【カオ転三次】幼女ネキの謎を解明するため、黒札調査隊は宮城県の奥地〇〇町出張所へと向かった――。 作:貧弱一般メガテンプレイヤー
元々は前話のおまけに使うつもりだったけど長くなるからカットしたネタが元になります。
だから短い話、のつもりがやっぱり長くなってしまいました。
前話で触れなかった別の方からのボールにこたえた話になります。
ガイア連合山梨支部・医務室。
ガイア連合において制作部・事務所に並ぶ多忙さで知られる場所である。
何しろ悪魔や悪魔より性質の悪い天使との戦いに日々明け暮れる覚醒者達にとって、負傷は日常茶飯事であるからだ。
加えて修羅勢同士の腕比べ、実験や作成による失敗事故、魔道具による呪いといった真面目な理由による急患も多数発生する――――その上、シキガミとやり過ぎて腎虚になったり腹上死する色狂い、将又癖を拗らせきった果てのハードすぎるプレイによる負傷や病気、仕舞にはブラ〇ガスをケツに突っ込んで抜けなくなったド級の大馬鹿野郎といった、そのまま死ねと某スネオヘアーなベーシストみたいな台詞を吐きたくなる連中までオンパレードでやってくる過酷な職場である。
そんな医療班所属の医師、黒医者ニキは久方ぶりの平和な午後の時間を過ごしていた。
医務室の外に出て、日の光を浴び、身体をしっかりと伸ばして、澄んだ青空を仰ぎながら、このまま平穏なひと時が続きますようにと願う黒医者ニキ。
その視界に、綺麗な青空の中に、何かが映る。
「ん? 今何か――」
そう言って目を凝らした黒医者ニキは、深々と溜息を吐いた――平穏が終わった事を理解して。
雲一つない青空の中、こちらへと向かって飛んでくるナニか――それはサイカーチスとダブルソーダにそれぞれロープを括り付けて、そのロープを掴んでぶら下がり空を飛ぶサスケニキであった。
――バカがゾイドでやってくる――
思わずそんな言葉が黒医者ニキの脳裏に浮かぶ。
サスケニキ、というより三馬鹿ラスも医務室の常連である――勿論、問題のある方の。
ある時は、自転車やゾイドでスピードの出し過ぎで事故って傷だらけで駆け込んでくる。
またある時は、幼女ネキや黒死ネキによってボコボコor死体になって担ぎ込まれてくる。
またまたある時は、男塾や仮面ライダーの技のチャレンジ結果の大自爆で運ばれてくる。
と、いった事を良くても数日に一回、悪ければ一日に複数回起こして医務室送りになるのだから――無論異界での戦闘による負傷も中にはあるし、レベルアップ&スキルアップしたアガシオンによる回復魔法と適切な処置で大分手間が減ってはいるのだが。
まあそんなバカの空からのエントリーだ!にげんなりする黒医者ニキが見守る中、スピードをそのままに高度を落として、滑空するように医務室へと飛ぶ二体のゾイド。
「Wasshoi!!」
未覚醒者なら骨折確実のスピードと高度からニンジャシャウトと共に決断的に宙へと身を踊らせるサスケニキ。
回転しながらの見事なトビゲリめいた着地の後、ズザザザザ!と足で激しい土煙を上げながらついた勢いを止めようとして――
「グワーッ!?」
――止めきれず、碌にスピードを落とせぬまま壁に全身で激突!そのままダウン!なんたるウカツ!
「が、ガンバロ! 黒医者ニキ! 急患だ!」
「そうだな、目の前に居るようだ。私には治せぬものが」
皆が見守る中、己を奮い立たせ鼻血出しつつ立ち上がって叫ぶサスケニキに、冷静に残酷な事実を述べる黒医者ニキ――自分の医術でも人格の矯正やバカを治すのは無理、寧ろ制作部の方で『直して』もらえと。
そんな黒医者ニキに構わず懐から取り出した紙を見せて叫ぶサスケニキ。
「俺らで分かる範囲での症状と、原因ぽいもの出来るだけまとめてきた! 確認してくれ!」
「――! 見せてくれ。治療の用意を!」
即座に医師の顔になった黒医者ニキがメモを受け取りつつ、医務室へと叫び行動を開始する。
サスケニキの言葉と用意された紙に普段のものとは違うと理解したのだ――普段の三馬鹿ラスなら、例え幼馴染が担ぎ込まれようと笑ってバカにするネタにはしても、ここまで真剣に、且つ症状をまとめたメモを持ってくる等絶対にしないから。
「――は?」
そして、サスケニキから受け取った紙に書かれた内容を見た黒医者ニキは、ぽかんと口を開けたのであった。
同時刻、山梨支部の道を全力で駆ける滅茶苦茶目立つ集団があった。
先頭をひた走るのはマーダ、元々斥候、偵察を主任務とする現在全ゾイド陸上最速を誇るゾイドはまるで先触れの様に、先導する様に集団の先頭を駆けていく。
その後をバトルローバー*1が追い、その背にはヨロイニキが騎乗していた。
「テメッコラー!! ミセモンジャネッゾコラー!! ドケッコラー!! キツケッコラー!!」
ヨロイニキがヤクザスラングを大声で怒鳴って周囲に道を、前をあけるように必死に呼び掛けている。
些か乱暴なやり方だが、これくらいしないと退かない連中も居るので仕方がない。
そしてその後ろにはロードスキッパーが続き、最高速度で劣るが安定性では勝るこちらにはクロマニキが乗っていた。
「下に―! 下に―! よけろー! よけろー! この行列は飛脚でも産婆さんでも止まりませんよー!*2 轢かれたくなきゃ避けなさーい!!」
『何か』をしっかりと抱えたクロマニキが同じく周囲に大声で呼びかけて近づかないよう警告し、その後ろにはドスゴドス*3とフロストイグアン*4――レベルアップに伴い改造されたゴドスとイグアンが並んで追いかけ、更に後ろには多数のゾイド達が各々の全力で追走していた。
そんな医務室目掛けて全力疾走する奇妙な集団の中、クロマニキが抱えたモノの正体は――
――毛布に包まれ、ぐったりとしたドクターネキだった。
◇
ドクターネキには夢がある。
ゾイドを人類に友好的な種族として確立するという当初の夢はショタおじによって却下された現在、ドクターネキには正しいと信じる新たな夢がある。
シキガミの一種で金属製ボディを持つゾイドは汚染地帯に強い。
流石に限度はあるが、それでも未覚醒の人間よりは遥かに。
故に終末後、人は住めないがゾイドは棲める場所を、咎める者がいないのをいい事にこれでもかと確保して、超巨大な夢の舞台にする事を目論んでいる。
そう、ドクターネキは女の子らしいアイドルやお嫁さんといった夢よりも、多種多様なゾイド達の巨大な生息地、ゾイドパークを作る事を夢みるようになったのだ!
そんな小さな身体に見合わぬでっかい
「うーん……むむむ……ぬぬぬぬぬ……んぎぎぎ……」
しかし、現在の姿はそんな大きな
愛用の机の上には様々なデータや動画を映したパソコンと大量の本が乱雑に積み上がり、周囲を山の様な丸めた紙屑に囲まれるドクターネキの顔には、濃い疲労と目の下のクマがくっきりと浮かび、髪もボサボサ、身体からも異臭が漂い、何時もの白衣も大分汚れてしまっている。
その姿、まるで勉強の捗らない浪人生、または全然ページが埋まってないコミケ前の同人作家、あるいは納期目前のプログラマーの如く。
事の発端は人魚ネキの愛娘の双子からの依頼、というか注文。*5
とれたてピチピチなイキの良い魚を見る目でゾイドを見る双子に、目撃者が『写真撮っとけば良かったかも』と感想を漏らす程の『ムンクの叫び』顔を披露したドクターネキ。
その件そのものはその後双子が人魚ネキに教育され、何も問題なく無事に終わったのだが、ドクターネキにとって無視できない事実の発覚があった。
そう、シキガミの双子がゾイドを美味しそうと思ったのなら、そう考える悪魔が居ても、新たに生まれても、何もおかしくないという事である。
将来ゾイドパークを牧場を襲撃する狼のノリで襲われたら堪らないし、販売したゾイドが狙われたらゾイドの販売と普及にも差し障ってしまう。
結果、これは一大事とドクターネキは部屋に籠って対策を昼夜を問わず考え続けている――普段ならゾイド達により強制的にベッドやバスルームに連行される所だが、今回はゾイドの未来に関わる事とドクターネキも譲らず、部屋の前に立ち入り禁止の看板を立てて籠城の構えであった。
「……毒は難しい、そもそも金属食べる相手に効くような毒だとゾイドにも影響が……フグみたいに毒袋みたいな器官を……ダメ、頭の良い悪魔ならそこだけ残すぐらいやるし、コア以外の弱点が増えちゃう」
しかし不眠不休の努力も虚しく、何の成果も得られてない状況である。
コストを度外視出来る専用ゾイドは兎も角、販売用ゾイドでも実行可能な解決案は見つかる事なく、ドクターネキは現在大いに煮詰まっていた。
「……自爆装置……これも悪魔なら足とか一部だけ持ってくとかやってくる……悪魔だけに効く何らかの刺激物……悪魔に効くぐらいなら、人だって安全じゃないし、ハーフやシフターがゾイドと触れ合えなくなる……ンアーーッ!」
ガシガシと頭を両手で搔きむしって机に突っ伏し呻くドクターネキ、あと何気に三馬鹿ラス、というかサスケニキからの悪影響が現れている。
睡眠不足と疲労とストレスでドクターネキは割と一歩手前というか、色々とアレな状態だった。
どのくらいって?机の上で胸、尻、ふともも~と仲良くフレンチカンカンを踊るちび三馬鹿ラスが見えるぐらい。
その時きゅるる、と小さくお腹が鳴ったので、用意したガイア連合製のエネルギーバーの袋を開け、あむ、と噛り付くドクターネキ。
「……美味しくないなあ」
栄養補給優先のそれに、ふとそんな感想を漏らす彼女だが
しかし その時ドクターネキに 電流走る――! 圧倒的 閃きっ……!!
「美味しくない……不味い……! そう! 不味い! その手があった……!」
美味しいから狙われるのなら、不味ければ狙われる事もない、まさに逆転の発想!
「不味いからってゾイドにも、触れ合う人にだって害はない……! それにゾイドを食べない悪魔でも、味覚がある相手なら、噛み付きみたいな口を使う攻撃への牽制、防御手段にだってなる……! イケるよ! これなら、これならイケる……!」
この不味いというのは案外バカにしたものではない、例え飢餓状態であってもあまりにも不味いと身体が受け付けず、食べる事が出来ないという事もあるのだ。
ただの好き嫌いと下にみられる事も多いが、味覚とて生物が持つ本能の一つであるのだから。
早速とばかりにガサゴソと色々な物を取り出しながら、渦タイプのぐるぐるお目々なドクターネキがぶつぶつと呟く。
「データを……データを集めないと……まずは手近なところから……」
繰り返すが、ドクターネキは一歩手前のアレな状態だった――ごはん~ごはん~美味しそう~と仲良くスキップでくるくる回るミニ双子が部屋の隅に見えるぐらいに。
そしてそれから暫く後のドクターネキ宅には、三馬鹿ラスの姿があった。
籠城中のドクターネキへのドスゴドス→アガシオンというラインから援軍要請が届いた故に。
「ヌゥー……籠城中の相手への説得か。何か最近引き籠り関係のトラブル多くねえか、俺ら。ヤンナルネ」
「だよなー。しっかしどうすっかなあ……やっぱ力づくでドア破ってきょーこー突破はマズイよな?」
「ダメに決まってるでしょうがおバカ。それで良いのならゾイド達がやってますよ。まあシキガミでもある彼らは命令に逆らえないのもあるのでしょうが」
なお、説得ならばちひろネキや幼女ネキの方が間違いなく適任なのだが、幹部で何時も忙しいちひろネキ、宮城所在で居場所が遠い幼女ネキと比べると、基本予定がないのですぐ都合がつく連中という理由で最初に選ばれた事を、三馬鹿ラスのみが知らない。
ドクターネキの部屋の前でどうしたものかと話し合う中、やはり彼らの軍師役・クロマニキが提案する。
「賢者は歴史に学ぶもの、ならばここはやはり天岩戸作戦といきましょう」
そう宣言したクロマニキに、サスケニキとヨロイニキが互いに顔を見合わせ――
「貴様! 到頭見られる事に喜びを得るタイプの性癖に目覚めやがったか! しかも小学生相手とは何たるサンシタロリコン! この奈良重雄*6ニキめ! ハイクを詠め!!」
「ドクターネキにテメーの粗チン見せるなんざ人として許せんしテメーの裸踊りはもっと許せん!! そこになおれい! ヘアカットしたあと打ち首獄門、山梨支部引き回しの刑だ!!」
「誰がロリコンでホモで露出狂で少年漫画界屈指の変態なウド〇木ですかあ!! あとバリカン仕舞いなさい! そして私のモノが粗末だとぬかしおったか貴様ぁ!!」
――攻撃態勢をとった、クロマニキも迎撃態勢になった。
アガシオンとゾイド達が止めたので何時ぞやのようなリアルファイトにはならなかったが。
「全くもう! 天岩戸と聞くとすぐストリップダンスに結び付けるスケベ共はこれだから!」
「「他の誰に言われてもテメーにだけは言われる筋合いはねえぞゴルァ!!」」
やれやれだぜと呆れるクロマニキに他二人が魂の底からのツッコミを放つ――もし本当に裸踊りしたらあの子にナニ見せる気だとゾイド達に息の根を止められていただろうが。
「天岩戸=ストリップと決めつける浅はかさが愚かしいですよ。アマテラスが岩戸から出てきたのはストリップだけではありません。オモイカネの作戦あっての事です」
「えーと確か色々楽しそうに大騒ぎして、ちょっとだけ開けて何で騒いでんのと聞いたアマテラスに『お前よりもっと凄い偉い神様来たからだよ、乙』って答えたんだったか」
「え、そうなん? オレそのへんの内容初めて知ったわ*7」
「だから少しは神話とか覚えなさいよノータリン! つまり習うべきはダンスではなく一連の作戦です」
そう得意気に説明するクロマニキに、サスケニキとヨロイニキは――
「お前、部屋の前で『ゾイド達はこちらで面倒みるから貴女は居なくていいですよ』とか言うつもりか? 人の心とかないんか? 何がお前をそこまで闇へと落としたのだ……流石の俺でもそれはガチで引くわ」
「武士の嘘は武略*8っつったって、それでも越えちゃならねえ一線ってもんがあんだろーがよ……そんなんやるぐらいならドアぶっ壊して、何かを破壊するしか出来ねえ哀しきモンスターになる方を選ぶぞオレは!」
「貴方達私をどんだけの腐れ外道だと思ってるんです!? 告白ゲームや金目当てのこの人痴漢ですレベルに許されない嘘でしょうがそれは!! 今日日NTRモノの竿役だってもうちょっと手段や言葉を選びますよ!!」
――心底見下した、極まったアレなろくでなしを見る目で返した。
「そもそもそんなのゾイド達が許すはずがないでしょう!? やった時点でやらせなしのグレートハンティング開始ですよ!」
「確かにな――どうやら流石のお前もそこまでのド外道ではなくて実際アンシン」
「ドクターネキにガチ泣きされかねーもんな。ちひろネキにバレたら説教じゃすまねーよ」
「その通りですよ。それにもし幼女ネキに知られたら鬼灯様の所まで強制連行一直線です」
「きっと、いや間違いなく邪悪なニンジャみたいに痛めつけた後に惨たらしく殺し、首を引きちぎって晒されるだろうな、コワイ!」
その場合、言うまでもなくツキジに遺棄されたマグロめいた光景が広がることだろう。
「で、話を戻すと天岩戸に習って何するんだ? 後はもう笑って大騒ぎするぐらいしか残ってないぞ?」
「それで良いのですよ。ドアの前で皆で楽しく大騒ぎします。興味なしでもそんな状態で研究なんて出来ないでしょう?」
「なるほどな! だったら任せとけ! ガキの頃から親に親戚近所のおっさんや浪人生にガッコの先コー先輩後輩タメにいたるまで『ドやかましい!』と怒られまくったオレらのバカ騒ぎが火を吹くぜ!」
ドクターネキの部屋まえでゲームや漫画、CDプレイヤー等を次々取り出す三馬鹿ラスに、そういう事なら我々もと三馬鹿ラスに贈られたエルビス・〇レスリーやにしきの〇きらっぽい服着たハンマーロック、ウンメイノーを早速流そうとするタスキ装備のダブルソーダ、よく分かんないけど一緒にやるとロードスキッパーの三バカゾイドも参戦。
いざバカ騒ぎの始まるその寸前、部屋の中からガシャンと何かをひっくり返した音が響き、続いてドサリと何かの倒れる音が聞こえる。
「ドクターネキ?――おい、どうした? 返事しろ。ドクターネキ!」
三人で顔を見合わせた後、高速でドアに近づいたサスケニキが激しいノックと共に呼びかけ、耳を当てるがが反応はなく、中からは何も聞えなかった。
「――状況判断だ! プランB!」
「止むを得ませんね! ヨロイニキ!」
「よっしゃまかせろ!」
せーので三人でドアに肩からタックル!あっけなく開いたドアを押しのけ三馬鹿ラスが部屋へとエントリーしゾイド達も後に続く!
そして三人の目に飛び込んでくる床に倒れたドクターネキの姿。
大慌てて駆け寄って抱き起して様子を伺う三馬鹿ラスとゾイド達。
「――うん、意識は朦朧としてるが、頭打ったとかじゃないみたいだな。怪我もないし」
「見た感じろくに寝てねーみてーだし、眠気の限界で倒れちまっただけか? なら良かったぜ」
「待って下さい、何か手に持って――ネジですね、何でかじっとり湿ってる? どうして?」
取り合えず異常は見つからずほっとする一同。
汗等の異臭のこもった部屋を見渡すと、机の上に丁寧に並べられた様々なゾイドの部品、おそらく持っていたネジもそうだろう、また机の上の部品も多くがじっとり湿っている。
これは一体?
何が起きた?
事故?
何者かによる呪い?
それ以外の何か?
今後の為にも、ドクターネキの為にも、そして自分達の意地、矜持の為にも――
「「「この謎を絶対に解き明かしてみせる!!」」」
何処からともなくジッチャンの名にかけて、という副音声が聞こえそうな宣言を三馬鹿ラスがした時。
アガシオンが机の上に置いてあったノートを三人に渡す。
で、皆でそれを覗き込み――
「「「――謎は全て解けた!」」」
――事件解決を宣言した。ハヤイ!
渡されたノートにはドクターネキの筆跡で――――苦い、無味等のゾイドの部品の味が記されていた、場所毎にとても細かく丁寧に。
「何でかは分からんが、ドクターネキは部品の味を調べていた、と」
「ネジとかが湿ってたのはドクターネキがなめたからだったんだな」
「倒れたのもそれが原因と。そりゃ幾ら覚醒者でもそうなりますよね」
「「「無事事件解決、良かった、良かった! アッハッハッハッハ!」」」
めでたしめでたしと和やかに笑いあう三人。
「「「…………」」」
「……うーん、うーん……おなか……いたいよー……」
「「「メ、メディック!! メディーック!!!」」」
そして始まる、三馬鹿ラスとゾイド達の、上を下への大騒ぎ。
こうして冒頭の『バカがゾイドでやってくる』と『バカとゾイドと行進曲』が生まれたのでした。
◇
その後医務室へと担ぎ込まれたドクターネキは、早期発見もあり治療はすぐ終わった――疲労と睡眠不足でそのまま眠りこけてしまったが。
「幾ら何でも部品舐めしゃぶるのはどうなんだと俺達だって思うぞ、色んな意味で実際アブナイ」
「傍から見るとその若さでアレ過ぎる特殊な性的嗜好に目覚めた俺達にしか見えませんからねえ」
「オレらも闇鍋はするがガチで食えねえモンにはいくらオレらでもチャレンジしねーからな?」
「はい……ごめんなさい……ご迷惑おかけしました、本当に……」
勿論目を覚ました後、黒医者ニキ含めた多数の関係者から散々お説教をもらった上に、ジャンニキ製の入院食を持ってお見舞いに来た三馬鹿ラスにすらお説教される事になったドクターネキだった。
更にこの後当分の間ゾイド達に籠城されない様にと、部屋に常に最低一体は待機される様になってしまい、不満はあれどやらかしたのが事実なので何も言えなかったという。
ちなみにゾイドを不味くする為のデータ集め――部品舐め舐めは、地獄湯の債務者連中に頼んだら奪い合いになるレベルでやってくれたとか。
運が悪いと腹が痛くなる程度の、危険でも苦痛でもない実にオイシイ仕事扱いだった模様。
そしてその後の事だが、世にも珍しい三馬鹿ラスのお説教をドクターネキ自身は納得して受け入れていたのだが、偶然その様子を目撃した黒札が、驚愕と共に掲示板に書き込み。
『緊急速報! 三馬鹿ラス『が』説教してる!』
『されるんじゃなくてしてるのか!? あいつらが!? マジで!?』
『あいつらに説教するなんて高度な機能があったのか!』
『これは只事ではないぞ! 天変地異の前触れでは!?』
『巨大台風か大地震、空から槍が降る――いや! 天から硫黄と火が降るかもしれん!』
『ソドムとゴモラを滅ぼしたあれか! つまり、これは過激派メシアン達の陰謀だったんだよ!』
『『『『な、なんだってーー!?』』』』
と本気だが冗談だかなやり取りが掲示板で行われ、それを見た三馬鹿ラスは『だが考えて頂きたい。ここまで言われる謂れは無い!』とお冠であったとか。
――が、この後冗談のつもりで調査したとある支部でホントにメシアンの陰謀が発覚。
これを受け、他の支部でも調査をしたら如何なる仕儀か、隠れた過激派やテロ計画が露見する事態が複数発生してしまった。
このある意味実に見事な偶然、将又必然に、ジャンニキ食堂でヤケ酒ならぬヤケドクペをしながら『世界が俺達に優しくないっ!!』と叫ぶ三馬鹿ラスが居たという。
なお、そんなアホすぎる理由で絶対バレない筈だった陰謀や計画が発覚した事を教えられた過激派と天使達の貌と反応をまとめた脳缶ニキ作成の動画は、人間・悪魔・神を問わずメシアン嫌いの者達には大いにウケたという。
そして視聴者から良いものを見せてもらったと脳缶ニキ経由で届いた、感謝やお礼の食材を使って、仲良くお鍋を囲んだ三馬鹿ラスとドクターネキでしたとさ。
おまけ ドクターネキの挑戦
「どうかな? コアはないけど、素材や作成には同じぐらい手を掛けたし、AIで動きは再現してるんだけど」
「「ゾイドの方が美味しそう」」
「ダメかー……ちなみにどんな所が?」
「「元気で良く動いて活きがイイところ」」
睡蓮と文目に用意したピチピチ跳ねるあるモノを見せて感想を聞くドクターネキ。
三人の前にあるのはドクターネキ製の人サイズの機械魚――ダライアスシリーズのシーラカンス型戦艦・キングフォスル。
ゾイドを食べられるのは断固拒否のドクターネキが、ゾイドを作るのと同じ素材と手間をかけ、コアは最初からなしでAIで動くという双子の為に作った『食材』であった。
「活きてる感じ……コアで動く、生きてるかどうかが大事ってことかあ。シキガミだからその辺も強く感じるのかな? AIじゃ再現出来ても生きてはないからダメと。ゴメンね、二人共――あ」
謝罪するドクターネキの前で、キングフォスルが双子の手により手早く三枚におろされて、衣をつけて揚げられようとしている――これはこれで食べる気満々のようだ。
「うーん、アプローチを変える必要があるみたい。今すぐは無理だけど、何時かゾイドより美味しそうな『食材』を用意してみせるから!」
「「うん!」」
腕まくりして笑顔で宣言するドクターネキと、揚げたて機械シーラカンスの天ぷらを頬張りながら答える睡蓮と文目、そんな微笑ましい子供同士の交流だった――――多分おそらくきっと。
おまけ2 挑戦の理由
Q.どうして双子の依頼に応じるのですか?
「そりゃあ最初は絶対ダメと断固拒否したけど、ある意味ではわたしの作ったモノを高く評価してくれた、とも言える訳だし。理由は兎も角泣きそうな顔になるぐらいわたしの作品を欲しがってくれたんだから、絶対ダメな部分以外はわたしも何とか期待に応えてあげたいって作り手として思っても、別におかしくはないでしょ?」
Q.それだけですか?
「まだ作ってないゾイドにもあの子達から見て美味しそうな見た目のゾイドって結構いるし。ウオディック*9とか、ランスタッグ*10とか、キラードーム*11とか。わたしも大丈夫だとは思ってるけど、あの二人には目の毒じゃないかなって。それなら別に食べてもいいのを用意する方が、向こうにもウチの子達にもいいと思うの」
Q.本当に、ほんとーーに、それだけ?
「――どんな形でもすっごい強くてすっごく有名な黒札の人魚お姉ちゃんの娘さん達と縁が出来たんだからこっちから手放す理由はないの! 始まりは悪印象でも無関心よりはずっといいの! どんな悪縁でも無縁には勝るんだから! 下手なコネや人間関係は厄介事を呼ぶ? 厄介事は解決出来れば逆に大きなチャンスだよ! そのぐらいアグレッシブ&ポジティブにいかなきゃメガテン世界で
この後、ゾイドの設定による作成方法、コアを野生ゾイドから抜いて、機械の身体に移植する事で皆が知る戦闘兵器・ゾイドになる――人間に例えると脳ミソ取り出して戦闘サイボーグに改造する様なもの――という中々エグい方法ならば双子のリクエストに応えられると考え、元になる『素材』の捕獲に出かけるドクターネキがいたとかいないとか。
―以下どうでもいいバカ共の設定―
・ドクターネキ
今更だが彼女もベクトルの異なる三馬鹿ラス同様の問題児。
作中通り女の子として問題しかない有様になったり、自分はファンじゃないからと食べる用機械魚を元ネタのある物で作ったり、有名人?とのコネの為に悪魔の核引っこ抜いて(食料用)機械ボディに移植しようとする等やはりマッドサイエンティスト属性。
信長の野望の信長程ではないが、大久保長安ぐらいの野心値はある小学生。
・三馬鹿ラス
天岩戸をするつもりが急に金〇一少年が始まってちょっとパニックだった。
実際はアガシオンがコ〇ンでこいつらは〇五郎ポジ、といったら小〇郎ファンに怒られる。
今回過激派の計画をおじゃんにした事で過激派メシアンにロックオン――されかけたが、こいつらを調べた過激派からこいつら絶対デコイだとスルーされるという悪運を発揮した。
・サスケニキ
サイカーチスとダブルソーダに協力のもと、空から腕組み直立態勢でのエントリーの練習中。
なので最近の山梨支部では時折空からバカが降ってくる。
・ヨロイニキ
ゾイド騎乗時に振るには今のへし切長谷部ではリーチが足りないと見た目だけ太郎太刀を用意してご満悦。
ついつい地上でも振り回してフレンドリファイアして他二人やゾイド達にフクロにされている。
・クロマニキ
ゾイドに乗る事で移動が楽になって増々もやしに磨きがかかった――が、もやしが過ぎて全力走行中のゾイドから振り落とされる事件が続出。
結果あれだけバカにされてもしてなかった筋力トレーニングをする事を決意する。
・ドスゴドス
暫くの間ドクターネキに張り付いて離れなかった、風呂まで付いて行って流石に怒られる。
予定では幾つかのゾイドを挟んだうえでゴジュラスに改造される予定だが、強くなるのは歓迎だがサイズが大きくなるとお世話役に差し障りが出るので小型化スキルが欲しいが、大型ゾイドは大きくなきゃなドクターネキの趣味嗜好を知るが故に悩み中。
・フロストイグアン
我関せずといった態度を取りつつも、あの後常にドクターネキを視界内に入れていた。
小型ゾイドの後継機がないので見た目変更はない予定で本ゾイドも納得してたが改造してもらえてご満悦――誰の目にも分かる程ガッカリしてたのをツッコまない慈悲がゾイド達にも存在した。
・三バカゾイド
ノリが一番三馬鹿ラスに近いハンマーロック、仕事は出来るのにちょっとアレなダブルソーダ、純粋におバカなロードスキッパーの三体。
真面目なゾイド達の頭痛の種だが、同時に三馬鹿ラスへの対応担当を任せられる連中と重宝もされている。
なおこの先バカが増えないとは言っていない。
・バトルローバー
おバカになってしまった元ネタではライバルのロードスキッパーのフォローをしつつ、電磁ハンドでツッコみ入れる常識枠――とみせて、実はそんなおバカな相方のお世話が大好きなダメゾイド好きゾイド。
ドクターネキがアブナイ癖に目覚めかけた時期に制作中だったのでその影響を受けたのが原因。
つまりドクターネキが目覚めていた場合、ダメ人間牧場の主率いるダメンズ好きゾイド軍団誕生という恐ろしい事態になっていた。
後にシキガミクリエイター科で作られたバトルローバーは普通でした、ヨカッタネ。
という訳で黒焦げ氏から飛んできたネタについての回でした。
おまけ書いてて思ったのはゾイドの設定割とエグいのにメガテン世界だとまだマシな方と思えてしまうのが酷い。
描写するとヤメローシニタクナーイと叫ぶ悪魔の核取り出して作っといた金属製の魚や牛のボディにいれて、最後は双子に料理されていただきますされるというかなりアレな事になる筈なのに、黒札の大多数は気にしなさそうなんですよね。
以前感想でギャグ補正で悲劇を喜劇にする運命力ありそうとあったので、こんな感じ?と過激派に少し嫌がらせしてみましたが、これネタっぽいけど過激派連中からすると死んでも死に切れんってレベルだろうなと書いた後で気が付きましたw
それでは最後まで読んで頂き、誠にありがとうございました。