トビカガチは実質セクレト   作:HR217の一般ハンター

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モンハン二次創作、原作ストーリーに沿わせないと気軽に出せる原作人間キャラが少なすぎる

 

 

「オッサン、邪魔」

「あばっ」

 

 フィズは檻の近くに居たムッノリーニの腕を引っ張り、後ろに投げる。言い方は悪いが、フィズなりの不器用な優しさなのだろう。今のムッノリーニの疲労とモンスターへの怯えを見るに、戦闘は後遺症を招く可能性が高い。

 

「アンタはオッサン守ってろ。オレが片付けてやるよ」

「ふむ、良いだろう」

 

 この試験内容には、違和感がある。84番程の疲労には挑ませない程度の人命意識は有るのに、それに極めて近い疲労状態のムッノリーニは戦わせている。更に、事実上無造作に選定された四人パーティーと来た。これでは、三次試験突破者は玉石混淆だ。

 

 おそらく、二次試験の疲労を乗り越えて尚狩猟に挑まんという勇気を見せれば、優秀株におんぶに抱っこでも将来的な成長を期待して三次試験突破で良いとなるのだろう。四次試験を突破できるかはさておき。

 

「けれど、けれどね。悪夢は巡り、そして終わらないものだろう」

「……?」

「無能のムッノリーニ、その通りだな。貴様は一生、無能のままだ。何処に言っても、そう揶揄され続ける。どんな無茶をしてでも、己の命を投げ出しても、モンスターから人を守る。それが、ハンターだ。喋れるだけの体力が有るのなら……立って、武器を構えろ。自分の力でハンターとなり、悪夢を断ち斬る気概も無いのか」

 

 父ベネット、そしてマティーニ殿達、私の知るギルドハンターとは、高潔で、偉大で、勇敢な、英雄を示す言葉である。

 

「まぁ安心しろ。貴様がどれ程情けなく怯えて縮こまっていても、私が守ってやる。どうせ面接で落ちるか、受かってもハンターランク1の内に死んでしまうのだろうがな。自分でもそう思うだろう? 臆病で無能なムッノリーニ」

「おっ、俺は……俺はぁっ! 無能のムッノリーニなんかじゃあない! 俺は、ハンターのムッノリーニだ!」

「ふふ……カッコいいぞ、少年」

 

 ムッノリーニは立ち上がり、ランスのように片手剣を構える。重く痛く苦しいであろう身体に鞭を打ち、ジャギィに向かう。

 

「フィズ! ジャギィの手柄は貰うぞ!」

「はぁ? 別にオレ一人で……チッ、好きにしろ!」

 

 lv1通常弾が装填されたヘビィボウガンを構え、照準、発砲。今のムッノリーニでは、ジャギィにすら簡単に殺されてしまう。勝ち目は無い。では、どうすれば戦えるか。そんなモノは簡単、私が援護してやれば良いだけの話だ。

 

「ゥギャァッ!?」

「らぁっ!」

 

 ジャギィの身体はそう大柄でもなく、動きも機敏。だがね、私は国際射撃競技会に自衛隊代表として複数年に渡り選出された程度の技量は有るのだ。いくら精度が悪い武器でも……この距離の敵の眼球に弾を当てるぐらい、訳無い。

 

 ムッノリーニのチャージが、怯んだジャギィに直撃。ジャギィの肩に、剣が突き刺さる。素早く剣を引き抜き、顔面に向けて刺突。頬を貫かれたジャギィは倒れ、叫びながらジタバタと暴れまわる。ムッノリーニはここで焦らず、盾でガードしながら攻撃範囲を抜ける。暴れているのを利用して、疲労と失血を蓄積させる狙いか。

 

 ジャギィの様子が落ち着いた所で、再度接近。今にも立ち上がる所のジャギィの首へ、重さにモノを言わせた渾身の振り下ろし。

 

「ッ、ラ゛アァァ゛ァ!!!」

「ふーん、根性あんだねオッサン。ケッコー立派だったよ」

「はぁっ……はぁっ……へへ、舐めんじゃねぇぞ年下が。……ありがとう、姉御。俺、初めてモンスターを倒せたよ……」

 

 ムッノリーニが決意を固める頃には既にジャギィノスを狩猟していたフィズが、ムッノリーニを褒める。家庭環境が悪そうな捻くれた少年だと思っていたが、人を褒められるのは素晴らしいことだ。

 

「第四グループ、直ちに試験エリアの外へ。第十一グループが、脚を乳酸で埋め尽くして悲鳴を上げている」

「承知した、すぐに出よう。貴殿、疲れたのは分かるが早く移動するぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

「失礼します」

「待っておったぞ、ベネットの遺児よ。ささ、そこに座りなさい」

「ハッ」

 

 第四次試験、面接。ムッノリーニとフィズは既に終え、ようやく私の番が来た。面接官の姿は、巨大な几帳に隠されて見ることはできない。

 

「ヌシの事は、よく聞いておる。口減らしで捨てられ、トビカガチに育てられ、青電主との戦いを経てマティーニ一向に出会い、そしてここに居る。三次試験の様子も、見ておったぞ。ジャギィの眼球をたった一射で破壊する、見事な援護射撃であった」

「ありがとうございます」

「……して、好きな食べ物は?」

 

 す、好きな食べ物? それに何の意味が……? あぁ、アレか? 私が野生児だから、食用目的で非狩猟鳥獣を狩ってしまわないように警告……とか?

 

「そうですね……何でも美味しく食べられますが、強いて言うのであれば……出汁巻き玉子が食べたい気分ですね」

「ほう! タマゴ! タ・マ・GO!」

 

 どうしたのだろうか。几帳の先の彼は、何故こうも出汁巻き玉子に興奮しているんだ。

 

「知識は豊富、体力も抜群、技術にも優れ、精神面にも問題は無く、そして何よりタマゴ好き! ふむふむ、ふーむふむ……面接はこれで終わりじゃ。退室してよし! ムォッホン!」

「は、はぁ……? 失礼しました」

 

 

 

 

 

 

 

「こんちはー」

「あぁ、どうも。こんにちは」

 

 試験から一週間後、トニック殿の庭で義妹と遊んでいると、郵便配達の青年がやって来た。

 

「こちらにお住まいの名前ナゲー方にお手紙ッス」

「あぁ、それは私だな」

「うぃっす。そんじゃ、渡しったスからね」

 

 はて、何の手紙だろうか。便箋を開けると、中には二枚の上等な紙。手前側から読んでみる。

 

 

 


 

 

第247回ドンドルマギルドハンター試験について

 

 

 受験番号99番サント・リー・スピリツ・シーコウを『合格』とし、大長老の名においてハンター資格を送る。

 

 

 

ドンドルマギルド

 

 


 

 

 

「よし!」

「カロロロッ!」

 

 最後の最後で好きな食べ物を聞かれた時には少し困惑したが、アレのせいで不合格になったりしなくて良かった。

 

「で、もう一枚が資格証明書」

 

 さて、それでは早速ハンター登録に行くか。あぁいや、その前にお世話になった方々への挨拶をして、マティーニ殿に同行を頼むか。義妹の公的な所有権を、マティーニ殿から私には移さねば。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 バチ、バチ、焚き火が弾ける。飯盒を開ければ、炊き立ての米の香りと湯気がグンと立ち込める。隣の鍋を開ければ、肉とトマトと香草の香り。グツグツと沸いた猪のトマト煮込みの上に、チーズを山のように盛る。箸でかき混ぜ、チーズを溶かしながら肉に纏わせる。

 

「いただきます」

 

 チーズを伸ばしながら肉を持ち上げ、頬張る。強い熱、トマトの味わい、肉とチーズの脂、香草の香り、強い塩気。飯盒にそのまま箸を突っ込み、白米を掻き込む。味変用のとタバスコの相性も、言うまでもなく抜群。

 

「はふっ、んっ……」

 

 4kgのトマト煮込みと一升の米は、ほんの十数分で消失。それと同時に、全身に力が張るのを感じる。義妹も丁度大量の生肉を食べ終えたところだ。

 

「さて、行こうか」

 

 ドンドルマギルドでハンター登録をし、正式に義妹をオトモンとした私はそのままクエストを受注した。最初のクエストの依頼人は、ドンドルマ北東部にある小さな村の村長。内容は、山菜を取りに行った村人を襲ったドスジャギィの狩猟。新米も新米である私が受けられる依頼の中では、最も難易度と報酬が高かった。

 

 現在は山の麓にキャンプを設営し、ドスジャギィを探しに行く前に食事を行っていた所である。

 

 義妹の背に乗り込み、駆ける。装備はギルドから支給された鉄のヘビィボウガンに、自前のジンオウガ製防具。本当は青電主ライゼクスの素材を加工屋に持ち込みたかったのだが、ハンターランクが低すぎて私には作れないらしい。もし作れたとしても、素材のグレードが高すぎて私の払える金額では無かっただろう。

 

 

「おっ、これは!」

 

 山に入って数分、私は教科書で何度も見た植物を発見した。ハンターからは単に薬草、とだけ呼ばれている有用な植物だ。これをペーストにして加水したものが回復薬であり、金欠ハンターである私にとっては無視できない存在である。これは採取させて貰おう。フィールド上での採取活動は、クエストを受けたハンターの特権だな。

 

 

 

 

 

 

 

 

「おや」

 

 ドスジャギィ捜索開始から十五分、早くも痕跡を発見した。この足跡は、間違いなくドスジャギィ。直近の天候を加味しながら足跡を注意深く観察。恐らくは、約一時間前にここを走ったと思われる。

 

「縄張りは相当近い……いや、既に入っているのか」

 

 ガサ、ドタッ、茂みを掻き分け、礫の上を駆け抜け、何かが近付いてくる。北北西、115m先。この音の主は、間違いなく人でもアイルーでもない。具体的に言えば、肉食恐竜型骨格をした小型モンスターのソレであった。

 

 ヘビィボウガンを構え、薬室に通常弾を送る。照門を覗き、やって来る音の方向に合わせて微調整を続ける。

 

「ここだ」

 

 発砲。標的は、音の主。その正体は、予想通りジャギィであった。試験の時と同じように弾丸がジャギィの眼球を破壊、怯んだ所にもう二発。彼はあっという間に瀕死となり、戦闘開始3秒にも関わらず逃走を選択。勿論瀕死のジャギィがトビカガチを撒ける筈も無く、奴は義妹の猫パンチを尻に受けて転倒した。

 

「親分を呼びたい。脅して叫ばせてくれ」

「グオゥッ!!!」

「ギュォアーッ! ギュアゥッ! ゥギアォッ!」

「おぉ、脅すのが上手いじゃないか。よくやった、偉いな。じゃあ……そいつはもう用済みだ」

「カロロッ」

 

 ジャギィにマウントを取った義妹の牙が、ジャギィの首を噛み千切った。ジャギィの首から吹き出す鮮血の勢いが落ち着いた頃、複数のジャギィと思わしき足音を関知した。数は十を超え、私を囲むように動いている。

 

「東西を問わず、古来より包囲戦法へのカウンターは決まっている。一点突破だ」

 

 薬室から通常弾を弾き飛ばす。代わりに装填するのはlv2の通常弾。私達を取り囲む音の中でも、一際軽い方向で急接近。小柄なジャギィとヘッドオン、眉間を貫かれて体勢が崩壊した所を義妹が歯牙にもかけず体当たりで吹き飛ばす。

 

 私達が包囲を抜けた事を音で察知したジャギィ達は、遮蔽に身を隠しながら再度包囲を試みる。だが、そう簡単に包囲はされんよ。木々の間を縫い、一体一体弱い順に射殺していく。あっという間に数は減り、残るは重い足音──ドスジャギィが一体のみ。

 

「やぁ、はじめまして。悪いが、仕事なんでな。貴様の肉を食うつもりは無いが……死んで貰おう」

 

 ついに姿を現したドスジャギィの表情は、複雑であった。私は十年もモンスターと暮らしているのだ、トビカガチでなくても多生の感情は読み取れる。怒り、焦り、悲しみ、恐怖、空腹……彼を取り巻く多様で複雑な感情は、しかし共通して綺麗にマイナス一色で染め上げられていた。

 

 ヘビィボウガンの薬室を開き、ドラムマガジンを直接くっ付ける。これこそがヘビィボウガンの本領であり、私の求めていた力。

 

 機関竜弾。ヘビィボウガン専用の、特殊な弾。一言で言えば……マシンガン。

 

「ここからは、私達の独壇場だ」

 

 何故、現実世界においては馬上やバイクで機関銃やフルオートの小銃を用いないのか。勿論狙うのが難しいというのもあるが、それと同じく騎乗先が反動の影響で普段通りに動けないというのも大きな理由の一つだ。

 

 しかし今の私は、地球上のどの人間よりも力が強い。そこに元来の射撃能力が合わされば、反動の制御は難しくない。義妹もまた、馬やバイクなんて鼻で笑えるだけの力と巨体。

 

 つまり、今から私達が行うのは……ドスジャギィを上回る速度で移動し続け、一方的に攻撃できる距離を維持しながら大口径機関銃をフルオートで全て頭にぶち込むという戦法……いや、蹂躙である。

 

 

 

 

 銃口から煙が昇る。血の臭いが山を支配する。散らばった小さな肉片達が、至る所に付着している。

 

 マガジン内の全ての弾を撃ち切った。ドスジャギィの顔面は一切の原型を止めておらず、砕けた頭蓋骨まで露出している。それでも動けているのは準大型モンスターとしての生命力か、群れを殺し尽くした私達への怨嗟か。

 

「だが、もう終わりだ」

 

 集中特効弾【竜吼】、極めて高い傷口破壊性能を有する高火力弾。寸分狂わず放たれた弾丸は、ドスジャギィの露出したボロボロの頭蓋骨を貫徹した。

 

 

 

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