようと必死にあやし、歌い、踊る、そんな努力の甲斐あってか、キャッキャッとご機嫌に笑う子供の姿に、真っ黒焦げになった三馬鹿ラスは安堵した。
が、これやると楽しい事してくれる、と認識されてしまい、今度は笑顔で火球を雨霰と撃ち込まれる事になってしまった三馬鹿ラスであった。
その前の依頼では、こちらも制御出来ない怪力の子供の相手をして欲しいとの内容。
まあこちらは予め内容を把握していた事もあり、そこまで酷い事にはならなかった。
それでも天高く吹っ飛ばされたり、地面に叩きつけられて埋まったり、壁に人型の大穴をあけたりと無事とはお世辞にも言い難かったが。
しかし依頼後、その子から手加減しなくて良い遊び相手だと思われた結果、道でばったり出会う度、実にイイ満面の笑顔と共に日大タックルかましてくる様になったのは大誤算であった――子供でも、否、子供だからこそ本気を出せない状態はストレスが溜まるのだろうが。
こんなのばっか続けばそりゃ幾らバカなこいつらでもうんざりもするし、警戒するのも当然であった。
三馬鹿ラス的には不本意なのだが、依頼者からの評判はとても良く、それがこの手の指名依頼が入る原因でもある。
なお、その理由は被害や攻撃が三馬鹿ラスへと何故か極端に集中する為、本来起こる筈の周辺被害が少ないorゼロで済むからなのだが、関係者達の暗黙の了解として、三馬鹿ラスには極秘とされている。
「まあまあ、今回は黒札の子供の面倒や相手をする依頼ではありませんから安心して下さい」
「……また黒札の子共じゃなくて、神や悪魔の子供だからノーカン、てのじゃないっすよね? 俺は訝しんだ」
「そうでしたっけ? ウフフ」
「それは一部の黒札が多分マジギレするやつですから! 危険が危ないですよちひろネキ!」
「冗談はさておき、今回は全く異なる依頼ですよ。そうですね、今回は子供の相手の依頼ではなく――」
「ガキの相手じゃなくて?」
ヨロイニキの首を傾げながらの問いに、ちひろネキがはっきりと答えた。
「――子供からの依頼、子供の黒札より貴方達への指名依頼になります。その子の作る『作品』に関しての、ですね」
◇
山梨支部・居住区。
「ここだな。ちひろネキの話じゃ一人暮らしらしいが、それにしちゃあ随分と不釣り合いなデカい家だな」
「よくある一人暮らし、但しシキガミは除く、ってやつじゃねーの? 黒札でもガキなんだし、後は何かかさばるモンが置いてあるとか?」
「まあ指名依頼出来る程度には懐に余裕があるのは事実でしょう。色々な理由で家や内装が特殊な覚醒者なんて珍しくもないですし」
結局子供の御守りやデコイやサンドバックじゃないのなら、と依頼を受けた三馬鹿ラスは依頼者の自宅の洋館前へとやって来た。
取り合えずまずはインターホンをサスケニキが押す。
「ドーモ。はじめまして依頼者=サン。サスケニキで――」
『いらっしゃーい! 待ってたよー! でもわたし今手が離せないの! 鍵開けるからそのまま入って! 案内送るから!』
「お、おう。わかりました、オジャマシマス」
即座に返って来たハイテンションで高めな子供の声とガチャリ、と鍵の開いた音に、思わず顔を見合わせる三馬鹿ラス。
「……取り合えず声の感じは完全にガキだったな」
「まあ音声なんて簡単に弄れますし、見た目すら当てにならない業界ですからまだ何とも」
「それじゃ入るぞ、っと」
そうヨロイニキとクロマニキのやり取りを聞きつつ、サスケニキがドアを開け、エントリーする。
飾り気はないがしっかり掃除された大きいエントランスを見回す彼らの耳に、足音――金属製と思われるものが届く。
音の方を向いた三馬鹿ラスの視界に入ったのは――
「恐竜のロボット、というかこれってどう見てもアレだよな」
「ゾイドだな。クロマニキ程じゃねーがオレも知ってる」
「ええ、アロサウルス型ゾイド、ゴドスです」
――ゾイドシリーズに登場するゾイドの一つ、ゴドス*1であった。
三人の前まで来てお辞儀?した後に先導するように歩き始める全高180cm程のゴドスに付いていく三馬鹿ラス、特にゾイドが好き*2でシキガミ作製も勉強中のクロマニキは興味深そうに近付いて観察する。
「私はまだそこまで詳しい訳ではないですけど……作成部の人達のシキガミとは少し違う気がしますね、素材とか」
「つーことは作成部じゃないやつが作ったって事か? そーゆーシキガミもいるんだな」
「幼女ネキみたく完全な趣味で作るのも居るしな。高レベル黒札なら多少の事はどうとでもなるし」
そうやってる内に階段を下りて地下へ案内され、部屋へと通されると、如何にもな作業室の中で、こちらに背を向けて何やら作業する小さな背中が見えた。
「……ふう、これで一段落と。あ、こんにちは! そしてはじめまして! 来てくれたって事は依頼受けてくれると思っていいんだよね? ありがとう!」
振り返って椅子から立ち上がるとハイテンションで挨拶&お礼を同時にしつつ、握手してくる長い髪を二つに分けてスマートグラスをかけた白衣を羽織った、小学校高学年ぐらいの少女。
その姿を見たサスケニキが、握手に応じながら呟いた。
「ドーモ。はじめまして……その髪形と見た目、もしかして、ラスオリのドクター?*3」
「知ってるんだ? じゃあそっちの説明は省いて自己紹介するね。わたしが今回の依頼者、本名は秘密だからドクターネキって呼んでね! 元ネタ程じゃないけど頭の良さは自信があるよ! あ、わたし覚醒して若返ってるんじゃなくてホントに見た目通りの子供だから色々気を付けてね? あと前世では男性でした! 男だった頃の事あんまり覚えてないからわたしは別に問題なかったけど、お兄ちゃん達にはどっちかは大事でしょ? 好きな事はシキガミ作りとシキガミについての勉強! 嫌いなもののはわたしのシキガミを粗末に扱う人、趣味はシキガミと動画鑑賞、特にお気に入りがあるんだけど諸事情で何かは秘密! よろしくね、お兄ちゃん達! あ、お兄ちゃん達の事は事前に調べてるから自己紹介なくても大丈夫だよ?」
「「「アッハイ」」」
テンション高く一気に言い切った少女改めドクターネキに、完全にイニシアティブを持ってかれた三馬鹿ラス。
ドクターネキはそんな三馬鹿ラスに構う事無く、きらきらした笑顔で話し続ける。
「ホント良かったよ、同じ依頼を他の人達にも出したんだけど中々上手くいかなくって、それでちひろお姉ちゃんに相談したら、お兄ちゃん達ならきっと大丈夫ですよって太鼓判貰えたの! それで指名依頼をお願いしたんだけど受けてくれるか――え? あ、ごめんなさい、わたしばっかり話しちゃって。事前に調査したのも含めてずっとお兄ちゃん達の事色々考えてたから、なんかあんまり初対面って感じがしなくって」
「えーと、恐縮です、で、いーのか? この場合」
「いーんじゃないですか? 知らんけど」
「まあ事前調査はパスしたって事なんだろ、多分きっとおそらくは」
喋り続けるドクターネキの肩を三人を案内してきたゴドスが肩とんした事で、困り顔の三馬鹿ラスに気付いたドクターネキが謝罪し、三馬鹿ラスはその内容に顔を見合わせた。
「それじゃあ依頼について説明するけど良い? あ、紅茶で良かった?」
作業室隣の仮の応接室っぽい部屋へと移動して席に着いた四人の前に、ゴドスが器用にティーカップを並べていく。
「ちひろネキの話では、依頼は貴女の作品に関しての、との事でしたが……作品というのはやはり?」
「そう! わたしの作ったシキガミ――ゾイドの事でお願いしたいの!」
「やっぱそうか。でも元ネタと比べてえらくちっこいのはなんか理由あんの?」
「わたし一人で作ってるから本来のサイズだと技術や場所やコスト的にまだ難しいの。それに販売用シキガミとしても考えてるから、元のサイズだとお値段も相応になるから買える人も限られちゃうでしょ?」
「確かにでかいロボット買って使ったり出来るのは高レベル且つ趣味人の連中ぐらいだろうしな、まだ人間サイズのが買い手がつくか。実際タカい」
納得したサスケニキの言葉にふむ、と顎に手をやって考えていたクロマニキがドクターネキに尋ねる。
「しかし勝算はあるのですか? 販売用となると既に多数の先駆者が居る現状、ゾイドならではの売りが必要なのでは?」
「あー、確かにな。クローンヤクザとかプリニーとかディスガイアモブとか、スパルトイとか土偶とかライバル多いもんなー。あとようじょのとこのイロモノも一応?」
そんなクロマニキの言葉に指折りしながら思いつく販売用シキガミを挙げるヨロイニキだが、ドクターネキの目がすっと細まり、口から言葉が流れ出す。
「まだ計画段階のものも含めて幾つかは。森林に山岳、砂漠や湿地帯みたいな環境での行動は人型よりも得意だし、人と装備が共用出来ない代わりに装備のカスタマイズや変更を現地でも可能な程簡単に、AI部分に動物としての思考や本能を組み込む事で一定の独自行動や連携を指示なしで行えるようにして、更にコア部分に重要部を一点集中する事で他の素体へのコア移植をより安全且つ簡略化する事で――」
「……想像よりずっとガチな答えが返ってきた件について。孔明から知力鍛錬受けた黄月英*4だなこの子。今郭図とは比較にもならんぞ、実際スシとオニギリ」
「言い方ぁ! いやそりゃシキガミ関係でこの子に勝てるなんて言う気は無いですけど!」
サスケニキが感心&蔑みという両極端な行動を同時に行い、クロマニキが怒りつつ負けを認める中、再びゴドスにとんとんされ説明モードのドクターネキが元に戻った。
「っと、ごめんね、またつい夢中になっちゃって。どちらかと言うと、黒札の人よりも金・銀札の人達向けと考えてるの。値段を抑えめにして、そこの環境に合ってて、前衛が務まれば買って貰えるかなって」
「そーいや現地人で悪魔と接近戦するやつって割と少ないらしいからな、なら自分が面倒みてる相手や名家用に買うやつも居そうだな」
「得意、不得意はあれど格闘戦が全く出来ないゾイドってあんまりいませんからね*5。確かに需要はありそうです」
「何より! ゾイドの普及と認知を広げるにはガイア連合の以外の人達にも知ってもらう事が大事! その為の初期投資としてお値段はお勉強します!」
「うーん、子供でもやっぱり俺たちだなー。まーでもガキには人気出るんじゃねーの? ガキはロボも恐竜も動物も大好きだからな、全部乗せなら命中率200%だろ」
「乗せ過ぎた結果迷走して沈没、結果シリーズ終了! ってのも前世では割とあったけどな。でも親としては自分の子供にゴキブリやヤクザ張り付かせるよりは、って思ってくれるんじゃねえか?」
「装備する火器もホビー部製の悪魔専用外見玩具銃を使えば、外にも堂々と置いとけますか。人間相手の時はゾイドらしく身体自体を武器にすればいいですし」
「そうなったら嬉しいな。後は……人や人に近い姿じゃなくて、人の言葉を喋らないから、と選んでくれる人も居るかな」
今迄とは異なる雰囲気とトーンでそんな事を言うドクターネキに、ハテナ顔になった三馬鹿ラスだが、クロマニキが何かに気付いて顔を歪めた。
「……人でない、人っぽくないからこその需要、ですか。それは間違いなくありそうですね」
「うん。わたしとしては、思うところはあるけど……仕方ないかな、って」
そんな二人のやり取りに、サスケニキ、ヨロイニキが顔を見合わせた後割り込みをかける。
「おーい、なんか二人の世界になってねーで戻って来てくれー」
「俺らにも分かる様に教えてくれよ、説明重点」
「――リアルでもフィクションでも人は全く信じないけど、ペットの犬とか大好きな独裁者とか居るでしょ? 要はアレです」
「あー……割と良く聞く話だよなあ。ハリポタの名前を言ってはいけない人なんかも蛇大事にしてたよな」
「歴史でもそーゆーやつら、結構居た気がすんな。そりゃ確かにそういうの居そうだしそんな奴らにも売れるかもな」
「別に人の姿だから裏切る訳でもないし、人の姿じゃないから裏切らないって訳でもないのにね? 多分『そういう人達』にとってはもう理屈じゃないんだろうけど」
呆れた様な、憐れむ様な声と笑顔でドクターネキがそう語った後、笑みを消して呟く様に言った。
「さっきも言った様に思うところはあるけど――わたしは『そういう人達』を否定はしないよ、買った子を大事にしてくれるなら、それで」
そんな先程までのハイテンションとは全く異なる様子の少女を見たヨロイニキが、話題を変えようと動く。
「そういやゾイドって確か無惨ニキやパピヨンニキがもう作ってたよな? あとロボ部にも色々あったような、あっちは確かブロックスだったか」
「そうだよ! シンカー*6もホエールキング*7も凄いけど何よりもデスザウラー! 動画で見た時はその場で思わず跳び上がって叫んじゃったもん!……その後デストルドスになった時も叫んじゃったけど*8。どれも今のわたしじゃ全然届かない技術の結晶だって分かってる、分かってるけどぉ……」
「あらら、感動と絶望の反復横跳び状態、ラクサ・オオキイ」
「まあ推しがクライマックスで別物に変身したらそりゃーなあ」
「もうちょっと機械っぽかったらバリエーションの一種と己を騙せたんでしょうけどねえ」
目論見通り元のテンションに戻ったが、直後に別のテンションダウンをおこして突っ伏すドクターネキに内心空気が変わったとガッツポーズの三馬鹿ラス。
テーブルにぐたっと突っ伏したままでドクターネキが話を続ける。
「わたしもさあ、
「見事にわからせられたと。まあしゃあないしゃあない、それは加入前から覚醒してた連中の半分スピリチュアルな儀式みてえなもんだから」
「エドお兄ちゃん、ミナミィお姉ちゃん、セツお兄ちゃん、探求お姉ちゃん、フリスビーお兄ちゃん、*9無惨お兄ちゃん、*10パピヨンお兄ちゃんは言うまでもないし、作成専門じゃない破魔お姉ちゃんや幼女ちゃん相手でも勝負にもならないとかさあ。そしてそんな皆より凄いのがショタおじちゃん、と。もうわたしの今迄の人生って何だったのかなあって」
「まあ色々と一線超えてるからこその修羅勢、上位勢ですからねえ。ショタおじは、まあショタおじですし」
「蓋世之才*11ってまさにあんな人達の事を言うんだろうなって。天に与えられた程度の才と天に等しい才、そんなの比較する事自体が大間違いだって思い知らされちゃってね」
「いやいや! その歳でそんだけ出来りゃ十分過ぎんだろ!? そんなん言ったらお前、こいつらなんかもう今すぐ原始に帰らにゃならなく――」
「前半は賛成! だが後半、テメーは駄目だ、つうかお前が言うなこのイディオット!」
「前半部はその通りです、しかし残りは貴方にだけは言われる筋合いは無いですよヌケサク!」
「ドベェーッ!」
その場でダブルかかと落としをキめて一番の考えなしを黙らせるサスケニキ、クロマニキ。
勿論ちゃんとティーカップは避難済である。
が、ここで突っ伏していたドクターネキが顔を上げ、立ち上がって叫ぶ。
「でも! そんな天才の端くれ程度のわたしでも! ガイア連合の偉大な先達が発見し作り上げた理論や技術を学ぶ事なら出来る! それにやりたい事をやるのも、楽しく生きるのも、天才かどうか何て関係ないんだって! わたしはある『出会い』でそれに気付く事が出来たの!」
「「「おー!」」」
おめでとう!とどっかの新世紀なアニメのTV版EDみたいに拍手する三馬鹿ラス。
頭ヒーホーで属性エンジョイ勢のこいつらにとっては楽しいかどうかが最重要故に、ドクターネキの結論は応援して然るべきものであった――子供が遊ばず楽しまずでどうすんだというのもあるが。
「わたしが作りたいから作る! ないから作る! あるなら作らない! でもあっても自分でも作ってみたいのは作る! だからわたしはゾイドを作って広めて何時かは原寸大のゾイドも作るの! 正直人任せだとブロックスばっかり&主役級や有名処だけになりそうだし!」
「うむ、実に俺たちらしい趣味と推しの為に財産&才能を使う黒札仕草。若いというか幼いのにもう立派な俺たちだな」
「公式でも二次でも供給がないから自分で書いてるマイナーカプ推し同人作家みてーだな」
「はいそこ、お黙る。相手はリアル小〇生ですからね? 何かあった時言い訳出来なくなるタイプの発言は慎みなさい」
「と、スマン、ロリ三原則*12を忘れちゃイカンな。じゃあそこのゴドスもドクターネキが作ったんだよな?」
クロマニキにツッコまれたヨロイニキが誤魔化す様に質問した。
その言葉に即座に顔を上げてキラキラとした笑顔でゴドスに抱き着きながらドクターネキが答える。
「うん! シキガミコアはショタおじちゃんに作って貰ったけど、それ以外はわたしが作った最初のゾイドなんだよ! すっごく良い子なんだから!」
「へー、すげえなちっちぇのにクロマニキよりよっぽど頭いーじゃねーかよ」
自慢気な様子のドクターネキに感心した様にヨロイニキが呟き、
「でもなんでゴドスなんだ? ふつーはもっと主役っぽいのにしねえ?――あいたっ!」
「オロカモノ!」
「ド愚物!」
考えなしに思った事を続け、二人に今度は後頭部を思い切りぶん殴られた、割と何時もの事である。
「むー! ゴドスだって凄いんだよ! 最強の小型ゾイドとして君臨した時もあるし、工事やピット作業なんかでも大活躍なんだから!」
「それ、前半は兎も角後半はもがっ」
「そーですよね! 強いゾイド、弱いゾイド、そんなの人の勝手なんですから!」
「強い弱いより何処か好きかで自分、じゃなくてゾイドを語るべきだからな!」
ふくれっ面になったドクターネキにまたいらん事言いかけた
依頼者怒らせてどうすんだって話だし、万一泣かれでもしたらそれこそ一大事故に。
「……まあヨロイお兄ちゃんの言いたい事も分かるけど。でも今のわたしのレベルや技術だと例えばデスザウラー作っても見掛け倒しになっちゃうの、そんなの嫌だもん。勿論今のままでいる気はないけど」
「成程な、一緒に強くなって、相応しい強さになった上で主役級のゾイドや相応しいサイズにすると。確かに見た目だけ変えても意味ないよな、中身重点」
「でしょ? ゴドスになったのも後から何だよ、最初はガリウス*13からスタートしたから」
「骨ゾイド*14からですか、うーむ、凄まじくも見事な拘り。実に愛と情熱と信念を感じさせますねえ」
「だな。そーゆーのはオレも嫌いじゃねえ、寧ろ大好きで大好物だ!――そんでマジすまんかった」
「分かってくれたのならいいよ!」
深く頭を下げるヨロイニキに笑顔を返すドクターネキが、自らの目的を改めて説明する。
「わたしの目標はゾイドの見た目のシキガミを作る事じゃなくて、シキガミ作製の技術と知識でゾイドを再現する事! そして依頼はその為のデータ収集の協力だよ!」
「ゾイドの再現……ってどーすんだ? 金属の身体、はもう出来てるっぽいが」
「色々あるけど一番はゾイドコア! 具体的にはコアに生殖機能を持たせる事! 元々シキガミコアはゾイドコアと似た部分も大きいからシキガミコアの改良が成功すれば一気に目標に近づくの!」
「ゾイドコアは設定では心臓や脳を兼ねた臓器で遺伝データ等も凝縮された核、そしてゾイドはそのコアを産んで繁殖するんでしたね」
「けどシキガミが妊娠出来ないのはショタおじでも終末後まで待ってって話なんだろ。流石に無理なんじゃ?」
当然のサスケニキの疑問に、笑いながらドクターネキが答えた。
「幾ら天才の端くれのわたしでもショタおじちゃんでも無理な事を出来るなんて自惚れる気はないよ。【精子と卵子の妊娠】は無理でも無性生殖なら【分身】や【眷属作成】のスキルを改造、組み合わせる事で再現出来るんじゃないかと考えてるの」
「「「成程なー」」」
具体的なゴールの道筋まで見えていると思える、幼い見た目にそぐわぬ知性と自信に感心していた三馬鹿ラスだが、ん?と何かに気付いた顔をする。
「……素人質問で恐縮ですが、それって色々なモノのなんかが危ないのでは? 実際ヤバい」
「なあ、うろ覚えなんだが、勝手に増えたゾイドがクソヤバい事件起こす話、元ネタになかったか?」
「……ええ、暴走して制御出来なくなった上、失った繁殖能力を復活させて世界の危機になった話があります*15」
じっと見つめる三馬鹿ラスから目を逸らしながらドクターネキが気まずそうに告げた。
「……『はぐれたりした個体が知らない内に大増殖したら環境問題だよね? あとメシアンや他所の神や悪魔に捕獲されて利用されたら問題にしかならないよね?』ってショタおじちゃんに言われちゃった」
「「「おい。おい」」」
「他にも強力だけど狂暴だったり我の強いゾイドは相性によっては従わない、でも相性が良ければ例え非覚醒でも従うってゾイドらしい部分も再現しようとしたら『その強力なゾイドが過激派と相性良かったらどうすんの? それに動物ベースな以上動物系の権能持ちの神や悪魔からカモにされるよね?』って」
「「「残当すぎる!!」」」
流石のバカ共でも常識的状況判断にまわらざるを得ない内容に三馬鹿ラスは慄いた。
「でもでも! 繁殖可能な環境をしっかり限定して、その上で繁殖数や上限に制限がっちり付ければ防げるから! サファリパークや保護区みたいに決まった範囲内でしっかり管理するならってOKもらえたから! ホントは人類に友好的な新種族として確立するまでが夢だったけど妥協したの! あと相性も妥協して縛りとして組み込んで相性が良い人なら同価格帯のシキガミよりちょっと強いゾイドを使えるっていうメリットに変えたし!」
「……ははーん、さてはこの子、マッドサイエンティスト属性だな?」
「珍しく少なめの脳ミソで良く考えたなヨロイニキ、間違いなくあからさまにマッドサイエンティストなのだ」
「しかもある程度妥協に加えて建前とか根回しも考えられる、ある意味より厄介なタイプのマッドですよ」
妥協と改善案を訴えるドクターネキに対し、ひそひそと密談しつつ、いざという場合の脱出を決める三馬鹿ラス。
ブッダシット!子供のお守りから逃れた先で待っていたのは子供なマッドサイエンティストの相手とは!
やはりブッダはゲイのサディストであったのだ!
オホン、と話を戻す様に、あるいは誤魔化す様に咳払いしたドクターネキが説明を再開する。
「えーと、色々脱線しちゃったけど依頼についてね。結論から言うとわたしのゾイドと一緒に行動して欲しいの」
「行動っていうと、一緒に異界に潜って悪魔と戦うって事でいいのか?」
「そう、わたしやわたしのゾイドだけじゃ集まるデータが偏っちゃうから色んな状況のデータを集めたいの」
「つまり販売用シキガミの実戦テスト、と考えていいんですかね?」
「ううん、今回はそっちじゃなくて、販売用のシキガミを作る為のデータ収集が目的だから」
「え、つーことは預かるの専用シキガミってことか? おいおい、いいのかよそれ」
「勿論大事なゾイドを預ける以上は、異界の階層や範囲はある程度指定させてもらうし、扱いなんかも契約に含ませてもらうよ? でも変な契約にはしないし、傷一つ付けるななんて無茶言う気はないから。だけど――」
「――わたしのゾイドに酷い事したり、使い捨てたりなんかはしないでね? したら怒るよ? それはもう凄いお仕置きするから」
「「「ヒッ」」」
少女の欠片も目の笑っていない笑顔とオーラに、年の差やレベル差等とは全く無関係の恐怖というものの存在を確かに感じた三馬鹿ラス。
「戦闘用に作るゾイドに何をって思うかもしれないけど、戦闘に使うのと使い捨てにするのは断じて一緒じゃないからね? ガッツさんだって『同じ命張るにしたって捨て駒にされるのと、仲間の為ってんじゃ張りがいも違うってことさ』って言ってるんだから。分かるよね、お兄ちゃん達」
「「「アッハイ」」」
ヤバいオーラそのままに正論を放たれて、三馬鹿ラスは姿勢を伸ばして受け入れるしか出来なかった。
何か背後にひょっとこ面で両手に包丁持った大人げない37歳児のペルソナも見えるし。
「んー……内容は問題ないですね。受けて良いと思います」
「そうか……大丈夫なのか? その、何というか色々ダイジョブ?」
「でも言ってしまえばレンタルシキガミ連れて異界行くのと同じですよ? もしゾイドがやられたら可能な限り回収、無理なら全力で帰還して事態の報告とその後の回収協力なら常識の範疇でしょう。全滅してでも回収しろなんて書かれてないですし」
「そっか、レンタルと考えりゃむしろ臨時PTメンバーに報酬が付いてくると考えたらめっちゃお得だな!」
色々とビビったり警戒していたが内容が問題ない、むしろお得とあっさり警戒を解くヨロイニキに呆れつつも、他二人も依頼を受ける事を決め、そんな三馬鹿ラスに笑顔でドクターネキが告げる。
「ありがとう! それじゃあお兄ちゃん達に同行するゾイドを紹介するね!」
その声と共に隣接した作業場への扉が開き、そこから一機のゾイドが姿を現す。
四本の足で身体を支え、尻尾を振って、自慢の牙を見せながら入ってきたそのゾイドの名は――
「水陸両用ゾイド、バリゲーターだよ! 仲良くしてあげてね!」
――ワニ型ゾイド・バリゲーター*16であった。
「「「何でワニ!?」」」
「えー、凄くカッコいいじゃない、このおっきな顎とか」
「いやライガー系は絶対来ないと俺らも予想はしてたけどそれでも、もうちょっとこうさあ!」
「ここは性能や見た目からもコマンドウルフ*17とかの場面じゃねーの!? 常識的に考えて」
「何故初手でバリゲーターを……正直、他に相応しい候補はあったと思いますけど」
しかし三馬鹿ラスの発言に、ピクリとドクターネキが眉を激しく動かした。
「バリゲーターがデザインだけの弱いゾイドだって言った!!? 長く使われてる設定なのに全然活躍してないゾイドだって言った!!?」
「お、おいおい、オレは別にんなことは」
「初登場でいきなりシンカーに負けたやられ役と言った!!? 旧キットの箱裏ですら活躍してない珍しいゾイドって言った!!?」
「お、落ち着いてくれドクター=サン。誰もそこまで」
「出番の筈の上陸戦でも他のゾイドに出番を盗られたゾイドって言った!!? ウルトラザウルスと一緒におまけやついでみたいにやられるゾイドだって言った!!?」
「いやそこまでバカにしてないですから!」
「川を渡って背後から挟み撃ちにする水陸両用ゾイドらしい作戦を発案して決行したら空からエースに奇襲されて全滅させられた哀れで悲惨なゾイドだって言った!!?」
「「「だからそこまで言ってないと言っているサル!!」」」
「そ、そう……じゃあ、許してあげる」
「お前のほうがよっぽどひでー事言ってるじゃねーかよ……」
「というか、公式からそこまで悲惨な扱いだったって初めて知ったぞ俺」
「仮にもデザイン公募したコンテストの受賞作品のゾイドなんですけどねえ」
はぁはぁ、ゼイゼイと息を荒げるドクターネキの背中をクロマニキがさすってやる内に、ゴドスが水入りコップを持って来たのを飲ませて、仕切りなおす四人。
なお当のバリゲーターは不思議そうにしていた、まあ彼?からすると訳の分からない言い争いにしか見えないので致し方なし。
「それで改めて確認なんだが何でワニなんだ? 特に俺達にワニや水辺が絡む要素ない筈だが――ないよな?」
「そこで不安になるのはサスケお兄ちゃんらしいね。でも私なりにお兄ちゃん達向きのゾイドだと思ったからこの子にしたんだよ? だって――」
「――海でおっきい波見たら取り合えず波乗りチャレンジしてみたり、水辺で魚の群れとかみつけたら
「むう、このちっこい博士、想像以上にオレ達の事理解してるっぽいぞ?」
「事前に調査した、というのは伊達ではなかったみたいですねえ……」
そんなアホなやり取りをしつつも、お互いに依頼の内容については問題ないので話がまとまったとしてバリゲーターを連れてお暇する事になった。
「それじゃあよろしくね、お兄ちゃん達!――そしてその子の事、どうか宜しくお願いします」
そう言ってゴドスと一緒に頭を下げるドクターネキに見送られて、ドクターネキの自宅兼作業場を三馬鹿ラスは後にしたのであった。
なお、三馬鹿ラスにもドクターネキにも気付かれる事無く、アガシオンとゴドスがちっちゃな手と三本指の手で、両手を使って固く、強く、握手をしていた事を知る者はいない。
◇
バリゲーターを一緒に帰り道を歩く三馬鹿ラス。
思ったより速く歩く機械のワニをそれとなく見つめながらヨロイニキが誰ともなしに尋ねる。
「なあ、大丈夫なのか? 色々と」
「依頼についてはさっきも言った様に問題なしです。契約書も変な言い回しもない分かりやすい内容でしたし」
「いやそっちじゃなくてよー、あんなチビがでけえ家で一人暮らしって危なくね?」
「そっちこそ問題ねえよ。山梨支部の中で誘拐とかアホな真似出来っこねえし、俺らに激アマなショタおじだぜ? チビほっとく様な事はしねえよ、ダイジョブダッテ!」
「ですね。何か手を打ってるか、自力で何とかなると認められているかのどっちかでしょう」
「実際家ん中であっちこっちから視線とか気配感じたし、多分あれ全部シキガミ、もといゾイドだろうな」
「あー、あれオレの気のせいじゃなかったのか。でも何で隠れてたんだろーな?」
「飼ってる犬が初めて来た客警戒してこっそり見てる感じじゃね? または主人に何かしそうな不審者に何時でも飛び込める様待機してたとか」
「あー……」
「ちょっと! 何で二人してこっちを見るんです!? 名誉棄損も甚だしいですよ!」
そんな何時ものやり取りをしながらも、ヨロイニキは、否、サスケニキもクロマニキも何となくは気付いている。
途中で雰囲気が急に変わった時の様子からも、きっと子供ながら、否、子供だからこそ色々とあったのだろうとは。
でもそこに首突っ込むのも、学校行けとか説教だ何だするもの、自分達のやる事でもキャラでもないとも何となくは理解していた。
「なあ、依頼報告の時、なんか持ってくか? とらやのヨーカンはどうよ?」
「ガキなら仙桃のがいいんじゃね? あー、でもまだ残ってたっけか」
「葡萄ジュースは止めときましょうか。メシアン絡みの可能性もありますし」
ガキは甘いもん食って笑ってるぐらいでいい、そう思うし、自分らがやるのも出来るのもその程度、と何となくでそう考えた三馬鹿ラスは、次行った時の差し入れを話し合いながら宿所への道を歩む。
そんな三人の背後を見ながら、アガシオンとバリゲーターがふよふよ、のしのしと付いていきながら、視線を交わしあっていた。
「あ、バリゲーターもよろしくな! 新キットの箱裏ではちゃんと活躍してたからダイジョブダッテ!」
「そーそー! FCのゾイド2だとクリアに絶対必要なゾイドだったんだ! 胸はっていいんだぜ?」
「PSのメカ生体の遺伝子ではバランスブレイカーに片足突っ込んだ強ゾイドでしたし、きっとこの世界ではそっちの方ですよ!」
そんな事言ってくる三馬鹿ラスに、バリゲーターが再びアガシオンと視線を交わそうとしたが、アガシオンはすっと視線を逸らしたのでした。
◇
三馬鹿ラスに依頼した翌日の午前、ドクターネキは買い物に出かけていた。
普段は通販やゾイドに頼むところだが、昨日依頼が無事出来た事で機嫌とテンションの良かった彼女は、少し今日の夕飯を奮発するつもりだった。
ゴドスとイグアン*18を荷物持ち&護衛に連れて鼻歌交じりに歩くドクターネキ、その耳に子供の歓声と笑い声、そして何やらノリのイイ音楽が響く。
「んー……何かのイベントかな。ちょっと覗いて行こっか?」
普段はこういった事をスルーする彼女だが、上がったテンションが普段と違う選択をさせ、護衛の二機を連れて騒ぎの方へと向かう。
そんなドクターネキの後をゴドスが何処となく嬉し気な雰囲気で続き、イグアンはそんなゴドスに少し呆れた空気を出していたが。
そうしてドクターネキ一行が進んだ先では――
「ぬうううう! 負けるかぁぁあ!」
「どーした、どーした! ワニに負けるぞサスケニキ!」
「いいですよバリゲーター! このままいけば貴方の勝ちです!」
「にーちゃんがんばれー! まけんなー!」
「ワニさんがんばって! かてそうだよ!」
――ブレイクダンスのバックスピン勝負をするサスケニキとバリゲーター、そして周囲で囃し立てる残りのバカ二人と子供達が居た。
「……」
暫しその光景を見つめ、その後眉間を揉んで、改めて見ても背中で回るゲニンとワニという光景は変わらず。
「――ゴドス、イグアン、GO」
主の命に従い、忠実なゾイド達は猛烈なダッシュから自慢のゴドスキック、イグアンキックを三馬鹿ラスへと炸裂させた。
「うん、正直ね、お兄ちゃん達に依頼した時点でこうなるっていうのは調査する前から分かってたから。ある意味予想通りというか期待通りではあるの。でもね? もう少し段階を踏むというか、何回か異界に入ってからになると思ってたんだよ。まさかいきなり初手でこうなるとはわたしも想定外で、そこは流石だねと思わず言っちゃいそうになったよ。だけど依頼者としては遊ぶにしてもやる事やってからって言いたくなる気持ちも分かってもらいたいんだけど? ちゃんと背中の装備や火器を外した上でバックスピンやらせたのは気遣いと渡しといたマニュアルしっかり読んでくれてたって事でプラスポイントだけど、その気遣いをもうちょっと――」
「ハイ、ハイ、誠に申し訳ございません、ドゲザします」
「何というか、その場の流れっつーか勢いで、つい」
「宣伝という意味では全くの無駄でも、あ、何でも無いです、はい」
並んで正座させた三馬鹿ラスにド正論でお説教するドクターネキ。
なお理由は問いたださない――こいつらならテレビでブレイクダンス見たからどころか、本でダンブルウィード見た、道でダンゴムシ見かけたから、とかでやってもおかしくないと、ドクターネキは知っていた。
リアル小〇生な年齢の子に正座&正論でガチ説教とか、普通なら世間体とかプライド等に大ダメージ不可避なのだが、この連中にはまあお察しである――そもそも宮城の某ようじょ筆頭に見た目ロリな黒札達に何度も殴られたり説教食らってるので今更過ぎる。
そんな中、ゾイド達はというと、ゴドスはドクターネキの傍に控えて待機――しつつ、珍し気に寄って来る子供達へアガシオンの協力を受けて対応し、イグアンは時折三馬鹿ラスの太ももの横という『地味に効く』所に蹴りを入れ、バリゲーターは子供達のリクエストに応えて再びバックスピンを披露していた。
図らずも、ゾイドの子供達への宣伝・イメージアップ、という点では効果があった、と言えなくもないかもしれない可能性が無きにしも非ずな結果となったのであった、多分。
◇
あくる日の午後、ドクターネキは山梨支部の作成部へと向かっていた。
以前の経験より、あまり質の高くない素材や使った後の材料の残り、有体に言ってジャンクを再利用したり、使える部分を取り出すのはドクターネキの得意分野である。
なので作成部で出たジャンクやジャンク品をタダ、あるいは格安で引き取るのは彼女のライフワークの一つだ。
彼女が子供であるという部分も大きいのであろうが、その辺りの善意を受け取る事、活用する事に躊躇いがないのがドクターネキである――自分なら大抵の物は使い道を見つけられると思うが故の、貰える物は病気以外貰うタイプと言える。
ジャンク運びの為の籠を背負わせたりカーゴを引くゾイド達を従えたドクターネキ。
そんな中、道横の茂みから聞き覚えのある話し声がしたのでそっと覗いて見ると。
「じゃあこのドロップしたスキルカードは一番根性のある奴が貰うって事で――合意と見てよろしいですね?」
「おー、構わねーぜ。オレが勝つに決まってるがな!」
「口ばかりの連中との違いを見せてあげましょう!」
「では勝負方法はバリゲーターの口の中に、より奥まで小石を置いた奴の勝ちだ!」
「「おー!!」」
なんかそういう玩具あったなという勝負をしている三馬鹿ラスが居た。
また眉間を抑えたドクターネキだが、ドロップ品という事は異界には入ってるという事と自分を説得&納得させた。
良かった探しは生きていく上で実際ダイジ。
「じゃあまず俺からだ……頼むぜ、バリ君。そーっと……」
ガブ
「アバーッ!!」
いきなりあっさり腕を噛まれたサスケニキが腕を押さえて転がり回る、まあ血も出てないので甘噛みのレベルなのだろう、多分。
「ぶわははははは! ぶぁかめぇ! よーしスキルカードはオレが貰った!」
そんなサスケニキを爆笑&嘲笑したヨロイニキが自信たっぷりに腕を伸ばして、
ガブリンチョ
「ウギャーーーー!!」
「ちょっとタンマ! このバカでもここまでされる謂れは無い! 多分!」
「幾らゾイドでもきっとお腹壊しますから! ぺっしなさいぺっ!」
腕どころか頭から上半身を噛まれた挙句、そのままぶんぶん振り回すというサービスをおまけされたヨロイニキが漫☆画〇郎チックに叫び、流石に他二人も助けに動く――ヨロイニキだけしっかり小手を装備していたのが不味かったのかもしれない。
「――どういう事? 事前のコアやAIの設定ではお兄ちゃん達に攻撃はしない筈なのに。こんなのは害意や悪意による明確な攻撃に対しての自衛の為の反撃ぐらいしか有り得ない。動物としての本能部分によるエラー? でもそれにしては明らかに手加減してる……手加減? 魔法や恐怖による錯乱状態を落ち着かせる為の気付けと同一? じゃあお兄ちゃん達の状態を混乱や錯乱と判断した? でもそれなら噛みつきを継続する理由が……っ! 同様に攻撃が必要な状況と判断したとしたら? まさか……ボケとツッコみを学習した!?」
そんなバカ共とバリゲーターを見て己の世界に入って考察に没頭するドクターネキ。
人としては兎も角研究者・製作者としては正しい姿であった、恐らく。
「――うん、あの子帰ってきたら色々聞いてからコアや他も全部調べてみよう! 今から楽しみ!」
そうして三馬鹿ラスに声をかける事もなく、気付かれぬまま、きらきらとした満面の笑みでその場を後にするドクターネキ。
「おぐおぐうっ! うげっ! ぐあっ〜〜〜!!」
「うわー! 今度はクロマニキが捕まった! もうヤメテ!」
「勘弁してやってくれ! そいつ貧弱もやしだから! マジ死ぬから!」
なお現場では、バリゲーターにローブの襟首噛まれたクロマニキが、右に左に振り回されて地面にびったんびったんされていた。
それを見た何機かのゾイドが『あれ、ほっといてもいいの?』な雰囲気をみせたが、結局ドクターネキを追いかけていった――シキガミでゾイドな彼らにとって、優先すべきはドクターネキなのだから。
◇
とある日の日没の少し前、作成部の仕事を終え、ゴドスと家路につくほくほく顔のドクターネキ。
「んふふ、お給料にオマケして貰ったし、エドお兄ちゃん達の仕事も見れた! 今日はラッキーだったなあ」
本人の志向も嗜好も適正も制作系のドクターネキは、所属は当然技術部に籍を置いているが、その勤務形態はアルバイトや派遣に近い。
普段はゾイドの為の自習や研究へと励み、その間はゾイド達を遠征させ、時にはレベル上げやデータ収集、素材集め、依頼等の為自らも異界に向かう。
そして資金稼ぎや知識の実践、先達たちの仕事や技術を見て学ぶために作成部の仕事に雇われる、というのが彼女のライフスタイルである。
実際作成部は自分より優れた技術者達の作業を見れたり、色々と教えてもらえたり、新たなアイデアの切っ掛けになったりと実に得るモノが多い、ドクターネキにとってとても良い場所なのだ――時折学校へ行くように勧められるのだけは、唯一のマイナス部分であったが。
「今更わたしが学校行ってもねー。良かれと思って言ってくれてるのは分かるけど……絶対誰にとっても悪い結果にしかならないだろうし――ん?」
はあ、と少しほくほく顔を陰らせたドクターネキだが、背後より聞こえる激しい足音に振り返ると、目を丸くして固まった。
「えーいこのバカ野郎共! 何でテメーらバハネキと人魚ネキの生放送コラボの時間忘れてんだよ! 普段オレの事バカバカ言っといてその様かってーの! あ、ドクターネキちっす! 今急いでっからまたな!」
「うっさいわ! 同じ様に忘れてたお前が言えた義理か! バカハドッチダー! ドーモ。こんばんはドクターネキ=サン。サスケニキです。遅くなる前に帰った方がいいぞ! オツカレサマドスエ、オタッシャデー!」
「無駄口叩いてる暇があったらもっとしっかりと持ちなさい! 肉体労働は貴方達の仕事でしょうが! あと足をもっと動かす! 報告書作っときましたから! 後今度ゾイドについて語り合いましょう、では失礼します!」
三人がかりでバリゲーターを担いだ三馬鹿ラスがそんな台詞と共にドタドタと全力で横を走り抜けていき、バリゲーターは暇なカレー屋の店主のようにじっとこちらを見つめ、少し遅れて後を追うアガシオンがドクターネキにぺこりと頭を下げ、ゴドスと互いに暫し見つめ合った後にバカ共を追っかけていく。
「覚醒してても重いモンは重いし走り難いんだぞ!? つーか自力で走ってもらったほーがいいだろ絶対!」
「ワニは確かに速いですけど持久力が無いんです! それより何で誰も動画見れるタブレットやノートPC持ってなかったんですか!」
「仕方ねーだろ! 普段と違って依頼中で人のシキガミまで連れてんのに異界ん中で動画見れるか! 契約重点!」
まだ固まったままのドクターネキの耳に駆けていく三馬鹿ラスのそんなやり取りが入ったところで、ゴドスに肩とんされて我に返る。
「んーと……置いてけぼりにするんじゃなくて、一緒に連れて行こうとした。つまりお兄ちゃん達はあの子を使い捨ての道具とか都合のいい駒とは考えてないし、そう扱うつもりもないという事、と考えられない事もない……のかな?」
ややあってそう呟いたドクターネキは暫く考えた後、にゴドスに向けて囁くように尋ねた。
「ねえ、わたしこの短期間ですっごく良かった探しが上手くなった気がするんだけど、これ喜んでもいいのかな?」
忠実にして、彼女と最も付き合いの長いゾイド・ゴドスは、その主からの問いにそっと視線を逸らしたのであった。
こうして、ガイ連屈指の大バカ野郎共・三馬鹿ラスとちっちゃな博士・ドクターネキは出会った。
そして、ここからが彼らの付き合いの始まりとなり、同時に彼女からの一連の依頼とそれに連なる諸々に、知らず知らずの内にお互いが巻き込まれる事を、彼らはまだ知らなかった。
―以下どうでもいいバカ共の設定―
・ドクターネキ
12歳のガチ小学生だが学校には行ってないちびっこ博士、レベル18。
知能系、知識系の悪魔を本霊に持ち、元ネタには劣るが非常に頭が良い。
一人称はわたしで、相手の事はお兄ちゃんやおじちゃん等ちゃん付けで呼ぶ、黒札相手だとニキ・ネキの部分をお兄ちゃん、お姉ちゃんにして呼ぶ事が多い。
シキガミ系の霊能名家に生まれ、6歳で早々に覚醒、碌に残っていなかった知識とゴミみたいな素材で強力な(現地名家基準)シキガミを作成し一族の希望にして、空前絶後の天才と扱われて、当人も自らを天才と疑っていなかった。
なお質の良くない素材の扱いやゴミから使える部分を取り出すのが上手くなったのはその時の経験によるもの。
紆余曲折の末ガイア連合に所属したが、そこでショタおじ筆頭に多数のガチな人達に全自動わからせを受ける。
色々あって現在は天才の端くれでも楽しく生きてみせるとエンジョイ勢に。
とある理由から現在は一人で制作活動に励んでいる、上位の制作系黒札への師事は自分で出来る限りの事を全部やって、それでもダメだった場合の手段。
曰く、ウルトラ〇ンに頼るのはぎりぎりまで頑張ってから!
覚醒者としては制作系以外はバフ、デバフ系スキルオンリーで完全な支援型。
また頭は良くとも戦術指揮に長けている訳ではない為、事前に物資等の準備を徹底的にした上で現場に判断を任せ、自分は支援に専念するといったスタンス。
タイプとしては蟲姫ネキや怪獣ネキに近く、蟲姫ネキ程常識人ではないが、怪獣ネキ程ぶっとんでもいない、年齢のせいかある意味中途半端。
しかしマッドサイエンティストな部分があり、更に妥協や事前の相談、根回しもある程度は出来るという普通のマッドサイエンティストよりある意味性質が悪い、三馬鹿ラスとは別ベクトルの問題児。
ゾイドを人類に友好的な一種族として確立させるのが夢だが、ショタおじに止められたのでサファリならぬゾイドパークで妥協した――が、終末後なら状況その他の変化次第では許可が出る可能性は十分あると考え研究を怠るつもりはなかったりする。
パピヨンニキのデスザウラーに感動し、何時か同サイズのマッドサンダーを作ってゾイドバトルをするのも夢の一つだが佐渡島支部でのデスザウラーの重要性を考えると夢のままで終わりそうである。
更に機会があればデスザウラーとマッドサンダーで共闘するという夢もある模様、宿敵同士の共闘でしか得られない栄養素はあると何時か証明してみせると語った。
なおゴドス達専用シキガミゾイドにはちゃんと名前をそれぞれ付けているが、自分とゾイド以外が存在しないと断言出来る環境以外では決して名前を呼ばない。
・ゾイド
現在はゾイドっぽいショタおじ製専用シキガミだがコア以外はドクターネキによるお手製。
ドクターネキは専用シキガミのゾイドで研究、データ収集を行った上でそれを元にスペックやコストを抑えた販売用シキガミゾイドを作成しようとしている、要はガンダムとジムみたいなもの。
販売用ゾイドの方にはRMZ-11ゴドス等型番を付けて区別している。
現状ではドクターネキ一人での手作業なので量産性に問題があり、生殖機能はそれをカバーする為という目的もある。
結構エグい話だが、元ネタのゾイド自体が大概エグい設定なのである意味原作再現である。
一部ゾイドの強力だが狂暴さや気性のせいで扱い難いという点を縛りを用いて再現しようとしている。
経験を積み、主と関係が深くなった時に素体、要は別の更に強いゾイドに身体を変えやすい様にコアに機能を一点集中させる等も研究中、現地勢には上澄み以外無用の長物になりそうだが、ライドニングサイクス回再現の為にも必要不可欠と考えている――なお将来漁師の三羽烏の一人、藤原氏にある台詞を録音してもらうのはドクターネキの中では確定事項。
販売用シキガミは現在は試作品をいくつか作っており、販売はまだ出来ない状態だが専用シキガミゾイドに販売用シキガミゾイドを指揮させる等の実験も行っている。
サイズは大まかに小型が人ぐらい、中型が馬みたいに人が乗れるぐらい、大型は3~5mぐらい。
ただ現在はドクターネキの技術や費用と場所の関係で小型までしか作れないので中型以上は予定サイズ。
まだまだ前途多難だが、ドクターネキはそんな状況とゾイドとの暮らしを楽しみつつ日々励んでいる。
・ゴドス
初めてドクターネキが作ったゾイドで最初にショタおじから貰った専用シキガミでもある。
それ故か護衛や遠征時のまとめ役だけでなくドクターネキの身の回りのお手伝いもしている。
その為か、ドクターネキに対して色々世話を焼いたり彼女の行動に一喜一憂する事も。
・イグアン
元ネタ通りゴドスよりステが少し高く、自分の方が戦闘はゴドスより上という自負心がある。
だがゴドスが常にドクターネキの身近で世話役を務めているのには思う所があり、対抗心を燃やす。
でもゴドスがドクターネキの行動に一喜一憂するのには呆れ気味。
・バリゲーター
割と最近作られた新入りで、生まれて早々に三馬鹿ラスやドクターネキにやたら同情されたり励まされたりで困惑しきり。
三バカとの臨時PTを命じられ、そのバカっぷりに何こいつらと思いつつドクターネキが何だかんだ満足そうなのでまあいっかと割り切っている。
なおアガシオンをこの群れのリーダーと認識している。
・三馬鹿ラス
クロマニキの影響(布教?)の為他二人もある程度はゾイドの知識あり。
合法ロリじゃないガチの子供には例え覚醒者でも良くも悪くも子供として扱い、接するところがある。
以前幼女ネキに八極拳食らった原因のいらん事言ったのもそれが理由。
なお別に子供は子供として、みたいな理念や信念が理由ではなく、何となく?という感じでやってる。
ドクターネキが元ネタより1歳若いのもDKのこいつらだとJCは子供枠より後輩枠になるという判断で12歳のJSになった。
ちなみに黒死ネキは言動もあってか子供枠?どうだろう?有識者による会議が必要では?となっている。
理由?黒死ネキは黒死ネキだし、何かエロい雰囲気もあるから。
・アガシオン
出会って目と目が逢った瞬間からゴドスとは互いにとても強いシンパシーを感じている。
お互いの為に、主の為に、これから色々協力しようと誓い合った。
なお似た者同士ではあるが、実は主へのスタンスは異なっていたりする。
ノリと勢いとやりたい出したい全開の誰得回でした。
何時かシキガミゾイド出してみたかったけどウチのバカ共がシキガミ作れるか?という根本的な問題にぶち当たり、お蔵入りに。
そして前話書いてる時に「別に作るのがバカ共でなくてもいいのでは?」と気付いた結果今回の話とドクターネキが生まれました。
自前のツッコみ役が欲しかった、子供以外に動物とわちゃわちゃするバカ共書きたかった、というのもゾイド登場の理由です。
色々設定や性能考えられる人ホント凄いと思います、筆者ではこの程度が限界でした。
他の作者様みたいにするには筆者の知力が足りない、前書き通り後で設定弄るかもしれません。
後半一応ラストまで考えてますが、今回勢いよく頭の中のものは出てくるのですが、グダグダでごちゃごちゃなそれを清書する作業に手間どるので気長にお待ちください。
それでは最後まで読んで頂き、誠にありがとうございました。