ドラゴンボール coveR   作:やま おさ

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其之二百五十五之三

そして、JUMP DRIVING SCHOOL・・・。

 早速という訳では無いが、ブルマから紹介を受けたドライビングスクールに現れた悟空達。

 まずは入学手続きが必要という事で、受付に顔を出している。

「あの・・、身分証明書がないと、入校出来ません」

「おい、ピッコロ。身分証明書だってよ」

 そして、当たり前のように、身分証明書がいるようで、

「そんなものは無い」

 そう、ピッコロに身分を証明するものは無い。

 しかし、ブルマから紹介状らしき物は貰っているらしく、クリリンが書類らしきものを受付嬢に提出する。

「これで、いいんだろ?」

「はあ、カプセルコーポレーション・・・。大きな会社ですね。じゃあ、上司に聞いてみます」

 何とか、話が通じる様子が見えてきて、一安心と言うところ。

「何か。大丈夫そうだな、ピッコロ」

 無事に入学手続きが出来そうだが、ピッコロからの返事は返ってこない。

「何だよ、嬉しく無ぇのか?」

「別に・・、嬉しい事でも無いんでな」

 何となく、分かっている事だが、すんなりと手続きが進む様子は不快であるらしい。

 しかし、ドライビングスクールまで来ているという事は免許を取得する事には興味があるようで、不快に思いながらも、大人しくしている様子は不思議ではある。

 それでもカウンターの前で腕を組みつつ、仁王立つ巨体は威圧感が満々で、他の教習生達から違った意味で注目の的で、何が大魔王を免許取得に突き動かしているのは不明でしか無いが、入学手続きは進んでいく。

「上司からOKが出ました。こちらにサインを、それと入学金も・・・」

「おい、ピッコロ。金だってよ」

 またしても、難関な要求が出た。

 それは当事者であるピッコロに話が振られるが、財布を持っているようには見えず、悟空とクリリンの二人も入学金に足りる金は持ち合わせてはいないのだろう。

「ブルマさんから貰ってないのかよ」

 と、クリリン。

「無え。しまったな、取りに戻るか」

 面倒臭そうに頭を掻く悟空。

 一旦、出直しかと思える場面ではあるが、

「金ならある」

 と、ピッコロが言う。

 そしてマントの襟首辺りから、少し厚みのある束を取り出して、カウンターの上に。

「いくらあるかは、知らんがな」

 その札束は、古いものやシワの入ったものが混じるか、100万ゼニーほどには見える。

「どうしたんだ、それ」

 悟空にしてみれば、思いもしない額であり、疑う訳ではないが出所は気になるようだ。

「多かれ少なかれ、人間と接触する機会がある。そうであれば、金に触れる機会もある」

 居るだけで人に恐怖を覚えさせる男とは思えないセリフが出て、

「ふ~ん」

 お金の出所として、詳しい説明とは言えないが、悟空は何か思いあたる事があるらしく、

「ピッコロが住むあたりじゃあ、そんなに金が拾えるのか?」

 随分と失礼な金の出所を告げる。

「拾うか!」

「じゃあ。何だよ、それ」

 と、改めて、説明を求めるが、

「ちっ・・・」

 話したくないらしく、舌打ちをしてから、

「・・・、食い物の礼に金をよこす奴らもいる」

 ほんの少したけ説明らしき言葉が口から漏れる。

「食い物?、どういう事だよ。それ」

 その内訳がピッコロの口から漏れる。

 ピッコロが暮らす大陸の奥深くや山岳地帯は、あまり人が住む所では無い。

 それでも遊牧民や辺境の民がいるらしく。

 そのような人間とも、近付かないようにしているピッコロだが、日々の糧を得るための狩りをして、時に捕りすぎた魚や獣を求めて接触してくる人間もいる。

 辺境である故に、大魔王という存在を知らないのだろう。

 そして、お礼として僅かばかりの金を置いてゆく民もいるという事。

「なんだ、いい奴みたいだな。お前ぇ」

 などと、感心する悟空と、

「大魔王なのに」

 名前の印象からは、想像も出来ない内訳に驚くクリリン。

 それは兎も角、札束を数えていた受付嬢が顔を挙げる。

「あの・・・、大丈夫みたいです。予約も開いていますから、今から教習されますか?・・」

 と、早くも教習の機会が訪れた。

 しかしながら、流石に

「いや・・、今日は」

 ピッコロの腰は引ける。

 しかし、そうはいかない悟空達。

「ああ、いいぞ。今日から教えてくれ」

「何っ?!・・・」

「ほら、早くしねえと、遅れるぞ!」

 悟空に背中を押されて、教習場まで一直線。

「ちょっ、一寸待てっ!」

「いいから、早くしろって!。教官が来ちまうぞ」

 否応なしの自動車教習の1時限目が始まる・・・。

 ピッコロの乗った教習車がコースを走る。

「ははは!、やってる。やってる」

 「すげぇ!、ピッコロが運転してるんだろ。あれ」

 教習当初はエンストを繰り返してはいたが、覚束無いながらも車が走る事にクリリンが驚く。

「教官が良いんだろ。ブルマの紹介だしな」

 と、思うのは最初だけで、スピードが上がるにつれてボロは出てくる。

「おいっ。車、当てまくってるぞ!。大丈夫なのか?」

 他の教習生が運転する車を巻き込む。

 交差点の信号機は曲がり、対向車は中央分離帯に突っ込む。

「はははっ、大丈夫だろ。あの位じゃあ、ビクともしねぇって」

「いや。それは、ピッコロの事だろ」

 確かに、運転をしているピッコロは大丈夫だろう。

 しかし、その内に1台目が壊れて、続く2台目、そして3台目が壊れた頃にピッコロが教官と共に戻ってくる。

「申し訳ないが、その者の運転では車が何台も壊れて、他の教習生の授業に支障が出る」

 想像した通り、破壊を繰り返す大魔王の運転。

 そして、頑張り過ぎた教官の様子がわかる。

「その前に私の体が持たん・・、」

 その言葉が示すように教官の姿は、肩から吊った腕にはギプス、同様に足のギプスには松葉杖、おまけに眼鏡にヒビまで入っている・・・。

「やっぱり、駄目か・・」

 結果、ドライビングスクールに教習の継続を断られる。

 そして、取り敢えずというか、再びブルマの会社にやってくる三人。

「なるほどね・・。でも、しょうがないじゃない?。普段、機械とかに縁が無いんでしょ」

 紹介した相手であることから、多少の騒ぎは伝わっているのだろうが、そこは大企業の娘。

 特に取り乱す事はない。

「で?、どうするの?」

 と、聴くという事は、教習の再開を想定していると言うことで、ピッコロからの返答を待つ。

「・・・・。もっと、簡単な方法はないのか?」

 と、ピッコロの返事は、弱気を思わせる言葉。

「たとえば?」

「口で行き先を言えば着くような車とは無いのか?」

 免許取得からは遠ざかるが、

少なくとも車での移動には興味があるらしい。

「作ろうと思えば、作れるわよ」

 と、ブルマは言い。

 机の上にある資料らしきもの何枚かめくる。

「そうね、車が勝手に動いてくれるなら、免許は要らないかも」

 画期的な意見が聞ける。

 しかしながら、悟空が口を開く。

「ダメだ、ダメだ!。どっちにしろ道路を走るなら免許はいる」

 と、言う悟空の顔は笑っている。

 よほど、運転に四苦八苦するピッコロが面白いのだろう。

「いや・・、無理だろ。あれじぁあ、免許を取る前に人が死んじまうぞ」

 と、クリリンは言う。

 悟空が楽しむ気持ちは分かるが、最悪な教習時間が想像出来て薦める気にはならない。

「そういうことだな・・、」

 と、ピッコロも諦める様子をみせる。

 しかしながら、

「しょうがねえなあ、オラが運転を教えてやるよ」

 と、悟空が言い。

「何?、お前。免許を持っているのか?!」

 意外に思うピッコロが聞き返せば、

「当たり前ぇだろ。ほれ、免許証だ」

 と、スタジアムジャンパーの内ポケットから四角いカードを取り出して、ピッコロに掲げる。

「なっ・・・・、」

 たかがカード1枚に開いた口が塞がらないピッコロ。

(いや、孫が免許証を持っていても問題は無いが・・・)

 自分と同じように、武術しか知らないと思っていた悟空の意外な一面を知る。

 

 それはともかく、ドライビングスクールに通うしかないらしい・・。

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