【カオ転三次】幼女ネキの謎を解明するため、黒札調査隊は宮城県の奥地〇〇町出張所へと向かった――。 作:貧弱一般メガテンプレイヤー
自分でも驚く程早く書けましたが、また書いてる内に予定より長くなったので分けました。
今回は過激派に捕まったペ天使3ちゃんズ(予定)に何があったか、何をしたかな話になります。
そして相変わらずニュージェネファンの皆様には許せぬ描写が混じる可能性がございますのでご注意下さい。
ガワだけで中身はウチのバカ共とご理解の程どうかお願い致します。
前回までのあらすじ
ガイア連合幹部霊視ニキは、過激派メシアンの秘密のアジトにて拷問中*1の三名の美しき天使の少女達を救出した。
彼女達の言動*2と自分達は男だという発言に戸惑いながらも山梨支部へと連れ帰った霊視ニキだが、ガイア連合トップ・ショタおじに告げられる。
既にこの三人は手遅れであり、救う事は出来ないのだと。
現在ガイア連合山梨支部会議室には、既に手遅れにも関わらず何故か人の人格・記憶を完全に保っている未発見だった元『俺たち』について、調査の為にショタおじ筆頭に様々な黒札と必要な霊具他多数が集まっていた。
そしてショタおじが感情を表に出さない冷徹な貌のまま話を前に進める。
「では始めるとしよう。まずは過激派と出会った状況についてだ」
「はい、これは件の三人と捕えた過激派からの証言ですが――」
ショタおじの発言に答えたちひろネキが資料と共に説明を始めた。
――再現VTR開始――
過激派の拠点の一つ――正確には一時的に潜む待機所みたいなもの――にて、薄暗い部屋の中、隊長の地位にある信者は部下の報告を受けていた。
「――以上です。我々の本拠点は未だ気付かれておりません」
「うむ」
厳粛に頷いた隊長は窓の方へと歩くと、静かに語り始める。
「ガイア連合は確かに手強く、恐るべき相手だ。だが、それでも我々は戦い、勝たねばならぬ」
そして大きく窓を開き、日光で室内を照らしながら、高らかに宣言する。
「そう! 全ては我らの神の為に!! 愚者共と悪魔共を駆逐し地上に永遠の楽園を築かねばらなんのだ!!」
「「「「「「神の為に!」」」」」」
信者達が唱和し、満足気な隊長は神の言葉を聞く様に窓から大空を――
「「「…………」」」
――仰ごうとしたら、外で木登りしている高校生ぐらいの少年三人と目があった。
「……」
「……ゴキゲンヨ」
「……ごゆるりと」
「……お呼びでない? こりゃまた失礼しました」
「…………皆の者! 捕えるのだ!!」
「「「うわーっ!! やめろジョッ〇ー! ぶっとばすぞぉ~!」」」
――再現VTRここまで――
「――という事だそうです。学校帰りにふざけて投げた鞄が木に引っかかったのを取ろうとしてたとか」
会議室に何とも言えない雰囲気が漂った。
「いやまあ……偶然出くわすってのは、よくあるパターンではあるな」
「……字面だけ見るんならな」
「演劇の練習中だったと言えばそれで終わったろうに。アドリブの効かない奴らだ」
笑ったら不味いよなあと表情で語るセツニキ、頭痛がしてそうな霊視ニキ、過激派の対応の拙さを嗤うくそみそニキ。
空気を変える様にショタおじが続きを促す。
「捕まった状況は分かった。それでそれからは?」
「はい、捕まえた彼らに霊的素質を見出した隊長は本拠点へ――霊視ニキが彼らを見つけた場所へ連行しました」
「まあ過激派のお決まりのムーブですね。ではやはり洗脳を? 今は完全に解けてるみたいですが」
探求ネキの過激派相手なら当然の質問に、ちひろネキは首を振る。
「いえ、洗脳はされていません」
「あら、珍しい。何か理由が? 彼らが対洗脳向きの霊能持ちだったとかですか?」
今度はミナミィネキが尋ねると、ちひろネキは暫し沈黙の後、酷く気まずそうに口を開いた。
「……えー……捕まえてから連行してトップに報告までの短い時間で『こんなの洗脳して一体どうしようというんだ』という結論がすぐに出たと多数の証言が過激派から上がっています」
再度会議室に何とも言えない雰囲気が漂った。
この場の全員過激派は大嫌いだが、連中がその結論に至った理由が理解出来ない事もなかった故に。
微妙な表情のままちひろネキが説明を続けるが、再度バツの悪そうな顔になる。
「それで過激派は彼らを儀式に、天使召喚の生贄に用いる事にしたそうです――全く期待してなかった。十中八九スライム、ホーリゴーストでも出ればラッキーと考えていたと証言してます」
「……それは言及しなくていいと思う」
あんまりと言えばあんまりな内容にショタおじが思わずフォローした。
あの三人は最早始末せねばならない対象とはいえ、そのぐらいの慈悲はかけても良いと思ったショタおじは実際優しい。
こうして三人の少年は抵抗も出来ずアワレにも真・女神転生ⅠやⅡの悪魔合体機っぽい感じの天使召喚機に放り込まれ、天使召喚に使われてしまった。
そして過激派の予想に反し、現れたのはホーリゴーストやスライムではなく、光輝くMAGの塊が三つ。
正確には異なるが、最も近い表現を上げるならば卵というべき存在に当初困惑した過激派だが、漂う天使の気配から調査した所、高位天使や大天使級――レベルにして40を超える力が秘められていると判明。
これは神より与えられた奇跡であり、自分達にはやはり神の加護があると歓喜した。
「三つの天使の卵、か。ならそれが」
「はい、霊視ニキの想像通りです――その卵の様な物から出てきたのがあの三人です」
しかめっ面な霊視ニキの問いに、ちひろネキが頷いた。
どんなにおバカでも『俺たち』は高位悪魔の転生体である。
過激派から見れば奇跡でも、黒札達から見れば分かり切った結果でしかなかった。
「過激派からの証言では、卵が召喚されて一週間後に生まれ――しかし何も覚えてなかったと」
生まれた少女の姿の天使達は己の名も、神の教えや使命も、戦う術すら全く覚えていなかった。
その事態に過激派も当初は困惑したものの、元より当たれば儲けでやった結果のジャックポット、ちゃんと教育すれば頼もしき戦力になる筈と受け入れたのである。
記憶を失くした三名も振る舞いは無口で大人しく、演習も素直に受け入れ自分達に従う態度を取り続けた為、すぐに問題はないと判断。
特に天使の力の使い方と戦い方、そして宿敵であるガイア連合について非常に積極的に学ぶ態度をみせた為、過激派達はその勤勉な様子に満足していた。
そこまでの説明を聞いた会議室の面々は皆心を一つにした。
それ、絶対フラグだよね?――――と。
それから一体何が起きたのか、一同は資料に目を通す。
――再現VTR開始――
ある日、メシアンの司祭――この拠点のトップの元に、最近召喚されたばかりの天使達が訪れ、代表する様に短い髪の天使が告げた。
「……私達は、記憶を取り戻しました。まだ一部ですが」
「おお! 遂に! ではどうか貴女方の聖名を是非!」
その言葉に司祭は喜びを露わに興奮して三人へと詰め寄るが、長い黒髪の天使が首を振る。
「……まず、使命を果たします。神より貴方への神託を預かってます」
「なんですと!!? 私に!?」
「……他の者達には絶対秘密にしなければなりません。何処か良い場所はありませんか?」
「ははっ! どうぞこちらへ!」
柔らかな茶髪の天使の質問に、司祭は三人を伴い、自分以外の誰にも教えていない緊急脱出用の通路まで移動した。
「ここならば誰も近付きませぬ。それで、神は私にどの様な神託を」
「それは――」
瞳をぎらぎらと輝かせた司祭に、短い髪の天使が落ち着かせる様に、そっと優しく司祭の両肩に手を乗せると――
「――ワン!!」
「ごはぁっ!!?」
――ちゃんみお(仮)が全力の膝蹴りを鳩尾に放ち司祭は悶絶!
「ツー!!」
「うぎゃっ!!」
続いてしぶりん(仮)の強烈なラリアットで司祭は一回転して仰向けにダウン!
「スリー!!」
「アァァァァァーーーーッッ!!!」
ラストにしまむー(仮)の股座へのサッカーボールキックに司祭は奇声で絶叫!
そのまま三人は金玉を中心に司祭のありとあらゆる場所を蹴って蹴って蹴って蹴りまくる!
囲んでボーで叩くのは最強だが今の三人だとそこらのボーでは折れてしまう故の苦肉の策である!
「死ね! メシアン! 死ね! このサンシタモスキート野郎! 貴様にはサンなど付けぬ!」
「地獄に落ちろ!! こんのYES!ロリータNO!タッチも守れねーウルトラドグサレ売僧が!」
「貴方みたいにリアルでやらかす奴が居るせいで私達みたいのまで肩身が狭くなるんですよ!!」
「うぎゃああぁぁぁああ!!!」
ゴウランガ! 何たる決断的むごたらしさか!!
今の三人のキックは鋼鉄フスマすら貫く威力!
だがそんな蹴りを彼らはバトウ・ジツと共に全くの容赦なく浴びせ続ける!
この司祭、レベルにして34でカラテ鍛錬も十全であった。
しかしそんな覚醒者でも実力を出せる事なく決着することもある、それがニンジャのイクサやメガテンのバトルだ!
司祭の心の柱が折れるまで三人のストンピングは続いたという、インガオホー。
――再現VTRここまで――
三度会議室に何とも言えない雰囲気が漂った。
「ねーねー、あの三人はさ、何時から元の人格を取り戻していたワケ?」
そんな空気の中でカス子ネキが最も重要な点を尋ねると、ちひろネキも真剣な顔で答える。
「――最初から、です」
その答えに、暫し会議室が沈黙に包まれる。
「……つまり、天使になった時から、ですか?」
「はい、変な機械に放り込まれた瞬間意識が無くなって、そして目を覚ましたらメシアンに拝まれてて、身体が女になっていた、と」
続いて探求ネキが質問して返ってきた内容に皆がそれぞれ無言で、或いは腕を組むなりして考え込む。
その様子を見ながらちひろネキが更に詳しく説明を続けた。
「状況も、どうしていいかも分からなくて、うっかり何も分からないと答えてしまったら、向こうが勝手に記憶喪失と言い出したので黙っていたそうです。そしたら色々教えてくれたからこれ幸いと情報を集めていたと」
「
資料には『口きいた時点でバレる予感がしたから只管無口なフリして過ごしてた、めっちゃしんどかった』という三人の証言も載っていた。
腕組みしたくそみそニキが過激派が失敗した理由を推測すると、今度は霊視ニキが尋ねる。
「それで、情報収集や訓練の結果、自分達の方が力は上だと判断してあの連中は動いた訳か」
「はい、人間の信者は同じ手口で一人一人呼び出して袋叩きに。天使の方は司祭が居なければ推定階級が上の自分達に従う事を司祭に吐かせて支配下に置いたそうです」
「……そうか」
暫し無言になった霊視ニキが、少しの逡巡の後に再度質問した。
「……なら、俺があの拠点に殴り込んだ時は一体どういう理由でああなってたんだ?」
過激派拠点で良くある事――――但し配役が致命的におかしい、な光景の件を尋ねる霊視ニキ。
勿論この場の全員は何があったかは知らされており、一部の噴き出す声や忍び笑いが会議室に響いた。
「あー……そこ聞いちゃいますか。いやまあ、説明しなきゃダメですよね……」
あんま言いたくないなあ、と表情と雰囲気でそう語るちひろネキであった。
――再現VTR開始――
誘拐されて気が付いたら女になった上に天使っぽい姿で、更に滅茶苦茶強くなっていたちゃんみお(仮)、しぶりん(仮)、しまむー(仮)の三人は、こっそりと反乱を起こして見事拠点の制圧に成功した。
だが現在彼らは大ピンチであった、その理由は――
「……ダメです。何度計算してもこのままでは長く持ちません」
「マジかよ……くそっ! この身体、ここまでめんどくせーのかよ!」
「兎に角MAGを何とかしねえとロウソク・ビフォア・ザ・ウィンドだ」
――MAGことマグネタイト不足である。
天使――悪魔になってしまった彼らは活動と身体の維持にMAGが必要となる。
しかも推定高位天使である彼らは当然必要とするMAGの量も相応となり、拠点に備蓄された量では先が見えていた。
ならば当然MAGを集めねばならないのだが。
「ゲームと一緒なら悪魔を倒したら手に入る、なら悪魔狩りすればいい。サヴァイヴ!」
「でも下手に外出は出来ませんよ? 私達が反乱した事が余所にバレたらアウトです」
「だよなー。それに今のオレらだとそこらの雑魚狩っても赤字になっちまうんじゃねーか?」
迂闊に外には出れず、出かけたとしても狩りの出来る場所も分からない――ならば別の方法でMAGを用意するしかない。
そして、彼らはその方法を知っていた――過激派の信者や天使が捕虜相手にやっていたのだから。
そう、捕虜の女性達と激しく前後すればよいのだ!
「――嫌だ! 前世からの童貞は確かに捨てたいけどレ〇プで捨てるなんて絶対に嫌だ!!」
「そもそもオレら肝心のモノが無くなっちまってんだぞ!? どーしろっつーんだ!!」
「幾ら私でも初めてがレズ〇イプは勘弁して下さい! それとこれとは別問題です!!」
流石にそれはやりたくない三人は、頭を抱えつつ何か別の手はないのかと必死に考える。
その時、彼らの脳に酷い目に合わせても心の痛まない連中の事が浮かんだ。
そう、彼らが叩きのめして牢屋に放り込んだ過激派の事を。
彼らの存在を思い出した三人は――
「「「くぁwせdrftgyふじこlp!!!!」」」
――一時的狂気に陥った、SAN値チェックお願いします。
一頻り暴れて何とか一時的狂気から回復した三人だが、彼らを取り巻く状況は変わっていない。
MAG不足による肉体の消滅を防ぐにはMAGを手に入れるしかない。
そしてその方法は二つ。
プランA.捕らえられている女性達をレズレイ〇する。
プランB.イカレたメシアンとSEXして処女卒業する。
「「「――――嫌だああああああああああ!!!!」」」
「ヤダーッ! レズレ〇プもヤだけど処女卒業なんてもっとヤダーッ!! それこそ死んだ方がマシだ!――でも死ぬのはヤダーッ!!!」
「こんな極悪な二択見た事もきーた事もねーぞ!? 『う〇こ味のカレー』と『カレー味の〇んこ』のほーがマシじゃねーか畜生!!!」
「ボク女の子がスキなのー! おっさんはヤーなのー! 女の子にヒドい事するのヤーなのー!! おっさんとヤルのはもっとヤーなのー!!!」
三人はおもちゃ屋の前のオコサマめいて寝転がって両手足を全力でジタバタして暴れ回る!――内一人に至っては幼児退行まで起こしている、ブッダ! 何たるみっともなさか!
おまけに推定高位天使級の力で暴れているので床だのなんだのがエラい事になっていたが、それを気にする者も止められる者もいない。
三人が絶望的な状況に喘ぎ苦しむ中、ちゃんみお(仮)は無意識の内に救いを、誰かが道を示してくれる事を求めていた。
そして、ちゃんみお(仮)のニューロンに前世からの記憶に刻みつけられた残像が生まれる。
「オオー……! レッドゴリラ=サン! マスター・レッドゴリラ=サン!!」
健康の二文字も目映いガスマスクを付けた赤い装束の巨漢ニンジャ・レッドゴリラ*3の残像にちゃんみお(仮)が歓声を上げる中、レッドゴリラの幻影は、キリストめいてこう告げる……。
――何事も暴力で解決するのが一番だ――
ちゃんみお(仮)の迷いが消えた!
「最初にメシアンをファックすればいいという事か!」
「「お前は何を言っているんだ」」
突然とんでもない事を叫ぶちゃんみお(仮)に、錯乱中だったしぶりん(仮)としまむー(仮)も思わず素に戻った。
「ヒカエ・オロ!! 大事な事を思い出したんだよ! いいか、お前ら。よく聞けい!」
「――――MAGを手に入れる方法は、別にエロスだけじゃない」
「「あ」」
ちゃんみお(仮)が思い出したのはあまりにも初歩的な、あまりにも当然の内容であった。
「そーいやそうだった。メガテンⅢでも悪魔がマネカタボコって集めたりしてたもんな」
「あれはマガツヒですけど、確かに。そもそも悪魔が人を襲うのもそれが理由ですもんね」
そう、過激派連中が前後しているのを目撃した事と、前世で『悪魔とHな事してレベルアップ!』というSSやAA作品、やる夫スレ等で何度も見たシチュとの合わせ技による視野狭窄に三人は陥っていたのである――そしてそれに気付いたならば。
プランC.イカレたメシアンを生かさず殺さずでボコボコにする。
新たなるプランが生まれる訳で。
「……フィヒッ、フィヒッフィヒッ……フィーヒヒヒ!!」
「……ウィーハハハ、ウォロロロ……ヴォハハハ!!」
「カカカ…コココ…キキキ……カーッカッカッカッカ!!」
口角が吊り上がり、三日月の様な笑みを浮かべた三人の口から不吉な笑い声が漏れ出し、大きくなっていく――――人は、心から誰かを責め苛もうとする時、笑顔になるという。
この三人は、こんなでも誰かを痛めつける事が飯より好きなサドの類でも、吐き気を催す邪悪でもない。
しかし誘拐されて変なTS改造*4された挙句、年端も行かない子を含む捕虜にファックを繰り返す様な連中に慈悲や情けをかけられる程の博愛主義者でもなかった。
「竹林のタイガー、暁を知らず。そして俺の心はいまやベトコンですら失禁する程の残酷さだ!」
「今宵の虎徹は血に飢えておるわ……! ついでにオレの拳が血を求めている……!」
「捕虜の扱いはどうするか? 答えは四番目『とにかく拷問だ 拷問にかけろ!』です……!」
こうして新たな三人の殺戮者達が生まれ、不気味な笑い声と共にメシアンを閉じ込めた牢屋へと向かったのであった、まさにインガオホー。
――再現VTRここまで――
「――という流れだったそうです。あと捕虜の人達に一緒にやるか尋ねたら殆どの人が参加を希望した結果、霊視ニキが到着した頃にはああなってたと」
理屈は納得出来るし、当人達なりに必死だったのは分かるが何故こうもアレというか、残念な空気が漂うのか、掛け値なしに優秀なこの会議室の面々にも説明は実際難しかった。
「……捕まっていた人達とどうやって話し合いを? あの姿では正直交渉の取っ掛かりも難しかったと思うが」
会議室に来てから内心の怒りを押し殺していた琉球ニキが少し素になって尋ねる。
過激派と過激派の被害者と接する事の多い彼は、被害者が天使の姿へどんな反応をするかを良く理解していた。
「えー……曰く『四文字の腐れクソバカゴミボケイモ虫くさい■■が■■のおファッキン■■■■■■■■■■■!!!』と叫びながら聖書とホーリーシンボルの上でタップダンス踊ったら信じてもらえた、との事です」
「……捕虜に穏健派が居なくて良かったな、それ」
「そして捕虜の方達からは『少なくとも自分達を騙して何かを狙ってる様には思えなかったので話を聞く事にした』と証言が」
連中のアクションにエドニキが呆れと苦笑をない交ぜに呟き、続く捕虜の証言にエドニキの隣に座るフリスビーニキがおずおずと挙手。
「あの、それもしかしなくても『おバカだから少なくとも騙される心配はないと思った』を極厚のオブラートに包んで言ってますよね?」
「ノーコメントで」
フリスビーニキの何故か敬語でのツッコみに、ちひろネキは笑顔のまま押し切った。
なお資料には捕虜達と『メシアン達の金玉を蹴って1番スゴイ声を出させた人が優勝』という大会を開催して仲良くなったという三人の証言も載っていたが、ちひろネキは読み上げず、その事に言及する者も居なかった――――セクハラダメ絶対。
「霊視ニキとの会話からも
「私達の事は捕虜の中に居た名家や覚醒者の人が教えてくれたそうです。ただ、名前から明らかにカオス側っぽいから天使の姿になった自分達だと最悪始末されるのではと警戒した様で」
「あー……メガテンの知識があればそう判断するのも仕方はないか。実際間違ってないしな」
セツニキからの質問に淀みなくちひろネキが答え、メガテンシリーズの天使の評判から無理もないと黒医者ニキが困った顔で笑う。
「でもずっと隠れたままでも居られないから何とかしようとしていたみたいです。私達があの拠点に気付いたのもそれが原因でした」
「……どういう事だ?」
そういえば『先に見つけられた』と言っていたなと霊視ニキが出会った時の事を思い出しながら尋ねる。
「そのままだと助けてもらえるか分からない、だから降伏した司祭を使って過激派から物資やお金、情報を集めて手土産にする計画だったと」
「成程、我が気付いた金や物の妙な動きはその結果だった訳か。だが随分と運頼みな真似をしたものよ、もし暗号等で外部に漏らされたら終わっていたぞ」
「……」
三人の強運、または悪運に驚いた様なギルニキだが、ちひろネキは無言。
皆の不思議そうな視線が集まった事で諦めた様に語り出す。
「それがトップだった司祭が……えー、何度も三人が……
「「「「「「「「うわぁ……」」」」」」」」
「それで、すっごく嫌だったけど背に腹は代えられないと仕方なく……交代で、時には三人で蹴っとばして言うこときかせていたそうです」
「そりゃあまあ嫌でしょうねえ……元が男なら尚の事」
「三人も『目覚めて』たら、お互いにWin-Winだったのに」
顔の赤いちひろネキに探求ネキが苦笑し、ミナミィネキは冗談とも本気ともとれる言葉を漏らした。
そして同時刻、あるナマモノ作家が降って湧いたインスピレーションに従い『ニュージェネレーションズに嫌な顔されながら金玉蹴ってもらいたい』というタイトルのウスイ本の執筆に取り掛かったのは別の話。
◇
「結局天使の意識が表に出てこない理由に繋がる様な情報はなし、か」
ちひろネキの説明が全て終わった所で静かにショタおじが呟く。
三人が捕まってから霊視ニキに出会うまでの一連の流れは全員が把握した。
一々内容がコントか何かみたいな点は置くとして、肝心の何でこんな状態になっているのかという点は不明なままであった。
「天使が自分の意思で引き籠もってるんじゃないのー? ウチのシオリっちとサリエルみたいに」
「一番確実なのはそれだね。でもそれだと今度は天使がそんな事をする理由はって話になる」
「有り得るのは天使側が望まないのに無理やり召喚されたって場合だが」
「ないな。召喚された時の状況からも最初から過激派に協力するつもりだったとしか思えねえ」
カス子ニキの意見に答えながらのショタおじの発言にセツニキが例を上げ、霊視ニキが否定する。
暫しの沈黙の後、ショタおじは決断的に告げた。
「このまま話し合いを続けても埒が明かない。天使自身に話を聞くべきだろう」
三人を取り込んだ筈の天使達に話を聞く――勿論暴力的手段を含む、寧ろそっちが本命――というショタおじの言葉に、他の面々にも肯定の雰囲気が広がる。
集められた面子――特化した霊能を持つ者、医療関係の専門家、対過激派のプロ、魂の扱いや術に長ける者、三人の人格がプログラム的な疑似人格であった場合のプログラマーや技術者――からもその流れは確定路線だと皆理解していた。
こうして、ショタおじ達はニュージェネ(偽)の三人の奥に潜む天使達の魂を引っ張り出しに掛かった。
そして全力の抵抗を跳ね除けて天使達を引きずり出したショタおじ達の前に現れたのは――
『や、やめろーっ!! 我を目覚めさせるなあ! この者との融合が進んでしまうー!!』
『神の教えや聖句をじわじわと忘れていく! 代わりにゴミみたいな情報が流れてくる!!』
『女の子同士、イチャイチャ、百合、エロス……あああ! 頭の中にソドムとゴモラがあ!!』
なにこれ
バイオハザ〇ドとかのもう助からん人みたいになった天使達の魂だった――――この瞬間ショタおじ達の心は紛れもなく一つであった。
――ショタおじと黒札達尋問&調査中――
「えー、話を順番にまとめると。まずあの天使達は元々現世に行くチャンスを伺ってて、これ幸いと過激派に協力するつもりで召喚に応じた」
天使連中に洗い浚い吐かせたショタおじが何とも言えない表情でハナを切る。
「そしてあの三人の魂を取り込んだ。曰く『魂が小さいから簡単に取り込めた。なのに力は強いから当たりを引いたと思っていた』とか抜かしてたな――まあそれが落とし穴だったんだが」
器用に天使の声と口調を真似たセツニキが苦笑交じりに告げた。
高位天使を召喚可能な力を持った魂なら、本来のサイズ感は例えるならばジャイアントポッキー、一方あの三人の魂のサイズ感は森永のチョコボール。
言うなれば一口でぺろりと飲み込まれてしまったのである、だが――
「そして完全に魂を取り込んだ後で、天使達は自分達の状態に気が付いた。自分達が影響を――――いえ、浸食を受けている事を」
探求ネキの言う通り、取り込んだ魂からの影響は天使達が気付いた時点で最早手遅れであり――――平たく言うと、どんどんおバカになっていく自分を自覚した。
「高位の悪魔なら魂を切り離すぐらいはやりそうだと思うが、それはやらなかったのか?」
「まあ難しいだろうな。人に例えると飲み込んだ直後やまだ胃の中の食べ物なら吐き出せる。だが胃で消化され、腸で吸収された後でも吐き出せるかという話だ」
「彼らの魂をなまじ簡単に取り込めてしまった事が、逆に仇となったという訳か……」
エドニキの疑問に黒医者ニキが人に例えて説明し、聞いていたフリスビーニキが溜息を吐く。
もしも三人の魂が本来あるべきジャイアントポッキーサイズなら一口でぺろりとはいかず、結果事前に気付く事も出来ただろう。
だがそれはもしもの話、そうはならなかった、ならなかったのである。
「結果、浸食が進んで自分の名前も分からなくなった穢教鳥共は、自分で自分を封印する事でこれ以上の影響を食い止めようとしたと」
「……卵の状態が一週間続いたのは浸食を防ごうと抵抗していたからか……天使共が自分を封印したから、卵から出た時点であいつらの意識が戻ったんだな」
「天使としての部分を徹底的にかき集めて魂の奥に引っ込んだ結果が、あの羽やヘイロー以外天使らしさの欠片もない天使の誕生、という事か」
自分でも初めてみたケースに琉球ネキは腕組みして考え込み、霊視ニキも納得は兎も角理解は出来たという顔をし、くそみそニキが例え狙ってやってもまず起きない事象に苦笑いした。
彼らの魂は、悪魔も飲み込めぬ程の大きさも、悪魔を逆に乗っ取る程の強さも、悪魔の考えを変えさせる程の輝きも無かった――――でも
樽一杯のワインにスプーン一杯の汚水を注ぐと樽一杯の汚水になってしまう、古事記にもそう書いてある。
「だが我が思うに、天使共なら気にせず我達に襲い掛かってきてもおかしくないのではないか?」
「そう言われてみると確かに……改心したり過激派を止めたという訳ではないみたいですし」
「うーん、ロボット染みた下位の天使ならそうなんでしょうけど、高位の天使って基本みんなプライドバカ高いですから」
過激派連中の普段の振る舞いからギルニキは引っ込んだ事を不思議に思い、ちひろネキも賛同し、ミナミィネキは天使相手での『色々な』経験から有り得る事だと判断する。
他の黒札達もあれこれと意見を出し始める中、カス子ネキが授業中の生徒の如く手を上げて発言した。
「ならば! このあたしが一言で説明して進ぜよう! あの天使連中の状態ってつまりは――」
「――――首領パッチエキス*5食らった様なもんって事」
「「「「「「凄く良く分かった!!」」」」」」
そりゃー自分を封印する訳だと心から一同は納得し、宣言通り一言で説明してみせたカス子ネキであった、ワザマエ!
◇
「彼らの現状とその理由は分かった――――その上で、結論は変わらない」
静かに告げたショタおじの一言に会議室の雰囲気が、ぴんと張り詰めたものとなる。
「天使達は確かに魂の奥底で眠っている、でもあくまでも主導権は悪魔の側にある。もしも天使達が考えを変えれば、その時点でガイア連合内部に突然過激派の天使が生まれる事になる」
ショタおじの言う通り、天使達が同化する覚悟を決めた時点で例え言動はアレでも紛れもない過激派の高位天使が生まれてしまう。
そうなればどうなるかは考えるまでもない。
ショタおじは無論の事、幹部や修羅勢からすればどうにでもなる相手だが、未覚醒や覚醒したて、低レベルな黒札にとって高位天使との遭遇はほぼ死と同義である。
沈黙したままの皆の意識が一点に集まる。
しくしく、さめざめ、えぐえぐ、うえっく、ひっく、うぐぅ、ぐしゅっ
其処には件の三人が部屋の隅に寄り添うように集まって咽び泣く姿があった――ガワがガワなのでドラマとかのワンシーンみたいになっている、やはり美少女は得。
現状を正確に理解しているとは言い難い三人だが、それでも会議室に漂う雰囲気や幹部達の様子、何よりショタおじの目とオーラである程度の事は分かる。
自分達が、助けても、見逃しても、逃げさせてももらえない、という事を。
「ナンデ……ナンデ、ふざけて鞄を投げただけなのにこんな事に……ブッダもアラーもアマ公も皆寝ちまってるのかよ……」
「チクショー……童貞のまま死んで、生まれ変わっても童貞のまま死ぬとか生物どころか存在として間違ってるよなー……」
「こんなことなら……こんなことになるのなら……例えヤラれる側でも、この身体でハジメテを経験しておくんだった……」
彼らも誘拐され、改造され、イカレた奴らに囲まれ、それでも何とか生き延びようと必死だったのだ――連中なりに、連中なりに。
そして自分達と同じ転生者の集団に出会い、これで漸く助かったと思った矢先での処刑宣告となれば泣きたくもなるだろう。
言動のせいで雰囲気がシリアスに成りきらない点がガワと噛み合ってちょっと脳がバグりそうな光景になっていたが。
ああ、もうだめなのか、三人はカイシャクされてしまうのか!
コン、コン、コン、コン。
その時!奥ゆかしい四回のノックの後に静かにドアが開かれる!
新たな黒札のエントリーだ!
「――すみません。失礼します」
部屋に入って来たのは小柄な巫女服姿の少女、姫路支部支部長・破魔ネキである――その胸は平坦であった。
会議室の全員の視線が集中する中、破魔ネキは落ち着いた様子で告げる。
「ショタおじに言伝というか、橋渡しを頼まれまして……今回の件で天使状態の三人について、至急話し合いがしたいと。お互いにメリットのある話だそうです」
こうしてアワレな三人の前には、全く予想しない形で予想もしない相手からの救いの蜘蛛の糸が垂らされたのである。
―以下どうでもいいバカ共の設定―
・ニュージェネレーション(偽)
まだペ天使3ちゃんズではない天使状態の三人。
作中通り天使を乗っ取ったり考えを変えさせる様な魂や精神の強さはないが、影響を残す程には人間性という灰汁が強かった事で結果的に精神の消滅を免れた。
別世界では人の器の小ささで早期覚醒したが、この世界では魂の小ささで九死に一生を得た悪運の強い連中。
この世界ではしまむー(仮)=クロマニキが人魚ネキの流出動画の情報を入手出来なかった事で、ガイア連合を知るのが遅れてしまった結果が三人の運命を変えた。
レベルにして40代と別世界の三馬鹿ラスと思えぬ高いレベルだが、これは腐っても『俺たち』の魂を使って召喚した高位天使のボディだから。
きっともっと普通の『俺たち』ならもっと高レベルの天使が呼ばれていた筈である。
口には出さないが、自分達がここまで強いのなら即メシアンを叩きのめして捕虜の人達を助ければ良かったと思っている。
過激派拠点で周囲から情欲のこもった視線を浴びたり司祭に金蹴りを求められた事で、過去の自分達の言動を少し反省した模様。
・高位天使
予想外にも程がある展開で自分の名前も分からなくなったアワレな奴ら、でも過激派につくつもりだったのでインガオホー。
他に先を越される前にと急いで召喚され、一刻も早く活動しようと即魂を取り込んでと焦った結果なので自業自得、急ぐと死ぬとミヤモト・マサシも言っている。
同化すれば言動は兎も角過激派として活動は出来るので、ガチ過激派がこいつらを見たら多分神への信仰が足りないとキレる。
・司祭
三人が連れて来られた拠点のトップでデブ・ゲス・スケベ・ハゲの揃った碌でもないおっさん、しかし無能ではないので性質が悪い――レベルは真女神転生Ⅱのジエレーターから。
もし天使状態の三人が召喚時に即暴れた場合、三人が戦闘経験無しな点と部下や天使との連携で互角に持ち込める程のカラテの持ち主、だが倒した。
インガオホーで新たな扉を開いたが、三人を心底キモがらせ、彼らのメンタルにダメージを与えた。
・ショタおじ&黒札の皆さん
三人の人格がプログラムみたいに疑似再現されたものという可能性も警戒していた。
記憶も意識も人のまま天使にされた高校生ぐらいの『俺たち』の調査とその後の処刑に内心思うところがある良い人達。
会議の内容が内容なので真面目に取り組んでるのに、バカ共の言動がアレなせいで真面目な雰囲気になりきれないでいる。
という訳で三人の現状とそうなった理由でした、感想でも書かれてたし多分皆様の予想通りだったかなあと。
まえがきの通り本来ならガイア連合に所属するまでの回の予定でしたが、また書いてる内に長くなったので分割しました。
FAで脳内イメージが沸きやすくなった為なのか想像以上に筆が進みました。
なんかガワのせいか普段より脳内でのアクションが想像し易いというか、見苦しくないというかw
次回はきっと多分ガイア連合に所属するまでです、気長にお待ち頂ければ幸いです。
それでは、最後まで読んで頂き誠にありがとうございました。