【カオ転三次】幼女ネキの謎を解明するため、黒札調査隊は宮城県の奥地〇〇町出張所へと向かった――。 作:貧弱一般メガテンプレイヤー
それなりに続いたし流石にそろそろ良いかな?と思ったので、メガテンのお約束的なバカ共が新たな力に系なお話です。
何時も通り時系列等は外伝・アンソロジー時空です、とあるジャンプ作品ネタ大増量な回ですのでご注意ください。
世界も神も悪魔も色々と大変な中、無事新たな年を迎えた今日も平和な山梨支部。
そして誰も居ない広場で円陣を組む三つの人影。
新年早々『姫初めとは新年初S〇Xに非ず! 本来は
なお、ご飯配るだけなら別に問題はなかったのだが、テンションが上がり過ぎて『日本の米は世界一』*2をギター弾きつつ歌った事で『その通りじゃ!』とサクナヒメが参加。
ここまでならまだセーフ判定だったが、続いてデメテルやラクシュミーといった海外の豊穣系のシキガミが『異議あり!』と参戦。
止めに太陽神・
――閑話休題――
「よし、行くぞお前ら! 準備はいいな!?」
「応よ! ってテメーが仕切んじゃねー!」
「バカやってないで集中! ハァアア……!」
サスケニキの呼びかけに文句を返すヨロイニキと、それに注意するクロマニキも瞳を閉じて精神集中を開始。
同時に彼らの口からコォオオオ、と独特の呼吸音が響き、三馬鹿ラスの腕や身体に光やスパークが走る。
――波紋法――
沖縄支部の聖者ニキが同支部の仲間達や探求ネキ、破魔ネキの協力でヤコブ神拳と仙道と太陽のエネルギーを組み合わせて再現したジョジョのアレである。*4
三人的には沖縄支部の面々は、言うなれば自分達が毎日お気楽極楽に遊び回ってる学生なら、向こうは日々学業やボランティア活動に励む意識高い系でない本当の意識高い学生。
これがホントにボランティアとかなら『偶にゃー羽伸ばそーよ』とちょっかいの一つも懸けただろうが、対過激派へのガチの怒りや復讐の為の戦いとあってはちょっかいも声もかけ難い。
真田幸村の言う様に人間には触れちゃならん傷みがあり、其処に触れたら後はもう生命のやり取りしか残らないのだから。
そんな訳であまり交流がない、というか三バカ側からノリと人生の芸風が違い過ぎて俺らが関わったら迷惑だよなーとやや距離をとっているのだが、何でか好感度高めな向こうから波紋法の基礎を教わった上、指導書も貰ったのである。*5
最初は戸惑い、どうすっぺと三人で相談したものの、元より普段から仮面ライダーや男塾の技再現チャレンジ、からの医務室行きがほぼ習慣になっている連中。
最終的にこの提案に『オレらはくれるっつーもんは病気以外なら何でももらうかんな――コラァ!』なノリで飛びついたのであった。
「ではこの話、受けるという事で。間違いなく大きなメリットですから」
「おう! 希望とやる気がムンムンわいてくるじゃあねーかッ! おいッ!――あれ? サスケニキどこ行った?」
「ヨロシクオネガイシマス! あ、あの二人はその気がないみたい何で――グワーッ!」
ヨロイニキは こしを ふかく おとし まっすぐに バカを ついた!
「押忍! 頑張ります! ほか二人は根性なしだからやらねーと――ウボァー!」
クロマニキは たいあたり をくりだした!
「失礼。見苦しいモノをお見せしました。あれらは石ころと思って――ひでぶ!」
サスケニキは とびひざげり をはなった!
その際に実に見苦しいドリフコントみたいな真似を繰り広げ、後に笑ってはいけない人生録に、横隔膜付近を突かれて死にかけのミミズみたいな姿*6と共に収録されたのは余談である。
そんなこんなで波紋を教わった三馬鹿ラス。
沖縄支部の面々の見立て通り、波紋の習得にどうにか成功。
彼らから日常で使う分には大丈夫とのお墨付きを貰い、万雷の拍手をおくれ世の中のボケどもと言っちゃいそうな程にご満悦になったのであった。*7
しかし、バカ達はそれで満足しなかった!
大いなる目的の為、更なる波紋法の上達を目指して指導書を読みながら修行開始。
元々その場のノリと勢いで動くので飽きっぽく、嫌いな言葉は一番が努力で二番目がガンバルな程度には怠け者な連中だが、興味を持ったり面白いと思ったモノには無駄に行動力があるバカ共である。
岩の上にアクアドン*8に乗ってもらい、アクアドンを殴ってもアクアドンは無傷で岩だけ砕くをやろうとして――――何度も普通に殴って、怒りのカエルキックを食らい。
恐怖を我が物とし、呼吸が乱れなくするために、葡萄ジュースを注いだワイングラスを用意した上で――――黒死ネキの所に行ってあっさりと殺され。*9
水面を歩く――のは無理だから、生まれたての小鹿の様に震えながら沈まないよう必死に水面に立ち続け――――『あぶなーい!!』と悪魔変身時の姿に慣れるため悪魔状態で川を下ってきたバハネキに跳ね飛ばされて宙を舞い。
そんな過酷な(当人達には)修行の日々を、脳内で『BLOODY STREAM』*11をかけながら三馬鹿ラスは乗り越えたのであった。
なおそんな修行中(?)のバカ共を目撃した者達の脳内にかかったのはこち亀のあのBGM*12であったのは言うまでもない。
そして修行の果てに、今の自分達ならやれる筈と確信した三馬鹿ラスは、今日その目標へと挑まんとしていた。
波紋呼吸法を続ける三人の中心には、何の変哲もない水の入ったポリバケツ。
そして十分な波紋を練ったと判断した三馬鹿ラスは伸ばした人差し指をバケツの中の水に入れて叫んだ。
「ふるえるぞハート!」
「燃えつきるほどヒート!」
「刻むぞ血液のビート!」
「「「
三人の指先から波紋がバケツの水へと流れ、水面やバケツに激しくスパークが走る!
……何かバカ共の台詞がおかしいが、間違いではない。
そう、間違っていないのだ。
波紋の練習中はちゃんと元ネタ通りに山吹色の波紋疾走とか銀色の波紋疾走とか叫んでたのだ。
でも、なんかしっくりこなかった。
もっと波紋が練れる筈なのに上手くいかない。
もっとちゃんと流れる筈なのに波紋が流れない。
そんな事が続き、指導書を読んでも解決せず、何故何Why?と三人が頭を悩ませていた時ヨロイニキが思い付いて言った。
「色、変えてみるってのはどーだ?」
絶対関係ないだろと思いつつ、物は試しと色々な色名を叫んでみたら、何故かどどめ色がしっくりきて、上手くいってしまったのだ。
当然何でどうしてWhat?と大いに納得いかなかった三馬鹿ラスだが、もし更に酷くなったら?
例えば『ババ色の波紋疾走』でもっと上手くいってしまったら流石に暫く立ち直れないので泣く泣くどどめ色の波紋疾走を受け入れたのであった。
なおルビが元ネタ通りなのは三人のせめてもの抵抗である。
二人の囚人が鉄格子の窓から外を眺めたとさ。一人は泥を見た。一人は星を見た――――フレデリック・ラングブリッジ
そして、この三人はきっと、鉄格子から外を眺めようとして、便所のネズミのクソを踏んですっ転ぶ――そんな囚人なのだろう。
――閑話休題――
「ぬぬぬ……呼吸を乱すな、このまま、このままで!」
「わーってる!……いいぞ、上手くいってる気がする!」
「油断しない! ゆっくり、ゆっくりです。そのまま……今です!」
クロマニキの合図に合わせ、三バカは静かに、だが一気に指を、腕を持ち上げた!
そして三人の指の先には――
――バケツプリンみたいになったバケツの水がぷるぷると風で震えていた。
「――オーバードライブヤッター! 波紋の勝利だ!」
「やってやった! やってやったぜチクショー!」
「やりましたよ! 見ててくれましたかロギンス師範!」
空いた方の手でハイタッチして歓声を挙げる三馬鹿ラス。
ジョジョでロギンス師範がやった『すごい!コップの水がプリンみたいに!』をバケツでやる事。
それがこの三人が頑張って修行してもやりたかった大いなる目的であった――――まあ、なんだ。こいつらだから仕方ない。
でもリアルにロギンス師範が居たら多分ズームパンチされている。
そんな喜びと達成感を満喫していた三人だが、ヨロイニキがふと気付いて呟いた。
「なあ。これ、この後どうすんだ?」
「え。そんなの普通に波紋止めたら――あ」
「? どうしました?――う、これは」
サスケニキが何かに気付いて固まり、そんな二人の様子にクロマニキも遅れて気付く。
これ、下手に波紋止めたら飛び散るやつだ、と。
元ネタでは一人でやってたのを足りないパワーをカバーする為三人掛かりでやった結果、変な感じでバランスが取れてしまっていた。
なので下手に止めるとバランスが崩れて水バケツプリンが爆発したみたいな事になると今更気付いたのである。
なお、元ネタでは悪戯で破裂させたコップの水でマッチョでガタイの良いジョセフとシーザーが吹っ飛んでいた――そして三人の指先にあるのはバケツ一杯の水である。
「……マテ。急ぐと失敗するとミヤモト・マサシも言っている。まず落ち着くぞ」
「お、おう。オレたちゃゾンビでも柱の男でもねー。波紋食らっても大丈夫だ、多分」
「ええ、例えミスしてもずぶ濡れになって少し吹き飛ぶ程度。大した事はありません」
今の状況を理解し、暫しの沈黙の後に再起動して落ち着きを取り戻す三人――呼吸はちょっと乱れていたが。
呼吸を合わせて波紋を解除、失敗してもそれ程酷い事にはならない。
なら直ぐにやれば良い――
「「「……」」」
――筈だが、三馬鹿ラスは動かない、否、動けない。
こういう時に油断して隙をみせると、他二人は確実にそこを狙って何かやると三人は信じていた。
確実!そうコーラを飲んだらゲップが出るっていうくらい確実に!
だって自分ならそうするから。
そうして自縄自縛、または他縄他縛になって動けないでいる内に、状況が変わる――悪い方へと。
「あー! にーちゃんたちがまたなんかやってるー!」
「わあ、なにあのでっかいゼリー! ピカピカしてる!」
「おいしそー! ちょっと分けてよにーちゃん!」
「それどーやってんの? おしえておしえて!」
「「「げ」」」
わー、と声をあげて此方へ突撃してくる子供の群れに、思わず素の声になる三馬鹿ラス。
先程も述べたが波紋入りコップ水ゼリーは大柄の男性二人が吹っ飛ぶパワーで、今在るのはバケツサイズ。
そしてこちらに駆け寄って来る子供達の中には無論非覚醒の子も混じっている訳で。
「――HOLY SHIT! お前ら、息が止まるまでとことんやるぜ! 逃げるんだよォ!」
「うわーっ! やっぱりそうなるかァァァァァ! オメーらあっちにいけあっちに!」
「落ち着ついて! 素数を数えて落ち着くんです! 二人共波紋の呼吸を乱さないで!」
慌てて全力で逃げ出す三馬鹿ラス。
それを見てまてー!とおっかける子供達。
こうして始まるバカ共とおガキ様達のおっかけっこ。
覚醒者だが、波紋を練りながら水バケツプリンをバランス取って維持した上で、プリンのせいで変な体勢のままで走らねばならない三馬鹿ラス。
非覚醒も多いが、日々山梨支部の山野を駆け巡って遊んでおり、且つ子供特有のテンションアップ時の無尽蔵のスタミナでもって追いかけるおガキ様達。
これらの要素により追いかけっこは膠着状態に陥った。
そして水プリンを指先に刺した珍妙な姿で逃げるDK三人組と、そんな三人をわーきゃー騒ぎながら追っかける子供の集団。
そんな控えめに言っても相当特殊な光景に、道行く黒札も現地人もシキガミも悪魔も――全く気にする事はなかった。
既に山梨支部ではそんなものは何の変哲もない日常の光景の一つであった故に。
ちなみに彼らの後を巡回用一反木綿型シキガミと、個人の物と思われる簡易シキガミや使い魔やオカルト型ドローンやクライドラー*13等が追跡しているのだが、バカ共と子供達は気付いていない。
「あーもう! お前ら追っかけてくんなー! あからさまに危険なのだ!」
「ぎゃくにかんがえよーぜ、おっかけてもいいさってかんがえてよにーちゃん!」
「明日にしろ明日に! 明日相手してやっからオメーら今日は帰れ帰れ!」
「ヨロイにーちゃん! あしたっていまさッ!」
「後でキャラメル買ってあげるからあっち行ってなさい! アルフォートもあげますから!」
「ほんと? ほんとにアルフォートかってくれるの? だがことわるー!」
日頃の行い(?)のせいか必死に危険を訴えても信じてもらえず逃げ続けるしかない三馬鹿ラス。
「うっ!――や、ヤバイ。もうそろそろアウトだ! 実際限界……」
「うぐ、こっちもだ。これ以上波紋を練れねー、爆発すんぞ!」
「ま、不味いです、このままでは子供達を巻き込んでしまいます!」
そして到頭三馬鹿ラスに限界が訪れる。
只でさえ全力で無理して波紋を使っている上にこの悪条件、最早水プリンが何時爆裂してもおかしくなかった。
「も、もはやこれまでか。こうなりゃ波紋プリンの上に三人で覆い被さるしか」
「ぐぐぐ、もうそれしかねーのか……? チクショーなんでこんな事に……」
サスケニキが手榴弾に行われる最終防御手段の使用を提案し、ヨロイニキが嘆きながらもそれしか手がないと諦めたその時。
「――! サスケニキ! ヨロイニキ! もう少し粘って下さい! あれを!」
クロマニキが何かを見つけて叫び、二人もクロマニキが示す方へと顔を向ける。
そこには山梨支部の畑や薬草園で使われる水の貯水池、溜池があった。
「おお、ブッダ! まさに天の助け!」
「そーか! 波紋を通す水ん中なら!」
「ええ! 二人共行きますよ! せーの!」
最後の力を振り絞って水プリンを維持した三馬鹿ラスは、ダッシュからのきららジャンプで池目掛けて全力ダイブ!
ドッボーン!
大きな水音と共に三馬鹿ラスが水中へと消えた次の瞬間、溜池に激しく光とスパークが走り水面が輝いた。
そんな光景にバカ共を追いかけて来た子供達がわーすごいと楽し気に騒ぐ。
「すっげー! 池が光ってる! バチバチいってる!」
「またなんかにーちゃんたちが思いついたのかな?」
「あれ。ねえ、にーちゃんたちがうかんでこないよ?」
「おーい、早く出ないとカゼひくぞ、にーちゃんたち!」
「いくらにーちゃんたちでも水の中でねぼけてないよね?」
三馬鹿ラスが水面に上がって来る様子がない事に不思議そうに首を傾げる子供達。
暫し溜池を見つめていた彼らだが、その時である!
「「「やめろ この全然ちっぽけじゃないサメがああああああああああ!!」」」
三馬鹿ラスをまとめて咥えたサメ――サメ型のシキガミが池から空中へと勢いよく飛び上がり、そのまま池へと沈んでいった。
そんなディー〇ブルーみたいな光景に驚きで目をぱちくりさせて固まる子供達。
そんな彼らを余所に、どうにかサメの顎から脱出した三馬鹿ラスが藻掻く様に水面へと姿を見せた。
「ぶはぁっ!――ドベェーッ!!」
「ガボボ!――キャバーッ!!」
「ぷはっ!――ドギャス!」
しかし、さっきのシキガミサメが再び襲い掛かり、加えて水中から次々とシキガミのイルカやカバ、河童やケルプ、シーサーペント、更にナマズオやバリゲーター、シーパンツァー*14まで現れてなっ!何をするだァーッ!ゆるさんッ!とばかりに三馬鹿ラスをフルボッコにする。
「や、やめろオオオオWRYYYYYY─────ッ!」
「お、オレのそばに近寄るなああ──────ッ」
「り、陸に上がれん! も……戻れんッ!」
三馬鹿ラスにもシキガミ達にも不幸な事に、この溜池では本日『水上・水中型シキガミの集い』が行われていた。
水中という特定の状況に強いが故に、活動の場が限定される事への悩み、不満、不安等を同じ境遇の者同士で話し合い、励まし合う。
或いはそんな彼らのあるあるネタやマスターとのあれこれを発表し、語り合うこの集いを彼らは非常に楽しみに、大切にしていた。
そこへ先程のいきなりの波紋疾走である。
やったのが三馬鹿ラスなのに加えて割と大きな溜池の為、波紋によるダメージはほぼゼロだ。
しかし問答無用でいきなり広範囲攻撃を撃ち込まれたという事実は変わらない。
それは例えるなら――楽しく芋煮会をやってる最中、マナーのなってないDQNがタバコをポイ捨てして、その吸い殻がお鍋にポチャンした様なもの。
そんな真似をしたノーマナーな連中をどうするか?勿論皆でボコボコにする、誰だってそーする シキガミもそーする。
こうしてシキガミ達に池の中でフクロにされる三馬鹿ラス。
流石のこいつらも水中という相手のホームグラウンドで逃げるのは無理だった。
「わー、こないだテレビでみたえーがみたい」
「うちのとーさんもすきなんだ、でっかいサメとか出るの」
「じゃあこれもにーちゃんたちのあたらしいネタなのかな?」
「そっか、いろいろチャレンジしてるんだなにーちゃんたちも」
「にーちゃんたちデビューまでがんばれー! あとカゼひくなよー!」
「「「ヤッダーバァアァァァァアアアアア……」」」
『違うわぁ!』と言い返すことも出来ない水中フルボッコ継続中の三馬鹿ラスに『がんばれー』と声援を送る子供達。
そんな光景を離れて見守るシキガミや使い魔達だが、そこへ小さな影が現れた。
壺に入ったぷにぷに生物――アー坊・ア太郎・アっくんことPTのリーダーにして保護者*15、アガシオンだった。
小さなお手てにタオルや着替えと薬に包帯の入った袋を持って、何時もの様に三馬鹿ラスの元へとふよふよと向かっていくアガシオン。
そんなアガシオンの背に一反木綿シキガミや、使い魔、ドローン、グライドラー達からの視線が集まる。
そこには無言の、だが彼らの確かな思い――『新年早々お疲れ様』『あんまり無理すんなよ』『どう思ってそんな苦労をしょいこんでいるんだ?』そんな思いが込められていた。
無論アガシオンもそんな彼らの視線と思いに気付いていたが――答える事も、振り向く事もなく、去っていった。
小さな背中に、大量のガラス瓶の欠片を調べて犯人の指紋を捜す『りっぱな警官』のような、強い『意志』を背負って。
シキガミ達とアガシオンは、互いに言葉を交わさなかったが無言のシキガミの詩があった――奇妙な友情があった。
◇
こうして、三馬鹿ラスは理由はともあれ波紋法を習得した。
理由は兎も角、新たな技術は、新たな力は三人を新たなステージへと導いた。
生命エネルギーを生み出す事による、身体能力・回復力の向上。
「くぉら、待てー! 君らボク相手なら許されるって思ってるだろ!? いくら友達でも限度ってもんがあるんだからね!」
「「「逃げるんだよォォォ────ッ! どけーっヤジ馬どもーッ!」」」
激怒したクロアネキの攻撃魔法を食らいながら波紋込み全力疾走で振り切り。
小さく狭く流せば『くっつく』という波紋の性質を活かした隠密や走破性。
「三馬鹿ラスのバカ共は何処いった! またウチの支部の子達に要らん事教えて!! あいつら何処!!?」
「お兄ちゃん達ならエジプトのカイロまで飛行機使わずに行くとさっき出て行ったけど……」
怒髪衝天なキノネキと慄くドクターネキの頭上で、三馬鹿ラスが道端にへばりつく牛のクソのように天井に張り付き。
更に波紋の修練による心肺機能そのものの強化。
「こらー! 貴様ら今度は子供達どころかシスター達や天使にまで腹一杯アイス*16を食わせおってからにー!」
憤慨したメルキゼデクが空を飛び連中を探す中、件の悪ガキ共は水中で冬のナマズのようにおとなしくしてやり過ごさんとする。
斯くして三馬鹿ラスは、また一歩覚醒者としての階段を上ったのであった――――逃げ足だけ。
おまけ この娘は多分『やかましい! うっとおしいぞこのアマ、じゃなくてヤロー!』と言っても許される
「で、一神教のメルキゼデクおじちゃんは何時もの事として。北神奈川支部、というかキノお姉ちゃんに一体何したの?」
「いや、何かした訳じゃないんだ、誤解なんだ。実際冤罪」
「オレらの話を偶々きーてたチビがキノネキに伝言ゲームしちまってよお」
「そうなんだ。で、その子何て言ったの?」
「そのですね……『キノお姉ちゃんってそーうけなの? そーうけって何?』と」
「あちゃー……そりゃあ怒られるよ、何で子供の近くでそんな話したの」
「近くには居なかったんだって! ホントナンダッテ!」
「それに変な事じゃねー! 数少ねーこの世界の真実の一つだ!」
「ええ、噓偽りでは断じてない! その点だけは強く主張します!」
「真実が何時も救いになるとは限らないんだよ? 序に言うとわたしは事実は一つだけど真実は人の数だけって思ってる」
「じゃあクロアお姉ちゃんは? 正直クロアお姉ちゃんがお兄ちゃん達にあそこまで怒るって相当だよ?」
「うっ……いやこれも事故、そうあくまでも不幸な事故だったんだ、斬新な命乞いじゃないんだ」
「それがな? 魚沼行った時底辺ニキ*17とダチに、つって良いかビミョーだが、まあ知り合ってよ」
「それでスマホで一緒に写真とって、その写真をクロアネキに送ったんです」
「うーん、ここまでの話だとクロアお姉ちゃんが怒る理由が分かんないなあ……あ! 底辺お兄ちゃんのシキガミって確か……という事は、お兄ちゃん達、まさか?」
「その、軽いジョークのつもりで『クロアネキの彼氏と一緒に!』ってタイトルで写真を送信したんよ」
「でな? クロアネキ、ちょーどそん時親父さんとお袋さんに覚醒者用アプリの使い方教えてたらしくて」
「不幸にもスマホに触れるのと、メール届いたタイミングがぴったりだったせいで、ご両親にその写真が」
「……どんな写真だったの?」
「……シキガミに抱き着いて腰振るゼンラーと、止めつつも割とまんざらでもない感じのアストルフォ(♂)」
「Oh……」
「薄着だったら胸ねーから男とすぐ分かったんだろーが、冬着のせいで身体のラインがな?」
「その結果、クロアネキ宅で緊急家族会議開催までいってしまう騒ぎになったみたいで……」
「そりゃー怒るよ…… お兄ちゃん達が泣くまで殴るのをやめないされたっておかしくないよ」
「ハァ……それじゃあ行こうか」
「行くって何処へ? 俺は訝しんだ」
「皆の所。今から謝りに行くの」
「え。い、いやそいつはちょっと」
「逃げ切っちゃったから禊もまだ何でしょ? なら尚のこと謝りに行かないと」
「えー、ここは暫し時を置いてほとぼりを冷ますのが上策かと」
「ダメ! そうやって有耶無耶にした結果の小さな不満が溜まった果てに人間関係が壊れちゃうんだよ!?」
「「「ぐう」」」
「ホントにぐうの音出してる……ほら、行こう? わたしも一緒に行ってあげるから」
「「「……ハイ」」」
こうしてドクターネキと謝罪行脚に出向いた三馬鹿ラス。
『普通立場が逆なのでは?』という疑問は誰も抱かなかったが、誰も疑問を持たない事に疑問を持った者は幾人か居たという。
―以下どうでもいいバカ共の設定―
基礎までなら割と短時間でイケそうという沖縄支部の面々の予想通り波紋の基礎の習得は成功。
が、鉄格子から外を眺めようとしてネズミのクソを踏む運命の奴隷だからなのか、過激派をえんがちょと思って関わり合いたくないが基本だからなのか、波紋を練れても攻撃に使うのが非常に下手くそで、もっぱら日常生活ややらかす際に用いられている。
例えるなら友情パワーを発動は出来ても使う事が出来ないシルバーマンみたいな状態。
なお防御や逃走に関しては十全に使用可能、というか寧ろこっちが本領な模様。
つまり逃走中の三馬鹿ラスに逃走スピード+持久力+打たれ強さ+回復力のバフがかかる=迷惑度に大幅バフというクソ使用、ゴキブリに食いしばり持たせるようなものである――でも他の三次主人公や上位勢からすると誤差の範囲なのでワンパンなのは変わらない。
当人達は逃げるのはジョースター家伝統的戦法だからいーんだい!と主張してジョジョラーな黒札達から『ジョセフ達は作戦上逃げることはあっても戦いそのものを途中で放棄しない』とシバかれた。
・サスケニキ
天井に張り付く等のニンジャ的アクションに使えるので波紋を使えて一番喜んでいる。
くっつく波紋で腕組み直立乗り物エントリーで落っこちる事は減った――が、くっついてるだけなので風圧で首イワしたり、枝等に顔面ぶつけたり、バランス崩して足だけ固定からの頭もみじ下ろし等で医務室送りは相変わらず。
好きな台詞は『「復讐」とは自分の運命への決着をつけるためにあるッ!』
・ヨロイニキ
波紋を使って凶暴な生き物を乗りこなす荒武者になろうとウキウキだった。
しかし現在専ら乗ってるゾイドは頭も良く、現時点ではそんな凶暴なの居ないので波紋は別に必要なかった――寧ろ擽ったいから止めてとドクターネキを通しゾイドから苦情が相次いだ。
現在は月架手町に吸血馬がいないかと問い合わせ中。
好きな台詞は『「ブッ殺す」と心の中で思ったならッ! その時スデに行動は終わっているんだッ!』
・クロマニキ
接近戦仕掛けてくる相手への対策でシャボンランチャーを使おうとローブに石鹸水を仕込んだ。
だが、本やスマホがベチャベチャになったり食べようとしたパンが石鹸水塗れになる等日常生活への問題が大きすぎたので諦めた。
シーザーは一体どうやって衣服に石鹸水仕込んでたんだろう?と首を傾げた。
好きな台詞は『相手が勝ち誇ったとき. そいつはすでに敗北している』
・アガシオン
創られてから〇〇〇日間バカ共の使い魔をしてきた。
変化はしなかったけど毎日バカ共をフォローするのがアガシオンの仕事だった。
今回も三馬鹿ラスのやらかしを見たとき『バカ共を支えている者』の目になった。
好きな台詞は『わたしは「結果」だけを求めてはいない。「結果」だけを求めていると人は近道をしたがるものだ……近道した時真実を見失うかもしれない。やる気もしだいに失せていく。大切なのは『真実に向かおうとする意志』だと思っている』
・ドクターネキ
波紋に興味はあるが今はゾイドの研究と開発を優先中、それはそれとしてデータは取った。
もし習う際にも指導書を借りて自分のペースでやる方針の予定――流石の彼女でもバカ共による指南はちょーーーーっと躊躇わざるを得ない模様。
好きな台詞は『どんな
という訳で新年初投稿でバカ共のパワーアップ回でした、嘘ではないです。
血涙鬼・彼岸氏からのパスにより、波紋を三バカに使わせようと考えた時思いました。
波紋を用いて悪魔や天使相手のバトルとかウチの連中に求められている事なのか?と。
仮にもメガテン作品なのにそれはそれでどうなのという意見もありますが、コメント他を見る限りではあまり間違ってないとも思うのです。
ならウチのバカ共が波紋を使って何をやるのが正しく求められている姿なのか?
そう色々考えた結果が『ロギンスのやった波紋でコップの水をプリンにしたのをバケツでやる』でした。
崖や壁を登っての風呂覗きも候補でしたが、創作も含めた昨今のそういった行為への反応を考えてボツとなりました、某豆柴夫婦青姦目撃事故はその名残だったりします。
それでは最後まで読んで頂き、誠にありがとうございました。
今年もよろしくお願いいたします。