【カオ転三次】幼女ネキの謎を解明するため、黒札調査隊は宮城県の奥地〇〇町出張所へと向かった――。 作:貧弱一般メガテンプレイヤー
で、書いてる途中で別方向からもボール飛んできたので一部変更しました。
あとドクターネキが割と彼方此方に出て驚きましたが、良く考えたらバカ共よりドクターネキの方が書きやすいのは当然かもと納得してしまいましたw
何時も通り時系列等は外伝・アンソロジー時空でお願い致します。
ガイア連合山梨支部のある昼下がり。
大きめの部屋の中で他称・三馬鹿ラスの三人がテレビを付けっぱなしにして、思い思いにダラけた時間を過ごしていた。
週刊誌を読みながら横目でテレビニュースを見ていたサスケニキが何とはなしに呟く。
「こういうニュース見ると思うんだけどさ」
「ん、どしたよ急に」
「高速道路での事故で、原因を調査中、と。これがどうしたんです?」
携帯弄ってたヨロイニキとガイア連合発行の内輪用新聞を読んでいたクロマニキが反応して顔を上げた。
「いやさ、もしかして裏で悪魔が関わってるんじゃないか、みたいに思っちまうの。お前らもないか? あからさまにアヤシイのだ!」
「あー……まあなあ。実際そーいうのも割とあるし、なんか疑っちまう気持ち分かるぜ。こーゆーのも職業病ってゆーのかな?」
「考え過ぎ、と言い切れないのがメガテン世界ですからねえ。ゴルゴムや乾巧やゴーストの仕業だってネタも、我が身になると笑えませんね」
そんな覚醒者あるあるネタかもしれない事を語る三馬鹿ラス。
じゃあさとサスケニキがチャンネルを変えて別のニュースを映す。
「こいつもやっぱ悪魔絡みだと思うか?」
天皇廃止、皇室解体を訴える団体の事務所に雷が落ちて、割と大きめのボヤ騒ぎになった事件を、何やら偉そうに陰謀論を語る自称専門家の姿に何とも言えない顔になるヨロイニキ、クロマニキ。
「他にもCやKの国べったりの政治家や団体のトップが転んで骨折ったとか最近何か多くね? これ絶対悪魔、というか日本神が絡んでるだろ。サツバツ!」
「どーだろーなー……でも鬼灯様の言う馬鹿共のやる事にしちゃあ、やる事セコいから濡れ衣じゃねーか? もしあいつらなら家族丸ごと皆殺しとかふつーにやるぞ」
「うーん、珍しくヨロイニキにしては鋭い、且つ納得出来る意見ですが……碌に力が回復してないのに我慢出来ずに無理して動いた結果、という可能性も否定出来ません」
「それも確かに有り得そうな話だもんなあ、天罰重点」
やれやれだぜ、と言いたげなサスケニキとクロマニキに、何やら携帯を弄っていたヨロイニキが画面を見せる。
「そっちはまだ神の仕業か偶然か分かんねーけどよ、こっちは確定だろ」
そう言って見せられたまとめサイトの記事の内容に、二人は先程よりはっきりと顔を歪めてあー……と呟いた。
「マスゴミやカスラ、もといJ〇SRACのお偉いさん。アホみてーな痴漢冤罪判決だした裁判官に、容疑者は自殺の手伝いさせられたと身内殺された相手に平気で言ってのける死刑反対派弁護士。自衛隊や自衛隊支持すんのは殺したがりの馬鹿どもとかぬかす自称平和主義者。こーいう奴らが真っ昼間に街ん中の大勢の前でいきなり絶叫してすげえ量のウ〇コを漏らす――これぜってーオカルト絡みというか、ぶっちゃけ身内の犯行だろ。賭けてもいーぞ」
「……明らかに俺らの大部分が嫌ってそうな面々ばっかだもんなあ。他にもパンピー用の掲示板とか覗いても、クソな奴らがホントにクソ塗れになっててざまぁwみたいな書き込み、しょっちゅう見るし」
「いえ分かりませんよ? 実は犠牲者達は内に業の深い『こういう癖』を秘めていて、それに気付いた同じ癖の黒札が己を解き放てと親切心でやった可能性も微粒子レベルで存在しているのでは?」
「ねーよ、というかあって欲しくねえわ。それならまだ悪意で呪いかけてた方が万倍マシだ」
「親切心からの〇ンコ漏らす呪い送信とか便所の神だって理解不能で重ちー状態になるぞ」
そんな汚い話題を語り合う三馬鹿ラス、そこへガチャリとドアが開き、新たな登場人物のエントリーだ!
「ねえ、わたし今から買い物に出かけるけど、お兄ちゃん達何か買う物ある?」
そんな言葉と共に入って来たのは茶髪で実に表現し難い髪形の少女、ドクターネキ。
「「「キャーッ! ノックもなしにいきなり入って来た! ヒドイ!」」」
「はいはいゴメンね。で、何か要る物ある?」
ある種のお約束な反応をスルーした少女の質問に、バカ共が思い思いの反応を返す。
「じゃあ今週号のジャ〇プとナマモノネキの新刊よろ――勿論全年齢版のやつだから、ゴドスさんキック態勢取るのやめてね?」
「オレコーラとポテトチップスな。後たくあんと梅干無くなったからそっちも」
「私はカルピスとカントリーマアムお願いします。あ、ポイントカード渡すから使って下さい」
「はいはい、分かりました。あと今晩はカレーだけど何かリクエストある? なおアレルギー以外の好き嫌いはゴドスに却下されます」
「俺はリンゴと牛乳追加で!」
「肉! レトルトのは肉が少なすぎる! 肉は合い挽きで!」
「福神漬けとらっきょう、トッピングのチーズと目玉焼きは必須です!」
「んもー注文多いなあ。お兄ちゃん達も手伝ってよ? 特にリンゴは磨り下ろすの面倒だから」
「「「ウェーイ」」」
片手をあげてそう返す、自宅並みに寛ぎモードの三馬鹿ラスに呆れ顔のドクターネキ。
そう、ここはドクターネキ宅の地下室の一つ、倉庫予定の未使用だった部屋は、現在バカ共が色々持ち込んだ挙句、三馬鹿ラスの住処と化していた。
「じゃあ行ってきます。あ、もう少ししたら洗濯物の取り込みお願いね?」
そう何気なく言ったドクターネキの発言に、ぴたりと三馬鹿ラスが停止する。
「……ドクターネキ=サン。一つ確認なんだが……洗濯物は屋敷の中かな?」
「ううん、お庭だよ」
ドクターネキの返事に暫しバカ達は沈黙し、ばっと立ち上がって身構える。
「「「最初はグー! ジャンケンポン!」」」
サスケニキ・グー、ヨロイニキ・パー、クロマニキ・パー。
「――よし、三回勝負で!」
「「ザッケンナコラー!!」」
忽ち始まる三つ巴の取っ組み合い。
「お前らが尊くない犠牲になれ! ならないなら中身盗もうとして上に乗った自販機の下敷きになって死ね!」
「潔くねーぞこの全身包茎男! テメーこそガソリン被った後そのままタバコ吸おうとして燃えて死ね!」
「肉体労働しか出来ない貴方達がやりなさい! 長さギリギリのゴム紐でバンジージャンプやって死ね!」*1
「じゃ、あとよろしくねー」
激しくも実に見苦しいバカ共の殴り合いに、ドクターネキは全く動じた様子もみせず、ゴドスとイグアンを連れ、モルガに跨って家を出たのであった。
◇
山梨支部・事務所、ちひろネキの部屋。
「――という訳で。外どころかお庭に出るのも嫌がるぐらいだから、何もしないと当分あのままだと思うよ?」
「……そうですか」
ドクターネキからの報告に、ちひろネキは深く、ほんとーに深く、溜息を吐いた。
そもそも何故三馬鹿ラスがドクターネキ宅の地下室に住み着いているのか?
それは今回三周年のあるイベントが発端であった。
三馬鹿ラスの発案で始まったガイア連合黒札美少女番付とガイア連合黒札イケメン番付。*2
毎回良くも悪くも様々な盛り上がりをみせるこのイベントは、今回も美少女トップスリーが男の娘で埋まり、イケメン一位をクレオパトラ・ダンディ*3がぶっちぎりで決めるという色んな意味で大盛況の内に終わった。
が、専用スレにて書き込まれた、とある書き込みが流れを変えた。
美少女番付に何故か一票ずつ投票されている三馬鹿ラス、そしてその理由の推測と肯定の書き込み――――即ち、尻穴ピンチ。
その日を境に、三馬鹿ラスは姿を消した。
偶然深夜に彼らを目撃した者曰く、大きな唐草模様の風呂敷背負って黒のほっかむりを鼻の下で縛るという実にレトロな姿でこそこそと何処かへと向かっていたという。
その後完全に音信不通になってしまい、何処に居るかも分からない。
連中の自宅は無論、他に行きそうな場所、福島支部やクロアネキ宅、魚沼支部、姫路支部、北神奈川支部、道南支部といった縁や関りがある所にも居ない――閑宅はもし居たら恋ネキが即捕らえて突き出してるだろうから該当せずとなったが。
まさか裏をかいてノリの違いと異界との相性の悪さから一番行きそうにない沖縄支部に向かったのではと、慌てて連絡するも沖縄支部にも居らず。
そんな中事務所にひょっこり顔を出したドクターネキが内緒の話があるとちひろネキに伝えたのが、三馬鹿ラスが現在ドクターネキ宅の地下室に住み着いているという報せだったのである。
山梨から逃げたと思わせての裏をかいた三馬鹿ラスの行動であった――同時に幾ら連中でもJSの家に転がり込みはすまいという予想を悪い意味で裏切った手でもあった。
ドクターネキ曰く、断ったらその場で自刃でもしそうな勢いだったとか。
まあ腐ってもレベル20越えの覚醒者なので多分その程度では死なないだろうが。
「……まさか一人暮らしの女の子の家に男三人で転がり込むなんて。全くもう」
「前に何時でもお泊りに来ていーよって言ったからねー。それでホントに来るのが実にお兄ちゃん達らしいけど」
「その発言もどうかと思いますけど……それで本当に行くなんて、結婚報告ハガキの『ぜひ新居にも遊びにきてね』を真に受けて遊びに行く様なもんじゃないですか」
「あ、その例えわたしも言ったの! そしたら『こちらは新婚イチャイチャ空間をビミョーな雰囲気に出来て幸せ。新婚夫婦はその反動で夜のお勤めが激しくなって幸せ。誰も不幸にならない幸福を呼ぶ行動なのだ!』だって! 多分ホントにやりそうだからお兄ちゃん達に結婚報告は間空けてからの方が良いって周りに知らせといた方がいいかもね!」
「……」
色々と思う事はあれど、今は喫緊の課題があるとスルーする事にしたちひろネキであった――心のメモ帖に小〇生へのセクハラ発言としてしっかり残弾登録したが。
「まあわたしの方は全然問題ないよ! ちゃんと宿泊代と食費、光熱費も払ってくれるし、籠りっぱなしでも色んな雑用やゾイドの部品作りにウチの子達の相手と色々してもらってるから! お兄ちゃん達とわたし達で室内戦の訓練したり、みんなで『夜鷹の夢』*4歌って、UNOや桃鉄で遊んで罰ゲームやったり! あと一緒にご飯食べるのも凄く楽しくて! 大きな声で話したり、ほっぺた膨らむぐらい口いっぱいに詰め込んだお兄ちゃん達がゴドスにお行儀が悪いって何時も怒られてるの!――わたし、大勢でご飯食べた事、昔はあるんだろうけど覚えてないから」
満面の笑顔でそう語っていたドクターネキだが、でもと少し困った顔になる。
「ゴドスが毎日毎日お説教ですっかり疲れちゃってるし、イグアンは呼ばないと何処に居るか分かんないぐらい隠れる様になっちゃったし、バリゲーターは何度も噛んだせいでもう挨拶代わりにお兄ちゃん達噛んじゃうし、ハンマーロックはダンス用ゾイドに転職したのってぐらいお兄ちゃん達と踊ってるし……ちょっとその辺は問題かなあ」
「引き籠ったくらいで大人しくなる人達ではないですか、分かってはいましたが」
苦笑しながらもそれらを含めて楽しんでいると思える様子のドクターネキ――背後のゴドス、イグアンにはまた別の意見がありそうであったが。
しかしドクターネキにとっては現状は悪くないのだろうが、ちひろネキにとっては、事務方としては、まあ色々と問題がある訳で。
そんなちひろネキの様子に少し首を傾げてドクターネキが尋ねた。
「やっぱり今のままだとちひろお姉ちゃん的には大問題?」
「……ですね。指名依頼もありますし、塩漬け依頼もそろそろマズイです。加えて――」
「一部のすっごくうきうきしてる黒札の人達の事があるもんね。ノンデリおじちゃんとか『我が世の春が来たぁ!』とか叫びそうなニコニコ笑顔してたの見たよ」
「ええ、ええ! 皆さん実に生き生きと人生を謳歌されてますよ! 羨ましい事です本当に!」
チョーシこきやがってクソッタレ共が!という内心の副音声がはっきりと聞こえそうな声音のちひろネキに、うわーこれ相当キテるなあと同情するドクターネキ――冷静な部分がクズ系や問題のある黒札達をそれだけ警戒させる三馬鹿ラスの、別にわざとではない筈の『やらかし』にやっぱり何か変な権能か霊能が働いてるのでは?という疑問と好奇心を働かせていたが。
よしっ、と気合を入れてむんっと力こぶを作るポーズを取るドクターネキ。
「じゃ、上手くいくかは分からないけど、わたしが何とかしてみるね! このままでも多分その内黒死お姉ちゃんや幼女ネキあたりに力づくで引っ張り出されるだろうし!」
「……いいんですか?」
「今は今で楽しいけど、引き籠ったままのお兄ちゃん達はやっぱりなんか違うと思うから! それに日の光を浴びないのって身体にも
「ではお願いします、でも無理はしちゃダメですよ? これは他の人達、大人に任せていい事なんですから」
何気なく闇を出すドクターネキに任せつつも釘を刺しておくちひろネキ。
はーい、と元気よく返事したドクターネキが退室しようとした時、
「ところでドクターネキさん」
「何か用?」
「下着も干してましたか?」
「干してない」
「そうですかありがとうショーツとブラは手洗いを忘れずに」
「ガイアグループ製の特別品だからそれほどでもないよ」
「「……」」
「やはり有罪だった! しかも下着上下なのに恥知らずにもそれほどでもないと言った!」
「買い物系の仕事があるからこれで!」
モルガに乗って脱出しようと、ソファーからジャンプして飛び乗ろうとするドクターネキ。
が、モルガとの間に何時の間にか待機していたゴドスがぽすっ、とドクターネキを受け止める。
そして抱えたドクターネキをちひろネキの前に優しくそっと下ろす。
「ゴ、ゴドスが裏切った~~!」
「取り合えず、そこに正座です」
実は自分が言うよりちひろネキの説教の方が効果があると考え、事前にちひろネキにお願いしていたゴドスの計画通りであったのである。
こうしてちひろネキの部屋にて女性の振る舞いについて正座でちひろネキにお説教されるドクターネキと、その横で予め話を通していたのにドクターネキ可愛さで逃がそうとしたモルガを蹴りも交えて叱るゴドス、そんな彼らに呆れた様子で我関せずを貫くイグアンの姿があったという。
◇
「ただいまぐろの一本釣り。あー、疲れたよう、主に精神的に」
「「「おかえりすは小動物。お疲れー」」」
そんな嵐を呼ぶ園児のやり取りをするJSとDK三人組。
テレビを見ていた三馬鹿ラスがモルガに括り付けてあった買い物袋を外すとすっかり慣れた様子で冷蔵庫へ入れる物とそれ以外を分けていく。
ソファーへとダイブしたドクターネキがテレビの内容と熱心に画面を見つめるゾイドと付き合わされてるゾイド、ダブルソーダ*5とサイカーチス*6を見て顔を顰めた。
「もー、またダブルソーダに仮面ライダーカブト見せてる。お陰でこの子『戦いの神』って書いたタスキ掛けたりウンメイノー*7をずっと流したりして大変なんだよ?」
「まあまあ、ゾイドだって日々の潤いってやつは大事だぞ。ドクターネキだって楽しそうなゾイド見るの好きだろ? ゴラクはとっても大事。ワドルディもそう言っている」
「日々どころか人生潤い過ぎててゲル状のお兄ちゃん達が言うとちょっと不安かなあ」
「それに自称ライダーカッティング*8のブレイクソード*9の威力上がってたつってたじゃねーか。いーこと尽くめってやつじゃん」
「訓練の時、爆死BGMかけてると何でか攻撃避けられないでやたら派手に吹っ飛ばされるってデータが挙がってるんだけど?」
「それはまあ、世の中得るモノがあれば失うモノもあるという事で。ほら等価交換ってやつですよ、うん」
「Win-Winや等価交換を軽々しく言う人は良くて6:4、酷いと7:3ぐらいにしてくるから気を付けて、がわたしの持論なんだよねえ」
ジト目のドクターネキのツッコミから顔ごと視線を逸らす三馬鹿ラスに全くもうと言いつつ、ドクターネキがちらりと視線を送ると、ゾイド達がテレビを切り、買ってきた物を持って部屋を出ていく――抵抗したダブルソーダはゴドス、イグアンが力づくで引きずっていったが。
「さてと、夕飯の準備の前に――ちょっといいかな? お兄ちゃん達」
座ってとばかりにポンポンとソファーを叩くその様子に、何かを感じた三馬鹿ラスも素直に腰を下ろし、よいしょとドクターネキが三人の近くへと座る。
「確認なんだけど、お兄ちゃん達は何時まで此処に居るの?」
「そりゃあ……ほとぼりが冷めるまでというか、身の安全が確保出来るまで?」
「そうなんだ。で、それってどのくらい? 安全の確保って、どうやって?」
じっと冷静な目で見つめながらの問いに、答えられないサスケニキは、三馬鹿ラス達は無言で顔を背けた。
尻を狙ってる連中が何時、どうすれば諦めるかなど答えようがない故に。
「その、滞在費というか宿泊費に問題がありましたか? ならもう少し値上げしても」
「または肉体労働増やす方向で何とかなんね? ゾイドの相手とか組手とか雑用とか」
「ああ、そっちは別にいいよ。ヨロイお兄ちゃんの言う通りうちの子の訓練相手やゾイドの部品作りや色んな雑用もしてもらってるし。たまごダンスも考えるとこっちが払う側だしね」
財布の中身を見つつのクロマニキと頭脳労働出来ないヨロイニキからの質問に、笑って答えるドクターネキ。
ほっとした三馬鹿ラスに、ドクターネキが話を戻すよと続ける。
「わたしが聞きたいのはこれからどうするのかと、何時までこのままで居るのって事」
「ええと、それはだな。その、長い目で見てもらいたいと」
「一つだけ言っとくと――――わたしはお兄ちゃん達が別にずっと居てもいいって思ってる」
「「「えっ」」」
話の流れとは真逆の事を急に言われて思わず宇宙猫顔になる三馬鹿ラス。
「極端な話、このままずっとうちで色々手伝ってもらって、わたしがお兄ちゃん達にお給料払って、住み込みでお仕事してもらう形でも何も問題はないよ? そのぐらいはわたし稼いでるし」
なおゾイドの売り上げは良いトコとんとんで、主な収入は作成系の依頼やゾイドによる遠征と自分も参加しての異界探索なのはご愛敬。
「だからわたしはこのまま此処で暮らしてもらって構わない。うちの子達とも仲良くしてくれてるし――だけど、お兄ちゃん達はホントにそれでいいの?」
静かに、されど強く、言葉が続く。
「その、そういう意味で狙われてるって怖さは、わたしも分かるよ、少しだけど。同性に狙われる怖さは流石にちょっと分かんないけど」
「でもさ。わたしたちが、転生者が色々と狙われるのって、こう言っちゃ何だけど、今更の話だよね? 真っ当な方法にしろ、違法なやり方にしろ、命って意味でも身体って意味でも、その、性的な意味でも」
「だからずっと山梨に籠ってる人も居るし、それは誰にも否定は出来ないと思う――わたしは特にね」
「でも、お兄ちゃん達は理由はどうあれ、それを承知の上でそれでも覚醒する事を選んだんだよね? 覚醒後も制作とかに回らずに、悪魔と戦う方を選んだんだよね?」
「ねえ、ショタおじちゃんの覚醒修行の時よりも、今の方が怖い? 初めて悪魔と戦った時より、今の方が恐ろしい?」
「もう一度言うけど、わたしはお兄ちゃん達がずっと居てくれて構わない。だけど、お兄ちゃん達はそれでいい? ホントにそれでいいと、楽しいって思えるの?」
「クロアお姉ちゃんや閑お兄ちゃんとも遊べない、彼方此方に行ってそこの美味しいものも食べれない、森田おじちゃんのように新たな出会いだって起こらない」
サスケニキがぎゅっ、と強く拳を握る。
「言ってたよね? 終末後でも、知らない場所行って、初めての人と話して、見たことない物買って、聞いたことない唄歌ったら、きっと凄く楽しいって」
ヨロイニキがギリッ、と歯を食いしばり。
「それなら、どうするのか、どうすればいいのか――そんなのお兄ちゃん達は最初から分かってるよね?」
クロマニキがピンと、背筋を伸ばした。
「――男でしょ!?」
ドクターネキの叫びが、静まり返った部屋によく響いた。
ドクターネキは知っている、こいつらが引き籠ったままでなんていられない奴らだと。
本来は、危険なんて喉元過ぎればすぐ忘れて何か面白そうな事に飛び出す連中だと、ドクターネキは良く知っているのだ。
「ドクターネキ」
サスケニキが静かに名を呼ぶ。
「――ありがとうな。見事なワザマエな啖呵だった、ほとんどブッダ……」
「ったく、ちびっ子にケツ引っ叩かれてりゃ世話ねーな」
「我ながら何をしていたのか……初心とは、こうも容易く忘れてしまうものなのですか」
自嘲するような笑みと共に、ヨロイニキとクロマニキも静かな口調で続いた。
「何をビビって縮こまっちまったんだか……自分の事なのにヤンナルネ」
「ホントにな。昔の、あの頃のオレらなら、こうじゃなかったはずだぜ」
「でもこうして気付いた以上は、取り戻すしかありませんね、嘗ての己を」
三馬鹿ラスの中に、強く激しい思いが、炎の様に燃え上がっていく。
燻っていた心に、ドクターネキの言葉が、叫びが火を付けたのだ。
そして彼らは立ち上がる、今一度本来の姿を取り戻す為に。
「すまんな、荷物は後で絶対取りに来る。そして、改めて感謝する。ユウジョウ!」
「わりいが、今はこの熱を、火を、抑えられねえ、いや抑えたくねーんだ」
「お世話になった事含めて、この恩は返します。ええ、必ず、返しますから」
「あ、じゃあ今度農業部主催の金属樹伐採競争
「分かった、付き合おう。約束する――いくぞお前らぁ! 転生者五つの誓い!! 一つ!」
「「「エンジョイ&エキサイティング!!」」」
「以下略! 者共続けー!」
「「「うおおおおおお!!」」」
「いってらっしゃーい」
そう雄叫びあげて部屋の、家の外へと全力で駆け出して行く三馬鹿ラスを、笑顔で手を振って見送るドクターネキだった。
なお、金属樹伐採競争
入れ違いに外で様子を伺っていたゾイド達がゴドスを先頭にぞろぞろと部屋に入ってくる。
「そういう訳で、お兄ちゃん達の居候は今日で最後になったから――え? もしお兄ちゃん達がウチに住むって言ったらどうする気だったのかって? その時はちゃんと責任もってウチで引き取るつもりだったよ、拾ったのなら最後まで面倒見なきゃダメでしょ? 皆の相手やたまごダンスやゾイド作りのお手伝いと仕事は沢山あるし、現状でも将来のゾイドパークの従業員の第一候補だもん。勤務形態は非常勤になると思うけど」
しれっとそんな台詞を吐くドクターネキにゴドスは頭を抱え、イグアンはそうならなくて良かったと安堵した。
他のゾイド達は残念がったりほっとしたり、どうでも良さそうだったりと千差万別だったが。
そんなゾイド達にパンパンと手を叩いて注目を集めたドクターネキが手荷物片手に指示を出す。
「ここの荷物はお兄ちゃん達の私物だからあんまり触れないで部屋の掃除。あと今晩のカレーの準備先にしてて。じゃ、ゴドス、イグアン、モルガ、ダブルソーダは
てきぱきとゾイドに命令し、彼らが動き出す姿を見つめながら、ドクターネキはぽつりと呟いた。
「出来れば穏便に済む人、そうじゃなくても軽傷で済む人のとこだと良いんだけど、どうなるかなあ」
◇
三馬鹿ラスが山梨支部を駆ける。
あ、帰ってきたんだと黒札が送る視線にも、どこ行ってたのさにーちゃんたちという子供からの声にも構う事無く、真剣な表情とアトモスフィアを纏い、彼らは駆けていく。
考えもなく、ただ心の、魂の命じるままに飛び出してきた彼らだが、どうするのか、どうすれば良いのかは、本能で理解していた。
「なあヨロイニキ! クロマニキ! 分かってんだろうな! これからどうすんのか! 再起重点!」
「決まってらぁ! ぶっ殺しに行くんだろ!? ケツピンチでビビっちまった情けねえ今のオレらを!」
「その為に、どうするのか、何をするのか……。方法は一つしかないと思ってます! そうでしょう!?」
二人の返事に、サスケニキは頷いて叫ぶ。
「ああ!――今一度、挑戦する……! 『覚悟』で道を切り開く! 自分を、嘗ての俺達を取り戻すのなら、それしかない!」
全員が同じ事を考えていたとはっきりした事で、三馬鹿ラスは笑みを浮かべた。
己を全うするために、あらゆる覚悟を決めた笑みを。
「危険で犠牲が出るかもしれんが、後悔は死んでからすればよいとミヤモト・マサシも言っている!」
「強そうに生きているオレじゃなく、本当に強いオレに戻るために! そんなオレになるために!」
「生きるとは己が何者かを知るという事! ならば己を知ったなら命を惜しむ理由も道理もなし!」
三馬鹿ラスは駆けた。
失ったものを取り戻す為に、嘗ての自分達へと戻る為に。
その先に待つものが命の危機であることも、覚悟の上で。
己を見失う事に比べれば、そんなものは何ほどの事もないのだと。
「「「お頼み申す! お頼み申す! 我らは知らんと欲す! お願いでございます! お願いでございます!」」」
そして、偶々山梨支部に居た幼女ネキに、白装束と手紙を挟んだ青竹装備で嘗て実行出来なかった直訴を行う三馬鹿ラスの姿があったという。
「――やっぱりこうなっちゃったかあ……。ベストは探求お姉ちゃん。次点が田舎お姉ちゃんで、黒死お姉ちゃんと幼女ネキは避けて欲しかったんだけどなあ」
親でも分からないレベルで顔がボコボコになった上に、お揃いの白装束のせいでどれが誰だか分からなくなって伸びている三馬鹿ラスと、腕組み仁王立ちした幼女ネキ。
そんな外れて欲しかった予想通りの光景に、空を飛んで三馬鹿ラスを追っかけていたダブルソーダの知らせを受けモルガに跨り、ゴドスとイグアンを連れてやってきたドクターネキは、軽く溜息を吐いた。
「む、ドクターネキか。調子はどうだ?」
「おかげさまで絶好調だよ! 幼女ネキも元気そうだね、ウチの子達も元気!?*11」
「ああ、元気に宮城の空を飛び回ってる。で、このバカ共迎えに来たみたいだが、何があった?」
「省略は難しいから最初から説明するね!? まずは――」
――ちびっ子博士、説明中――
「――という訳なの! わたしが焚きつけた様なものだから、迷惑掛けてごめんなさい!」
「いや、ドクターネキはこいつらを立ち直らせようとしただけで、その後の行動はこいつらの責任だろう。この件でドクターネキを責めるのは筋が通らん」
「そう言ってもらえると助かるよ! でも、わたし良くても蘇生必須レベルだと思ってたから、予想よりずっと穏便に済ませてくれてて良か――あ、もしかしてここから更に追撃予定!?」
安堵した顔からはっと気付いた顔に変えたドクターネキは、とても申し訳なさそうに言葉を続ける。
「もしそうなら勘弁してあげてくれないかなあ。ちひろお姉ちゃんもお兄ちゃん達に早々に復帰して欲しいみたいだし、色々理由はあるけどわたしもそうだから。わたしたちも一緒に謝るから――それでもダメ?」
勿論自分もとばかりにふわふわと現れるアガシオン。
そんな問いかけにひらひらと手を振りながら幼女ネキは答えた。
「ああ、その必要はない。私もこれ以上こいつら殴る気はないからな……いや、無くなったというべきか」
「ありがとうね! でも無くなったって事は最初はそうじゃなかったって事だよね? 何があったか聞いてもいい!?」
「……百聞は一見に如かず、だ。こいつらを、バカ共の顔を見てみろ」
「? 顔って誰かも分かんないくらい凄く腫れてるけど……うわぁ」
呆れた顔と雰囲気全開の幼女ネキに促され、モルガから降りて残骸と化した三馬鹿ラスに近づいたドクターネキは、まさに『うわぁ』としか表現出来ない顔になる。
ボコボコに殴られて、親でも区別も出来ない程に腫れあがった顔の三馬鹿ラス達。
しかしその表情に浮かぶのは、静かな、されど満面の笑みだった。
「こんな顔されたら、まるで私がこいつらにご褒美やってるみたいで殴る気も失せる。こいつら何時からドMに目覚めたんだ?」
「まだ目覚めてはないと思うよ? 多分きっとおそらくは――で、真面目な話をすると、昔の自分に戻れたのが、自分を取り戻せたのが、何時ものお兄ちゃん達になれたのが、本当に嬉しかったんだよ、きっと」
でも見てください、この嬉しそうな死に顔……
あなたは こんな顔で 死ねますか?
何処からかそんなナレーションすら聞こえてきそうな程に、安らかな笑顔であった。
「いや、私が言うのも何だが小〇生が処女かどうか聞きに来てる時点で何をどうやっても良い話にはならないからな? そもそもそんな自分を取り戻してどうするって話だ」
「まあそれはお兄ちゃん達だし? それに人から見たら下らない事でも、その人にとっては大切な事ってあると思うし――わたしも理解は出来そうにないし、する気も流石にないけど!」
「ああ、そうしておけ。同世代の黒札の友人が『こんなの』になるのは私も嫌だし、ゾイド達も泣くぞ」
ガチ小学〇という割と珍しい共通点の二人がやれやれと溜息を吐く。
片方は『ホントこいつら何なんだ。ああ、バカだったか』という純粋な呆れ、もう片方は呆れの中に『もう、ホント仕方ないなあ』という何処か好意的なモノが混じっていたが。
そんな中、モルガが何故か幼女ネキの近くを付かず離れずでうろうろしていた。
幼女ネキがその様子を暫し見つめた後、軽く手招きすると嬉し気な雰囲気でモルガが身体を擦り寄せる。
「何でこのモルガ私に懐いてるんだ? 販売用じゃなくてドクターネキの専用ゾイドだろう?」
「もうモルガったら。ゴメンね? その子とっても子供が大好きなんだけど、嫌がられる事も多いから、自分を怖がらない子供相手だとそうなっちゃうの! でもその子が仲良くしたがってるってよく分かったね!?」
「ああ、私の嫁達が無言の構ってアピールしてる時と同じ雰囲気だったからな。そういうのは何となく分かる様になった」
「へー、そういうものなんだ! 流石だねー、沢山のシキガミ嫁とお嫁さん達抱えてるのは伊達じゃないって事かあ」
「ドクターネキも専用ゾイドを多数侍らせてるし、ゾイド達から好かれている、似た様なものだろう」
「うーん、わたしの場合はコアだけもらって他は自分でやるから人よりハードル低いって所があるし、ウチの子達ってわたしの保護者ぶるとこあるからなあ。子供とか妹とか後輩みたいな感じで!」
そんなやり取りを交わす二人を尻目にゴドスとイグアンが用意した台車に三馬鹿ラスを乗せ、アガシオンが治療を開始。
作業が終わったとタスキ装備のダブルソーダがドクターネキへと報告する――『LORD OF THE SPEED』を流しながら。
「じゃあわたし、お兄ちゃん達医務室連れてくから! もしダブルソーダ達に何かあったら何時でも連絡してね! またゾイドについて話そうね! それと追加注文は何時でもお待ちしてます!」
「望むところだ!――しかし、ドクターネキの専用ゾイドの方は販売用と違って何か変わった性格してないか?」
「……お兄ちゃん達と会って、色々協力してもらう様になってから作ったゾイドって、何故か個性や思考が独特なタイプの子が多いんだよねえ。別にそうしようとしてるつもりはないんだけど」
「連中の影響力、いや感染力というべきものを侮った結果か……」
同情するような顔の幼女ネキにモルガに跨りつつ苦笑で返すドクターネキ。
その時、幼女ネキの雰囲気が突如変わり、声も真剣なモノへと変わった。
「――あまり無理はするな。お前のそれは、時間をかけてどうにかしていく類のモノだ」
その静かな声音にぴたり、とドクターネキの身体と表情が固まる。
人型不信であるドクターネキは、幼女ネキとの会話時にも心中と脳内では警戒や対策案が消えない、消えてくれない。
消えないが、それを相手に、幼女ネキに可能な限りそれを感じさせまいと、全力で明るく、ハイテンションに振る舞っていたが、幼女ネキがそれに気付かない筈もない。
そして暫し後、動き出したドクターネキの顔には、笑顔が浮かんでいた。
「――無理じゃないよ。だって楽しんでやってるんだから。幼女ネキとの話すのは楽しい、だから幼女ネキも楽しめるように、わたしの今やれる事をやる。ただそれだけ。苦しんでするんじゃないなら、無理じゃないでしょ? 楽しんでやってるんだから。無茶かもしれないけど、メガテン世界で生きてくんだもん。楽しく生きたいのなら、無茶ぐらいやれないと――――実際、楽しいからって色んな無茶やってる生きた見本もいるし」
そう笑ってバカ共の方を見るドクターネキに、少し驚いた顔になった幼女ネキは苦笑と溜息交じりに答える。
「無茶は良いが、あまり周りに心配をかけないようにな。何かあったら周りが悲しむぞ」
「それ、幼女ネキが言っていい台詞なのかなあ。すっごいブーメランじゃないの?」
「私は良いんだ。言えるだけの実績と力があるからな。ブーメラン程度受け止められるし」
「うわー、すっごい修羅勢仕草。お嫁さん達や人魚お姉ちゃんに怒られるよー?」
両人とも年相応といった笑顔で笑い合って、それじゃあまたねと、ドクターネキと幼女ネキは別々の道を歩いていく。
「あ、最後に聞いておきたいんだが――もしあいつらが引きこもり続けたら、本当にずっと面倒見るつもりだったのか?」
「ゴドス達と同じ事聞くんだね。勿論、わたしは自分の言った事にはちゃんと責任を持つつもりだよ? それに――」
「それに?」
「――なんか引きこもってるお兄ちゃん達を見るの、何時もの『笑ってはいけない人生録』のお兄ちゃん達を見るのとは別の楽しさというか、何か違う面白さみたいのを感じたんだよね。ゾイド達を眺めるのに似てる、でも全然違う楽しさというか、喜びというか……」
遠い目をして、そこにない筈のナニカを見つめる、何処か恍惚とした雰囲気すら漂う表情。
今迄図らずも様々な女性や女子の性癖を木っ端微塵に砕いてきた幼女ネキには分かる。
これは特殊な癖へと目覚めかけている者がみせる貌だと。
人型への不信と警戒心を持つドクターネキは、それ故に深層心理でも珍獣カテゴリの三馬鹿ラスには不信を持たなかった。
そしてそんな珍獣共の面倒をみていた事でドクターネキは、実際アブナイ目覚めの危機にあった。
そう、バカやアホ、変態といったダメな男共を多頭飼いするという極めて色んなナニカが危ない癖に目覚めかけていたのである!
12歳の少女がだ!なんたるマッポー!ガイア連合とはモラルと性癖の極北か!?
「でも普段通りのお兄ちゃん達の方がやっぱり良いと思うから、元に戻って良かったって思ってるよ」
「……そうだな。私もそう思う、色んな、そう色んな意味でな」
何事もなかったかの様に何時もの表情に戻ったドクターネキに、幼女ネキも深く頷いて同意した――心の底から。
そして改めて別れの言葉と共に手を振ってモルガに乗って去っていくドクターネキと、モルガの引く台車に乗せられてアガシオンに治療中の三馬鹿ラスを見送る幼女ネキ。
「――色々言いたい事はあるが、立ち直った事には感謝するぞ、三馬鹿ラス。人の性癖を否定する気は無いが、それでも友人のそんな姿は流石に私もあまり見たくはない」
珍獣カテゴリの男共に首輪つけて山ほど飼って恍惚とした表情のドクターネキという光景を脳内から追い出しながら、そんな事を呟いた幼女ネキだった。
◇
そしてその翌日。
「おーい! おっさん久しぶり! 元気してたか? ユウジョウ!」
「ここ暫く凄く楽しそうだったと聞きましたよ! 何があったんですか?」
「なーオレらにも教えてくれよ、おっさん! あと何かおごってくれ!」
三馬鹿ラスや事務方には運良く、ノンデリニキには運悪く、復帰早々にばったり出会ってしまった彼ら。
しかも三馬鹿ラス側はドクターネキから預かり中の新ゾイド・ロードスキッパー*12に三人乗りという状況。
その結果、バカとバカとバカがバチクソにアホな鳥に乗ってノンデリカシーを高速で追っかけるというコント染みた光景が爆誕した。
しかしロードスキッパーが作成中の壺の中のアガシオン達を見て急停止。
ミサイルの如き勢いで射出された三馬鹿ラスはそのまま矢の様に宙を舞い――事務所へと突っ込んだ。
そして扉をブチ破って、事務所でゴネてた黒札達へとボーリングの球めいてインターラプト!
この三馬鹿ラスミサイルによって黒札達はボーリングのピンめいて飛散!ブルズアイ!
大騒ぎになる事務所の外では、ロードスキッパーがアガシオン達とにらめっこをしていた。
その後、笑みを消しきれないちひろネキに、正座で説教されるバカとバカとバカとバチクソにアホが目撃されたという。
音信不通から復帰して早々に派手にやらかしたこの一件に、掲示板では
『あいつらの本霊、三羽烏じゃなくてトリックスター系のなんかだろ』
『いや本霊が三羽烏でその上でそれ系のなんかが悪さしてんじゃね?』
『タカりやクズが嫌いな黒札があいつらになんかそういう加護か呪いかけてるのかも』
『実は事務方の秘密仕置き人で、普段の振る舞いは演技でホントは切れ者というのは?』
『『『それはない!!』』』
などというやり取りがあったとか。
故意ではなくあくまで事故と認められたものの、巻き込んだ人数が多すぎるという事でペナルティ確定。
ロードスキッパーと共にトボトボと塩漬け依頼に向かう三馬鹿ラスに、ちひろネキが声を掛ける。
「待って下さい、貴方達への預かり物があります。どうぞ」
「? これ指輪? もしかして俺達のファンからとか? ヤダ照れちゃう」
「(無視)申し訳ありませんが匿名希望との事で誰かは答えられません」
「んー? なんか変な感じの力あるっぽくねーか? ちひろネキこれ何か知ってる?」
「スケベ部製の魔道具で、貴方達に役立つと聞いています――主に身の安全に」
「ああ、そういう……。有難く使わせて頂きましょう。その人に感謝するとお伝えください」
その言葉にそそくさと指輪を付けた三馬鹿ラスは、アトモスフィアを一変して意気揚々と出かけて行った。
『わたしから直接渡すと、あれこれ理由つけて中々受け取ってくれないと思うから、ちひろお姉ちゃんからでお願い。それがダメなら人生録のファンからって事でヨロシクね!』
そう預かっていた掘られるのを防ぐスケベ部製魔道具『俺は掘られるのが好きなんじゃねえんだ…。掘るのが好きなんだよォォッ!!』なる酷い名前の指輪を渡したちひろネキは、やれやれと溜息をつく。
「あの三人が立ち直った事も、あの子が明るい顔で過ごせてるのも良い事なんですけど――いまいち素直に喜べないのが何とも、ですねえ」
そう苦笑するちひろネキに『まるで子供達の育児に悩む母親みたい』と悪気なく言った事務員が凄くコワイ笑顔と激烈な殺気にさらされ重篤のTRS(ちひろリアリティショック)を発症して医務室に担ぎ込まれてしまったとか。
なお、魔道具で掘られる危険を防いだが、その名前のせいで『つまり掘る側なら良いという事か』と所謂受けな奴らの関心を集めるという、ドクターネキのやっぱり色々経験不足な面が出てしまう結果となり、再び一騒ぎ起きるのだが、それはまた別のお話。
おまけ 名〇行誕生
三馬鹿ラスがドクターネキ宅をチェックアウトする日。
「本当に世話になった、この借りは絶対に返すから。約束重点」
「別にいいよ、色々手伝ってもらったし。わたしも楽しかったから」
「そーはいかねーよ。知り合いだからこそ、こーいう義理を欠く訳にはいかねー」
「あ、じゃあ一つお願いがあるんだけど」
「何ですか? 可能な限り何とかしてみせましょう」
「――カレー食べるの手伝ってくれる? あの量わたしだけで食べるのどれだけ掛かるか分かんないもん」
「「「アッハイ」」」
最後の夜だからと全員でカレーを作り色々調子にのった結果、デカい鍋丸ごと一つ分作ってしまい、夕飯だけとはいえ二週間かけて色々トッピングや味変を駆使してなんとかカレーを処理した四人であった――三馬鹿ラスが毎晩お邪魔しますするので、居候が終わった感が全然なかったと後にゾイド達は語った。
そしてこの後も時折ドクターネキ宅で一緒にご飯を食べる事があり、三馬鹿ラス側も各地で買うなり貰うなりしたご当地品を使った鍋をドクターネキを呼んで四人で囲む事を提案するのだが――
「まだその具材は煮えてないよ! それ先に入れるとだし汁が濁っちゃうから最後に! 最初にお野菜から、他は順番! こっち煮えたからはいどうぞ! あ、お豆腐箸で崩しちゃダメ!」
「「「アイエエエ……」」」
――ドクターネキが大岡越前や遠山の金さんクラスの恐るべき鍋奉行に覚醒してしまい、以後完全にイニシアチブを持ってかれてしまったのであった。
おじやかおうどんに包まれてあれ。
―以下どうでもいいバカ共の設定―
・三馬鹿ラス
かつて知らぬまま助けた少女に、今度は自分達が助けられた――嘘は言ってない。
事務方秘密工作員とかトリックスター系加護持ち疑惑がでるが、全く関係はなくあくまで当人達のキャラと運とその他の混合した結果である。
危うくドクターネキをアブナい癖に目覚めさせかけ、自分達も大ピンチだったが気付く事はなかった。
なお、尻穴ピンチが根本的に解決してない事を一連の騒ぎで忘れている。
・アガシオン
居候中は安全だろうし三馬鹿ラスは必ず復帰する――連中は絶対引き籠ったままで居られないと確信していたのでドクターネキ宅でお手伝いに終始していた。
ゾイド達の遠征にもちゃっかり参加していたが、チェックアウト時『あれ、ウチの所属なのに何で出てくの?』とゾイド達にナチュラルに言われて流石に怒って説教した。
・ドクターネキ
三馬鹿ラスを居候させた事で危うくアレな癖に目覚めかけたが、無事回避に成功した。
幼女ネキとは同世代でやりたい事に全力、表面は明るいが内心は色々抱えてる、割とネジの外れた部分アリと共通点の多さ故にシンパシーを感じる友人同士。
実は(制作系にしてはだが)異界でのレベル上げに非常に熱心な点も同じ、理由は専用シキガミこと専用ゾイドは主のレベルを越えられないから。
ゴジュラスやデスザウラーのレベルが20など神が許してもドクターネキは認めない。
・ゾイド
食事機能を持たせてないのは販売用を食事可能にすると終末後に問題になりそうという判断。
専用ゾイドだけなら問題ないが、逆に専用ゾイドだけに食事させて販売用ゾイドに食事させないというのは嫌だというドクターネキの思いから。
なのでドクターネキは何時も一人で食事をしていた。
EMZ-15モルガ、EMZ-24ヘルキャット、EMZ-26ハンマーロック他の販売を開始。
RMZ-30ダブルソーダ、EMZ-23サイカーチスは飛行能力による高コストにより(銀札・金札にとって)値段が高いので受注生産になっている。
・ゴドス
将来の従業員候補と聞かされたので三馬鹿ラスにもビシビシ注意するようになった。
部下の振る舞いは上司の評価にも関わるので、三馬鹿ラスにマナーその他を身に着けるようお説教する――なお、どう考えても無駄な努力では?と多数のゾイドに思われている。
三馬鹿ラスの立ち位置が幼女ネキだったならと詮無い事と理解した上で時々思っている。
・イグアン
根っ子が真面目なので三馬鹿ラスの居候中ずっとげんなりしてた。
なお最近は三馬鹿ラスの影響受けて変わった性格のゾイドが増えて増々げんなり、溜まったストレスを異界の悪魔に全力でぶつけている。
最近遠目にみた夢嬢に何故かシンパシーを感じて首を傾げた。
・モルガ
子供が真っ当な意味で大好きで、外出の際は良く子供と遊んでおり、ドクターネキも大好き。
ただ機械とはいえドデカいイモムシの為、虫が苦手な子からは避けられてしまうので、自分を怖がらない子供を何時も探している――なお三馬鹿ラスも悪ガキ判定のため好意的。
自らを美味しそうと思ってる双子にも自分を怖がってないからと突撃しようとして他のゾイド達に取り押さえられた。
・ダブルソーダ
飛行能力持ちで、元ネタでアタックゾイドを指揮していたからか指揮にも長け、性格も真面目と優秀で有望な新人と期待されたが、三馬鹿ラスのやらかしで『戦いの神』と書かれたタスキ掛けてウンメイノーを常に流したがるという愉快なゾイドになってしまった。
なお戦闘や仕事はしっかりこなすし、本人?はネタではなく大真面目にやっている――故に問題なのだが。
・サイカーチス
同じく飛行能力持ちの新入り、こちらは至って普通の性格で、元ネタでは天敵だったダブルソーダを己の足りない点をカバーしてくれる頼れる相棒と認識している。
しかし『天の道を往き、総てを司る』と書いたタスキを勧めてくるのは正直勘弁してほしいと思っている――ただ戦闘時以外で音楽をかけるのは同じく気に入っており、お使い等で『ワルキューレの騎行』を流しながら飛んでいる姿が目撃されている。
・ロードスキッパー
ダチョウ=バチクソにアホという転生者達のミームの影響によりゾイド達の中で一番のおバカになってしまった可哀想なゾイド。
どのくらいおバカかというと三馬鹿ラスを乗せての走行テスト中、見つけた蝶々を全力で追っかけまわして三馬鹿ラスを振り落とした挙句踏んづけたぐらい。
流石にドクターネキにはやらかさないが、三馬鹿ラス相手にしょっちゅうやらかしては殴られているおバカちゃんだが、それ故か三馬鹿ラスとはノリが合って仲が良い。
後に作られた販売用は普通だったので関係者一同安堵の息を吐いた。
頓西南北氏より絶好球が投げられたのでこれは応えなくては!と書いてたら、今度はタマヤ与太郎氏からもボールが飛んできたので、別々ではなく同時に応えようとしてこうなりました。
そのお陰で昔自覚なく救われた不幸な少女が今度は救った相手を助けるという感動話が出来ました、嘘は言ってないですw
またDK3人という共通点から『男子高校生の日常』より三馬鹿ラスがドクターネキのパンツを頭に被る、ブラジャーを装備するというネタもありましたが、それはライン越えだとボツになりました。
あと最近読んだなろうのダチョウ作品のコミカライズの影響でダチョウ型ゾイドが急遽エントリーしました。
本来登場する予定だったバトルローバーと名無しのレイ氏、ごめんなさい。
それでは最後まで読んで頂き、誠にありがとうございました。