【カオ転三次】幼女ネキの謎を解明するため、黒札調査隊は宮城県の奥地〇〇町出張所へと向かった――。 作:貧弱一般メガテンプレイヤー
で、何時も通り書いてるうちにやたら長くなりました。
今更ですが今回は特に整合性何それ美味しいのな感じなので予めご了承下さい。
また今回バカ共が彼方此方の支部にアクションしてますが、各作者様方は今回の内容はスルーして頂いて結構ですと明言させて頂きます。
何時も通り作中の設定・時系列は外伝・アンソロジー時空でお願い致します。
本日も平和な本部無き支部ことガイア連合・山梨支部――――ではなく、とある旅人が支部長を務めるガイア連合・北神奈川支部。
弱い方の三バカにして通称・三馬鹿ラスは其処に居た。
こいつらが北神奈川支部に来たのならやる事は大体限られる。
やらかしてペナルティの依頼で来たか、支部の子供達にまた何かいらん事教えに来たか、将来キノネキの尻を拝ませてもらう為の塩漬け依頼に来たヨロイニキの付き合いか、将又バードウォッチングならぬキノネキと義姉妹達をシスターウォッチングに来た辺りとなる――筈なのだが。
ガイア連合北神奈川支部・特車二課、会議室。
「――というのがこのシキガミ、俺達がゾイドと呼んでるこのシキガミの共通仕様になります。金属の身体で、普通よりずっと頭の良い動物って思えば大体間違ってないかなと」
「んで今回連れてきたこいつらは正式じゃないあだ名みてーなもんすけど、骨ゾイドつってふつーのゾイドより簡単に作れて、そん代わりレベルやステは低めな感じの連中なんす」
「ですがその代わりに生産コストも低く制作時間も短い為、お値段もお安く出来るというのが最大の売りです。またゾイドは自己再生能力もあるので維持費他も抑えられます」
どういう訳か特車二課ことパトレイバー隊*1に対して、パワポを使ってプレゼンをする三馬鹿ラスの姿があった。
そんなこいつらを知る者なら思わず二度見しそうな光景も、こいつらの事を良く知らない特車二課の人々はツッコみも入れずに用意された資料に目を通している。
「んじゃ今回俺達が連れて来たゾイドの説明に移ります。まずはRMZ-02グライドラー。見ての通りの鳥型で――え? 鳥っぽくない? そこはそういうもんなんだって事で。で、話を戻すと飛べるから犯人の追跡や連絡役に現場への急行と偵察に使えます、実際便利。動きも軽快でレイバー同士組み合った隙に背後から射撃ぶち込ませるのもアリです。それと何気に水鳥なんで水上着陸や水に落ちた人の救助もイケます」
「こいつはRMZ-07ハイドッカー*2。こいつは輸送が得意なんでサイズ的にレイバーは無理でもパーツとか予備の弾とかケガ人や捕まえた犯人運ばせるのにいーと思うっす。いちおー武装もあるから援護も出来るし、一般人取り押さえる程度は楽勝だし。でもこいつの一番のウリはこのクラスのゾイドの中ならぶっちぎりの再生力! 悪魔相手の時間稼ぎやる時にこいつが居りゃあ被害がけっこー違ってきますぜ!」
「最後にRMZ-04グランチュラ。蜘蛛型故にビルの壁や天井に張り付いて移動も可能なので、レイバーの入れない場所等でも侵入出来ますし隠密行動も得意です。蜘蛛らしく糸――ワイヤーを発射出来るので犯人の拘束や、レイバーの関節部に巻き付けて行動阻害したり、ワイヤートラップを仕掛けられます。あとワイヤーを使ったターザンみたいな移動も可能なのでビル街や山間部での機動力は見た目よりずっと高いです」
それぞれ傍らの水鳥(?)、恐竜、蜘蛛の姿の金属製のロボット?の説明、アピールを行う珍妙な格好の、声からして恐らく高校生ぐらいであろう三人に、この場の責任者にして特車二課の隊長・後藤喜一が手を挙げる。
「ちょっと良いかい? 折角色々と説明してもらっといて悪いんだけど、順番まちがってるんじゃないか? ウチで使う装備――装備扱いしていいのかな? 兎も角そういう話だとまずは我々の親愛なるキノ支部長に話をするべきじゃないかとおじさんは思うんだけどねぇ?」
そんな質問に、後藤隊長に話しかけられた事に少し目を輝かせて*3からごもっともですと答える三馬鹿ラス。
「勿論キノネキには伝えてますよー。でもやっぱ現場で実際使う人に納得してもらうの大事じゃないすか、実際大事。納得は全てに優先するって名セリフもあるし」
「いくら色んな意味で上の相手だからってこれが正しい、テメーら従えってウエメセ全開されてばっかじゃ誰だってふつーにムカチンってくるもんじゃないっすか」
「キノネキも分類するなら現場側の人ですから、現場の声や要望はちゃんと考えてくれるでしょう。なら現場の方々に先に話を持っていく方が良いかなと。商売の基本は三方よしです、そう所謂――」
「「「――みんなで幸せになろうよ!!」」」
すっごいキメ顔&ドヤ顔*4とサムズアップで宣う三馬鹿ラス。
そんな言ったった言ったった!な様子全開のバカ共に、特車二課の人達は『何で黒札の人達って隊長or俺のモノマネする人が多いんだろう』と不思議に思ったという。
◇
「……じゃあ別に変な事はしなかったと」
「ですねぇ。最後まで連れて来たシキガミ、ゾイドとやらのプレゼンでしたよ」
支部長室にて後藤隊長の報告を受けたキノネキは腕組みしてむむむ、と考え込んでいた。
突如三馬鹿ラスから特車二課、パトレイバー隊に合わせて欲しいとの要望に何でと不思議に思いつつ警戒したキノネキは、ゾイドの販促活動をしたいというその理由に更に驚き、やっぱり警戒した。
何しろ数え切れない程の前科持ちな連中である。
事前に提出された資料他に問題が無くとも、可能ならその場に自分も居たいが元より多忙な支部長の身にそれは難しく。
止むを得ず後藤隊長に連中と連中の数多のやらかしを説明の上で、全力で警戒するよう伝えるしかなかった。
カミソリ後藤ならあのバカ共を手玉に取るなど容易い筈と信じて――――その上で必要と判断したら遠慮なく使ってと、バカ共でも食らったら昏倒する特別弾入りの拳銃を特車二課に配るあたりにキノネキの三馬鹿ラスへの認識が現れていたが。
「まあ正直な所拍子抜けしたって所ですかねぇ? プレゼン内容もウチの仕事内容を予め調べた上でのものでした。でも途中で漫才やコントをやっちゃう辺りは少しでもインパクトを残そうっていう若さ故の勇み足ってやつですかねぇ」
「……かもね」
黒札とガイア連合の評判を守る為に、すいません。それ勇み足でも何でもない連中の素、最早習慣・習性の一部なんですとは言えないキノネキだった。
「で、お試しで置いてくんで仲良くしてあげて下さいって置いてった三体は、まあ上手くやってますよ。出動無い時も色々手伝ってくれるって整備員が喜んでますわ」
「……ホントにプレゼンに来ただけ、なのかなあ……?」
状況からはそう判断するしかないが、今迄の彼是故に納得しきれない。
そんな様子のキノネキに後藤隊長は己の考えを伝える。
「少なくともプレゼン中は何か企んでるって様子では無かったですし、その辺に誰も気付かない程自分の部下達もボンクラぞろいじゃありません――案外頑張ってるトモダチに何かしたい、同世代の女の子に少しイイとこ見せたいって若者らしい行動じゃないんですかねぇ?」
「…………友人、異性の、友人、ね……」
同じガイア連合の黒札で、歳が近くて、異性の知り合い。
そんな点と気安い三馬鹿ラスの様子から、連中の事を人伝でしか知らない後藤隊長は只そう思っただけだとキノネキも頭では分かっている。
でも、連中の友人と言われ、まるでガイア連合でも有数のおバカな連中と同類の様に言われた様な気がして、少し、ちょっと、凄く、釈然としない思いを抱えるキノネキであった。
◇
さて、何故バカ共が急にプレゼン等始めたのかというと、話は一週間程前に遡る。
山梨支部・事務所にて、ちひろネキの前で正座する三馬鹿ラスの姿は、最早何時もの事過ぎて既に日常の一部、事務方の業務の一つと化していた。
「全く、貴方達は……何かもう、そういう呪いか何かを受けてるんですか? もしそうなら
「「「本当に申し訳ない」」」
腕組み仁王立ちでバックに稲妻を背負うちひろネキに深々とドゲザする三馬鹿ラス。
波紋を覚えた事で今まで以上に迷惑度・暴走度がパワーアップした故のちひろネキの怒りモードであった。
今回は波紋で毒を無効化できるからと闇鍋ならぬ毒鍋をやろうと企画。
フグ鯨や死牛などの毒持ちトリコ系食材や霊的食材を用いて鍋を作って三人仲良く美味しく頂いた。
で、後はジョナサンよろしく毒を波紋で体外に排出しようとして、はたと気付く。
『あれ、毒どっから出すの?』と。
元ネタのジョジョではジョナサンは敵の毒蛇に噛まれた際に、血液をコントロールして傷口から毒を噴出した。
で、普通に鍋食っただけの三馬鹿ラスには傷口なんかどこにも無い訳で。
結果慌てて解毒剤を探すも間に合わず、ぶっ倒れたところをアガシオンの知らせで駆け付けたゾイドによって医務室へと担ぎ込まれたのであった――今回はバカ共以外の被害者がゼロなのでまあ割とマシな部類のやらかしである。
「貴方達もガイア連合に所属してから結構経ちましたよね? 年齢的な意味でも、経験的な意味でも、貴方達の後輩がもう結構な数居るんですよ? 何時も何時もそんな調子じゃ後輩の黒札達からも下に見られますよ」
「えー、そんなの一々気にしても仕方ないんじゃ? 俺は訝しんだ」
「そーそー。やっぱり人間ってのは自然体で生きるのが一番っすよ」
「人間が誰が上で誰が下か決めようなんて、おこがましいとは思いませんか」
「シャラップ!! そういう所から人間関係だけでなく規律や組織というものは綻び、それが広がって破綻へと向かっていくんです!」
「「「ヒッ」」」
怒鳴り声を挙げるちひろネキに三馬鹿ラスが震えあがる。
そんなバカ共に深々と溜息を吐いたちひろネキが、今度は諭す様に静かに話し始める。
「後輩からどう思われても気にしないと。なら、貴方達が面倒見たり遊び相手をしてる子供達は? 子供が大人になるのなんてあっという間です。貴方達がそんな事ばっかしてる横で嘗ての子供達は成長して結婚して所帯を持っている――本当に気にしないんですか?」
「「「ゴフッ!」」」
滔々と語られた未来予測図に胸を押さえて吐血する三馬鹿ラス。
只の予測と無視してすますには、あまりにもリアル、且つ真に迫った未来予測図であった。*5
ちひろネキからムドを食らってふらつく三馬鹿ラス、だがここまででも十分にバカ共への攻撃は決まったのだがさらにダメージは加速する。
「そして、男の子より色んな意味で成長が早いのが女の子です。あと数年もすればドクターネキは立派な女性になります――――もしかして、今のままでも貴方達にずっと同じ顔や対応をドクターネキが続けてくれるなんて、甘い事考えてません?」
「「「がはぁ!」」」
追撃のグランドヴァイパ、じゃなくてムドバリオンが炸裂。
そして容赦なくちひろネキからトドメの死んでくれる?が撃ち込まれた。
「『ゴメン、今日友達来るから家に来ないでね?』『知り合いに変な誤解されたくないから暫く話しかけないで欲しいの』『もういい加減にお互い適切な距離が必要だとは思わないのですか? サスケニキ、ヨロイニキ、クロマニキ』」
「ありがとう! そしてさようならぁぁあ!」
「オレじゃ駄目なのねぇぇぇぇえ!」
「やっぱ無理でしたぁぁぁぁあ!」
S〇Kっぽい悲鳴を挙げて、まるで巨大な拳に殴られたかの如く吹っ飛んだ三人はドアをブチ破って砲弾の様に飛んで行く。
ふう、と一仕事終えました感なスッキリ顔のちひろネキに、一部始終を見ていた名誉店長ネキが静かに尋ねた。
「あの、いいんですか? 三人共外に放り出しちゃって。あれ、多分もう戻って来ませんよ」
「あ」
名誉店長ネキの予想通り、三馬鹿ラスはそのまま戻って来なかったのは言うまでもない。
◇
そんな事があり、流石の三馬鹿ラスも多少は己の彼是を顧みざるを得なかった。
ドクターネキに連れられて彼方此方に謝罪行脚したのは割と最近の話*6だし、他にもセツナ嬢*7から『また何かしたんだ』と純粋なる曇りなき
このままはマズイ、このままではイカンと流石の三馬鹿ラスも慌てた。
これでは遠からぬ将来、ドクターネキの自分達への態度が思春期の子が父親に向ける様な辛辣なものになってしまうと。
まるで『わたしの服と一緒に洗濯しないで』と娘に言われた悲しき父親みたいな気持ちを味わった三馬鹿ラスだった――――童〇のくせに。
そうして何としても年上の威厳を、先輩の威光を取り戻さねばならぬと考え、議論を重ねた結果の行動が、各地へのゾイドのプレゼン活動であった。
実際の所はドクターネキの過去のあれこれ*9から、ちひろネキの未来予想の様にはまずならず、ドクターネキの過去を知るちひろネキとしてもその点は理解している。
理解した上でのバカ共のやらかしが少しでもマシになったらという苦肉の策だったりするのだが、三馬鹿ラスが知る由もない。
ちなみにガイア連合に所属したのはドクターネキが先なので、三馬鹿ラスの方が後輩だったりするのだが、ドクターネキが引き籠っていたのでこちらも三馬鹿ラスは知らないのは余談である。
◇
「やっぱ自前でシキガミ作ってる支部は止めた方が良いだろ、よっぽどの事がなきゃ無理だ。実際無理」
「まーふつーにテメーんとこで作ってるシキガミ使う方が色々楽だし安くすむだろーからなあ」
「整備や修理の為の部品その他の補給の面からも、自前の物を使う方がずっとお得ですもんねえ」
北神奈川支部から山梨へと帰って来た三人は、談話室で神奈川土産のとん漬と点心*10をいそいそと取り出しながら各地の支部の資料とにらめっこをしていた。
「人魚ネキんとこのリンゴ山にステルスバイパー売込んでみねーか? 山ん中なんてヘビのホームグラウンドだし奇襲だってやり放題だしよー」
「木登りも出来るし、頭も良いからリンゴの収穫も手伝える、空飛んでくる天使には得意の対空射撃を食らわすと。おお、悪くねえじゃん。実際強い」
「うーん、確かに悪くなさそうですけど……ヘビとリンゴの組み合わせは少し怖くないですか? サタン的な意味で。天使もですが堕天使連中だって大概アレですし」
「「確かに」」
ガイア連合の技術による持ち帰り用調理済とん漬を箸で口に放り込んで、米が欲しーなともしゃもしゃ食べながら資料を捲る三人。
「新潟支部*11はどうだ? あそこは高レベル現地人や異能持ちが多いけど問題あったり安定しないって連中が多いんだろ? 安定重点」
「ふむ、そこをフォローするゾイドを。マルダー*12やカノントータスの様な守りに向いたゾイドに態勢を立て直す時間稼ぎをさせる訳ですか」
「んー、アリだと思うけどよー。あそこって一部のメシアン*13と仲良いんだろ? ドクターネキと相談なしでやるのはマズイんじゃねーか?」
「鑑定ニキはやり手と有名ですから、技術や知識の流出なんて下手は打たないとは思いますけど……」
「ドクターネキもメシアンと何かあったぽいからな、要相談って事にしとくのが無難だろ。報連相はダイジ」
こちらもガイア連合の技術で熱々のままの点心を、ゾイドのデータ一覧から目を離さずに大口開けて丸ごとかぶり付く。
普通なら火傷不可避だが、ダメダメでもレベル20代の覚醒者、全く堪えた様子もない。
「魚沼支部は黒騎士部隊や鳥煮亭学園の生徒等で戦力は大丈夫でしょうから、逆にそれらの支援が出来るゾイドをプレゼンするのは?」
「なるほどなー、でもそれってどんなのだ? 偵察とか索敵とかも出来る覚醒者やサマナーだってあそこはもう居んだろ」
「なら静嬢のやってる諜報関係が良いと思うぜ。諜報向きなら――ヘルキャットがやっぱ一番良いと思う、思うんだがなあ……」
「割とガチめにエドニキ他から注意と警告されちゃいましたからねえ。『機動力あって隠密得意でステルス・迷彩持ちのシキガミを規制なしで外部に売るんじゃない』って」
「オレらなら兎も角、現地人やパンピー相手に使うんなら無法もイイとこだもんなー。ド正論すぎてなんも言えねーよ」
「ドクターネキは広めるの優先過ぎてその辺時々吹っ飛ぶからなあ。田舎ニキの嫁さんで実績もある人だから、申請すれば普通に許可下りるとは思うけどな」
真剣な様子で資料片手に議論を続けるが、もう一方の箸を持つ手は他の者のとん漬へと高速で襲い掛かり、狙われた側も視線を向ける事なく箸で迎え撃ち、別の者がその隙をつこうとするも素早いパリィで弾かれた。
「イイこと思いついたぜ! ウマニキんとこにハンマーロック持ち込まねえか!? 馬と猿って相性イイんだろ? 孫悟空が馬番だった理由もそれだって昔きーたことある!」
「えーと、確かに私もそれ聞いた事ありますね。確か元はインドから伝わった伝承だとか、陰陽五行だとか。あと昔の日本の猿回しもそれが由来とか」
「ヨロイニキにしちゃ随分頭使った提案だな。でもハンマーロックは値段がなあ、馬の世話の為に買ってもらえるかどうか――そもそも、その伝承有効なのか? ハンマーロックはゴリラで猿じゃねえぞ」
「そう言われると微妙ですねえ。ならモルガはどうでしょう? 浦野牧支部では炭鉱を再開*14したとか。悪魔の出る炭鉱での採掘なんてまさに打って付けかと」
「おー、そいつはいーな!――ん? まった。そこって確か低レベなデビルハンターや見習いのレベル上げに使ってる筈だし結構な人数が働いてんだろ? モルガ使ったらそいつらクビになっちまわねえか?」
「あー、『ゾイドがオラ達から仕事を奪うだー!』になりかねんのか。それは不味いな、ドクターネキはゾイドを『貴方の親愛なる隣人』方向で行きたいだろうからな。ゾイドバッシングが起きるのはイカン。バランスは大事」
「むむむ、確かにそれは盲点でした。それでは緊急時用の救援や援軍役として売り込んでみましょうか? 採掘用程数は売れないでしょうが需要はありそうですし」
最後の点心を巡って三本の腕がカンフー映画の様に点心の上で激しくぶつかり合い、捌き、払い、防ぎ、受け止め、ドラゴン〇ールの格闘戦の時みたいな音が周囲に響く。
それでも目線は決して手元の資料から離れない。
「福島支部にエレファンタス*15やゴルゴドス*16を持ち込んでみるのはどうでしょうか?」
「なんで支援型を? あそこならふつーに戦えるゾイドでいいんじゃねーの? 黒札の身内も切った張ったするぐれー人手に困ってるみてーだし」
「仙桃畑でレーダー使って桃泥棒対策でもすんのか? それなら歩兵用ゾイドにでも見張りさせた方がいざって時の戦力にもなるだろ」
「そっちもですが……レーダーでアイス買いに来た天使の居場所を把握して避けられる様になれば――――ヒノエお婆ちゃん*17の激おこスティックファイナリアリティぷんぷんドリームもムカ着火ファイヤーぐらいになるかな、と」
「「あー……」」
「あと索敵用ゾイドが居れば以前の様な野外プレイ中にばったり出くわす悲劇*18を避けられないかなって」
「「それは付き合わされる挙句見張りまでさせられるゾイドが可哀想すぎる」」
とん漬の最後の一枚を巡って箸と箸の激しい鍔迫り合いの果てに、一枚のとん漬を三つの箸が同時に捉え、暫しの拮抗の後にとん漬が三つに引き裂かれた。
その勢いで味噌が飛び散る――その寸前、箸から波紋がとん漬へと流れ、とん漬と味噌が固定される。
結果味噌が辺りに飛び散る事もなく、無事最後のとん漬は三分割されバカ共の口へと収まったのでした――酷い波紋の無駄遣いもあったものである。
そして一部始終を見ていたジャンニキと霊視ニキから『食い物で遊ぶな』『行儀が悪い』とゲンコツ&怒られた三馬鹿ラスであった。
◇
そんな調子で各地の支部を回ってプレゼンして、お試しとしてゾイドを置いていくといった活動を続ける三馬鹿ラス。
連中を知る者達程、その姿と行動に驚きを隠せなかったという。
しかしギャラクティック・ノヴァ、ではなく三馬鹿ラスには狙いがあった。
各地でのゾイドプレゼンを手抜きした訳でも、何か企んだ訳でもない。
勿論お試しで配ったゾイドに何かを仕込んだ訳でもない――んな事したらドクターネキがアシュヴァッターマンの転生者になりかねない。
ただ『本命』の前の練習・リハーサルとしても全力で取り組んだ、というだけである。
山梨支部・貸会議室。
ガイア連合の技術と知識で防諜されたその部屋には、現在三馬鹿ラス以外に三人の黒札が席に着いていた。
一人は宮城支部支部長・レン子ニキ。
一人は魚沼支部支部長・田舎ニキ。
一人は北神奈川支部支部長・キノネキ。
「えー、本日はお忙しい中お集まり頂きまして、ありがとうございます。いや、ホントに」
「ぜってーパソコン使ってリモートだと思ってたのに、わざわざ来てもらってマジであざっす!」
「皆様忙しいと思いますので、早速ですが始めさせて頂きますね。お手元の資料をご覧下さい」
言葉通りに驚きと感謝を前面に出している三馬鹿ラスに対し、支部長三人は何というか――もの凄く反応というか言葉に困る、そんな様子をしかめっ面とアトモスフィアで全力で表現していた。
そんな三人の空気に気付く事無く、背後の大型スクリーンにパワポを映した三馬鹿ラスは真剣な顔で今回のプロジェクト――ある悪魔の召喚についての説明を始める。
「――という訳で、この辺の術式や霊具を使ったら召喚は出来るってミナミィネキや探求ネキにも確認済みなんで、ウカツにも呼べないって事はないかと。それから――」
召喚術や術式はほぼ素人なれど、山梨支部の図書館で頑張って調べ、有識者にしっかりと確認を取った召喚陣や召喚法について説明を行い。
「倒したボス悪魔が召喚出来る、つーのはメガテンシリーズのお約束。んじゃこの世界もそーなのかは分かんねーけど、実際似たよーな事が起きてんのはガイ連で何度も確認取れてるんで問題ねーはずっす。んで――」
召喚した後の、件の悪魔の制御・使役について予想される問題についての説明が続き。
「対象の悪魔は既に一度召喚され、かの地に縁が出来ています。また召喚に用いる予定のデビルソースの抽出元の悪魔の性格・スタンスからも――」
最後に全体を説明する際に省略した細々とした点をしっかりと解説した所で、三馬鹿ラスのプレゼンは終わった。
結果は未だ不明なれどやりきったという達成感を感じる三馬鹿ラスに対して、支部長三人は渋い顔のまま、どころか寧ろ更に眉間の皺が増えている。
多少の穴はあれど、実行すれば召喚は恐らく成功するだろうと三人の脳内で結論が出ていた故に。
やっぱりそんな支部長達の様子に気付かない三馬鹿ラスは、資料説明に使っていたパワポを消すと熱弁を振るう。
「
「あんだけ嗜好と癖が共通してる三人が心を一つに出来ねーだろうか? いや、ない! 反語!」
「故に、確実に召喚は成功します! そうコーラを飲んだらゲップが出るっていうくらい確実に!」
その言葉に合わせるように大型スクリーンに動画とBGMが流れ始め、その凝りようにレン子ネキ達は目を丸くした。
BGM――魔銃発射(FF:U)*19に合わせて三馬鹿ラスが声を揃える。
「「「そう、召喚にふさわしいメンバーは決まった!!」」」
最初に一歩前に出たサスケニキが叫ぶ。
「現代に蘇った柳生裸真剣継承者・リンクニキ!」
スクリーンに映る悪魔の群れへと突撃し、華麗な剣捌きで一匹悪魔を切り裂く度に無駄のない動きで一枚服を脱いでいき、パンツを脱ぎ捨てると同時に最後の悪魔の首を斬り飛ばして残心するリンクニキ――――股間はモザイク処理済だ。
「全てを暴き全てを晒す太陽の化身・底辺ニキ!」
続けて前に出たヨロイニキの叫びと共にスクリーンの動画が代わり、天空より全裸で舞い降りて太陽拳で過激派をゼンラーに変えた後、己のパンツを頭に被って股間の強烈な光で天使達の目を焼く底辺ニキ*20――――やっぱり股間はモザイク処理済だ。
「そして正義に味方されない正義の味方・HKニキ!」*21
最後に二人に並んだクロマニキの叫びに合わせて再び動画が代わり、縛られて動けず両目から大粒の涙を流して絶叫をあげる男の顔面目掛けてエビぞりの体勢で数メートル滑る程の勢いで股間を炸裂させ*22、廃人と化した男を背に『成敗!』とポーズを決めるHKニキ――――何処にモザイクかけたらいいか分からなかったのか、モザイク処理はなかった。
そしてまた動画が代わり、それに合わせて三馬鹿ラスが咆哮する。
「「「再臨せよ、破壊神――」」」
「「「――――シロケツフロスト!!!」」」
スクリーンには、嘗て宮城の地にて召喚されし破壊神――デモンベインと互角の激闘を繰り広げるシロケツフロスト*23が一瞬の隙*24を逃さず、強烈なヒップアタックを命中させる雄姿が流れていた。
「という訳で。シロケツフロスト召喚の為の協力を皆様に是非お願いしたく――」
「「「却下」」」
「「「エエエェェェ(´Д`)ェェエエエ」」」
揉み手しながらのサスケニキのお願いを一刀両断した三支部長であった。
「そんな! 過激派連中の残した地脈他への影響を利用するからこのクラスの悪魔としては大分コストも安いのに! 実際安い! ホントに安い!」
「ああ、うん……本当にその辺はしっかり考えられてるんだよな、実際。凄いよりも何でやろうと思ったって感想のが先に来るけど」
「制御も問題ねーっすよ!? ソース元のシロケツは侍や軍人みてーに上のモンには従うタイプだからいっぺん勝ってるこっちの言う事きく筈だし!」
「そうね、何度かあの子が連れて来た事あるから其処も間違ってないとは私も思うわ。同時に夏目漱石が殴り込んでこないかとも思ったけど*25」
「更にこの悪魔が元は過激派が召喚した悪魔だと大いに宣伝する事で、連中の威信に罅を入れるだけでなく囮として過激派を釣り出すエサにもなるのです!」
「あー……まあこんなの宣伝されたらそりゃムダにプライド高いあの連中は絶対釣れるとはボクも思うけど」
「「「なら!」」」
「「「でも却下」」」
「「「何故!!?」」」
「なんでって……ねえ?」
「……ええ」
「だってさあ」
キノネキが他二人を見やり、沈痛な表情でレン子ニキが頷き、田舎ニキが溜息交じりの声を出す。
「「「――――だってケツだし」」」
「
「セブンガー*26がOKならこいつもアリでしょ! どっちも子供や大きいお友達にバカウケ間違いなし! ダイジョブダッテ! アンズヨリ・ウメガヤスイッテ!」
「セブンガーとは色んな意味でジャンルが違うでしょ!? 一緒にしたらロボ部とウルトラマンファンが暴動起こすよ!」
セブンガーのピンチに『待たせたな!』と駆け付けるのがウインダムでもキングジョーでもミクラスでもアギラでもセブンでもなくシロケツとか台無しというレベルではないだろう。
まあピンチからのギャグ時空への突入は逆転&勝確フラグでもあるのだが。
「魚沼は彼方此方からの避難民受け入れてる関係上、予算の使い道で揉めるんで。
「んなの気にするだけムダだぜ!? どーせ何に使ったってそいつら文句言うに決まってらあ! そーいう奴らは『オレに金寄越せ』って言ってるだけなんだからよ!」
「……ヨロイニキって時々鋭くなるというか、本質をついてくるな」
無論その辺も分かってはいるが支部運営とはそーいうのを無視出来ないのも事実な訳で。
それにわざわざ文句の口実を与えるような真似をしたら苦労するのは静だし、その場合ほむらからのお説教が多分不可避と理解している田舎ニキであった。
「……正直な所、これ以上宮城に変なのを増やすのはね? ウチは断じてそういう方向のテーマパークや動物園とかじゃないの」
「それって今更な話ですよね? ぶっちゃけこの先宮城支部に変なの増えても減る事なんてないでしょう!? なら少し増えたって誤差ですよ誤差!」
「正論は時に人を傷付けるのよ? あとコレは断じて少しで済ませていいレベルの変なのじゃないわよね?」
変なのが増える原因が、変なのを従えてドヤ顔&満面の笑みで支部長室にやって来るという今迄何度も見た光景が脳裏に浮かび、覚醒者だけど頭と胃の痛みが止まらないレン子ニキだが、バカ共は気付かない。
「兎も角、宮城支部は協力出来ません。悪いけど諦めて頂戴」
「同じく。奥さんの負担を増やすダメ亭主になるのはちょっと」
「ウチも。何だかんだでHKニキに抜けられるとちょっと困るし」
「「「そんなー」」」
話を打ち切って次々と席を立つ支部長達に最早為す術がない三馬鹿ラス。
ああ、もうだめなのか、三馬鹿ラス。諦めるしかないのか!
「話は聞かせてもらったぁ!!」
その時!ドアを勢いよく開け放ちながら会議室へと飛び込んで来る人影。
新たな黒札のエントリーだ!
「黒死ネキではないがこの祭り、私も混ぜてもらおうか!――というか何で私をハブってるんだ、真っ先に声を掛けるべきは私だろう?」
現れたのは宮城が誇る意志ある大陸間弾道弾こと幼女ネキ。
実はドアにコップを当てて中の話を全部聞いていたのは内緒だ!
「俺達は別に幼女ネキを仲間外れにした訳でもハブにした訳でもないぞ。ホントダッテ! ウソジャナイッテ!」
「だって召喚には幼女ネキの子分のシロケツのデビルソースが要るんだ。声かけしねーなんてあり得ねーよ」
「宮城のトップはレン子ニキですので、他の支部長含めて先に声を掛けるのが筋だと考えただけですから」
新たな乱入者に驚きながらも、ハブにした等という誤解を解こうとする三馬鹿ラス。
その背後ではレン子ニキ達があちゃー、という顔になっていた。
「ふむ、相変わらず変な所で真面目になる奴らだな。まあそれは置いておいてだ。今回の一件、私が預かった――――シロケツフロスト召喚に必要な触媒、人員、場所その他、私が用意してやる!」
「「「さっすが~、幼女ネキは話がわかるッ!!」」」
幼女ネキのスポンサー宣言に歓声を挙げる三馬鹿ラスと、どうしてではなくやっぱりこうなったな顔のレン子ニキ、そしてそんな彼を気の毒そうな顔で見るキノネキ、田舎ニキ。
レン子ニキは無駄と理解しながらも、せめてもの抵抗とばかりに口を挟もうとする。
「あの、その召喚の間リンクニキが抜けるとその分の人手が――」
「リンクニキの分まで私が悪魔を狩れば問題ない。勿論底辺ニキが抜けた分も私が行こう」
「ちょっとそれはやり過ぎというかオーバーキルにしかならないから!」
「ウチのHKニキは悪魔退治よりカウンセリングとかの方が重要なんだけど」
「山梨で人を雇う! 長期じゃない短期の住み込みだから受けてくれる黒札も居るだろう。勿論報酬は私が払うし高給で募集する!」
ふんす、と鼻息高く言い切る幼女ネキにもうこれは絶対止められないやつだと理解した、してしまった支部長達は深く、深ぁぁあく、溜息を吐いて諦める。
こうなるのを防ぐ為に、わざわざリモート会議ではなく直接顔を合わせての会議にした*27のも無駄に終わってしまった。
抱く感情・思いは様々なれど、この場の黒札達の脳裏には、ケツだけ歩きで元気溌剌に大地を駆けるシロケツフロストの堂々たる姿が、確かに浮かんでいた。
かつて、宮城の地に召喚され、デウスエクスマキナを向こうに回して五分の戦いを演じた破壊神・シロケツフロスト。
しかし、戦いに敗れた新たなる神は、現在黒札の掲示板で語り継がれるだけの存在であった。
これは、その厳しい現実に、敢然と立ち向かうようじょとバカ共の物語である。*28
◇
同日・山梨支部。
夕暮れで周囲が茜色に染まる中、とぼとぼと歩く三馬鹿ラス。
その表情は深く落胆し、これでもかという程意気消沈していた。
「……なんでダメだったんだろうなあ」
「……さーな」
「理由も教えてもらえませんでしたからねえ……」
あの後すぐにちひろネキからの中止命令、しかもショタおじまで同意したという署名付きとあっては、逆らえる筈もなく。
せめて理由を知りたいとの願いも叶う事はなかった。
自分達以上に反発していた幼女ネキすらちょっとこちらへ、と連れてかれた別室から戻ってきた時には諦めていたので、余程の事ではあるのだろうが。
それでも手間暇掛けて、彼方此方を調査して、教えを乞うてと努力を重ねた計画。
それも捨てる神あれば拾う神ありで成功したと喜んだ所からの急転直下の中止命令は、流石の三馬鹿ラスでも大いに凹まざるを得ない程のダメージであった。
無言のままとぼとぼと道を歩く三馬鹿ラス。
そんな三人へ後ろからパタパタという足音と共に声が掛けられる。
「ヤッホー。お兄ちゃん達元気、じゃないみたいだね、すっごい凹み具合。あ、彼方此方の支部への宣伝ありがとね!」
「あー、ドクターネキか。まあちょっとな……ヤンナルネ」
「なにが悪かったんだろーなー……」
「ホントですねー……」
「うわぁ重症だぁ……。わたしはあんまり詳しい話は聞いてないけど、まあそんな日もあるよ。何時もずっと上手くいく、なんて無理だから」
「「「……」」」
沈んだまま歩く三人の隣を歩きながら、ドクターネキが言葉を続けた。
「上手くいかなかった物、失敗した物が沢山あって、それが凄い物、輝く物であればある程、次に完成した物は、より一層煌めく物になる――わたしはそう思ってるよ」
「まあ、そう思わないとやってらんない、とも言うんだけど。物作りってホントにトライ&エラーの繰り返しだからねー」
そう笑うドクターネキに暫く黙っていた三馬鹿ラスは、ふと立ち止まると『ん゛ーーっ!』と大きく伸びをして空気を変えた。
「うしっ! 切り替えてくぞ、『環境に文句を言う奴に晴れ舞台は一生来ない』とミヤモト・マサシも言っている!」
「だな。勝敗は兵家の常ってやつだ、忘れてとっとと次行くぞ次! 取り合えず腹減ったからなんか食いに行こーぜ!」
「食べに行くって、ジャンニキ食堂で予約取ってるじゃないですか。そんな事まで忘れてどうすんですか全く」
あっという間に何時もの調子に戻った三馬鹿ラスに、自分が発破をかけたとはいえ本当に切り替え早いなあと内心思わざるを得ないドクターネキ。
元より前世でも今世でも、成功と失敗、勝ちと負けを比較すれば、失敗と負けが勝ち越し、それも圧勝な人生送ってる連中である。
失敗するのも、そこから復活するのもある意味慣れっこと言えた――その程度の失敗しかしていないとも言えるが。
つまりは何時もの事なのだ――――それなら、次の面白い事や美味しいご飯の事を考えた方が良い。
「じゃあ行くぞ! ジャンニキ食堂でノーショウするなぞデスノボリ乱立不可避だからな!」
「おー! 上手くいったら祝勝会、失敗したら残念会ってことで予約しといて正解だったな!」
「それ言ったのは私だって忘れない様に。良ろしければドクターネキもご一緒しませんか?」
「え? いいのかな。予約って事は予めメニュー決まってるのに急にわたしがいって大丈夫?」
「ジャンニキなら一人、しかも子供が増えるぐらい楽勝だろ。ダイジョブダッテ! チャメシ・インシデントダッテ!」
「そーそー、別に食堂丸ごと食い尽くす*29とかしなきゃそんぐらいゆーずーきかせてくれんだろ」
「それに万一駄目だったとしても問題ありませんよ。その時は――」
「「「――こいつらの分をドクターネキに回せば何も問題なし!」」」
「「「……」」」
「はーい、ストップ、ウェイト、フリーズ。それじゃ遅刻しないように行こう、きっとジャンお兄ちゃんなら食べる時間に合わせた調理とかしてる筈だもん」
無言で互いに武器を抜いて構える三馬鹿ラス。
そんなバカ共に慣れた様子で割って入って止めるドクターネキ。
そしてそんな四人の傍に控えるアガシオンとドスゴドスとフロストイグアン。
赤い夕陽に照らされながら、七つの影が仲良く並んで歩きだす。
食堂への道を、失敗した計画の事、各地でしたプレゼンの事、屋敷が手狭になってきた事などを話して笑い合う、そんな四人と三体の頭上を三羽の烏が飛んで行く。
どこからかヘッドライト・テールライト*30が流れてきそうな光景を、夕焼けに染まった雲が見守っていた。
なお、中止命令が出た理由が召喚失敗からの『珍獣・サンバカラスフロスト』なる新種の悪魔が大量発生するという結果がくそみそニキの占いで出たから、という事を三馬鹿ラスは知らない。
また同時刻、夕飯前に軽い仮眠をとっていた姫路支部支部長が、大勢で支部を囲んで『ツルツルなのはカッコいいんだホ~』『ボーボーだからってエラいわけじゃないホ~』『自信をもっていいんだホ~? むしろ見せつけてやるといいホ~』等と大騒ぎする色んな意味で珍妙極まりないフロストの夢をみて飛び起きたのだが、こちらも三馬鹿ラスは知る由もない。
◇
「――とこうなるから、後は前と同じ感じでイケるんじゃないか?」
「どーだろーなー? シロケツん時とは色々前てーがちげーしよ」
「でも共通する部分もあります。ならば無意味ではないでしょう」
炬燵に入って召喚術の本と各地の地図といった資料と見ながらあーだこーだと話し合う三馬鹿ラス。
宣言通り前の事は忘れた三人は次のプロジェクトへと取り組んでいた。
「やはりクレオパトラ・ダンディニキの協力は不可欠か。しっかしどうしたもんかな」
「超過激派との戦いで忙しい方ですからねえ。私達とは縁もゆかりもありませんし」
「ここでぐだぐだ言っててもしょーがねーよ。まず会いに行ってみてそれから考えりゃいーさ」
「まあ作戦練る為の情報すらありませんからねえ」
「取り合えず動いてみるのも手か」
まず動く!が基本なヨロイニキの意見に賛同する二人だが、続く言葉に眉を顰めた。
「それよりソースの方が問題じゃねーか? アテはあっても簡単な相手じゃねーだろ」
「だよなー。『上杉謙信の転生者』景虎嬢*31。怒らせると色々とヤバイよなあ、本人も彼氏も」
「こないだの件からあまり経ってないですからねえ。接触は慎重に慎重を重ねるべきでしょう」
このバカ共、プレゼンで新潟支部に行った際にどうしても好奇心と探求心を抑えきれず、波良雪泉*32に『その
田舎ニキの氷魔法を何度か食らった経験のあるバカ共にはマハフブは大したダメージではなかったが、聖のお説教はタイプ一致で弱点属性の大ダメージであった故に、出来れば暫くは受けたくない――――ついつい胸を凝視してしまって説教延長のコンボが発生するし。
え、プレゼンは真面目にやったんじゃないかって?プレゼンの前と後でやらかしてないとは言ってない。
「女の上杉謙信なら他にも居るが……あっちもあっちでヤバいからなあ」
「おまけにガイア連合じゃなくて多神連合だからなあ、ぜってーシャレとか通じねーぞ」
「出来れば避けたい相手ですよねえ、元天使で現在は軍神ウエスギケンシンとか*34」
あーでもないこーでもないと討論を続ける三馬鹿ラス。
そこへどたどたと勝手知ったる何とやれで飛び込んで来る新たな黒札のエントリー。
「お邪魔しまーす。ねえ、今ちょっといいかな? お兄ちゃん達!」
「ドーモ、ドクターネキ=サン。どしたよそんなに興奮して」
「前に家が手狭になったっていったでしょ? それでね、前に山梨で暮らしてたけど今は他所の支部に移住した人が使ってた工房というか工場を買いませんかって紹介してもらったの!」
「おお! そいつはすげえラッキーじゃねえか! それなら設備なんかもけっこー残ってんだろ」
「うん! それで今から其処の下見に行くんだけどお兄ちゃん達も一緒に行こう!」
「ええ、私達にとっても他人事ではありません。直ぐに準備しますね」
ドタバタドタバダ、準備を終えて。
「よーし、行くぞ皆の者! 出発しんこー、なすのおしんこー!」
「きゅうりのぬか漬けー!ってテメーが仕切んな!」
「止めなさいバカ共。それでドクターネキ、やはり付けるのですか?――自爆装置」
「もー何言ってるのクロマお兄ちゃん――――そんなの最初から付いてるに決まってるじゃない」
「「「ですよねー」」」
そうワイワイ騒ぎながら出ていく三馬鹿ラスとドクターネキ。
そうして彼らが出かけてから数分後、部屋の隅に迷彩を解除したヘルキャットが姿を表した。
そして棚の中に隠れていたアガシオンと協力して三馬鹿ラスが彼是書き込んでいた資料他を集め、回収していく。
その内容は――――『ヴィーナスのヴィは毘沙門天の毘プロジェクト』
手早く回収を終えると、アガシオンを背中に乗せたヘルキャットは、誰にも気付かれる事無くその場を後にした。
なお、ドクターネキと工場見学のノリで一緒にはしゃぎ回った三馬鹿ラスは、資料が無くなった事もあり、誰かの目論見通り完全にこの件を忘れてしまったのでしたとさ。
こうしてくそみそニキ曰く、失敗して何時ぞやの同人みたく
しかし、この世界にはまだまだ多数の日本を、世界を揺るがす要素、事件が溢れている。
人々の未来と平穏の為、ガイア連合の覚醒者達の人知れぬ戦いは今日も、明日も続いていく――――。
なお三馬鹿ラスに『シロケツフロストの
そして別件のやらかしで捕まって縛られた三馬鹿ラスが、スキルの影響によるものか、ケツだけ歩きによる高速移動で脱走する場面を見た実年齢小学生カルテットの幼女ネキ・黒死ネキ・ドクターネキがお腹を抱えて爆笑し、セツナ嬢が『なにあれ』と思考停止状態となり、その後は三馬鹿ラスのお子様用の掴みのネタとして大いに使われる事になるのは、また別の話である。
―以下どうでもいいバカ共の設定―
・サンバカラスフロスト
DB・バスターズやフロストファイブの様な複数で一体扱いなこの世界には存在しない新種のフロスト。
ニンジャっぽい格好のサスケフロスト、ちぐはぐな日本鎧と冑のヨロイフロスト、とんがり帽子とローブのクロマフロストの三体からなる。
自衛以外で人間を殺害等はしない悪魔だが、元となった連中に酷似した言動の為、とてつもなくウザい&イラっとさせる上に『逃走加速』『食いしばり』を持ちで駆除も面倒という迷惑仕様。
メシアンへの嫌がらせに使えるかと思いきや、誕生元の影響かメシアンや多神連合を嫌がってガイア連合の勢力圏へと移動しようとするのでガイア連合だけが迷惑する性質の悪い悪魔。
なおフロストを名乗っているが、フロスト族の特徴的な顔が覆面他で完全に隠れている事から実はフロストを騙った別種族なのではという疑惑がある。
・シロケツフロストの
破壊神シロケツフロストの与える加護。
本来はリンクニキ達の様に尻を晒し続けた者達にのみ授けられるものだが、今回失敗したとはいえシロケツフロストの再臨の為に行動した事を評価され与えられた。
『ケツだけ歩き』『ヒップアタック』『尻剣法』等にプラスの補正を与える、要は尻が絡むものを強化する加護。
『
なお埼玉県春日部市にて最上位加護の『シロケツフロストのズッ友』を持った子供が居たという未確認情報もあるが詳細は不明。
・骨ゾイド
初期のゾイドの俗称で見た目が骨っぽいからではなく、構造が簡単で骨組みのみの為こう呼ばれる。
レベルは5で作中通り通常のゾイドより安くて早く作れるが能力は劣るので特徴を活かした運用が必要となる。
RMZ-01ガリウス・RMZ-02グライドラー・RMZ-03エレファンタス・RMZ-04グランチュラ・RMZ-05アクアドン・RMZ-06ゴルゴドス・RMZ-07ハイドッカー・RMZ-08ペガサロス・RMZ-09スパイカー・RMZ-10フロレシオスの10体が販売中。
骨ゾイド唯一の大型ゾイド・ビガザウロは他の大型ゾイド、ゴジュラス・マンモス・ゴルドスとパーツが共通な部分がある事から販売予定はないが技術向上の為研究&開発中。
・三馬鹿ラス
ドクターネキに対してのポジションが友人なのか兄妹なのか不明な状態、多分本人達も良く分かっていない――でもドクターネキから臭いとか言われたら多分泣く。
ケツだけ歩きという見た目はアレだが拘束状態でも逃走可能なスキルを覚えた。
波紋と組み合わせると壁や急斜面にも対応出来るので実はかなり有用だったりする、見た目はホントアレだが。
縛り上げられたり膝を砕かれても逃げられるので更にやっかいな問題児になったとも言える、何でか逃走手段ばかりが充実する連中。
・ドクターネキ
実はサンバカラスフロスト発生や
彼女が選ばれたのは比較的連中をコントロール可能で大体何時も一緒に居るため。
サンバカラスフロストから女王様扱いされる事は兎も角、三姉妹になった三馬鹿ラスが人型不信の対象外になるのか不明とドクターネキにとって割とシャレにならない事態になる為、不本意ながらも協力した。
紹介された工房というのは実は依頼報酬、しかし三人を売って報酬を貰うつもりはないとタダで貰うのを断固拒否し、金を払って買い取りという形にした。
・ヘルキャット
迷彩と隠密能力を活かしての偵察・諜報が役目だが、普段は基本ごろごろしている。
サボりはしないが楽する為に全力を尽くすタイプ、また猫らしくサバサバしており、猫動画でよく見る媚媚な猫はこんな心の底から人に媚びるのは猫じゃないと嫌っている。
でもドクターネキとのお昼寝は大好き――なお、お前猫じゃなくて豹だろというツッコミは無視している。
元々リンクニキ、底辺ニキ、オオテノシロケツが三つの心を一つにしてシロケツフロスト召喚、というネタはありました。
しかし黒札二人に対し妖怪のオオテノシロケツは戦闘シナジーこそ高くとも能力・素質の面では劣る上このやり方だとオオテノシロケツがシロケツフロストへと変身する形に成らざるを得ないので、他所様のキャラを勝手に変身させる訳にはとボツとなりました。
しかし、新たな黒札HKニキの登場により黒札三人が心を一つにしてシロケツのデビルソースを用いればイケると判断し没ネタが復活。
そこに頂いた『三馬鹿ラスってセールスマン向きでは?』という感想が混ざった結果『シロケツフロスト召喚の為のプレゼンをする三馬鹿ラス』というネタが生まれました。
幼女ネキを勝手にスポンサー扱いしちゃいましたが、幼女ネキならやるだろうなとw元ネタの登場話の感想でも仲魔にしようとしてたので。
あとケツならという事で某嵐を呼ぶ園児ネタを投入、某五歳児も出してみたいけど筆者では彼を書ききる自信がないので存在を匂わす程度にしました。
でも書けるなら書きたい!
幼女ネキとケツだけ星人(ズボン状態)して揃ってセリリにゲンコツされたりとか。
邪視ネキ、魔人ネキにはデレデレするけど自分にはデレデレしない事に待てい!するカス子ネキとか。
竹刀を持った五歳児を見て「!……これは」「ほう……」ってなるリンクニキ、星杖ニキとか。
誰か書いてくれませんかね?
あと前書きでも書きましたが今回ウチの連中が彼方此方で動いてますが、あくまでゾイド導入ではなく『ゾイド買いませんかー?お試し品どうぞー』してただけなので各作者様方はスルーして頂いて問題ございませんと繰り返し明言致します。
それでは最後まで読んで頂き、誠にありがとうございました。