シトゥンペカムイの恩返し   作:金色のくじら

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続きました。

ありがたいことにいいねやブックマークしてくれる方々がいて、感謝です!

白蛇シリーズと違い、初めからアシㇼパ陣営です。

白蛇より明るい雰囲気の話で、おっとり系?の夢主かも。

キツネ、かわいいですよね(*´`)
いつかキツネ村に行ってもふもふしてみたい・・・

匿名感想箱作りましたので、コメントいただけると嬉しいです(*´`)

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第二話

 

 

───ガリガリガリガリッ!!

 

 

 

 

「なんだコイツ?」

 

 

 

『キャウン!キャウウー!!』

(この中に杉元さん達がまだいるの!助けて!!)

 

板で塞がれている所に体当たりしてみるけど、私の力じゃビクともしない。

 

「中にまだ誰かいるのか?よし、どいてな」

 

そう言って額にコブのある大男は体当たりで板を壊して突っ込んで行き、杉元さんと白石さんを担いで出て来た。

 

す、すごいっ!

ヒグマみたいに強いオス!!

 

うっかり惚れてしまいそうになったが、煤だらけの杉元さん達を見て我に返った。

ドサッと地面に降ろされた杉元さんに思わず飛び付いて頬をペロペロと舐めると、擽ったそうに「お前、あん時のキツネか?」とわしゃわしゃ撫で回された。

 

「コイツがお前らの場所を知らせてくれたんだぜ。感謝しな」

「俺達のために・・・うぅ、良い奴だな〜!!」

「あーッ!この子が結月ちゃんだよ!頭に葉っぱ乗せてキツネに化けたの!!」

「シライシまだ言ってんのか!そんな訳ねぇだろ!!」

 

やばっ、見られてたんだ。

 

 

「行く先々で獲物を貢いでくれてたのはお前なのか?」

 

アシㇼパさんがそう言うのでキャンッと鳴くと「やっぱりシトゥンペカムイは良いカムイなんだな。ありがとう」と微笑んだので、嬉しくて顔中をペロペロした。

そして周りを飛び跳ねながら走ると、杉元さん達はキャッキャウフフと笑った。

 

 

「ちっ、しょうがねぇ。そいつら連れてついてこい」

 

 

こちらに向かって来た髪を撫で付けた男がそう言うので、皆ゾロゾロと歩いて行った。

待ってと追いかけると杉元さんが「お前も来たいのか?ん〜もう可愛いやつだなぁ!」と私も連れて行ってくれた。

 

みんな白石さんの事信じて無さそうだし、大丈夫だよね?

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

わわわッ!

何ここ?!剥製だらけじゃん!!!

私も飾られちゃうの?!?!

 

恐怖でブルブル震えていると「大丈夫だよぉ」と杉元さんが頭を撫でて落ち着かせてくれた。

ひんっ、優しい。

 

 

「ねぇねぇ、ホントは結月ちゃんなんでしょ?人間になって見せてよぉ〜」

 

アシㇼパさんのお腹がコロコロと不思議な音を鳴らしている時に、白石さんはコソッと私に耳打ちしたが無視した。

しつこいので頭に噛み付いてやると「クーン」と悲しげな声を出している。

コイツの頭は何故か甘くて美味しい。

 

 

 

「・・・あら、美味しそうなキツネがいますね。追加の食料ですか?」

 

なんかヤバい女が包丁持って舌なめずりしてる!!

 

「やめろ!この十字狐は高貴なシトゥンペカムイだ!!」

「てめぇ、家永!コイツは俺達の命の恩人だぞ!絶対に手出すんじゃねぇ!!」

「あら残念。なんこ鍋を作ったので、お話の続きは食事の席でされてはいかがでしょうか・・・」

 

そう言って鍋を持って来て、みんなに振舞っていた。

 

 

 

 

家永と呼ばれた女が「艶のあるなんて素敵な毛並み」とガン見してくる。

 

もう嫌・・・呑気に着いて来ちゃったけど、マズかったかも。

アシㇼパさん達から離れたら絶対ヤラれる。

 

 

 

「・・・あんたらその顔ぶれでよく手が組めてるな。特にそこの鶴見中尉の手下だった男・・・一度寝返った奴はまた寝返るぜ」

「杉元・・・お前には殺されかけたが俺は根に持つ性格じゃねえ。でも今のは傷ついたよ」

「食事中にケンカすんなよ」

 

なるほど、みんながみんな仲間って訳じゃないのね。

 

 

コイツ・・・絶対に根に持ってるじゃん。

要注意人物だな。

アシㇼパさんと杉元さんに何かしやがったら許さん。

 

 

それから贋作?の話になったので、よく分からないけど皆同じ物を探し求めて協力してるような事を話していた。

アシㇼパさん達を尾行していた時に聞こえた、金塊ってやつかな?

キツネは聴力に優れているので、少し離れた音もよく聞こえる。

 

「シトゥンペカムイと言ったか?律儀なお前にも分けてやろう。ほら、食べなさい」

 

そう言って白髪の老人は、私の目の前になんこ鍋の入った器を置いてくれた。

 

ありがとう、優しいおじいちゃん・・・

感激して土方さんと呼ばれていたおじいちゃんの手をペロペロと舐めると、フッと微笑んでいた。

 

か、顔が良いッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくぶりのご馳走を有難く食べていると、いきなり身体が宙に浮いたので思わず叫び声をあげた。

 

『ギャンギャンッ!!』

(ぎゃあ!何?!)

 

振り向くと要注意人物の男が、私のしっぽを持ち上げてニヤニヤと笑っている。

 

 

「オガタてめぇッ!!」

「十字狐の毛皮は高額で売れると聞いたぞ。路銀の足しに言い値で売ればいいだろ」

 

こんのォ・・・高貴な十字狐のしっぽを掴むなんて!!

 

『グヴヴゥ゛・・・!!』

 

前足をオガタと呼ばれた男に向かってバタバタさせるが届かない。

 

「ほら、短い足でどうする気だ?」と髪を撫で付けてフンッと小馬鹿にしてくる。

 

 

舐めやがって!!

 

しっぽの毛を逆立てて念を込めると、辺りに青白い狐火が揺らめいた。

オガタは驚いた様子で手をパッと離し、猫の様に目をキュッとさせた。

そして私は奴を睨みつけて声を張って叫んだ。

 

 

 

『いい加減にして!!!』

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「「「「「は?!」」」」」」」」」

 

 

 

 

 

ええい、もうヤケだ。

そのまま人間に変化して、オガタの頬っぺたを思いっ切り引っぱたいてやった。

 

『汚い手で触んないで!その顎噛み砕いてもっと穴開けるわよ?!』

 

 

 

 

「し、シトゥンペカムイが結月になったぞ!!!」

「ほらぁ!やっぱり結月ちゃんじゃん!!」

「・・・えっ、あ、結月さん?どういうことぉ??」

「白石が寝惚けてるもんだと思ったが・・・本当だったのか」

「ははぁ!おもしれぇもんが見れたぜ!!」

「なんと・・・長生きはするものだな。化け狐を見られるとは」

「驚いた・・・キツネが別嬪な嬢ちゃんになったぞ」

「あら、若くて綺麗な肌・・・」

「家永、お前はブレないな」

 

皆が目をパチクリしている。

 

 

『私のこと、アシㇼパさんと杉元さんがヒグマから助けてくれたでしょう?二人に恩返しがしたくてずっと追いかけてたの』

 

「これがキツネの恩返し・・・いや、シトゥンペカムイの恩返しか」

 

キロランケさんがそう言うと、感心して頷いた。

 

順応早いな。

アイヌは動物をカムイって崇めてるんだっけ?

 

『杉元さん達が無事で本当に良かった!探し物してるんでしょう?私にも手伝わせて!!』

 

私が杉元さんに抱きついて頬を舐めると、真っ赤な顔をして固まってしまった。

 

「ゔ・・・あ、ちょっ・・・その姿でそれはマズイって!!」

「絵面がやべぇな」

「嬢ちゃん、俺にもしてくれ」

『牛山さんは二人を助けてくれたからたくさんしてあげる!』

 

杉元さんから離れて牛山さんに抱き着こうとする私に「ちょっ、待て待て!結月ちゃん犯されるぜ!!」と何故か白石さんに襟元を捕まれ、強制的にキツネの姿になるように説得された。

 

 

 

 

うーん、なんで駄目なんだろ??

 

 

とりあえず人の姿のままアシㇼパさんに抱き着いてペロペロ舐め回していると「結月ちゃんがアシㇼパちゃん舐めてるとこ見ると・・・ボクちゃん何かに目覚めちゃいそぉ〜」と白石さんが呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

男達は静かに頷いた。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

──────ガシャン!!!

 

 

窓が割れる音と共に火が一気に広がり、剥製を飲み込んでいった。

 

『?!』

 

「剥製製造に繋がる証拠を隠滅しにきたか」

 

硝煙の臭いが邪魔だ。

耳をそばたてて辺りを見渡すと、人の気配が無い窓を見つけた。

 

『早く!こっちから逃げられるよッ!!』

「行くぞジイさん!!」

 

それから目立たないように、私達は二手に分かれて逃げる事になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「見ろ、トゥレプタチリがいる。ヤマシギだ!」

『アレ美味しいよねぇ〜』

 

すると、尾形がスッと銃を構えた。

 

「おい!尾形やめておけ」

「なんでだよ、食うんだろ?」

『そんな事したら一羽しか捕まえられないよ?』

「そうだ、ヤマシギは蛇行して飛ぶのでその銃の弾じゃ当てるのは難しい。だから罠を使うぞ!」

「フン・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌朝。

 

──────ダアァン!!

 

 

 

 

『ああ!!』

 

狙っていたヤマシギがバサバサッと空へ舞い上がっていった。

後ろを振り向くと尾形の銃から煙が上がっている。

 

『アンタのせいで逃げちゃったじゃない!』

「フン・・・見てみろよ。二羽当てたぞ」

 

ぐううぅ・・・小癪な奴!!

 

『私だって二羽捕まえたし!こっちの方が大きいしっ!!』

 

咥えて堂々と見せると、尾形はニヤリと笑って銃を構えた。

 

ダァンッ!!

 

「今ので三羽だ」

 

キイイイィーッ!!

ほんっっと嫌な奴!!!

 

「おい女狐、もう居ねぇから戻るぞ」

『くッ!ネズミ捕まえて来るから先に帰れば?!ていうか女狐って呼ぶな!!』

「負け惜しみですなぁ」

『うっさい!!』

 

 

 

 

 

 

 

「尾形が三羽に結月嬢が二羽とネズミ三匹か。やるじゃねえか」

 

えへへと照れていると、尾形がふんぞり返っていてイラッとした。

 

「腹立つなコイツ」

「チッ」

「アシㇼパさんに無理だって言われたからムキになっちゃってさ・・・ハンッ!」

「杉元は銃が下手くそだから妬ましいな」

「別に!!」

『お腹空いたし早く食べようよ〜』

 

 

 

 

 

 

脳ミソ美味し〜♡

アシㇼパさんが皆に脳ミソを振舞って、杉元さんはチパチパと吸い付いていた。

 

『杉元さんには二羽あげるから元気出して?ほらネズミも!』

「あ、ありがとう。あー・・・こないだ怪しいってヒドイ態度とっちゃってごめんねぇ?まさかあの時のキツネだって思わなかったから・・・」

 

モジモジした杉元さんの声は、段々と尻すぼみになっていく。

 

『いいの!杉元さん優しいの分かってるから。ほら、たくさん食べて?』

「良かったな、スギモト!」

『アシㇼパさんと牛山さんにもネズミあげる〜。尾形にはやんない!』

「フンッ」

「おお、ネズミか・・・焼けばいけるか?」

「カリカリに焼くと美味いですよ!チンポ先生!!」

 

 

 

 

・・・チンポ先生???

 

何だか聞き捨てならない単語が出たような・・・。

とりあえず誰も反応しないので流した。

 

 

 

 

 

『チタタプ、チタタプ』

「上手だぞ結月!」

『えへへ〜』

 

今度は順番で尾形がチタタプしているが、チタタプと言わないので杉元さんとアシㇼパさんに責められている。ざまぁ。

 

 

美味しいオハウを口いっぱいに頬張っていると、アイヌの神謡をアシㇼパさんが話し始めた。

 

「恋のお話?聞かせて・・・」

 

杉元さんの目がうるうるしてる。

恋のお話好きなんだ、乙女の顔かわいいなぁ。

 

 

 

 

アイヌの神謡は、恋人達が手に手を取って結末を迎えるほっこりするお話だった。

 

「なんてカワイイお話・・・」

 

頷く牛山さんもカワイイ。

 

 

「ねぇねぇ、結月さん。キツネはどんな求愛をするの?キツネの恋の話も聞きたいな」

 

杉元さんは更に目を輝かせ、こちらを見た。

 

『う〜ん、雄が雌に獲物をいっぱい貢いだりするかなぁ』

「へぇ・・・贈り物をするなんて素敵だね」

『まぁ、雌より弱いキツネは相手にされなくて追い返されるけどね』

「手厳しいな」

「結月は・・・もう番がいるのか?」

 

アシㇼパさんがキラキラした目でこちらを見ている。

ゔっ・・・、一斉に皆の視線が集まって何だか話しにくい。

杉元さんは恥ずかしがっているが、興味津々にチラチラ見てくる。

他の人はガン見だ。

 

『えっと・・・私はまだ番がいたことがなくって・・・妖狐として半人前だから、もうちょっと修行してからかなぁ』

 

何だか照れちゃうな。

 

「女狐はどうやって番を決めるんだ?」

『もうっ!女狐って言わないでよ!・・・そうだなぁ、強くて狩りが得意で子育てが上手な雄がモテるかな』

「チンポはどうなんだ?!」

 

アシㇼパさんが食い気味で聞いてくる。

 

『チンポ??』

 

さっきからチンポがちょくちょく出てくるけど何??

 

「チンポ先生!結月にチンポ講座をしてやってください!!」

「フッ、いいだろう。・・・結月嬢、いい女になりな。男を選ぶときは・・・・・・・・・・・・チンポだ」

『???』

 

何か、唐突にチンポ講座始まっちゃった。

 

「抱かせてチンポが"紳士"かどうか見極めろって話さ」

『紳士なチンポ?』

「そうだ。女を抱く時は優しく丁寧には当たり前だが、抱く時だけ甘ったるい奴は紳士じゃねぇのさ・・・」

『そっかぁ・・・キツネはね、交尾した後も雄はずっと雌に優しいの。だから紳士なチンポを見極めるっていうのは確かに大事なのかも』

「人間で仲の悪い夫婦がいたら、キツネの番を見せろって言うくらいだからな!」

『アシㇼパさんよく知ってるね〜。キツネは毎年番を変えるけど、雄は雌が孕んだら甲斐甲斐しくお世話するよ。子供が産まれたら独り立ちするまでずーっと仲良く一緒に子育てするの』

「わぁ・・・キツネの夫婦は仲良しなんだ。いいねぇ〜」

『うん!私もいつか素敵な番に出会えるといいなぁ』

「嬢ちゃんなら大丈夫さ。別嬪で気立ても良いしな。・・・いなかったら俺が番になるぜ?」

『もぉ、チンポ先生ったら〜』

 

 

 

 

 

そんな中、尾形はじっとりとした目で結月を見ていた。

 

「雄が子育てせずに・・・雌と子を捨てたらどうする?」

 

その色は漆黒の闇を思わせ、少しゾッとした。

 

・・・きっと、人間にはそんな事をする阿呆がいるのね。

 

 

そんな奴は・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『チンポ、食いちぎるよ』

 

 

 

男達は顔を真っ青にして、股間をサッと隠した。

 

ケラケラと笑っているのは、アシㇼパと結月のみであった。

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