皆さん気になっているであろう超人との接触です。
唐突だが、
正解は日本、富士山。巨大な握り拳型の宇宙船が富士山を殴りつけるような形で突き刺さっているのだ……と、いう事は当然その麓には樹海が広がっている。
俺が提案し、形になったのは広大な樹海でのサバイバル訓練だ。ギブアップ、回収要請用の信号弾のみを持たせて樹海で散り散りになり、3日以内に本部へ帰還しろというものだ。
この訓練の意図は実は簡単で『時には手を組む』という発想と協調性、対応力を付けるのが狙いだ。
「さて、と……まずは」
技の入りに使い、超人を吹き飛ばす威力の竜巻地獄。当然これは俺自身が高く舞い上がるにも使える。樹海を飛び越え、本部の場所を視認。
「あっちか」
アテもなく彷徨う、という事が無いだけでも他の超人より有利と言えるのだが……高い所から見れば多くの超人達の姿も見える。
「お? アイツは……」
明らかに途方に暮れている超人を見つけ、そちらへ向かう。
「よお」
「シバか……オレは早々にギブアップだ」
「何だ、まだ昼にもなっていないぜ」
「だがよお……オレにはこの状況は鬼門なんだ」
俺が見つけたのはテルテルボーイ。本編でMAXマンと共に正義超人に挑んだ携帯電話型の超人だ……あー、そりゃこんな中じゃ携帯は圏外だわな。
「ギブアップを止めはしない。だが、手を貸してくれるなら一緒に帰還してやるよ。自分で提案しておいてなんだが、コイツは一人で帰還するのは骨が折れる」
「……わ、わかった。なら協力してやるよ」
「ああ、助かる」
まずは戦力を1人ゲット。差し当たり、定期的に上空から位置確認して本部の方へ向かいながら他の超人を探す。
「あれは、信号弾か。だらしない奴らだ」
ポツポツと、脱落者が出始めているようだ。ハッキリ言って、この段階でギブアップするような奴は悪魔超人の陣営には不要だ。悪魔超人というのは敗北して尚道連れを図り、死して尚怨念が正義超人を苦しめる程に勝利への執念があるものだ……執念も能力も足りない連中では、リングに上がったところで勝てはしない。
テルテルボーイは自身にあまりにも不利な状況にギブアップしかけていたが、相手の苦手な超人に電話をかけてその姿を見せる催眠能力は非常に強力だ。多彩な超人になりきれるという意味では、能力の系統的には7人の悪魔超人の1人であるステカセキングに近い……つまり、素質自体はあるので拾っておく価値は十分だ。
何度目かの高高度跳躍……今回は、本部ではなく周辺を見回して水場を探す。
「あっちに小川が見えた。少し休憩しよう」
いかに超人と言えど、疲れもするし腹も減る。水分補給と、出来れば魚も捕りたいところだ。川が見えた方角へ進んでいく……すると、やはりと言うべきか見知った顔に出くわした。
「チェック、レックス! ここにいたのか」
「誰かさんが上に見えたものでしてね。そろそろ休憩出来る場所を探しているのだろうと当たりをつけたのですよ」
ちっ、見られていたか。便利な方法だと思ったが少し悪目立ちが過ぎるかも知れない。
「やれやれ……とにかく、メシにしよう。魚が泳いでるみたいだからな」
そうして魚を捕ろうとしたが……意外とうまくいかない。
「あ、あれ? 思ったより手強いな……」
「それだけ腕があって何をやっているんですか、こうして……あれ?」
「オレがやるから、見ていろ! ジュラシック・ハンドーッ!」
「「おおっ」」
レックス・キングの右腕が巨大な恐竜の頭となり数匹の魚をまとめてその顎で捕らえる。
「やるもんだな。じゃあ、俺は木の枝とか薪とか探してくるから、火起こしを頼む」
あのまま悪戦苦闘してもレックス程の成果を上げられる気がしない。それなら素直にサポートに徹するさ……悔しくないと言えば嘘になるが。
良い感じの朽ち木を見つけ、手刀で枝をはらっているとガサガサと草が揺れる。
「アレは……猪か。だが遠い、追っても逃げられるな……。肉は惜しいが諦めるしかないか」
視線を外した直後、猪の悲鳴が聞こえた。
「!?」
「それは、火を起こす為の薪集めか? なら、オレ達と取引をしないか?」
姿を見せたのは、未来のアイドル超人ケビンマスクとマルスだった。マルスはスカーフェイス、と言った方が分かりやすいだろうか。
「取引?」
「火を起こすって事は、何かしら食料を手に入れたんだろう? 俺達は今仕留めたコイツを分けてやるから、お前達の食料も分けて欲しい」
「ああ、わかった。自己紹介しておこうか、俺はシバ」
「オレはマルス、こっちがケビンだ」
「へえ、アンタが。よろしくな、有名人」
「そいつはお互い様だ」
そんな軽口を叩きながら、2人を連れて川原へ戻る。すると、テルテルボーイが思わぬ特技を発揮してすぐ火を起こしてくれた。
「電熱アンテナーっ!」
「便利なものですね」
「オレだって世話になりっぱなしじゃいられねえよ」
「見つけて良かった、お前抜きじゃ火起こしも手間だったろうからな……ん?」
人の気配。どうやら食い物に釣られてやって来たか。
「楽しそうじゃねえか」
「その食料、俺達によこしな」
「クカカ……だ、そうだ。どうするよ?」
「くだらない事を聞くんじゃねえ。ただでさえ大人数なんだ、その人より多い手で食事の準備を進めておけ」
「私とケビンマスクは、食前の運動をしますので任せましたよ」
可哀想に、相手が悪かったな。食料の強奪を考えるのは理解できなくもないが、ちゃんと『それが可能な相手か』は考えないとな。
薪を割り、魚と猪を捌いている間に身の程知らずは二人があっさりと片付けた……さて、ろくな味付けも無いが焼くとするか。
「お? これは……」
魚と猪を口にする面々。
「うまい!」
「たまにはこういう食事も悪くないな」
「魚か……このくらいの大きさだとフライは最高なんだ」
「へえ?」
「ビネガーをたっぷりかけるのがイギリス流だ、機会があったら奢ってやるよ」
「そいつは楽しみだ」
血気盛んな新世代超人だが、当然皆若くヤンチャな世代でもある。こういう機会はキャンプ気分で楽しい時間だ。
「そうそう、さっき朽ち木を薪にするのに割っていたらこんなのが出て来たんだ」
「何だ、芋虫?」
「多分、カミキリムシの幼虫だな。コイツも焼いてみようと思う」
「冗談だろ!?」
露骨にドン引きするレックス・キング。
「試す意味はあると思うぜ? ザ・ニンジャって知ってるか?」
「悪魔六騎士の1人ですよね? それがどうしたんです?」
「その名前を知って、日本の忍者ってのを調べてみたんだ。戦国時代の諜報や暗殺を担っていたわけだが、任務の過程で山越えする時なんかに、現地調達の食料で虫も食っていたらしい」
「なんと……」
「俺は碌な娯楽の無い魔界出身だからな、とにかく本で知識を入れるのが楽しみで色々読み漁っていたんだ」
「色々な知識が豊富だと聞いていたが、そういう理由か」
「ああ。ダメでも自業自得だからな、やるだけやってみるさ……これで食料の選択肢が増えるなら、後々有利に働く」
知識はあっても、実践は初めて。火を通した幼虫を口に入れてみる。
「……うまい。試してみるもんだな」
「なっ!?」
結果は成功。これはラッキーだ。そんなイベントも挟み、食事を終えたところでケビンマスクとマルスは去っていった……解散でも良いのだが、何だかんだ知恵や能力を出し合う有用性を理解出来れば当然ミッションクリアに活用すべきなので4人で行動する。
「ふむ、本部がこの方角で、川がこう流れているので……この辺りまで進んで夜を明かすのが良いでしょう」
計画性に優れ、効率的なルートを割り出す事に長けたチェック・メイトに、恐竜の狩猟本能に起因するのか魚に限らず狩りが得意なレックス・キング。電熱アンテナを活かす事で火起こしが誰よりも早いテルテルボーイ。このメンバーを、知識量と単純な手数(文字通り)に優れる俺がサポートする……意外と悪くない態勢が出来上がり、結果は当然ミッション達成。
「早かったじゃないか」
「2人で俺達とほぼ同時に到着しておいて言うか?」
ケビンマスクとマルスも当然ミッションクリアだ。一方、周囲を見渡せば達成者は全体の半分もいなかった……変な事を言うようだが、事は思惑通りに進んでいる、と言っていいだろう。
俺がこんな訓練を提案し申し出たのは、いくつか理由がある。一つは食事時にあったような交流だ。やはりケビン、マルス(スカーフェイス)には接触しておきたかった。
次に、悪魔超人勢力の拡大を狙う上で不要な人材をふるいにかける事。人手が多くて損という事は無いが、役立たずを抱えては他の勢力になめられる。
最後に、今回の経験を生かしてコミュニケーションを増やし、という身内の連携を強化する事だ……まず前提として、
先のサンシャインの印象操作も含め、出来る事は大体やったはず……他にないか、と思案しているとそのサンシャインから声が掛かった。
「シバよ、待たせたな。正義超人と戦わせてやろう」
と言うわけで、次回正義超人とバトルでございます。
しかし、主人公であるキン肉万太郎とは戦いません。理由としては序盤で満足にK・K・Dも使えない万太郎とぶつけると下手をするとそのまま超人閻魔の下に送ってしまい物語が根底から崩壊しかねないためです(何)
次の獲物……じゃなかった、対戦相手はアンケートで決めようと思いますのでご協力お願いします。
シバと戦う正義超人は?
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ガゼルマン
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セイウチン
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テリー・ザ・キッド