【カオ転三次】幼女ネキの謎を解明するため、黒札調査隊は宮城県の奥地〇〇町出張所へと向かった――。 作:貧弱一般メガテンプレイヤー
今更ですがこのシリーズ(?)のコンセプトは「少し三次主人公っぽくなった三馬鹿ラス」だったり。
また初回に普段の内容とは異なると書いときながら何時ものノリでしたが、今回から少々変わってきます。
あとまた書いてる内に伸びたので長いです。
マカーブル様とまたネタがちょっとだけ被ってて草。
狙ってないのに何故か起こるのが不思議w
相変わらずバカやってますのでニュージェネレーションズのファンの方はご注意ください。
ガイア連合山梨支部・事務所。
一見地味だが制作部と並ぶガイア連合の要と言える場所は、今日も多くの人が訪れていた。
そんな中、周囲の注目を集める四名。
元ネタが同じで、ルックスも良い女性がニコニコと笑顔なら、目立つのは当然と言えた。
一人はガイア連合幹部にして事務所のトップ、千川ちひろな容姿のちひろネキ。
輝かんばかりの笑顔に、修羅が如きオーラとピクピクと震える青筋が実にセクシーだ。
他三人はペテン使3ちゃんズを名乗る、それぞれ本田未央・渋谷凛・島村卯月な容姿のペテン使1号、2号、3号。
引き攣った笑みに、紙みたいな顔色と正座のままガクガクと震える身体が実にプリティだ。
つまり、何時ものキレたちひろネキによるおバカ達へのお説教タイムであった。
「――またやりましたね、貴方達」
東北の冬よりも冷たい言葉にびくっと3ちゃんズが身体を跳ねさせる。
この三人、以前失敗したメシア教会での『レッツゴー陰陽師!』のライブに別の穏健派支部で再びチャレンジし、見事に再び失敗していた。
「まず、今回はどうやって侵入したんですか? 教会は見張りが居た筈ですが」
当然、穏健派側もしょーもないイタズラを繰り返すこやつらを警戒し、見張りや見廻りを行っていた。
その問い掛けに3ちゃんズは怯えるのを止めて、ふっと笑う。
「確かに居ましたが……『もう大丈夫』そんな緩んだ気持ちの見張りでは意味はありません」
「ミサの後はすっかり油断してたかんな、あれなら出し抜くなんざラクショーだぜ」
「ミサの後?……あ! まさか貴方達……ミサが終わってから忍び込んで、次回のミサまでずっと協会に隠れてたんですか!?」
「外にばかり目を向けて内への意識を捨てるなどウカツ極まりなし! 度し難きオロカモノよ!」
100人中、99人が愚かなのはお前らだと言いそうな発言をドヤ顔で宣うおバカな三人――ガワのせいで見た目だけは微笑ましいドヤ顔なのがホント詐欺である。
なお、そこまでしたのに肝心のミサが神父の急病で中止。
それを知らずに光の柱と共に降り立った3ちゃんズの前に居たのは教会に預けられていた子供達ばかり。
子供相手では『レッツゴー陰陽師!』も意味がなく*1、逆に子供達の『天使様あそんでー』という声を断れず、歌のお姉さんよろしくみんなのうたを歌ってやってる所を見つかって逃走した3ちゃんズであった。
「という訳で、今回は未遂で終わったのでケジメ案件ではないのでは?」
そう言って無罪を訴える1号を冷ややかな目で見たちひろネキだが、はあ、と息を吐くと答える。
「でもミサが中止じゃなかったらやってましたよね?――まあこの件はよしとしましょう」
「「「さっすが~、ちひろネキは話がわかるッ!」」」
歓声を上げて立ち上がる3ちゃんズだが
「――――それはそれとして、貴方達また下着姿になって逃げましたね?」
続く絶対零度のちひろネキの言葉に凍り付いた。
逃げる時、以前やって超怒られて使用を禁じられたオペレーション『ゴディバ・アソートメント・マタイ』をまたやったのがバレていたのであった――というか何故バレてないと思うのか。
「ま、待った! ちひろネキ、これには深い理由が! 実際深い!」
「どんな理由です? 言っときますけど『地面に服を撒く会』の会長だからなんて理由だったら――分かってますね?」
「……や、やだなあ。そんな訳ないじゃないですか、ねえ?」
「お、おーよ。んなワケねーって、あ、あはははは……」
その場の全員からそう言おうと思ってたんだと気付かれる程目が泳いで挙動不審な3ちゃんズ。
しかし、今回彼らが用意した言い訳は一つではなかった。
「百聞は一見に如かず、これを見てほしい。じゃ、せーの」
1号がそう言って2号、3号に合図を送ると
3ちゃんズは一斉にブラウスのボタンを外してガバッと前を広げた。
「ちょ! 何してるんですかー!!!」
驚きと怒りの混じったちひろネキの大声が響き、周囲から『おおっ!』と歓声があがり男共の視線が晒された3ちゃんズの白い肌へと集中する。
「ふっ、ウナギにドジョウを一匹混ぜる者あり。ならばウナギにはかえって手を抜くべからず、というが、やはり気付かぬか」
「まー仕方ねーさ。もし逆だったらオレらだってきっと分かんねーだろうしよ」
「何を言ってるんですか!? それより早く前を隠しなさい!!」
「まあまあ平常心ですよ、ちひろネキ。落ち着いてよく見て下さい、ほらこの辺とか」
ニコニコと笑みを浮かべて首の辺りを指差す3号の言葉に、怪訝な顔をしたちひろネキがそれでも注視すると。
「……? 線が見える……あ! これ、もしかして肉襦袢?」
「その通り! これぞ俺達が寝る間も惜しんで昼寝しながら作ったスーパー肉襦袢! 実際リアル!」
「モデルっつーか、資料はいくらでもあったからな! 見た目じゃぜってーに気付かれねーぜ!」
「メシアンが正体知らずにコレでオナっているとか大爆笑ですよ! ちなみに名前は『
実に見事なドヤ顔でネタバラシした3ちゃんズ。
実際ホントに近付いてじっくり見ないとまず分からない、見事なワザマエで作られた肉襦袢であった。
なお、周囲からは『えー!』『騙されたー!』『チクショー金返せー!』といった失望の声が一斉に上がる。
何とも言えない表情になったちひろネキだが、ある事に気付く。
「あの、参考元に困らなかったって、何を――いえ、誰を参考にしたんですか?」
その質問に無言で見つめ合う3ちゃんズ。
そして1号が無言で2号を指差し、2号は3号を指し、3号は1号を指し示した。
暫し沈黙が続き――
「それじゃあ何の意味もないじゃないですか!!!」
――ちひろネキが大爆発した。
「ええー!? 裸と裸みたいな服は違うのでは!? 俺は訝しんだ」
「ちゃんと服着てるし裸だって見せてねーのに理不尽だー!」
「裸の人がプリントされたTシャツみたいなモンじゃないですかー!」
「だまらっしゃい!!! そこに正座!」
横山孔明ばりの一喝でおバカ達を黙らせたちひろネキだった。
「てことは、首から上を順にずらすと、ニュージェネの上半分の裸身の再現に」
「おいお前、写真まで取ってたのか? 流石の俺でもそれは引くわ」
「そこまでやるぐらいなら、最初からコラ画像作った方が早くねえか?」
始まったお説教を見ながらそんな会話を交わす男共を、周囲の女性陣がゴキブリの死体を見る目で見ていたとか。
――ちひろネキお説教中――
燃え尽きた様にぐてー、とドゲザ染みた姿勢で床に突っ伏している3ちゃんズ。
別世界同様ちひろネキの説教はこやつらにとって『こうかはばつぐんだ!』なのである。
全くもう、と呟いたちひろネキが自分の机から持ってきた書類カバンの口を開け、中に手を入れた。
その瞬間、突っ伏していた3ちゃんズが顔だけ上げてじっとカバン、否ちひろネキの手を見つめた。
視線は何処か無機質で、三人の瞳もガラスの様に機械めいている――そんな連中らしからぬ様子に気付いたちひろネキは、カバンの中が見える様に向きを変え、ゆっくりとした動作で書類を取り出す。
再び顔を伏せぐてー、とした雰囲気に戻った3ちゃんズに微かに顔を顰めたちひろネキだがすぐ表情を戻すと決断的に告げる。
「さて、分かってますね? 何時も通りペナルティを受けてもらいます」
「「「うえー……働きたくないでござる、絶対に働きたくないでござる」」」
げんなり顔で身を起こした3ちゃんズは書類の内容――塩漬けになった依頼一覧――に全力で嫌そーなアトモスフィアを纏い、せめてもの抵抗かボソボソとニート宣言をする。
ガイア連合に入ってから、色々とやらかしまくった3ちゃんズは、何時しかその罰としてこういった誰もやりたがらない依頼をさせられるのがお約束になっていた。
そんな彼らにちひろネキは笑顔で別の道を提示する。
「それなら別の案件にしますか? ちょうどミナミィネキから貴方達を指名した依頼が――」
「「「全力でこちらの依頼に取り組ませて頂きます!!」」」
即座に真剣な顔で少しでもマシそうな依頼を探し始める3ちゃんズ。
こやつらがガイア連合に参加し、検査が終わって初めての自由時間。
山梨支部の施設の説明を受けた三人は、その直後全速力で駆けだした。
その行き先は――――女湯であった。
まあ女湯に行くのは間違いではない、寧ろ現在の外見で男湯に入る方が問題であろう――連中の内心の邪欲を考えなければ。
レベルだけなら修羅勢一歩前な覚醒者の全力で走る三人の瞳は夜空の星々が如くキラキラと輝いており、
こうして彼らは男にとっての永遠の憧れ、
うきうきわくわくで入った脱衣所も女湯にも人っ子一人居らず、ちょっとガッカリしたが、誰か来るまで待とう、何時間だって居よう、いやもう寧ろ此処に住まないか?と湯舟に浸かる3ちゃんズ。
そして入口の引き戸が開き、キター!と期待に満ち溢れた瞳の3ちゃんズの前に現れたのは――
「あら、貴方達でしたか。奇遇ですねえ、ふふふ……」
――妖艶な笑みを浮かべる、ガイア連合最強のエロス・ミナミィネキであった。
「「「ンアーッ!!!」」」
女湯の近くで、欲望丸出しのTSしたての元男が中に居ると知り、入るのを躊躇い様子を見ていた女性陣の耳に、絹を裂くような変な悲鳴が響く。
女性達が一体何がと驚く中、女湯から猛然と飛び出してくる三つの人影――――殆ど全裸の3ちゃんズであった。
「「「くぁwせdrftgyふじこlp!!!!」」」
掴んだバスタオルや服でかなり際どいが何とか大事な所を隠した3ちゃんズは、周囲が止める間もなく、錯乱した様子で女湯へ突撃した時以上の猛スピードで逃げていった。
こうして突如行われた見た目だけはJKアイドルな三人によるストリーキングに、山梨支部は大騒ぎになり、3ちゃんズが滅茶苦茶怒られたのは言うまでもない。
こうして危うくメスオチ&わからせコンボを食らいかけて以来、3ちゃんズにとってミナミィネキはちひろネキとは別ベクトルな天敵であった。
――閑話休題――
自分達にとってマシそうな依頼を目を皿にして探している3ちゃんズ。
そんな中、ピクッと何かに反応した1号が即座にその場に腹這いになって耳を地面に付ける。
スカートを全く意識しない体勢にちひろネキが注意するより先に、1号が叫んだ。
「――コードN!」
2号、3号も顔つきが変わり、1号はダッシュして入口から一番遠い窓を全開にするやいなや跳躍!
天井に張り付くと器用に天井板の一部をずらして天井裏へと身体を滑り込ませた。
最後に顔だけ出して口元に人差し指を縦に当てる――所謂しーっ、のポーズをちひろネキや事務所の人達に繰り返すと引っ込んで天井板を元に戻し身を隠す。
思わず天井を見ていたちひろネキが視線を戻すと、何時の間にか2号、3号の姿も消えており、事務所に暫しの沈黙が訪れた。
そんな中、入口が開き事務所へと入って来たのは――
「あの三人、3ちゃんズなんて恥ずかしい名乗りをしてる彼女達が来てるんでしょ? 呼んで来てよ、話があるんだから」
ガイア連合ではある意味かなりの有名人――あまり良くない方の――にして
「……何度も言いましたけど、無理な勧誘は止めて下さい。三人共その気がないどころか、明らかに嫌がってるじゃないですか」
「あのさ、個人の自由は免罪符にならないんだよ? ましてまだ子供な彼女達をそんな理由で放っとくなんて方が遥かに問題だって分からないかな。そもそも碌な経験もないままで高いレベルになった覚醒者に適切な指導が必要なんて事は――」
至極真っ当なちひろネキの注意に、立て板に水の見本みたいな勢いで言葉を返すノンデリニキ。
覚醒者なので息継ぎの要らない無呼吸連打ならぬ無呼吸発言は、一瞬の間も空かない、反論のタイミングもクソもない、相手が呆れ無言となるまでノンデリニキの発言は止まらない!
しかし無呼吸発言中に、視界に映った空いた窓を見たノンデリニキは会話*2を止めた。
「ああ、そういう事。仕方ないなあ、暫く山梨支部に居るから、彼女達を見つけたら僕か僕の友人達に教えてよ、それじゃあ頼んだよ」
ちひろネキの返事も待たずに用は済んだとばかりに事務所を出ていくノンデリニキを、ちひろネキは無言で見送る――言いたい事はあるが、出てってくれるならいいかと妥協して。
そしてノンデリニキが去ってから暫し沈黙が続いていた事務所が、再び様々な人達の会話や作業音で満たされてから、更に暫く間が空いた後。
「――よし、行ったか。隠密重点」
「マジしつけーよな、あのオッサン」
「全くです。訴えたら多分勝てますよ」
天井から降りてきた1号が音もなく着地し、掃除道具ロッカーの中から2号が現れ、ちひろネキのデスクの足元空間から3号が出て来た。
「どーする? あの様子じゃあとーぶんの間、この辺うろついてそーだぜ?」
「バックれる。逃げる戦士は追う戦士より遠ざかるので致命傷は受けにくいとミヤモト・マサシも言っている」
「それが良いですね。暫くの間何処かに逃げてほとぼりを冷ますのが上策でしょう」
2号が面倒臭そうな顔でぼやき、1号がコトワザを決断的に語り、3号が笑顔で頷いた事で3ちゃんズの方針決定会議は終了、その間僅か1分。
「そういう訳でちひろネキ。依頼はコレとコレとコレやるんで、その為に俺たち暫く空けるんで後はヨロシクオネガイシマス」
「あ、はい。ではお願いします……戻ってからでいいですから、報告書もちゃんと出して下さいね?」
「「「……はーい」」」
手早く遠方の依頼を1号が選び、そのまま出ていこうとした3ちゃんズに、しっかりと釘を刺して『聞いてなかった』という言い逃れをきっちり防ぐちひろネキ、流石高い偏差値!
「――よし! ではこれより宿舎までのスニーキングミッションを開始する! 総員ぬかるなよ!」
「うぇーい」
「はいはい、分かりましたよ。ではちひろネキと皆さん、私達は失礼しますねー」
やたらハイテンションな1号を先頭に、なんかクールっぽいが実際はぼーっとしてるだけの2号が続き、最後に苦笑した後でちひろネキや他の黒札に笑顔でアイサツした3号が出て行った――何処からか取り出した唐草模様のほっかむりを装備して。
そんなおバカ達の背を無言で見送ったちひろネキが、深々と溜息を吐き、様子を見守っていた部下達が苦笑しつつ、お茶をデスクに置く。
「お疲れ様です、ホントに」
「……ありがとうございます」
「いやー、凄いですよね。ウチに来てからずっと『ああ』なんだから」
自分の席に戻ってお茶を啜るちひろネキに別の部下が笑いながら言った。
彼の言う通り、3ちゃんズはガイア連合に参加してからずっとあんな感じである。
いきなりかましたストリーキングを皮切りに、色々とやらかしまくり、ガワもあってあっという間に有名になった3ちゃんズ。
まずTSした元男という事で彼らもガイアニのアル部長の元で色々と女性の勉強をする事になった――加入した途端にストリーキングかます様な連中には絶対に必要と強制であった。
普通のTS俺たちが前世を思い出すまで曲がりなりにも男や女として生きていたという経験があるのに対し、3ちゃんズは前世・今世もずっと男で、いきなり女になったと前提が異なる。
――が、そんな境遇を加味しても、こやつらはド級の問題児であった。
着るのは男時代のジャージやスエット、下着はそのままブリーフやトランクス、ブラ?ある訳がない。
大口開けて大あくび、座る時は胡坐、髪洗う時はシャンプーオンリー、堂々と人前でぼりぼりとケツを掻く。
普段アルネキの教えるマナーや下着選びにメイク等、九九の出来ない相手に連立方程式を教えるに等しかった。
それでもアルネキは頑張った、ちひろネキやミナミィネキ等に協力を仰いでほんとーに頑張った。
「女の服選び……そんなの、一部のモテ男のスキルでは? 俺は訝しんだ」
「んーな事オレらが分かるわけねーし、覚えられる自信もねーし」
「そんなスキルあったら童貞やってないって話ですよ、ねえ?」
「「「全くそのとーり! あっはっはっはっは!――ゴブハァ!」」」
「と、吐血!?」
そんな自爆気味の言い訳、否自爆した連中に、元ネタあるのならそちらを真似すれば良いのでは?という気付きを与えて何とかして。
「それ昨日も着てたわよね? 服は毎日替えろって言ったじゃない」
「え、替えてますけど。昨日着てたのはうっかりカレー零してクリーニング中でして」
「――へ?」
「同じ服を七着買いました。これで一日毎に替えて一週間大丈夫です!」
着たきり雀するので注意したら、同じ服複数買って毎日服変えて同じ格好する様になったり。
「優しく手洗いねえ……めんどーくせーなーホント。ん? どした1号」
「男だった頃はあんなに美を感じたのに、いざ自分が身に着けると全然何も感じないなと」
「……確かに。なんかそう考えると、色々と悲しくなってくるよなあ……」
「ちょっと貴方達! 何て場所で何て物を洗濯してるのよ!?」
下着の手洗いを指導したら、タライに入れた下着を外から丸見えの宿舎の庭で堂々と洗っていたりで頭を抱えたが。
その後、三人*3で相談し、ガワの良さを活かしてお洒落の楽しさに気付かせる方向に持っていった事で、どうにか服装問題は何とかする事に成功。
見た目だけはアイドルなこいつらの、メガテンならばとやったアリスやモーショボーのコスプレは大いに好評を博し、アルネキもこういうのならと安堵した。
しかし、3ちゃんズがお洒落の楽しさではなく『この外見でこんな格好したら面白そう』という方向に行ってしまったのは彼女達の大誤算であった。
こやつらが見て見てとハゲヅラ・チョビ髭・丸眼鏡・白シャツ・ステテコ・腹巻という完全装備且つ自信満々な笑顔で現れた時は、アルネキは見事且つ盛大な足ズッコケを披露し、ちひろネキは完全に時間停止、ミナミィネキですら何時もの笑顔を引き攣らせたとか。
今後余程の事がない限り『アルネキを苦労させたTS生徒ランキング』の同着3位までの座は不動であろう。
勿論それ以外でも連中のやらかしは止まらない。
全く縁が無かったからと普通モードの修行に乱入し、座禅中の人達の前で華麗なヒゲダンスを付け髭・タキシード装備の上で披露――ガワのせいか、結構ウケていた――したり、神社で雑巾がけトライアルをスカートのまんまやってアレな方向で大いに盛り上げたりした――勿論後で怒られた。
「はーい、3号の負け。罰ゲーーム! 押さえろ2号」
「3号のちょっといいトコ見て見たいー♪ それイッキ! イッキ!」
「や、やめてっ! せめてイナゴで! 見るからに毒持ってそうな毛虫はやめ、ぬわーーー!!」
「ちょっと君達何してるの!? やめなさい!」
なお、虫食い罰ゲームをやろうとした時は周りに止められたらしい。
まあしぶりんに羽交い絞めされたしまむーがちゃんみおに毛虫を口に入れられようとしているとかそりゃ止める。
訓練場にて繰り広げられる三つ巴の戦い。
高速で距離を詰め、または離してと速度を活かした稲妻の如き戦いを行う1号。
荒削りで型のない剣ながら、実戦を繰り返す事で磨かれた技と力で押し潰す2号。
豊富な魔法で遠距離戦を主軸とし、されど近距離戦でも決して無力ではない3号。
そんな激しくも、何処か美しさすら感じられるニンジャの、もとい覚醒者のイクサ。
「貴様ーッ! ふたなりはふたなりであって男ではない! 故に性交に必要な竿は必須だが玉は不要なのだと何故分からん!!」
「ぬかせい! 棒と玉揃ってこそのチ〇コであり肉刀! 弓と矢と同じ不可分な存在という事実から目を逸らすな!!」
「手持ち出来たり自立式の方が色々対応出来るしプレイの幅だって広がってお得で1.5倍は興奮するでしょうが!」
そのイクサの理由は、あまりにも酷かったが。
下ネタ以外でも、ジャイアントロボの真の主役は戴宗兄貴か衝撃のアルベルトか銀鈴かでバトルをするのだから、力と技と魔法はきっと泣いている。
「やはり古来より伝わる相手を虜にするマジカル・チ〇ポこそ原典にして至高ではないか?」
「でもよー、あれ洗脳みてーなもんじゃね? 基礎を大事にするほーがよくね? 持続力とか」
「それは普通の方法でも可能です。なら魔法でしか出来ない方面を選ぶべきでしょう、分裂の様な」
更に、将来自分達に生やす予定の『僕の考えた最高で最強で無敵な理想のチ〇コ』について熱く議論したりと最早言葉も出ぬ程にスゴイ・アレであった――人前でやるなと霊視ニキにゲンコツされるぐらいに。
また元々歌ったり踊ったりが割と好きな三人であったが、ガワの影響なのか更に歌ったり踊ったりする様になった。
まあそれだけなら別に問題はない。
ジャイ〇ンみたいな音痴なら兎も角、元々無駄に上手かったのが、ガワのせいか更に上達していたからだ――1号に至ってはギターまで買ってきて演奏する程だった。
しかし、そのチョイスに色々と問題があった。
ノリとその場の勢いで生きてるタイプのおバカ達である。
普通の歌も歌うし、まともな踊りも踊るが、アレな歌や踊りも勿論やった――寧ろ、やらない筈がない。
「Fカップ好きは自分に素直♫ 思ったことを~隠せない~♪ でも理想と現実だいぶ違うから♫ 夢から覚めなさい~♪」
「湧~き上が~れ~よ♪ Hi-Ero粒子~♬ フルチャージで挑~め~♪ 唸るリビドー力に変えろ~♫ 健全ロボ、ダイミダラー♫」
「あ~る日金太が歩いていると、美しいお姫様が逃げててきた~♪ 悪い人にネェ~ 今おわれているの~♫ 金太守って、金太守って、キンタマ モッテ~♪」
バスト占いの歌や、健全ロボ ダイミダラー、金太の大冒険をノリノリで歌うニュージェネは、控えめに言っても色んな意味で台無しである。
また歌や踊りに夢中になった事で天使の羽根や天使オーラをうっかり出す事もあり、天使アンチ・ヘイト系の俺たちから『聖歌なんか聞かせんな!』『天使の踊り見せんじゃねえ!』と難癖つけられた3ちゃんズが『うっせー! 聞いてと頼んだ覚えはない!』『誰が天使だコラァ!』『金太の大冒険が聖歌になるか!』と怯まず反撃して乱闘騒ぎを起こす事も何度かあり事務方の頭痛の種であった。
「そして遂にあれが起こったんですよねえ……」
「まあ避けられない事態でしたよね、あれ」
「絶対何時かああなるって思ってました」
「なら防がないと駄目なんですけど?……どうすれば防げたかは、私も分かりませんけど」
当時を思い出しながら仕方ないとしみじみと語る部下達に注意しながらも、否定しきれないちひろネキ。
特に変哲もないある日、それは突如起こった。
「――――お前らの暴挙、最早許し難し! お前達のこれ以上の乱暴狼藉、断じて見過ごす訳にはいかん!!!」
広場に集まった多数の黒札の集団、それと相対するペテン使3ちゃんズ。
代表する様に前に出ている黒札が、指を突き付け3ちゃんズを激しく糾弾する。
まるで絶対許せぬ仇敵、吐き気を催す邪悪を前にしたが如き形相で、男は高らかに叫んだ。
「我々の心の安らぎのために、そして何よりも――」
「――――我らの推しの魂の名誉と尊厳の為に!! お前達の言動を改めてもらう!! 拒否するなら実力行使も辞さない覚悟である!!」
前世でニュージェネレーションズ推しだった黒札達の決起であった。
当然広場でこんな騒ぎとなれば目立ちまくり、彼らの周囲にはそれ以上の多数の人達が囲んで様子を伺っている。
『原作持ち』な俺たちへの反応や当人自身の認識はガイア連合でも色々と問題となっている。
元ネタまんまな人も居れば、似てもにつかぬ者や元ネタを知らない者、元ネタ由来の影響がある者など複数のケースがある。
加えて周囲の元ネタありきの反応やそれによるトラブルも多数とあって割とデリケート、且つややこしい問題なのだ。
今回は元ネタ、ニュージェネレーションズから逸脱した言動を改めろという、3ちゃんズからするとふざけるなと怒り、周囲も眉を顰める身勝手極まる言い分でしかない――ない筈なのだが。
「……まあなあ」
「言いたい気持ちは正直分かる」
「流石にちょっとねえ……」
周囲の俺たちからは、ニュージェネ推しの集団に、少し同情的な雰囲気すら漂っていた。
ガワだけは完璧な推しの姿で、ストリーキングしたり、ヒゲダンス踊ったり、虫食おうとしたり、チョビ髭おやじの扮装されたり、金太の大冒険熱唱したり、ふた〇りの玉の有る無しでバトルしたり、生やすチ〇コについて熱い議論されたら、そりゃあ文句の一つぐらい言いたくなるわな、と。
「ザッケンナコラー! 好きでこうなった訳でもねーのに大きなお友達の愚痴になんぞ付き合ってられっか!」
「そういう見た目の彼是はこっちもいい加減うんざりなんですよ! 理想は二次元かシキガミ嫁で探してなさい!」
「そーだそーだ! オレは誇りある尻派なのに臭いフェチだとかクンカーだとか決めつけやがってよ!!*4」
無論3ちゃんズ側もそんなん知るかと突っぱね、日頃の不満を露わにボルテージを上げる。
事態を知って駆け付けた事務方の黒札達が制止と解散を呼び掛けるも、完全にヒートアップしてしまった彼らには届かなかった。
「交渉は決裂か、ならば最早容赦せぬ!」
「交渉ってのは相手と話す気があるから成り立つんですよ! 初手で命令しといて交渉とは恐れ入ります!」
「何事も暴力で解決するのが一番だ――マスター・レッドゴリラ=サン、やはり貴方の教えは正しかった!」
「ハナから果し合い申し込んでくりゃいーんだ。自分達は悪くないって言いたいセコい考えがみえみえなんだよ!」
「ええい黙れ! あんなマネをする推しの姿を見せられる我々の心の痛みと苦しみ! お前達は分からんか!?」
「ほー……どうやら俺達が本気出したらあんなもんじゃないと分かってない様だな……オロカモノめ」
「どーすっかなー、堂々と鼻クソほじってやろうかなー、それとも思い切り屁ーこいてやろーかな」
「『昨日のオヤジケチでさー、なのに生でさせろってしつこくってマジ最悪』みたいなパパ活芝居とかどうでしょう」
「き、貴様らぁぁああああ!!!」
激昂した代表が戦闘態勢に入った事で後方にいた仲間達も、迎え撃つ3ちゃんズも一斉に武器を抜き、魔法を準備する。
本気で乱闘が始まりそうな様子に、慌てた周囲の野次馬達からも『誰か止めろ!』『修羅勢を呼べ!』といった声が上がり始める。
レベルで劣り、集団戦闘の経験もないが、圧倒的に数で勝るニュージェネ推しの黒札達。
三人だが、修羅勢手前のレベルと連携戦闘に長け、高い耐性を持つペテン使3ちゃんズ。
ぶつかれば互いに無事では終われぬ陣容と状況。
ガイア連合の広場が凄絶なるイクサの開始点と化す!――――直前だったその時!
「お待ちくだされぇぇぇええええ!!!」
3ちゃんズと黒札達の間に、突如新たな黒札がスライディング・ドゲザで割って入る!
「誰だ!? 我々の戦い、否! 聖戦を邪魔するな!」
「下がってな、兄ちゃん。こっから先はR指定だ」
怒鳴り付ける様に叫ぶ代表と、無駄にクールな表情と台詞で逃げる様促す2号。
しかし、飛び込んんで来た黒札――小太り・眼鏡・バンダナな如何にもなオタクスタイルの男――はドゲザ体勢のまま、声を張り上げた。
「ご両人のお怒りはごもっとも! ですが、ですがどうか! 一時の猶予を! 拙者の話をどうか聞いてくだされぇえええ!!」
全身全霊で訴えるドゲザ姿に思う所があったのか、将又毒気を抜かれたのか、3ちゃんズも黒札達も、戸惑いつつも戦闘態勢を止める。
闘争の空気が消えたのを感じ取った小太り黒札が、顔を上げてまず代表へと語りかけた。
「推しの尊厳を守りたい、推しを侮辱されるのは許せない、その気持ちは拙者も本当に分かりまつ。ですが、どうか良く考えてくだされ。こうやって多数で囲んで力尽くで、暴力でいう事をきかせる等、それこそ推しの尊厳が傷付きませぬか?――リンチされてボロボロになった推しの姿が見たいのでつか? まして、それを成したのが己であるなど、皆様方は耐えられるのでござるか?」
「ぬう……」
その言葉に、代表の武器を握る手が僅かに緩んだ。
続いて3ちゃんズへ向き直った小太り黒札が同じく静かに伝える。
「見た目が同じだからと、言動まで合わせろと言われる憤り、きっと拙者の想像出来る範疇ではないのでしょう。ですが、お三方にも推しが居る事をどうか思い出して欲しいのでつ。推しの見たくない姿を見る辛さはきっとお三方も分かる筈でござる――アンチ・ヘイト物や改悪物を見たくもないのに見せられていると考えたら、その苦しみは分かりませぬか?」
「「「むむむ」」」
その訴えに、3ちゃんズは気まずそうに顔を見合わせた。
そして、小太り黒札は両者へと思いの丈を訴える。
「拙者達は仲間、同士でござる! 転生者や黒札だからというだけではありませぬ! 周囲の無自覚な偏見や、謂れ無き誹謗中傷という冬の時代を辛い思いをしながら、それでも推しへの思いを捨てなかったという
叫ぶと共に再び深々とドゲザした小太り黒札を暫し見つめ、次に視線を交わし合う3ちゃんズと代表。
「あー……何だ、俺らも人前では周りの目をも少し考える、それでいいか?」
「……了解した。こちらも暴力に訴えた事を謝罪しよう。申し訳なかった」
ぎこちなくも互いに歩み寄りをみせ、和解の道を選んだのであった。
この事件は、原因となった三人の容姿、そして解決の切っ掛けとなった黒札――現在はからあげ☆レモンニキを名乗っている――が加入したての新入りであった事と合わせて『ガイア連合ニュージェネレーションズの乱』と呼ばれる事になったのである。
「いやー、ホント無事で済んで良かったですよね、あれ」
「あの人数での乱闘の後始末、負傷でキャンセルになる多数の依頼、一体どうなっていたやら」
「からあげ☆レモンニキには本当に助けられました。ええ、本当に」
この件を止めた事から、からあげ☆レモンニキは事務方からの好感度が上がったのに加え、3ちゃんズとは友人関係が続いている――前者は兎も角、後者は同情する者が多いらしい。
「あれ以来人前では少しは言動が改まったんですよね」
「少しは、ですけどね。あとその場のノリと勢いが絡まなければ、ですが」
ちひろネキの言葉に、周囲の面々は苦笑する。
そのぐらいで連中の言動が完全改善されるのなら『メシア教穏健派の信者達10人中9人が「正直アレはどうかと思う」と言うレベルのバカ』とか呼ばれはしないのだ。
しかし、その時一人の黒札がふと気付いた様に呟いた。
「でも、あの三人以前と比べて大人しくなったと思いませんか?」
その言葉に他の黒札達からも様々な発言や目撃談他が多数上がり始める。
「言われてみたら確かにそんな気も……」
「そうか? こないだも『V3反転キック』や『ドラゴンライダーキック』チャレンジしてたぞ」
「だよな、両手にメントス入りコーラ持ってめっちゃ振りまわしてたし」
「けど歌ったり踊ったりしてるとこは見てないかも」
「前はギター弾いてるの良くみたもんな、あとY談や理想の〇ンコの議論してるとこも」
「霊視ニキにゲンコツされた大きなゴチンって音と悲鳴がよく聞こえたからな」
「そういえば、時々公園とかで結構長い時間ぼーっとしてるの見るな」
「前は四六時中ネズミ花火みたいな勢いで駆け回ってたからなあ」
「また天使部やメシアン被害者の会に勧誘されたらそうだ。あと沖縄支部やアイマスの仲間にも」
「え、他は兎も角アイマスの仲間*5は転生時点でキャラの姿じゃなきゃ駄目な筈だろ?」
「正式会員じゃなくてちょっとした外部員の扱いとか。まあ全部断ったらしいけど」
「でもさ子供達と遊んでるのあんまり見なくなった気がする」
「え、俺こないだ子供相手に落とし穴の作り方教えてるとこみたぞ」
「ああ、子供側から来たら相手するけど自分達からはいかない様にしたんだってさ」
「へー、けど何でまた?」
「自分達で子供達の癖が歪んだら流石に申し訳ないから、だそうだ」
「あー……まあ、それなら納得、なのか?」
「穏健派メシアンに悪戯しまくってるのに大人しくなったとは一体」
「その分山梨ではやらかさなくなったじゃん」
「まあ
「だけどしっかり塩漬け依頼はやらせられる、確かにオイシイよな」
「何だかんだで割と依頼はこなしてくれるからなあ」
「もう少しでレベル30になれそうだとか」
「え、それは幾ら何でも早すぎないか? そこまで熱心に悪魔狩りしてたっけ」
「あの三人って天使だった頃はレベルが40以上だっただろ? それを魂が覚えてるんだって」
「だからそのレベルまでは補正が掛かってレベルが上がりやすいんだそうだ」
「えー、そんな事もあるんだ。いいなあ本気で羨ましいわ」
「……おい、それ当人達に聞かれるなよ? マジだからな?」
「え、何? 何かあったの?」
「前に『楽に覚醒した上にレベルも上がりやすいとか羨ましいですねえ。自分も天使に媚び売ればよかったですよ』ってイヤミ言った奴が居てな」
「で、『羨ましい? そーか、だったら同じにしてやるよ!』ってシザーマンみたいなクソデカ鋏持って追っかけられて、危うくガチで『切り落とす』されかかったんよ」
「おおう……」
「そいつ、何でも恐ろしい笑顔の美人JK三人に去勢寸前ってシチュのせいで、変な癖に目覚めたって話だぜ」
「え? それはその後発行されたナマモノネキの『ニュージェネレーションズに笑顔で去勢されそうな僕』ってナマモノ本の内容だろ」
わいわいがやがやと奇妙な盛り上がりを見せる3ちゃんズの動向語りだったが、パンパンと手を叩く音で強制終了。
「はい、おしゃべりはそこまでです。皆、業務に戻って下さい」
はーい、とそれぞれ持ち場に戻っていく黒札達を見送り、ちらりと出口へと視線を向けるちひろネキ。
その時の表情が一瞬、やるせないものになった事に気付いた者はいなかった。
◇
「気をつけろ何処にベトコン、じゃなくておっさんが潜んでいるか。何時アンブッシュがあるか分からんぞ」
「おーう」
「いやベトコンて。流石のあのおっさんも林の中には居ないですって」
周囲を用心深く伺いながら進む1号とぼけーっとしつつ相槌をうつ2号と呆れつつ笑う3号。
おっさんことノンデリニキを警戒する3ちゃんズは、人通りのない林道を使って宿舎へと向かっていた。
「んだよノリが悪、もとい油断が過ぎるぞ3号。高レベル覚醒者は何をするか分からない、古事記にもそう書いてある」
「そりゃそうかもしれませんが……2号はどう思います?」
「んー?」
苦笑する3号から話題を振られた見た目だけクールな2号が暫し無言で考えて答える。
「んー……あのおっさん、カッコつけだから茂みに隠れるとかはやらねーんじゃねーか?」
「「確かに」」
尤もな言い分にあっさり納得する二人。
「アイサツ前のアンブッシュとかしないで長々とアイサツしそうだもんな」
「如何にも会社で朝礼の時とかに長々と演説しそうなタイプですよねえ」
「あのおっさん、人の話聞かねーのに、なんで人の目は気にすんだろーな?」
「そりゃあそろそろ加齢臭とか生え際とか色々注意せにゃダメな歳だからだろ」
「ああ、それで……そう考えると、おっさんって悲しい生き物なんだな……」
「2号。その優しさは尊いですが、口に出してはならぬ事もあるのですよ?」
周辺警戒も忘れてノンデリニキ当人が聞けば激昂不可避な会話を続ける3ちゃんズ。
が、急に1号が事務所の再現よろしく地に伏せて足音へ集中する。
「おい、おっさんか!?」
「……いや、違う。気配は3つで内2つはおっさんより多分強い、でも足音が1つだけしか……この歩幅、凄いチビ?――違う、ガキだ!」
「なんでこんな人気のないとこを子供が!?」
「そんなんどーでもいい! ほら早く!」
慌てた2号に促され、三人はそれっと林の中へと飛び込むと、道から遠い茂みに隠れて息を潜める。
そうして暫くすると林道に三つの小さな人影が現れた。
黒髪の少女が二人と白髪の少女が一人――幼女ネキ、黒死ネキ、セツナであった。
「……気配が3つ、応援し隊*6の連中か? だが天使の気配も感じる。先手を打つか?」
「ふむ、愛情でも敵意でも歪んだ信仰でもない、これは寧ろ……まあ放っておいて害はないだろう」
セツナの為に敢えて人通りのない林道を選んだ黒髪コンビが視線を向けずに静かに会話する。
セツナの安全重視で初手威嚇、場合によっては先手必勝も辞さない幼女ネキを、黒死ネキが窘めた、珍しく。
「何だ黒死ネキ、相手を知っているのか? もしかして蒐集対象とか?」
「名前はな、多分幼女ネキも知ってるぞ? 面識は私もないがな。まあ少なくとも
「……どうしたの?」
二人の様子に小首を傾げたセツナに何でもないと返した幼女ネキ達は、そのまま一瞥もせず足も止めず早々に立ち去っていった。
「行ったか……完全にバレてたよな? あからさまに見逃されたのだ!」
「多分? めっちゃ意識とか向いてんの感じたし」
「あれだけ高レベル相手じゃ、私らの隠蔽では荷が重いです」
そして暫しの間を空けてガサゴソと茂みから林道へと這い出してくる3ちゃんズ。
「しっかし、足音しないわ、レベルも気配もやばそうだわだったが、やっぱロリババアの類かねえ?」
「どーだろーな。一緒の白い子は見た目まんまな歳だってオレは思ったけど」
おっかないモンに出くわしちまったとビビり気味の1号と一人だけヤバさを感じなかった子をあげる2号。
そんな仲間達に3号が自分の知っている情報を伝えた。
「いえ、おそらく見た目通りの年齢です。以前聞いた事があります、歳に見合わぬ力や異能を持った三人組――『実年齢小学生トリオ』と呼ばれる三人と容姿も一致しますので」
「あー、俺も聞いた事あるな。黒髪の子達は色々とキンボシ・オオキイな経歴で、白髪の子も凄い異能持ちとか何とか」
「全員スゲー覚悟決まってるガンギマリ勢だって話だっけか。みんなあんなちっこいのにスゲーよな」
生で見た有名人にへーとなる1号と2号だが、ぽりぽりと頬の傷跡を掻いていた2号が思わずといった様子でぽつりと呟く。
「なら、慌てて隠れる事もなかったか?」
そんな言葉にあー、と3号が気まずそうに答えた。
「あの三人、全員がメシアンの被害者です。黒髪の二人はメシアン相手に容赦ないですし、幼女ネキに至っては穏健派も容赦なくぶっとばす事を広言してます」
「そっかー……何だよぉおもおおお! またかよぉおぉぉおおおお!」
「ほーんと、石投げたら当たるってレベルでいるよな、あいつらの被害者って」
1号が暫し沈黙の後指を噛んでネタに走り、2号はしみじみと語る様子に、3号が苦笑しながら二人に言った。
「仕方ないですよ、メガテンの天使連中ですから。それに――」
「――――分類するなら私達もメシアンの被害者ですよ? 一応」
その発言に呆気にとられた1号と2号の動きがぴたり、と止まり、そして
「「――ギャ、ギャハハハハハハハッ!!!」」
大爆笑した。
「ク、ククッ、お、俺らが被害者ってか!? ブッダも怒る、つーか笑うって!」
「……そ、そこまで笑わなくても……そりゃ私も自分でもどうかと思……プヒッ!」
「オメーもウケてんじゃねーか! し、しかし似合わねー! ドヒャヒャヒャヒャ!!」
3号まで一緒に笑い始めた事で、3ちゃんズの大笑いはいよいよもって止まらない。
「カワイソーな被害者達ですと紹介されて登場する俺達! なんて悲運! なんて悲劇! そしてなんて詐欺!!」
「や、やめろ! 息ができねぇ……! ひでえサギだ、こんなひでえよーとーくにく、見たことねえ!!」
「これはひどい! ナマポの不正受給と同じ扱いされても文句言えませんよ! ブーイングの嵐待ったなしです!!」
ダハハハハハハハハ!!と目に涙を浮かべ、お腹を抱え、地面をバンバン叩いて笑い転げる3ちゃんズ。
誰も居ない林道で、誰も聞く事のない三人の大きいが何処か軽い笑い声は、暫くの間続いたが――誰にも気付かれる事はなかった。
◇
ガイア連合山梨支部宿舎・ペテン使3ちゃんズの部屋。
だらーん、ぐでーん、ぼへーっ
そんなオノマトペが見えてしまいそうな雰囲気の室内では、ダラけきった様子の3ちゃんズが寝転がっている。
勿論スカートの事など欠片も考慮しておらず、ちひろネキに見つかれば説教不可避だろう――部屋の中だし、他に誰も居ないから許される筈と3ちゃんズ的には主張したいところである。
部屋の中も如何にもな男所帯な有様で散らかっており、1号のギターや『生やす』為や『理想のチ〇コ』についての資料の本が、部屋の隅で埃を被っていた。
だらしなく転がってゔー、あ゙ー、とゾンビみたいな呻き声を上げ続けていた3ちゃんズだが、のっそりと1号が身体を起こす。
「依頼に行く前にさ、いっちょリフレッシュしないか? 具体的には破魔ネキのトコの【甘味楼の異界】*7行ってみねえ?」
「ウワサはきーたことあるが、そーいやまだ行ったことなかったな」
「成程、しんどい仕事の前に英気を養うというのは悪くないですね」
だらけていた2号、3号も反応してもっさりと起き上がる。
身体は女だが心は男、というか男子な連中にとってお菓子で出来た世界はお肉食べ放題並みに心惹かれるワードであった。
「だろ? おっさんも流石にあそこにはこねえだろうし、一日ぐらいはちひろネキも目溢ししてくれんだろ」
「それなら問題ねーかな……でも、ガキがすげーたくさんいるんじゃねーか?」
「ネタっぽくても破魔ネキの管理する異界内ですから……トラブルにはなりませんて」
十字傷を触りながら懸念する2号に3号が笑顔でそう言うと、スマホで申請するついでと異界のコメント欄に目を通す。
「やっぱり女性や子供の感想が多いですねえ……。!……子供の、メンタルケアにも、有効だった……」
3号の読み上げたコメントに、3ちゃんズが無言になる。
「……やめとくか」
「……おー」
「ですね……」
そうして3ちゃんズは再び部屋で、出荷前の豚めいてだらしなく寝転がった。
それから約1時間後。
「――ばあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っ!!!」
叫ぶビーバー、否マーモットみたいな大声で叫んだ1号が飛び起きる。
ダラけまくった雰囲気は既に消えていた。
「おら逝くぞお前ら! 何時までもこうしてたらその内カビやキノコが生えちまう! テンション上げてくぞ!」
「……えー、だってよー。メンドい依頼いくのに、ヤル気なんかでねーって」
「……まあ2号の言う通り、テンション上げるのは難しいですよねえ」
ダラけたままの2号、3号がぼやくが1号は止まらない。
「シャラップ! ダルいからこそ気分アゲるんだろうが! ほら見ろ! ちゃんと考えて依頼決めてんだ、備え重点」
「あん?」
「どれどれ……」
そう言って提示された依頼書を改めて確認する二人。
内容は面倒臭そうとしか思えないものであるが、ここで3号が気付いた。
「これ場所が……あ! そういう事ですか」
「?」
全く分かってない2号に苦笑した3号が説明する――クールな見た目のせいで、まるで分かってる様に見えるのは、やっぱりズルい。
「ほら、依頼の場所。全部東北でこうやって順に行くと――」
「あ! これそーいう事か! 依頼のついでに魚沼に行くんだな!?」
漸く分かって大声出す2号にうむ、と自慢げに頷く1号が予定を説明した。
「このコースなら帰りに魚沼支部によっても問題なし。マスター・森田=サンに会いに行くぞ!」
「そりゃーいい! 森田のおっさん元気かな。田舎ネキやメルキゼデクのおっさんも久々だしよ」
「噂では森田先生に何でも同居人*8とか弟子*9が出来たそうで。色々お話を伺うとしましょうか」
「よーし! ではこれより出撃準備を始める! ペテン使3ちゃんズの名誉と興亡、この一戦にないけど失敗すると気分悪いから各員奮励努力せよ!」
「「ないのかよ!」」
忽ちノリノリになった二人と共に出発の準備を号令する1号。
そしてドタバタと部屋を更にひっくり返しながら、出発準備をする3ちゃんズの口から、外に漏れないぐらいの大きさの、楽し気な歌声が流れだす。
どこから見てもスーパーマンじゃない
スペースオペラの主役になれない
危機一髪も救えない ご期待通りに現れない
必要な装備、道具に霊具を種類に分けて霊的処理済みリュックに入れて。
溜息つくほど粋じゃない 拍手もするほど働かない
子供の夢にも出てこない 大人が懐かしがることもない
着替えや下着、洗面道具等を普通のカバンに詰め込む――現地の物はアブナイので使わない。
だからと言って駄目じゃない駄目じゃない スターダストボーイズ 駄目じゃない
付け髭、タキシード、テラフォーミングマーズ、プリニーの着ぐるみ等を専用のキャリーに入れる、何故これが必要なのかは彼らしか分からない。
星屑の俺たち 結構いいとこあるんだぜ
以前の経験から対ゲンコツ用ヘルメットを準備し、カツラに偽装した物にするか頑丈さを優先するか真剣に吟味する。
スターダストボーイズ
そうやって準備しながらスターダストボーイズ*10を歌うペテン使3ちゃんズは、掛け値なしに楽しそうな笑顔で笑っていた。
なお、部屋でドタバタしてた事でノンデリニキに見つかってしまい、クレしん映画みたいな追っかけっこを繰り広げた事で、結局出発が一日遅れてしまった3ちゃんズであった、ショッギョ・ムッジョ。
◇
ガイア連合魚沼支部。
「という訳で、ワイは暫くの間留守にさせてもらうやで」
「いや何が!? 何で急にそんな話になるの!?」
報告中だった森田から急にそんな宣言をされ思わずツッコむ田舎ニキ。
「仕方ないんや! すぐにそうせにゃならんとワイの忍者としての勘、いや! ワイのゴーストがそう囁くんや!」
「……この業界だと妄言と言い切れないんだよなあ、実際有り得るから」
オカルト界隈ならではの理由に悩む田舎ニキと今にもその場で煙玉を使いそうな森田。
そんな中ドアが奥ゆかしくノックされた、新たな人物のエントリーだ!
「失礼します、凍矢様。今ガイア連合からちひろ様の名前で連絡がありまして。例のお三方が依頼で東北に向かったので恐らく此方にも立ち寄るだろうと――」
入室した静がそう報告した瞬間、森田は窓へとダッシュしてエスケープ!
が、森田が窓から身を踊らせる直前に静がしがみ付いてインターセプト!
「待ちなさい! 何処へ行く気ですか森田さん!」
「後生やからワイをこの自由な大空へと解き放ってくれや!」
「そうはいきません! 黒札の方々が貴方に会いにくる以上逃がす訳にはいかないのです!」
「堪忍や!! あの三人は黒札のお子さんの面倒見るんとは別ベクトルで無理なんや! あの見た目でワイと発言被るとか色々頭おかしなるで!」
「まあまあ、二人とも落ち着こう。別に今すぐ来る訳じゃないから、ゆっくりと話し合って……」
そう間を取り持とうとする田舎ニキだが、話を聞いて己の分身の田舎ネキとシスター桜子が、それぞれ暫く他所に行っててもいいかと、メルキゼデクがやり過ぎない為の事前相談に尋ねて来て更に頭を抱えたのであった。
同時刻・ある東北の山中。
「「「ぎゃああああああああ!!!」」」
山の中に響く、乙女の雑巾を裂くような三種の悲鳴。
悲鳴の主の3ちゃんズが木々の間を全力疾走で駆け抜けるその背後には――
『マラらぁぁぁああああああ!!』
奇妙な鳴き声を上げる奇妙な姿――八本のクソデカいチ〇ポが一塊になった――の悪魔・やまらのおろちが猛スピードで迫っていた。
「ダメだ、振り切れねえ! つか何であんなボス悪魔が生まれてんだよ!? おかしいと思いませんか!?」
「アホな黒札が名家やメシアンに回収されなきゃ問題ないだろって使用済ティッシュを山中に捨てて、エロ本と反応して生まれたんです!*11」
「山梨に帰ったらそのド級バカぜってーシメてやる! 金蹴りとケツバット100回ぐらいじゃすまさねーぞ!!」
全身をぬるぬるで白濁した粘液?で覆われたやまらのおろちは、その巨体にも関わらず、木々の間をぬるん、とまるで滑る様に潜って追ってくる為、障害物の多い山中でも引き離せないでいた。
「山の中では使える魔法にどうしても制限が……! 2号、貴方の剣でちょん切ってやって下さい!」
「もうやった! でもあのヌルヌルした粘液のせーで滑っちまうし斬っても傷が浅い! アホみてーなのに攻防一体だぞあれ!」
「非人道兵器マキビシを撒いたのに効いてないのもそれが原因か! あの粘液をなんとかせねばジリー・プアーに……ん?」
やまらのおろちはアナライズを唱えた!
邪龍・やまらのおろち 斬撃耐性 打撃弱点
『「「「……」」」』
何故か自分にアナライズを掛けたやまらのおろちと、その内容に無言になる3ちゃんズ。
2号と3号、そしてやまらのおろちの視線が徒手格闘で戦う1号へと集まる。
「いや、どう考えても罠だろ。あからさまに罠なのだ!」
「まーぜってーワナだよなあ、オレでもそー思う」
「ここまであからさま過ぎるのは流石にねえ?」
呆れまくった3ちゃんズにガーン!とショックを受けた様に見える?やまらのおろち。
ならばとばかりに暴れ回り始めたやまらのおろちから慌てて距離を取る3ちゃんズだが、やまらのおろちは八つの口?からナニカを放つ!
「うぎゃー!? コイツなんか白くてべたつくモノ飛ばしてきたぞ!? マジきめぇ! しかもイカ臭ぇ! 絶対アレだろこれぇ!!?」
「これ絶対食らったらダメ以外のナニかがある奴ですよ! 絶対受けないで! 回避最優先! ひぃい! 追っかけてくるぅ!!」
「ガード不能ってこんなアンタイ・ウェポンありかよ! ダークドメイン=サン*12にケジメされるぞ! 異形ぶっかけモノとかヤダ―ッ!!」
放たれた『たたり生唾』の亜種『やまらの生唾』に悲鳴を上げて逃げ回り、そこらの木を盾に必死に防ぐ3ちゃんズ。
「くうっ、已むを得ん! 俺が時間を稼ぐから策を用意しろ! 強い敵は落とし穴に落とせとミヤモト・マサシも言っている!」
「! 分かりました、ならば……2号は私と一緒に! 1号、合図を送るのでそれまでそいつの注意を!」
「わーった! ぬかるんじゃねーぞ1号! オレはテメーのアヘ顔なんか見たくねーんだ!」
そう言って決断的に二手に分かれる3ちゃんズ、彼らのボス戦はまだ始まったばかりである。
戦え、ペテン使3ちゃんズ! お前らが敗れれば中身はアレでもガワはいいからどれ程の青少年のなんかがアブナイ光景になるか分かった物ではない! 戦え……!
なお山梨支部に戻ったらナマモノネキによる『デビルシフター ペテン使3ちゃんズ 対 やまらのおろち』なる新刊が待っているのは秘密だ。
・長めのおまけ ペテン使3ちゃんズのやる塩漬け依頼について
「ここか。地脈の異常で暴走した精霊に乗っ取られたんだったか、掃討重点」
「うわー、虫みてーにうじゃうじゃいるな、雑魚でもこの数じゃそりゃなあ」
「塵も積もれば、です。油断せず確実に、且つ片っ端から片付けていきましょう」
その1・高い属性耐性を活かした属性型悪魔への対処。
高位天使由来の属性耐性の高さから、貫通なしの属性オンリーで物理がてんでダメな魔法使いタイプには非常に有利が取れる。
◆
「じゃ俺が先に寝るから、見張りヨロ。カラダニキヲツケテネ!」
「おー。言っとくが寝過ごしたらタダじゃすまねーからなー」
「ええ、最低でも額にマジックで肉は覚悟してもらいますからね?」
その2・長期間異界内での活動や複数人が必要な依頼
基本シキガミを除けば単独行動が多い俺たちの中では珍しい三人組の為、異界に籠る必要のある依頼等をやり易い。
割と図太いので野宿も平気、枕が違うと寝れないみたいな繊細さとこいつらは無縁。
◆
「穏健派の縄張り近くかよ、まあ非常に明るいボンボリの真ん前はかえって見にくいというコトワザもあるからな」
「んー……数も強さもどーってことなさそーな感じだな。基地って程じゃねーだろ多分」
「拠点というよりは見張り場ってトコですかね? 取り合えず報告して判断を仰ぎましょう」
その3・過激派メシアンの現在地や拠点調査
『過激派の天使から自らの意思で身体を譲られた』*13というバックグラウンド故か、過激派天使の気配を何となく感じる事が出来る。
割と便利な能力だが、天使の力と相性が悪いからか、それとも天使が嫌いだからか大分不快な感覚らしく、あまりやりたがらない模様。
またあくまで何となくな上、意識して使ってる能力ではない為、全幅の信頼を置くのは危険。
参考や取っ掛かりとするのが吉。
◆
『クックック……さあ女達よ、お前らには我々を――――踏んでもらおうか!』
『拙者は素足で!』
『黒ストッキングを所望!』
『戯け! 王道のピンヒールだ!』
『白ソックスこそ至高!』
夜魔・インキュバス(特殊劣化)の群れが でた!
「変態だー!!!! つーかあの見た目と言動! 引き籠ってて女居ないと出てこないとか絶対インキュバスじゃないだろ! あからさまにオタクなのだ!」
「恐らくですが、この時代のオタクへの周囲の偏見や蔑視と、俺たちを含むオタク達の無念や怒りが呼び水となった結果ではないかと……」
「あー……言われてみりゃ、こーいうオタクが人権もらえたのって、前世でもだーいぶ後の時代の話だったもんな、そーいや」
『『『『さあ! さあ! 踏んで! 罵って! 脱いで! エロい事させて!』』』』
「ええーい! 同情しないでもないがそんなサービスしてやる義理などない! 悪魔殺すべし、慈悲はない!」
「同種の群れとはいえ至高とする嗜好の違い故に統制や連携に難があると見ました! 付け入るべき隙はそこです!」
「なら突撃すんぞ! 突っ込んでそのまま乱戦に持ち込んじまえ! そーすりゃ逆に向こうが不利になる!」
その4・女性じゃないとダメなのに、女性が嫌がる依頼
ある意味一番ペテン使3ちゃんズを活かした依頼、作中のやまらのおろち討伐もこれ。
内容も多岐にわたるが、精神面までちゃんと女性を求められない限りは対応可能。
一番やって欲しいと要望が来るが、一番3ちゃんズがげんなりする仕事。
◆
多神連合所属のとある神の異界。
『上手くいかなかったか』
「も、申し訳ございませぬ、我が神よ……」
『お主は神の我から見ても女を誑かす事に長けておる。何故失敗した』
「我が不徳の致すところで……」
『謝罪はよい、何故失敗したかを述べよ。愚かな女や頭の足りぬ女は容易い相手と言っていたではないか』
「……は。ではご説明致します」
「私は、多少のバカと申し上げたのです! あの者達はパーフェクトです!!」
その5・男からのハニトラが予想される依頼
その4の亜種。
やる側としてはここまでハニトラしに難い相手はそうはいないと思われる。
ただ穏健派メシアン相手だと既に3ちゃんズが悪い意味で有名なので意味がないと即中止される模様。
なお3ちゃんズ達には全くその辺の事は知らされていない――知らない事こそ最大の防諜である。
◆
「――よし、此処なら色々と都合がよい、シマッテコーゼ!」
「おーう! けどやっぱちょっとなー、痛いのはなれたけどさー」
「仕方ないですよ、わざわざ注射器持ち歩く訳にもいきませんし」
夜の空き地にて、3ちゃんズが手首を刃物で切ると血が流れ出し、辺りに血の匂いが漂う。
『――血ィィィィイイイ!! それも極上の処女達の血の香りだぁぁぁぁああ!!』
夜魔・『処女厨な』ヴァンパイアが でた!
「誰がバージンで処女だ! ザッケンナコラー! せめて童貞と言えこのドグサレッガー!!」
「処女とか言われるとケツがヒュンってすんだよ! テメーの首ヒュンってすんぞゴルァ!!」
「心とチ〇コの小さい処女厨め! ラオウの名言を魂に刻み込んでやるから覚悟しなさい!!」
その6・処女じゃないとダメな依頼
こちらもその4の亜種な依頼。
前世から現在まで筋金入りの童貞だった事で、TSした結果もの凄く清い処女になってしまった。
実際内面を度外視すれば霊的にも魂的にも何ら恥じる事のない清らか極まりない処女である。
儀式や霊具作成に血の提供を頼まれるのもこれに含まれる――報酬的には美味しいが、3ちゃんズ的には複雑な模様。
―以下どうでもいいバカ共の設定―
・ペテン使3ちゃんズ
シキガミ権を自分達の新ボディで使った&肝心のモノがない為、別世界の様に理想のシキガミ嫁の為の活動はしていない――代わりに『僕の考えた最高で最強で無敵な理想のチ〇コ』を生やそうとしていた。
ガイア連合加入の際世話になったり知り合った黒札とは交流があるが、別世界と比較して他の支部や黒札へあまり凸していないため交友関係は三馬鹿ラスより狭い。
おバカなやらかしは相変わらずだが、公園や宿舎でぼーっとしてたり、(以前と比べれば)振る舞いが大人しかったり、人前での歌やY談が減ったりと妙な行動もしており、加入当時と比べても色々と違いがある。
またこの世界では『笑ってはいけない人生録』は作られていない。
連携面でも友好面でも三馬鹿ラスと比べて言い争いはするが、取っ組み合いはしなくなったり、足の引っ張り合いがなくなるなど明らかに三人の仲が良くなっている模様。
仲の良さも含めて三人共ニュージェネのガワの影響を受けているのでは?と一部の黒札から考察されている。
なおその件でインタビューされた際は三人共肯定も否定もせず苦笑していた。
ある時期に再度天使部やメシアン被害者の会に加え、沖縄支部とアイマスの仲間からも声をかけられたが『ガラじゃない』と断っている。
・ペテン使1号
提案役として真っ先に声を上げるのは当然なのだが、それを加味しても別世界のサスケニキより非常にパッション的というか、テンションがやたら高め。
スカートを気にせずサマーソルトキックやドラゴン・トビゲリをするのでパンチラ防止魔法付与のスカート着用を義務付けられた。
以前はノリノリでギターを弾いていたが現在は部屋の隅で埃を被っている。
・ペテン使2号
クールに見える事が多いが以前言及した通りぼーっとしているだけ、別世界のヨロイニキと比べてもかなりぼーっとしている――ガワのせいで絵になるのでホントずるい。
別世界より戦闘IQが高めだが、役割や作戦上で結局突撃するのは変わらない。
名誉の負傷と言っている頬の小さな十字傷だが、実は自分でつけた傷である。
ある話題の時に無意識に傷に触れたり掻いたりする癖がある。
・ペテン使3号
苦笑だったり満面の笑みだったり不敵な微笑みだったりするが、別世界のクロマニキと比較すると笑顔なのがデフォルトになっている。
別世界と違って1号・2号が指示を聞いてくれるので軍師っぽくなっており、その為か3号も二人を捨て駒扱いの策はやらない模様。
『僕の考えたry』絡みの勉強に非常に熱心だったが生やす事を目下保留中。
・やまらのおろち
作中通り黒札の捨てた使用済みティッシュとエロ本から誕生したある意味黒札の子供な悪魔。
1号が時間稼ぎをする間に、延焼を怖れて使えなかった火炎魔法を使える様に2号・3号が森の木を切って開けた場所を用意。
其処へ誘導して火炎魔法を浴びせ纏っていた粘液を蒸発させた所を2号の百人斬りで倒された。
3ちゃんズは罠と判断したが、実は本当に打撃属性が弱点で、変な効果を怖れていた『やまらの生唾』も何の効果もない只白くてヌルヌルするだけの誘導弾。
女性を白濁液塗れにした後、打撃属性で倒されたい――素手で触られたい。
ただそれだけが望みで、それだけが存在理由な悪魔であったが、その願いが叶う事は無かった。
そして後に本とはいえ己の願いを叶えてくれた感謝を、ナマモノネキの夢枕に立って伝えたという。
・ノンデリニキ
軽く説教しようと近付いてきた別世界と違い、この世界では何故かペテン使3ちゃんズを勧誘している、善意で。
勿論3ちゃんズには嫌がられて逃げ回られているが、不屈(笑)の意思で諦めていない模様。
別世界とは逆転状態だが、それでも3ちゃんズからは『しつこいおっさん』扱いで星杖ニキや人魚ネキ等の他の被害者に比べてヘイトは低め。
これはノンデリニキの発言を3ちゃんズが右から左で完全にスルーしており、全く聞いていないから。
・森田
依頼で東北に行った際に偶然遭遇、別世界と同じやり取りで交流が生まれる。
この世界では田舎ニキや魚沼支部と交流が出来たのは森田を通しての流れ。
森田的には自分に酷似した言動で見た目はアイドルJKな3ちゃんズに絡まれるのは色々とやり難過ぎて困る模様――どの程度でセクハラになるか本気で分からないし。
あと3ちゃんズと絡むのを見た同居人達が、瞳からハイライトを消すのも3ちゃんズが苦手な理由。
・からあげ☆レモンニキ
『ニュージェネレーションズの乱』の行動で、事務方からの好感と根性のある新入りという周囲の評価、そして3ちゃんズとの縁を手に入れた――最後のは周りから同情されてるとか。
ただ別世界と比べて高レベ&高ステな分羽振りの良い3ちゃんズがくれる援助も受けている。
シキガミ嫁のシャルは森田の同居人と違い『あの三人に嫉妬するのは自分で自分の価値を貶める行為だと思う』と主と3ちゃんズが絡むのは気にしていない。
シャルと3ちゃんズの五人でゲーセンで遊んでいた所をオカルトと無関係な知人に見られてしまい、査問会にかけられそうになった。
・黒札の方々。
ガイア連合加入時に出会った黒札とは交流があるが、凸行為が三馬鹿ラスと比べて少ない為知り合いの数は別世界よりずっと少ない。
別世界で関りや関係の深い実年齢小学生トリオやクロアネキ、やらかしで知り合った人魚ネキやキノネキ等と面識がなく、黒死ネキの蒐集対象でもない――やらかし故に名前は知られている。
霊視ニキやちひろネキは別世界同様慕っており、特にちひろネキとは元ネタと依頼や女性教育で関係があり、とある理由から気にかけられている。
ガイア連合所属後のペテン使3ちゃんズの日常でした。
アホやってるのは相変わらずですが知り合いや言動含めて変化――色々と内向きになっている――が起きています。
3ちゃんズの変化の理由については次回にて。
そしてマカーブル様とまさかの処女ネタ被りでした。
前世からの童貞だと悲しいだけなのに前世からの処女だと急に貴重になる不思議w
オカルト的には実際ホントに価値がありそうなのが何ともw
次回でこのシリーズ最終回を予定しています、オチまで考えてはいますがプライベートがドタバタしてますので気長に待って頂ければ幸いです。
それでは最後まで読んで頂き誠にありがとうございました。