【カオ転三次】幼女ネキの謎を解明するため、黒札調査隊は宮城県の奥地〇〇町出張所へと向かった――。   作:貧弱一般メガテンプレイヤー

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 誰得でやりたいことやってる話の後編です。
 やりたいように書きたいように書いたらぶっちぎりで今迄一番長くなってしまいました。
 前編同様やりたい事やりたいようにやった内容ですのでご注意を。

 何時も通り時系列等は外伝・アンソロジー時空という事でお願いします。


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「それで色々あったけど取り合えずデータ収集は進んでるよ、お兄ちゃん達の紹介ありがとね、ちひろお姉ちゃん。これ貰い物の仙桃のおすそ分けね、わたしだけじゃ食べきれないから」

「これはどうもご丁寧に」

 

 ガイア連合山梨支部事務所にて、ドクターネキが箱に入れた仙桃をちひろネキに渡しながらそんな会話をしていた。

 

「でも上手くいったみたいで何よりです……依頼相手に随分と苦労したようで」

「ホントにねー、ある程度は仕方ないってわたしも覚悟も準備もしてたんだよ? なのに全然ダメでさあ」

 

 ドクターネキは当時の事を思い出し、受付机に顎を乗っけて、んあー……と微かに呻く。

 データ収集の為、自分のシキガミを貸し出し、共に行動してもらうという依頼。

 しっかり事前の説明と契約さえちゃんとしていれば、問題の無い依頼として複数の黒札に依頼を熟してもらえた。

 

 そしてデータ収集を進めたドクターネキは相手を変える事にした――それは問題のある者とのデータ収集である。

 

 真面目に仕事をしてくれる人とのデータだけでなく問題のある者、要はクズだの何だのと言われる者達とのデータを求めたのだ――買い手には色んな者が居る以上、そういった手合いとのデータだって必要であるのだと。

 そんな奴に売らねばいいという意見も当然あるだろう、というかドクターネキだってそんな相手に販売用とはいえ己の作品を売りたくなどない――しかし、それとこれとは別問題。

 

 そういった相手に備えた準備や対策、設定を考えないというのは別の話、出来ない事とと出来るけどやらない、の間には大きな違いがあるのだとドクターネキは主張する。

 

 戦いに用いる以上、武人の蛮用に耐えうるモノである必要があるのだから。

 

 

 そうした理由でそんな条件に合う依頼相手を探したドクターネキだが、見事なまでに頓挫した。

 

 まず依頼を頼む時点で大苦戦、子供なドクターネキをなめ腐って断るならマシ、ホントに凄くマシ。

 報酬全額この場での支払いを求める者、子供がこんな大金・道具を持つべきでないから渡すようカツアゲ擬きに即走る者、保管しているアイテムや素材、シキガミゾイド含め全部寄越せと武器を抜く者まで出る始末――怒ったゾイド達に袋叩き&警備部までロープで地面引き回しの末に突き出されたが。

 これはドクターネキの子供の見た目と製作全振りで戦闘スキルも支援オンリーの為、同レベルの覚醒者と比較してもプレッシャーや霊圧が弱いという点が諸に出た故の弊害であった。

 

 ならばと今度は姿を見せず、電話等を通してのやり取りのみとし、声も加工し口調も変えて依頼交渉を行ってみる。

 

 しかしそれでもやっぱり大苦戦、報酬額や危険手当、その他の内容でまあゴネることゴネること。

 なんとか依頼成立まで漕ぎ付けてもゾイド任せで何もしないならまだ上澄み、即ゾイドを置いて前金だけ持ってとんずら、ゾイドから装備を外して売ろうとする、一回も異界に入らず嘘の報告あげる等のオンパレードであった――その癖セリフギアス・スクロール用意すると互いの信頼関係が無くては云々言い出して嫌がるし。

 こちらはドクターネキに実績がなく、無名故に侮られた故の弊害であった――これが探求ネキやフリスビーニキみたいな有名人ならこの連中もこんなナメた真似は出来なかったであろう。

 

 更にゾイドを単独で突っ込ませて悪魔に破壊させて残骸とコアをネコババ、更にゾイドの勝手な行動で自分が危なかったと慰謝料までせしめようと企んだドクズまで発生した。

 こんな連中を欠片も信用していなかったドクターネキは異界内では常にマーダ*1とヘルキャット*2に追跡・監視させていた為ゾイドは無事だったが、この所業に無論ドクターネキは激怒。

 

 

 

 自身にありったけのバフ掛けた後に試作中のゴドス・イグアン装備用のパイルバンカーを両手に装備、顔にDr.ドクターマン*3の面を付けて『万死に値する……! 万死に値するゥ!!!』と件のクズを追っかけまわしたのであった。

 

 

 

「気持ちは分かりますけど、柱に括り付けて足から順番に頭までパイルバンカー打ち込もうとするのは駄目ですからね?」

「その節はご迷惑おかけしました。でもやった事は正しくなくても、わたしは決して間違ってなんかなかったと声を大にして言うよ!」

「まだお説教が足りませんでしたか?」

「ごめんなさい!」

「はい、よろしい」

 

 結果、騒ぎを起こした後ドクターネキから事情を聞いたちひろネキが問題行動はするが依頼は何だかんだでやる連中、と三馬鹿ラスを紹介したのであった。

 

「そりゃわたしは子供で実績もないよ? でも相場より上の報酬は用意したし、そこまで難しいって内容じゃないんだよ? それに製作系覚醒者とのコネって重要じゃない。ここでコネと次の仕事に繋げるって少しぐらい考えないの? 報酬にあれだけがめついのなら、そのぐらいの計算働かせるぐらいはさあ――」

 

 再び受付机に顎を乗せてぶちぶちとクズ黒札への不満を述べるドクターネキ。

 そんな愚痴の内容に、クズ連中のクズさを誰より知り、誰よりそんな連中の相手をさせられているちひろネキは、どれほど頭が良くても、経験や場数が足りていない――言わば子供らしさとも言える部分を見せるドクターネキを微笑ましく、且つ汚れを知らない少女を見る瞳で見つめていた。

 

「それで、その後データ集めとか上手くいったんですか?」

「うーん……半々、かなあ? その、問題行動の内容がわたしが最初に考えてたのとは、何というか種類やジャンルが違うというか。それはそれで色んなデータや預けてる子の学習にもなってるんだけど」

「あー、確かにあの三人は貴女が最初に依頼しようとしてた面々とは違うでしょうね、色んな意味で」

「それでもデータ集めどころか依頼すら成立しないころと比べたら雲泥の差だからいいんだけどね。予想外のメリットも時々あって宝くじみたいで面白いし」

 

 言ってしまうとDQNとか輩とか福本系とかとのデータが欲しかったのであり、三馬鹿ラスとのデータは種類やジャンルが大幅に異なっていたのである。

 まあこれはこれで有用と割り切り、そっち系データは情報漏洩を警戒して最初は選ばなかった計画、黒札に拘らずにウシジマニキや地獄湯の債務者や、金札等が面倒見てるチンピラやDQN等から集めようと予定を変えたドクターネキであった。

 

「宝くじ、ですか?」

 

「そう! 例えばバリゲーターがお兄ちゃん達におしおきやツッコみする時はバイトファング*4かスマッシュアップテイル*5するんだけど、子供にバイトファングを怖がられてから子供が居るとスマッシュアップテイルしか使わなくなってた! これを活かせば孤児院や保育所の警護時に流血や殺害を避ける、みたいな判断も出来るようになるかも!」

 

「……そうですか、良かったですね」

 

 元々ジャンクの扱いに長け、連中と絡んでから良かった探しが上手くなったドクターネキだが、更なる進化?を遂げており、それを見て見ぬふりをする情がちひろネキにも存在した。

 

「これでもうちょっと自重というか、動く前に考えてくれたら良いんだけどねー。こないだもバリゲーター怒らせちゃって、手が付けられないってわたしの家に逃げ込んで来たんだよ?」

「……今度は何をやったんですか?」

 

「親睦を深めよう、って映像みせたんだって――ワニの性交動画を。エロは男同士の仲を取り持つオールマイティアイテムだって。あと反応するのかも気になったとかで」

 

「……」

 

「で、バリゲーターが『セクハラァッ!!』って激おこぷんぷんになっちゃって」

 

「え? セクハラって事は……え、あのシキガミって女性というか雌だったんですか!?」

「んー、特にそのつもりで作ってなかったけど、ゾイドって元ネタだと無性生殖だし、漫画で『全ゾイドは子を残せるので、しいていえば全員女性格』って台詞もあるから。わたしのその辺の記憶が無自覚に働いた結果、あの子は女性よりの性格になったみたい」

「……元々シキガミですけど、種族の壁を越えてすら女性を怒らせて制裁されてるんですか、あの三人」

 

 もう何かそういう権能持ちなのでは?とすら思えてきたちひろネキであった。

 

「でもバリゲーターのご機嫌取るお兄ちゃん達は見てて楽しかったし、あの子以外のウチの子達とも仲良くしてくれる、なんだかんだで良い依頼先で助かってるよ。これもちひろお姉ちゃんのお陰だね!」

「そうですか、それは良かったです。なら、三人と一緒に異界に潜ったり依頼をしてみませんか?」

「えっ?」

 

 そんなちひろネキの提案に、予想外といった表情で暫し固まったドクターネキ。

 だが再起動すると、腕組みして考えながら答える。

 

「……それは駄目かなあ。お兄ちゃん達の戦術って、基本何かあったら即座に撤退、仕切りなおしするってのが前提になってるから。逆にわたしは何かあると分析して、どうするか考えちゃうから、お互いでお互いの長所を消し合っちゃうよ」

「そうですか……」

 

 真面目なドクターネキの意見に何処か残念そうなちひろネキに、空気を変える様に笑顔のドクターネキが告げた。

 

「でも今はホントに色んなデータや発想が貰えて助かってるから、暫くはお兄ちゃん達に依頼をお願いするつもり! 他の子達と組ませたらどうなるかも興味あるし! アドレナリン一杯出て毎日寝る時間がもったいないぐらいなの!」

「幾ら覚醒者でもちゃんと休憩や睡眠は取らないと駄目ですよ? まして貴女は成長中なんですから。舐められない位大きくなりたいって言ってたでしょ?」

「はーい……元ネタ通りなら何もしなくても、わたし結構大きくなる筈なんだけどなあ。色々と*6

 

「そうやって慢心や油断して似ても似つかない姿になった人の話しましたよね? もう一回聞きますか?」

 

「大丈夫です! わたし天才の端くれだからちゃんと覚えてるし、夜更かししようとするとウチの子達にベッドに連れてかれるから! それじゃお邪魔しました!」

 

 降伏&謝罪の意を示しつつ逃走にかかるドクターネキに、全くもうという顔でちひろネキがその背後に声を掛ける。

 

「本当に無理はいけませんよ! 貴女はまだ子供で、誰かを頼って当然なんですから。何かあったら必ず誰かに相談するように!」

「分かってまーす!」

 

 笑顔と笑声で返すドクターネキに眉を顰めたちひろネキだが、ドアを開ける際に振り向いたドクターネキがとても静かな声で告げた。

 

「そんなに心配しないでちひろお姉ちゃん、前にも言ったけど――」

 

 

 

「――――わたしは、別に人が怖い訳でも、人が嫌いな訳でもないから」

 

 

 

 それまでと全く異なる顔と雰囲気でそう言うと、そのままドアから出て行くドクターネキ。

 そんなドクターネキを見て、何とも言えない表情で少し深い溜息をついたちひろネキであった。

 

 

 

「ちひろお姉ちゃんは心配性だなあ。それとも、わたしそんなにダメに見えてるのかなあ? そりゃ以前の事考えたら仕方ないかもだけど。うーん……」

 

 そんな疑問とも愚痴とも取れる事を呟きながら、連れもなしに一人家路を歩くドクターネキ。

 その時、前方からドドドドと最近は聞きなれた激しい足音と三つの人影に、ドクターネキは目をぱちくりさせる。

 

 

「サスケニキ、クロマニキ! いたぞおおお、いたぞおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

 

「よし、爆発四散もしてないしフィヒられてもないな! ブッダ起きてた!」

 

「待ちなさい! ここでの油断は懐玉・玉折なフラグです! 周辺警戒!」

 

 

 そんな台詞と共に駆け寄って来た三馬鹿ラスがドクターネキを取り囲む――覆面その他で顔を隠した男三人組がJSを包囲する、絵面の時点で通報案件であった。

 

「えーと、どうしたの? お兄ちゃん達」

「いやドクターネキの家行ったらなんか家の周り何人かうろついててな? 実際アヤシイ。で声かけたら急に逃げたんで追っかけて捕まえたんよ、あからさまに容疑者なのだ!」

「そしたらドクターネキの写真持ってたんで、なんだぁ……写真だぁ……ロリコンのストーカーかよてめ―――っ!! したら違うっつーんでじゃあ何してたとシメあげたら」

「どう聞いても逆恨み以外の何ものでもない寝言と襲撃計画、他を吐いたので、以前貰った氷結武器*7使って逃げられないよう氷漬けにした後こうして至急駆け付けた次第です。あ、バリゲーター君はそいつの見張り頼みました」

 

 そう言って戦闘態勢で周囲を警戒する三馬鹿ラスに、ふにゃりとした顔になって笑うドクターネキ。

 

「へえー、そんなにわたしの事心配だったんだ?」

「そりゃあなあ、知ってる相手、しかも小〇生がファック&サヨナラ――は、流石に山梨支部で起こらんと思うが、何かあったら流石に目覚めが悪すぎて人魚ネキにドゲザ案件になっちまうわ」

「まああれです、仕事にせよ何にせよ、どうせなら気持ち良くやりたいとこですしね。こういう手合いなら夏の太陽が黄色いから、という理由でシバきまわしても世間からは許されそうですし」

「あとちびっこ博士からの依頼の金前提で色々買っちまったからなー。もしこの後の依頼全部なしになったら、オレら皆シキガミ貯金の切り崩しするしかなくなっちまうからなあ」

 

「「ジップ ユア リップス(口チャック)!!」」

 

「Ouch!」

 

「うん、やっぱりそれでこそ、オチがついてこそだよねー、お兄ちゃん達って」

 

 何故か英語でツッコんでエルボー入れるサスケニキとクロマニキに、同じく英語で痛がるヨロイニキ。

 そんな三バカにドクターネキはジト目にしつつ笑顔で楽し気にそんな感想を述べる。

 しかし、笑顔の裏で、同時にこんな事も考えていた。

 

 『この分だと、他のやつらは大分逃げちゃっただろうな』と。

 

 依頼をちゃんとやらず、それ故に依頼料を支払わなかった連中、そんな手合いがどう思い、どう考え、どうするか、を想像出来ない程ドクターネキは愚かではなく、何も備えぬ程自信家でもない――ご丁寧に捨て台詞に襲撃予告までしてくれた連中も居たし。

 連中のその後の動向に気を払い、情報を集めれば、同類同士で集まって、家の周りをうろついて、道具も色々用意して――といった具合で、そろそろ動くと判断した所で敢えての一人での外出。

 勿論参加者の数、配置、レベル、装備、耐性、スキル等、全て事前に調査して、その情報を基に準備を整えて、確殺の布陣にゾイド達を伏兵させた上での事だった。

 

 そうして不穏分子を一網打尽にする予定だったのだが、やっぱり世の中思い通りにはいかないものなのだとドクターネキは改めて思う。

 

「じゃ、家までのエスコートよろしくね、お兄ちゃん達!――――それから、ありがとうね」

 

 今回逃がした連中への今後の対処と隠れていたゾイド達への連絡、イグアン等のやる気満々だったのに肩透かしされてがっかりするであろう面々への対応等を考えるのと同時に、子供らしい笑顔と共にドクターネキは感謝の言葉を三馬鹿ラスに伝えた。

 

 敵対者を調べ上げ罠へと誘う計算高さも、今後の事を即考える冷静さも、助けに来てくれた相手への感謝の気持ちも、それら全てが彼女の中で矛盾なく同居している、彼女にとっての正しい在り方であるが故に。

 

 

 

 

 

 

 なお、三馬鹿ラスがドクターネキの家に行ったのはバリゲーターにガイアものづくりEXPOで見て衝動買いした『獅子咆哮弾砲』なるネガティブな気分を発射する銃を規格違いなのに装備させて外せなくなってしまったのを何とかしてもらう為に来たからであり、ドクターネキは家の庭にバカ共を正座させてマニュアルの大切さについて説教したのであった。

 

 

 

 

 

 

「ふむふむ、サスケお兄ちゃんが挑発して悪魔を誘導、ヨロイお兄ちゃんが迎え撃って相手の動きを止めたところで、クロマお兄ちゃんが予めバフかけておいたバリゲーターが茂みから奇襲して大ダメージで怯ませた所を集中攻撃して撃破、と。うん、いい感じに特徴を生かした戦いだね」

 

 定期メンテの為に帰って来たバリゲーターの整備を行いながら、コアやAIからデータを抜きつつ、更にクロマニキの報告書に目を通して満足そうに微笑むドクターネキ。

 労わる様にバリゲーターの治療・修理と点検をしつつも時折傍のメモに改善点や後で確認する事、関係のない思い付き等をサラサラと書きながら、バリゲーターに代わって臨時PT参加するゾイドの選定を始める。

 

「バリゲーターはお兄ちゃん達の全力移動にはついていけないから異界での狩りでは悪魔を釣る定点狩りが主だった。なら今度はお兄ちゃん達についていけるゾイドで……マーダは斥候・偵察向きでサスケお兄ちゃんと役割が被る、ならヘルキャット? モルガ*8もアリかな?」

 

 うーん、と考え込んだところで整備と点検を終えて、改めてデータの精査と報告書に意識を向けるドクターネキ。

 

「折角だからお兄ちゃん達やゾイド達にも聞いてみるのがいいかな? 何か面白い事が起きるかもしれないし!」

 

 現在ドクターネキ宅で、バリゲーターをメンテに連れて来た後に、今日は暇だからとゾイド達の相手をしている三馬鹿ラスに一任するのも手かと考えながら、集まったデータをPCで確認・整理を行うドクターネキは、ある内容を見て、にんまりとした笑みを浮かべた。

 

「イイ感じに子供達も楽しそう。何より人魚お姉ちゃんの家の睡蓮ちゃんと文目ちゃんも居る! これで二回目だから物珍しさだけじゃないと考えていいかな? でもお兄ちゃん達を見に来たついでの可能性もあるかあ」

 

 元よりデータ収集の依頼なのでバリゲーターには予め撮影機能を組み込んでいるし、その事は予め伝え済で、だからプライベート空間には入れないか、機能停止するよう方法も三馬鹿ラスに教えている。

 機能停止したままにして無駄働きになるのを嫌がった三馬鹿ラスは前者を選んだのだが、案の定うっかり自室等のプライベート空間にそのまま連れてく案件が多発。

 

 三馬鹿ラスが真剣極まりない顔で『狐娘チェフェイ八変化・まな板から巨乳まで』なるシロモノを鑑賞する姿が映っていた時は思わず新手のセクハラを疑ったドクターネキだった。

 

 最終的に連中はロリ〇ンではない事からあくまで事故と理解し、ドクターネキは許したのであった――但しゾイド達は許さなかったが。

 

 撮影機能を三馬鹿ラスが伝えたからか、こちらにピースしてくる子供達と、珍しそうに見てくる双子シキガミの姿。

 その後バリゲーターの上に跨ったり、尻尾を掴んで振り回されて遊んでいる子供達や、何かやったか言ったかしたのか尻尾で往復ビンタをされる三馬鹿ラスとウケてる子供達が映った映像を見たドクターネキは満足気に笑う。

 

「うんうん、予想通りどころか予想以上! 山梨に居る子なら将来お客さんになったりゾイドの事を広めてくれるかもしれないから子供ウケは大事! まして超有名な歌い手修羅勢の娘さん達に気に入ってもらえたら言う事なし!」

 

 子供の頃好きな物を、大きくなっても好きなのはよくある事、加えて自分の子供や周りにも広がる、広げる場合もある。

 

 だからこそ子供&初心者は特に優しく大切にして、沼へと引きずり込む布石としなければならないのだ!

 

 ドクターネキが操作して画面が変わると、今度は霊視ニキにゲンコツされて伸びた三馬鹿ラスを協力して背中に乗せ、乗せ切れなかったクロマニキを大きな顎で優しく咥えて、えっちらおっちらと運ぶバリゲーターと、サスケニキとヨロイニキがずり落ちない様ちっちゃな手で支えるアガシオンの映像になる。

 

「アハハ……分かってたけど苦労してるなあバリゲーター、後でお礼と一緒に労ってあげないと。でもこの感じならきっと人生録見た人も良い印象持ってくれそう!」

 

 三馬鹿ラス主演、制作探求ネキ&黒死ネキによる『笑ってはいけない人生録』の視聴者からアガシオンは健気に頑張る従者&黒子役として割と人気が高い。

 

 ならば、その相方として同じく頑張って三馬鹿ラスをサポートするゾイドが登場すれば、間違いなくゾイドのイメージアップ&宣伝になるだろう。

 

 特に人生録は有名だったり強者だったりな黒札も見てる者が多く、そういう相手にごく自然にゾイドを伝える事が出来るのは実に大きなメリットであった。

 

「有名だったり強い人って、普段から色々寄って来る人が多くて苦労してるだろうから、露骨な宣伝や売込みやったらきっと逆効果にしかならないだろうし」

 

 子供らしからぬ表情でそんな考えを呟くドクターネキ。

 

 ちひろネキより三馬鹿ラスの紹介を打診された時、すぐにこれらの利点に気付いたのは知識系悪魔を本霊に持つ覚醒者の面目躍如であったと言えよう。

 

 椅子の背もたれに身体を預けてんーー!と背筋を伸ばした後、ふうと息を吐く。

 

「素直に宣伝もお願いってお兄ちゃん達に頼んでも良かったけど……それすると多分、いや絶対予想外の事やりそうだから、仕方ないよね」

 

 そんな事を呟いたその時――

 

 

 

「「「この機獣と申すは ぶかぶか白衣に黒ベスト! リボン代わりのラジオペンチ! ツインテ風味のお下げ髪! ドクターネキのゾイドにて候!!」」」

 

 

 

 ――そんな某ジャンプ漫画みたいな幸若舞する三馬鹿ラスと、その傍でゾイドに乗せられて真っ赤な顔でぷるぷるする自分という、ドクターネキの脳裏に突如溢れ出す、存在しない記憶。

 

 

 

「……うん、偉いよ昔のわたし、その選択は正しかった」

 

 

 根拠はなくとも絶対そうなってたと確信できる存在しない記憶の内容に戦慄しつつ、あの三人の面白さって、最早生まれ持ったとかの類なんじゃなかろうかと思ったドクターネキだった。

 

 

 そんな事を考えていたドクターネキの耳に、何処からか流れてきた音楽が届く。

 

「? 何? あれ、この曲って……庭の方から?」

 

 前世で子供の頃幾度か聞いた、今世では聞く機会のなかったその曲に、何事かと庭へと向かうドクターネキ。

 すると――

 

 

 

 マイム♪ マイム♪ マイム♪ マイム♪ ヘィ♪ マイム♪ ベッサッソン♪

 

 マイム♪ マイム♪ マイム♪ マイム♪ ヘィ♪ マイム♪ ベッサッソン♪

 

 

 

 ――試作型販売用RMZ-11ゴドス、EMZ-22イグアン達とフォークダンスを踊る三馬鹿ラスが居た。

 

「…………コラーッ!!!」

 

 そんな今の自分とは縁遠い曲とダンスを、今の自分と何より縁深い存在が踊る光景に暫し機能停止したドクターネキだが、再起動と共にあらん限りの大声で叫んだのであった。

 

 

 

「この子達のコアはショタおじちゃんじゃなくてわたしの作ったコアなの。それにボディやAIの素材もコストの関係で専用ゾイドより劣るから、色々な容量や余裕もずっと少ないの。だからその分ある程度覚えさせるスキルはしっかり厳選する必要があるのは分かるよね? なのに使うかどうかも分からないスキルや知識が増やされちゃうと色々とやり直しになるの。だからわたしが怒るのは当然だと思うんだけどお兄ちゃん達はどう思う?」

 

「「「ハイ、ハイ、大変シツレイ致しました。本当に申し訳ない」」」

 

 並んで正座させられ厳しくお説教された三馬鹿ラスが深々とドゲザし、そんなバカ共にゴドスとイグアンを背後に従えたドクターネキはうむ、とばかりに頷くが、決然と告げた。

 

「分かればよろしい。だけど! 今回は流石に無罪放免とはいかないよ! ペナルティ発動! 先生お願いします!」

 

 パチン、とドクターネキが指を鳴らし、その合図と共にのっそりとドクターネキの背後にゾイドが姿を現す。

 

 

「罰といえば? そうお尻叩き! ハンマーロック先生にお尻を叩いてもらいます! 勿論百回!」

 

 

「「「アイエエエ……」」」

 

 ドクターネキの台詞に合わせてサイドチェストやダブルバイセップスのポーズをしていたハンマーロック*9が、任せろと言わんばかりに手のひらに息を掛ける仕草やスナップを効かせた素振りをみせる。

 その光景に慄く三馬鹿ラス、普段こいつらの食らってる霊視ニキや幼女ネキの一撃とは比較にもならぬ威力とはいえ、食らってノーダメージでも痛くない訳でもなく。

 

 痛みという意味では一発で意識が飛ぶ為、痛みも一回で済む*10普段のモノよりある意味上かもしれない。

 

「ま、待って下さい! サイバンチョ、もといドクターネキ! 以前子供相手や子供の居る施設への販売も考えていると言いましたよね!? ならば踊りのスキルを持っているのは無駄に非ず! 逆にプラスとは考えられないでしょうか!?」

 

 異議あり!と手を挙げたクロマニキが再考を訴える。

 Mに目覚めたのではと幼馴染二人に疑惑を持たれているが、仮にそうだとしても金属製のゴリラにケツ叩かれて喜ぶ程にマニアックではないようだ。

 

「んー……」

 

 そんな訴えに腕組み&瞳を閉じて考えるドクターネキ。

 三馬鹿ラスがはらはらと見守る中、ぱちりと目を開けると厳かに宣言する。

 

「――異議を認めます。では、減刑として執行人の変更を行います」

「おお! でかしたぞクロマニキ! 許された、俺達許されって変更?」

「え、一体誰がやんの? 誰かいんの?」

「そのような気配はありませんが……」

 

 歓喜の声を上げかけたサスケニキがハテナ顔になり、ヨロイニキとクロマニキが周囲を見回し、そんな彼らにドクターネキが笑顔で人差し指を立てた。

 

「チッ♪ チッ♪ YES! I AM!」

 

「「「えーっ!」」」

 

 なんと自らがやると宣言したドクターネキに思わず声を上げる三馬鹿ラス。

 困惑し、顔を見合わせる彼らが素早くアイコンタクトで意思を交わす。

 

 ダメージという点では、これはほぼノーダメと言っていいのでは?

 いやいや! 小〇生に、しかも女子にケツ叩かれるとかマジ勘弁!

 しかし現在地は彼女の家の庭、他に目撃者も居ないのなら被害は最小限で済みますが……

 

 金属ゴリラよりはまだマシでは?という意見でまとまりそうになった時、『ある事』に気付いたヨロイニキが紙のようになった顔色で恐る恐る尋ねた。

 

「な、なあ、ドクターネキ、一つ確認なんだが……この場で履いてるのはクロマニキだけで他は別モンだけどよ――ズボンは?

 

 その問いに、子供らしい無邪気な明るい笑顔のドクターネキが答えた。

 

「もう何言ってるのヨロイお兄ちゃん。そんな訳がないじゃない」

 

 その優しい笑顔にほっとした空気が三馬鹿ラスの中に生まれる。

 

 

 

 

「罰なんだよ?――――パンツも下ろします」

 

 

 

 

「「ハンマーロック先生でお願いします!!」」

 

 優しく明るい無邪気な笑顔のままで、無慈悲なる断罪者の瞳でポケットから取り出したビニール手袋を嵌めるドクターネキに、彼らは即座にドゲザした、それ以外の選択肢などない――

 

 

「――え?」

 

 

 ――筈であった。

 

 予想外、それ以外に表現しようがないドクターネキの声が耳に届くと同時に()()も気付く。

 さっき、声が二種類しか聞こえなかった事を。

 

 そう、ドゲザせず、正座で固まったまま、微動だにしないクロマニキの姿を。

 

 時が止まっていたクロマニキが正気に戻り、何かを言うより一瞬早く、ドゲザの姿勢を解いた二人が宙を舞った。

 

 

「イイイイヤアアアーッ!!」

 

「ちえぇぇいりゃあああ!!」

 

 

「ドギャス!?」

 

 ワザマエ!

 跳び上がったサスケニキ、ヨロイニキの息の合った連携により繰り出されたダブル・ローリングソバットだ!

 後頭部を思い切り蹴っ飛ばされたクロマニキの身体が前方へと吹き飛ぶ!

 

 だがその方向にはドクターネキが!このままではクロマニキとドクターネキが激突してツキジめいた光景が生まれてしまう!

 その時!ドクターネキの後方より二つの疾風めいた影がドクターネキの両サイドを駆け抜けていく!

 その正体はゴドスとイグアン!忠勇たる彼らはサスケニキ、ヨロイニキがジャンプしたとほぼ同時に動いていたのだ!

 勢いをそのままに、尻尾を支えにしてドロップキックめいた両脚蹴りを放つ!

 

「あぎゅぶえ!」

 

 ゴウランガ!

 吹き飛ばされた勢いと迎え撃つ四本の脚の生み出す衝撃はクロマニキに甚大なダメージを与える!しかしまだ終わらず!

 ゴドスとイグアンの渾身の力を込めた両脚蹴りは反対方向へとクロマニキを打ち出した!

 再び砲弾の如く飛んだクロマニキは地面に激突!そこへ複数の影がさす!

 その正体は空へと跳躍し落下してくる試作型RMZ-11ゴドスと試作型EMZ-22イグアン達!

 

 これこそ暗黒野球カラテ奥義・ゾイドナイアガラ!!

 

「グワーッ!!」

 

 サツバツ!

 多数のゾイドによる連続ジャンプ踏みつけを受けたクロマニキはまさに満身創痍!だがまだ追撃の手は止まらず!何たる無慈悲!

 駆け付けたサスケニキ、ヨロイニキ、ゴドス、イグアンが試作型ゾイド達と共に地に伏したクロマニキを囲み情け容赦のないキックを行う!

 

 これぞ人類最強の戦法『囲んで棒で叩く』の亜種『囲んで皆で蹴る』である!

 

「死ね! クロマニキ! 死ね! 邪悪なるロリコン殺すべし! 貴様には=サンすらつけぬ!」

「ロリコンの幼馴染がいると噂とかされると恥ずかしいからここで死ね! この犬千代野郎!*11

 

「グワーッ! ま、待って! どうか、どうか話を! ぐふっ! 弁明の機会を! アガッ! ロリが理由じゃないんです! ウゲッ! シチュの方に、転生してもそうはないであろうシチュに、ぐぺっ! つい気を取られてしまっただけなんですぅ!」

 

 

「「生尻叩かれるってシチュに気を取られて相手がガチロリなの吹っ飛ぶ時点でアウトどころかゲームセットからのシーズン終了だこのダボがァーーっ!!」」

 

 

「ぎゃああああ!」

 

 更に容赦のない追撃のストンピングがクロマニキ(ロリコン容疑者)を襲う!

 そしてゾイド達のキックも続く!

 

「……まだ訓練もしてもないのにこのやたら息の合った連携は一体? 販売用ゾイドのコアにはゴドス達のデータを基にしたAIやプログラムが使われてるからそちらからの情報? そうだとしたら教育せずともある程度の連携が期待出来る? でも確認にはデータが足りない……あ、もしかしてこれもボケとツッコミの学習による影響? それなら更に応用で――」

 

 呆然としながらも冷静な部分や計算高い部分と研究者気質で色々と考察と取り出したメモに書き込みを反射的に行ってしまうドクターネキ。

 そんなドクターネキと袋叩き継続中の連中とゾイドを見たハンマーロックは、オーノーだズラとポーズを決めた。

 

 その視線の先ではゴドスが必殺のゴドススイング*12でクロマニキを全力でぶん回し、サスケニキとヨロイニキがやんやと声援を送っていたのでした。

 

 

 

 ちなみにバリゲーターの代わりの臨時PT参加にはイグアンが名乗り出るも――三日で音を上げて戻って来てしまうのだが、ドクターネキは責めなかったという。

 

 

 

◇ 

 

 

 

『ぬわーーーーっっ!!!』

 

『『メ、メディック! メディーック!!』』

 

「あははははははははは!! くぷぷっ きゃははははははははは!」

 

 夜、火達磨になったクロマニキが転がり回り、他二人が水をぶっ掛けて大きな布でバサバサする姿が大型ディスプレイで再生され、寝間着姿のドクターネキがソファーの上で笑い転げていた。

 隣に興味深そうに画面を眺めるハンマーロックを座らせて『笑ってはいけない人生録』を視聴していたドクターネキは笑いながら目尻の涙を拭って呟く。

 

「あー、可笑しい! やっぱこの回わたし好きだなー。あ、ゾイドでもEシールド使ってのシールドチャージがあったから応用して火を纏った体当たりとかイケるかも?」

 

 目はディスプレイから離すことなくメモに何やら書き込むドクターネキに、ゴドスが近づき三本指でビシッと壁の時計を指差した。

 そんなゴドスに不満気な顔のドクターネキがブーブーと異論を述べ、ハンマーロックもジェスチャーでそうだそうだと訴える。

 

「えー、まだいいじゃん。今色々と良いとこだし別に明日予定がある訳じゃ――ああん」

 

 しかしゴドスは問答無用とばかりにひょいとドクターネキを抱き抱え、ハンマーロックを蹴っ倒して寝室へと運んでいく。

 むうむうと膨れながらも大人しく抱っこされたまま連れていかれるドクターネキ、せめてもの抵抗か運ばれる間ずっとメモに書き込みを続けていたが。

 そしてベッドに寝かされ布団を掛けられたドクターネキがぼやく。

 

「んもー、頑固なんだからあ。このベッドもやたら良い物だし。その予算で圧縮睡眠子守唄CDが買いたかったのに」

 

 そんな不満を述べながらも覚醒者でも子供の身体と色んな行動で溜まった一日の疲労は正直で、質の良い寝具の効果もあり、あっという間に眠りへと落ちていく。

 

 

「……もっと起きてたい、もっと、色々したいよ。だって、今は……毎日が、本当に……すごく……楽しく、て……」

 

 

 そう呟いた後、静かに寝息を立て始めたドクターネキを暫し見つめていたゴドスはベッドの傍で蹲る様に待機モードに入った。

 更に屋敷内の見廻りや見張り、警備当番以外のゾイド達が周囲やベッドの下、天井裏等に集まって同じく待機すると、ドクターネキの寝顔がより安らかで落ち着いたものとなる。

 

 そうやってドクターネキが眠ると周囲に集まり、夜が明けてドクターネキが目覚める少し前頃に持ち場や待機場所へと戻るのが、この家のゾイド達の日課であった。

 

 

 

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 今でも忘れない、家に伝わるという秘伝シキガミの製法という本を読んだ日の事。

 

 子供心にずっと感じていた『しっくりこない』という思いが初めて消え、正しい位置にパーツが、歯車がしっかりと嵌った様なあの感覚。

 そして今思えば簡素とすら呼べないシキガミを初めて作り上げた時の、心の内に生まれた様々な強い感情は、今でもはっきりと覚えている。

 

 シキガミを作れば作る程上がる自分の技術と、まるで忘れていたものを思い出すかの様に動いてくれる手、わたしを天才と呼び歓喜する両親を含めた周りの言葉に、わたしはシキガミ作りにますます全力で没頭して――

 

 

 

 ――気付いたら、わたしは何時の間にか屋敷の一番奥の、座敷牢の中に居た。

 

 

 

 それから前世の記憶をどんどん思い出していき、何時の間にか冷静に物事を考える自分とメリット・デメリットを計算する自分がわたしの中に生まれていた。

 そんな自分に驚いて、戸惑って――それでも、わたしはシキガミを作りに没頭し続けた。

 次は、更に性能を高く、次は、同じ素材でより数を、その次は、もっと賢いシキガミを。

 よりはっきりと、より鮮明に思い出せる様になった前世の記憶も使って更に良いシキガミを。

 

 だってわたしは天才で、それがわたしのやる事だから。

 

 あの頃作ったシキガミの事は覚えているのに『この地を守らねばならない』『他にお前を守る術がない』『本当にすまない』そう声をかけ、何度もわたしに謝っていたのが両親なのか、家族なのか、それとも一族の誰かであったのか、それすらもう思い出せない。

 

 

 

 けどそんな日々は唐突に終わりを告げた。

 

 ある日『家が襲撃を受けました。すぐ脱出しご両親と合流を』と言われ座敷牢から数年振りに外に出て、一族の誰かに連れられて隠し通路で屋敷の外に出た時。

 

 そこには翼持つ人型の悪魔、天使を従えた一団が待っていた。

 

 そのまま連中の拠点まで連れていかれて、わたしは名前も知らないあの裏切者の手土産にされたのだと漸く理解した。

 それでもわたしのやる事は変わらないと思っていた。

 何故ならわたしは天才で、天才に相応しい以外の事などやらせるべきではないのだからと。

 

 そしてその予想は半分正しく、半分間違っていた。

 

 用いる素材は『正しい』属性と由来のものを、使う技術と知識は『正しい』教えに沿ったものを、シキガミの姿は『正しい神』の愛と威厳を示すものを。

 

 そう命じられ、これまでの経験も技術も、作ったシキガミも否定され、わたしは心の底から激怒した。

 

 作ったシキガミに欠陥があるのなら、求められる性能に届かないのなら、例え天才でも未だ子供なわたしの未熟故と受け入れよう。

 けれどもそんな理由でわたしのシキガミを、わたしの今迄の全てを否定されるのは許せなかった――そして皮肉にもこの連中のおかげで、わたしの家はわたしに配慮していたのだと、わたしを閉じ込めたのは一つの選択肢であったのだと、可能な範囲で自由にさせてくれていたのだと理解した。

 

 しかし奴らに逆らう事を、前世によるメシアンというモノへの知識と、わたしの中の打算と冷静さがまったを掛けた――もし歯向かえば連中は躊躇いなくわたしを洗脳するか『別の用途』に用いるだろうと。

 洗脳されていないのは、それにより肝心のわたしの頭脳が失われる可能性を嫌がった為、そして六歳で座敷牢に監禁された子供なら、神の愛を持って教育すれば貴重な天使の羽を使わなくても、正しい神の愛に目覚めるとの判断なのだと。

 

 憤りも不満も抑えて、わたしは連中の望むままに大人しく従って、表向きは真面目に奴らの教えを学ぶかのように振る舞った――何時かここを逃げ出す時の為に。

 わたしが成長して『孕める』ようになるまでがタイムリミットだと、天才のわたしなら出来ると自らに言い聞かせる日々――そんな毎日は、再び唐突にごく短期間で終わりを告げた。

 

 わたしを捕らえていた連中の拠点も、連中自身も、ある日あまりにもあっけなく全滅した――ガイア連合、わたしと同じだと、わたしを助けに来たと言う人達の手によって。

 

 

 

 ショタおじちゃん――当時はそう呼んでいなかったが――彼の説明を受けたわたしは、家には帰らなかった。

 わたしは死んだ事にして欲しいと必死に頼み込みんだ。

 身を守る為にも、これからの為にも、家ではなくガイア連合を選ぶべき、そんな冷静さと打算、そしてわたし自身の問題がこの選択を選らばせた。

 

 メシアンから解放された事で分かった、自分の現在の状態――人の姿で、人の言葉を話すモノへの不信と警戒。

 

 人の姿で、人の言葉を使うのなら、未覚醒でも、覚醒者でも、悪魔でも、シキガミでも区別はなく。

 わたし程度がどれだけ警戒したところで何一つ意味がないショタおじちゃんでも、わたしを助けたその後も何かと気にかけてくれた霊視お兄ちゃんも、とても頭の良い仕事のデキる人で覚醒してないちひろお姉ちゃんも。

 

 どれ程理屈と理詰めで考えて、その必要はないとの結論をどれだけ自分に言い聞かせても、傍に居れば心は無意識に警戒し、頭は勝手に対策を考えようとしてしまう。

 

 こんな状態で家に帰っても、誰にとっても不幸にしかならない、そんなわたしの訴えは受け入れられた。

 

 

 

 そして、ガイア連合でわたしの新しい日々は――――始まらなかった、始められなかった。

 

 ガイア連合の超人達、ショタおじちゃんだけでなく、古参の幹部、気鋭の新人と呼ばれる人達の力と霊格を見た。

 ガイア連合で作られる様々な高性能な道具とシキガミ、それを産む技術と知識の高さと深さを知った。

 

 まさに、真の天才達が居た、本当の才能というものをみせられた。

 

 天才だから、閉じ込められたと思った。

 天才だから、メシアンに攫われたと思った。

 天才だから、仕方のない事なんだと、避けられない事だったと思っていた。

 

 

 わたしは、天才ではなかった。それなら、わたしはどうして――――

 

 

 そう思った時、わたしはその場に膝から崩れ落ちた、わたしは立ち上がれなくなった。

 それからずっと山梨で引きこもった。

 部屋の中のPCで、次々と現れる新たな黒札を、綺羅星の如き天才達を、そんな彼らが生み出す様々な発見と技術を見て、改めて思った。

 やっぱり本物は違うと、わたしのような紛い物で、挙句に傷物に、まるでジャンクみたいになったわたしの出る幕はなく、やる事もないのだと。

 

 

 

 けれどある日、ある物を見た。

 わたしが特に天才だと思った人の作った物だからと、これといった興味もないのに手に入れた、とある映像作品を。

 何時ものガイアニのアニメと同じように、楽しむ為でなく、ただただ惰性とヒマつぶしにと、笑いもせずに、映像の中で全力で下らない事ばかりするバカな三人組をぼーっと眺めて。

 

 しかし、仲間割れをして、ケンカばかりして、バカな事ばっかして、だけど――本当に楽しそうな三人の姿に、ふと思った。

 

 

 この下らない事ばかりしている三人と、今のわたし。

 

 幸せなのは、生きているのは、どちらだろう?

 

 

 この三人組を周りは皆バカだと言うだろう。

 

 だが、もし仮にこの三人と今のわたしとを見比べたなら、人はなんと言うだろう?

 

 

 

 この三人と今のわたし、本当に愚かなのは、本当にバカなのは――――

 

 

 

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「……むにゅ」

 

 目を覚ましたドクターネキは、欠伸と共に上半身を起こす。

 ちょうど起こしに寝室に入って来たゴドスに寝惚け眼で挨拶しつつ、ゆっくりと立ち上がる。

 

「んむにゅー……おはよ、ゴドス」

 

 ゴドスに背を押されて洗面所へ向かいながら、誰とはなしに呟く。

 

「あの後の事は割と黒歴史だから直前で目が覚めてラッキーかなあ。あ、もしかしてベッドの効果だったのかな?」

 

 ゴドスに強く勧められて買った、夢見が良くなるというベッドの機能を思い出したドクターネキは、買って正解だったかもと嘗ての無駄遣いとの評価を改める。

 

 

 実際あの後様々な感情を爆発させて、あらん限りの大声で号泣した結果、配備されたシキガミだけでなく黒札達も何事かと集まり、部屋で『笑ってはいけない人生録』を付けたままで大泣きする子供という奇妙極まりない状況に皆どうすればいいか分からず、泣き続けるドクターネキをなんとか泣き止ませようとした周りにエラい苦労と迷惑をかけてしまったのは、彼女のあまり思い出したくない黒歴史であった。

 

 

 なおその前までのアレコレは初心やその他を思い出すので、こちらはドクターネキ的にはOKである。

 

「……そんなに前の事って訳じゃないのに、なんか随分と昔の事に思えるなあ。確かに色々あったけど」

 

 顔を洗って歯ブラシに歯磨き粉を乗せながら、感慨深げな様子のドクターネキ。

 

 一念発起して公開されている知識を本やPCで読み漁り、その後書き上げた返済計画書を持ってローンによるシキガミコア購入と装備の貸し出しを要請。

 同じくローン組んで買った素材とジャンク品から使える部分をかき集めた材料、そして引きこもり時代に自分で作った身の回りの世話用の人外型シキガミを組み込んで、最初のシキガミで当時はただ見た目だけのゾイド、ガリウスを作り上げた。

 最初は人型で人の言葉を話すのがダメなら別の姿で、という理由で前世の知識から選んだゾイドの姿。

 

 それが改良と研究を繰り返し、幾度も共に戦い、助け合い、同じ時間を過ごす内に、何より大切で大好きになり、今ではそれ以外の姿のシキガミなど考えられなくなった。

 

 今の姿とコテも、真の天才達より何か得るモノはないか、参考になる事はないかと有名な黒札を調べていた際に、幼女ネキの身内に居た事からラスオリを調べた事で、自らの顔がドクターに似ていると気付いた偶然からであった。

 そして今までの自分との決別とばかりに髪形や服装、装飾だけでなく口調や振る舞いも真似をして、本来の名前も秘密にしてドクターネキを名乗りだしたのである。

 

「ホントは、直接会ったりするつもりはなかったんだけどね」

 

 うがいの後何時もの格好に着替えながら、机の上の三馬鹿ラスからの報告書に軽く目をやる。

 彼女としては、直接会いに行ったりするのは所謂解釈違いという思いがあった。

 そこへちひろネキからの三馬鹿ラスへの依頼の提案と斡旋である。

 

 即座に将来の夢への利点を含む様々なメリットをドクターネキの中の冷静さや計算高い部分は理解したが、それでも個人としての部分は否定的だった――何より、直接会って自分が持つ相手への不信や警戒を見抜かれるのが、気付かれるのが嫌だった。

 

 悩みに悩み、それでも最終的には依頼を頼み、家に呼び、玄関で会って即座に帰られないよう演技して地下まで来てもらい、警戒や不信を気付かれた時の為に用意した複数の言い訳を頭に思い浮かべながら振り返って――

 

「でも、ホントに――――嬉しい誤算だったなあ」

 

 ――それらの準備、全てが無駄に終わった。

 

 

 

 直接会って、言葉を交わして、近くに行って、握手して――しかしそれでも、警戒も不信も、感じなかった。

 

 

 

 自ら作ったゾイド達のように、全く感じないのとは異なり、確かに他人への警戒も不信もあれど、それは普段のものとは比べものにもならない程度で。

 

 その事実に、ドクターネキは歓喜し、高揚し、心から三人とのやり取りを楽しんだ――今迄で初めてだと断言出来る程に。

 

「でも、なんでお兄ちゃん達には何時もみたいにならないんだろう?」

 

 当然なその疑問に暫し思考を巡らせたドクターネキだが、理由はどうでもいい事だと打ち切ると着替えを終えて、頬を両手でパチンと叩いて、明るく元気に叫んだ。

 

「さあ、今日も一日頑張ろう!」

 

 

 

 

 

 

 なお、ドクターネキの人型不信の対象に三馬鹿ラスが引っかからなかったのは、人の姿で人の言葉を話すが、それでもなお三馬鹿ラスがドクターネキの深層意識においても人外――珍獣というカテゴリーに属していたからなのだが、それはシャドウでも発現しない限り、誰も知らない話である。

 

 

 

 

 

 

「ええと、こっちが今月の収入で――成程そうすれば装甲部にも使える強度に、こっちは素材その他の購入費――ここなら皆で行けるし日帰りも大丈夫、でこれがお兄ちゃん達への報酬額と」

 

 昼下がり、自室のPCで霊的素材の加工法の実演動画を流し、手元で霊的素材の採取と場所のハウツー本に目をやりながら、更にカタカタとキーボードを鳴らして家計簿をつけるドクターネキ。

 日々の作業や研究の効率化の為にシキガミパーツ移植で腕を増やす事を検討したら、ゾイド総出で反対されたので、現在はラスオリでも登場している触手型金属アーム付きの椅子*13を作るのを計画している。

 

「んー……集まったデータと予算、この辺が頃合い、かな」

 

 シキガミ作りも、その為の研究や勉強にも先立つ物は欠かせない。

 故に三馬鹿ラスへの依頼もずっと続く訳ではない――無論また再び頼む事はあるだろうが、現時点ではそろそろ一段落付けるべきだという判断がドクターネキの中で既に何度も出ていた。

 

「……はぁ」

 

 冷静に考えてその判断は正しいと思いつつ、ドクターネキは酷く物憂げな表情で無意識に溜息を吐いた。

 それでも家計簿を付ける手を止めないドクターネキだったが

 

「~♪」

 

「え?」

 

 聞こえてくる音楽に、その手が止まる。

 そのままガタンと椅子を倒して立ち上がると部屋の外へと走り出す。

 

「~♪ ~♪」

 

 より良く聞こえる様になったその歌に、想像が正しかったと理解したドクターネキは更にスピードアップ。

 一段飛ばしで階段を駆け下りて庭へと飛び出した彼女の目には映るのは――

 

 

 

『ほんだららった へんだららった どんがらがった ふん♪ ふん♪ ほんだららった へんだららった どんがらがった ふん♪ ふん♪』

 

 

 

 ――以前人生録でも見た、たまごダンスをシキガミコアことゾイドコアを囲んで踊る三馬鹿ラスとゾイド達の姿であった。

 

「お兄ちゃん達何やってんのーー! 前に勝手に何かしちゃ駄目って言ったのにーー!! それにゴドスも皆も止めるどころか協力するなんて!」

 

 両手にドライバーと電動ドリルを握りしめて怒髪天状態のドクターネキ。

 そんな彼女に三馬鹿ラスが困惑した顔を見合わせ、サスケニキが戸惑いながら答えた。

 

「いや、やる様に頼まれたからやってたんだが……依頼重点」

「頼まれたって……ゴドス! どういう――え?」

 

 怒りの矛先を変えたドクターネキの眼前にすっ、と差し出された紙を見たドクターネキは目をぱちくりさせて固まる。

 

 その紙には、以前の結果*14からたまごダンスはゾイドコアにも何らかの影響があると思われるので、それを試してみてはという三馬鹿ラスからの提案が書かれており、しっかりとドクターネキの承認印が押されていた。

 

「え、え? わたしこんな提案も、ハンコ押した覚えもどっちも……でもハンコは間違いないし、それならどうして」

 

 混乱するドクターネキだが、ここ最近は三馬鹿ラスへの依頼の終了に関してずっと考えていて気もそぞろだった為、その結果碌に確認もしないままハンコしてしまったのでは、と思い至った。

 

「……えーと、その……ごめんなさい、あと皆もごめんね」

 

 三馬鹿ラスに深々と頭を下げた後、ゾイド達にも謝罪するドクターネキ。

 

 その顔は凹みまくっており、某ピカチュウみたいにしわしわである。

 

「うー……久々にやっちゃったあ……色々と失敗だあ……しっかりとデータ取る為に準備もしたかったなあ……」

「そこまで気にする事ないだろ、またやればいいんだし、ダイジョブダッテ!」

「そーそー、その程度いちいち気にしてたらキリねーよ」

「私達もこの提案した事言われるまですっかり忘れてましたからねえ」

 

 あっはっはと笑ってそうドクターネキを励ます三馬鹿ラス、そんな彼らをアガシオンとゴドスはじっと見つめていた。

 

 

 

 そしてその日の夕方。

 

「こ、これは……」

 

 地下作業室にて、たまごダンス儀式の対象になったコアを調べたドクターネキは驚愕していた。

 

「コアの出力や再生力……生命力、とも言えるモノが明らかに強化されている? これ、どう考えてもたまごダンスの影響、だよね?」

 

 暫しの沈黙の後、ドクターネキは適当なノートを広げて頭の中の思考をまとめるようにぶつぶつと言葉に出しながらペンを走らせる。

 

「ショタおじちゃん製のコアに使っても元々の性能からほぼ意味はない、でもわたしの作るコア、販売用ゾイドのコアに使えば……強化された分のコア作成やボディ部分へ使う素材のコストを減らしたら……値段を下げるも良し、浮いたコストを強化や装備に回して更に土地や相手にあったカスタム化も、いや素材はそのまま工程を削って制作時間の短縮という手も――」

 

 博士モードで様々な改良、コスト削減と言った次々と浮かぶ案に没頭していたドクターネキだが、ふと我に返ったように叫んだ。

 

「――ってストップ! それやっちゃうとお兄ちゃん達とどっぷり一蓮托生になっちゃうじゃん! 少なくとも販売用ゾイドの制作に関しては完全に協力して貰わなきゃいけなくなっちゃう!」

 

 正気に戻れとばかりにバシン!と強くほっぺを両手で叩くドクターネキ。

 

 真っ赤になってじんじんする頬の痛みでコスト削減は正義で一色になった頭を冷静に戻す。

 しかし冷静に考えても宣伝効果やコネ、加えて更なるメリットがあり、現在判明している人型不信をあまり感じない唯一の相手なら、利益の何割かと引き換えにしてでも組んだ方が良いとの結論が出てくるわけで。

 

「むうううううう…………っ!」

 

 ついには頭を両手で抱えて机に突っ伏し、むーむー唸り始めるドクターネキ。

 そう悩み続けるドクターネキをドアの影からゾイド達が鈴なりになってそっと様子を伺っており、ゴドスはなんか良しとばかりにぐっ、と手を握っていた。

 

 

 

 

 

 

「――という訳でこの契約書読んで問題なければサインお願い」

 

「「「いやちょっと……」」」

 

 依頼の報告に来たらいきなりぶ厚い書類の束と一緒にそんな事を言われてさしもの三馬鹿ラスも片手を突き出してツッコミに回った。

 

「OK、まずは会話から始めよう。ミヤモト・マサシも急ぐと失敗すると言っている、説明重点」

「見ただけでドルミナー使われた気分になるな、ぶ厚いし、字も細けーし、勘弁してくれや……」

「あれです、正しいからって積むべき誠実さを放棄するのは良くないと思います、ええとても」

「まあ流石に冗談だよ。お兄ちゃん達相手ならつかみは大事かなって」

 

 悪戯っぽく笑ったドクターネキが、書類からダミー部分を抜いて――それでも結構厚いが――渡すと改めて三馬鹿ラスに説明を開始する。

 

 

 

  ――ちびっこ博士の説明中――

 

 

 

「――という訳でおおまかにはこんな感じで、細かい取り決め、特に報酬についてはこことここ、あとここ見てもらえたら」

「ふうむ」

「ヌゥー……」

「……えーと」

 

 ドクターネキの説明にクロマニキが書類とにらめっこし、サスケニキが難しげに書面を眺め、ヨロイニキは既に諦めて二人の様子を伺う。

 

「わたしとしてはこんな感じでお願いしたいなあって。勿論お兄ちゃん達側の希望があれば――」

「――少々引っかかる点というか、確認しておきたい事があります」

 

 ドクターネキの言葉を遮ったクロマニキがサスケニキとアイコンタクト交わし、ヨロイニキに書類を見せつつ軽く耳打ちすると、ヨロイニキは僅かに目を見開いた。

 三馬鹿ラスの反応に、彼らの不満を感じとったドクターネキは頭の中で再度報酬額の計算を行いながら話かける。

 

「……契約か金額に問題があった? それなら――」

「ええ、ある意味問題です。これでは私達に有利すぎます」

 

 ドクターネキの言葉を再び遮ったクロマニキが難しい顔で言葉を続ける。

 

「たまごダンス一回毎の報酬とは別に、完成した販売用ゾイドの販売額から三割、は流石に貰いすぎです」

「しかも売れた額じゃなくて作ったゾイドの数と販売価格での計算で、だ。これじゃもし売れなくても俺達に金払う事になっちまう。エビで鯛を釣りすぎて最早鯛絶滅の危機だ」

「んでゾイドの無料レンタルや装備の作成・メンテナンスの協力のオマケ付き……オマケでハラァいっぱいだ、になるだろ、これ」

 

 サスケニキ・ヨロイニキもしかめっ面で続く。

 そんな三馬鹿ラスの反応に表情を変える事無くドクターネキが返した。

 

「報酬が多いのも、メリットが多いのも別にお兄ちゃん達に問題はないでしょ?」

「そりゃそーなんだが……なんつーか、すっきりしねーっつーかさあ」

 

 ポリポリ頭を掻きながら思いを上手く口に出来ないでいるヨロイニキ。

 助け舟を出す様にクロマニキがバトンを引き継ぐ。

 

「タダ働きは論外ですけど、良すぎるのもアレなんですよ。騙して悪いが、を疑ってる訳じゃないですけど、それはそれで何か詐欺でもしてるような気分になるので。これが探求ネキとか幼女ネキなら気まぐれ、且つあの人達レベルならはした金なので遠慮なく受け取りますけど」

「それだけ例のダンスがわたしにとっては色々とメリットが――」

「別にアレ出来るの私達だけって訳でもないですよ、実際他の支部やそこの人達ともやりましたし。ぶっちゃけドクターネキとゾイド達だけでもイケるのでは? どっちにしてもこれだけの報酬を貰う程のものでは絶対ないです」

「……」

 

 自分の事情も込みで考えると他に頼むという選択肢がなく、自分の事情を教える訳には、否、正確には伝えたくないドクターネキとしては、非常に困った話の流れであった。

 そこにうんうん唸っていた筈のヨロイニキが話に参加する。

 

「あのダンスがあると色々ゾイド作んのに便利ってんだろ? そんぐらいなら手ぇ貸す……この場合手か、それとも足なのか? まあ何だ、どっちにしろそんぐらいなら協力するぜ」

 

 なあ、と他の二人に言うヨロイニキに、今度はドクターネキが顔を顰めて、話の流れを変えようと話し出す。

 

 

「それはやっちゃダメなんだよヨロイお兄ちゃん。仕事へちゃんと報酬を払うのはお互いに責任を持つためにも大事なんだから。そうじゃないと頼む側、頼まれる側、どっちもいい加減になっちゃうし、ちゃんとした報酬を払わないって悪評にもなるし、あと周りにも迷惑になるってお兄ちゃん達も前に*15言ってたよね? それに人って100%好意や善意でお礼なしでやってる事でも相手が当然って顔で感謝もしないで受け取りだしたらムカッてなっちゃうんだよ、そうなっても大丈夫って思う?」

 

 

「「「OK分かった! 分かったから取り合えず落ち着こう!」」」

 

 チャンスとばかりに一息に喋りつつぐぐぐと詰め寄ってくるドクターネキをどうどう、とぐぐぐと押し戻す三馬鹿ラス。

 

「正論で正しいとは思いますが……そこまで厳密にする事もないのでは、とも。ガイア連合自体ゆるゆるサークルみたいなもんですし」

「あん時は人魚ネキのとこの双子絡みの上相手が黒札じゃなかったし。こんぐらいなら黒札同士の助け合い、の範疇じゃないかなあ」

 

「まああれだ。いつもタダ働きする程気前よくなる気はねーけどレベルも下の頑張ってるチビにカネカネ言う程がめつくなる気もねーよってこったな」

 

 笑いながら言うヨロイニキにあちゃーという顔になるサスケニキとクロマニキ。

 二人もそう考えてはいたが、子供だからとはっきり言ったらかえって面倒な事になると思って言葉を濁してたのに、考えなしのせいでおじゃんであった。

 案の定ドクターネキが不満そうな顔に

 

「……そう。まあお兄ちゃん達の考えや意見は分かったよ」

 

 ならずにあっさりと受け入れられてアレ?といった顔のサスケニキとクロマニキに対し、少し呆れ顔でドクターネキが続ける。

 

「別にわたしが子供なのは事実だからそこに文句を言う気は無いよ? 歳より能力を見て欲しいって気持ちはあるけどそれはそれ。大体子供だからってジャンクや質の悪い素材を格安で売ってもらって、わたしもそれを活用してるんだから今更だもん」

 

 そう言って軽く溜息をついて三馬鹿ラスに渡した書類を諦めた様に回収するドクターネキ。

 

「そうそう、今はちっとアレな気分かもだが、そうやって今の内に思う存分子供扱いを楽しんどいた方が良いって! 黒札の子供時代は振れ幅が実際デカい」

「オレらもDKっていう大人とも子供とも違うビミョーな立場を思いっきりエンジョイしてるからな! 日本で色々やるなら二十歳前が良いってどっかでみたし!」

「それ参考にしたらアカン奴の台詞ですからね? まあ子供の貴女が子供してても誰も文句を付けやしませんよ。もっと酷いのが大人でもゴロゴロしてるんですから、こいつら見れば分かるでしょう?」

 

 ジジイになっても絶対変わらずバカやってると多数から太鼓判を押されている連中がそんな事を言う。

 

 取り合えず一人(?)暮らし&訳アリっぽいJSから法外な料金巻き上げるろくでなし共、みたいな立ち位置は防げそうと安堵した三馬鹿ラス。

 

 が、ドクターネキがノートPCを取り出してカタタタタと高速タイピングでキーボードを叩いたかと思えば、プリンターが動き出して何やら印刷される。

 

「じゃあ今度はこれ読んで、確認して問題がなければ――」

 

「「「おい。おい」」」

 

「繰り返しネタは鉄板でしょ?」

 

 そう言ってまた悪戯っぽく笑いながら再び渡された新たな書類を三人で再び覗き込む三バカ。

 

「フーム、売れたゾイドの利益の一割がたまごダンスの報酬、つまり歩合給か。あとダンス頼む為に他所行った時でも繋がる連絡先が欲しいと。まあこんぐらいなら良いか?」

「依頼以外でのゾイドのレンタルは有料、とーぜんだよな。あ、でも報告書ちゃんと出したら値引きする、学習結果とか経験次第では金貰えんのか。まあ報告書作るのオレじゃねーからこれは得なだけだな」

「おいコラ。言っときますけどその分の差額はこっちの取り分ですからね? 強制はなし、でもたまごダンスについては可能な限りの協力を求むと、まあそうでしょうね。ん、これは……」

 

 さっきよりは随分と受け入れやすくなった内容に目を通していた三馬鹿ラスだが、ある一文にクロマニキが気付く。

 

 

 ――なお、甲*16と乙*17の間のこの契約は、乙が十六歳まで有効とし、乙の十六の誕生日と共に無効とする。それ以降は新たな契約は必ず甲と乙の互いの交渉を持って定めるものとする。

 

 

「わたしが子供だから、が理由なら子供じゃなくなったら問題ないよね? その頃までには探求お姉ちゃんや幼女ちゃんぐらい、とまでは言えないけどさっきの内容ぐらいなら平気へっちゃらって言えるぐらいになってみせるから!――この内容なら問題ないよね?」

 

 最初は自信たっぷりの笑顔で、最後は真剣に、何処か必死にそう尋ねてくるドクターネキに三馬鹿ラスは互いに視線を交わし、ドクターネキの方を暫く見つめ、その後頷き合う。

 

「……まあ、あれだな」

「こうなっちまったらな」

「選択肢は……なさそうですし」

 

 そう小声で囁きあった後に、改めて向き直って告げる。

 

「この先どうなるかなんてわかんねえけど、ま仲良くやろうやヨロシク、オネガイシマス」

「だな、けどまーなるよーになるって。あ、ちびっこ博士からちびっこボスとかに呼び方変えた方がいいのか?」

「いや別に上司と部下みたいになった訳じゃないですから。私としてもバカとばかり話すのは疲れるので助かります。これからよろしく」

 

 そんな三馬鹿ラスの返事に、立ち上がったドクターネキは初対面の時の様に手を伸ばして、あの時と同じ笑顔で返した。

 

 

「――ありがとう! これから、宜しくね!」

 

 

 

◇ 

 

 

 

 山梨支部・事務所前。

 

「じゃ、早速ちひろお姉ちゃんに契約書や書類渡して事務所で預かってもらおうね!」

 

「「「ええええ……」」」

 

 笑顔でそんな事を言うドクターネキにガーン!という効果音が聞こえそうな顔の三馬鹿ラス。

 

「いや改めてこれから宜しくってやった次の行動がこれって……おかしいと思いませんか? 貴女」

「もーちっと空気読むとかお互いの信頼関係考えるとかした方がいーんじゃねえか? 流石にさあ」

「こういっちゃなんですけど、私達じゃなかったら色々台無しに、いえ私達でも台無しになるやつですよこれ」

 

「えー、わたしなりにお兄ちゃん達を信じてるからこうしたのに」

 

「「「えっ」」」

 

 

「わたしはお兄ちゃん達がやらない様気を付けてても、その場のノリと勢いでついうっかりやっちゃったり、よかれと思って斜め上の行動をした結果やらかしちゃうって心から信じてる」

 

 

「「「ククク……ひどい言われようだな。まぁ事実だからしょうがないけど」」」

 

 純粋な瞳でそう言い切られてしまい、(一応は)自覚のある三馬鹿ラスは某語録で返さざるを得なかった。

 そんな三馬鹿ラスに少しジト目になったドクターネキが続ける。

 

 

 

「それにお兄ちゃん達これからもわたしの家に出入りする様になるから、家に置いといたら何かされそうだし? こっそり契約文に訂正入れといて報酬が高額になった時『あ、契約にないから今回の報酬貰えないなあ! 残念だなあ!』って手は通じないからね?」

 

 

 

 その指摘に目論見を完全に見抜かれた三馬鹿ラスは視線を泳がせ、ドクターネキはふふん、と得意気なドヤ顔を決めた。

 

「ふっふっふ、子供でも端くれでも天才の裏を簡単にかけると思っちゃダメだよー? わたしは知能指数が高いから分かるし、テストにも出るんだよー?」

 

 こちらを見ながら楽し気に言うニンスレっぽい台詞にウヌーッメスガキ!と慄きながらもサスケニキは忠告する。

 

「ドクターネキ=サン。メスガキ仕草は用法用量を考えてしないと『メスガキわからせ同盟』がシュバってエントリーしてくる恐れがあるぞ、奥ゆかしさは実際ダイジ」

「……なあ、その同盟はマジにあんのか? ネタなのかマジなのか判断に悩むんだが……マジにあっても全然おかしくねえってとこが」

「ガイア連合ですからねえ。普段の活動とかどういう方向のわからせするのかとか気にかかりますし、内部で多数の派閥や分派が出来てそうですけど」

 

 そんなバカなやり取りに参加するようにこあくまっぽい感じの笑顔でドクターネキが際どい発言をした。

 

 

「へー、こわーい。わたし何されちゃうのかな? 例えば……下着脱がされてお尻叩かれるのかな? 前にわたしがお兄ちゃん達にしたみたいに」

 

 

 そんなドクターネキのキツめの冗談に対し、三馬鹿ラスが一斉に顔色を真っ青に変えた、そう真っ青に。

 怒るのでもツッコむのでもない、その反応にアレ?と不思議そうな顔のドクターネキは、三人の視線が自分ではなく、自分の頭上を越えて背後に向かっている事に気付いて振り返り――

 

 

 

 

 

 

「――――どういう事なのか、説明してもらえますか?」

 

 

 

 

 

 

 ――すごく綺麗な笑顔のちひろネキを見て、三馬鹿ラスと同じ顔になった。

 

「待ってくれちひろネキ! 俺達は黒札にしてはかなり控えめでロリコンや変態ではない方だ!」

「その通りだ! 何時も心にロリ三原則を、はオレらの中では鋼鉄の掟! ヒワイはなかった!」

「OK。まず話し合いましょう、話せば分かる、話せば分かる! 私達は分かり合える筈です!」

 

「取り合えず、そこに正座。勿論、四人全員です」

 

「ええと、わたし急用を思い出したから。じゃあね、お兄ちゃん達。ちひろお姉ちゃんもまた今度――」

 

 

 

「正座」

 

 

 

「「「「……はい」」」」

 

 

 

 こうして話し合いの結果、改めて協力し合う事になった彼ら四人の初めての共同作業、それは並んで正座して、ちひろネキにがっつりお説教される事でした。

 

 彼らのこれからを実に良く示していた、と言えるでしょう。

 

 

 

 

 

 

 後に、何であんなこっち有利な契約しようとしたのと三馬鹿ラスに聞かれたドクターネキは、自身の事情を隠した上で三人との縁を繋げておきたかったと答えたのだが、

 

 

「いや縁繋ぐって、それ依頼だ契約だなんか別に要らんだろ、常識的に考えて」

「だよなー、ふつーに最近どーよって電話したり遊びにいきゃあ、あっ……(察し)」

「……大丈夫、貴女はまだ若いし頭も良い。これから、そうこれからなんですから」

 

 

 と勘違い――とも言い切れない面はあるが、まあ兎も角そんなすごく可哀想な人達(ぼっちちゃんやのあ先輩)を見るとても優しい瞳で優しく頭ぽんぽんされた。

 

 結果、者共であえであえーしたドクターネキのゾイド達に三馬鹿ラスが追い回される姿に、ある者は笑い、ある者は呆れ、ある者は頭痛の種が増えたと額を押さえたという。

 

 

 

 しかしゾイドと一緒に三馬鹿ラスがを追っかけるドクターネキの顔はとても子供らしい笑顔と表情で、ゴドスが密かに写真に撮り隠し持つ程であった。

 

 

 

 が、後日その写真と隠し撮りがバレて、ドクターネキの家で三馬鹿ラスも巻き込んだ大騒動になるのだが、それはまた別の話である。

 

 

 

 

 

 

 おまけ 舞台裏1

 

 ある夜、ドクターネキの家にてこそこそと廊下を進むアガシオンとゴドス。

 ドクターネキの部屋を遠くから伺い、合図と送ると別行動のハンマーロックがドアをノック。

 

「――どうしたの? え? ヘルキャットとバリゲーターがケンカ!? 何で? やっぱり元ネタの因果が流れ込んで!?*18 兎に角止めないと!」

 

 慌ててドクターネキが駆け出していった後、こっそりと部屋に侵入した二体。

 そしてアガシオンが用意した三馬鹿ラスの筆跡と無駄に丁寧で無駄に学術的に見える内容を苦労して真似た提案書を出すと、ゴドスもドクターネキの机の隠し引き出しの更に二重底に隠してあった承認印を取り出してポンとハンコを押す。

 そして他の承認済書類の束に混ぜるとすぐに部屋を後にした。

 取っ組み合いするヘルキャットとバリゲーターを止めるドクターネキの声を背に、再び廊下をこそこ進んだ二体は裏口をこっそりと開けるとアガシオンは即闇夜へと身を踊らせる。

 

 『――幸運を』『――お互いに』そんな思いをただ視線で交わし合い、彼らはそれぞれの主の元へと戻っていった。

 

 良かれと思ってとはいえ『人の姿だから裏切る訳でもないし、人の姿じゃないから裏切らないって訳でもない』ドクターネキのその台詞の正しさを証明したような、ある夜の出来事でした。

 

 

 

 おまけ 舞台裏2

 

「――この内容なら問題ないよね?」

 

 そう真剣に、何処か必死にそう尋ねてくるドクターネキに、三馬鹿ラスは互いに視線を交わし、ドクターネキの方を見ると

 

「「「……」」」×たくさん

 

 その背後で気付かれないよう気配を殺して勢ぞろいしてこちらをじっと見つめるゾイドの群れ。

 あるものは何度も頭を下げるのを繰り返し、あるものはドゲザの如くじっと身を伏せ、あるものは分かってんなと言わんばかりに己の爪や武器を見せ、あるものはヘンゼルとグレーテルの様な捨てられた子をテーマにした作品を多数提示し、あるものはドクターネキの成長予想図の拡大パネルでなんかアピールしていた。

 

「……まあ、あれだな」

「こうなっちまったらな」

「選択肢は……なさそうですし」

 

 そう三馬鹿ラスが小声で囁きあうと、ドクターネキに気付かれない内にゾイド達はそっとその場を後にし、四人が事務所に出かけた後に皆で雄叫びをあげて祝ったのでした、ヨカッタネ。

 

*1
オルニトレステス型ゾイド。最初に発売された帝国ゾイドで武装も簡素だが、限界速度500km/hと遅い飛行ゾイドなら追い抜く程のホバー走行が可能。長きにわたり最速の地上ゾイドだった

*2
ヒョウ型ゾイド。最初期の高速戦闘ゾイドで消音と排熱を抑えたステルス機能、アニメでは光学迷彩も装備、奇襲が得意で「密林の暗殺者」の異名を持つ。四足系なのに爪や牙系の武装がない珍しいゾイド

*3
エイプリルフールイベントで登場したドクターのスキン。見た目は表現に困る外見のお面付けただけのドクターである

*4
噛みつき

*5
尻尾アタック

*6
イベントで自作の薬で肉体年齢二十歳になった姿が登場し、スキンにもなっている。身長175cmのムチムチナイスバディで普通に巨乳だが、残念ながらラスオリでは普乳レベル

*7
ふなぐち又兵衛様作。しがない一転生者の徒然 しがない一金札の業務〜東方鋼一の一日~ より

*8
イモムシ型ゾイド。低い体高と重装甲による高い防御力とそれを活かした突進攻撃も可能で地中も掘り進める。繁殖力と成長の早さで大量生産され、非常に多くのバリエーションを持つ。ちなみに唯一実物大モデルのあるゾイドである

*9
ゴリラ型ゾイド。小型アイアンコングというべき仕様と武装で様々な状況に対応可能な汎用機の鑑みたいなゾイド。少し改修したら乗り手がベテランとペーペーという差があったとはいえ五十年以上後に作られた当時の新鋭ゾイドのレブラプターを撃破しているので余程基礎設計が優秀な模様

*10
やらかしの程度による。場合によってはラッシュを食らう

*11
前田利家の幼名。界隈では有名なロリコン扱いされる人

*12
ネタでなく公式でガチでやっている。学年誌だけど

*13
ラスオリのバイオロイド・スカラビアが使っている。モチーフはおそらくスパイダーマンのドクター・オクトパス。ちなみにスカラビアはずぼらでいいかげんで面倒くさがり屋なキャラ

*14
10話

*15
10話おまけ2

*16
三馬鹿ラス

*17
ドクターネキ

*18
新キットの箱裏で水中から飛び出してヘルキャットの後ろ足に噛みついている。またPSゾイド1の共和国各章間ムービーでも首筋に噛みついて撃破している




―以下どうでもいいバカ共の設定―

・ドクターネキ
 覚醒しシキガミ作製に目覚めた後、秘密と彼女の身を守る為、座敷牢に監禁されていた。
 そんな状態を耐える為、自己防衛と順応で急速に前世の記憶を取り戻したが、環境故か才能か、別人格ではないが脳内で別の思考を行う存在という形で定着した。
 天才の自称やシキガミへの没頭もある種の自己防衛によるもの。
 短期間でメシアンから救出されたのは文字通り最後の希望だった彼女を失った実家が完全に心折れてしまい、即断&全力でガイア連合に下座った際、残された彼女制作のシキガミを献上。
 その性能と技術から転生者の可能性が高いとすぐ捜索が開始されたから、という何気に実家のファインプレイによるもの。
 これらの一連の出来事で人間不信、というか人型不信とでも呼ぶべきものになってしまった。
 更に自らのそんな状態と今迄の彼是、加えて己を誤魔化し、守る為の自分は天才という自負まで失い、これらが重なった事で心が折れてしまい、長らく引き籠っていた。

 一人で制作活動を行ってるのも派遣みたいに仕事してるのも学校に行かないのも不信が理由。
 不信であって恐怖や嫌悪ではない為、普通に接する事も普通に振る舞う事も出来るし、ちひろネキの様な好きな人、探求ネキ等の尊敬する人もいるが、そんな相手でも内心警戒してしまう。
 ゾイド達に囲まれる様になってからは大分楽になったが、今度は自分を心配したり良かれと忠告してくれる人や、自分が好きな人や尊敬する人も信じれず警戒する自分自身に対してのストレスと、そんな相手に自分の不信や警戒を気付かれないかという不安を感じている。
 未来にてシキガミクリエイター科に協力しているので、その頃には大分改善されたか『それはそれ!これはこれ!』と開き直ったものと思われる。
 
 今世の少女人格の思考と前世の人格が分かれた冷静な思考と計算高い思考の三つが脳内に存在しており、それを活かしたマルチタスクを得意とする。
 またその結果前世の男性部分が殆ど現在の人格に影響していないという、なんちゃってTS勢。
 覚醒済みで多少の下地があったとはいえ、結構な短期間で現在の状況にまで持って行ってみせた、三次主役勢や運命愛され勢には届かないが、三馬鹿ラスとは段違いなガチの天才少女である。
 しかし年齢と境遇の為、経験不足なのは否めず、やや頭でっかちな点が弱点。

 ナチュラルにエンジョイ勢やってる三馬鹿ラスとは異なる、意識してそう振る舞っているというタイプのエンジョイ勢。

・ゾイド
 販売用ゾイドは別だが専用ゾイドの方は作中通りドクターネキの漫画や設定の記憶の影響で個体差はあれどやや女性よりの感情・思考を持つ。
 また、同じく作成時のドクターネキの無意識の思いから、ドクターネキに対し母性本能に近しいものを持っているが、こちらも個体によって強弱が激しい。
 簡単に言うと強いゾイドは母親ぶり、弱いゾイドは妹を相手するみたいに接してくる。
 交流が進み、アガシオン含む三馬鹿ラスPTとは割と打ち解けている。
 ゾイド達の三馬鹿ラスへの印象は『ビジネスパートナー』『なにあれ』『主の友人』『観察対象』『遊び相手』『よく分からんなんか』『主の研究対象』『主がくれたおもちゃ』等と個体毎に大きく異なる。
 が、PTリーダーはアガシオン、という一点のみは全専用ゾイド達の共通認識である。

・販売用ゾイド
 たまごダンスの影響もあり遂に販売を開始するが、その際多くの人に買ってもらおうと値引きし過ぎてちひろネキと三馬鹿ラスからダンピングは迷惑かけるし恨みを買うとお説教された。
 代わりに買った本人と証明出来ればアップデートやバージョンアップは無料or値引きする等のアフターサービスに回した。
 現在のラインナップはEMZ-13マーダ、RMZ-11ゴドス、EMZ-22イグアン、RMZ-20バリゲーター、今後増やしていく予定でレベルは何れも10。
 希望すれば15レベルまでの強化型や特殊仕様の注文も受け付けている。
 なお、スキルとは別に何故か逃げる相手を追っかけるのと、相手を袋叩きにするのと、手加減してボコるのがやたら上手いと評判である。

・ゴドス
 経歴もあってドクターネキへの母性本能は随一、だがドクターネキ以外には割と荒っぽい。
 人相手であんなに楽しそうなドクターネキを初めて見た為、目的が一致した盟友と共に暗躍。
 その際他のゾイド達から協力してもらえる程度には最古参としての信頼と信用はある。
 三馬鹿ラスには感謝しているが同時にもう少し真面目な人達だったら、という思いも抑えられない複雑な心境な模様。
  
・イグアン
 自らの役目は戦う事と自認し、それ以外は自分の管轄外と認識している。
 何だかんだでドクターネキの事は大切で敵はブッ殺す、専用シキガミだから当然である。
 更なる高みを目指す為に新たな経験を積もうと臨時PTへの参加を名乗り出た。
 しかし根っ子が真面目なので、三馬鹿ラスとのPTは色んな意味でキツ過ぎた模様。

・バリゲーター
 三馬鹿ラスとは付き合いの長さもあって割と仲良し、但しセクハラはバイトファングの刑。
 最近自分の元ネタ云々とドクターネキや三馬鹿ラスの反応の理由を理解した。
 だが自分には無関係、やるべき事をやるだけだと語る、あとPSゾイド1だと強いから!
 なお続編でかなり弱体化した件にツッコむと強めに噛んでくるので要注意。

・ハンマーロック
 元ネタのゾイドが高性能で且つ素体がゴリラの為かゾイド達の中ではかなり頭が良い。
 が、性格はゴリラというよりおサルさんで、かなりひょうきん且つイタズラ好き。
 その為ドクターネキと一緒に悪さをしては、ゴドスやイグアンによく蹴っ飛ばされている。
 三馬鹿ラスとの相性がぶっちぎりでトップのゾイド、故にアガシオン&ゴドスの頭痛の種。

・三馬鹿ラス
 別に無欲な善人をきどる気はないが、明らかに訳アリな一人暮らしJSから高額報酬ふんだくるのは今迄築いてきた自分達の爽やかなイメージが、との事。
 それに凄く将来性のある子だし、寧ろ早く高レベルになってもらった方が未来の有力なコネになってそっちのが得なんじゃないの?と語ったとか。

 たまごダンスについては人魚ネキが踊った事で簡易儀式として成立、しかしその後は名家や神にリクエストされまくったのもあり人魚ネキは放置。
 その後ほったらかされたままのそれを三馬鹿ラスが勝手に使っている状態で、本来バカ共だけでは成立しない儀式が成功してるのも人魚ネキの影響下だから。
 バカ共と相性の良いドクターネキと、ゾイドの本霊の三羽烏と同じ動物という共通点故に上手くいったのであり、もしガチガチのロウ属性とか相手だと鼻クソ程の効果も出ない。
 効果は例えるならRPGの序盤あると嬉しいスキル程度なので、ドクターネキが成長後はぶっちゃけなくても何も問題ないレベルである。

・アガシオン
 あくまで自分は部下、従者というスタンスの為、ゴドスの過保護なとこには少し呆れ気味。
 盟友よ、時には手を出さず見守る事も必要だぞと忠告した。
 将来有望な製作系覚醒者とのコネと、年齢もレベルも下の少女と一緒なら少しは日々の言動や振る舞いを考えるかもとゴドスの提案に協力した。
 なお想像以上に有望だったので、三馬鹿ラスの将来の就職先候補の一つと考え、ゾイドとの交流を真面目に行っている。
 でもゾイドが皆自分をリーダー扱いしてくるのには溜息が止まらない模様。



 やりたい、出したい、書きたいの誰得回後編でした。
 ゾイド出したいで生まれたのがドクターネキと前回のあとがきで書きましたが、実はもう一つの理由もありました。
 バカな話ばかり書いてると、少し真面目な話も書いてみたいという欲が湧いてきた為、三馬鹿ラスでは無理な少し真面目な話も書けるキャラを、というのもドクターネキが生まれた理由でした。

 その結果とんでもなく長くなってしまいましたが、頂いた感想や早々にドクターネキを使って貰えたのもあり、自分の予想よりずっと早く書けました。
 少し真面目な話書いて満足したのでまたおバカな話に戻ろうと思いますw

 それでは最後まで読んで頂き、誠にありがとうございました。
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