【カオ転三次】幼女ネキの謎を解明するため、黒札調査隊は宮城県の奥地〇〇町出張所へと向かった――。   作:貧弱一般メガテンプレイヤー

32 / 32
 すっかり遅くなった上に書いてる間にまた伸びてしまい、このシリーズまだ続きます。
 あと3ちゃんズの設定に変更が発生しており、結果前回のおまけその3を変更してます。
 今回は他所にお邪魔中ですが、おや?3ちゃんズたちのようすが…。

 そしてこちらにも。

【挿絵表示】

 マカーブル様に頂いたタイトルロゴです。
 ウチの連中をAIで再現は難しいからシルエットとか風景かなと思ってたらまさかの烏獣人化ww
 この見た目なら女湯入ってもワンチャン許されるかも?w
 改めて、マカーブル様本当にありがとうございました。

 今回ニュージェネレーションズだけでなく、あるシスターと大天使のキャラ崩壊ネタありますのでご注意下さい。

 9/21・マカーブル様からまた素晴らしいFAを頂きました。
  作中で使わせて頂いてますので是非ご覧くださいw 


32 IF&TSネタ注意!

 新潟県長岡市のとあるお宅。

 この町で暮らしているのがわんこ、ではなくサクラコ達一神教派です。

 閑静な新潟支部では、今日も信徒達の神への祈りの声が聞こえてきます――時々『天使を殴れ! 悪魔を殴れ!』という掛け声やサンドバックを殴る音も聞こえますが。

 そんな普段穏やかな時間が流れる新潟支部ですが、

 

 

 

「ばかもの!!!」

 

 

 

「「「ぎょえーーーーっっ!!」」」

 

 今日は何故か、昭和ガンコ親父じみた怒声と鈍い打撃音、そして雑巾を裂くようなJK達の悲鳴が響いていたのでした。*1

 

 

 

 一神教派新潟支部の訓練場。

 其処には新潟支部最強戦力の大天使・メルキセデクが天使なのに腕組み仁王立ちしており、隣には支部長で派閥代表のサクラコが頭痛と胃痛を隠せぬ表情で控えている。

 そして彼らの前で並んで正座させられているのがペテン使3ちゃんズである――――その胸はやや豊満であったが、頭には無数のタンコブがあった。

 

 一体何故にこの様な事になっているのか、読者諸氏の中にニンジャ推理力をお持ちの方は居られるだろうか?

 

 

 居られれば、三人の首にかけられた『私は子供達にご飯前にポテチを腹一杯食わせました』『私は子供達に年齢指定のあるゲームで遊ばせました』『私は子供達にガイ連製グラビア集を見せました』と書かれたプラカードから、何があったのかきっと理解出来た筈である。

 

 

「まったく貴様らは毎度毎度……少しは懲りるという事を知らぬのか?」

 

 バックにどっかの公園前の派出所の部長のペルソナを発動しているメルキゼデクに、傍らの桜子はハラハラしながら何時でも割って入れる体勢である。

 なお、やや離れた物陰では子供達が『またおこられてる』『いつものことだねー』とすっかり慣れた雰囲気で様子を伺っていた。

 

 なお、何故3ちゃんズが居るのかというと、魚沼支部に行ったらお目当ての森田は留守――運悪く(?)過激派の活動の兆候が見つかり『あんな嬉しそうに任務に行くの初めて見た』と田舎ニキに言わしめる笑顔でスキップしながら調査へ向かった――だったため、代わりとばかりに此方(新潟支部)へと押しかけたからである。

 

「ま、待って! 待って下さい、メルキゼデク=サン! 俺達にも考えや言い分ってもんがある!」

 

 返答次第では追撃のオラオララッシュが待っていると本能で察知した1号が生徒じみて片手を上げて訴える。

 用意しておいた対ゲンコツ用ヘルメットも、わざわざ丁寧に外した後でゲンコツするという方法で無力化されてしまった為、3ちゃんズも必死であった。

 メルキゼデクが無言で続きを促すと、1号・2号・3号が順繰りに語り始める。

 

「ガキの内に遊んだりバカやっといた方がいい、これは実際事実で間違いないと思う。ホントダッテ! ウソジャナイッテ!」

「ましてやこんなご時世だ、今日までやれた事が明日は出来ねーなんざふつーにおきる――オレらは、それをよーく知ってる」

「終末後でも現在の様な暮らしを。それがガイア連合の目標ですが、それでも元通りは不可能でしょう。だから、今が最後のボーナスタイムです」

 

 

「つまり、今がガキ連中が文明や現代社会を楽しめる最後の機会、英語で言うとラストチャンスなんだ。サクラの花を見ながらダンゴを食べるとミヤモト・マサシも言っている」

 

 

「ふむ……」

「……ですね」

 

 締めくくる様に言った1号の言葉に、メルキゼデクも桜子も、終末そのものは止められない点から理解を示し、言葉少なに頷いた。

 

 

 発言の内容が、想定よりもずっと真面目だった事に驚いたからでもあったが――普段が普段なので致し方なし。

 

 

 そしてメルキゼデクの雰囲気が変わった事から、もう大丈夫そうと判断した子供達がわらわらとやってきて3ちゃんズを囲む。

 

「おせっきょーおわった? ならあそんでー」

「ねーねー、なにかおもしろいものもってないー?」

「ねーちゃん、おみやげまだもらってないよー」

 

 そんなおガキ様達に、3ちゃんズも立ち上がって相手をしだす――正座とお説教を有耶無耶にする好機と判断したのも一因であるが。

 

「まったく仕方ねえなあ。言っとくが黒札な美人JKと気軽に遊べるなんてガキの内だけに許された特権なんだからな?」

「おもしれーもんか……これなんかどーだ? ガイア連合の有名人の笑い声の笑い袋! ザコならこれだけで逃げるぞ!」

「すっかり贅沢を覚えてからに……はい、山梨のイズン印のノーマルリンゴです。アップルパイでも作ってもらいなさい」

 

 手慣れた調子で子供達とわちゃわちゃしだす3ちゃんズ。

 そんな中、子供の一人が2号に近付き笑顔で話しかけた。

 

「ねーねー! にごーねーちゃん! これ見て! こないだ見つけたボクの――」

 

 そう言って、右手をズボンのポケットに突っ込む男の子。

 

 

 その瞬間、2号の顔から表情が消え、その左手が電光石火の速度で動く。

 

 

「――? ねーちゃん?」

 

 男の子がきょとんとした顔で尋ねる。

 

 2号の左手は、何時の間にか男の子の右手を静かに押さえていた。

 

 そっと添える程度で力は全然込められていないのに、右手が全く動かない状態と、普段と違う2号の様子に男の子は不思議そうに首を傾げるばかりである。

 

「――っと悪い悪い。んで一体何みっけたんだ?」

「あ、うん! ほらこれ! てっかいヘビのぬけがらー!」

「おー、確かにこりゃデケーな、オレのガキの頃でもこのサイズはレアだったぞ!――これ悪魔のじゃないよな? 持ってても大丈夫なやつだよな?

 

 腕白坊主らしいお宝発見の報告に、昔の自分を思い出しつつ笑顔でやるじゃねーかと男の子の頭を、先程の件の謝罪の意も込めて撫でる2号――このご時世故の不安も感じざるを得なかったが。

 ごしごしと荒っぽく頭を撫でられ顔を少し赤らめて嬉しそうな男の子が、思い出した様に聞いた。

 

「ねえ、にごーねーちゃんさっきどーしたの? ちょっとへんなかんじだったけど」

 

 

「うっ……いやー! オレって戦闘のプロだからさあ! 目の前でポケットに手を入れられると反射で止めちまうんだ、ゴ〇ゴ13みたいに! プロだからなー!」

 

 

 一瞬詰まった後、白々しい程の輝く笑顔を浮かべて、何処からか取り出した剣を構えてポーズを決める2号。

 その構えは剣を腰のあたりで低めに両手で持って、大きく足を広げて半身になり、右足を前に出して構えた剣先を左手前、やや上方に向けるというもの。

 

 戦闘面でのメリットは何もないが、カッコよさは極上で、何処からかジャキーン!という効果音すら聞こえてきそうな構え――所謂サン〇イズ立ちであった。

 

 中身が残念でも制服美少女JKアイドル剣士というガワのおかげでサマになったその勇姿に、子供達が『カッコイイ!』と歓声を上げる。

 

「えー、ウソだー! ねーちゃんたちってうたやおわらいのプロじゃん!」

「ねーちゃんたちってれんしゅーとかくんれんサボってそー」

「それでいっつもおこられてるんでしょ? だっておこられなれてるし!」

 

 しかし一部のおませな子供達には効果が薄かった!

 

「オイコラ、ウソたーなんだウソたー! あと何度も言ってるけどオレらはお笑いのプロじゃーねー!」

「2号の言う通りだ。俺達はお笑い芸人ではない! お前ら3ちゃんズのことを芸人って呼ぶのやめろよ!」

「貴方達を笑わせる事があるのは認めます。しかしそれは子供の内は遊ぶのが一番という気遣いからですからね?」

 

 芸人チガウと訴える2号に、飛び火した1号も加勢して我ら芸人に非ずと申し立て、3号はあくまでもボランティアの一環であると主張する。

 そんな3ちゃんズの言葉に子供達は顔を見合わせ、無言でやり取りした後に、頷き合う。

 そして代表する様に年嵩の少年が前に出てきて告げた。

 

 

「えっと、あそぶのすきだけど、別にねーちゃんたちがなんかしなくてもだいじょうぶじゃない?」

 

 

「「「へ?」」」

 

 子供っぽくない発言にぽかんとする3ちゃんズ。

 そんな3ちゃんズにだってさ、と男子が続ける。

 

 

「おっきくなってからでもいっぱいわらえるしあそべるもん。だってねーちゃんたちいっつもわらってるしたのしそうじゃん」

 

 

 うんうんと後ろの子供達も一斉に頷いで賛同する。

 そんなおガキ様達に、うーむと腕組みして考え込む3ちゃんズ。

 

「ヌゥー……マイッタ、こいつは色んな意味でちょっと否定がし難いぞ。実際難解」

「いやまーそーかもだけどな? 明日がどうなるかなんてのは分かんねーんだぜ?」

「それに子供の頃遊べなかったのって、後から効いてきますよ? ボディーブローみたく」

 

 悩みながらもどうにか言葉を絞り出す3ちゃんズに、年嵩の子が自信満々の笑みで答えた。

 

「だいじょーぶだよ、だって――」

 

 

 

「――ねーちゃんたちがだいじょうぶなんだもん。おれたちだってきっとだいじょうぶ!」

 

 

 

 自信たっぷりに笑顔でいう男の子に、そーだよねー!と他の子達も皆声を揃えて賛同。

 

「――ああ、やたら自信があった理由はそれか、ナルホドナ! お手本は大事」

「そっかーオレらが問題ねーんなら、そりゃこれいじょーなく安心だもんなー」

「そういう理由と理屈でしたか。いやあ、これは一本取られちゃいましたねえ」

 

 アッハッハッハと和やかに笑う3ちゃんズにでしょー?と笑顔の子供達。

 そして十秒程時が流れ――

 

 

 

「「「――って、そりゃ一体どういう意味だゴルァア!!!」」」

 

 

 

「わー! おこったー!!」

「おそいぞねーちゃんたちー!!」

「きょーりゅーなみー!!」

 

 ガオー!と3ちゃんズが吠え、子供達がキャーキャー騒ぎながら四方八方へ逃げ散った。

 しかし大人気なく覚醒者の身体能力をフル活用した3ちゃんズによってあっという間に捕まって、次々とほっぺたうにゅーんの刑や擽りの刑に容赦無く処された子供達の騒ぐ声や爆笑が響き渡る。

 

 そして暫く経つと、喧騒は3ちゃんズと遊ぶ子供達の笑い声へと変わった。

 

 

「わー! いちごーねーちゃん! もっとスピードアップしてー!」

「いいけど目回して吐いたりすんなよ。うりゃあ! オトコプターこと不破流忍術・真空斬首刀ー!」

「「「「きゃー♪」」」」

 

 某凄い男の様に両腕に子供達をぶら下げてくるくると回る1号。

 

 

「にごーねーちゃん、はやくはやくー!」

「わーったから舌噛まねーようにしっかり口閉じてろ! トゥアァー!! 生半可な覚醒者には出来ない前方に跳びながらの後方回転!」

「つぎぼくのばん!」

 

 子供たちを抱えて、天高くジャンプしてRXキックの動作をする2号。

 

 

「わー……! きれー! たくさん!」

はーい踊り子さん、じゃなくて光球には触れないで下さいね。貴方達なら多分問題ないでしょうけど念の為に」

「ねーねー! 今度は氷か水でやってー!」

 

 破魔系魔法による小さな光球を複数生み出し、高速で操ってみせる3号。

 

 

 なお、回転でパンツが見えそうだったり、キック姿勢で太ももが出てたり、風魔法でスカートが捲れかかったりしてるが、子供達が年少だった為、男の子達の癖が歪むという惨劇は起きなかった――中身のおバカさによるマイナス補正が大きいのもあるが。

 

 

 とはいえ、以前遊んで泥だらけになった子供達を風呂に入れる際に、ガキ相手だし問題ないだろと上半身裸になって風呂に入れようとして桜子達に止められたりしてるので、このまま対策を打たないとキケンがアブナいかもしれない。

 

 

「「「「「「お~ね~が~い♪ わ~かって~よ、アニキのきもち♫ き~みといればた~のし~♪ けんかしないであ~そ~ぼ~♫」」」」」」

 

 

 そして、かいじゅうの着ぐるみ――但し顔が出るタイプ――を着て『かいじゅうのうた』*2を子供達と一緒に歌う3ちゃんズ。

 歌っている間、3ちゃんズの背や頭上に、時々うっすらと白い羽やヘイローが表れ、その度に三人は子供達の様子を伺っていたが、子供達は歌に夢中で気にした様子も無かった。

 

 3ちゃんズと遊ぶ子供達の歓声や歌声は、夕暮れ近くまで続いたのである。

 

 

 

 

 

 

 新潟支部・食堂にて。

 

「「「こら美味い! こら美味い!!」」」

 

「もう少し落ち着いて食べられんのか」

 

 子供達の相手をしてくれたお礼にと出された『メルキセデク印のフレンチトースト』を賑やかに騒ぎながらもっきゅもっきゅと頬張る3ちゃんズをメルキゼデクが窘めた。

 女性の食事風景としては確かに些か行儀が悪いと言わざるを得ないが、これでもかなりマシになった方である。

 

 嘗てはバクバクガツガツとしか表現出来なかったこいつらの食い方を、もっきゅもっきゅにまで矯正出来たのはアルネキのたゆまぬ努力の成果であった。

 

「相変わらずお堅いなあ、飯食う時ってのは雰囲気も大事なんだぜ? ムード重点」

「そーそー。どーせ食うなら美味しく楽しく食わねーと損だし料理にも悪いってー」

「もうちょっとリラックスした方が子供からのウケも良くなると思うんですがねえ」

「いらん。嫌われる事を厭い、教えるべき正しさを教えぬなど正義の天使として論外であろう」

 

「「「ホントお堅ーい。そういうとこやぞメルキゼデクのおっさん!」」」

 

「ま、まあまあ……」

 

 ブーブーとメルキゼデクへ不満の意を示す3ちゃんズを冷や汗かきつつ宥めるシスター桜子。

 この場で一番可哀想なポジになってしまった彼女だが、子供の相手をする3ちゃんズを見てから、ずっと気になっていた事を尋ねた。

 

「子供達の遊び相手をしていた時、一瞬只事ではないご様子でしたが、あれは一体……?」

 

 桜子の問い掛けに、フレンチトーストを食べる3ちゃんズの動きが止まる。

 

 男の子が、二号の前でズボンのポケットに手を入れた時。

 一瞬の事ではあったが、その時の二号の纏う気配の只ならなさは、二号と男の子の間に割って入るべきか桜子が悩んだ程だ。

 男の子の腕を押さえた動きも、二号が覚醒者としての全力で行ったとしか思えぬ程の速度である。

 

 桜子としても、子供が絡んでいるとあっては、このまま何も聞かないままには出来なかった。

 

「あー……その、あれは何といいますか、ゴルゴム、じゃなくて過激派の仕業といいますか、その」

「桜子=サンが気になるのは分かるが、2号はこんなでもおおむね善良で社会的に害はない! 多分!」

 

 3号が笑顔を止めて必死に言葉を選びながらどう説明したものかと悩み、1号が弁護してるんだがしてないんだかな発言を行う中、2号が頬をぽりぽり掻きながら二人を止めると、静かに話し始める。

 

「……うっす、んじゃ説明するっす。実は――」

 

 

「――――実は、以前ガキ連中がイタズラで撃ってきた水鉄砲、めっちゃ油断しててよけらんねーでまともに食らっちまったことがあって」

 

 

「え?」

 

 予想のナナメをいく発言に、桜子は目をぱちくりさせてキョトン顔。

 

「かくせーした超人だってのに、んな情けねー姿さらしちまった。だから二度とそんなカッコ悪い事にならねーよう、気合入れて注意してんすよ」

 

 何と返せば良いか言葉につまる桜子に対し、隣のメルキゼデクは無言。

 

「――実はそーなんすよ! 覚醒者のくせにって関係ない連中まで色々言ってくるし! いくら2号でもそこまで言われる謂れは無い!」

「羹に懲りて膾を吹くとは言わないでやって下さい。2号も少なめの脳ミソで良く考えて頑張ってだした結論なんです!」

 

 2号の様子や表情を暫し伺っていた1号・3号も、フォローなんだか罵倒なんだかな言葉を並べ立てて2号からジト目を浴びせられている。

 返事に悩む桜子の横で、沈黙を続けていたメルキゼデクが静かに告げた。

 

「お主らの在り方、お主らの立ち方、否定はせぬ。そうやってやり過ごすのが、試練や苦難に対するお主達なりの対策なのであろう」

 

 メルキゼデクの急な言葉に驚きながらも、桜子はその荘厳な雰囲気から居住まいを正す。

 

 

「しかしだ、何時かは正面から向き合わねばならぬ時が必ず来る。過剰に怖れる必要はない、お主らならば、必ず乗り越えられる。己を、友を信じよ」

 

 

 厳粛だが何処か温かみを感じるメルキゼデクの言葉には、人を教え導く天使として、若者を指導する年長者としての思いが宿っていた。

 

 何時もガンコ親父めいて自分達に容赦なくゲンコツを食らわせる大天使からの真摯な忠告に、色々な感情がごちゃ混ぜになった様な表情を浮かべた3ちゃんズは小さく溜息を吐く。

 

「……『この世に自分ほど信じられんものがほかにあるか』って返し難い雰囲気はやめて欲しいんだけどな、空気重点」

「……別にウソついてるってワケじゃーねーし。ゲンコツセットなしの説教とか、ちょーしがくるっちまうよ」

「本当に真面目でお堅いですよねえ……それなら、私達も真面目な話といきましょうか」

 

 ネタで返せず溜息を吐く1号、傷跡を掻きながらぼやく2号に苦笑を送った3号が椅子に座り直して、桜子達と視線を合わせた。

 

 

「元々此処(新潟支部)に来たのはこの件を伝える為でもあったのですが――――一神教調和派を騙る過激派がいます」

 

 

「なんだと!!!!」

 

 3号の発言に、メルキゼデクが食堂が揺れるレベルの怒声でブチ切れた。

 予想していた為しっかりと指で耳を塞いでいた3ちゃんズの鼓膜は無事だ、ヨカッタネ。

 

「異界ん中で出くわしてさあ、やたらフレンドリーで胡散臭さ百点満点だったわ、実際アヤシイ」

「まーよりにもよってオレらにやるとかトコトン運のねー奴らだったよな。一周回ってウケるわ」

「よっぽど日頃の行いがアレだったんでしょう。または前世や平行世界で運を使い果たしたとか*3

 

 2号の言う通り、とある理由で過激派の存在を感覚的に把握出来る3ちゃんズに偽装など、無意味通り越してマイナスでしかない。

 そんな相手を見事に引き当てた過激派連中はまさに運が尽きていたのであろう。

 

「……それで、その過激派達は?」

 

 真剣且つ、深刻な表情の桜子が問い掛ける。

 3ちゃんズと違ってメルキゼデクの大声を隣でまともに食らった筈だが、全く堪えた様子もないのは信仰力によるものだろうか、実際ツヨイ。

 

「アイサツから握手で油断させたトコに暗黒カラテ奥義・アラバマオトシ食らわせてやったぜ! ヒサツ・ワザ!」

「まあ今思えば、生け捕りにして色々と吐かせるべきでしたよね。今更言っても仕方ないですけど」

「バレバレのニセモノ野郎どもにどーやってどんな不意打ちしてやろーかしか考えてなかったからなー」

 

 3ちゃんズからするとバレてるのを知らずに一神教派のフリを続ける過激派達は『押すなよ!絶対に押すなよ!』とツッコミ待ちしてる様にしか見えなかったのである。

 

「メルキゼデク様。この件は至急本部や他の支部へ」

「うむ、しかしこれは事と次第によっては……」

 

 桜子の提案を受け、メルキゼデクの脳内にある大天使*4の姿が浮かび、口一杯の苦虫を嚙み潰した顔になった。

 そんな二人の様子を見た3ちゃんズはいそいそと帰りの準備を開始。

 

「色々大変そうなんで、俺らは失礼しますね。オジャマシマシタ!」

「どーもゴチになりました。おっさんもあんまムリすんなよー」

「もし何か連中の情報とかあったらこちらからも連絡しますので」

「すみません、お構いも出来ず」

 

 頭を下げる桜子にいえいえ、お構いなくー、と手を振って外へ出ていく3ちゃんズ。

 

「それじゃ、桜子=サン、メルキゼデク=サン、オタッシャデー!」

「チビ共にもヨロシクいっといてくれ、んじゃあざっしたー!」

「今度来る時は福島支部の桃アイスお土産に持ってきますねー」

 

 風呂入れよ!歯磨けよ!顔洗えよ!風邪ひくなよ!と告げて去っていく3ちゃんズを苦笑しつつ見送った桜子。

 早速本部への報告を行おうとする桜子とメルキゼデクだが。

 

「む、シスター桜子。これは」

「あら。皆様が忘れていったので――え」

 

 3ちゃんズが座っていた椅子の傍に、ノートが落ちていた。

 恐らく3ちゃんズの忘れ物と思われるノートには、表紙にでっかく極秘とマジックで書かれており、普通なら中を見ないですぐ持ち主に届けるべきである。

 

 

 

 タイトルスペースに『昭和系ガンコ親父型大天使対策プロジェクト「純粋な子供はまだガンコ天使には効かないがそのうち効くようになる」』と書かれていなければ。

 

 

 

「「………………」」

 

 暫しの沈黙の後、桜子が無言のままノートを開き、ページを捲る。

 ノートにはまずプロジェクトの要となる福島支部の人気商品、仙桃を使った桃味アイスを用意する為の計画が色々と記入されていた。

 大量のアイスを保存する為のガイア連合の技術を用いた保管庫の用意と場所の確保。

 

 物が物だけに通販は難しいが*5自分達が現地に行って天使嫌いで有名な黒札のロリ祖母相手にライブバトルならまだしも、うっかりガチバトルにでもなった日には目も当てられないという懸念。

 

 代理購入を依頼する事の検討や頼む相手、またその場合の転売目的と誤解される恐れとその対策をどうするか等が、色々と書き込まれている。

 その熱意と努力をもう少しマシな事に、といった感想がシスターと大天使の脳内に浮かぶが、ここまでは問題はない――少なくとも、他所に迷惑をかける内容ではない。

 

 しかし、その先に書かれていた桃味アイスを用いた計画とは一体何なのかというと。

 

「こ、これは……」

 

 シスター桜子がその内容に絶句し、戦慄した。

 

 桃味アイスを複数回に分けて差し入れし、子供達だけでなくシスターや天使達にも食べさせ、支部内で『天使がアイスを食べるのは別におかしくない』といった空気を作り上げる――ここまでが第一段階。

 

 その後、子供達にそれとなく『メルキゼデクだけアイスを食べていない』『笑顔になるぐらい美味しいのに』『一人だけ食べれないなんて可哀想』といった感じの事を伝える――これが第二段階。

 

 次に、子供達がメルキゼデクに『いっしょに食べよう』と言い出すのを辛抱強く待つ、この時決して誘導せず子供達から自発的に動くのを待つのが肝要――地味だが重要な第三段階。

 

 

 そして要たる第四段階――子供達による善意の贈り物を『正義の大天使』が断る筈がない故に、子供達と一緒に笑顔で桃味アイスを舐める昭和系ガンコ親父型大天使という光景が爆誕するので、こっそりその一部始終を撮影する。

 

 

 計画の締めとして、撮影した写真をプリクラでシールにしたり宣伝ポスターへと加工。

 

 福島支部は『有名なお堅い天使も笑顔になる美味しさ!』みたいなキャッチフレーズをつけたポスターでアイスの良い宣伝になってヨシ!

 

 一神教派は、ポスターやシールを彼方此方に貼って、宗教絡みで付きまとうやたらとお堅いイメージからアットホームな雰囲気やフレンドリーさをアピール出来てヨシ!

 

 そしてメルキゼデクはやたらと厳しい印象――実際ホントに厳しいが――を和らげ、孫には甘い爺ちゃん的存在な印象へのバージョンアップを果たしてヨシ!

 

 

 日頃のゲンコツの意趣返しを兼ねつつも、周りに良い効果のみを残す恐ろしくも素晴らしきプロジェクトである!――とノートは締めくくられていた。

 

 

 最後まで読み終えた桜子は、ノートを持つ手を微かに震わせながら、それでもずっとノートから目を離さなかった。

 

 

 

 

 隣で、ドドドドドドドドとか、ゴゴゴゴゴ……とジョジョみたいな効果音を出してるメルキゼデクの方を絶対に見たくなかった故に。

 

 

 

 

 

 

 ガイア連合魚沼支部・支部長室。

 

 

 

「あのバカ共はどこだ!! 出て来い!!! あの三人はどこだ!!?」

 

 

 

「キャア!」

「アイス消費量全国1位の石川県に行きました!」

 

 あくる日、ビッグバンテラおこサンシャインヴィーナスバベルキレキレマスターになって魚沼支部へとエントリーするメルキゼデクが居た。

 その剣幕には普段冷静沈着な静嬢も悲鳴を上げ、田舎ニキも思わず敬語で3ちゃんズの逃亡先を伝える程であったとか。

 

「――――! 其処か!」

 

 この時、メルキゼデクの高いニンジャ、もといダイテンシ第六感が逃走する三人の居場所を察知!即座に窓から外へとロケットめいて発進!

 

 高速で空を飛ぶメルキゼデクの瞳は、獲物を狙う猛禽が如く全力で逃げる3ちゃんズの姿を捉えた!ロックオン!

 

 

「アイエエエエ!!? ダイテンシ!? ダイテンシナンデ!? コワイ!」

「もうきたのか! はやい! きた親父きた! ガンコ親父きた! これで負くる!」

「この道には『場所』がねえッ! メルキゼデクから隠れる為の『場所』がねえッ!」

【挿絵表示】

 

 

 必死に逃げる3ちゃんズだが、空を飛ぶメルキゼデクに空を飛ばない3ちゃんズでは速さで敵わず、運悪く周囲には身を隠せる物もない。

 水の無い場所に追い込まれた5部の相方とできてる疑惑のあるスタンド使いの立場になった3ちゃんズに、最早打つ手はなく――――

 

 

「この――――大馬鹿者めがァーッ!!!!」

【挿絵表示】

 

 

「「「あんぎゃーーーー!!」」」

 

 

 文字通り魚沼支部を揺らす程のワイルドハント*6めいた大天使の大怒号と打撃音と衝撃が辺り一面へと広がり、その渦中ど真ん中のおバカ達の断末魔が如き悲鳴はかき消され、誰にも聞こえなかったという。

 

 

 

 後日、ボロボロ&たんこぶだらけのままでプリニーの着ぐるみ*7を着た3ちゃんズがメルキセデク印のパンとワインの宣伝チラシ配りをしている姿が目撃されたが、咎める黒札は誰も居なかったとか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 毎回そんな調子なのに、近くまで来たら一神教派新潟支部に必ず顔を出す3ちゃんズを、一部の黒札は不思議に思い、一部の黒札は懲りない連中と嗤い、極一部の黒札は目を伏せ何も語らなかった。

 

 

 

 

 

 

 おまけ ボツネタその1

 

「コラー! 貴様らまた子供たちに腹一杯菓子を食わせおってからに!」

「おやつの時間だしいいじゃんちょっとぐらい! 寛容重点!」

「限度があるわ!」

 

 そう叫んだメルキゼデクが何処からかお約束ノートと書かれたノートを取り出す。

 

 

「一神教派とのお約束第32条! 『お菓子は一日一個まで』!」

 

 

「育ちざかりにそれじゃーたんねーよ! せめて一袋だろ!」

「ま、まあまあ。メルキゼデク様も落ち着いて……あら、どうしました?」

「さくらこさまー、本がおちてたー」

「そう、ありが――」

 

 『セクシー&ビューティーなシスター服の女性達vol.13 カレン・オルテンシアからエダまで』

 

「あ、それ私の。すみません、うっかり落としてたみたいです」

 

 

「――一神教派とのお約束第33条!! 『子供達にシスター服について誤解を与えては絶対に絶対にいけない』!!」

 

 

 元ネタ・クレヨンしんちゃん ママとのお約束条項。

 ボツ理由・流石に桜子とメルキゼデクのキャラ壊し過ぎ。

 

 

 

 おまけ ボツネタその2

 

 メルキゼデクにボコられて捕まった後。

 

「そんなにアイスの宣伝をしたいのなら、思う存分自分達でするがいい」

 

 そう言って腕組みするメルキゼデクの前には――

 

「さ、さぶっ! 冷たっ! い、いくら覚醒者でもこれはキツイ! 実際辛い!!」

「だ、出してくれ!! これ絶対ヘンなとこにアイスが入って凍傷になるって!!」

「この器やアイスどうやって用意したんですか!? 無駄遣いが過ぎるでしょ!!」

 

 

 ――巨大なガラスの器に乗った巨大アイスの中に水着姿で閉じ込められ、晒し者にされる3ちゃんズの姿があった。

 

 

「三人共大好きなアイスの中に居られて幸せそうだな」

 

 3ちゃんズを巨大アイスに押し込めた後からアイスを凍らせて閉じ込めた田舎ニキが呆れた様に言うのでした。

 

 なお、アイスは後でスタッフ(3ちゃんズ)が責任をもって美味しくいただきました。

 

 

 元ネタ・こち亀 日本酒密造計画の巻

 ボツ理由・3ちゃんズのガワだと喜んでアイスを食べる奴が出る可能性がある為。

*1
CV:西山喜久恵

*2
歌手はサザンオールスターズの原由子。筆者の中で『みんなのうた』で一番に思いつくのがこの歌だったりする

*3
24話

*4
名無しのレイ様作。【カオ転三次】故郷防衛を頑張る俺たち  に登場する大天使ザドキエル。一神教派の秘密にしておきたかった秘密兵器。同族を殺すのが何より好きなサイコパスで、当然メルキゼデクとの仲は最悪。見た目は『勇者刑に処す』のライノー

*5
ふなぐち又兵衛様作。しがない一転生者の徒然 ある夏のガイア連合福島支部にて〜或いは、黒井有希の追憶〜 より。作中にて天使が大量に押しかけて豆柴ニキのばーちゃん・黒井ヒノエ嬢がキレているので不可能かコストが高いと判断しました

*6
ニンジャスレイヤーに登場するニンジャで大小様々なコマを用いて戦う。高い能力と強い忠誠心を持ちながら、凶暴な上司とクセのありすぎる部下、動きの鈍い自組織と他組織からの圧力に苦しむという作中屈指の中間管理職っぷりに多くのヘッズから同情された。

*7
プリニーアサギみたいな顔の出るタイプ




 ―以下どうでもいいバカ共の設定―

・ペテン使3ちゃんズ
 一定範囲内の過激派を感覚的に把握する能力を持つが、詳細は一部の黒札以外には秘密にしている。
 山梨支部に居る時は全然歌を唄わないが、何故か一神教派の支部では子供達相手に歌っている、理由は不明――実は31話で穏健派メシアン拠点にて出くわした子供達にも作中で歌を唄っていたりする。
 また子供の相手をする際に覚醒者としての能力を無駄に使う傾向がある。
 メシアン絡みで何かあった相手、場所には基本自分達からは近付こうとしない。
 森田の紹介という前提が無ければ魚沼支部も本来はその範疇である――もっとも一度関わり、その後慣れてしまえば何時もの調子になる模様。
 なお2号が子供の悪戯の水鉄砲を食らったのは作中言ってる通りウソではなく本当。

・一神教派・新潟支部
 魚沼支部に3ちゃんズが出入りする様になった後、同じ様に出入りする様になった。
 子供の遊ぶ声、シスター桜子の溜息、メルキゼデクの怒鳴り声とゲンコツの音が響くので3ちゃんズが来ていると直ぐに分かる。
 3ちゃんズはJKな容姿の自分達も容赦なく殴るメルキゼデクにボヤいているが、顔を出す度に自分達から絡みにいっている。
  幸いにもおバカ共で子供達の癖が歪む悲劇は起きていない――内面のおバカさ、残念さがよい仕事をしている。
 なお、子供達を上半身裸で風呂に入れようとして止められた際は、タンクトップと半パンに着替えて風呂に入れ――――結果、おねショタ濡れ透けタンクトップなナマモノ本が販売されたのでメルキゼデクと協力してカチコミをかけた。



 すっかり遅くなって申し訳ございません。
 実は引っ越しをする事になり、色々とドタバタして随分と間があいてしまいました。
 引っ越し終わった現在も完全に落ち着いてはいませんが、間が空いた間にネタ思い付いた結果展開の変更があり、話が伸びたため最終回予定だった話を分割して投稿しました――マカーブル様よりのタイトルロゴをちゃんと取り上げたかったですし。

 言動は何時も通りの3ちゃんズですが、メガテンらしく何か不穏な様子も出してみたり。
 前書きの通り3ちゃんズの能力に変更があり、ある理由から一定範囲内の過激派の存在を把握出来る様になってます。
 その理由である3ちゃんズを贄に顕現しようとしていた天使も決定してます、正体は次回にて。

 これは筆者の勝手な考えなのですが、カオ転三次の多くの主人公勢の共通点に『失う』があると思っています。
 自分にとっての大切な何かを失い、その復讐の為、もしくは失った何かを取り戻す為。
 または、自分にとっての大事なものを失わない為に、或いは再び失わない為に。
 そういう理由や動機で方法や役割は違えど神や悪魔との戦いへと赴く人達が三次主人公に多いと筆者は考えています。

 そして改めてこのシリーズのコンセプトを申し上げますと『少し三次主人公っぽくなった三馬鹿ラス』です。

 予め申し上げますとこのシリーズはバットエンドではないです、どちらかというと『3ちゃんズの戦いはこれからだ!』な感じです。
 後2回でこのシリーズ終わらせたいなあと思ってます、何時もの三馬鹿ラスとは別の楽しさがあって書いてる内に長くなってしまったので。

 9/21マカーブル様より頂いたFAを作中に追加。
 実に素晴らしいw
 加害者で自業自得なのにガワのせいで被害者側っぽく見えてしまうのがヒドイwww
 死語ですがMS5(マジでシバかれる5秒前)って感じですねw
 マカーブル様本当にありがとうございました。

 それでは最後まで読んで頂き誠にありがとうございました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。